雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - そらねむり
544 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/31(火) 22:52:02.52 0

人の疎らな駅構内。
日付は既に変わってしまった。
遠くから聞こえてきたアナウンスの声に慌てて駆け出す。
ホームに着くのと電車が入ってくるのは同時だった。
電車に乗り込み深く息を吐いた。
電車のガラスに映るあまりにも陰鬱な自分。
その酷さに自然と顔が下に向く。
こんなはずではなかった。
世間の定時と言われる時間には終わるはずだった今日のスケジュール。
その後に予定していた雅との約束。
久しぶりに直接会える事に心は踊っていた。
それなのに人的ミスと機器トラブルが相次ぎどんどん時間が押した。
謝罪と共に仕事が長引き会えそうにないと夕方頃に連絡したがその後は一度もスマホを確認できなかった。
襲ってくる眠気を堪え、鞄を探る。
スマホを取り出しホームボタンを押す。
雅からの通知が一件。
時刻は約束していた時間の少し前。
明日は朝が早いと言っていた雅。
恐らく了承の返事だろう。
通知をスライドさせる。

ももの家で待ってる

画面に表示されたその文字。
予想と違う文字列に目が上滑りする。
その短い文を理解するのに無駄に時間を要した。
じわじわと意味が浸透してくる。
襲ってきていた眠気が何処かへ消えた。
口元が緩んでいくのが自覚できた。
しかし、それは画面の隅の現在時刻が視界に入って止まった。
さすがにもう帰っているだろう。
そう思うのに。
そわそわした気持ちを抑えきれない。
窓から見える景色を逸る気持ちで見遣る。
電車内に響くアナウンスが最寄駅の名を告げると同時に立ち上がった。
減速する距離がいつもより長く感じ焦れる。
ドアが開ききる前にホームに飛び出していた。
最寄駅から自宅までの短い距離さえもどかしい。
気がつけば走り出していた。

545 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/31(火) 22:52:50.29 0

自宅のドアの前で荒い息を整え、そっと中に入る。
僅かに明かりと音の漏れる室内。
玄関には見覚えのない靴が一足。
急ぎ足でリビングのドアを開けた。
つけたままのテレビ。
ソファで座った体勢のまま寝ている雅。
少し大きめの二人掛けのソファ。
二人で選んだそれは雅のお気に入りでうちに来た時の定位置。
静かに隣に座った。
あどけない寝顔。
どんな夢を見ているのか雅から小さく笑いが漏れる。
起こしてベッドで寝かせるべきなのはわかっていてもその表情を眺めていたくて起こせない。
最近は中々見る事のできない無防備な寝顔。
起こしてしまうのがもったいない。
ただ寝顔を眺めているだけなのに殺伐としかけていた心が洗われていくようで。
思わず伸ばした手は無意識に頭を撫でていた。
身動ぎした雅はそのままこてんと太ももの上に倒れて来た。
このまま起きてしまうかと焦るが杞憂で直ぐに深い寝息が聞こえて来た。
角度が変わり顔がより見える。
起きている時より幼い寝顔に勝手に手はまた頭を撫でていた。
ふにゃと緩んだ口元。
あまりの可愛さにきゅんとする。
暫くそのまま撫でていたがそろそろちゃんとベッドに移動させるべき時間で。
名残惜しいが手を止め起こそうと手を離した。

546 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/01/31(火) 22:53:47.73 0

途端にご機嫌斜めの不満顔に。
「みや、起きてる?」
問いかけても目を瞑ったまま。
しかし、一瞬呼吸が乱れた。
疑念は確信に変わる。
「起きてるでしょ。もう遅いしベッドで寝よ」
それでも寝たふりの雅。
もう一度頭を撫でてみると満足そうな顔。
顔を近づける。
手は頬を撫でる。
後数ミリで唇が触れる距離。
お互いの吐息を感じる。
何秒その体勢でいたのか。
首に回される腕に触れる柔らかい唇。
「おかえり」
今日初めて聞く雅の声。
ちょっと拗ねた響きにくすっと笑いが溢れる。
至近距離で見える顔もやっぱりちょっと不満気で。
「ただいま。それと今日はごめんね」
もう一度、唇を重ねる。
僅かに開いた唇に深くなる口付け。
聞こえる吐息に歯止めがきかない。
早く寝ないといけないのに。
それでも手は自然ですに雅の服に。
あんな可愛い寝顔を見せた後の艶っぽい吐息。
そんなズルイ雅が悪い。
理不尽なのはわかっている。
明日の朝はきっと起きれない。
いや、寝ないで朝まで起きていよう。
そして朝、雅が目覚める時まで眺めていよう。
おはようの言葉とともに見せてくれる恥ずかしそうに照れた顔。
明日、いや今日の朝も見せてくれるだろうか。
それとも怒られるだろうか。
また改めて謝ろう。
口元が弧を描く。
「みや、ごめんね」