雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - とやかくや
527名無し募集中。。。2017/11/24(金) 21:55:51.530

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ありえなーーーい!!!

という大声が店内に響いて、他の客が一斉にこちらを見る。
「ちー、声大きい」
「ごめーん。でもホントそれありえないよ!怒った方がいいよ」

なぜ千奈美がこんなに興奮しているかというと、桃との暮らしを話したら急にスイッチが入ってしまったからなんだけど。

「桃と二人で暮らすなんてみやも物好きだよね」
「ちーだって、桃のこと何だかんだ好きじゃん」
「好きじゃないよ!ビジネスパートナーだから」
「ふーん」
薄くなったアイスコーヒーをずず、と飲むと千奈美がニヤニヤしながらこちらを覗き込んだ。
「みや、桃の作ったご飯食べてんの?」
「いや、食べてない。みやがご飯作ってるし」
「えっ。毎日?」
「うん」
「みやがお仕事の日は?」
「作り置きしとくか、帰ってから作ってるかな」
「ありえなーーーい!!!」
「ちー、声大きい」
大きく見開かれたタレ目が急にしょんぼりした。
「ごめーん。でもホントそれありえないよ!怒った方がいいよ」
「え、なんで?」
「なんでって、桃お仕事してないじゃん。桃が作ればよくない?それかお当番にするとか!」
「だって桃は掃除とか料理とか苦手なの。やらせるの可哀想じゃん」
「みや、それは桃に付け込まれてるよ!」

千奈美がここまで騒ぎ立てる理由がよくわからなかった。
桃はみやの作った料理に文句は言わない。いつも何を作っても美味しそうに食べてくれるし、帰りが遅い日は食べずに待っていてくれる。
それに、
「たまに作ってくれるよ?」
「買ってきたお惣菜じゃないの?」
「まぁそんなとこだけど」
桃が自分で炊いたご飯に、得意料理のキャベツの千切り。それにスーパーで買ってきた唐揚げとインスタントのカップ味噌汁を用意して、みやの帰りを待っていた時は本当にびっくりした。
あのドヤ顔は忘れられない。桃がみやのためにご飯を用意してくれた、それがとても嬉しくて。惣菜だとかインスタントだとか、そんなことどうでもよかった。

「みや別に作るの苦痛じゃないんだよねー」
「でもね、絶対そのうち『こんなに頑張ってるのに桃は一日中ぐうたらしてる!』ってイライラする日が来るね!」
「そういうもん?」
「そういうもん!」
その自信はどこから来るのか。わからない。
だってみやには、帰りを待ちながらソファで寝てしまった桃の寝顔とか、待ちきれなくて買い置きの冷食を食べた痕跡があったりとか、そういうのがたまらなく愛おしいのに。
「今のところイライラするポイントはないけど」
「そう言っててもね、いつかパンクするよ。千奈美はみやが爆発しないことを祈ってる!」

たしかに桃は家事はやらない。だけど家計簿をつけている。これはとても大事だし、みやにはできない。
私たちはこうやってバランスを取っている。だから千奈美の言っているようなことは起きない、と思いたい。

甘やかしてると言われればそうなのかもしれないけど───
みやが桃を甘やかしたいんだから、いいじゃん?