雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - カプセル 1
311名無し募集中。。。2018/12/15(土) 01:43:04.650

こんな深夜ですが酔っ払った勢いで降ってきてしまったみやもも(もどき)
ももち出てこないしオリジナルキャラは出てくるしなので注意
書きたかったんです許してにゃん

―――

何歳?ってみやは聞いた。
12歳って答えた口に、ふわふわの生クリームが消えていった。

中学1年生って言葉が、どすんと肩にのしかかった。
中1って何年前だっけ。25年前? あり得ない。
そう考えて、まんまそれがこの子との年の差になるんだって気づいて愕然とする。
そりゃ、生クリームたっぷりのパフェもパクパク食べられるわけだわ。
みやだって、この頃はたぶん甘い物も脂っこい物も平気だった。
今はすっかり落ち着いちゃって、わらび餅なんて頼んでるけど。

「あの、聞いても良いですか」

細長い銀色のスプーンをくるくるしながら、その子――雛子ちゃんは切り出した。
アラレちゃんみたいな赤縁メガネの奥で、きれいな二重のまぶたがぱちぱち動く。
みやは、どうぞって手を突き出した。

「みやびさんって、何者ですか?」

何者か?って、哲学的な答えは期待されてないよね。だって中1だし。
逆にどう答えたら良いのかな。
みやのお仕事の話しても仕方ないし。
ちょっと困って、わらび餅と一緒に頼んだほうじ茶をすする。

「何が知りたいの?」
「……私のママと、お友達なんですか?」

一直線にみやを見つめる視線。きゅっと緊張気味に閉じた唇。
どっかの誰かさんが懐かしくなって、つい目を逸らしてしまった。

312名無し募集中。。。2018/12/15(土) 01:46:23.900


その子のフルネームは、鈴木雛子といった。
彼女は、なんとみやを尋ねて事務所までやってきたらしい。
中学1年生のくせに、なんて行動力。
受付からの連絡で降りていったみやは、雛子ちゃんを一目見てちょっと、いや、かなり震えた。
名前だけじゃ全然ピンとこなかったのに、顔見たら一発だった。
みやの知らないところで、タイムマシンでも開発されたんじゃないの。
そう思っちゃうくらい、雛子ちゃんは――昔のももにうり二つだった。
つやつやした黒い髪の毛も、しっかりした眉毛も、それを隠す前髪も。
くっきり二重も、目元のほくろも、薄い唇も。
ぎゅっと首を絞められたみたいだった。息が、できない。

「あの、みやびさんですか?」
「あ……まあ……」

人の話を聞く時、まっすぐに他人の目を見るところ。

「お仕事、何時までですか?」
「いや、まあ、終わってるっちゃ終わってるけど」
「このあと、予定、ありますか?」
「……ないけども」

ちょっとした隙間を見つけて、ぐいぐい入り込んでくる感じ。

「あの、私と、お話してもらえませんか」

全部ひっくるめて、目眩がするくらいももにそっくり。
断る選択肢はなかった。

314名無し募集中。。。2018/12/15(土) 01:49:37.400


だから、ももの――今は鈴木桃子っていうらしい――娘ですって言われた時も、全く驚きはしなかった。
中学1年生っていったら、オーディション受かった頃のももと同じくらいじゃん。
そう思うと、雛子ちゃんはももよりだいぶ大人に見えた。
みやの記憶があやふやになってるだけかもしれないけど。

「オトモダチね……まあ、そんなとこかな」

お話したいって言われて、やってきたのは事務所から少し離れたファミレス。
ちょうどおやつの時間帯。周りはオフィスばっかりだから、意外と店内は空いていた。
雛子ちゃんは「そうですか」と言ったきり、黙り込んじゃった。
こっちから何か聞ける空気じゃない。
仕方なくみやはティーカップに視線を移した。
この柄、ちゃんと見たら可愛いじゃん。って、どうでもいいこと考えて。
テーブルに置いといたみやのスマホが、ブブブブッて音を立てた。
LINEの通知がふわっと画面に浮かぶ。
「わーい」って浮かれた柴犬のスタンプが表示されて、「写真を送信しました」の文字。
ちらっと見えた名前はにへちゃんで、今はいいかって画面を消した。

「ママとみやびさんは、親友ですか?」
「親友……か、なあ」

パフェの最後の層は、コーンフレークでできていた。
それを雛子ちゃんがざくざく掬うのを眺めつつ、みやは答えた。
親友かって言われると迷う。
お友達っていうのも違う気がする。
じゃあ何なのって言われて、数年前ならカノジョですってきっと答えられた。
今はって聞かれて、本当にちゃんと答えるなら、多分他人ですとしか言えない。
でも、他人って言葉は、ちょっと胸がちりちり痛む。
そういうパフェの上の生クリームみたいにふわふわした関係のまま。
ももとはもう随分連絡を取っていない。

315名無し募集中。。。2018/12/15(土) 01:51:25.460

「……よかったです」

みやの答えは、雛子ちゃんの望む言葉だったのかな。
よく分かんないけど、パフェの器はすっかり空になっちゃった。
みやのほうじ茶はとっくに無くなっていた。

みやが会計をしている横で、雛子ちゃんはレジ横の不思議な雑貨をいじっていた。
キーホルダーとかの扱い方が若干雑で、そんなところもももっぽいと思っちゃって。
あー、やばい。
目を閉じてたら、店員さんにちょっと不審がられた。
送っていこうか?って言ったら、いいですって丁寧にお断りされた。
年齢の割にきちんとした言葉遣いなところ、ますますももに似てるって思う。
キッズの中でもお姉さんだったももは、あの頃めっちゃ背伸びしたがってたから。

「ありがとうございました」

ぺこっと頭を下げた雛子ちゃんが、紺色のリュックを背負い直す。
改札をくぐる雛子ちゃんの後をつけようかと思ったりして、やめた。
今更、掘り返すような過去じゃないっしょ。お互いに。
放置してたにへからのLINEを開くと、ぷくぷくした赤ちゃんの寝顔がドーン。
既読がつくのを待ち構えていたみたいに、「かわいくないですか!」とすごい勢いで送られてくる。
正真正銘、にへちゃんの子どもだ。
ちょうど、1歳くらいのはず。

「はいはい、かわいーね」

いつもは頬が溶けちゃうくらいなのに、今はそんな気分になれなかった。
ごめんね、にへ。
形だけ、ハートが飛び交うスタンプを送る。
そのまま、スマホをポッケに押し込んだ。