雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - タイムスリップの2
298 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/05(月) 21:48:36.91 0

ラストに向けての慌ただしい日々。
溜まっていく疲労も心残りなくそれを迎えるためなら大して気にならない。
朝の陽射しで目を覚ます。
目覚まし時計の音よりも容赦のない光の方がよほど効果があった。
軽く伸びをしながら起き上がる。
何故かグッと服が軽く引っ張られる。

「えっ」

スヤスヤと無防備に眠る雅。
寝乱れただけとは到底思えない。
軽く羽織っただけのように見えるパジャマ。
のぞく素肌に思わず目を逸らす。
しかし逸らした先も悪かった。
掛け布団から出た魅惑的な太もも。
固まっていると甘えるように腕にすり寄ってくる。

「どういうこと…」

昨日の夜は間違いなく一人で帰宅した。
どうしてここに雅がこんな格好でいるのか見当もつかない。
雅を起こして聞くのが一番早い。
寝起きの悪さを考えるとあまり気が進まない。

「みや、起きて」

軽く体を揺すっても不機嫌そうに軽く唸られるだけ。
はぁっと思わずため息が出た。
早めの起床とはいえそんなに時間がない。
帰ってきてからでもいいかと諦め一度目のリミットを告げるスマホのアラームを止めた。
スマホを手から放そうとしたところで着信画面に切り替わり反射的に通話を押す。

「もしもし?」

『もも…』

電話から聞こえてきたのは雅の声。
隣で寝ているのも雅。
一体どうなっているのかわからない事態。
それでもどこか様子がおかしいその声に我にかえる。

300 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/05(月) 21:49:49.87 0

「どうしたの?何かあった?」

『ごめん。寝ぼけて間違えてかけたみたい』

寝ぼけたという割にはしっかりした声。
たぶん本当は違う理由。
少し動揺が感じられる声に心配になる。
もう一度、確認しようとしたけれどそれどころではなくなった。
横から伸びてきた腕にスマホを持っている手を引っ張られる。
そのせいで口から出たのは違う言葉。
少し早口になってしまった。

「そう?それならいいけど」

『今、忙しかった?』

「ごめんね、今ちょっとたてこんでて」

スマホを奪われる寸前になんとか通話を終わらせれた。
奪ったくせに無造作にベッドの上に投げ出されたスマホ。
まだ開ききらない雅の目。
寝たままの状態の雅に引き倒される。
雅の顔の横に手をついてどうにか体を支える。

「誰に電話してたの?」

まさか雅にしてたなんて意味のわからない事を言ってもキレられそうで言葉に詰まる。

「大切な人?」

「なんで?」

「だって声がすごく優しかった」

何故か落ち込んだような泣きそうな声で言われ戸惑う。
目を伏せ合わないようにされた視線。
真正面から見た雅にやっとおかしな事に気づいた。
短い髪にシンプルな髪色。
それに明らかに若い。
この雅はなんなんだろう。
後悔が生み出した幻覚?
それともリアル過ぎる夢を見てるのだろうか。
まだ付き合っていた頃の雅みたいで。
間近にある顔の輪郭を確かめるようにたどる。
掌にはしっかり肌の感触も体温も伝わってくる。
首から肩に体の線をなぞるように触れていく。

301 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/05(月) 21:51:00.47 0

「んっ…もも?」

戸惑っているのはわかっていてもやめられない。
確かに感じる存在。
これが実体でなければ相当、自分の頭はイかれている。
信じられなくて何度も触れてしまう。
それでも何も言わず目を閉じてされるがままの雅。

「ねぇみや、これ夢?」

「何言ってんの?」

自分でもそう思う馬鹿馬鹿しい質問。
でもそれ以外考えられない。
やっと合った視線。
雅の目に疑問が浮かぶのがわかった。

「もも、痩せた?あれっ?」

混乱しているのが伝わってくる。
そこに二度目のアラーム。
これで準備をしないともう完全に遅刻。

「ごめんねみや。もう出る用意しないと遅刻するから」

「今日、完全にオフって。一日、一緒にいるんじゃなかったの」

慌てたような焦ったような様子で起き上がろうとした所を止められる。
直後にしまったというような表情。

「今日は仕事だよ。できるだけ早く帰ってくるからまたその時に話そう」

急いで身支度を整える。
その間、ずっと雅の視線が絡みついてきた。
三度目のアラームが鳴る頃にどうにか出られる状態。
未だにベッドの上でこちらをじっと凝視している雅。
夢なのか幻覚なのかよくわからない存在の雅。
帰ってきた時には消えているかもしれないけれど一応、伝えておく。

「この部屋のもの好きに使っていいし、冷蔵庫の中のものも自由にしていいからここで待ってて」

「わかった」

302 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/05(月) 21:52:00.44 0

異常に長く感じる時間。
それでもどうにか最短の時間で仕事を終えた。
逸る気持ちで家路を急ぐ。
少し緊張しながら部屋に入った。
呆然とした面持ちでソファーに腰掛けていた雅。
その存在がいた事になんとも形容し難い気持ちになる。

「ただいま」

何と声をかけていいかわからず出てきた当たり障りのない言葉。
その声に反応してゆっくりとした動きでこちらを向いた雅。

「これってドッキリ?」

「どういう事?」

「だって今は2009年でしょ?」

予想外の雅の言葉。
言葉を失う。

「そうだって言ってよ」

泣きそうに震える声。
自分でも違うとわかっている様子に何も返せない。

「どうしたらいいんだろ…」

独り言のように呟かれたそれは全く同じ気持ちで。

タイムスリップ

その単語が頭をよぎる。
小説や漫画みたいな空想の話でしかないそれ。
現実とは思えない。
それでも今、目の前で迷子の子どものように不安そうに途方に暮れている雅はどうみても現実で。

「どうにかするから」

「どうにもならなかったら?」

縋るような目。

303 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/05(月) 21:52:57.80 0

「その時は…」

ずっとここにいればいい

そう言いかけて口をつぐむ。

「…絶対、どうにかするから」

方法なんてわからない。
それでもこんな不安そうな雅を見てそれ以外は言えなかった。
そっと雅の隣に座る。
コツンと肩に雅の頭が預けられる。
朝とは違い触れる事に躊躇う。
どうすることもできずにただ隣にいるだけ。
どれくらいそうしていたのか真っ暗になった室内。
ぽつりと雅の声が響いた。

「もも、なんか優しいね」

「そりゃあもう大人ですから」

「そっか、そうだよね」

それっきりまた黙ってしまった雅。
2009年から来た雅。
その年という事がズシリと心に重くのしかかる。
肩に感じていた重みがふと無くなる。
横を向くとどこか切ない目に囚われる。
反らせない視線に息が詰まりそうになる。

「ねぇもも、恋わかった?」

何かを諦めているような静かな声。

「…わかったよ」

嘘をつくのは躊躇われて正直に答える。

「それって…」

合っていた目が逸らされ伏せられる。

「…やっぱりいいや」

気まずい沈黙。
空気を変えようと口を開く。

304 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2017/06/05(月) 21:56:12.32 0

「そういえばみや夕食はどうしたの?食べた?」

「まだ。でもいらない」

また切れた会話。
どうしようかと頭であれこれと考えているだけで沈黙していると逆に声を掛けられた。

「明日は遅いの?それとも休み?」

「朝から」

「だったら早く寝ないと」

まだ関係は解消されていない時から来た雅。
だからか当たり前のようにベッドに入る雅。
そこで直面する問題。
寝る場所。
頭から抜け落ちていた。
一緒に寝るわけにもいかないとソファーに行こうとしたら腕をとられ止められた。

「今日だけでいいから一緒に寝てよ」

恥ずかしがって素直に言葉にすることなんて滅多になかった当時の雅。
その雅が耳まで赤くしながら告げて来た。
それを無下にすることなんてできずにベッドに入る。
僅かに離した体。
きっと眠ることなんてできない。
目を瞑るだけ。
いつまで経っても全く訪れない眠気。
雅も同様なのかもぞりと起き上がる気配。
恐る恐るというように触れてきた雅。

「もも…」

掠めるように唇の端に触れた柔らな感触。
パッとすぐ離れまた隣に横になった雅。
ただでさえ近かったのに。
僅かにあけていた距離はぎゅっと遠慮がちにひっついてきた雅によって無くされた。
当時、確かに感じていた雅からの好意。
それをまた突きつけられる。
久しぶりに間近で感じる雅の存在。
落ち着かない気分で一夜を過ごした。