雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - ノスタルジアラブ 2
454名無し募集中。。。2019/01/03(木) 16:41:53.130

初対面の人と話すのは得意ではない桃子だったが、雅とは不思議とスムーズに話をすることが出来た。
お互い住んでいる所が近かったり、実は同い年だったり(自分が早生まれだと教えると、絶対みやの方が年上だと思ったのにーと悔しがっていた)
と何かと共通点があったからなのもあるが、 こちらが話しているときに笑顔でうんうんと桃子の目を見て相槌を打ってくれる所や、
話に対してリアクションを大きくとってくれる所がとても可愛くて雅の華やかな見た目とのギャップを感じ、桃子は雅のことをもっと知りたいなと思っていた。

と、ここで雅が「そういえばさ」と口を開く。
「ももってお仕事何やってるの?OLさんにしてはまだ就業時間な気がするんだけど」
雅が桃子に質問したと同時に桃子の向かい側で宿題をやっていたレイがすかさずその質問に答える。

「あっーみやさんその質問ダメですよ、桃子さん今ニートなんですから。」
「ちょっ・・・ちょっとレイちゃん!ニートじゃないから!ちゃんと働いてはいるよ?」
桃子は動揺しつつレイに抗議する。
「働いてるっていっても、週1か2なんでしょ?それ以外は家いるかウチに来てダラダラしてんじゃんか」
今度は高橋さんが口を挟んでくる。2人に押されている桃子を見ながら雅は少し困った表情を浮かべていた。

桃子は3ヶ月前、5年間勤めていた会社を辞めた。しかし何故辞めたのかと言われるとうまく説明ができない。
別に上司からパワハラを受けていたわけでもなく残業残業で定時に退社できないからというわけでもない、むしろ労働環境はいい方で会社に不満はなかった。
ただ、いつからかこのまま何事もなく働き続け人生を消化していくことに強い拒否感を桃子は抱いたのである。 かといって辞めてどうするのかという事はまったくのノープランではあったのだが、
それでもこの日常を壊したいと思い始めた瞬間から会社に辞表を提出するまで時間はそうかからなかった。勿論上司からは引き止められたが他にやりたい事が出来たと嘘をついて桃子は会社を辞めた。

それからは友人の佐紀と佐紀のいとこである桜子が営んでいるお店を手伝っているのだが基本的には桜子が休みの時の代わりか、桃子の気まぐれで前日に佐紀に電話して働きに来ていいか聞いてOKだった場合のみなので
桃子の勤務日数は月に7〜8日で当然お給料はほとんど無い。それでも会社員時代真面目に貯金していたおかげで半年はこの生活でも大丈夫な位の余裕はあるのでその間にやりたいことが見つかれば・・・と考えていたわけだ。

「普通次のプランが決まってないのに無職になんかならないよ。レイちゃん、前も言ったけど桃ちゃんみたいなことをする大人になっちゃダメだよ」
「大丈夫だよ高橋さん、私桃子さんのことは大好きだけどさすがにそういうマネはするつもりないから」
2人のやりとりに桃子は苦笑いを浮かべるしかない。

「まあまあ二人ともその辺にしないとかわいそうだよ、みやはももがやりたい事見つけられるまで応援するから」
慰めてくれた雅が桃子は天使に見えた。高橋さんとレイは甘いんだからーという表情をしている。

「うん、ありがとうみや。・・・あっそういえばみやは何のお仕事してるの?撮影ってさっき言ってたしやっぱりモデルさん?」桃子が強引に話題を変えて雅に質問した

456名無し募集中。。。2019/01/03(木) 16:45:08.880

「ううん、モデルの仕事はアルバイトで実は将来の夢が他にあるんだ。・・・あっそうだ!今日の20時ごろここに来てよ、そしたらわかるから」
雅はそう言ってスマホの地図アプリを立ち上げた後「ここね」といいながら桃子にスマホを渡す。ピンが刺さっている場所はここから一番近い駅だった。

「おっみやびちゃん久しぶりにやるんだね、じゃあ2人ともその後またここにおいでよ。たぶん閉店時間過ぎるだろうけど特別に入れてあげる」
どうやら高橋さんは雅の夢を知っているみたいで二人に提案をする。
「高橋さんありがとう、そうと決まれば準備しないと。じゃあもも、またあとでね」
雅はそう言うとお会計を済ませて店を出て行った。準備って何だろうと桃子が思っていたら「きっとびっくりするよ」と高橋さんが期待しててねと言わんばかりの表情で桃子に言ってきた。

桃子は1度家に戻ったあと駅に向かう。会社員時代、通勤するのに使っていたが来るのは久々で少し懐かしい気分になった。帰宅ラッシュも過ぎそこまで人通りは多くないがまだまだ駅構内には活気が残っている。
駅の中で雅を待っていたが約束の20時になっても雅は現れない。そういえば駅のどこにいたら良いのかということまでは聞かされていなかったのを思い出す、雅の連絡先を聞いておけばよかったと桃子は後悔した。
幸いこの駅はそれほど広くないので桃子は構内を1周する。しかしそれでも見当たらなかったのでもしかしたら外かもと思い桃子は駅を出ることにした。

外に出た瞬間に音楽が聴こえてきた。桃子は音がする方向に向かうとそこには10〜15人程度の人だかりが出来ていてさらにその奥にマイクを持った雅が楽しそうに歌っている。
雅が歌っていたのは桃子が高校生の時に流行った曲でそういえば先ほど雅と話してた時にこの曲好きでよく聴いてたな〜って言ってた事を思い出した。

が、それ以上に驚いたのは雅の歌唱力だ。何て言えばいいかわからないが透き通っていて綺麗な声、それなのに厚みがあって力強さを感じまるで高級スピーカーで音楽を聴いている感覚だった。
世の中歌が上手い人は沢山いるけどその中でもトップクラスの歌唱力じゃないかと桃子は思った。

雅は流行りのJ-POPや洋楽を何曲か歌ったあとお客さんに向かってありがとうございますと言いお辞儀をして喋り始めた。

457名無し募集中。。。2019/01/03(木) 16:48:15.600

「えっと、久しぶりにここで歌ったんですけど思っていた以上に立ち止まって聴いて下さる方が多くてとてもうれしいです。
・・・次で最後の曲になるんですけど、この曲は私がすごい大好きなアーティストさんの曲でして実はもう引退しちゃったんですけどこれを機会に興味を持った方がいてくれたらとてもうれしいです。・・・それではお聞きください、高橋愛さんで消失点-Vanishing Point-」

雅はそう言うとスマホを触った後お客さんの方に向き直る。その後すぐワイヤレススピーカーから曲が流れだした。
この曲は桃子も知っていて切ない歌詞とメロディーが特徴で歌唱力はもちろんだが表現力も求められる難しそうな曲という印象が残っている。

しかしこの曲を雅は自分のモノにしていた。雅の切なくも力強い歌声が歌詞の内容にピッタリはまっていてすごくいい。
それにこれまで歌った曲の中で一番丁寧に歌っているように思えたし、この曲に対する思い入れがとても伝わってくる。お客さんの中には涙を流しながら聴いている人もいた。

いつのまにかお客さんは3,40人くらいになり、歌い終えたと同時に永久に鳴りやまないんじゃないかって大きさの拍手が雅を包み込む、もちろん桃子も手が痛くなりそうな程大きな拍手を雅に送った。
その後雅の元には「感動しました」「ファンになりました」などの言葉を伝えているお客さんで溢れかえり中にはスーツ姿の男性が雅に現金を渡そうとしていたが「そういうのはお断りしてますので」
と雅が拒否しそれから数分間の押し問答の末結局男性のほうが折れて帰ってしまうという光景もあった。
数分後ようやく人がいなくなったので桃子は雅の方へと近づく。

桃子に気づいた雅は笑顔で手を振りながら「あ、ももー」と言って桃子を出迎えた。

「来てくれたんだね、どうだった?」
「すっ・・・ごい感動したよ!みやの将来の夢って歌手だったんだ!」
「正解!あっ詳しいことは高橋さんの所行ってから話すよ。もうすぐここの利用終了時間きちゃうし急いで移動しないと」

・・・ということらしいので桃子も撤収作業を手伝うことにした。