雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - ハルシオン
182 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/09/23(金) 00:22:19.67 0

意外に思われるけど、普段はわりと、何事にもまじめに取り組む方だと思う。
ただ、なにをやってもダメな日というのはあるもので、しっかり予習してきたはずの振り付けをど忘れしたり、それに動揺して場位置をまちがえたり、その他もろもろ。
とにかく今日のレッスンは、我ながらひどいものだった。
先生にはダメ出しされるし、メンバーからは口々にフォローされて、それがかえって辛かったりして。

こういう日もある。明日は頑張ろう。
自分の部屋に帰ってベッドに横になって、そう自分に言い聞かせて納得しようとするけど、やっぱり胸のざわざわした感じが落ち着かない。
もう、寝ちゃおう。ぐっすり寝て、切り替えよう。
そう思って布団にもぐりこんでみても、頭の芯が覚醒しているみたいで、ぜんぜんねむくならない。
寝なきゃと思うほど眠れなくて、焦って余計に冴えてくる悪循環。
仕方なくスマホに手を伸ばしてみても、特に事態が好転するわけもなくて。
なんとなく起動したアプリで、ももの名前が目に入る。

声、聞きたいな…。
思いついたのは突然だったのに、その思いに気がついてしまったら、自分でもびっくりするほど気持ちにおさまりがつかなくなってしまった。
胸がきゅーっとして、その痛みに動揺する。

もうすぐ0時。
寝てるかな。迷惑だよね。でも。
通話ボタンを押す寸前で、人差し指がためらう。

5秒。
5秒だけ鳴らしてみて、出なかったら諦めよう。

意を決して、少し震える指で通話ボタンに触れる。

1……2……さ

ん、と数え終わらないところでコール音が途切れた。
思ったよりも早い反応に驚いて、思わずそのまま切ってしまいそうになる。
落ち着け、とすばやく深呼吸をする。

183 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/09/23(金) 00:25:51.63 0

「もしもし?みや?」
電話越しに聞こえるももの声は、普段より少しだけ落ち着いたトーンだ。
「どうしたの?電話なんて、めずらしいね」
ももの甘く柔らかい声が直接あたまのなかまで響き渡るような感覚に、くらくらする。
「いきなりごめん。いま大丈夫だった?」
「うん、そろそろ寝ようかなーって思ってたところ。だいじょうぶだよ」
眠たいのか、いつもよりとろんとしたしゃべり方をするもも。
こどもみたい。かわいいな。
「別に用事があったわけじゃないんだけど…ごめん。やっぱいいや」
なんだかもうはずかしくなってしまって、とっさに電話を切りかけると、
「ちょっとみや、まってよー」
ももが、少し慌てたように言う。
「これで切られたら、もも、気になっちゃうよ。用事ないならないでもいいから、ちょっとおしゃべりしよ?」
顔が見えないせいか、いつもよりも優しく響く声。
駄々っ子をあやすような調子なのは少し癪だけど、おしゃべりしようって言ってもらえたのが嬉しくって、顔が熱くなってくる。
「うん。でも、ねむくなったら切っていいよ」
嬉しいけど、申し訳ないけど、でもやっぱり嬉しくて、言葉尻に『だけどすぐに寝たらヤダ』という気持ちを込めてみる。

184 : 名無し募集中。。。@無断転載は禁止2016/09/23(金) 00:28:40.06 0

「だいじょうぶだってばー。もものこと、こどもだと思ってるでしょ」
ももが拗ねたような声を出す。
「ちがったっけ?」
「もう!ひどーい」
なんとかいつもの調子が戻ってきて、ほっと胸をなでおろす。
「ほんとに用事があったわけじゃないんだけど、なんとなく…」
なんとなく、なんだろう?なんて言ったらいいんだろう。
何を言っても自分に不利になりそうな気がして、言葉が続かない。
「なんとなく、ももの声が聞きたくなっちゃった?」
うふふ、とからかうようなももの声。
いつもなら食ってかかるところなんだけど、耳元で聞こえる笑い声がくすぐったくて、一瞬言葉に詰まってしまう。
「……。」
「ちょっと!スルーしないでよ!」
はずかしいじゃん、とももが抗議してくる。
「いや、あきれちゃって」
やばいやばい。普通にしなきゃ。
「失礼だな!」
言葉とはうらはらに、楽しそうに笑うもも。
「なんかさ、こんな風に電話で話すの、めっちゃひさしぶりだね」
「だねー。みやから電話来るなんて思わないから、びっくりして飛び起きたよ」
「あ、やっぱ寝てた?」
ごめん…と言いかけると、
「切るのなしね。もう目が覚めちゃったから、ねむくなるまで責任取って付き合ってよね」
くぎを刺されて、言葉を飲み込む。
「それは責任取れないかも」
「えー!そんなの許されないよ!」
ちょっと寝た分かなり目が覚めちゃってるからね、なんなら子守唄歌ってよ、とかなんとか、ももがごちゃごちゃ言うのを聞いているうち、自然とまぶたが重くなってくる。
「あれ…?マジでねむいかも」
「へ?うそでしょ?」
「いや、なんか、急に、ねむたい…」
「ちょっとちょっと、みやびちゃーん?」
「んー…ももの声、安心する…」
「えっ」
「だめ、ねむーい…」
「もう…ちゃんとお布団かけて寝るんだよ?」
「…うん……」
「みや、おやすみなさい」
「……うん…」
「みや、好きだよ」

最後の方はもう夢うつつで記憶が定かではないんだけど、翌朝必死で思い出した結果、たぶんここまでは現実だったと思う。
もしかしたら最後のもものセリフは夢かもしれないけど。
少なくともこのあと「みやも好き」と言ってしまったのは、夢であってほしいな。

おわり