雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - 変わるもの・変わらないもの 3
870名無し募集中。。。2017/11/28(火) 18:51:02.940

夢の中で眠って意識が覚める。
懐かしい。
あの後、何度も訊いた理由はその度に誤魔化されるかはぐらかされるばかり。
未だにわかっていないそれは思い出すとまた気になり始めた。
もうあれから随分と時間は経った。
懐かしい思い出として今なら教えてくれるだろうか。
そんな事をふと思ってすぐに否定する。
桃子のことだからはぐらかすんだろうななんて。
目が覚めたら隣に桃子がいなくて落胆したあの時。
少しの寂しさをおぼえながら身を起こすと居ないと思った桃子はベットにもたれかかって静かにそこにいた。
入学の案内か何かの資料を読んでいるひどく真剣な横顔。
視線の先にあるその横顔に見入ってしまった。
でもそれは本当に僅かの時間で桃子は見られている事に気づくなりニンマリとした笑顔でからかってきた。
からかわれた事に怒ったフリをして内心では喜んでいた。
起きたとわかった途端ぞんざいに放り投げられた資料。
それに勝ったなんて。
バカみたい。
ふっと小さく漏れた笑い。
あの時みたいに居てくれたらいいのになんて。
そんな事を思いながら薄っすら開いた目に思い返していた光景が写る。
ベッドを背に資料らしき紙の束に目を通す桃子。
短い髪もそこから覗く横顔も服装までも重なる。
僅かに開いたカーテンの隙間から入る強い西日まであの時と酷似していた。
酷く現実離れした光景。
起きた事に気付いていないのか桃子は手元に視線を落としたまま。
身動ぎ一つできずにベットの上からそれを見ていた。
パラリと一際大きく紙をめくる音が聞こえた。
最後の一枚だったのかポンっと投げ出すように横に投げられた紙の束。
グッと一つ伸びをするとおもむろにこちらを向いてニヤーとした桃子。
まるであの時のまま。

871名無し募集中。。。2017/11/28(火) 18:52:13.560

「見惚れてたの?」

ウリウリと肘でつついてくる桃子。
それをペイっと払いのける。

「…何バカな事言ってんの?」
「あんなに熱い視線送ってきてたくせに」

ある意味、図星な桃子の言葉に返すのに一拍遅れてしまう。
それに近くに来てわかった。
重なって見えた桃子の服は似ている服じゃなくて当時の服。
それに気を取られてまたすぐに反応できなかった。
誤魔化すようにわざとらしい溜息を吐く。

「…呆れてただけだし」
「そんな事言って照れてるんでしょ。素直になりなって」
「はぁ?」

どこまでもあの時と同じ。
桃子も覚えているのかそれはいっそ不自然な程で。
それとも偶然なのか。
あの頃と変わらない読めないにやけ顔。
それを見てぐちゃぐちゃとしだしていた頭がピタッと止まり思考を放棄する。
桃子の思考なんて推し量っても無駄。
もはや大学を卒業する頃には当然になっていたのにすっかり忘れていた。

「もう素直に言ってみなって。この大人な魅力に見惚れてましたって」

ほらほらと本当にあの時と同じ調子の桃子。
再会してから寝るまでの間ずっとあったどことなく気まずい空気がそこには無い事に気づく。
自然と少し口元が緩んだ。

「なら言わせてもらうけど大人な魅力なんてないから。それとその服、確か中学生ぐらいの頃から着てるでしょ。それが似合うあたり大人とか」

ふっと鼻で笑うと少し驚いたように目を開く桃子。
でもそれはほんの一瞬で直ぐにまたいつものように少し過剰なわざとらしい反応に戻った。

872名無し募集中。。。2017/11/28(火) 18:53:38.220

「みやと違って物持ちがいいんですぅ」
「貧乏性の間違えでしょ。なんでそんな古いの着てるの?」

些細なでも自分にとっては大切な思い出の一品。
覚えていてくれたらなんてまた小さな期待をしてしまう。

「昨日こっちに戻ってきたばかりだから荷物まだほとんどそのままでさ。何か着替えないか漁ったらこれが出てきて」

そっかぁこれそんなに昔のなんだなんて言いながら懐かしむようにまじまじと服を見る桃子。
覚えてたわけじゃないんだと僅かに落胆した。

「でもよくみやは覚えてたね」
「たまたまだし。それにもも一時その服ばっか着てたじゃん」

落胆したのがバレないように咄嗟にクッションを手に取り軽く顔を隠した。
それなのに御構い無しにそのクッションは奪われ楽しそうに顔を覗き込まれる。

「もうそんなにももの事見てたなんてやっぱりみやったらももの事好きなんだから」

そんなわけないでしょ

即座にそう返すべきなのにそう口を動かしたつもりなのに自分の口からは何の音も出てこない。
その一瞬の間に奪われたクッションを顔に押し付けられた。
それでも桃子が浮かべたしまったというような表情はしっかりと見えていた。
クッションをズラすと何か言おうとしている桃子。
それを見て思い出す。
前もあったなこんなやりとり。
確かあの時もこう返したはず。

「まあまあね」