雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - 綺麗なあの子は居候 4
269名無し募集中。。。2017/10/27(金) 18:37:13.940

「桃ー。こっちこっち。…遅いよ?もう」
「ごめーん、ちょっと先生に聞きたいことあってさ。席取りありがとね」

お昼の学食は、それはもう人でいっぱいだ。
比喩ではなく学生の波をかき分け、私はようやく友達のところにたどり着いた。

「桃は何にしたの?」
「親子丼。佐紀ちゃんは?」
「ランチセットB。ハンバーグおいしそうだったから、今日だけダイエットお休みしちゃった」
「そんなこと言って昨日もアイス食べてたじゃん」
「うるさいな」

とりとめもない話をしながら、昼食を取る。人混みは苦手なんだけど、学食の雰囲気は嫌じゃないんだから不思議なものだ。

270名無し募集中。。。2017/10/27(金) 18:37:41.700

と、先に食べ終わった私に、おもむろに佐紀ちゃんが雑誌を手渡した。

「なにこれ」
「読んでみなよ」

あー。これはもしかしてあれかな。

ややかっこつけた笑顔を浮かべている女性が写った表紙をぱらりとめくると、ギラギラのメイク用品やら、お高そうなバッグやら、彼の心を射止めるオススメコーデやらがずらりと並んでいた。うう、目が痛い…

「…………」
「32ページだよ」

そっと雑誌を閉じようとした私に、親切にもヒントを出してくれる。
はいはい。読めってことね。

どうせあの子だろうな、と思いながら言われたページを開くと、やはりそこには現在我が家に君臨されている某お姫様がでかでかと載っていた。

「先月号は表紙だったんだけどね。でもまぁ、今月は特集記事が充実してるからまだ許せるっていうか」
「ねぇ佐紀ちゃん」
「どうしたの?…あ」
「この人のどこがいいの?」
やや雑に誌面を閉じ、机に置く。閉じる時一瞬雑誌の中のみやと目が合ったけど、やっぱりいいとは思えない。

「この人って。なっちゃんのこと?」

いやなっちゃんて。ジュースじゃないんだからさ、とは突っ込めなかった。

「だってかっこいいじゃん。確かに出始めの頃はそんなに人気なかったけどさ。でも、なんていうの?売れそうな感じを狙ってなくて、自分の考えちゃんと持ってるっていうか、自分のやりたいようにやってて。年下だけど、尊敬出来る人だと思う」
そう語る佐紀ちゃんの目はキラキラしていて。

私は佐紀ちゃんよりはみやと過ごす時間は長いけど、でもみやと全然向き合ってなかったのかもなーって、その時初めて気付いた。
私がお仕事のみやに興味を持てなかったのは、趣味や生きてきた環境があまりに違うからだと思っていた。もちろんそれもあるけど、でも、それだけじゃないのかもしれない。


……きっと本当は。本当は、現実と向き合わされるのが怖かった。“夏焼雅”がどこまでも遠い存在だって、痛いほど思い知らされるのが辛いんだ。

私の知ってる“みや”は、ちょっと頭が足りてなくて、意外と素直で、お風呂上がりに一番に化粧水を塗って、私よりは料理が出来て。
私の知ってる“みや”が、私の知らない“夏焼雅”の表情や仕草を見せるのが寂しくて。それと。━━━━━ほんの少しだけ、嬉しかった。

嬉しい?なんでだろう。
それもただ純粋に嬉しいというわけでもなさそうで。この感情はなんなんだろう。初めての気持ちに、戸惑いが起きる。


「桃?大丈夫?」
「うん…佐紀ちゃん、人間って複雑なんだね」
「え?何の話?」
「ちょっとね」
「ねぇちょっと、ほんとに大丈夫?」

いつの間にかハンバーグを食べ終えていた佐紀ちゃんが心配そうにこちらを見ている。



この感情の名前が分かるのは、まだもう少し先らしかった。

メモ
・キャプはデビュー当時からの古参みやびちゃんファン
・このあと正式に同棲の許可が降りました
・ミスでここの文章全て消えたので打ち直したらなんか話の中身が変わってしまった感