雅ちゃんがももちの胸を触るセクハラ - obscure 6
469名無し募集中。。。2018/12/19(水) 00:48:14.480

みやの背中が遠ざかる
辺り一面真っ白な世界
みやは1度も振り返らなかった

行かないで

そう叫ぼうとしても、声が出ない
私はその背中を追いかけようとするけど、足は鉛のように重たくて動かせない

お願い、置いてかないで−−−


「...みやっ...!」

目を開けると、ぼんやりとした視界に天井が映った
見慣れた、自分の部屋の天井
隣を見ると、スヤスヤと眠るみやの背中があった

夢を見ていた
そう、あれは夢
だけど、正夢になる気がする
そんな未来が、遠くない気がする

行為の後、みやは何も言わなかった
けれど、その表情はなにかを諦めているように見えた
この関係の、終わりが近付いている

呼吸に合わせてゆるやかに上下する背中を見て、愛しいと思う
そっと体を寄せて、そのまま後ろから抱きしめた
伝わってくるみやの温もりも、愛しいと思う
けれど何もかも、手遅れ

今日が最後の夜でもいいから
だから今夜だけは
こうして抱きしめたまま、眠らせて

470名無し募集中。。。2018/12/19(水) 00:50:40.480

翌朝目が覚めると、隣にみやの姿はなかった
あー、いなくなっちゃった
目を擦る
やっぱり、みやはいない

「起きんの遅すぎ」

唐突に聞こえた声に、体がビクリと跳ねる
横になったまま目線を足元に移すと、ドレッサーと向き合うみやの姿があった

「そんなびっくりする?」
「いや、帰ったのかと思ったから」
「メイクもうすぐ終わるから。そしたら帰る」

体を起こして、ベッドの上に座ったまま伸びをする
すると、みやが振り返った
その瞳は真剣で、ドキリとする

「...あのさ、ここ、どう思う?」

みやは手に持った雑誌を、私に見せてくる
よく見ると、そこには教会の写真が載っていた
ギュッと心臓を握り潰されるような感覚に耐えるように、歯を食いしばる

「都内なんだけどさ。ここのチャペルのステンドグラスが、一目見た瞬間にビビッと来たの。...素敵じゃない?」

みやが指し示す写真には、ほぼパープル一色の濃淡だけで模様が描かれたステンドグラスがアップで写されている
私のイメージでは、チャペルのステンドグラスはもっと多彩なイメージだったから、意外だった
だからこそ、みやの目を引いたんだろうけど

「...うん、いい」

なんとか言葉を返すと、みやはほっとしたように雑誌を閉じた
そのまま鏡に向き直ると、メイク道具を片付けながら口を開く

「明後日の昼間にさ、彼と見に行くんだ」
「そうなんだ」
「写真たっくさん撮るつもりだから、ももにも送るね」
「なにそれ、いらないよ」
「... いつかのもものために、参考になるかもしれないでしょ」
「...そりゃ、どーも」

そんなのいらない
送ってくれなくていい
そんな風に突っぱねることができたら、どれだけ楽だろう

472名無し募集中。。。2018/12/19(水) 00:55:17.300

「じゃあ、帰るね」

みやが、ドレッサーの前から立ち上がる
メイクポーチを鞄に仕舞って、上着を羽織った
私がその様子を見つめていると、一旦鞄を置いて近付いてくる

みやはくしゃって笑って、私の頭をわしゃわしゃと撫でた
みやのここまでの笑顔を見たのは、いつぶりだっけ
多分、この曖昧な関係が始まる前に見たのが最後

その笑顔が大好きだったのを思い出す
無邪気でかわいい、みやの笑顔
なのに今は、ただただ胸が苦しい
誤魔化すように、私もなるたけの笑顔を作った

「ばいばい、もも」
「うん」

くるりと向きを変えたみやが、鞄を手に持った
そのまま部屋のドアを開ける
みやは1度も振り返らなかった


ばいばいなんて、今まで言ったことなかったくせに
込み上げてくるものを止めようとして必死で目を閉じたけど、間に合わなかった
堪えきれない涙が、嗚咽と共に溢れる


呆気なく、みやとの関係は終わりを告げた