普段、独りで過ごしていることが多いアナスタシア。
だが、困難が起きても乗り越えられるように
周囲の仲間やプロデューサーは見守っていた。
それに気づいたアナスタシアは、笑顔を浮かべる。
たとえ独りでも、自分は孤独ではない、と。
だが、困難が起きても乗り越えられるように
周囲の仲間やプロデューサーは見守っていた。
それに気づいたアナスタシアは、笑顔を浮かべる。
たとえ独りでも、自分は孤独ではない、と。
女子寮 | |
---|---|
アナスタシア | ………………。 |
蘭子 | あ、アーニャちゃん。 |
アナスタシア | ランコ。こんばんは、ですね。 |
蘭子 | う、うん。こんばんは。 アーニャちゃん、どうしたの? どこか、見ていたみたいだけど……。 |
アナスタシア | アー。……ズヴェズダ。 |
蘭子 | ??? |
アナスタシア | 星が、見えないかなと思って、眺めていましたね。 |
蘭子 | そう……今日は、曇っているから……。 |
アナスタシア | ダー。見えませんね。 ……そういえば、今日のランコは、熊本弁、お休みですか? |
蘭子 | なっ……そ、それは、その……。 |
アナスタシア | ふふっ。わかっていますよ。 アーニャでもわかりやすいように、 心の言葉で、話してくれたんですよね。 |
蘭子 | う、うん……。 |
アナスタシア | 優しいですね、ランコ。 |
蘭子 | そっ、そのようなことは、まぁ、その……。 |
あっ、お、お、お風呂! | |
アナスタシア | オフロ? |
蘭子 | 寮のお風呂、誰もいなかったから…… 入るなら、今がチャンスだと……思うの。 |
アナスタシア | アー、わかりました。 ……ンー……誰か、くるかな? |
蘭子 | そっか…… アーニャちゃんは、いつも誰かと入っているから。 ひとりだと、入らない? |
アナスタシア | そんなことは、ありませんよ。 でも、ひとりだと、ちょっと広すぎますね。 |
蘭子 | そうだね……。 今日は、みんな遅くまでお仕事なのかな。 |
アナスタシア | そういえば、あまり、人を見かけませんね。 |
蘭子 | あの……アーニャちゃん、さびしい? |
アナスタシア | ンー? |
蘭子 | その、アーニャちゃん、ひとりでいることが多いと思って…… 今日は、みくちゃんとかもいないし、それで、その…… だから、さびしくなったりしないのかなって思って、えぇと……。 |
アナスタシア | ンー……そんなことは……。 |
蘭子 | ……? |
アナスタシア | 心配してくれて、ありがとう。ランコ。 大丈夫ですよ。 |
蘭子 | う、うん。……じゃあ私、もう寝るね。 アーニャちゃん、また、明日。 |
アナスタシア | ダー。ヤミノマー、ですね。ふふっ。 |
蘭子 | や、やみのまー……。 |
アナスタシア | ………………。 |
……アーニャはひとり。 さびしい……さびしい? | |
アディノキィ……? | |
パパ……ママ……。 元気に、しているかな……? | |
……星は、遠い……ですね。 | |
控え室 | |
スタッフ | 本番、巻いてまーす。 みなさん、そろそろ準備のほう、お願いしまーす。 |
美波 | アーニャちゃん、今日はソロのステージ、頑張ってね! |
アナスタシア | ダー……。 |
瑞樹 | 私たちも、後ろで応援してるわよ。 |
蘭子 | ともに手を携えて、白銀の妖精に魔力を分け与えよう! (協力して、アーニャちゃんを応援するね!) |
アナスタシア | ソロのステージ……ひとりだけ、ですね。 |
美波 | ……ん? アーニャちゃん、どうかした? |
アナスタシア | ミナミ、ハグしてください。 |
美波 | えぇっ!? あ、ちょっと、アーニャちゃん!? |
瑞樹 | ちょっとちょっと、どうしたの突然〜! |
アナスタシア | ……昨日、すこしさびしい気持ちになりました。 ずっと、考えていました。 ひとりで、アイドルをすること。 |
美波 | う、うん。それで……? |
アナスタシア | ソロのステージも、ひとりですね。 だから……ひとりじゃないと、思いたいです。 |
蘭子 | (それは……私が……。) |
美波 | そう……だからって、その、もう収録が始まるのに、そんな……。 |
アナスタシア | ダメ、ですか? |
美波 | その、ダメじゃないけど……。 |
アナスタシア | ……イズヴィニーチェ。 困らせてしまって、すみません。 |
美波 | アーニャちゃん……。 |
瑞樹 | ほらほら!本番前にしんみりしないの! メイクも着替えもあるんだから! ちゃっちゃと動く! |
アナスタシア | ダー……。 |
瑞樹 | ほーら、美波ちゃんも! 今回はバックメンバーだとしても、私たちも支度しなきゃ! 行くわよ! |
美波 | は、はいっ!すみません……。 アーニャちゃん、大丈夫だよ。頑張って! |
蘭子 | アーニャちゃん……。 ごめんなさい、私……。 |
アナスタシア | あっ、ランコ、大丈夫ですよ。 ランコのせいでは、ありませんね。 |
蘭子 | そう……か? では……後の舞台でまみえよう! (じゃあ、またあとで!) |
アナスタシア | ………………。 |
touch:ルカパジャーチィ | |
アナスタシア | プロデューサー……。 ルカパジャーチィ……スパシーバ。 ありがとう、です。 |
……ミナミだけでは、ありませんでしたね。 ダー。もう、大丈夫ですよ。 | |
さぁ、行きましょう! | |
LIVEへ 『Alone, But Not Lonely』 楽曲:You're stars shine on me | |
収録後 | |
ディレクター | あーお疲れちゃーん。 アナスタシアちゃんだっけ? よかったよー。 |
アナスタシア | アー、スパシーバ……ありがとう、ございます。 |
ディレクター | ロシア人なんだっけ? 美人さんだねー。 でももっと片言で面白い感じにしてよー。 |
アナスタシア | えぇと……。 |
ディレクター | 視聴者はさー、わかりやすくて面白いのを求めてるんだよー。 わかるー? |
アナスタシア | ンー……。 |
美波 | なっ……なんて失礼な人!私、抗議してきます! |
瑞樹 | 待って、美波ちゃん。 |
美波 | どうして! |
瑞樹 | ほら、落ち着いて、ね。 |
美波 | だって、アーニャちゃんが困ってるんですよ! 困らせてる人がいるんですよ! |
瑞樹 | それは、わかるわ。 けど、それを解決するのは、あなたじゃないんじゃないかしら? |
美波 | それは……! |
瑞樹 | アーニャちゃんを大切に思うのなら、耐えなくちゃ。 やさしくするのと甘やかすのは、違うと思うの。 |
美波 | ……そう、ですけど。 |
瑞樹 | ほら。 プロデューサー君だって、耐えているんだから。 |
美波 | …………は、はい。 |
ディレクター | ……ってことでさー、可愛いんだからさー、 もーちょっとギョーカイのこと、勉強してよー。 なんだったらオジサンが教えて……。 |
アナスタシア | ………………。 |
ディレクター | ちょっと、聞いてるかーい? |
アナスタシア | かわいいと言ってくれて、うれしいです。 業界のことは、これから、勉強しますね。 プロデューサーや、仲間が教えてくれます。 |
それに、私がどういうアイドルになるかは、 プロデューサーと決めるもの、です。 アドバイスは、あー……聞いておきます。 | |
では、次回はもっと頑張りますから、 よろしくお願いしますね? | |
ディレクター | お、おう……。 |
アナスタシア | では、失礼します。 |
お待たせしました、プロデューサー。 行きましょう♪ | |
ディレクターに挨拶をして立ち去った | |
控え室 | |
アナスタシア | ふぅーーーーー。 |
touch:お疲れ様でした | |
アナスタシア | 緊張、しました……。 |
よくやったと伝えた | |
アナスタシア | はぁ……すこし、ドキドキしました。 でも、負けたくないと思って、頑張りましたね。 失礼では、ありませんでしたか? |
美波 | そんなことなかったよ! アーニャちゃん、しっかりしてて、すごかったから! |
アナスタシア | ミナミ! ミナミも見ていましたか? |
美波 | うん……。 けど、私なんていらなかったね。 アーニャちゃんは、ちゃんと自分の言葉を持ってて……。 |
アナスタシア | ンー? |
美波 | ううん、なんでもない。さぁ、撤収しようか! ココのスタジオ、控え室が共同だから、 ほかの出演者さんたちの邪魔しちゃいけないし。 |
アナスタシア | ダー。そうですね。 ランコたちは、もう行きましたか? |
美波 | えぇ。だから、急ぎましょ。 今日は本当にお疲れさまね。 |
アナスタシア | スパシーバ、ミナミ! |
女子寮 | |
蘭子 | フッ……闇の帳は落ちた……か。 (もう夜だなぁ〜。) |
アナスタシア | あー……もう、すっかり、暗くなった……ということ、ですか? |
蘭子 | う、うん……そう。 |
アナスタシア | 今日は、ランコもお仕事してくれて、うれしかったです。 スパシーバ。 |
蘭子 | ううん。 アーニャちゃんも、すごかったから……。 |
アナスタシア | ふふっ。 |
奏 | ……こんばんは。 アーニャ、いるかしら? |
蘭子 | 双翼の導き手、奏よ! 闇の門が閉じる時を告げに来たのか? (奏さん!就寝時間を教えに来たの?) |
奏 | こんばんは。 蘭子ちゃん。残念ながら、その逆よ。 |
アナスタシア | アー、カナデ。 どうしましたか? |
奏 | アーニャ、今から、ちょっといいかしら? |
アナスタシア | ンー? |
奏 | 見たいものが見えるところまで、ね。 |
蘭子 | や、闇の眷属にとって夜は己のフィールドだが…… 外出は、保護者《ガーディアン》がいないと……。 |
奏 | まぁまぁ、いいから。 オトナに近づけるわよ。 |
蘭子 | オ、オトナに……ゴクリ……。 |
アナスタシア | ンー……。 |
奏 | さて……ついたわ。 |
アナスタシア | わぁ……星を見に、連れてきてくれましたか? |
奏 | えぇ。でも、それだけじゃないわよ。 |
美波 | アーニャちゃん。こっちだよ。 |
アナスタシア | ミナミ! |
奏 | フフ。 あなたのパートナーが、 いろいろと気にしていたようだったから、ね。 |
美波 | 奏さん、ありがとう。 ……今日、流星群が見えるって、教えてもらったから、 アーニャちゃんと、一緒に見たいなって。 |
アナスタシア | おー、ミチオール!楽しみですね! ……でも、夜、遅いですね? 大丈夫ですか? |
瑞樹 | 保護者ならいるわよ〜。 ね、プロデューサー君。 |
うなずいた | |
蘭子 | おお……夜の守護者《ガーディアン》が、二人も……。 |
アナスタシア | ……みんな、優しいですね。 とっても、とっても。私、アイドルになってから、ずっと、ひとりでした。 ひとりだと、思ってましたね。でも、違いました。 |
こんな夜でも、アーニャは、寒くありません。 みんなの優しさで、こころが、暖かいです。 | |
さびしくても、アイドルのアーニャは、ひとりじゃない。 ……だから、流れ星に、祈りますね。 これからも、ずっとずっと、アイドルでいられるように……。 |