Mythology of Kenka - えな

えな


四囲を険しくそびえ立つ岩の塔に囲まれた荒涼の渓谷。
この無法地帯に住まう彼ら乱気流の民の形態はおよそ謎に包まれている。
だが、その中にも取り分け不可解な様相を湛えた異形の者が現れた。えなである。
多量のいびつな鉄塊を力任せに押し潰して作られたかのような、この一塊の肉は重々しい動きで日の落ちた後、暗闇の乱気流の荒野を這いずり回っている。
中心に開いている穴は、乱気流の渓谷に迷い込んだ旅人を穴の横に生えた両腕でそれを引きずり込み食らう為の口腔だ。
喧嘩師が何らかの突然的な変異を経たのか、はたまた全く新たな未知の生命体が人知れず生まれていたのか、ともかく、突如として、この異形の生命体は喧嘩界に降り立った。
一説には、人為的に開発された生物兵器であるとの噂もあるが……。