汎用TRPG「ガープス(GURUPS)」について、だべったりつづったりする所。 魔法関連ルールの編集者募集中!


ベーシックセット』第18章「マスタリング」より。

シナリオを自作する(Writing Your Own Adventures) B474P/2B154P

 どんなGMもいつかは自分でシナリオを作りたくなります――少なくとも市販のシナリオを、自分たちのパーティに合わせて修正したくなるでしょう。がんばってください! 自分で作り上げた冒険は、簡単な“ダンジョン”1つを舞台としたものから、何年もの時間をかけて詳細に設定した全世界についてのものまでさまざまです。

どこでアイデアを見つけるか(Where Do You Get Your Ideas?) B474P/2B154P

[[どこでアイデアを見つけるか>シナリオを自作する#Where_Do_You_Get_Your_Ideas]]
 これについては、小説、映画、漫画、市販のサプリメント、他のGM、プレイヤーの意見などを参考にしてください。何を参考にしたとしても、GMは新しい“ひねり”を付け加えてプレイヤー(そしてGM自身)を楽しませたくなるでしょう。
 プレイヤーに意見を求めるGMというのもいます。どんな冒険がしたいのか、プレイヤーに尋ねるのです。もしプレイヤーたちが宝探しを望んでいれば、そのGMは宝探しのシナリオを準備します。一方、冒険を “先の見えない運命” と同じように考えるGMもいます。プレイヤーたちは次に何が起こるのか、まったく予想がつかないのです。どちらを選ぶかは、完全に好みの問題です。


冒険のデザイン(Adventure Design) B474P/2B154P

[[冒険のデザイン>シナリオを自作する#Adventure_Design]]
 冒険をデザインするときには、まずストーリーの概要を書かなければなりません。完全なストーリーはキャラクターたちが場面に登場するところから始まります。また、舞台を準備するために、プロットや地図、キャラクターの設定、それにこれらを含む“遭遇”などを決めなければなりません。

冒険の難易度(Level of Difficulty) B474P/2B154P
[[冒険の難易度>シナリオを自作する#Level_of_Difficulty]]
 最初に決めなければならないのは、その冒険が「どの程度難しい」のかということです。その冒険は作成したてのキャラクター4人のためのものですか?それとも経験を積んだ冒険者6人のためのものですか?
 報酬は危険にみあったものでなければなりません。たとえばファンタジー世界の場合、ハーフリング2人と年老いたゴブリン1人を殺しただけで、宝箱にいっぱいの金貨を持ち帰ってくるようなシナリオはいけません(PCにそうさせたうえで、徴税人が取り立てにやってくる......という話ならおもしろいでしょう)。ゲームにおける実質的な報酬は、ボーナスCPということになります(472ページ)。これはよい演技に対する報酬であり、財宝をどれだけ持ち帰ったかは関係ありません。
 しかし物質的な報酬にも使い道はあります。を買う余裕のない戦士にきけばわかります!
 お金(権力、名声)などがあまり簡単に手に入るようではいけません。バランスを崩さないよう注意してください。


冒険の継続性(Continuity) B474P/2B154P
[[冒険の継続性>シナリオを自作する#Continuity]]
 そのシナリオはキャンペーンの途中で(あるいは幕開けとして)遊ばれるシナリオなのか、“単独の”シナリオなのかを決めなければなりません。
 キャンペーンの場合、それぞれの冒険は過去のものと自然に繋がっていなければなりません。そして将来の冒険に続く余地も必要です。また、PCたちもを考慮に入れなければなりません。もし彼らが有名であれば――悪名であっても――特定のNPCは彼らを認識するでしょう。冒険者たちはNPCを何人か知っているべきです。そしておそらくは冒険の場所も。最も重要なことは、そのシナリオの冒険によってPCたちをプレイ続行不可能にすべきではないことです――たとえプレイヤーが何をしても。なぜなら、キャンペーンの醍醐味は、同じキャラクターを演じ続けることにあるからです!
 しかし単独の冒険であれば、継続性について心配する必要はありません。将来のプレイバランスも、プレイヤーの生死も問題ではありません。・神性への超越・その他極端な結末を、キャンペーンを破壊するといった危険を侵さずに試すことができます。


背景(Background) B475P/2B155P
[[背景>シナリオを自作する#Background]]
 これは物語の設定ということになります。どんなゲーム世界でおこった事件で、いつどんな場所が舞台なのでしょうか?物語の始まりを告げるイベントはどうなっているのでしょうか?
 重要なNPCは誰で、その動機は何でしょうか?
 舞台の裏ではどんな事件が進行しているのでしょうか? そして最終的には何が起こるのでしょうか? もしそのシナリオが、キャンペーンの一部として行なわれるときには、これらの多くが設定されているはずです。単独のシナリオのときには、背景はざっと決めておくだけでいいでしょう。しかし、キャンペーン初回のシナリオの際には、背景についていろいろと考えておかなければなりません。


プロット(Plot) B475P/2B155P
[[プロット>シナリオを自作する#Plot]]
 “プロット(筋書き)”というのは、「冒険はおおむねこのように進むだろう」という事前の予測です。単純な冒険なら「この遭遇が終わると、次はこの遭遇へ誘導する......」といった程度のものでかまわないでしょう。PCが新しい場所に到着すると、1つの遭遇が発生します。それが遊ばれると、次の場所へ移動することになります。
 もうすこし洗練された冒険になると、GMはある時に発生する決まった事件というものを設定します。これにはPCの行動は関係ありません。たとえば、殺人事件を解決しなければならないとします。事件後すぐに発見することができなければ、消えてしまう手がかりというものがあります逆に、殺人の直後ではなく、しばらくたってから現場に現れる手がかりというのも考えられます。PCが捜査を続けるあいだにも、殺人は連続して発生するかもしれません(真犯人を捜すことが、PCの潔白を示す証拠になります)。同様にPCの意志とは関係なく、重要なNPCが登場したり去ったりすることもあります。“舞台裏”で何がおこるかについて、制限するものはなにもありません。選挙、戦争、宇宙人の侵略......どんな事件でも、新しい挑戦の第一歩になるでしょう。
 この種のプロットは作成するのが難しく、ゲーム中にかかるGMの負担も大きくなります。しかし、単純な一本道のシナリオにはない危機感をプレイヤーに与えます。


導入(Introduction) B475P/2B155P
[[導入>シナリオを自作する#Introduction]]
 「導入」の目的は、プレイヤーたちをプロットへと引きつけてゲームを始めることにあります。プレイヤーがそのゲーム世界に慣れていない場合、GMはいくつかアドバイスをする必要があるでしょう。プレイヤー全員がゲーム世界についてよく知っている(あるいは、連続したキャンペーンの途中のシナリオ)ときには、場面を設定してちょっと説明するだけでゲームを始めることができます。事件の背景については、すべてを教えてはいけません。よく考えられたシナリオの場合、「裏で何が進行しているのか」をつきとめることがゲームの目的になっていることもあります。秘密をはじめから明らかにするのは論外です。
 もっとも使い古された(しかし、いまでも最高の部類に入る)導入は、“酒場の老人”というものです。「君たちは冒険を探して隣の街へと流れてきた。酒場で旅の疲れをとっていると、奥のほうに座っている老人から声をかけられた......」という場面から始まります。老人はPCたちに助けを求めたり、街を出ていくよう勧めたり、地図を売りつけようとしたり、富と名声が得られる場所に案内しようとしたりするのです。なんだってかまいません。この老人がなにをしたとしても、それはGMのかわりに背景を説明し、プレイヤーたちを正しい方向へと導く“案内役”になるわけです。
このほかに最初の遭遇として適切な“案内役”は......

●作戦について、軍人、スパイ、超人らと打ち合わせる将校。
●重傷を負って、最後に謎めいた言葉を残して死んでしまう見知らぬ男。
●奇妙なうわさやニュース(この場合、案内役はPCが詳しい情報を得るために接触した人物――レポーター、科学者など――になります)。あるいはPC自身が奇妙な事件の目撃者となります。
●おもしろいうわさを教えてくれる語りべ(ヘラルド)、お触れ役、街のよっぱらい、など。
●危険な任務を遂行できる人物を探している大金持ち。
●自分がついに手に入れることができなかった宝について語る、引退した冒険者。
●なにかの使命を与えるために(極めて)信心深い人間の前に現れた天使/神――おそらく夢のお告げとして。
●脅迫、身代金の要求、自慢話などのメッセージを伝えに来た敵の雇用人。
●救助を求めてくるPCの友人――あるいは全くの他人でもいいでしょう。
●「相続権を得るためには、危険な旅にでなければならない」と書かれた遺言状を読みあげる弁護士。

 NPCの案内役は、パーティに地図や合言葉、その他冒険を始めるのに必要なものを与えるだけで、最初の遭遇を終わらせてもかまいません。


コラム:ダンジョン(Dungeons) B475/2B155P
[[ダンジョン>シナリオを自作する#Dungeons]]
 簡単なファンタジー世界の冒険には「ダンジョン」という用語がよく使われます。典型的なダンジョンというのは、部屋から部屋へとPCが歩き回り、モンスターを殺して宝物をつかみ取るというものです。部屋の内容については、理由も必然性もありません子供向けのファンタジーゲームでは、すべての遭遇がランダムに決められます!
 しかし、ダンジョンというのは冒険を始めたばかりのころにはいい設定です。ダンジョン・シナリオはゲームの基本的な構造をてばやく教えてくれます。そして、地下迷宮はかならずしも“子供だまし”だけではありません――リアルな背景の1つでもあります。
 構造物、戦艦、宇宙ステーションなど、いろいろなものが「ダンジョン」になりえます。プレイヤーたちが狭い空間に押し込められ、手につかめるものだけつかんで生きて出口にたどりつくこと以外にほとんど(あるいはまったく)目的がなかったとすれば、そこは「ダンジョン」です。
 ダンジョン地図を書くのが簡単です。区画が限定されているからです。もしプレイヤーたちが遠くに行こうとしても、大きな壁が立ちふさがって戻るしかないのです。典型的なダンジョンというのは部屋の集合で、通路や縄梯子、トンネルでつながっています。

●ダンジョンの住人とプロット(Dungeon Inhabitants and Plot)
 GMダンジョン(建造物、その他なんでも)に適切な住民(人間、動物、モンスター)を住まわせなければなりません。もしも「ハック・アンド・スラッシュ」型のダンジョンを造りたいのなら、ダンジョンの住民がそこで何をしているのか、何を食べているのか、なぜパーティを攻撃するのか、などを考える必要はありません。部屋に配置するだけでいいのです。
 このように「ハック・アンド・スラッシュ」型シナリオのプロットは非常に単純です。「蛮人ジョーは友達の蛮人エドと蛮人マージと一緒に洞窟に出かけました。そこには多くのモンスターがいましたが、彼らはそれをことごとく退治して宝物を手に入れました。ドラゴンがエドを食べましたが、ジョーとマージは逃げてしまいました。おわり」
 この後、実際に意味のある状況を作りたいと思い出したら、あなたは真の“冒険”をデザインするレベルに到達したのです。おめでとう、この先を読んでください......。


地図(Maps) B476P/2B156P
[[地図>シナリオを自作する#Maps]]
 「地図」(464ページ)で述べたように、地図が何枚か必要になります。「重要だ」と思う区画ごとに1枚の地図が必要になるでしょう。戦闘が発生しそうな場所については、事前に戦闘マップを準備しておくべきです。
 経験を積んだGMであれば、地図を“再利用”することで手間を省くことができます。“ふつうの家”というのはどこも似たような作りです。“ふつうの酒場”もそうでしょう。もちろんいつも同じ地図を使っていれば、プレイヤーに「ああ、ふつうの酒場にいるわけですね」とからかわれることになるのですが......。
 市販されている戦闘マップ(SJG社をはじめ、多くの会社から発売されています)を使うのも、時間の節約になるでしょう。面白い地図からは、しばしば適切な遭遇を導くことができます。それはシナリオを作成する手助けにもなるでしょう!


NPC(NPCs) B476P/2B156P
[[NPC>シナリオを自作する#NPCs]]
 ノン・プレイヤー・キャラクター――GMサブマスターが管理するキャラクターは冒険に欠くことができない存在です。重要なNPC2〜3人の周辺だけでおこる事件をシナリオにしてもかまいません。PCたちがそのNPCたちに巻き込まれることでシナリオが始まるのです。
 もっとも重要なNPCは、はじめに設定したほうがいいでしょう。それから遭遇と冒険に関する詳細を設定するのです。NPCの能力、性格、動機、背景などは、物語の流れに大きな影をおとします。それをヒントにして、遭遇や重要度の低いNPCを設定することができます。重要なNPCはPCと同じキャラクター作成のルールを用いて作成します。キャラクター・シートには完全に記入し、そのNPCを演技できるように、生い立ちや設定なども記入してください。
 あまり重要でないNPC――下っ端、やられ役、店の主人など――については、遭遇を考えてから設定してもかまいません。PCと同じようなキャラクター・シートを使用する必要はありません――重要な数値だけでよいのです。端役にいたっては事前に準備する必要もないでしょう――そういうキャラクターの技能レベルを決めるときには、サイコロを3個ふってその数値を使うのです。
 即席の、あるいはランダムな遭遇で「一般的なキャラクター」が必要になることもあります。これは、たとえば「ファンタジー都市冒険セット」のなかに、衛兵、店員、盗賊、吟遊詩人、酔っぱらいなどのデータを用意しておいて、必要であればそれを使います。必要でなかったときには、次に回せばよいのです。こうした衛兵は、酒場と同じように何度でも再利用できます!


遭遇(Encounters) B476P/2B156P
[[遭遇>シナリオを自作する#Encounters]]

 「遭遇(Encounters)」というのは、PCがNPCや動物など「GMがシナリオに設定している事件」にぶつかることです。遭遇には3つの種類――「計画的な遭遇」「即席の遭遇」「ランダムな遭遇」があります。しかし、これはGMにとっての区別であり、プレイヤーにとってその遭遇がどの種類のものであるかを知る方法はありません。

●計画的な遭遇(Planned Encounters)
 これは予めGMが準備しておきます。PCが、いつ遭遇がおこる場所にやってきて、誰に(どんな動物に/どんなに)出会うのか――冒険の中で重要な役割を果たす遭遇は、すべて事前に計画をたてておくべきです。
 もちろん遭遇がなにもかも計画通りにいくことはめったにありません。GMはつねにプレイヤーの行動にあわせる準備もしておくべきです。たとえば、GMが“ブルー・ボア”という用心棒との遭遇を計画していたとしましょうけれど、PCは一向にその場所に近づこうとしません。その場合、PCをその場所に移動させるため、なんらかのヒントを与えます――すこしやりかたを変えて、PCがふだん宿泊している宿屋の主人に“ブルー・ボア”のせりふを言わせるのもいいでしょう。より柔軟な対応ができれば、PCたちが“操られている”と感じることも少なくなります。印象というのはリアリティより重要なのです!

●即席の遭遇(Improvised Encounters)
 これは、物語があらかじめ予定していた枠をはずれないように、GMが「その場で」考える遭遇です。もっとも単純な「即席の遭遇」というのは、1人の老人(酒場で見たことのある老人です)が道の前に現れて、「引き返せ!汝らは道を誤っておる!」と告げる........といったものです。PCは即席の遭遇によって、正しい道に至るための手がかりやヒントなどを得ます。
 即席の遭遇は、プレイヤーたちがふつう考えないような行動をとったときにも使います。たとえばPCたちが、旅行中に山賊に襲われた公爵と出会ったとします。ヒーローたちは山賊を追い払って公爵を救います。公爵は家宝を見つけてくれたら報酬を払うと申し出ます。プレイヤーはそれを受理しました。しかし山賊も宝を狙っていたのだと考えて、手がかりを得るために彼らを狩り出そうと決心しました。あなたは単に公爵を関係づける手段として山賊を登場させただけなので、「山賊は見つからなかった。どうやらおそれをなして逃げたらしい」と言うこともできます。あるいはパーティに山賊を発見させて、無意味な戦闘で打ち負かさせてもかまいません。しかし、遭遇を即席で考えたほうが、より面白くなるでしょう。
 もしヒーローたちが巧みに山賊を追跡して制圧し、尋問したときには、手がかりでそれに報いてもかまいません。つまり、山賊のうちの1人が、公爵の家に代々伝わるクロークの留め金を引っ張って宝石をとろうとしたとき、それが開いて古い地図の破片が明らかになるのです!

●ランダムな遭遇(Random Encounters)
 GM遭遇をランダムに作成することもできます。「ランダム遭遇表」――サイコロの目に応じた遭遇の一覧です――を用いるのは、こうしたやりかたの1つです。「遭遇表の例」(477ページ)を参照してください。これは最も単純な例です。シナリオのなかには、イベント満載のランダム遭遇表だけでできたものもあります。これを使えば、たとえ事前に準備をしていなくても、何時間も楽しむことができます。この種のシナリオを使うのは時間の節約にはなりますが、本当の意味での冒険にはなりません。
 また、サイコロを振って、登場するNPCの数値を決定する方法もあります。
 ランダムな遭遇に大事な場面を頼るのでなければ、そのバラエティの豊富さによって、GMはささいな遭遇を考える手間から解放されます。しかしその場合でも、プレイヤーたちにランダムな遭遇であることを知られてはいけません。もしその遭遇が「プロットにないもの」だとわかってしまったら、プレイヤーはいつもと違った対応をするかもしれないからです。


コラム:遭遇表の例(Sample Encounter Table) B477P/2B157P
[[遭遇表の例>シナリオを自作する#Sample_Encounter_Table]]
 この表は文明レベルが低い背景世界における、ささいな遭遇のための表です。1時間旅行するごとに1Dしてください。

1:農夫の集団(2D人)
2:隠者1人
3:特に重要でない物乞い1人
4:馬、荷馬車、1〜3人の護衛を連れた商人
5:馬に乗った旅人1人
6:特になし


結末(Finale) B477P/2B157P
[[結末>シナリオを自作する#Finale]]
 これは冒険のクライマックスです。ほとんどの冒険は1つの結末に収束するでしょう(途中でパーティが全滅しなければ、の話ですが)。GMはできるだけプレイヤーたちには悟られないように、この“大団円”に導いて冒険の決着をつけなければなりません。
 プレイヤーのそれまでの行動によって、結末には若干の変化があります。しかし、話の本質が変わることはないでしょう。プレイヤーの選択が“間違っていた”ときには、結末にいたるまでに長く苦しい道を進まなければならないでしょう。しかし最終的には“必ず”よい結末に導いてください。例外は、PCが “とても愚かに” ふるまったときだけです。その場合 “全滅” という結末を迎えるかもしれません。慈悲深いGMはそうなる前にヒントをだして、彼らにはとてもかなわないと、冒険をあきらめさせ、故郷に帰らせてもよいでしょう。
 より洗練された冒険の場合、複数の結末を準備しておきます。ゲーム中の行動しだいで、どの結末になるかを決めるのです。このような “分岐型の” 冒険はデザインするのが大変ですが、ときとしてゲームの進行は楽になります――強制的な介入をする手間が少なくなるからです。


コラム:罠(Traps) B477P/2B157P

[[罠>シナリオを自作する#Traps]]
 ファンタジーの冒険は伝統的に、さまざまなでいろどられています。初心者のGMをしかけすぎる傾向にあります――すべてのドアの裏に弩、すべての通路に落とし穴......。たとえがパーティを全滅させなかったとしても、ゲームの進行は途端に遅くなってしまいます。プレーヤーは目にはいるものすべてを調べようとするでしょう&――自信が持てるまで何度も。しかし戦略的に配置すれば、は1つか2つで冒険をより面白いものとします。
 これはファンタジーではない冒険でも同じことがいえます。犯罪者のアジトや億万長者の大豪邸には、侵入者を歓迎しないための仕掛けがあるでしょう。未開の原住民と遭遇した冒険者は、予想以上に洗練された組織的防御に慌てるはずです。
 の基本的なパターンとしては、針、隠された弩(や銃器やレーザー)、隠された巨大弩(や大砲、対空ミサイル)、落とし穴(杭、ヘビ、あるいはその両方つき)、落下物、転がる岩、動く壁(落ちる天井)、すべる床、ガス、の霧、地雷......などがあげられます。今までに読んだ、数百もの冒険物語のことを思い出してください!
 は必ずしも致死的にする必要がないことに注意してください。その目的は、目標を無力化する・捕獲する・困らせる・いやがらせをする・驚かせることだけかもしれません。金庫の警報は、大きな音を出すだけのです! は部屋と同じようにマップ上のキーポイントとして扱われます――あるいは、部屋の説明の一環としてを設定します。すべての罠について、以下の点を設定してください。

●そのはどれほど気づくのが困難か。発見するにはどんな技能が必要か。例:隠された落とし穴に気づくためには、〈建築〉-5、視覚判定-5、〈〉で判定。

●そのを解除(無効化)するのはどれほど困難か。例:トラップドアを無効化するには、〈大工〉、〈〉+4で判定。

●どうすればが発動するのか。例:その落とし戸は、25キロ以上の重さの物が乗ったら開く。

が発動するとどうなるのか。例:犠牲者が〈軽業〉か敏捷力-6に成功して自分を支えない限り、落とし穴に落ちて3Dの叩きダメージを受ける。

 GMによってはプレイヤーの機知を試すために、極悪なを仕掛けることもあります。そのような “パズル・トラップ” の場合、単に技能判定に成功しただけでは脱出することができません。プレイヤーが自ら逃れる道を考え出さなければならないのです。とても単純な例をあげます。左右の壁がどんどん迫ってきます。このままではパーティ最強のキャラクターでも押しつぶされてしまいます。脱出する方法は......床のマンホールのふたをあけることです。マンホールは飛び込むには小さすぎますが、その金属製のかたいふたではさみ込めば、迫ってくる壁を止めることができます!

 もっと複雑なをしかけることも可能です。楽しんでください。このような “パズル・トラップ” は単純なデストラップに飽きたとき、冒険に彩りを加えます。


よい冒険の要素(Features of a Good Adventure) B478P/2B158P

[[よい冒険の要素>シナリオを自作する#Features_of_a_Good_Adventure]]
 よい冒険(われわれの出版物では基準と考えています)には、次の要素が含まれています。

●非戦闘系技能を使う多くの機会――難易度の高い判定も必要ですし、ふつう持っていない技能の判定(PCに「技能なし値」での判定を強制します)も必要です。

●PCとNPC、あるいはPC同士の能力勝負

●プレイヤーが頭を悩ませる状況......パズル、モラルの問題、あるいは両方。

●社会系技能を適切に使う機会〈言いくるめ〉〈外交〉などで戦闘を回避する。

●社会系技能では回避できない戦闘状況。

●人物、場所、物品のおもしろい描写。プレイヤーに「キャラクターといっしょにその場にいる」という感覚を与えるため。

●明確な導入、緊張・謎に満ちたプロット、明快な決着。

●ロールプレイと成長の機会――これはどんなに気楽な「ハック・アンド・スラッシュ」型の冒険でも、あったほうがいいでしょう。「戦士」というのも興味深い人々です――少なくともそうあるべきです。

●冒険を成功させたキャラクターへの報酬、冒険を失敗させたキャラクターの責任追求!


キャンペーンを考える(Organiziing a Continung Campaign) B478P/2B158P

[[キャンペーンを考える>シナリオを自作する#Organiziing_a_Continung_Campaign]]
 同じキャラクターで続く一連の冒険というのは、単体の冒険よりはやや複雑になりますが、そのぶんおもしろさも増します。この一連の冒険のことを「キャンペーン」と呼びます。単体の冒険が1冊の小説だとすると、キャンペーンというのは大河小説ということになります――7冊を越えてもまだまだ刊行が続くのです。
 1つのキャンペーンは冒険、また冒険のくり返しです――あるいは複数の冒険が同時に重なって起こることもあるかもしれません。1つの冒険は結末まで数回のセッションによってつくられます。GMはセッションとセッションの間に――とくに冒険と冒険の間に――ゲーム世界でなにが起こったのかを決定します。重要なNPCは自らの意志で行動します。戦争、天候、政治、通商はキャンペーンの “背景” として進行し、そこから新しい冒険が生まれるのです。プレイヤーたちの意見も参考になるでしょう。PCの活躍が “世界全体” に何らかの形で影響をあたえるとなれば、プレイヤーは大変よろこんでくれます――破滅的な最終戦争を回避するといった大きなことから、女王の顔にできた吹き出物を治療する方法をみつけるといった小さな活躍まで。
 巨大なキャンペーンになってくると、何十人ものプレイヤーが参加することができます(全員が一度に遊ぶわけではありませんが)。GMは何人か交代でつとめることになるでしょう。惑星全体の詳細な地図を作成し、国王や法王から一介の盗賊や物乞いまで数百人の重要なNPCが登場します。
 これを聞いてパニックに陥らないでください。すべてを一度にやる必要はないのです。ほとんどのキャンペーンは少しずつ “成長する” ものです。1つの冒険は次の冒険へとつながります。こうして1年間も遊びつづけていれば、知らず知らずのうちにキャンペーンをつくりあげることになるのです。よいキャンペーンの“味”の多くは、プレイヤーたちからも生まれてきます。PCの「後援者」「仲間」「足手まとい」「」などは、何度も登場するNPCになります。仇敵は来てほしくないときに限って再登場します。地図は遊ぶたびに描きこまれていきます。プレイヤーは入れ代わるかもしれませんが、キャンペーンは続くのです。ルールブックを読んだだけでは、キャンペーンの進めかたを学ぶことはできません。経験が最良の教師です。
 これを助けるために、私たちは「キャンペーン計画シート」を549ページに載せておきます。これを埋めることによって、あなたは自分がやりたい冒険をより理解できるようになるでしょう!


コラム:シェアード・キャンペーンとキャンペーン間の移動(Shared Campaigns and Travel Between Campaigns) B478P/2B158P

[[シェアード・キャンペーンとキャンペーン間の移動>シナリオを自作する#Shared_Campaigns_and_Travel_Between_Campaigns]]
 2人(あるいはそれ以上)のGMが合意すれば、PCはGMの間を移動することができます。これはふつう、あるGMが特定の時間や場所を継続して、別のGMに代わることで可能になります。古いGMキャンペーンからはずれてもかまいませんし、プレイヤーとして別のキャラクターで参加してもかまいません。
 それぞれのキャンペーンがよく似ていれば、キャンペーン同士の連携は容易になります。2人のGMが同じゲーム世界を用いていて、ルールを同じように解釈しており、同じ “プレイスタイル” の場合には、2人のGMが管理する地域の境界線は河や都市の城壁といったものになるでしょう。これは「シェアード(共有した)」キキャンペーンと考えることができます。
 GMが都市を共同で使用するというのは1つのいいアイデアでしょう。1人がチーフGMになって、ゲーム世界全体の修正・メンテナンス・改良を行ないます。何人かのプレイヤーはGMと同じような権限をもっています。そのようなプレイヤーはそれぞれ1つの街を作り上げて、コントロールします。1つの街中で冒険が行なわれる場合、その街を管理する人間がGMになります。いうまでもないことですが、本人のキャラクターはその街の冒険に登場させてはいけません。せいぜいNPCとして顔を出す程度です。どんなに優れたGMでも、自分が何ヶ月もかかって育てたキャラクターに対しては特別な感情を持ってしまうからです。街の外で冒険を行なう場合、チーフGMが管理します。これによってプレイヤーたちは、たまにGMをする楽しみを味わいながら、できることだけは手伝うけれども世界を構築する手間ははぶく、ということができます。
 同じシステムは宇宙を舞台にした冒険でも使うことができます。1つ違いがあるとすれば、この場合それぞれのプレイヤーが太陽系1つをデザインするということです、パラレルワールドが存在する世界――例えば第20章で説明されているインフィニット・ワールドキャンペーン――では、それぞれのプレイヤーが世界全体をコントロールします! この種のキャンペーンを行なう場合、GMは互いの意見を尊重するようにしてください。惑星や都市間における多少の “文化の” 違いは許容してください――実際、これは楽しいことです。しかしプレイヤーが自由に行き来できる場合、各GMは世界全体の構造やキャンペーンの最終目的については意見を統一させておかなければなりません。もしも2人以上のGMが、互いの世界に明らかに違いをもたせながらもプレイヤーやキャラクターを共有したいと思ったときには、異なる手順が必要になるでしょう。

関連

ベーシックセット』第18章「マスタリング」より。

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第1章キャラクターの作成

キャラクターの作成
キャラクターのタイプ
利腕/逆腕/左利き
機械と疲労

第2・3章:特徴

特徴(第4版特徴一覧)
汎称特徴鋳型
特徴グルーピング表
判定に修正を与える特徴一覧表
下位の特徴と上位の特徴
消耗品型特徴


特典/
特色/禁止性質
学習できる有利な特徴
Powersの追加特徴

修正/増強/限定
攻撃修正/貫通力修正/発明品
特別修正/特別増強/特別限定
限定値

について
↓特集サプリメント
GURPS Power-Ups 6:Quirks

限定について
↓特集サプリメント
GURPS Power-Ups 8:Limitations

第4章:技能

第4版技能一覧
意志力を基準にした技能
知覚力を基準にした技能
生命力を基準にした技能
影響技能
第4版逆引き・技能なし値一覧表
技能なし値に能力値が工面しづらい一般技能
専門化が必要な技能
文明レベル技能
必須の技能を知らない
万能技能について
↓特集サプリメント
GURPS Power-Ups 7:Wildcard Skills
注入技能について
ベーシックセットにはない追加の技能体系。
↓特集サプリメント
GURPS Power-Ups 1:Imbuements
第4版呪文一覧
原書呪文一覧
第3章〜第26章

各コラム

魔法流派の例を扱ったサプリメント

第7章テンプレート

第8章装備

装備品対訳表

第11章:戦闘

戦闘
移動と戦闘

第12章:上級戦闘

第13章特殊な戦闘の状況

特殊な戦闘の状況
特殊な移動関連

関連

圧力潜水病
船酔い
窒息溺れ
真空

第20章
インフィニット・ワールド

インフィニット・ワールド

保留

ルールあれこれ

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GURPS Horror
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Supers

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とんでも能力の超人を扱うサプリメント。

Social Engineering

GURPS Social Engineering
社会的ルールを補完するサプリメント。

Pyramid #3/54: Social Engineering

追加特徴「全言語対応
万能言語

Pyramid #3/65: Alternate GURPS III

追加特徴「特殊武器

Pyramid #3/76: Dungeon Fantasy IV

Pyramid 3/76: Dungeon Fantasy IV

GURPS Template Toolkit 2: Races

GURPS Template Toolkit 2: Races
追加特徴

GURPS Monster Hunters Power-Ups 1

追加の有利な特徴 追加テクニック

GURPS Tactical Shooting

GURPS Powers: Divine Favor

神への嘆願を扱ったサプリメント
GURPS Powers: Divine Favor

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