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tominosyou 2022年08月26日(金) 14:18:00履歴
『ベーシックセット』第18章「マスタリング」より。
●キャラクターを紹介する(Introduce the characters):
キャンペーンの途中であれば、この手順は必要ないでしょう。しかし、初めてのセッションのときには、各プレイヤーが自分のキャラクターの “自己紹介” をする時間が必要です。誰か絵を描ける人間がいるときには、キャラクターのイラストを描くと自己紹介の手助けになるでしょう。
●キャラクターを成長させる(Check for skills, etc. improved since the last play session):
キャンペーンの途中なら、前回獲得したCPによって能力値や技能を成長させることができます。またセッションとセッションの間に、仕事、勉強といったことができます。そのため、前回のセッションよりも能力が優秀になったキャラクターもいるでしょう。ゲーム前の時間を使って、GMといっしょにキャラクターを成長させてください(もしグループ全員がネットにアクセスできる場合、この作業は事前にeメールを使って済ませておくと時間の節約になります)。
●GM管理シートをチェックする(Fill out the GM Control Sheet):
プレイヤーたちがお互い(あるいはお互いのキャラクター)をよく理解するまでは、GMがキャラクター全員のシートを見て能力のバランスの取れたパーティになっているかをチェックしてください。そして各キャラクターの必要な情報――能力値、副能力値、注意すべき特徴や技能など――をGM管理シートに書き写します。GMがなにかを決める際――例えば、誰がなにかに気づいたか、見たのは全員だが誰がそれを理解できたのか、ある魔法の影響をうけたのは誰か、「かんしゃく」もちのドワーフに嫌われたのは誰か――ひそかにサイコロを振るのに、この表は役に立ちます。

●ゲームへの導入(Brief the players.):
キャラクターの目の前で起こっていることを告げ、冒険がどう展開しようとしているかを話し、(キャンペーン中なら)前回のセッションの内容を確認します。これにはさまざまな方法があります。単に口で説明するだけですませてもよいのですが、「シーンを設定して」そこからゲームを始めたほうがおもしろいでしょう。例えばキャラクターが地図や古本を見つけたり、おもしろいうわさを知っている人物と出会ったり、友人が助けを求めてきたり、正さなければならない悪事を目撃したり......などです。
これらの準備は済みましたか?それではゲームを始めましょう!
[[ゲーム前の準備>セッションを開始する#Advance_Preparation]]GMには、プレイヤーが舞台に登場するまでに、いくつかやっておくべくことがあります。
●冒険を用意する(Prepare the adventure):
市販のシナリオをプレイするなら、それを読んで、キャラクター・シートをいくつか作っておくぐらいです。しかし、自分でシナリオを考えるなら、プレイまでの何週間かは準備に追われることになるでしょう――これこそ愛すべき作業なのです。プレイヤーたちに披露する前に、シナリオにすっかりなじんでおくように!
●冒険について簡単に説明する(Brief the players about the adventure):
プレイヤーたちがゲームのシステムをよく知っているのなら、前もって(ゲームがはじまるまでに)どんなキャラクターが認められるか説明しておきます。持っていてもいいお金の額や所持品、そして役に立ちそうな技能のヒントなどを話しておきます。全員があらかじめキャラクターを用意しているのなら、プレイヤーがそろい次第、ゲームをはじめることができます!
●プレイの場所を準備する(Set up the play area):
鉛筆と紙とサイコロが必要です。地図やフィギュアも、使うつもりなら(もちろんテーブルも)。それにお菓子類も欠かせません(グループ全体のためでなくても、あなたのために)!
[[誰がシートを管理するか>セッションを開始する#Whos_Got_the_Sheets]]第18章「マスタリング」での助言の多くは、あなたが手順を進めている間、キャラクター・シートを見ることができるか、最低でもGM用管理シート(GM管理シート)を最新状態で維持していると考えています。GMはプレイヤーに対して、キャラクター・シートを預けるように頼むことがあります。これは進行に役立たせるためと、プレイヤーがそれを無くさないように、という2つの理由からです。しかし、それが実用的でない状況(例えば、グループ内でローテーションを組んでGMを行なっている)もあり、またプレイヤーによっては、すべてをGMが管理するのを嫌がる人もいます。あなたは “最低でも” PCの主な能力が書かれた管理シートは持っていなければなりませんし、キャラクターに大きな変更があれば更新しなければなりません。本物のキャラクター・シートを持っているにこしたことはないのですが、何もなしで進行中のゲームを考えたり進めたりするよりはましでしょう。もちろん、コピーやデジタルデータの複製をとっておくのはいいことです!
[[地図>セッションを開始する#Maps]]計画を立てやすくしたり、起こるできごとを記録しておくため、あらかじめGMは地図を準備しておきたいかもしれません。またゲーム中の手がかりとして、プレイヤーに地図を手渡すこともあるでしょう。もちろんプレイヤー自身が今まで通ってきた道のりを地図に記録することもあります――ジャングルだろうが、ダンジョンだろうが、東京の市街地だろうが、地図さえあれば元来た場所に戻ることができるからです。
ガープスで使う地図には六角形のマス目「ヘクス」が書き込まれています。このヘクスによって移動や戦闘を管理するわけです。1つのヘクスは6つのヘクスに隣接しています。「ヘクス」(363ページ)を参照してください。
[[区画マップ>セッションを開始する#Area_Maps]]この地図の縮尺は1インチ(2.54センチ)=6メートルです。1ヘクスは1メートルのままですたんに、ヘクスが小さく描かれているだけのことです。この縮尺の地図は、建物やダンジョン、闘技場といった空間の全体像を表わすためにつかいます。はしごや階段を記入したうえで、階層ごとに別の地図を準備してください。それぞれの部屋(あるいは興味深い地点)には、わかりやすいように文字か数字を入れておきましょう。
このマップには、各部屋ごとに次のような情報を記入してください。
●全体の大きさ(区画マップという時点で明らかかもしれませんが)。
●全体の説明。
●部屋の中にいるキャラクターの説明。簡単に「普通の狼が2匹」とだけ書いておいてもいいですし、「この部屋には深夜から午前9時までの間には2人の警備員がいる。それ以外の時間帯は空。それぞれ50パーセントの確率で眠っている。数値はこのシナリオに出てくる他の警備員と同じだが、そのうちの一人は200$相当の金の指輪をはめている。警備員たちは敵が味方の倍以上に多い状況になったら降伏する。しかし、殺すと脅迫されても協力することはない」というように、詳しく書いておいてもかまいません。
●必要なら、部屋についての詳しい記述をします。注意して調べればわかることも書いておきます。
●必要なら、家具やキャラクターの正確な位置を示すための部屋マップ(以下参照)。
区画マップはプレイヤーからは隠しておきます――ただしプレイヤーは自分自身で地図を作成することができます。GMはパーティの現在位置を把握するために、この地図にマーカーを置くこともあるでしょう。

[[戦闘マップ>セッションを開始する#Combat_Maps]]
- 戦闘マップ(Combat Maps)
戦闘マップは1インチ(2.54センチ)=1メートルの縮尺で描かれています。ですから、各々のヘクス間の距離は1メートルということになります。キャラクターが戦闘のおこる可能性がある空間に入ったら、この地図を広げます。そして、このマップの上に、キャラクターの居場所を示すコマをおきます。もし戦闘がおこったら、それはこのマップの上で行ないます。
何かに遮られて、完全な六角形になっていないヘクスも他のヘクスとまったく同じに扱います。これによって、きちんとした六角形の部屋も、入り組んだ洞窟のどちらもリアルに再現できることができます。
[[プレイヤーの作る地図>セッションを開始する#Player-Made_Maps]]プレイヤーたちは、地図のない場所に足を踏み入れると――地下迷宮でも、入り組んだ研究所でも、獣道が縦横につながったジャングルでも――自分たちで地図を作ろうとします(つまり、賢明ならそうするということです!)。
ところが、地図を作るのはそう簡単ではありません。実際、巻尺を使って充分な時間をかけて調べでもしないかぎり、GMは教えるべきではないのです。「階段を12メートル降りて、北へ曲がった。地下道の幅は2メートル、高さは3メートルだ。120メートル行くと、北東に曲がる。そこから20メートル行くと、奥行10メートル、幅6メートルの部屋に出た」こうした情報は、1回に数分かけて〈数学/測量〉判定を行なって調べたらわかるようなことであって、ただ地下道を歩いているだけでは明らかではないのです!
GMは、次のように情報を与えればいいでしょう。
「君たちは階段を降りていく。普通の階段より少し先まで下っているようだ。下に降りると、右に地下道が続いている。通路の幅は、ふたり並んで歩ける程度だ。天井は、剣を伸ばしても届きそうもないほど高い。地下道は、まっすぐ先まで続いている......」
「距離は?」プレイヤーが尋ねます。
「誰か歩数を数えてるかい?わかった。128歩くらいだ。それから少し右に曲がっているけど......」
「どのくらい?」
「分度器は持ってきたかい?「方向感覚」の特徴でもいい。ない?
わかった。やってきた地下道を背にして交差点に立つと、新しい地下道はだいたい1時半の方向に曲がっているようだ。わかったかい?
そこから19歩か20歩ほど進むと、大きな部屋に出る。入口は長い壁の真ん中あたりだ。部屋のかたちはだいたい長方形。君たちが立っている場所からだと、奥行10メートル、幅が6、7メートルというところだ」
全然違いますが、こちらの方がリアルでしょう? プレイヤーには、PCたちが実際に感じとることのできる情報しか与えられていません。GMは、前述の例では、歩幅がだいたい90センチ以下として、距離を少しごまかしています。
あなたがこんなふうにしていると、プレイヤーたちは巧みな方法で時間と距離を計ろうとするかもしれません。そうさせてください!
普通の状態でも難しいのなら、一行が急いでいる場合など、地図作成はほとんど不可能です! 前述の例で一行が追われているのなら、GMは次のように言えばいいでしょう。
「わかった。走るんだね? じゃあ、地図を描くのをやめてくれ。行き場所はひとつしかない。階段を降りるんだ! 右に曲がれ! しばらく走ると、地下道が右に折れている! そこから少し走ると部屋に出た!」
こんな具合です。一行が走るのをやめれば、腰を降ろして、どうやってきたのか思い出そうとすることができます(もちろん「記憶力」の特徴があれば、大いに助けになります!)。
[[旅の地図を作る>セッションを開始する#Mapping_Overland_Journeys]]プレイヤーたちが未踏領域を旅するのなら、大きな地図を作ろうとするかもしれません。一行が川や峡谷ぞいに旅するのなら、自動的に作成できるとしてもかまいません。しかし、特徴のない荒れ野を旅したり、大河のなかの小さな支流まで記そうとするなら、他の人が見ても分かる正確な地図にするには〈地図作製〉判定が必要です。技能なし値は知力-5、〈地理〉-2、〈数学/測量〉-2、〈航法〉-4です。「方向感覚」があれば+3されます。
また、こうしたことは冒険の優れた題材にもなります。PCたちは、地図を作るための探索に送り出されるのです(人跡未踏の荒れ野、未探査の惑星、謎に包まれた地下迷宮、蒸気をあげるジャングル、全滅した都市といったところへ)。
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