最終更新: tyounekogami 2023年12月31日(日) 03:55:06履歴
[[魔化を商売にする>経済と魔化#The_Business_of_Enchantment]]ほとんどの魔化は、儀礼魔法の集団を使って行なわれます。魔法使いが1人だけでは、ゆっくり確実な魔化には膨大な時間がかかり、手軽で危ない魔化では必要なエネルギーを賄いきれません。
したがって、魔化は次の2種類の魔術師高い技能を持ち、大きな儀礼魔法の集団を率いることのできる熟練魔術師と、儀礼魔法の集団には参加しているものの、それを率いるほどの技能を持ちあわせていない職人魔術師に向いています。ここでは、次の3つの点を知っておく必要があります。熟練魔術師の平均給料、職人魔術師の平均給料、そして儀礼魔法集団の平均的な規模の3つです。他にも影響する要素はありますが、最も重要なのがこの三点です。
ここで取り上げる魔法に満ちた仮想の世界について、職人魔術師の給料を「標準」レベル、熟練魔術師の給料を「快適」レベルとすると(『キャンペーン』490ページ)、職人魔術師の月給は700、熟練魔術師の月給は$1400になります。同時に、平均的な熟練魔術師は《魔化》を20レベルで習得し、助手が5人までの儀礼魔法集団を率いることができるとします。
ゆっくり確実な魔化(Slow and Sure Enchantment) p.21
[[ゆっくり確実な魔化>経済と魔化#Slow_and_Sure_Enchantment]]ゆっくり確実な魔化では、品物や儀礼魔法集団がどれだけ大きくても、参加する魔術師1人につき1日あたりエネルギー1点の寄与になります。したがって、エネルギー1点あたりの費用は、魔術師の日収と同じになります。
ここで、ゆっくり確実な魔化を行なう場合、それに関わる魔術師の給料はすべて「標準」レベルと仮定します。こうした作業に熟練魔術師が関わっても実質的な利点はほとんどなく、逆に費用がかさんでしまうからです。したがって、ゆっくり確実な魔化のほとんどは、2~3人の職人魔術師で行なわれることになります。
1週間に5日働くとすると、たいていの魔術師は1か月に平均22日働きます。したがって、エネルギー1点あたりの価格は、$700を22で割った額になります。
しかし、魔化を行なう魔術師は、失敗の可能性も考慮に入れておかねばなりません。魔化が失敗することはあまりありません。魔化に関わる呪文は技能レベル15以上で唱えるため、少なくとも95%は成功するのです。しかし、5%の失敗の埋めあわせに必要な額を一日あたりの費用に入れておかねばなりません。
したがって、エネルギー1点あたりの最終的な労働費用は、$700(月給額)を22(1か月あたりの労働日数)で割り、その値をさらに0.95477(成功率)で割った額、つまりおよそ$33になるわけです。
手軽で危ない魔化(Quick and Dirty Enchantment) p.22
[[手軽で危ない魔化>経済と魔化#Quick_and_Dirty_Enchantment]]手軽で危ない魔化には、儀礼魔法の集団に熟練魔術師が加わります。集団に参加できる魔術師の数、引いては品物に何点のエネルギーを注ぎこめるかは、熟練魔術師の技能で決まります。
ここでは手軽で危ない魔化に加わる魔術師は、それぞれ魔化に10点分のエネルギーを寄与するとします(もちろん魔術師によってこの点数は上下しますが、平均して10点と考えるのは理にかなっています)。このような魔化に魔力石を使うのは適切ではありません。手軽で危ない魔化を職業として行なう魔術師は、毎日数種の魔化を手がけており、魔力石の使用は投資に見合わないのです。また、平均的な魔術師は《活力回復》を15レベルで習得しているとします。
したがって、手軽で危ない魔化は、1時間の魔化と10点の疲労を回復する50分の休憩を繰り返すことになります。1日に8時間働くと、このサイクルをおよそ4.4回行なうわけです(魔術師たちが遅くまで働く日もあれば、早めに切り上げる日もあるでしょう)。
儀礼魔法の集団に含まれる魔術師の数は、熟練魔術師の《魔化》の技能によります。集団に加わる助手1人につき技能を-1し、なおかつ修正後技能レベルは15以上でなければなりません。つまり、《魔化》の技能レベルから15を差し引いた値が、熟練魔術師の他に儀礼に加わることのできる人数になります。したがって、ここでの標準的な集団の人数は6人―熟練魔術師1人に助手5人(《魔化》技能20レベル-15)です。
これによって、標準的な儀礼魔法の集団が、手軽で危ない魔化で作れるアイテムの最大が決まります。6人の魔術師でエネルギー60点、魔術師1人あたりエネルギー10点です。また、これによって1日あたりに投入できるエネルギーの最大量も決まります。1人あたりエネルギー10点を費やす魔術師が6人、魔化の過程を1日に44回こなすため、これらの値をすべて掛けあわせて、1日あたりに費やすエネルギーは264点になります。
1日あたりの労働費用を算出するために、熟練魔術師の月給($1400)と5人の助手の月給($700×5)を足しあわせ、1か月あたりの労働日数22で割ります。したがって、1日あたりの労働費用は$223になります。
最後にこの1日あたりの労働費用($223)を成功率(0.9547)で割り、さらにその値を1日あたりに生みだされるエネルギーの量(264)で割ると、エネルギー1点あたりの価格がわかります。これはおよそ$0.9。簡単のために切り上げて1、エネルギー1点あたり$1です。
[[結論>経済と魔化#Conclusions]]ここまで扱ってきた数値は、魔法の品物の価格についてなぜそのような分岐点があるのかを示しています。手軽で危ない魔化は極端に安く、この方法で作成できる品物を他の手段で作るのは、まったくの不経済になるのです。これについては、儀礼魔法の集団に参加できる魔術師の数が制限になります。熟練魔術師の《魔化》技能を24レベルに設定すると、安価な魔法の品物のエネルギー上限は100点になり、《魔化》技能を16レベルにするとエネルギー上限は20点になります。
同様に、魔術師の社会的地位が異なると、これらの数値も大幅に違ってきます。職人魔術師の収入を「快適」レベルに、熟練魔術師の収入を「富裕」レベルにすると、ゆっくり確実な魔化の価格は、エネルギー1点あたり約570に跳ねあがり、手軽で危ない魔化の価格はエネルギー1点あたり$2に上昇します。
コメントをかく