●シリーズ初の
中村主水の連続登場。
●この時点で、すでにやいとや又右衛門はメンバーに加入しているが、彼がいかにして主水や捨三と組む事になったかの説明は以後のエピソードにも存在しない。
●またそうした曖昧さは剣之介にとっても同様で、沼木藩時代の彼が一体どういう状況の中で、どうお歌と関わり誰を殺したのかも最後まではっきりとは説明されない。(シナリオでは当時のお歌の男だった一座の親方を殺したとなっているが、それにも細かい説明は無い。)
●「魔性の女との再会」という点は、同脚本の
一筆啓上魔性が見えたを継承している。
●工藤監督の意図による、ラストの改変はあまりにも有名だが、その原型と考えられる部分はシナリオの中盤に存在する。
●ここでも剣之介の加入に反対するやいとやの姿勢は同じだが、それは彼が「金を取らずに人を斬る侍」だからであり、「お尋ね者」だからではない。
●そして重要なのは、それに対して「じゃあ俺はどうなんだ」と問い返す主水と、それに「あたしはあんたを侍だと思った事は一度も無い。あんただってそうなんじゃないのかい?」と重ねるやいとやであり、同じ脚本家による、後の最終回への重要な伏線が既にここから始まっていることが示されている。