モザイク架空国家

高天原統一国（たかまがはらとういつこく、英: Unified State of Takamagahara/ユニファイド・ステイト・オブ・タカマガハラ）は、ヨーロッパ北西岸に位置し、グレートブリテン島とその属島からなる国家。首都はテンプルム。通称は高天原、またはUST。植民地として大陸にリリュティア諸邦を保有しており、高天原統一国とリリュティア諸邦を総称して高天原植民地帝国と呼ぶ。国民によって高天原統一国は「神々の住まう地」、「永遠の安寧が約束された地」と信じられている。国家元首の統一皇帝は現人神であり、憲法で絶対不変の支配者と規定される。帝位はセレスティア王朝によって世襲され、他にいくつかの貴族家が現代にも存在している。
歴史的にキヅチミハラ、クミナト、トコハヤツミ、フツノミカという歴史的経緯に基づく4つの構成体が、同君連合として単一主権国家を形成している。世界会議第三部の議長国（五大国の一角）であり、世界軍、G10に参加する。北大西洋三国協商と神聖諸国同盟の中核国の1つで、100年以上前から一貫して列強に数えられる。実質的な三権分立の民主国家ではあるが、有事の際などに統一皇帝に認められた権限は大きいため一般的に象徴君主国ではなく立憲君主国と考えられている。

正式名称は英語で『Unified State of Takamagahara（ユニファイド・ステイト・オブ・タカマガハラ）』であり、また英語と共に高天原統一国の公用語である日本語では「高天原統一国」と訳することが定められている。公式の日本語訳が定めらる以前はいくつかの訳が存在しており、現在でも歴史的経緯から法文などいくつかの場合「高天原単一国」という訳を用いることがある。
英語での略称は「Takamagahara」、「UST」。日本語における一般的な通称は「高天原」もしくは「高国」である。稀に「Unified State」やその直訳である「統一国（とういつこく）」が用いられることもある。現在の日本語公用文では「高国」が使用されており、口語では「高天原」が用いられることが多い。前述の通り日本語法文においては高天原単一国が国名の訳として用いられているため、略語も「単一国」が使用されている。
「Takamagahara/高天原」は日本神話における天界「高天原」のことで、高天原統一国の前身であるタカチホ王国が日本神話を研究した末に魔術を発見し、それをもって高天原王国に改称したのを引き継いでのものである。
2006年に導入された新パスポートの1ページ目には、英語、日本語の他に紀伝語という特殊な言語で正式国名が記載されている。紀伝語での正式国名は「多嘉怒阿萬波羅怒国」であり、政府のウェブサイト上での略名は「阿萬波羅」である。

• レオルグ2世

高天原統一国に国家元首として君臨する「統一皇帝」その人。既に老人と言って差し支えない年齢ではあるが、立憲君主として高天原統一国をまとめ上げる手腕を持つ。若い頃は自ら高天原海軍の下士官として活動した経歴を持ち、即位後は国内情勢の安定化と軍事力の強化に力を注いで高天原統一国中興の祖となった。ノブレスオブリージュの考えに基づいた積極的な外交政策で知られ、神聖諸国同盟の成立や世界会議の再編の立役者でもある。他方で魔女爆弾の考案者という負の側面も知られており、敵対国からは鉄の皇帝と呼ばれて恐れられている。

• ヴェンゲル・ヴェント・ヴァレンタイン

高天原統一国の主要貴族家である御三家の一角、ヴァレンタイン家の現当主にして、国家評議会行政部長官(他国の首相に相当)の座にある男。セレスティア王朝に忠誠を誓っており、中世の騎士然とした価値観と思考回路をしている。レオルグ2世と同じく積極外交論者だが、陰謀や強引な勢力拡大、小国への無理強いなどを嫌う高潔な態度を特徴とする。御三家の中ではヴァレンタイン家は高天原統一国の行政を司る家という暗黙の了解があり、彼の他にも評議会行政部の大臣や官僚にはヴァレンタイン家の者が多い。しかしヴェンゲル自身はその性格から、行政部の私物化を可能な限り避けている。

• アリーナ・アレア・アラバスター

高天原統一国の主要貴族家である御三家の一角、アラバスター家の現当主にして、国家評議会立法部長官(他国の国会議長に相当)の座にある少女。平和主義を抱く理想家で、軍事力強化に熱心なレオルグ2世と対立することも少なくない。御三家の中ではアラバスター家は高天原統一国の立法を司る家という暗黙の了解があり、彼女の他にも評議会立法部の議員にはアラバスター家の者が多い。アリーナが若くして立法部長官という国家最高位の官職の1つを手にしているのも、長官職が事実上アラバスター家の当主による世襲になっているためである。

• カリム・カリュート・カーライル

高天原統一国の主要貴族家である御三家の一角、カーライル家の現当主にして、国家評議会司法部長官(他国の最高裁判所長官に相当)の座にある男。温和で人当たりの良い性格で知られ、誰もが納得するような公明正大な判決に定評がある。御三家の中ではカーライル家は高天原統一国の司法を司る家という暗黙の了解があり、彼の他にも評議会司法部の裁判官や職員にはカーライル家の者が多い。カーライル家の家紋は黒1色で塗りつぶされており、これはカーライル家の裁判官たちは何ものにも染まらぬ中立的な判決を下すという意思を表したものである。

• ラティア・ランジット・ライソール

ヴァレンタイン家の分家、ライソール家の三男で、高天原統一国の軍事を一手に担う軍括委員の座にある男。高天原陸軍で要職を歴任し、陸軍大将、参謀総長を経て政界入りした。陸軍力こそ国家の軍事力を左右すると考えており、海軍国家の高天原では冷遇されがちだった陸軍の強化に取り組んでいる。就任と同時にそれまで陸軍大将の指揮下にあった憲兵隊を軍括委員の直属とする、騎兵隊を独立した兵科として廃し機甲隊の下に組み入れる、士官の階級数を減らし下士官の階級数を増やすなどの軍制改革を実行し、それまで貴族らの権威主義に蝕まれていた陸軍の合理化を行った。

高天原統一国の起源は、16世紀末に遡る。豊臣秀吉によるキリスト教への弾圧に対して行われた極東十字軍によって日本は征服され、九州はイギリスの傀儡国家タカチホ王国となった。18世紀にはタカチホ国王ネルソン1世が日本神話の神々をキリスト教と習合して崇拝する高天原国教会を建設して国号を高天原王国へ変更した。日本神話の研究の過程で超常技術である魔術を発見、運用方法を確立した高天原王国は、それを用いた人型兵器カタクラフトによって一気に東アジア最大の軍事国家へとのし上がった。19世紀末に高天原王国とイギリスは同君連合を組み、高天原統一国として繁栄を極める。
しかし高天原統一国の隆盛はヨーロッパの勢力均衡を破綻させたため列強諸国は反感を募らせ、独仏を中心とする世界同盟と高天原統一国による第一次世界大戦を引き起こした。高天原統一国は辛勝し広大な植民地帝国を完成させたものの国力は疲弊しきり、内部の歪みは決定的となった。戦間期に行われた民主化改革は裏目に出て、国家の起源であったはずの日本列島の分離独立を招く。更にそれまで独占していた魔術の世界への拡散も手伝って高天原統一国の弱体化は決定的となり、米日を中心とする諸国連合との第二次世界大戦を引き起こした。両陣営ともに膨大な死者を出し勝者なき戦争となった第二次世界大戦を経て植民地帝国は解体され、ブリテン島という高天原統一国の現領土が確定した。

高天原統一国は貴族制が残る国である。元々は中世より続く大小様々な勢力の特権階級が存在していたが、ジョーシン4世の貴族制廃止運動の中で18家にまで減少した。その後オートモ家が王家となってタカチホ王国が独立して更に3家がタカチホ王国へと合流したため、現在では14の貴族家が高天原には存在している。
貴族たちはそれぞれの家ごとに一子相伝の秘伝魔術を伝えている。またその当主らは国家評議会立法部の上院に議席を持つことが定められている。貴族家に連なる者たちは名字、中間名、個人名の頭文字になるアルファベットを揃える風習がある。

称号	現爵位所有者	秘伝魔術
ヘブリッジ公爵	ヴェンゲル・ヴェント・ヴァレンタイン	カリステの涙	他者を意のままに操る魔術
トアイトン公爵	アリーナ・アレア・アラバスター	ギヌの墜落	対象の揚力を消失させる魔術
チェルダム侯爵	カリム・カリュート・カーライル	メキゼヨの氷	溶けない氷を出現させ操る魔術
フバラント侯爵	テリア・テクリクス・テノール	ラキセの盾	魔力の防壁を張る魔術
ツブリッチ伯爵	チェッキー・チェルシー・チャーマント	天罰読み	術者の身に起こる危機を予知する魔術
ドンカーク伯爵	ラティア・ランジット・ライソール	コシャの狂宴	周囲の人間や動物を発狂させる魔術
リーワース伯爵	シャーロット・シェーラ・シャンガム	万魔殿の壁	術者に敵意を持つ者を退ける結界を張る魔術
ヘブリウム子爵	エドワード・エリックアラン・エーテル	ダゴルストロの触手	おぞましい触手を出現させ操る魔術
ヘンリトン子爵	ロイド・ロバート・ロンディウム	ミーヤナカタの聖骸	初代ヘンリトン子爵の死体を蘇らせ使役する魔術
ドンディフ子爵	ニーファイス・ニトー・ニコル	水銀の天空	任意の地域の天候を曇りにする魔術
ベルガイル男爵	ジャック・ジャン・ジェームズ	暴れまわる珊瑚	珊瑚製の宝飾品で彩られたジェームズ家の家宝の剣を強化する魔術
リーワース男爵	マンデアン・マック・マイクフィールド	ロハク疫	新種の細菌やウィルスを生み出す魔術
アバディフ男爵	オーバーブリュー・オークス・オータム	コァニムの火球	大きな火球を放つ魔術
ムリン男爵	ビル・ビッティーン・ビンディ	イポリスの雨	任意の地域に酸性雨を降らせる魔術

第二次世界大戦前、ジョーシン4世の手で民主化が進められ、象徴君主制かつ議院内閣制の政府が成立した。しかし第二次大戦前後の混乱の中で、高天原統一国の政界では小党が分立して不安定な政権が連続した。そのため1958年にレオルグ2世のもと、民主的な政治システムを維持しながらも大幅に君主権限を強化した改定憲法を採用した。これにより、形式的、儀礼的な権限しか持たなかった統一皇帝は「絶対不変の支配者」として議会解散権や閣僚任免権、条約批准権など大幅な権限を有することとなった。君主に大きな権限があるにもかかわらず民主的な議院内閣制の枠組みを取っていることから、高天原統一国の政治体制は立憲君主制のいち形態と見なされている。これは高天原の政府が国家評議会と呼ばれている事から「評議会制」と呼ばれる。
憲法上は統一皇帝が行政部長官の任免権を持つが、立法部下院が行政部長官の指名権と不信任権を持つ。そのため実際には、立法部下院の多数党が指名した人物を統一皇帝が首相に任命するのを常としている。権限の分担としては統一皇帝は外交政策に、首相は行政部長官に責任を有するとされている。
なお高天原統一国は貴族制が存続しており、行政部はヴァレンタイン家、立法部はアラバスター家、司法部はカーライル家が非公式の権力を握っている。

組織	長官
行政部
行政部/Administrative department	ヴェンゲル・ヴェント・ヴァレンタイン
内務省/Home Office	バーンハード・オックスフォード
大蔵省/Her Majesty's Treasury	ユージン・オン・ロビンソン
国防省 /Ministry of Defence	ウェイン・ジェラード
司法省/Ministry of Justice	ハーマン・ジョンソン
コミュニティ省/Ministry of Communities	ヴァーデン・ヴィル・ヴァレンタイン
外務及び植民地省/Department of Foreign and Colony	グレン・ウォーレン
産業戦略省/Department for Industrial Strategy	ボビー・ブラックマン
文化省/Department for Culture	ヴィットーリオ・ヴァイグ・ヴァレンタイン
教育省/Department for Education	ヴェゼル・ヴィラ・ヴァレンタイン
環境省/Department for Environment	ロン・チリード・オズボーン
国際開発省/Department for International Development	ヴォクシー・ヴェール・ヴァレンタイン
国際貿易省/Department for International Trade	フィリッパ・ハーン(女性)
運輸省 /Department for Transport	ハーパル・クロッソン
労働省/Department for Work	ヴゥル・ヴォーグ・ヴァレンタイン
保健省 /Department of Health	サミー・イーリー
立法部
立法部/Legislative department	アリーナ・アレア・アラバスター
上院/Senate	アンドリュー・アイグ・アラバスター
下院/House of Representatives	アリーナ・アレア・アラバスター(兼任)
司法部
司法部/Judiciary department	カリム・カリュート・カーライル
最高判事/Supreme Judge	ハーパル・クロッソン
	カートン・カトル・カーライル
	アリッサ・デ・ヘールズ(女性)
	シーオドア・リスター
	カニーンヒェン・カロクリグ・カーライル
	カットソー・カム・カーライル
	マリアン・オルグレン
	カラ・カラ・カーライル
	アビー・コックス
	カニンガム・カロル・カーライル
	ハーヴィー・キャンロム
	カンザン・カーテン・カーライル
	カムニー・カミガイト・カーライル
	アレック・マーフィー

統一軍の主力兵器であるカタフラクトの一例

高天原統一国の軍隊は一般的に「統一軍」と呼ばれる。それぞれの軍隊も「統一」という言葉を冠しており、例えば陸軍は「統一陸軍」となる。これは高天原統一国が成立して間もない頃に旧高天原王国軍と旧イギリス軍が別個に運用されていたことと、現在の軍隊を対比した呼び方である。
統一軍は統一陸軍、統一海軍、統一空軍、統一戦略魔術兵器軍の4軍によって構成される。人数や予算の面では統一陸軍が最大だが、高天原統一国は伝統的に海軍を重視する国家であるため、他国と比較すると海軍の規模もかなり大きい。
統一軍の主要な任務は他国の軍隊と同様、外敵への対応と非常時の治安維持である。特に高天原統一国は植民地としてリリュティア諸邦を保有しているため、同地に駐屯し治安維持を行う部隊の重要性は高い。第二次世界大戦後は一貫して、陸海軍の3割ほどがリリュティア諸邦の各地に常駐している。このリリュティア諸邦の駐屯部隊はリリュティア方面軍と呼ばれ、無令状逮捕権など治安維持のために広範な権利が与えられている。
統一軍を特徴づける兵器にカタフラクトがある。これは魔術によって動かされる人型機動兵器で、統一陸軍を中心に用いられている。戦車を上回る機動性と攻撃力を持つため統一陸軍の主力兵器となっているが、扱うには相当の訓練が必要で操縦者の人数が限られるという欠点もある。

高天原統一国は大陸ヨーロッパの北西海岸沖および大陸部に位置する主権国家である。グレートブリテン島の大部分、フランスの北西部、そしてその周りを取り囲む多数の島々を占めている。本島は北緯49度から59度、西経8度から東経2度を占めている。テンプルムの南東にあるエンツァール天文台は本初子午線の起点として定められた場所である。
ブリテン島は北大西洋と北海の間に位置し、フランスの北西の海岸線からドーバー海峡を挟んで35キロメートルの場所に位置する。また、植民地リリュティア諸邦は他国と陸続きの長い国境で接している。ドーバー海峡の下には高天原海峡トンネルが通っていて、今ではブリテン島とリリュティア諸邦を結んでいる。ブリテン島南部は大部分が低地であり、高地や山岳地帯はティーズ川とエクス川より北にしか存在しない。
高天原統一国の気候は一般的に温暖である。しかし地域による気候の差異はあり、特に海からの距離によって大きく左右される。南部が北部より暖かいのは当然だが、西部は東部より湿潤である。ただし温暖なメキシコ湾流の影響を受けているため、ブリテン島はニューファンドランド島といった同緯度のほかの地域より格段に暖かい。自然災害はほとんどないが、冬には、暴風や洪水が発生することもある。

高天原統一国の人口は2021年時点で推計5600万人である。
「高天原人」という民族が存在するかどうかは大きな論争がある。高天原人という概念は、元々は西日本を領土とする高天原王国の国民を指していた。イギリスと高天原王国が合併して高天原統一国となった後、高天原国教会の受容などを通じてイギリス人の高天原人化が進んだが、肝心の日本列島住民が独立していったため現在の高天原統一国の住民のほとんどは高天原王国の高天原人の子孫ではない。そのため高天原統一国の住民を高天原人とイギリス人と見なすかは、論者によって意見が分かれる。なお、かつての日本列島住民はタカチホ王国のタカチホ人を自称している。
高天原統一国の臣民法では、自国民を次の六つの区分に分けている。

• 統一国臣民

いわゆる一般国民、本国人。

• 諸邦臣民

植民地のリリュティア諸邦や、その他の世界に点在する小規模な海外領土の出身者。

• 統一国市民

いわゆる帰化人。他国出身で高天原統一国の国籍を取得した者。日本列島や中国、アイルランド、インドなどの旧植民地では、特殊な歴史的経緯のある者同士の間に生まれた子供に出生と同時に付与されることもある。

• 統一国海外臣民

他国で生まれ高天原統一国に住んでいない、統一国臣民の両親または片親を持つ者。

• 統一国海外市民

海外で生まれ高天原統一国に住んでいない、両親とも非統一国臣民の者で、様々な事情から高天原統一国の国籍を得た者。

• 統一国保護民

難民として高天原統一国に保護され、高天原統一国の国籍を得た者。
身分制度と誤解されやすいが、これは歴史的経緯と行政手続き上の事情によるもので、どの区分に属していても待遇に差はない。男女や住所の差が記録されるように、ごく自然に戸籍に記録される。