wiki復活ツールをポケットから取り出しておもむろに作業を始めた。

   タカネコモリグモ(いずれも越冬を迎える亜成体だったような・・・)





背甲の中央前半にかけてなんとなく黒っぽい十字架マークが見えることが多い。
 
    エゾコモリグモ♂の成長過程
    

     
    

エゾコモリグモ♂は触肢に鋭い突起構造が見える


   ヤマハリゲコモリグモの♂は触肢の構造はエゾとは大きく異なる
   (外見では見分けがつかないけど、触肢を見ると簡単にわかる)
   
   ヤマハリゲコモリグモの体色は地域性があるようだ。(以降はメス)  

     上のオスとカップルになってるカッコいいやつ


     落葉に紛れやすい色合いのもの


    ↑↓上の赤茶のタイプが優占するエリアで採石場周辺に出現するタイプ

    ↓出嚢した子供たちは・・

   飼育環境に合った色に育っていった。
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  一年後の現地では・・・

   同じ色の個体が見られるようになって・・・

   黄色系の個体は見なくなった

実はハリゲだったのか・・・(前足の先の白黒のコントラストに注目)
新たに土砂崩れの残土を積み上げたゾーンが出来て、植生帯も増えてたのが影響したのかな?


          去年のものとは卵嚢の色も違う        


       ロミオとジュリエット(ペレアスとメリザンドともいう)
ちなみにハシゴは彼女が自作したもので頂上で下向きに定位してくつろいでる。


            産室形成したようだけど、崩してしまった・・


           今のところ飼育環境の影響を受ける様子はない


 更に上流の石河原では・・・

             ここはいつもと変わりなし  


カルシウム系の2種類の底砂で、次の世代が背景色になるのか飼育実験を開始してみる


     期待とは裏腹に白っぽくなる様子は見られず

    

 前足の脇の内側が黒ずんでるのに注目(今だに関節の名前はおぼえられず・・) 


 下面から見ると黒い部位はこんな感じ
     
     
白っぽい型が繁殖してる地域で採集した幼体を飼育してみたところ、通常の色に育った。
これは降雨などで地表に溶脱してるミネラルの含まれた水分を摂取することで、他の地域とはミネラルバランスが代わって白っぽい色になってるのだろうか?
今後サンゴ砂や珪砂などでテストしてみたい。
落葉土壌での飼育の場合は鉄分が豊富なためどんどん色が濃くなってったのかも。
保護色の達成度によって白っぽい個体の生存率が上がって、遺伝的に白っぽい集団になってる・・というわけではなさそうだ。
ササグモなんかでは色合いにバラツキがあるけど、あれはあれで食事の好みの個体差によって成長過程で色が変わるのだろうか?
ところで冬も大量発生してるアブラムシが餌として便利かなと思って与えてみたところ、ヤチグモなんかでも少し触れたらさっと飛びのいた。
無防備に見えて植物から糖分だけでなく忌避物質を摂取して溜め込んでるようだ。


ヤマハリゲのメスの背中から拡散した幼体を集めてみたら再びお団子になった。


シッチコモリグモは生まれたときから背甲中央に一本スジが通ってる。


 イナダハリゲは環境要求はシッチやキクヅキに近いのかもしれない。
(画像は多分イナダのメス)
 

 小学生のころ学年で一番強い男子だったイナダ君は今頃どうしてるのだろう?
 よくかばってもらったっけ・・・(画像はイナダのオス)


      飼育中のイナダクン
 

   稲田組ことプラケースの4つの角の中ほどに足場を組んでる。  

飼育ケース内でショウジョウバエを発生させてたら、孵化から1ヶ月ちょっとで親に順ずるサイズまで成長した。
年1化だと思ってたのでちょっとした驚きだった。
屋外ではここまで効率よく餌を得ることはないので、そこまでの成長速度にはならないだろう。
    

   ハリゲコモリグモのオス亜成体 ↑↓(背甲については成体と同じカラーリングの亜成体もいる)   



   ハリゲコモリグモのオス成体 ↑↓



     脱皮したてのほやほやはあかがね色が出る
     それより・・・

     つぶつぶが気になってしかたない・・・
  
ハリゲコモリグモ類については
google検索などで CiiNii → トップページの Article serch 欄に 日本のコモリグモ IX.オオアシコモリグモ属 をコピペして入力。
そこで表示されるCiNii PDF をクリックすると交接器の図が閲覧できる。
(もしくは 日本のコモリグモ IX.オオアシコモリグモ属 で目的のページを直接サーチエンジンで検索しPreviewをクリック)
   
平地でこういうのをみたら(とくに荒地環境)

ウヅキだと思っとくと簡単。(上段、中段、下段とかなり特徴がある)
成長過程で結構変わるのとバリエーションが多彩なので要注意だけど、
実はキシベコモリグモも死骸を水に浸けとくと背甲に同じタイプの斑紋が浮かび上がってくる。
どっか遺伝的に近いとこがあるのかもしれない。
ハリゲ類よりは一回り大きい場合が多いのでその2つの点で見分けるといいかも。
稀に全身真っ黒な個体がいて、これを目撃すると大体その日はなにかいい収穫がある
という法則が成り立ってるように思う。


ウヅキは結構草の上のほうにも登ってるようで、植物上を徘徊してるのをよく見かける。
よく似てるフジイほどは上までは登らないようだ。
腰くらいならウヅキの可能性もありで頭上ならフジイかな?
フジイの木登りはたまに見るので、河原のムクノキとか注意してるといいかも。
ウヅキがイナダハリゲなどと混生してる場所では幼体は似たような色型のことも多いけど、採集後マクロ撮影して微妙な背甲の斑型の違いで肉眼ではイナダっぽかったものがウヅキのほうに振り分けられることも多い。
他のPardosaの領分を侵す上紛らわしいというのがウヅキの特徴か。
中には幼体の段階では背甲の中央にぼんやり明斑が見えるのみのものもいる。
一番色々な環境に進出してるゆえに色型も様々なのだろう。
幼体の飼育の際にイナダなどには変化がないのにウヅキがバタバタ死ぬことがあって、繁栄してる種類が必ずしも飼育しやすいわけではない一例かも。
    
クロココモリグモはカワベコモリグモによく似るけど生育環境の選好性が異なり、環境のよい田んぼなどで見られる。
カワベの暗色のタイプとは外観上はほとんど見分けはつかない。
カワベのほうが色が明るく見えるのは生息環境の違いに伴うものだろう。
泥っぽい河原では2種が混じってる可能性もある。
山岳のガレ場や石がゴロゴロした河川敷でクロココモリグモのようなものを見かければ、そっちはカワベの可能性が高い。
カワベも石河原のギャップにたまに穴掘って潜んでることがあるけどこれは産室かな?
飼育上は用土への選好性は見られないので、単純に保護色の成立する地表条件の下で生存率が上がってるということなのかも。
2種ともわりとじっとしてやり過ごす行動は共通しててArctosaの中でもかなり近い種類なのかも。
水田地帯ではクロコと同所的なキクヅキコモリグモ幼体や他のハリゲコモリグモ類とは、彼らは脱兎のごとく逃げることで見分けられる。
余り逃げないクモをつまんでゆくと効率よくクロコを捕獲できる。
キクヅキのスピードの秘密はぴょんぴょん垂直ジャンプするバネの強さにあると思う。
ウヅキコモリグモ、ハリゲコモリグモ類、ハラクロコモリグモ、エビチャコモリグモと混生してる場合はクロコは体色の地味さが最大の特徴になる。
目立つコモリグモに混じって黒子に徹してるのか?
田んぼのあぜに草刈した雑草がつみあがってるとこではハラクロやエビチャがウロウロしてるのが時折見られるけど、この2種はがっしりしてるのが特徴。
場所によってはクロコと似たような風合いのタンボグモの仲間が見られるかも。


クロコとカワベのメス同士の鬼ごっこ(上がカワベだったような・・)


       カワベの勝ち(勝って兜の緒を締めよ)

エビチャコモリグモはコゲチャコモリグモと認識したほうがわかりやすくて、枯れ草への選好性が強いのでクズやオギ原などが枯れ始めるころには頭上にも登ってくる。
頭の上にいるやつはエビチャか小さいのが混じってればフジイで、他にウヅキも結構草の上に上ってるのを見る。
クモ嫌いの人に教えてあげると二度と川には近付かないかも。
エビチャは冬になると石下に移動し活性も鈍る。
温かい時期はその素早さからイオウイロハシリグモの色の濃いものにも見え、冬はメガネなどの大型のヤチグモみたいに見えることもある。
生物全般で脚の構造が少しガッシリしてるものは登攀力に勝り(・・ザトウムシは違うけど)、更にがっしりしてるものは穴を掘る能力を備えてることが多いけど、Arctosaなんかは穴掘り名人が多いのかな。
ヒノマル、カガリビ、カワベ、クロコの4種は土地基盤によって棲み分けてるような・・
  
スズキコモリグモ:
農作とともにどこからともなくやってきた鈴木さん・・
祖母の家のお向かいも鈴木さん・・
海に行くとスズキが泳いでるし、フタバスズキリュウというドラゴンもすんでたらしい。
鈴木さんを知らないまま一生を終えてしまう人は何人いるのだろうか?
アメリカ人も スズキ と サカモト と マキシタ が日本人の名前だろうということは概ね認識してる。
そんなスズキさんが農薬に対する耐性を獲得できないまま滅び去っていった物語を妄想中。
・・っていうかそのようにして激減した史前帰化生物っていうのはごろごろしてるらしい。
RDB(レッドデータブック)に水田で見られる生き物が多いのはそういった事情によるもののようで、稲作の衰退によって生息域を減らしてると説明されがちだけど、実態は薬剤耐性を獲得した生き物が優勢となってそれらに負けてしまうケースも多いようだ。
キクヅキとウヅキはコモリグモの中では薬剤耐性が高そうだ。
ウンカ・ヨコバイなどの薬剤耐性を獲得した農業害虫を捕食することで体内に農薬を取り込んでいくわけで、その食物連鎖の中で特定の薬剤に対する耐性を獲得するか滅んでいくか分かれるのかと。
http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/content...
http://www.knaes.affrc.go.jp/jnews/55/55p03.html
単発で研究されることはあるけど、現在水田に多いクモは耐性の高いクモに絞られてる可能性もありそうだ。
そこで無農薬の田んぼに現れて農薬漬けの田んぼには現れない種類を調べれば、薬剤耐性の低そうなクモが抽出される。
クロココモリグモやシッチコモリグモなんかは、環境の変化とか種間競争というより薬剤耐性を獲得できなかったことがコモリグモの中でもあんまり普遍的なクモでない原因になってるのではないかと想像してる。
本拠地が農耕地の周辺にあって餌を目当てにうろついてるだけの(=一過性利用者)クモは、農薬の影響については農耕地で生活環を成立させてるクモ(=滞在者)ほどには受けなさそうだ。
http://blog.goo.ne.jp/gecko0912/e/f470e7c127602c0e...
偶然見っけたページだけど、ちょっと見たことのないガラの上に大きいようなのでスズキさんっぽい。
北海道では見やすいのかな?
オサムシなどの側溝探しの副産物のようだけど、クモガタガガンボとエゾガロアムシ飼育のコンテンツが興味深い。
側溝探索でスズキさんが狙えるっていうのは中々のトピックスだと思う。
ほかにも特に北の地域ではよくわからないままスズキさんを撮影してるケースが結構あるのではないかと睨んでる。
韓国にもいるようだけど、タイリクミズコモリグモとかスズキさんとかは北から飛んできてるのかと。

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