昨日引き出しを開けたらドラえもんが・・・ - カニグモ ver1.1102 β版
  

上からオビボソカニグモ、ヤミイロの一種幼体、アシナガカニグモ

ニッポンオチバカニグモ:
春に成体として採取して産卵を繰り返して翌年もまだまだ元気というのはカニグモの仲間では経験ないけど、成体になるまでのスピードが早い?一方で成体になってからの寿命は比較的長いようだ。
産卵回数はかなり多いようで、生産力の高さが伺える。
産卵行動は半年以上続くようだけど、オスはメス並みの寿命かどうかは定かでない。
甲殻類だと体格で勝るメスの方が寿命が長いというのはしばしばあることで、メスの方が長生きしてオス入れ代わり立ち代わりとかそういう感じなのかも。
たまにすでに出嚢した古い卵嚢跡を保護してることもある。
意外とカラカニグモのような大型のカニグモの方が一撃入魂で産卵回数は少ないのかな?
カラは晩秋に笹原のササの裏で卵嚢を保護してるのを見たけど、着雪直前のことなので出嚢して北風に乗って子グモが拡散してくのか保護したまま雪の下になるのかはわからない。
母親が卵嚢の上に陣取ってることで気温変動の影響を緩和する効果はあると思う。


成体で採集して1年たってまだ未受精卵の形成が続いてる個体(数週間後に死亡)
ヤミイロカニグモ類とオチバカニグモ類の差は、2年程度の寿命の中でその多くを成長に費やして卵の数を稼ぐか(前者)少ない脱皮回数=少ないエネルギーで成長は手早く済ませて産卵回数を稼ぐか(後者)の戦略の違いっていうのがあるのかも。
オチバカニグモは既に放棄した卵嚢を再び保護する行動が時々見られる。
これは卵嚢形成と卵嚢保護それぞれの行動発現に関する回路が別ってことだろうか。


                  クロスジオチバカニグモ♂亜成体かな?


              門外不出の術式にて正体を占ってみる






         ひっくり返って死んだふり
結局オス亜成体の段階で死んでしまったのでマツモトかクロスジかわからずじまいとなる。         


オビボソカニグモ:
冬季例年越冬が見られるポイントで、5月頃に未分解のリターを除去してその上に伐採されたばかりの新鮮なスギの落ち枝を乗せておき、翌年の1月にリターを採取したところ、採取された(大きな落下物を除く)リター量は5月の時のほぼ半分となり分解中の針葉樹の葉の破片の比率が多くなった。
クモについてはオビボソは出現せず、代わりにこの場所では初めてヤミイロカニグモ系の生まれて間もない小さな幼体と亜成体とが得られた。
これは2つの世代ということになるわけで、小さい方は来年の冬には亜成体になってるのだろう。
土壌採取後に再び周辺の落ち葉を積んで更に一年後には未分解〜分解中のリター量は豊富になってたものの、同じ暗色型のヤミイロカニグモの仲間の幼体が得られたもののオビボソは出現せず。
この場所で2年間隔をあけた時には多数採取されてたけど、2年の土壌熟成を必要とするのか特定の場所で累代繁殖してたものが採集圧や攪乱で消滅してしまったのかは今のところ不明。
これらのことはどの程度再現性があるかはわからないけど、越冬地のリター環境を攪乱してしまうと大きく影響を受けるクモとそうでないクモとがいるんだと思う。
一つのポイントからの土壌ごとの採取は当初の予定通り3年は置いたほうがよさそうだ。
今のところリター層に落葉樹の破片がよく混じってる場所からは見つかってないし、沢沿いでも水面(枯れ沢も含む)からの高さがかなりある場所でも見つかってない。
また得られる場所も支沢の本流との合流点から500m程度のとこに集中してて、水流の出現するあたりから本流までせいぜい1.5km以下の小さな沢や枯れ沢に限られてる。
考え方を変えると2km以上の流程を持つ沢を本流とみなし、更にその枝沢を調べればいいのかも。
ある程度の流程を持った沢沿いはヤミイロカニグモで占められてて、オビボソは見たことない。
なお私有林などで手入れがマメな場所はスギの根元の落ち枝を除去して伐採枝をどこかに積んでたりするので、冬季その下の湿気が保たれてそうな場所を狙うのといいかも。
越冬場所として着雪前にもある程度の水分が保たれてる場所を選んでるようだ。
私有地の場合は人の立ち入りを好まないケースもあるそうだし、長く出入りするためにはあちこち汚さない配慮がいりそうだ。
ハモンエビグモやキエビグモのように寒くなってくると特定の場所にまとまって現れることや、準亜成体程度のステージで出現して若齢幼体が見られないこと。
飼育時に高温多湿に対してカラカニグモやチシマカニグモなど山岳でも見られる他のXysticusよりも弱いことなどから、北方系のクモが冬季を中心に死滅飛来してるのではないかと最近では想像してる。


  オビボソから入れ替わったやつ


裏返してみるとオビボソと違って腹部下面は明るくはない






    オビボソと比べてみる・・・
(この後一回脱皮してオス亜成体になったあと、室温上昇などで4月に全滅したオビボソに続いて5月を目の前に死亡した。)

    ここから下はまた別の物語

     外雌器かと思ったら・・・


   ただの模様でした。


   顏はこんなで・・
 



      こんな感じに成長中。


     結局ヤミイロカニクモに育ったようだ


                ⇒ アッチに続く


               ここからイボ星人のターン


             イボイボ祭りのはじまり

   上から二つ目は♀だけど、一番下は♀亜成体

       ここからみじめなオスのターン


            イボイボ・・イボイボ・・・

             彼らはイボ兄弟ですかね?

           ♀亜成体にまたがろうとしたものの・・・

                   ことわられる

     そんな♀亜成体の脱皮殻のそばに・・・

       ミント味のコンペイトウ星人出現

     このシワシワがオスにとってはいい足場になってるようだ

              祭りはまだまだ続く・・・

            後ろからスルスル近づいてって・・・

        乗車時間はかなり長いので省略、途中交接してるかも


    メスのコブのおかげで収まりがよくなってる    

        よくみると・・・・

    背中に糸を張ってキープ力を増してるようだ
    また下から3つ目の画像のメスの腿の剛毛の整列感がなんともいえない

            例によって・・・

ちょっとちょっかいを出してみたけど、特に反応はなかった 
それどころかよじ登ってきたわけで・・

    
   オスも調子に乗りすぎると(メスに乗りすぎるとだけど・・・)

           反撃を食らうこともあるようだ


           イボカニグモの♂♀のお食事風景

脚が短い割にはよく動き回るクモで、危険を感じるとジャンプして飛び降りる。
メスは特にコンペイトウのようなクモで飛び降りるとカチッと音がする。
ライバルはツクネグモとウズタカダニ。(→ウズタカ画像はヒメグモの項目をドゾ)
形態的にはイボカニグモのイボはどーみてもオスが乗っかる台座で、ペア形成の状態だと白っぽいメスと黒っぽいオスで生き物の糞に見えるのが一つのポイント。
またがったらそく交尾ってわけでもなく、体格の劣るオスがメスにまたがることで生存率も上がるような・・・
同じような色彩パターンは有名なアゲハの幼虫以外でも、ゾウムシやサビカミキリの仲間にもよく現れる。
それら擬糞擬態の頂点はムシクソハムシだと思う。
ハラダカツクネグモなんかも虫の糞に似てなくなくなくもなくて、ムシクソハムシの交尾シーンに擬態してるとの説がある。
オスがメスの背中に乗るときはなんとなく近づいてって、近くなったとこで急にすたすたっと小走りにかけ昇る感じ。
オスが正面から近づいてくるとメスが前足でぐいぐい押し返して追い払うことも多い。
オスと同居させるとメスが危険な猛獣に豹変するヤミイロカニグモの仲間とは違うようだ。
じっとしてるメス亜成体の背中にオスが乗ろうとしたところ、乗りかかったとこでメスが振り落とした。
オス亜成体がメスの背中に乗ろうとするのは見ないけど、画像で乗り回されてたメスだと思ってた個体が脱皮したことから亜成体メスを乗り回して交尾を試みてる状況だったようだ。
背中に乗るのを許されるとシートベルトをしめることもあるようで、よく見るとメスの背中に糸を張ってそれで固着力を増してるようだ。
イボカニグモの特徴としては背中の突起だけでなく側面のシワが顕著だけど、それもよい足掛かりとなってるっぽい。
一見すると地上性のクモにも見えるけど照葉樹林の林床のアオキなどに群れてることがある。
南方から台風や熱低によって大量に飛ばされてきてる可能性もあり。

3人寄れば文殊・・・・ではなくて、オスかと思ってたものの一匹が脱皮してちょっと大きくなった

途中絡んできてる大きいやつはメスだけど、最後は落下して死んだふり・・・
なかなか甲虫みたいなとこある。




   年が明けてポツポツとお亡くなりになってく・・・    


                カビが生えた個体


               もうすぐ採集から1周年・・・・ポツーンと空中静止


                            眼域ドヤ顔・・・・っていうかドヤ眼域か


                    思ったより長く生きたかな


                              今日もメシウマ




                ジャーン!


        お顔を拝見・・・・・・・・明らかに変体です


                  アズチグモの外雌器は特徴がはっきりしてる
若齢幼体で捕えて庭で放し飼いにしてたのがアシタバの花序に陣取って体長12ミリまで育ったことあるけど、ほかではそこまで育ったのは見たことない。


ガザミグモによく似てるという別属のワタリカニグモは形態的収斂か?
顏の淵がもっと角ばってることや、脚に環斑のないのが見分けるポイントらしい。


         中々男前のガザミグモ亜成体でした


     死んだ振り・・・になってないような?   


             もぐもぐ


           10月上旬の採集時は亜成体だったけど9か月たってようやく脱皮


         オスは亜成体になると脱皮抑制スイッチでも入るのだろうか?


                        脱皮9日後のことでした・・・


   触肢はこんなでニッポンオチバカニグモなみにシンプル




ここで一つカネココブシガニでも貼ってみる。
各地の磯に普通にいるはずだけど、同所的なヒライソガニ同様色彩的多型かつ隠蔽色が強いうえ小型なので発見しにくい生き物の一つ。
採収方法は何の変哲もない磯で砂利を素手でひたすらほじるのみ。
擬死状態で出土するので貝殻片や砂礫にまぎれて見落としやすい。
RDBではDD扱いになってるけど、あの項目は大体がただの怠慢ってことで・・


     カネココブシガニは何の変哲もないとこの砂だまりにいる