◆qqtckwrihのSSのまとめです。完結した作品および、新作告知、Wiki限定連載等を行っております(ハル SS Wiki)

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――――【 そして 夜 大雪国の宿 】

…ボスンッ!ゴロンッ……!
 
 
魔法士「ふぅ〜…!」

魔法士「これで、僕らの旅の目的も終わったわけだね……」


乙女剣士「明日は夏休みの10日目。」

乙女剣士「船に戻って、そこから更に馬車で戻ったとしても…30日までには余裕だね」


魔法士「…なんか、あっという間だったな」

乙女剣士「色々あったけど、少しは経験を得て成長した気がする」グッ

魔法士「…僕も、少しは何か得られた気がするよ」

乙女剣士「お互い、この旅を通して成長できたんだよ。きっとね」ニコッ


 
 
 
 
魔法士「…うんっ!」

魔法士「学園に戻ったら、友達に自慢してやろーっと!」


乙女剣士「…」

乙女剣士「……待って、それはやめた方がいいかも」


魔法士「え、なんで?」

乙女剣士「私と一緒に行ったっていうんでしょ…?」

魔法士「そりゃそうでしょ」

乙女剣士「…二人っきりで行ったっていうと、色々問題になりそうな気がする」

魔法士「たとえば?」

乙女剣士「た、たとえばって!」

魔法士「…僕は乙女剣士と来れて、本当に良かったと思ってるよ」ニヘラ


 
 
 
乙女剣士「…っ!」

乙女剣士「……と、とにかくダメなものはダメ!」


魔法士「え〜…」

乙女剣士「えーじゃない!」

魔法士「…っちぇ。でもさ、どうせ親にはバレるのに」

乙女剣士「……それは諦めてる。どうせ、隣同士で幼馴染だし…そういうこともあるかなって言われてそう」

魔法士「そういうこと?」

乙女剣士「…一緒になんか行ったりとかね」

魔法士「そうなのかな?」

乙女剣士「うん、まぁ……」



 
 
 
魔法士「ふーん…。」

魔法士「…」

魔法士「……よしっ、少し落ち着いたし…ちょっと宿のロビーに行ってくるよ」スクッ


乙女剣士「ロビーに?」

魔法士「うん。せっかくだから、お金も余ってるし…大雪国のお土産なんか買っていこうかなって」

乙女剣士「明日でいいんじゃない?」

魔法士「さっき見たら、品薄になってるものもあったし…荷物を下ろしたら見に行こうと思ってたんだ」

乙女剣士「…なるほどね。じゃあ、私は部屋で待ってようかな」

魔法士「一緒に来ない?」

乙女剣士「ちょっとなんか疲れちゃって。お茶とか沸かして待ってるから、行っておいでよ」


 
 
 
魔法士「…そっか。じゃあ行ってくるよ〜」ダッ!

タタタタッ、ガチャッ!バタンッ…


乙女剣士「…」

乙女剣士「……体力がないはずなんだけど、こういう時に妙に元気になるっていうか」クスッ

乙女剣士「でも、今日のことは思い出に残るだろうし、来てよかった……」


…………
……





 
 
 
 

……
…………
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――――【 宿の廊下 】

トコトコ……

魔法士(…ここも、どこも、全部見たことのない知らない世界ばかり。)

魔法士(出発する時とか、出発したあとはやっぱり心じゃグダグダだったけど……)

魔法士(お姉さんと知り合って、拳闘家さんに色々教えてもらって、ブリューナクに感動して……)

魔法士(……へへっ、なんか今は凄く楽しいな。)

魔法士(戻ったら、お母さんとかには色々言われそうだけど……)

魔法士(今は、とにかく家に無事に戻るまでが冒険ってことで、目の前のことに集中していこっ!)


…モワッ!


魔法士「…って、うわっぷ!?」

魔法士「な、何だこれ!なんか蜘蛛の巣みたいな感覚が顔に……!」ブンブン!!

魔法士「う〜、透明な蜘蛛の巣でもあったのかな……」キョロキョロ

トコトコ……




 
 
 
魔法士「……と、とりあえず」

魔法士「乙女剣士を一人で待たせてるのも悪い気がするし、さっさとお土産をー……」


……ボソッ


魔法士(…)

魔法士(……ん、今なにか…廊下の曲がり角から声が?)

…コソッ

魔法士(……おや)


男たち『…それで、あれを』ボソボソ

男たち『あぁ、分かってる…。すぐに準備させて……』ボソボソ





 
 
 
 
…コソコソ

魔法士(……こんな廊下の隅っこで、男の人たちが集まってお話中?)

魔法士(なーんかいい感じはしないけど……)

魔法士(…)

魔法士(よ、余計なことにクビ突っ込んで変なことになったら嫌だし……)

魔法士(さっさとお土産コーナーでも見て、乙女剣士のところに戻ろっと……)クルッ

…ドンッ!

魔法士「うわっぷっ!?」

魔法士「こ、今度はなにっ……!」

魔法士「一体、何にぶつかっ…………」ハッ


大柄な男「……何してんだ、小僧」ニマァ




 
 
 
 
魔法士「…ひ、ひえぇぇえっ!?」


…ザワッ!

男たち「んっ、今の声!誰かいるのか!?」

男たち「そんなまさか、ここには誰も入れないように魔法陣の結界を張ってたはずだ!」

男たち「誰だっ!?」

ドタドタッ…!!


大柄な男「こーんな奴、捕まえたぞ」グイッ

…ブランブラン

魔法士「なんでこーなるの…」シクシク


…………
……




 
 
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 男たちの部屋 】


大柄な男「ふんっ!」

…ポイッ、ドサッ!

魔法士「あうっ!」


男の一人「…」

男の一人「……おい、ガキ」


魔法士「へっ、僕ですか……」

男の一人「お前しかガキはいねーだろうが」ギロッ

魔法士「は、はい!そうですよね!」

男の一人「どうして、あそこにいやがった。俺らの話をどこまで聞いた」

魔法士「ど、どうしてと言われても…。それに、話は何も聞いてません!」

男の一人「嘘つけや。俺らの結界破ってまで入ってくるなんて、俺らの話が目的以外に何がある」



 
 
 
魔法士「…け、結界ってなんのことですか!?」

魔法士「僕はただ、お土産を買おうと宿のロビーにある物販店へ向かっていただけです……」


男の一人「…」イラッ

男の一人「……トボけんのもいい加減にしろよコラ!!」ドンッ!!

…ガシャアンッ!


魔法士「ひ、ひえぇっ!?お茶がこぼれましたよ!!」

男の一人「てめぇな、あまり知らない振りしてっと…後ろの男と楽しい夜を明かすことになるぜ?」

魔法士「え…」チラッ


大柄の男「…」ニマァ


魔法士「」



 
 
 
男の一人「…吐け。誰の命令だ、誰に言われて俺らに迫った?」

男の一人「そもそも、情報がどこから漏れたのかがわからねぇが……!クソがっ!」


魔法士「…だ、だから!」

魔法士「僕は本当に何も知らないんです!!」

魔法士「僕は王都の冒険学園の生徒で、夏休みを使って幼馴染と一緒に大雪国の博物館へ来ただけで!」


男の一人「…」ピクッ

男の一人「……冒険学園の生徒だ?」


魔法士「は、はいっ!」

魔法士「だから、みなさんが何を言ってるのか分かりませんし、僕は話も聞いてません!」


男の一人「…てめぇまさか、魔術かなんかを専攻してやがるのか」


魔法士「え?そ、そうですが……」



 
 
 
男の一人「……ははぁ、なるほどな。冒険学校に通う、魔術師さんってわけか。」

男の一人「道理で、な」


魔法士「…?」
 
 
トコトコ……グイッ!

魔法士「…うっ!?」

男の一人「お前さ、廊下を通る時に…何か妙な違和感がなかったか」

魔法士「い、違和感ですか?」

男の一人「…」


魔法士「…」

魔法士「……あっ」






 
 
 
………


魔法士「…って、うわっぷ!?」

魔法士「な、何だこれ!なんか蜘蛛の巣みたいな感覚が顔に……!」ブンブン!!

魔法士「う〜、透明な蜘蛛の巣でもあったのかな……」キョロキョロ


………


魔法士「…」ダラダラ…

男の一人「…あったんだな?」

魔法士「…ありました」

男の一人「……ちっ。やっぱり陣を通ってるじゃねえか」パッ

魔法士「あうっ…」


 
 

 
 
大柄な男「…魔術師なら、あの人を近づけない歪曲の結界を破れるってことか?」

男の一人「魔法に長けた奴なら、何となしに感覚だけで入って来ちまうこともあるわな」

大柄な男「……ちっ、迷惑なガキが。観光客ばかりの宿で油断しちまったか」

男の一人「…」

大柄な男「で、どうするよ」

男の一人「別段、話を聞かれたわけじゃねぇのが本当だとしても…ちぃと帰すのは怖いわな」

 
魔法士「…えっ、えっ?」アセアセ


男の一人「…まぁ、答えは一つだろ」


魔法士「…ッ!」ブルッ!

魔法士「な、何も聞いていないのは本当です!!」


男の一人「それが嘘か本当かが分からない以上、俺らの判断は一つなんだよなぁ」ゴソゴソ

…チャキンッ!



 
 
 
魔法士「…えっ、短剣」ゾクッ…

男の一人「ツキがなかったと思って、な」ニコッ

魔法士「や…だ……!嫌です、何も聞いてません!!本当です、本当ですっ!!」

男の一人「…っせぇな、黙らせろ!隣に聞こえたらどうする!」


大柄な男「…おうよ!」グイッ!

…ガシッ!!

魔法士「むぐっ!!」

魔法士「ん〜、んむぐ〜〜!!」ブンブンッ!

魔法士「んんんっ〜〜!!」



 
 
 
…スチャッ

男の一人「…

(……ま、今までの人生にご苦労様)


男の一人「…

(ついにで、冥土の土産に教えてやろうか)


男の一人「…

(俺らは、南方大地出身の"盗賊団"の一味だ)


男の一人「…

(表の世界における、宝物である"魔槍ブリューナク"を奪いに来た)


男の一人「…

(ツキがなかったと思って、その命を捧げるがいい)





 
 
 
魔法士「…っ!!」

魔法士(外来語、古来語!?)

魔法士(よく聞き取れなかったけど、ブリューナクを奪うとかそういうニュアンスだったんじゃ……!)


男の一人「…じゃあな、ツキがなかった少年さんよ」ビュオッ!!!

ビュッ、ビュオオォォォッ!!!


魔法士(こ、殺され…る……っ!!!)

魔法士「……ッ!!!!」ギュッ…


……………
……




 
 
 
 

 
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――――【 その頃 二人が宿泊している部屋 】


乙女剣士「…」

乙女剣士「…」

乙女剣士「……魔法士、遅いなぁ」

乙女剣士「せっかく、持ってきたお菓子とかお茶とか色々用意してたのに…」

乙女剣士「冷めちゃうよ……」

乙女剣士「…」

乙女剣士「……あまり気にしてなかったけど、二人で同じ部屋に寝るって…割と緊張しちゃうな」ヘヘ…

乙女剣士「なーんてっ……」


…………
……





 
 
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 男たちの部屋 】


男の一人「…じゃあな、ツキがなかった少年さんよ」ビュオッ!!!

ビュッ、ビュオオォォォッ!!!


魔法士(こ、殺され…る……っ!!!)

魔法士「……ッ!!!!」ギュッ…


ビュオォォッ……

……ピタァッ!


男の一人「…」

男の一人「………んーむ、ちょっと待て。気が変わった」


魔法士(へっ……)ゼェゼェ…

魔法士(と、止まった……?助かったの……?)グスッ……



 
 
 
 
大柄の男「……ん、どうした?」

男の一人「ここで殺したところで、自分らの不利になる可能性の方が高いと思ってな」

大柄の男「…ふむ」

男の一人「せめて、外の人知れないところで殺した方がいいだろう」

大柄の男「あぁ…そうか」


魔法士(助かって…ない……。け、結局…殺されるの……)ブルッ…

魔法士(やだよ…。どうして…僕が……)

魔法士(どうし…て……!どうして、どうして……どうしてっ……!!)


大柄の男「…んじゃどうするよ。今すぐに外に連れ出すか?」

男の一人「この時間は目立つ。どうせ俺らは夜中に行動するはずだったし…そのついででいいんじゃないか」

大柄の男「ほう、ならコイツで遊んでもいいか?」ガハハ

男の一人「…物好きが。大声で叫びそうな顔してんぞコイツ、外に声が漏れたら困るだろうが」


 
 
 
魔法士(や…だ……!)

魔法士(いやだ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だっ!!!!)


大柄の男「…だったら、首の骨折って殺すってのはどうだ?」

男の一人「あぁそうか、それならあとで捨てるだけだし血も残らないか」

大柄の男「俺も遊べるし、じゃあ早速……」グッ…

グググッ…!!ミシッ…!!

魔法士「げ、げほっ…!?」


大柄の男「…」ニタッ

大柄の男「……ふんっ!!」

ギギギギッ…メキャメキャッ……!!




 
 
 

 
 
魔法士「ごぼっ…!」

魔法士(し、死にたくない……!)

魔法士(死にたくない、嫌だ、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない……っ!!)

魔法士(死にたく……ないっ……!!)


大柄の男「…中々耐える奴だな。さっさと楽になっちまい…なっと!!」グッ!!!

…ボ…キッ……!!


魔法士(死にたく……)

魔法士(ない…………っ!!!!!)パァァッ!!


大柄の男「ん、なんだ…この光……」

男の一人「…待て!」ガタッ!



 
 
 
…バチッ、バチバチバチバチィッ!!!バチバチッ!!!

大柄の男「あ、あがががががっ!!?」


魔法士「…ッ!!!」パァァッ!!


バチバチッ、ビリビリッ!!!バチィィィッ!!

バチバチッ…!

大柄の男「…げ…ほっ……!?」

大柄の男「…っ」フラッ…

……ドシャアッ!


…ゴロンッ!

魔法士「げ、げほげほげほっ!!ごほごほっ!!」

魔法士「はっ、はぁっ……!」

魔法士「はぁ、はぁ、はぁはぁ……っ!ぜぇぜぇっ……!!」



 
 
 
一人の男「……今のは、無詠唱の魔法か!?」


魔法士「げほげほっ!ごほっ!」ゴホッ…!


一人の男「冒険学園の生徒っていうだけはあるな…。面白い技を使いやがる」


魔法士「ごほごほっ…!」

魔法士「…っ!」

魔法士「えっ……」ハッ

魔法士(……僕が、上級魔法の技術を使えた?)

魔法士(死にたくないって思ったから、咄嗟に…無意識に出た…のかな……?)


一人の男「面白い奴は嫌いじゃないが……」

一人の男「仲間をいたぶる奴はち〜っと…許せないんだわな……」チャキンッ


魔法士「…ッ!」ビクッ!





 
 
 
一人の男「…実は力を隠してやがったな?やはり、早い段階で殺しておくか」

魔法士(い、一難去ってもまた一難。どうすれば……!)
 
一人の男「死ねぇっ!!」ビュッ!


魔法士(そ、そうだっ!)

魔法士「……ま、待てっ!!」バッ!


一人の男「むっ!」ピタァッ!


魔法士あ、あまり僕…じゃないや。"俺"を…怒らせないほうがいい……」ゴゴッ…


一人の男「…どういうことだい、そりゃあ」ギロッ

魔法士「…」

一人の男「…どういうことだって聞いてんだよ」

魔法士「僕…じゃない。お、俺は…!俺はな……!」

一人の男「あ…?なンだ…?」



 
 
 
魔法士「…ぼ、俺は!王都の冒険学校のエリートコースの主席ッ!!」

魔法士「た、たまたま聞いた手前、その悪行を見過ごせなかった!!」

魔法士「これ以上怒らせれば、俺の電撃が、あなたたち…じゃない、お前たちを貫くことになるっ!!」


一人の男「!」

他の男「!」


魔法士(く、口から出まかせばっか言うしかなぁぁいっ!!)

魔法士「今すぐ、ぶ、武器を下ろしてくださ……おろせぇっ!!」

魔法士「さもなければ、今すぐにでも…この部屋から真っ赤な花火が飛び散ることになる!!」パァァ!!


一人の男「なんだと!?」

他の男「なんだって…!?」ガタタッ!




 
 
 
魔法士(僕の趣味で読んでいた、偉大なる魔術師"グランドマスター"伝記第二章の有名なせりふっ!!)

魔法士(お願いしますお願いしますお願いします、ハッタリがきいてください、きいてくださいきいてくださいきい)


一人の男「……じ、上位魔法を扱える男のセリフだ。」

一人の男「その話は、嘘じゃなさそうだな……」


魔法士(いえ嘘です。嘘なんですけど、信じてくださいお願いしますお願いしますおねが)


一人の男「…っ!」ギリッ

一人の男「……へ、下手に派手な魔法を放たれたら俺らとしても不利だ。外部にバレる…」


魔法士(…!)

魔法士(そうか、そういう手もあったんだ!)

魔法士(この人、意外とバカかもしれない!それもいただきます、ゴメンなさいっ!)


魔法士「……今すぐにでも、この部屋ごと吹き飛ばす…それを実践しようか!!」パァァッ!!!



 
 
 
一人の男「…ッ!?」

一人の男「……ま、待て!分かった、武器を下ろす!」

一人の男「俺らもハデにやられたら困るんだ!」ポイッ

…カランカランッ…!


魔法士(うっ、うわぁぁぁあああああっ!!た、助かったぁぁぁあああっ!!?)

魔法士「よ、ようし。それでいいぜ……!動くなよ……!」


一人の男「くそが…!お、俺らにこんな無様をさせるなんてよ……」

一人の男「イイ度胸じゃねえか…。決してその顔、忘れねぇからな……」ギロッ!


魔法士「」


一人の男「それで、武器は捨てたぜ…。このあとはどうすればいいんだ……?」



 
 
 
魔法士「……そ、そのまま動くな。」

魔法士「ぼ…俺としても、学生の身であまりハデすぎることはしたくねぇ……」

魔法士「今日のところは特別に見逃してあげます…、じゃない。やるよ……」ニ、ニタァ…


一人の男「…!?」

一人の男(な、なんて恐ろしい顔だ……!)

一人の男(隙あらば、俺らを吹き飛ばそうと…狙ってやがる顔だ……)タラッ…


魔法士(か、かっこいい人ってこういう時にニヤっとするけどさ……)

魔法士(そんなのしたことないし、引きつった笑顔になっちゃったよ…!)ニタァァ……


一人の男「…そ、外に逃げ出して、俺らのことを誰かに言うつもりか?」


魔法士「フィフティフィフティ、俺を見逃す以上…と、特別にお前らのことは言わねぇ…さ……」ニタァァァ……




 
 
 
一人の男「…ッ!!」ゾクッ…

一人の男(末恐ろしいガキだ……!つまり、特別に俺らを見逃してやる。その気になれば、俺らをいつでも吹き飛ばせると……)

一人の男(そう、脅してやがるんだな…!あの顔…分かるぞ……!)


魔法士「…っ!」ニ、ニタァ…

一人の男「…っ」

他の男たち「…っ」


……シーン…… 


魔法士(だ、だめだ……!)

魔法士(これ以上ここにいても、進展はないし…!もう、あとは勢いだけだっ!!)

魔法士「…じゃ、じゃあなっ!!また会おうぜっ!!」バッ!

ダダダダッ、ガチャッ!!バタンッ!!!




 
 
 

一人の男「っ!!」ビクッ!

他の男たち「……なっ!に、逃がすかっ!」ガタタッ!

一人の男「…ま、待てお前らっ!!」

…ガシッ!

他の男たち「…お、長!?」


盗賊団長(一人の男)「……本当に恐ろしいガキだ。あの顔を見なかったのか」


団員たち(他の男たち)「え…?」


盗賊団長「俺らを殺してやるという自信の目、あの妙な笑顔……。」

盗賊団長「……この空間の中で、この状況を狙ってしてやったのだろうという言い草!」

盗賊団長「あんなクソガキに舐められたのは恥だが、俺らは最初から負けていたんだ……」


団員たち「そ、そんな……」



 
 
 
 
盗賊団長「お、恐ろしいガキだ。いずれ、敵になって牙をむくやもしれんな……」

団員たち「…っ!」

盗賊団長「だが、二度とこんな恥はしねぇ。今回は見逃すが、次はプライドにかけてでも必ず殺す……!」

団員たち「はいっ…!」


盗賊団長「しかし今は、俺らにも俺らの仕事がある以上…構ってはいられない。」

盗賊団長「少し早いが、月が欠け、闇夜に包まれる今日!」

盗賊団長「魔槍ブリューナクを必ずこの手に!!」


団員たち「おぉぉぉおっ!!」


…………
……





 
 
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 魔法士と乙女剣士の部屋 】


ダダダダッ、ガチャッ!!!

乙女剣士「…えっ!?」ビクッ!


魔法士「…」

魔法士「……っ」フラッ


乙女剣士「ちょっ、魔法士!?ま、待って!お風呂入ってあがったばっかりで!!」ババッ!!

魔法士「…乙女剣士」フラフラ

乙女剣士「ば、ばかっ!!まだバスタオル1枚だから、ちょっとまだ出ててって!!」

魔法士「…」フラッ

フラフラフラッ……ギュウッ!!

乙女剣士「えっ!?ちょっ、魔法士っ!!?」カァァ!


魔法士「俺は…、もう…、だめ…だす……」


乙女剣士「お、俺って…!?っていうか、だめだす!?何が!?それに、何で抱きつい…!!」



 
 
 
フラッ…バサアッ!

乙女剣士(べ、ベッドに押し倒さ……!)


魔法士「やっと…安心できて…。涙が……」グスッ…

乙女剣士「えっ…?」

魔法士「ぐすっ……!」ポロポロ

乙女剣士「な、何…?」

魔法士「あうぅ〜……!」

ギュウウッ……!


乙女剣士「ちょ、ちょっと……!」カァァ!

乙女剣士「このっ…!落ち着きなさーーいっ!!」

ビュンッ……!!


…………
……





 
 
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 10分後 】


コチ…コチ……


魔法士「……ということです」ボロッ


乙女剣士「それで、私に抱きついて泣いたってことね……」

魔法士「お、乙女剣士の温かさとか、声で、つい抱き着いちゃって……」

乙女剣士「…」

魔法士「…ごめん」

乙女剣士「……そんなことがあったなら、謝る必要はないよ」

魔法士「!」

乙女剣士「私のほうこそ…そんな事情があったのに引っぱたいてゴメンね……」

魔法士「そ、それは僕が乙女剣士を押し倒したから!」

乙女剣士「その言葉は色々と誤解を生むから」

魔法士「うぅ……」


乙女剣士「でも、そんなことがあって…魔法士が無事で戻ってきてよかった……」

乙女剣士「







ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。
乙女剣士のワンシーンを最後に書き溜めは終了しておりますが、ストーリーの本質はほぼ見えていたと思います。
テーマは「四本の槍」で、ひと夏休みに彼と彼女に起きた物語となります。

それで、以後こちらはお目見えする機会はないと思いますので、考えていたストーリーの全てをバレとして記載致します。

<設定より抜粋>
・ローブの男は魔法士自身
・あの男は福引チケットを渡すよう、あの時間へ現れた
・東西南北にあったと思われていた槍は、実際は中央にもう1本あった。
→それは「ロンゴミニアト」という全てを束ねし槍だったが、歴史から消滅していた。
・盗賊団の仕業により、槍は盗まれ、それがきっかけとなって戦争へ
・たまたま「ロンゴミニアト」槍を魔法士は入手してしまい、人智あらざる力を身に着ける
(世界を救っていく・最終的には時を飛ぶことができる)

上記となっています。
簡単にストーリーを説明すると、終盤の盗賊団が槍を盗み、それを売った先の戦士があらざる力を身に着け、暴走。
村を壊滅させ、それに惹かれた人々もその戦士をリーダーとして更なる集団となって暴走していく。
世界も対抗しようとするが、究極武器ともいえる槍を得た戦士は抑えられず、いよいよ槍には槍をぶつけるため、他の槍を国ごとに用いて応戦。
しかし、そのうちの1本をもつ兵士がその戦士へと裏切り、2対2の状況となって戦況化は再び「世界戦争」へとなっていく。
そんな中、中央王都へと逃げていた魔戦士は戦争から逃げている地下壕の奥深くで汚らしい箱から「小さい棒」のようなものを見つけるのだが、
実は、それこそが4本を束ねし王の槍、「ロンゴ・ミニアト」であった―――。

というストーリーで展開する予定でした。
これは自分の「少年剣士」大陸戦争編や、魔剣士のストーリーと類似したもので、その過程で生まれた作品のようなものです。
さて、いかがでしたでしょうか。
今後このような形で表に出していない作品をアップしていこうかなーと思いますので、機会があればまた見てやってください。
それでは失礼いたします。



<おまけ>
2014年6月頃に書いた設定資料から「抜粋(そのまま)」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
・最終的に時間に逆らい、福引チケットを自分に渡し、世界を救う手立てとする
(あの場所へ滑るようにしかける)
東 east -
西 west -
南 south -
北 north
ローブの男→自分。
当時の自分は、似たような境遇の話を聞いて勇気を出すだろうと思って話をする。
ロンゴミニアト→かつての英雄王と呼ばれた男の槍。
エクスカリバーとの抱き合わせだったが、持つ者に力を与えたなど。
ロンゴ・ミニアド
ミニアトの槍?
ロンゴの槍?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


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