1日
大阪市は6月、西成区で医療や雇用、高齢化などの抜本対策を進める「特区構想」の実現に向け、労働者の街・あいりん地区に詳しい学識者やホームレスらの支援活動に携わるメンバーを集めた専門チームを立ち上げる。今秋までに構想原案をまとめ、橋下徹市長に提案する。座長に就く予定の鈴木亘学習院大教授(社会保障論)は、大学院生の時から西成でホームレスの健康問題などを研究し、橋下氏の要請で市特別顧問に就任。すでに関係団体との調整や情報収集を進めている。メンバーはほかに、水内俊雄大阪市立大教授(都市社会地理学)や松村嘉久阪南大教授(観光地理学)ら観光政策やあいりん地区に詳しい研究者のほか、地元住民らと街づくりを進める「萩之茶屋まちづくり拡大会議」事務局長の寺川政司近畿大准教授や、「釜ケ崎のまち再生フォーラム」事務局長のありむら潜氏も参加。
6日
橋下大阪市長は6日、市内で高齢化率などが突出して高い西成区の活性化策として打ち出した「西成特区構想」に、戦前戦後に漫才師らが住み、「てんのじ村」と呼ばれた一角を活用した振興策を盛り込む考えを明らかにした。てんのじ村は通天閣に近く、上方演芸発祥の地とも言われる。西成区内に記念碑が立つ。構想では、区内や周辺の名所などを巡るウオーキングツアーに、てんのじ村を組み込む。ツアーのテーマを大衆芸能とし、若手落語家が説明者を務める案も出ているという。橋下市長は、六代目桂文枝の襲名あいさつで市役所を訪れた桂三枝さんに、「てんのじ村は西成の宝。ツアーの核に位置づけて発信したい」と構想への協力を要請。三枝さんも快諾した。
14日
14日夜遅く、大阪市西成区で帰宅途中の男性が4人組の男に襲われ、財布を奪われました。この直後にも別の男性が襲われていて、警察が関連を調べています。14日午後11時50分ごろ、西成区の路上で帰宅途中の会社員の男性が4人組の男らに背後から首に腕を巻きつけられ、「金を出せ」と脅され頭などを蹴られました。男らは男性の財布を奪って、逃走したということです。この20分後、現場から2キロ東の阿倍野区の路上でも、3人組とみられる男らに大学講師の男性(38)が首に腕を巻きつけられ「金を出したら離してやる」と脅され、暴行を受けたということです。襲われた2人の男性はともに軽傷で、警察は同一犯の可能性もあるとみて、逃げた男らの行方を追っています。
21日
大阪市西成区は、区内の生活保護受給者を対象に8月から実施予定だった「医療機関等登録制度」について、受診先の制限を緩める修正案を決めた。医療機関を1診療科につき原則1か所に限るとしていた従来の案を「医学的必要性に応じて複数の選択も可能とする」とし、名称も「医療機関等確認制度」に変える。登録制度は、橋下徹市長が2月に打ち出した全国でも例のない受診制限。自己負担のない生活保護による医療で過剰診療や重複受診、重複処方が一部で目立つことから、その適正化を目的に、生活保護率が特に高い西成区で試行を計画した。〈1〉病院・診療所は診療科ごとに1か所、調剤薬局は受給者ごとに1か所を登録し、利用を限定する〈2〉専門医を受診したい時は医師の紹介状を前提に福祉事務所で判断する――という内容で、すでに各受給者に登録リストを発送。6月に入って「登録先以外は(受診に必要な)医療券を原則、発行しない」として、実質的に運用を始めていた。修正案では、保護受給者に「医療機関等確認証」を渡し、薬局も複数利用を認める。一方、過剰処方を防ぐため、診療や薬の内容を記録する区薬剤師会の「お薬手帳」を持ってもらう。当初の案に対し、医師会や薬剤師会、生活困窮者支援団体などから「患者が受診先を選ぶ権利を侵害する」と強い反発が出たため、修正を余儀なくされた。
25日
大阪市の「西成特区構想プロジェクトチーム(PT)会議」の第2回会合が25日開かれ、老朽化が著しい日雇い労働者の拠点施設「あいりん総合センター」(西成区)について、移転させる方向性が示された。今後、移転先などについて建物所有者の国や大阪府と協議し、橋下徹市長が秋をメドに最終決定する方針。同センターは、国や府の労働支援施設のほか、大阪社会医療センター、市営住宅が入る複合施設。現行の耐震基準が施行される前の昭和45年に建設され、耐震性の低さと老朽化への対応が課題となっていた。橋下市長が打ち出した西成特区構想の実現に向け、2月に発足したPTの分科会で、センターの再生について、耐震改修▽移転▽現地建て替え−の3案を検討。その結果、費用対効果から、移転案が最も適切との結論を出した。移転先について、PTはあいりん地区内の別の場所とすることを軸に、市の未利用地を活用する方向で検討する。今後、国や府とも移転先や建物内の構成などを協議し、9月末までに具体案をまとめる。
26日
26日午後1時40分ごろ、大阪市西成区太子2の路上で、「交通事故で人がひかれた」と近くに住む男性から110番通報があった。大阪府警によると、ワゴン車が付近の狭い路地を暴走しながら通行人の男女計6人をはねた。車は北に約1.5キロ離れた同市浪速区日本橋5の交差点でトラックに衝突して停止。駆け付けた捜査員が、運転していた自称、大阪府河内長野市汐の宮町、職業不詳、永田邦勝容疑者(32)を道路交通法違反(信号無視)の疑いで現行犯逮捕した。負傷した6人のうち、西成区の無職男性(60)が骨盤骨折などで重傷、他の22〜60歳の男性4人、女性1人は軽傷。捜査関係者によると、永田容疑者の関係先から注射器が見つかった。府警は尿検査して覚醒剤を使用していなかったか調べている。今後、永田容疑者を勾留先の浪速署から西成署に移し、道交法違反(ひき逃げ)容疑などでも捜査する。