CoC界隈で活動している黒江による、クトゥルフ関係の制作物置き場。

1.シナリオ概略
物語は探索者達がミ=ゴと遭遇し、異星の生物学者であるハルカと出逢う所から始まる。
友好的な異星人であるハルカの警告により、探索者達は舞台である加狩山(かがりやま)周辺、ひいては地球全体にミ=ゴの侵略という危機が迫っていることを知る。
調査を進める内に、探索者達は加狩山にある廃坑と、ミ=ゴに協力する人間の勢力に関する情報を掴む。
ミ=ゴは廃坑で希少鉱物を採掘するためのコロニーを形成し、一部の人間と協定を結んで近づく人間を排除しつつ、地球侵略の橋頭保を築こうとしているのだ。
ハルカと協力し、また彼を匿いながら、探索者達は危機を排除するために奔走することになる。

2.NPC紹介
【ハルカ】37歳 雌雄同体
異星の生物学者
STR8 DEX12 INT20 アイデア99
CON24 APP- POW12 幸運60
SIZ10 SAN- EDU20 知識99
HP17 MP12 回避24 DB0
生物学:88% 医学:82% 薬学:77% 化学:71% 天文学:70%
物理学:58% 電気修理:52% 機械修理:52% 重力工学:44%
武器 こぶし 50% 1d3
   ガス銃 50% ミ=ゴに対してPOT16、それ以外にPOT4
   基本射程10m 1R1発 装弾数4 耐久力5 故障ナンバー96
装甲 2ポイントの甲皮と1ポイントの船外活動服

地球から約1万光年離れた星系からやってきた異星の生物学者。同種族の平均的な個体に比べて知能が高く、容姿が優れているがやや体格は小さい。
若年より宇宙飛行士となるための高等教育を受けた知識層である。本名を無理やり日本語訳すると「3番目の月・星を見る者・非常に遠い」という意味になるが、これ以降は便宜上「ハルカ」と呼称する。
植民のため「第三さきぶれ丸(Harbinger掘法廚望菫イ薫椽参椎修箆農韻鮹気肯垢暴个襪癲▲肇薀屮襪里燭瓩笋爐覆地球に着陸した。チャレンジ精神旺盛な性格をしており、友好的かつ献身的。
ハルカの技能については基本的に異星の学問形態であるため、地球では役に立たないことが多い。
しかし既存の知識を生かして類推することができるかもしれないし、物理学や天文学、化学など、宇宙で共通の法則に基づくものであれば役に立つかもしれない。詳しい性格や行動などは後述する。

藤原 凌【ふじわら りょう】40歳 男性
山岸鉄鋼の社員
STR10 DEX14 INT14 アイデア70
CON8 APP7 POW11 幸運60
SIZ11 SAN25 EDU16 知識80
HP10 MP11 回避28 DB0
言いくるめ:72% 心理学:70% ナイフ:60% 経理:55% 
運転〈自動車〉:50% 法律:48% 博物学:40% 地質学:38%
重機械操作:30% 電気修理:32% 
武器 こぶし 50% 1d3
   折り畳みナイフ 60% 1d4

那砂町(なすなちょう)および加狩集落に事務所を持つ山岸鉄鋼という会社の社員。職階は課長で、十人程度いる社員を束ねている。
彼の役割はミ=ゴのコロニーとなっている加狩炭鉱跡の保全と、研究施設の運営である。高圧的で倫理観に欠けたような雰囲気のする男性で、時に暴力をちらつかせて相手に譲歩を迫ることもある。

3.舞台
シナリオの舞台となるのは、本州内陸部に位置する標高600m程度の加狩山と、その麓の那砂町である。以下その基礎的な情報を述べる。

〈加狩山〉
標高約600mの低山。昭和中期まで炭坑が存在したが、石炭業の衰退とともに採算が合わなくなり閉山。以降は気軽に登山できる山として登山道を整備するものの、往時の活況は失われている。
3合目付近に加狩集落と呼ばれる集落が存在している。集落の中にはみやげもの屋、民宿、山岸鉄鋼の事務所がある。別称「かみなり山」。

〈那砂町〉
人口約3万5000人の自治体。以前は石炭が主要な産業であったが、現在は酒造や観光に力を入れている。
近隣に人口30万規模の都市があり、そこまでのアクセスは電車やバスで約1時間。気候は冷涼で住みやすい。県道沿いにホームセンター、中央市街に小さなビジネスホテル、図書館等がある。



4.導入
参加する探索者は、那砂町周辺の住民、旅行者、ジャーナリスト、オカルト愛好者、作家などが考えられるが、ある程度時間に余裕があり、那砂町を訪れる理由がある人間であれば誰でもよい。
探索者相互の関係はあってもなくてもよいが、全員で協力して事件に臨むことが前提となっている。
舞台となる加狩山には奇妙な噂がある。それは以下のようなものであるが、探索者はこの噂に興味を持って那砂町を訪れた、ということにしてもよいだろう。

〈加狩山の奇妙な噂〉
加狩山は別名「かみなり山」と呼ばれている。その理由は「晴れているのに山中で雷のような音がすることがある」とか「落雷で死亡したと思われる死体が稀に見つかる」といったものである。
また登山が容易な山であるにもかかわらず、年に1人ほどの行方不明者が出るので、地元住民は「神隠しにあったのではないか」と噂している。
これらの噂は歴史的、民俗学的な裏付けのあるものではなく、ここ数十年の間で定着したもののようである。
また近年では「宇宙人を見た」という証言が相次いでいる。体長1mを超える大きな昆虫のような未確認生命体とのことで、時に数匹の群れを成して飛んでいるそうだ。
しかし撮影に成功したり、その身体の一部を持ち帰ったりした人物はいない(ミ=ゴは写真に写らず、死後その体は速やかに溶解してしまう)ため、都市伝説的な扱いを受けている。
直近の事件としては、ぼんやりした大きな影のようなものが山の中腹に下りて行くのを見た、という人がいる。しかし上述のような噂もあってか、詳しく調査をおこなった人は今までいないそうだ。

ともあれ探索者達は、まずとある地点に集合する必要がある。それは加狩集落から西に30分ほど歩いた位置にある、ハルカの脱出艇着陸位置付近である。
前述の噂を聞きつけて向かったことにしてもよいし、地元住民として山菜取りの途中でもよいし、うっかり登山道から転げ落ちてそのまま迷ってしまったということでもよいし、
懐中時計を持ったウサギを追いかけていたということでもよい。

4.ミ=ゴ強襲
探索者達が道なき道を進んでいると、上空から大きな羽音がすることに気付く。
〈聞き耳〉に成功すれば事前に察知できるが、失敗すれば接近されるまで気付かない。5匹のミ=ゴが上空から突然現れ、探索者達に気付く。

〈描写〉
上空を飛んでいたのは5体の奇妙な生き物だった。
甲殻類の身体に5対の腕。頭部には感覚器と思しき名状しがたい体組織。
背中から伸びた薄い皮膜は、ブンブンと忙しなく羽ばたいている。
羽を広げれば人間以上の大きさがあり、それぞれが統制を保って滞空している。
明らかに知性を持っており、明らかにこちらに敵意を抱いている。
未確認の恐怖に包まれた探索者は、0/1d6の正気度を喪失する。

労働者ミ=ゴ
STR8 DEX14 INT10 アイデア50
CON10 APP- POW10 幸運50
SIZ10 SAN- EDU- 知識-
HP10 MP10 回避28 DB0
武器 ハサミ 30% 1d6および〈組み付き〉
装甲 銃弾や刃物などの貫通する武器は最小限のダメージしか与えない

労働者階級のミ=ゴ。能力値は一般に低いが、脅威なのはその数である。通常は鉱石採掘やコロニー拡張などの役割を担っている。
ミ=ゴは大気中での飛行能力が低く、水や日光も苦手としている。また体表にある気孔から外気を取り入れるため、有毒ガスに対して極めて脆弱である。

兵士ミ=ゴ
STR14 DEX16 INT15 アイデア75
CON14 APP- POW12 幸運60
SIZ14 SAN- EDU- 知識-
HP13 MP12 回避32 DB+1d4
武器 ハサミ 50% 1d6+1d4および〈組み付き〉
   電気ライフル 30% 2d8 特殊
装甲 銃弾や刃物などの貫通する武器は最小限のダメージしか与えない。さらに打撃、炎、電気に対して機能する8ポイントのバイオ装甲。

戦士階級のミ=ゴ。労働者階級に比べて数は少ないものの、身体が一回り大きく、装備も充実している。
通常はコロニー周辺の監視、警備、労働者の管理などをおこなっている。小さな群れのリーダーを務める者もいる。

〈ミ=ゴの電気ライフル〉
長さ50cm程度の、針金が巻かれた木片のような形をしている。命中した場合、算出したダメージを対象のCONと比較する。ダメージがCONより低かった場合、対象の技能値は2d3Rの間半分になるのみである。
ダメージがCONより高かった場合は、上記に加えて算出されたダメージをそのまま受けてしまう。〈電気修理〉に2回成功すれば使い方を理解することができ、初期技能値は〈DEX*1〉か〈INT*1〉である。
装填数10、射程20m、耐久力6、故障ナンバー97。この武器についてはサプリメントである「キーパーコンパニオン」のp109に記載されている。このライフルの発射音とその犠牲者が、「かみなり山」という別称の由来である。

襲撃に参加するミ=ゴの内訳は、労働者が4体、兵士が1体である。彼らはこの付近に着陸したハルカの脱出艇を偵察しに来たところ、探索者達と遭遇したのだ。
ミ=ゴ達にとっても予期せぬ遭遇であるため、探索者達には1Rの間、逃走のチャンスが与えられる。
あまり賢明な判断とは言えないが、探索者達がミ=ゴと戦闘した場合、兵士が撃退されるか、労働者が3体撃退された時点でミ=ゴ達は撤退する。

5.異星の生物学者
ミ=ゴの襲撃から最初に逃走した探索者、あるいは全員が1d100をロールして一番高い値を出した探索者は、突如足元に開いた穴に落ちて1d3ポイント(〈跳躍〉に成功すれば0ポイント)のダメージを受ける。
ミ=ゴは先回りして前後から迫り、探索者達は続いて穴に飛び込まざるを得ない状況に陥る。キーパーはスムーズなシナリオ進行のため、あの手この手を使って探索者達を穴の中に追い込むこと。
探索者が落ちた先は、ハルカが乗ってきた脱出艇の内部である。直径10m、高さ3mほどの円盤型をした空間で、内装は非常に未来的かつ人工的である。デザインは曲線的で、壁には計器と思しき機械類が埋まっている。
そして気温は40度を超えており、非常に暑い。空間の奥の方には驚いたハルカが硬直したようにしてこちらを覗っているのがわかる。
ハルカの体高は150cmほどである。衣服と思しき布に包まれた、人間に似た胴体の上に、セミに似た頭部が載っている。
ハルカは人間の様に声帯から声を出すのではなく、首のあたりにある体節からブンブンという音を出してコミュニケーションを取る。
頭部には2本の触覚がついており、風の流れや微妙な振動などを感じることができる。この異界の昆虫族と遭遇した探索者達は、0/1d4の正気度を喪失する。

〈脱出艇〉
円盤状のスペースとコックピットからなる全長15mほどの宇宙船。常温核融合による半永久的なエネルギー供給が得られる。
水、酸素、食料(風味の付いた砂糖や水飴のようなもの)の備蓄があるほか、簡単な機械工作や各種分析をおこなうことができる。
母船である第三さきぶれ丸と違ってワープ航法による恒星間飛行能力はない。現在は偽装のため、地中1mほどに埋まっている。

〈異星の昆虫族〉
ハルカが属するこの種族は、地球から約1万光年離れた星系にある、地球によく似た温暖な惑星に住んでいた。身長と体重は人類と同じかやや低い。
直立二足歩行だが、背中のあたりに羽の、腰のあたりに脚の退化した痕跡が残っている。人類同様、主に炭素化合物で構成される生物で、酸素を使ってエネルギー産生をおこなう。
異なる個体で交配を行うが、性別は持たない。卵生。身体は外骨格に覆われている。知能も高いが、特筆すべきはその適応力である。
熱、乾燥、毒や感染症、飢餓に高い耐性を持ち、環境が激変した場合は休眠状態で非常に長い期間生存することができる。
高度な文明を持っていたが、その発展速度は人類のそれに比べて緩やかであった。いわゆる草食性で糖類が主食。争いを好まない。
彼らの文明においては、他者や社会に奉仕することが至上の価値であるとされている。二酸化炭素や炭酸で酩酊し、タンパク質や脂質を大量に摂取すると下痢をする。

〈ハルカについて〉
ハルカが属する種族の中では若い個体である。知能や教育水準はトップレベルで、学位に相当するものを複数所持している。
専門は生物学で、科学者兼船医として宇宙船に乗っていた。炭酸水好きではあるが、航行中は飲むことができなかった。食に関するチャレンジ精神が特に旺盛である。
彼らの文明に宗教のようなものはあるが、アニミズムに似た大らかなものである。ハルカ自身は強い信仰心を持たないが、「ニュートリノ」を神と同じような文脈で使うことがある。
母星の平均気温が約40度であるため、地球では大抵寒がっている。

ハルカは自分に敵意がないことを(体節を震わせながら)身振り手振りで伝えるが、意図を察するには〈アイデア〉が必要になるだろう。探
索者達がどのような反応をするにせよ、傍らにあった翻訳機をおぼつかない手つきで装着する。少しの調整を経て言語でのコミュニケーションが可能となるだろう。
ハルカは地球上空に停泊中、およびこの場所に着陸してから電波の傍受をおこなっており、情報をコンピューターで解析しているため、地球の言語(主に日本語)や科学、文化について基本的な知識を得ている。
「OK、落ち着いて欲しい。そうだ、飲み物でも飲みながら話そう。生憎、蒸留水しかないけれど……」
ハルカは手元の端末で『異星人接触マニュアル』を参照しながら、極めて友好的に探索者達に接する。そして自らの来歴について語るだろう。

6.ハルカの物語
ハルカの住んでいた惑星は、成熟した文明によって、ミ=ゴとの散発的な争いを除けば、おおむね平和な暮らしを送っていた。
しかしミ=ゴの大規模な工作によってか、あるいは自然な天体の活動としてか、星系の恒星が活動を弱め、惑星の気温が不可逆的に下がり始めた。
このままいけば、約300年程度で居住が不可能になってしまうと天文学者たちは予測した。その解決策として考案されたのが、「さきぶれ計画(Mission Harbinger)」という、外惑星への移住計画である。
その計画は、確立された技術であるワームホールによるワープ航法によって複数の星系を探索し、居住可能な惑星を探す、という途方もないものであった。
幾度かの試みの後、ハルカを乗せた第三さきぶれ丸は母星を旅立つ。ほとんど成功の見込みのない死出の旅であったが、乗員はみな名誉ある任務に胸を躍らせていた。
しかしある星系にて母船は不幸に見舞われる。ミ=ゴの大規模なコロニーの近くを通過し、捕捉されてしまうのだ。
戦術兵器による攻撃で致命的な損害を追った母船は辛うじてワームホールに飛び込むも、極めて強い重力場に捉えられてしまう。
絶望的な試みの後に、(乗員の中で最も若い)ハルカだけを乗せた脱出艇がワームホールを脱出した。
しかしウラシマ効果(ここでは重力によって時空が歪み、外よりも時間が遅く進むこと)によって、既にハルカが母星を出発してから1200年の時間が経過していた。
母星との連絡も絶え、母船と仲間を失ったハルカは、しかし幸運にも地球の近くに漂泊していた。
もはや旅の目的を達成することは意味をなさなくなったが、それでも文明の光と、大地を再び踏みしめたいという想いに導かれて、ハルカは地球へと降り立った。
そうして加狩山に着陸したハルカは、脱出艇を地中に隠しつつ、地球文明との接触の為に準備を進めていたのである。

7.因縁の相手
ハルカの種族は長い間ミ=ゴに悩まされてきた。ハルカの母星にはミ=ゴが求める鉱物が多くあり、ミ=ゴがコロニーを形成しては、それを撃退するということを繰り返してきたのだ。
ハルカはミ=ゴのことを「時空の羽虫」と呼称し、平和な知的生命体とは決して相容れない存在であることを強調する。そしてこのままではミ=ゴに地球が侵略されてしまう、と探索者達に強く警告する。
地球にミ=ゴに対抗する組織が存在しないことを知ると、ハルカは驚愕する。彼らの文明における警察や軍隊が存在しないようなものだからである。
政府や組織に頼れないならば、自分たちがやるしかない。社会への奉仕に高い価値をおくハルカにとって、公益の為に身を投げうつのは当然のことであるが、探索者達にとってはそうではないだろう。
しかし警察や自衛隊に通報しても、相手にされないどころか悪戯と見なされるだろうし、またハルカの存在を世間に公表すれば、事件は完全に探索者達の手を離れてしまう。
それは双方にとって望ましい結末ではないだろう。結局のところ、探索者達は自力でミ=ゴに対抗するほかないのである。これを放置すれば、遠からずミ=ゴはより大量の勢力を地球に送り込んでくるだろう。
ハルカ達の文明は長らくミ=ゴと争ってきたため、彼らに関する基本的な知識を持っている。
丘陵や山岳にコロニーを作って鉱石を採掘すること、奇妙な方法で異空間から個体を送り込んでくること、大気中での動きは鈍いため、目撃された場所付近にコロニーがある可能性が高いこと、雨と有毒ガスに弱いこと、などである。
ただし、全てのミ=ゴが同じ種族、同じ生物であるとは限らないので、ハルカもすべてを知っているとは言い難い。
探索者達はハルカを連れ出してもよいし、ハルカと脱出艇の中で過ごしてもよい。別々に拠点をおくのも問題はない。
ただしハルカを連れ出すためには、人目の少ない時間を選ぶか、〈隠す〉で大きな荷物に偽装するか、〈変装〉で人間らしく姿を整える必要があるだろう。
ハルカを脱出艇に残す場合は、水、食料、連絡手段を提供する必要があるかもしれない。
なおハルカは炭酸水を好んで飲む。この時点で探索者達に、酒屋で購入することができる炭酸ガス添加用のボンベ(ミドボンとも呼ばれる緑色のボンベ)の存在を認識させておくと、
シナリオ終盤で作成する道具の材料集めがスムーズに行くだろう。
探索者達が集落から脱出艇に向かう時、キーパーは1d100をロールする。出た目が一定の値以上であれば、1d3体のミ=ゴに襲撃される。
出た目が96以上であれば、その中に兵士ミ=ゴが含まれている。基準となる数値は以下の通り。

日中の場合:晴天85、曇天70、雨天95
夜間の場合:晴天60、曇天60、雨天90

よほどひどい雨や嵐の場合には、全く遭遇の危険がないということもありうる。〈忍び歩き〉や〈隠れる〉を使用して慎重に進んだり、〈変装〉で迷彩を施したりすれば、より安全に移動できるだろう。
キーパーは手間を省略するために、もっと簡易に処理をおこなってもよい。ミ=ゴとの戦闘を多くしたいならば、行きと帰りで1回ずつロールをおこなってもよい。天気はまた別個のダイスロールで決めるのが適切だろう。

8.ミ=ゴへの対策
ミ=ゴは厄介な相手であるが、いくつかの対策を取ればその危険性を下げることができる。
・場所を利用する
ミ=ゴの身体は人間と同程度の大きさで、またその飛行速度はそれほど速くない。したがって葉が付いた木々が密生しているような地域では、探索者達を素早く追跡することができない。
そのような場所で逃走のためのDEX抵抗ロールをおこなう場合は、ミ=ゴ達のDEXを半分にしてロールすることができる。また〈隠れる〉〈隠す〉などに成功すれば、草葉の陰に隠れてやり過ごすことが可能である。
・天候を利用する
ミ=ゴが元々住んでいた世界には光がないので、彼らは光に敏感である。ハルカの宇宙船の様子を偵察しにくることはあるが、夜間の方がその頻度が高い。
探索者達が遭遇の危険を下げたいと考えるならば、日の出ている間に行動すべきである。またミ=ゴは水にも弱いので、雨天であればさらに遭遇率を下げることができる。
具体的な数値は前述のものを参照すること。ただし荒天での活動は、時として探索者達にとっても危険であることに留意しなければならない。
・武器を活用する
労働者ミ=ゴはともかく、兵士ミ=ゴに通常の手段で対抗するのは至難である。しかしミ=ゴはその身体構造上、有毒ガスに対して非常に脆弱である。
探索者達はこれを利用して、ミ=ゴにダメージを与えるための手段を獲得することができる。
以下、使用できそうな薬品のサンプルを示す。POTはミ=ゴに対してのもので、抵抗ロールに成功した場合でも半分のダメージを受ける。
ロールで非常に高い値を出した場合は、人間も毒を被ってしまうかもしれない。それを防ぐには防毒マスクなどを装備する必要がある。

〈有毒ガスのサンプル〉
殺虫剤(家庭用) POT6
催涙スプレー POT10
殺虫剤(農薬) POT12
塩素ガス POT16(高濃度) POT10(低濃度)
硫化水素ガス POT16(高濃度) POT10(低濃度)

その他〈化学〉や〈薬学〉によって、ミ=ゴに有効な毒劇物を生成できるかもしれない。人間が即死するようなガスは、ミ=ゴにとってはPOT20相当の効力を持っている。
攻撃方法としては、壊れやすい容器に入れて投げつけたり、農業用の噴霧器を使ったり、水鉄砲で発射したりというものが考えられる。基本命中率は手段によって異なる。

9.コロニーを突き止める
ミ=ゴのコロニーがあるのは、山にある加狩炭鉱跡である。この炭坑は山岸鉄鋼という会社が運営していたが、昭和中期に閉山した。
現在も山岸鉄鋼の所有となっているが、敷地はフェンスで囲まれており、一般人が進入することはできない。もし探索者が地元住民であれば、〈知識〉に成功することで、廃坑の存在に思い当るだろう。
そうでなくとも、少し知識のある地元住民に尋ねたり、集落にあるビジターセンターを訪ねたりすれば、かつて町が石炭産業で栄えていたことを知ることができる。
現在の状況や、どの会社が管理しているかということは、センターの職員に聞いたり、集落の住民に尋ねたり、図書館などで郷土史を漁ったりすることで判明する。
その際には〈経理〉や〈図書館〉が有用である。インターネットや当時の資料を利用して〈図書館〉に成功すれば廃坑入り口の位置を特定することもできる。
補足的な情報として、加狩炭鉱はもはや採算がとれるほどの石炭を産出しないが、その鉱脈には多くのセレンが化合物の形で含まれている。ミ=ゴ達はこの鉱石を採掘しているのである。
なおこの付近にセレンが分布していることは、〈知識〉の半分と〈地質学〉の組み合わせロールで知ることができる。
加狩集落から山の東側(MAP右側)に向けて舗装されていない道路が伸びており、フェンスによって区切られた東側1/3程度が山岸鉄鋼の私有地となっている。
侵入するには、南京錠で施錠された高さ3mのフェンス門扉を突破する必要がある。〈鍵開け〉*2〈機械修理〉*2で開錠・破壊するか、〈登攀〉*2でよじ登ることになるだろう。
監視などは特にないため、比較的容易に敷地に入ることができる。フェンスの向こう側の道路は少し行ったところで2つに分岐し、片方が山を登って廃坑の入口へ、もう片方が山を下って後述する謎の施設への道となる。
〈追跡〉*2か〈目星〉に成功すると、車両の轍が謎の施設方面にのみ続いていることがわかる。集落から廃坑入口までは徒歩で30分の時間がかかる。
道路に沿って歩いていくと廃坑の入口が見つかるが、錆びついた金属製の格子で厳重に封鎖されている上、少し奥の方が落盤によって塞がっており、出入りができない状態になっていることがわかる。
探索者達がどのような推理をするかにもよるが、〈アイデア〉に成功すれば、別に入口があるのではないか、ということが思い浮かんでもよいだろう。
なお、〈追跡〉をおこなっても痕跡を発見することはできない。人間はこのあたりを行き来しないし、ミ=ゴは飛行して目的地に向かうからである。

10.山岸鉄鋼
探索者が廃坑の所有者である山岸鉄鋼を調べる、というのは十分考えられる展開である。図書館やインターネットで〈経理〉〈図書館〉に成功すれば、山岸鉄鋼について以下の情報を得ることができる。

〈山岸鉄鋼〉
明治時代に設立された歴史ある会社である。大正時代に急速に発展し、昭和初期には名の売れた大企業に成長する。
しかし時代が下り、鉄鋼や石炭産業が下火になるにつれてその規模を縮小した。現在は人材派遣業をメインとし、工事現場に作業員や土木機械を派遣している。
佐比売グループと呼ばれる企業グループの傘下にあり、島根県にある石見観光、佐比売法律事務所、サヒメリサーチなどの企業と経営上のつながりがある。

佐比売グループの背後にある佐比売党はミ=ゴやシュド=メルとのつながりが深いカルト集団であるが、これについては容易に知ることのできない情報であるし、またシナリオに深く関わるわけではないのでここでは記述しない。
佐比売党およびその理念、グループ企業についてはサプリメントの「クトゥルフ・カルトナウ」に詳しく記載されている。

山岸鉄鋼は開山当初から加狩炭鉱の所有者であった。閉山後は佐比売党の意向もあってミ=ゴにコロニーを提供する。その見返りとして得ているのが、ミ=ゴの外科手術についての知識である。
具体的には、不老長寿の方法や、脳移植の方法などを、敷地内にある施設で研究しているのである。研究は大抵動物などを対象にしておこなわれるが、時に人間が必要な場合がある。
そんな時には、登山道を外れたり、敷地に侵入したりした人間をミ=ゴが捕えている。噂されている「神隠し」はこれによるものである。
加狩集落をうろつく、あるいは地元の人間に聞き込みをおこなうと、山岸鉄鋼の事務所が集落内にあることがわかる。
集落のはずれの方に広い敷地があり、集積された建築資材、重機、車両が置いてある。事務所は二階建てで、昼間は藤原と数人の社員が詰めている。
社員は通常の土木作業員もいれば、違法行為の実力部隊として働いているような輩もいる。
許可なく敷地内に入った子どもが殴られたり、住民を恫喝したりといったこともあったため、集落の住民からの評判は悪い。行方不明になった人間は、山岸鉄鋼の連中と諍いの末殺されたのではないか、と根拠のない憶測をする住民もいる。とはいえそれは、当たらずとも遠からずといったところではあるのだが。とにかくキーパーは、探索者達が山岸鉄鋼に疑念を持つようにうまく演出してほしい。

一般的な山岸鉄鋼の社員
STR14 DEX8 INT11 アイデア55
CON15 APP8 POW9 幸運45
SIZ15 SAN45 EDU10 知識50
HP15 MP9 回避16 DB0
こぶし:65% 運転〈自動車〉:50% 杖:40% 重機械操作:25% 
武器 こぶし 65% 1d3+1d4
   鉄パイプ 40% 1d8+1d4

山岸鉄鋼に所属する作業員。普段は工事現場などに派遣されて各種肉体労働に従事している。中には暴力団員まがいの人物もおり、上司である藤原に服従して違法行為の実行を担う。
注意すべきは、彼らが普段合法的な経済活動を行っている企業の従業員だということである。彼らとのトラブルには、肉体的のみならず法律的なリスクも伴う。

事務所を訪れたり、番号を調べて電話をしたりすれば、藤原が対応することもあるかもしれない。しかし彼は立ち入った話を尋ねても、高圧的に情報提供を拒む。
その態度は逆に、何か後ろ暗いことがあるのだろう、と探索者達に印象付けるだろう。
また加狩集落で探索者達がおおっぴらに探索をおこなえば、藤原が話しかけてきて「何を嗅ぎまわっているか知らないが、迷惑だからやめろ」と警告するかもしれない。
彼らの許可を得て所有地内を探索するのはかなり難しい。妥当な理由付けや、権力を示す証明書などを提示した上で、〈信用〉/2、〈説得〉/2に成功する必要があるだろう。
しかし頑強な探索者が、さも就職したいかのように振る舞えば、多少つけ入る余地はあるかもしれない。

11.謎の施設
フェンスで囲まれた山岸鉄鋼敷地には、謎の施設が存在する。加狩集落から徒歩30分、車両で5分程度の場所である。
せいぜい60坪あるかないかの小さな1階建ての施設であるが、その内部では、前述した目的のために様々な冒涜的実験がおこなわれている。
施設を利用しているのは、佐比売グループに雇われている医師、生物学者、それからミ=ゴである。
探索者たちがこの施設を訪れた際、全員で〈幸運〉をおこなう。成功者が1人もいなかった場合、施設のどこかに科学者のミ=ゴ(ステータスはワーカーとほぼ同じだが、INTが高い)がいる。



〈外観〉
すすけた白い外壁の建物である。周囲は樹木に囲まれており、遠くからこの建物を発見することは難しいだろう。ホールと部屋Cにのみ窓が存在し、クレセント錠がかかっている。
玄関の扉は透明な強化ガラスで、古いタイプのデジタル錠(0〜9までの数字と記号を入力して解錠する。4桁式)で施錠されている。
〈目星〉に成功すれば、長年使われてすり減ったボタンを3つに特定でき、さらに〈幸運〉の半分に成功することで正しい番号を当てることができる。ただし3回失敗すると24時間入力を受け付けなくなる。こ
の錠は正しい番号を入力するほか、〈鍵開け〉と、〈電子工学〉か〈コンピューター〉の組み合わせロールで解錠することができる。
そのほか単純に〈機械修理〉で破壊することもできるが、その場合確実に痕跡が残ってしまうだろう。

〈ホール〉
掃除の行き届いていない埃っぽいホールである。部屋BおよびCに通じる扉があり、奥にトイレと水場がある。
電気および水道が通っており、少なくとも長らく放置されているわけではないと判断できる。施設内にある扉はいずれも施錠されていない。

〈部屋A〉
脳や臓器の標本、実験サンプルなどが置かれた部屋である。その中には明らかに人間のものが含まれており、この部屋に入った探索者はその時点で0/1の正気度を喪失する。
いくつかの標本にはケーブルがつながっており、電気を用いて何らかのエネルギー供給がおこなわれている。
〈医学〉*2〈生物学〉*2もしくは〈アイデア〉に成功した探索者は、この標本がまだ生きていることがわかってしまい、さらに0/1d4の正気度を喪失する。
標本の中にはミ=ゴの脳缶も存在するが、これには動物の脳が入っているため対話をすることができない。部屋のすみにはケージが置かれており、やせた猫がおびえた様子で縮こまっている。

〈部屋B〉
ここは実際に臓器や脳の摘出、移植その他の冒涜的実験が行われる部屋であり、感染を防ぐため最低限清潔に保たれている。
手術の際に使う一般的な薬品や医療器具のほかに、まったく見たこともないような、奇妙な形をした手術器具などを見つけることができる。

〈部屋C〉
ここは倉庫や事務的な作業をするための部屋として使用されている。消耗品や薬品のストックがあるほか、キャビネットにいくつかの資料が入っている。
〈図書館〉〈医学〉に成功することで、『研究ノート』が、〈経理〉*2か再度の〈図書館〉に成功することで『施設の出納簿』が手に入る。それぞれの大まかな内容を把握するのに30分かかる。以下はその内容である。

『研究ノート』
この施設で長年にわたり繰り返されてきた冒涜的な実験の数々が写真付きで記録されている。す
なわち脳や臓器を摘出してそのまま生かしておくこと、それらを再度移植する実験、それらの応用による延命の試み、原ショゴスと呼ばれる存在と人間の細胞を置換する方法、などである。
被検体は小動物から猫、犬、果ては人間にまで及び、それらが明らかに非人道的な外科手術の末に死んでいったことがわかる。
記録の中には「ミ=ゴ」と呼ばれる存在が複数登場しており、その存在が技術を提供していることが示唆されている。

この研究ノートを読んだ探索者は1d3の正気度を喪失し、1%のクトゥルフ神話技能を獲得する。

『施設の出納簿』
この施設に搬入された、あるいは購入された物品がリストアップされている。一般的な医療用の消耗品のほか、実験用ラットや猫、犬、およびそれらのエサ、人間の衣服、食料などである。
物品の購入は山岸鉄鋼を経由しており、研究資金は佐比売グループから提供されていることがわかる。

またこの部屋の壁面には、『坑道の地図』が貼られている。この地図はミ=ゴが廃坑を拡張した後の地図となっている。地図は非常に入り組んでいるが、重要なのは3つの点である。
拡張された廃坑には従来のものとは別の新しい出入り口があるということ。その出入り口からはスロープの様に道が伸びていること。それは長い縦穴に繋がっており、その真下に広いドーム状の空間があること、である。
〈アイデア〉に成功すれば、ここがミ=ゴ達の集合場所もしくは休眠場所であろうと推測できる。また廃坑には従来のものとは違う入口が存在することがわかる。
この地図を手に入れることによってはじめて、探索者たちはミ=ゴのコロニーに対する攻撃を仕掛けることが可能となるのである。新しく作られた入口は、従来の入口から徒歩10分程度山を登った位置にある。

12.駆除作戦
探索者達はハルカの知識(と実体験)によってミ=ゴ達の弱点を知り、その協力者が行っている非道な所業を暴き、そしてコロニー入口の位置を明らかにした。
残るはコロニー、ひいてはこの地域からミ=ゴの脅威を取り除くための行動を起こすのみである。とはいえ正面から乗り込んで個別に戦うのはあまりにも無謀であるため、慎重に作戦を立てる必要がある。
ただスケールこそ大きいものの、作戦の本質は家の害虫を駆除する手法とそれほど変わりはない。すなわちコロニーにガスを散布し、中に居るミ=ゴを全滅させる、というものである。
この作戦はプレイヤー自身が考え付くことが望ましいが、そうでなければハルカに提案させてもよい。
ガスを散布するための方法は色々あるかもしれないが、方法として一番考えられそうなのが、高圧ガス容器(ボンベ)を利用した装置を作ることだろう。
使用するガスは前述したような有毒なものであればなんでもよい。農薬などをそのまま使用してもよいし、〈化学〉〈薬学〉で材料から合成してもよい。
ボンベは炭酸ガス添加用のものが、酒屋や通販で容易に購入できる。その他医師やエンジニアが扱う酸素や燃料のボンベ、消火器なども利用できるかもしれない。
ガス散布装置を作成するためには、8時間の作業時間と、〈化学〉または〈物理学〉に1回、〈機械修理〉または〈制作(爆発物)〉に1回成功する必要がある。
どちらかが失敗するごとに、4時間を浪費してしまう。ロールの結果が96以上だった場合には、かなり危険なことになるかもしれない。
技能に成功すれば、コロニーの大部分を汚染するのに十分な量のガスを散布することができる装置が完成する。
作戦を実行するのは雨の日が望ましい。雨であればミ=ゴのほとんどがコロニーの中に居るし、なにより道中で遭遇するリスクを少なくできる。コロニーに向かう際にミ=ゴに遭遇する確率は、前述の条件を参考にしてほしい。

13.ミ=ゴのコロニー
コロニーの入口は、雨水が流れ込まないような位置に開けられた直径3mほどの穴であるが、巧妙に偽装されているため注意しなければ見つけることができない。
入り口とそこから続く坑道は崩れないようにしっかり補強されているものの、当然照明の類は全くない。
入口から50mほどはゆるやかなスロープが続いている。内部は湿度が高く、すっぱいような発酵したような臭いが満ちている。その出所は、所々に群生した薄紫色の巨大なキノコである。
これは地球産のものを食べられないミ=ゴが持ち込み、コロニー内で栽培しているキノコである。人間には毒となり、菌糸が付着すると皮膚を侵食してそこから新たなキノコが発生する。
抗菌剤を根気よく塗り込むか、火で焼くかして処理しなければ、全身キノコまみれになってしまうだろう。この不気味なキノコを発見した探索者は、0/1の正気度を喪失する。
ハルカが同行していれば、当然触らないように注意するだろう。
縦穴に到達した探索者達が〈聞き耳〉に成功すれば、かなり下の方からたくさんの羽音のようなものを聞くだろう。ここまで来れば、あとは200m下の空間に向けて、ガス散布装置を落とすだけである。
装置を落とすと、文字通りハチの巣をつついたような騒ぎになる。しかし不意を突かれたミ=ゴ達は噴き出す大量のガスから素早く逃れることができず、その羽音はどんどん減っていく。
しかし〈聞き耳〉に成功した探索者は、非常に大きな羽音が一つと、なにかロケット噴射のような音を捉えることができる。
ミ=ゴの中でもとりわけ大きく強い個体が探索者達の方へ向かってきているのだ。探索者達は縦穴付近でこれを迎え撃ってもいいし、外に脱出してもいい。
素早く逃げ出すのでなければ、ミ=ゴ・クイーンとの戦闘に突入する。

ミ=ゴ・クイーン
STR25 DEX10 INT22 アイデア99
CON22 APP- POW18 幸運90
SIZ25 SAN- EDU- 知識-
HP24 MP18 回避20 DB+2d6
武器 ハサミ 40% 1d6+2d6および〈組み付き〉
装甲 銃弾や刃物などの貫通する武器は最小限のダメージしか与えない。

支配階級のミ=ゴ。通常の個体よりもはるかに大きく、また力や知能も高い。より下級のミ=ゴ達に対して、テレパシーのような力で命令を与えている。
これによって多くのミ=ゴ達は統制のとれた動きを実現しているが、ひとたびこの個体を失えばコロニーは混乱に陥るだろう。
身体が大きいため大気中を飛行することは困難で、普段はコロニーの奥でおとなしくしているが、やむなく移動する場合にはジェットパックのような補助器具を用いる。
元々の耐久力は24だが、毒ガスによってダメージを受けているため、耐久力が18まで落ちている。探索者達が逃走した場合でも、1d3時間が経過すると死亡する。

〈描写〉
姿を現したのは、今まで見たものの2倍はあるような個体だった。
より大きく、より強く、また圧倒的にグロテスクなフォルム。
その巨大な頭部はチカチカと色を変え、膨満した腹部は荒々しく蠢いている。
体液を吹き散らしながらの咆哮があたりに響くと、その場の全てが震撼する。
それは明らかに怒りを持って、今確かにあなた達を捉えていた。
忌まわしい羽虫達の首魁であり、異空より飛来した侵略者。
強大な脅威に直面した探索者達は、1/1d10の正気度を喪失する。

ミ=ゴ・クイーンが死亡すれば、この地におけるミ=ゴの脅威は当面取り除かれたとみていい。
山岸鉄鋼の悪事を追及するかどうかは探索者次第だが、彼らは弁護士事務所とのパイプがあるため、そう簡単にはいかないだろう。

14. Goodnight, Harbinger.
この地からミ=ゴを排除したことに、ハルカは非常に満足した様子である。ハルカは漂泊の果てに友を得て、長い旅の終わりを意味のあるものにすることができたと喜ぶ。
しかしこの後の運命は決して明るいものではない。ほとんどの人類はこの心優しい異星人を歓迎しないだろう。もはやハルカの文明は滅び、迷い込んだ個体を尊重する必要はないからである。
探索者達の希望にもよるが、ハルカはこの場所で長い休眠に入ることを決意する。非常にわずかな可能性ではあるが、生き延びた同胞が地球にたどり着き、再会する可能性に賭けるのである。
ハルカはびっしりと未知の文字が書かれた紙のようなものを数枚探索者達に渡し、これをなるべく長持ちする媒体(石板など)に記録してほしい、と依頼する。
内容を聞くと、『1人の宇宙飛行士が長く苦しい旅の果てにこの場所にたどり着いた』こと、『そこで良き友を得て、共に困難に立ち向かった』こと、
『この星に住む人々は、時に悪意を持って諍いを起こすが、時に聡明で勇敢である』こと、『もし同胞が人類と出逢ったなら、友好的で平和的な関係を築くよう願っている』こと、といった内容であると答える。
もし探索者達がハルカに名前を与えていたならば、ハルカは自分の本当の名前と共に、それもしっかりと記しておいてくれるよう頼むだろう。
手紙の内容について、あるいは、その場で探索者たちには伝えず、シナリオが終了した後に、プレイヤーにだけ教えるのもいいだろう。

「どれくらい長く眠るかはわからないけれど、とにかく君たちの子孫にはよろしく言っておこう」
「おやすみ異星の友よ。君たちの文明が、今後一万年の間、明るく温かい光を灯していますように」

もしキーパーが望むのなら、滅びたはずの母星の文明がなんとか命脈を保っていたり、植民に成功したハルカの同胞が迎えに来たりといった希望のある結末にしてもよい。
また今回の件で因縁ができた山岸鉄鋼や、佐比売グループにまつわるシナリオに繋げても良いだろう。
ともあれ異形とも思われた存在と信頼関係を築き、共に困難を乗り切った探索者達は、報酬として1d6正気度ポイントを獲得する。
またシナリオ中にクイーンを含めたミ=ゴを殺害した場合は、1体につき1正気度ポイント(最大6ポイント)を獲得できる。
さらに謎の施設に囚われていた猫を救出した場合は、追加で1d2正気度ポイントを獲得できる。

※補遺『異星人接触マニュアル』(抜粋)
・はじめての接触
原住民と接触した場合は、まず自らの名を名乗る必要がある。相手も名を名乗れば、相互に相手が知的な生命体であると確認できる。
ジェスチャーの類には注意すること。こちらの文明で親愛を表わすジェスチャーであっても、相手の文明では明らかな敵対を表わすということは十分考えられる。(第1章p17)
・ともに食事をする
同じものを食べるということは最も簡便に信頼関係を作る方法である。しかし肉体の組成や代謝の仕方によって、毒物となるようなものを摂取しないよう気を付けること。
明らかに危険と思われる食べ物以外は、せめて食べるふりをすることが望ましい。こちらの食物を提供するのもよいだろう。相手にとって毒物となるものではないことを確認するのはもちろんである。(第2章p83)
・原住民と生活する
異星で原住民と起居する場合、生活リズムの乱れに注意すること、重力、気温、大気組成、1日の長さが異なる場合には健康を害しやすい。
もし現地の環境に合わせる場合は、徐々に身体を慣らしていくこと。恒星の光を定期的に浴びることで体内のリズムを調節できる。
原住民の生活パターンを把握することは、どのような文明を築いているのかを推測する助けにもなる。(第3章p161)
・相手を尊重する
相手の文明が、我々のものと全く異なる価値体系を築いている可能性は十分考えられる。そしてそれは時に、我々にとって野蛮で馬鹿げたことと映るかもしれない。
しかし彼らはそれに依って生き抜いてきたのだし、その必要があったのだということを理解すべきである。
争いは無理解から生まれるということを、常に心に留めておかなくてはならない。(第5章p294)

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