CoC界隈で活動している黒江による、クトゥルフ関係の制作物置き場。

1.シナリオ背景
物語はシナリオ開始時から約400年前に遡る。瑠璃と神奈子は、かつて地方で権勢を誇った陰陽師の子孫であった。
彼女らは外法によりヨグ=ソトースの血をその身に宿す異形の仔であったが、呪印によりその姿は人と同じ形をしていた。
江戸時代初期。姉妹は家の没落後に迫害され、甲信越地方にある外穂村付近に流れ着く。互いに愛し合い、励まし合いながら逃げ延びてきた二人であったが、旅の途上で神奈子が命を落としてしまう。
どうにかして彼女の魂のみを救い出すことに成功した瑠璃は、命からがら外穂村にたどり着く。その神性、カリスマ、魔術によって有力者に取り入った瑠璃は、外穂村を安住の地と決める。
この地で神奈子の復活を試みるも、常人の肉体では神奈子の魂の器として不適当であった。精神が絶えられず、崩壊してしまうのである。
そこで彼女は豊穣と引き換えに村を支配し、人為的な交配を経て神奈子の器に相応しい人間を生み出そうとしたのである。
この地には古事記に示されている『時量師神(トキハカシノカミ)』という神が祀られており、瑠璃はその神社と自らの神性をうまく融合させた。
そして外穂神社の宮司として、権力の座に収まることになる。瑠璃は多くの子を産み、その子らをまた村の人間と交配させた。
そして村全体を巨大な人為交配の実験場と化し、村民の中から特別に血の濃い者同士を掛け合わせることによって、神奈子に匹敵する神性の持ち主を作り出そうとしたのである。
ヨグ=ソトースの血を宿す者は通常異形の身体を持つが、瑠璃は自らに施されたものと同様の魔術を用いて、混血児が人間として生きやすいようにした。
その代り混血児の肉体には、鎖のような痣が見られるようになる。この痣の濃さはそのまま血の濃さを表すものであった。
瑠璃から十数世代を経たころより、特別に血の濃い一子を神奈子と名付け、器の第一候補として保護し始めた。そして村の中でも血の濃いものを番わせて、ますますその血を濃くしようとするようになった。娘が子を為せるまでに成熟すると、瑠璃は母の神奈子から娘の神奈子へと、神奈子の魂を移す儀式を行う。そうして神奈子の魂を保存し、受け継いできたのである。
その一方で自らは魔術によって若さを保ち、村の支配者として君臨し、神奈子の復活に向けて機を待ち続けた。そして300年以上を経て、ようやく器に相応しいと思われる神奈子が誕生した。
その子こそが、本シナリオに登場する哀れな少女である。いよいよ瑠璃は神奈子を復活させるため、最後の儀式に臨むことになる。
瑠璃の願いそれ自体は、富でも権力でも世界の崩壊でもない。手段の邪悪さを除けば、ただ妹と再び暮らすというささやかなものである。
他方、別の目的でこの村に近づく者がいた。ヨグ=ソトースの秘儀を求める津久井という民俗学者である。
彼の師である滝村という学者は、16年前にこの村を訪れ、今まで断片的にしか情報を得ていなかったヨグ=ソトース信仰の秘密を探ろうとしたが、瑠璃に気付かれ、殺害された。
その師の研究を受け継いだ津久井は師の足跡を追い、外穂村にたどり着く。彼は当初こそ純粋に真実を求める学問の徒であったが、既にその知性は冒涜的な知識に飲みこまれてしまっている。
長年の研究と残された資料を解読した末、外穂村にヨグ=ソトース信仰における重要な情報があると睨んだ津久井は、十分な準備を整えて村に立ち入ることとなる。
彼の目的は村に隠された、あるいは師である滝村が遺したヨグ=ソトース信仰の核心について調査し、あわよくば神格そのものに迫ることである。
探索者は異なる思惑の間で、哀れな生贄となる少女を救うために奔走し、村の秘密に迫ることになるだろう。

2.NPC紹介
【瑠璃(るり)】386歳 女性
ヨグ=ソトースの巫女
STR7 DEX13 INT17 アイデア85
CON10 APP15 POW22 幸運99
SIZ12 SAN0 EDU23 知識99
HP11 MP22 回避26 DB0
聞き耳:80% オカルト:45% 歴史:42% 人類学:38% 
クトゥルフ神話:22%
武器 こぶし50% 1d3
装甲 自己保護の創造による3ポイントの装甲
呪文 〈ヨグ=ソトースのこぶし〉〈命の糧〉〈ナーク=ティトの障壁の創造〉
   〈自己保護の創造〉〈魅了〉その他キーパーが望む呪文

かつて地方で権勢を誇った陰陽師の子孫。家の没落後迫害され、漂泊の末に外穂村にたどり着く。
外法によりヨグ=ソトースの血をその身に宿す。神奈子という双子の妹がおり、二人は深く愛し合っていた。
神奈子の死に際して彼女の復活を画策。長い時間をかけて本シナリオにまつわる一連の出来事を起こす。
探索者達が敵対・反抗しない限りは、ミステリアスだがおおむね穏やかな態度で接する。

【神奈子〈真〉(かなこ)】19歳(享年) 女性
瑠璃の双子の妹
SIZ11 APP16

瑠璃と同時代を生きた双子の妹。
ヨグ=ソトースの混血であり、強大な神性を宿すが、迫害から逃れ、外穂村に至る途中で命を落とした。
現在は魂のみの存在である。

【神奈子〈母〉(かなこ)】31歳 女性
器となった女性
STR7 DEX10 INT12 アイデア60
CON14 APP16 POW2 幸運10
SIZ10 SAN0 EDU10 知識50
HP12 MP2 回避20 DB0
聞き耳:70% 芸術〈神楽〉:51% 目星:40% 
クトゥルフ神話:15% 
武器 こぶし50% 1d3

外穂村の奥宮に幽閉されている女性。
ヨグ=ソトースの血が濃く、瑠璃によって神奈子〈真〉の魂を移植されたが、精神が耐え切れず自我がほとんど崩壊するに至る。
単純な日常動作は行えるが、自発的な意思や思考能力はほとんどない。肉体的にはほとんど変性していないが、病気や損傷に強い耐性がある。
上記の技能は元々の肉体のものだが、これに神奈子〈真〉の記憶が混在している。

【神奈子(かなこ)】15歳 女性
鎖に縛られた少女
STR8 DEX11 INT14 アイデア70
CON14 APP16 POW28 幸運99
SIZ11 SAN45 EDU9 知識45
HP13 MP28 回避22 DB0
母国語:75% 心理学:70% 聞き耳:66% 
回避:50% 歴史:41% 制作〈小説〉:40% 
芸術〈文学〉:32% オカルト:30% クトゥルフ神話:12%
武器 こぶし50% 1d3
呪文 〈ヨグ=ソトースのこぶし〉

村の猟師である村井と神奈子〈母〉の間に生まれた外穂村の少女。
瑠璃による人為交配の結果、ヨグ=ソトースの血が濃縮され、人間離れした神性を帯びるに至った。
生後間もなく親元から引き離され、村長(水守家)の元で『器』として育てられる。
幼いころから自らの役割を刷り込まれ、それがアイデンティティの中核をなしている。
しかし強大な神性を除けば、色白で美しい普通の少女である。読書を好み、自らも小説を書いている。
小説家になりたいという夢があるが、表だって発言したことは無く、自らもその願望を押し殺している。
ヨグ=ソトースの濃い血脈を示す鎖のような痣が全身に及んでいる。本シナリオにおいて特に言及がない場合、神奈子とは彼女のことを指す。

【津久井 隆久(つくい たかひさ)】42歳 男性
真実を追求する魔術師
STR6 DEX15 INT17 アイデア85
CON12 APP8 POW19 幸運95
SIZ12 SAN15 EDU20 知識99
HP12 MP19 回避26 DB0
図書館:81% 人類学:77% オカルト:72% 
歴史:68% 考古学:66% 忍び歩き:62% 
隠れる:62% 鍵開け:49% 杖:45% クトゥルフ神話:18%  
武器 こぶし50% 1d3
   ハンマー 45% 1d4+1
魔術 〈延長〉その他キーパーが望む呪文
マジックアイテム 津久井が常に首に付けているタリスマンは、自身に掛けた〈延長〉における契約の証である。
この『契約のタリスマン』は、円盤状に加工された煙水晶が銀で縁取られたデザインであるが、
その水晶内部に見える煙のようなものは絶えず蠢き、覗いた者は自らも覗かれているような感覚を覚える(0/1d2の正気度喪失)。
彼曰く『不老長寿のパワーストーン』

東京の大学で民俗学を教える講師。しかしその正体はヨグ=ソトースの秘儀を求める魔術師である。
ヨグ=ソトースの信仰を研究していた師の志を引き継ぐうちに、冒涜的な魔術に魅入られる。この村へは研究を完成させる最後のピースを求めて訪れる。
背は高いが痩せ型、清潔感のない風貌で、いかにも変わり者といった雰囲気を漂わせる。
嘘と不謹慎な諧謔によって容易に真意を悟らせないが、特に初めから敵対的というわけではない。また研究分野の話題になると話が止まらなくなる。
〈延長〉の魔術により年齢より若い容姿を保っているが、彼が死ねば肉体は異次元へと転送され、契約に則って『太古の生物』(能力値や登場時の描写は後述)が顕現する。
『太古の生物』を、目撃した探索者は1d6/1d20の正気度を喪失する。

【水守 あとり(みもり あとり)】9歳 男性
姉を想う少年
STR7 DEX17 INT15 アイデア75
CON14 APP14 POW17 幸運85
SIZ7 SAN85 EDU5 知識25
HP11 MP18 回避26 DB-1d4
登攀:66% 跳躍:66% 言いくるめ:55% 隠れる:51% 
忍び歩き:51% 投擲:45% 図書館:45% コンピューター:20% 
武器 こぶし50% 1d3-1d4
   投石 45% 1d4-1d2

外穂村の村長である水守家の長男。腕白な少年で、無垢で自由な思考を持つゆえ、他の村人が持つような瑠璃への崇拝の念は薄い。
知的好奇心が強く、医師である桐島の下へ通い、医学的な知識を学んだり、インターネットを利用して勉強したりしている。
人懐っこく、見知らぬ人間である探索者達にも積極的に関わろうとする。
血は繋がっていないが神奈子を家族の中の誰よりも慕っており、彼女の書く小説の一番のファンである。
生意気ではあるが知的能力は高く、大人びた発言をすることもある。意志の強さは彼の生来のもので、ヨグ=ソトースの血は薄い。

【桐島 孝雄(きりしま たかお)】40歳 男性
無愛想な医師
STR9 DEX14 INT16 アイデア80
CON8 APP9 POW11 幸運55
SIZ11 SAN50 EDU19 知識95
HP10 MP11 回避28 DB0
医学:75% 応急手当:75% 図書館:71% 生物学:69% 
薬学:66% 電気修理:50% 機械修理:50% 運転〈四輪車〉:30%
武器 こぶし50% 1d3
   医療用メス 25% 1d4

外穂村の診療所に勤めている医師。診療所は町営であり、彼自身も外部からやってきた人間であるため、村との関わりは比較的薄い。
しかし村では数少ない専門職であるため、村民からは一定の尊敬を集めている。
村の風習については内心気味悪く思っているが、村民との関係悪化を恐れて積極的な行動をおこすことはない。
いささか愛想の悪いところはあるが、誠意をもって対すればそれに応じるだけの社交性がある。
あとりとはある程度親しくしており、勉強を見てやることもあるようだ。

【村井 鷹(むらい たか)】40歳 男性
苦悩を抱える猟師
STR15 DEX14 INT11 アイデア55
CON14 APP8 POW22 幸運99
SIZ15 SAN35 EDU10 知識50
HP15 MP22 回避28 DB+1d4
聞き耳:66% 目星:66% ショットガン:60% 
博物学:55% ナイフ:51% 忍び歩き:45% 隠れる:45%
武器 こぶし50% 1d3+1d4
   12ゲージショットガン(ポンプ) 60% 4d6/2d6/1d6
   山刀 51% 1d6+1d4

村で猟師をしている壮年の男性。村民の中でもヨグ=ソトースの血が濃く、瑠璃に命じられて神奈子〈母〉に子種を提供した。
正式な夫婦ではなかったが、神奈子〈母〉を愛し、その境遇に強く同情し、彼女を救えない自分に今でも罪悪感を持っている。
神奈子に対して自らが父親であることを明かしていないが、彼女にもまた父としての愛情を持っている。
夏は猟期でないため基本的には村の外へ出稼ぎに行っているが、祭りの期間中は出入り禁止のため村にいる。

3.村の少女
探索者達が外穂村近郊の道路を通行しているところから物語は始まる。
探索者達は相互に友人で、同じ車に同乗していることが望ましいが、協力して探索が行えるのであればどのような形で訪れてもよい。
季節は夏。セミがけたたましく鳴く季節である。時刻は午後6時少し前で、まだ陽は沈んでいない。
探索者達が集落を見つけると同時に〈目星〉に成功すると、道路沿いにある大樹の根元に一人の少女を見つける。
どうやら近くの豚小屋から逃走した豚に襲われているようである。この少女は神奈子であり、村の外を見ていたところ豚に襲われたのである。
豚は存外大きく、このままでは少女は大けがをする可能性があるだろう、と想像できる。
探索者達がそれに気づいた直後(気付かない、あるいは無視しても問題ないが)、豚が探索者達の乗る車の方へ吹き飛んでくる。
怯えた神奈子が行使した呪文によって、豚が吹き飛ばされたのである。吹き飛ばされた豚は探索者達が乗っている車のフロントガラス(あるいは側面)にものすごい勢いで衝突する。
運転手が〈運転〉に失敗した場合は、車は道をそれて脱輪してしまうだろう。どちらにせよ車は故障し、停車を余儀なくされる。突然の事故に驚いた探索者達は0/1の正気度を喪失する。
探索者達が車を降りると、衝突した豚は身体を強く打ちつけて気絶している。
豚が飛んできた方向からは、少女が座り込んでいるのが見えるだろう。もしかしたら怪我をしているかもしれない、と探索者達に気付かせてもよい。
探索者が神奈子に近づくと、彼女も探索者達に気付く。色白で、それほど小柄ではないが、華奢な感じのする可愛らしい少女である。
季節は真夏。比較的涼しい山間とはいえ、彼女は手首まである服を着ている。これは彼女の全身に及ぶ濃い痣を隠すためのものである。
この村の住人は多かれ少なかれこのような痣を持っているため、本来隠す必要はあまりないが、彼女は心のどこかでこの痣と、自らの普通でない出自を疎ましく思っているのかもしれない。
しかし白い首筋からは僅かに灰色の痣が覗いている。これに気付いた探索者達は、どこか奇妙で不気味な感じを覚えるだろう。
神奈子はかなり動転している様子だが、探索者達の車を傷つけてしまったことを慌てて詫びる。どのようにして豚を吹き飛ばしたのか尋ねてもかなり不自然な態度でごまかす。
しかしあまりしつこく質問し続けると、彼女は探索者達を警戒してしまうだろう。
また探索者達は、彼女の膝のあたりに血が滲んでいるのを見つける。豚に襲われて転んだ際に擦過したのである。重傷ではないが、消毒と止血が必要になるだろう。
同時に足首も捻っているようであり、間に合わせの〈応急手当〉や〈医学〉だけでなく、医療機関での受診が必要となる。
傷を診ようとすれば当然、痣を目にするだろう。その痣が全身に及んでいることに気付いた探索者達は、0/1d2の正気度を喪失する。
キーパーは探索者達を村に誘導するため、〈アイデア〉などで村に診療所がある可能性に気付かせるか、神奈子自身に言及させてもよい。
探索者達は神奈子の案内の元、外穂村にある診療所へと向かう事になるだろう。キーパーはこの時点で村のマップを開示してよい。



4.外穂村
この項では外穂村の主な施設とその概要を記述する。足りない部分や、生活感を増すための追加の施設は適宜キーパーが補う。

〈基礎情報〉
本州内陸部の山間に位置し、麓の街から車で1時間程度の場所にある。なだらかな斜面にある小規模な集落で、人口は約80人。この種の集落にしては若い人間が多い。
農産物、畜産物やその加工品、狩猟による肉や毛皮などを主に算出している。それらの品質は全般的に高く、市場では一定の価格で取引されるが、約半数は集落内で消費される。
また村の外で出稼ぎをしている村民も一定数存在する。町営の診療所を除いて学校や駐在所などの公的機関は存在せず、それらにアクセスするには車で20分程度の別の集落に訪れる必要がある。
医療機関は後述する診療所が唯一のものである。村内で金銭によって手に入れられるのは、生活雑貨や高価でない農業用品などがせいぜいだろう。以下は外穂村民の平均的な能力値である。

【一般的な村民】
STR10 DEX10 INT11 アイデア55
CON12 APP10 POW13 幸運65
SIZ13 SAN50 EDU8 知識40
HP13 MP13 回避22 DB0
目星:25% 聞き耳:25% 杖:30% 
武器 こぶし 50% 1d3
   農具 30% 1d6

〈1および2. 鎖の巻かれた樹〉
舗装された県道から望むことが出来る杉の巨木。樹冠を含めた高さは15m、幹の周囲は4mに及ぶ。
〈生物学〉や〈博物学〉に成功すれば、周囲の植生や植物相との間に違和感があり、この杉の木が人為的に植樹されたことが推測できる。
巨木の周囲には、直径25cmほどの金属でできた輪が鎖状に連なり巻かれている。
木々は村の中央部にある要石(かなめいし)を中心とした正確な五角形をなしており、この村の全域を囲うように立っている。
木々の配置については、2本の木と要石を見た上で、〈ナビゲート〉*2や〈アイデア〉の半分に成功すれば気付くかもしれない。
5つの巨木に巻かれた金属輪の素材はそれぞれ違う。これは古代中国で考案され、神道や陰陽道、風水で用いられる五行思想に基づいた作為である。
金属輪の素材は南が錫(木)、南東が鉄(水)、北東が銀(金)でメッキされた銅、北西が金(土)でメッキされた銅、南西が銅(火)となっている。
金属の種類については、〈知識〉や〈アイデア〉に成功することで判別できる。〈化学〉や〈地質学〉を持っている探索者であれば、ロールの必要なくわかるだろう。
2種類の金属輪の素材を確認した時点で〈オカルト〉に成功すれば、この村が五行思想に基づいた呪術の影響下にあることがわかる。
また祭の期間(探索者達が到着した日の午後6時から、4日後の午前6時まで)、最も南の巨木の周囲には、村への出入りを監視するために最低2人が配置されている。
その役割を担うのは村の青年団で、期間中は24時間交代で見張りをしている。
またこの青年団は探索者達が瑠璃に警戒された際、探索者達の前に立ちはだかる可能性がある。村の青年団は最大8名が登場し、能力値は全員同じである。

【村の青年団】20代〜50代 男性
STR12 DEX11 INT11 アイデア55
CON12 APP10 POW13 幸運65
SIZ14 SAN50 EDU8 知識40
HP13 MP13 回避22 DB+1d4
目星:40% 聞き耳:40% 杖:40% 組み付き:35% 
武器 こぶし 50% 1d3+1d4
   六尺棒 40% 1d6+1d4
   組み付き 35% 特殊

〈3. 畜産農家〉
父、母、13歳の息子からなる三人家族で運営されている畜産農家。肥育されている家畜は肉付きの良い豚と鳥であり、狩猟される動物と共に村に食肉や卵を供給している。
広めの敷地に豚小屋や鳥小屋があり、近づけば獣臭や糞、堆肥の臭いがするだろう。豚小屋の一つには柵が補修された形跡があり、そこから豚が脱走したのかもしれないと推測できる。
事実2日前に数匹の豚が脱走しており、その内1匹が前述のとおり神奈子を襲う事になる。農家の主人はその責を負い、瑠璃によって制裁される運命にある。
母と息子は父の死を悲痛に感じながらも、なお瑠璃への畏怖が勝っているようである。肉親を殺されたものの態度としては、かなり異常なものに映るはずだ。

〈4. 診療所〉
村で唯一の医療機関。医師1人、病床4つの小さな診療所である。公金で経営されているため、比較的新しく小奇麗な外観をしている。
入り口をくぐると待合室、その奥に診察室、処置室、病室がある。また医師である桐島の住居も隣接し、常時対応できるようになっている。
村民は概して健康で、せいぜい高血圧や関節痛、農作業中にできた外傷の治療が主となる。
ここでの治療行為には大幅なボーナスを付けるか、自動成功にするべきだろう。敷地内には軽トラックが停まっている。

〈5. 猟師小屋〉
村の外縁に位置する粗末な小屋。猟師であり、神奈子の実父である村井が居住している。村井は登録された猟銃、森に分け入るのに必要な道具を所持している。
また肉や毛皮を加工し、保存する貯蔵庫もある。探索者達はこの建物に関して、なんとなく村からはぐれたような印象を受けるだろう。村井も軽トラックを所持している。

〈6. 中央広場〉
周囲を森に囲まれた直径60mほどの円形広場。儀式の準備のため、5つの巨大な篝火の準備がされており、どこか厳かな雰囲気が漂っている。
広場の中心には高さ4m、重さ約12t(SIZ72相当)の楔形(三角錐を逆にしたような形)に加工された黒色玄武岩が、3分の1ほど地面に突き刺さるような形で設置されている。
表面はゴツゴツしており、村民の身体にあるような縛鎖の如き文様が彫刻されている。
この巨岩は『要石』と呼ばれ、瑠璃はこれを媒介として、村周辺の地脈、龍脈、水脈を整えることで、村に豊穣をもたらしている。
また種々の儀式により蓄えられた膨大な量の(300ポイントかそれ以上の)MPが蓄えられており、夏の日差しの下でも周囲に涼気を放つほど冷たい。
シナリオ内においては、神奈子を村に繋ぎ止めているものの象徴でもある。

〈7. 廃屋〉
このあたりは村の外れに位置し、舗装されていない道路の両側にある民家はまばらである。探索場所となり得る廃屋は、津久井の師である滝村がかつて借りていた小さな家である。
廃屋は16年前に放棄されている。周囲には雑草が生え、外壁は錆や蔦に覆われている。入り口や窓は施錠されているが、簡素な鍵や古びた戸を突破することは容易だろう。
この家がどのような経緯で滝村に借りられたのか、滝村に16年前どのようなことが起こったのかは後に記述する。

〈8. 村長宅〉
村の中でも一際立派な屋敷である。様式は伝統的な数寄屋造りとなっており、威容を感じさせる外観となっている。
屋敷は複数の部分から成っており、以下に説明を記すが、通常のものとほとんど変わりない部分は省いてある。



・外観および庭
敷地面積約300坪の平屋であり、母屋と離れから成っている。屋敷に向かって右側手前には駐車スペース、その奥は庭となっている。
夫妻が使用していない時は、普通車と軽トラックが停まっている。奥の庭は小規模ながらよく手入れされた日本庭園であり、隅の方に園芸用品などが入った物置がある。
裏庭は小規模な菜園となっており、香草などが植えられている。手入れは村長夫妻か、あるいは村民が立ち代りで行っている。

・離れの部屋
瑠璃が寝室として使用している。座椅子、文机、桐箪笥などがある。身の回りの品、着物等もこの場所に保管されている。
隅に置かれた小さな桐箪笥の中には、用途不明の素材(植物、骨、金属粉、干からびた肉片)や器具(すり鉢や薬研)が入っている。さらに調べると、引き出しの一つに入っている漆塗りの箱と、巻物が見つかる。

〈漆塗りの箱〉
この箱には、絹布に包まれた金属のかんざしが入っている。これは瑠璃の姉妹である神奈子の形見であり、瑠璃が使用する〈自己保護の創造〉の触媒でもある。
〈POW*3〉に成功した探索者は、かんざしから不思議な力を感じるかもしれない。この『神奈子のかんざし』は、シナリオの行方を左右する重要なアイテムである。
かんざしに掛けられた〈自己保護の創造〉によって、瑠璃は3ポイントの装甲を得ており、老化を遅らせて(常人の6分の1)いる。
さらに〈命の糧〉を併用することで、瑠璃はその寿命を延ばしているのである。このアイテムを破壊した場合、瑠璃が延長した分の年月およそ400年が一気に本人に降りかかる。
急速な老化により、干からびるようにして死んでしまうのである。
この箱には瑠璃による防護の符(〈オカルト〉に成功すれば、陰陽道で用いるものだとわかる)が貼られており、瑠璃以外が箱を開けようとすると、小さなクリーチャー(式神)が襲い掛かってくる。
式神のステータスは以下の通り。

【管狐(くだぎつね)】
式神
STR4 DEX20 INT4 アイデア55
CON10 APP- POW8 幸運99
SIZ1 SAN- EDU- 知識50
HP6 MP8 回避40 DB-1d6
武器 噛みつき 50% 1d2

小さな狐に似たクリーチャーである。空中を素早く飛び回り、鋭い牙で敵に噛みついて攻撃する。
場合によっては伝達役として使役されることもある。目撃した探索者は0/1d3の正気度喪失。
   
〈巻物〉
『御門鏡(ごもんきょう)』と呼ばれる道具について説明されている。
御門鏡の姿を描いた図と、鏡を通して『世久外穂人(よぐそとほうと、ヨグ=ソトース)』と呼ばれる存在と接触する呪文が記されている。

・離れの部屋
瑠璃が居室として使用している。書物に囲まれた薄暗い部屋である。書物群は三つに分類することができ、それぞれ一般的な娯楽本の類、呪術的な書物、そして村の資料となっている。
娯楽本に関しては、ノンフィクションや雑誌などから成り、主に村の外についての情報収集する為に用いていたようである。
呪術的な書物はそのほとんどが探索者達の役に立たないが、〈図書館〉に成功することでいくつかの呪文に関する書物が見つかる。
村の資料は主に出生記録や村内における金銭の流れ(祭祀の予算や村の事業費)に関してのものである。〈図書館〉に成功することで村の家系図が発見できる。
この場所での〈図書館〉には1時間を要する。また、各資料の解読にさらに1時間を要する。

〈呪文に関する書物〉
ここで手に入る情報は二つ。『不老の呪法(〈自己保護の創造〉および〈命の糧〉)』と呼ばれる術に関するものと、『ウツシ』と呼ばれる儀式に関するものである。
シナリオ上必要な知識は、1時間程度の斜め読みによって得ることが出来る。
キーパーが望むのならば、『不老の呪法』をじっくり研究することによって、〈自己保護の創造〉〈命の糧〉を探索者達が習得できることにしてもよい。
書物を読んだ探索者は、1d2の正気度を喪失し、1%の〈クトゥルフ神話〉を獲得する。

【不老の呪法について】
この一連の呪文は、術者の老化を遅らせ、また若返らせるためのものである。呪文の触媒として、術者は自らの頭髪や、普段大切に身に着けていたものに呪力を付与する。
儀式によって付与された呪力は、同時に術者を護る鎧として働く。もし触媒となる物品が破棄もしくは破壊された場合、遅らせてきた年月が術者に一度に降りかかる。
また老化を完全に停止させることはできないが、正しい儀式を行って呪力を付与した人間の肉を食べることにより、術者の肉体を若返らせることができる。

【ウツシの儀について】
人間の魂や精神、人格を別の人間の肉体に保存したり移動させたりする呪文である。
儀式を行う領域を結界で覆って外部からの影響を遮断した上で 実施する必要がある。
元の魂を持つ肉体、魂を移す先の肉体共に、数日にわたる物忌み (神に向き合うために心身を清浄に保っておく行為)を行う。
その後、腐敗した血液と脂、骨粉、硫黄、膠、木炭を混ぜ合わせた塗料で描いた魔方陣の上に2つの肉体を配し、1時間程度の呪文を唱えることで儀式による魂の転移が完了する。

〈村の家系図〉
400年ほど前からの、村における全ての出生、婚姻について記されている。まず家系図の最上部には瑠璃の名前があり、目を通せば、村の全ての婚姻について、かなり細やかに管理されていたことがわかる。
また、各村民について、『血の濃さの度合い』を示すと考えられる付記があり、血の濃い者同士を人為的に掛け合わせているようである。
多子を作り、血の薄い人間を間引いているような記述も見受けられる。要するに、この村では人為交配により、ある性質の濃縮が行われているのである。
200年ほど前から、特に血の濃い女性には神奈子という名が付けられるようになり、代々その名は実娘に受け継がれている。最も新しい年代の神奈子は15年前に生誕している。

この家系図は、冒涜的な人為交配が村で行われてきたことを示す資料である。このような非人間的な所業の証拠を発見した探索者は、0/1d3の正気度を喪失する。

『イベント 双子が歌う唄』
離れに初めて近づいた探索者達は、瑠璃が小さな声で歌っているのを聞くことができる。どうやら民謡らしいとわかるが、詳しいことを知るには〈歴史〉〈人類学〉に成功する必要がある。
この唄は『麦や節』と呼ばれるもので、一説には平家の落人が自らの身を嘆いて歌った唄だとされている。
非常に古い唄であり、田舎とはいえ現代人が歌うにはかなり不自然であると感じるだろう。
この唄は当時ありふれたものであったが、瑠璃と神奈子〈真〉にとっては昔を懐かしむ共通の記憶なのである。
また後述するが、奥宮にある小屋に幽閉されている神奈子〈母〉もよくこの唄を口ずさんでいる。彼女の中にある魂がそうさせるのである。

・村長夫妻の部屋
村長夫妻が使用している部屋。村長夫妻はいずれも30代後半の夫婦である。
村長および妻の両親はシナリオ上必要が無いので登場しないが、早逝していることにしてもよいし、別の家で隠居していることにしてもよい。
村長は村の権力者というわけではなく、あくまでまとめ役という程度の存在なので、贅沢な調度などはない。
テレビや箪笥、書棚がある程度だろう。書棚からは、夫妻があまり高等な教育を受けていないだろうことが推測できる。

・客間 ↓△よび
客間 ↓△砲弔い討蓮▲轡淵螢中探索者達が居室とする部屋である。男女で別れることを想定しているが、そうでなくてもよい。
普段はあまり使われておらず、押入れに布団が入っている程度で、目立ったものはない。
居室は津久井が使用しており、持ち物などがそこに置いてある。彼の所持品についての詳細は後に記述する。

・食堂および台所
食事時は食堂にて大きな卓を囲むこととなる。ただし、瑠璃はこの場所ではなく、自室で食事を取る。村長夫妻が食事を届けるのである。
台所は土間の様になっており、現在はガス調理器があるため使われていないが竈もある。冷蔵庫に食材が貯蔵され、食器、フライパンなどの調理具、包丁などの刃物がある。

・大広間
応接間として、訪問客のもてなしや寄合などで使用される部屋である。他の部屋より大きいが、特筆すべきものはない。
この部屋に限らず、屋敷の防音性はかなり低いため、秘密の話をするのには適さない。もし探索者達が村長夫妻に少しでも疑念を持たれているようであれば、常に聞き耳が立てられていても不思議ではない。

・神奈子の部屋
神奈子が自室として使用している、勉強机と書棚のみがある普通の部屋である。
彼女が春まで通っていた中学校の教科書類、それからたくさんの小説が見つかり、彼女が読書好きであるとわかるだろう。
内容は恋愛やファンタジーを題材としたもので、年相応かやや大人びた趣味を持っていることがわかる。
勉強机のひきだしには通常の文具の他に、神奈子の自作小説が書かれたノートが見つかる。分量はかなりのもので、気まぐれに書いたものでないことは明らかである。
ジャンルはおおむね彼女の蔵書と同じようなものである。探索者達が詳しく読んだところで特に得るものはないが、〈母国語(日本語)〉に成功すれば、神奈子の年齢にしてはかなりよく書けていると感じるかもしれない。
もしこの部屋にあとりを連れて入った場合、彼は神奈子の夢が小説家であり、自分はその一番目のファンであることを自慢するだろう。
【神奈子は小説家になる夢を持っている】という情報を手に入れる機会はこの部屋の探索に限定しなくとも構わないが、シナリオ上大きな意味があるので、探索者が情報を入手した際にはキーパーは特に強調すること。

・あとりの部屋
あとりが自室として使用している部屋である。勉強机と書棚には図鑑が多くあり、彼が好奇心旺盛な少年であるとわかる。
パソコンやゲーム機はなく、遊び道具はスポーツ用品が多少あるくらいである。彼は学習のため自室にパソコンを欲しがっているが、今のところその要求は叶えられていない。
医師の桐島のところに頻繁に通い、インターネットを使用しているため、閉鎖的な村の環境にあって自由な発想を持ち、知識も広い。

・その他
便所は和式。浴室は古いタイプのボイラー式である。壁は白色の漆喰、廊下はしっかりとした造りで、暗い色の木材が使われている。
各部屋には空調があるが、風通しは良いため、使用せずとも概して快適である。防音性は低く、どこかで騒ぎがあれば家じゅうに聞こえるだろう。

〈9.神社(里宮)〉
外穂村が擁する『時量師神(トキハカシノカミ)』を祀る神社である。中央広場の方向から階段が伸びており、鳥居をくぐって敷地に進入することになる。
敷地は直径おおよそ30mほどの広場となっている。奥にある神社の名前は単に『外穂神社』となっており、名前から祭神を推測することはできない。また、境内に祭神を示すようなものもない。
時間帯によるが、朝から夕までの間は50%の確率で境内を清掃している村人がいて、祭神について教えてくれるかもしれない。
境内は比較的狭く、社殿も小規模だが、村人によってよく管理されている。幾度か改築・修繕を経ており、〈歴史〉〈考古学〉に成功すれば、築100年程度のものであるとわかる。
この場所には拝殿のみが存在し、〈アイデア〉/2、もしくは〈人類学〉〈オカルト〉に成功すれば、別の場所に本殿があるのだろうと推測できる。
神社自体は余所と変わるところのない一般的なものだとわかるだろう。邪悪なのは瑠璃の目論見とその儀式であり、神社自体は昔から存在していたのである。
祭神についての情報を得たうえで、〈歴史〉〈人類学〉〈オカルト〉に成功すれば、時量師神について以下の情報を得ることができる。

・時量師神について
時量師神は古事記に記載のある日本神話における神である。イザナギの所持していた袋より生じた神だとされ、時間、空間、境界などを司る。
日本書紀には記述がなく、詳細は明らかでない。この神を祀る神社はほとんど知られていない。

瑠璃がヨグ=ソトースを信奉する魔術師であることと、この村の神社が時量師神を祀っていることについて、瑠璃の意思は介在していないが、ヨグ=ソトースと時量師神の間に関係があるのは明らかである。
そのことはシナリオ中において瑠璃が持ち込んだ巻物(前述)に書かれている語『世久外穂人』と、『外穂村』という村の名前に示唆されている。
外穂村ではかつて通常の(社会通念を逸脱しない)信仰が行われていたが、現在は宮司を務める瑠璃により、彼女への信仰を深めるための権威づけと、種々の儀式に利用されている。
時量師神自体は村民から『トキ様』と呼ばれているが、どちらかというと瑠璃に対する個人信仰が強い。拝殿の裏には、奥宮へと続く階段があるが、『禁足地』との看板が立っている。
物理的に封鎖されているわけではないので、誰かに見咎められなければ、奥宮へと移動することが出来る。
もし探索者達が奥宮に行くことを望み、あとりがその場に居る場合は、あとりは裏道の使用を提案する。
奥宮には怖い見張りがおり、正面から行っても当然通してくれない。だから自分が遊びにいく時は、大きく迂回して奥宮へと行くのだ、とあとりは語る。
彼の案内に従えば、獣道を歩いてやや難儀するものの、後述の見張りに見つかることなく、奥宮にある蔵の裏へ移動することが出来る。

〈10.神社(奥宮)〉
時量師神を祀る外穂神社の奥宮。この場所には、奥に向かって中央に本殿、左に神奈子〈母〉が居住する小屋、右に(シナリオ二日目以降に)神奈子が囚われている蔵が存在する。

・小屋
16年前に前回のウツシの儀が実施されてから、神奈子〈真〉の魂の器となった神奈子(母)が幽閉されている。
長年にわたって異形の魂を宿してきたために、神奈子(母)の精神はすっかり擦り切れてしまっている。自発的な行動や思考はほとんどなく、食事や排せつなどの、必要最低限の生活能力があるのみである。
小屋自体はこじんまりしたものであるが、外見に似合わず内装はかなりしっかりした、近代的で快適そうなものである。神社の本殿に近接する施設としてはかなり不自然だと感じるだろう。
窓は外側に格子がついており、入り口の扉は南京錠で施錠されている。この扉は〈鍵開け〉*2もしくは〈機械修理〉*2で開錠・破壊することができる。
ただし窓越しに会話しても、直接会話しても、神奈子(母)はぼーっとしているか、意味のあることはほとんど話さないだろう。
それは神奈子が置かれている立場を説明しても同様である。神奈子(母)に危害を加えたり、連れ去ったりすれば、当然村人たち全員を敵に回すことになる。

・本殿
外穂神社の本殿である。つくりは一般的な神社建築のそれであるが、本来あるべき御神体は瑠璃が取り払ってしまった。これは本来の信仰が形骸化してしまっていることを示すものである。
シナリオ後半に行われるウツシの儀は、この本殿内部で行われる。取り払われた御神体の代わりに、瑠璃が持ち込んだのが『御門鏡』である。
御門鏡は本殿奥の台上に置かれた桐の箱の中に、紫の絹布に包まれた状態で入っている。本殿の入り口は南京錠で施錠されているが、〈鍵開け〉*2もしくは〈機械修理〉*2で開錠・破壊することができる。

〈御門鏡〉
磨き上げられた純銅の鏡。直径25cm程度、片手で持つことができる。由来は不明だが、少なくとも400年以上前から存在している。
非常に古いものであるにもかかわらず、錆や曇りは一切見られない。裏面には鎖が輪状になったような文様があり、正確な呪文を唱えることで、御門鏡を通じて〈ヨグ=ソトースとの接触〉が可能となる。
このアーティファクトはいかなる手段を用いても、決して破壊することができない。

・蔵
こちらは比較的古い建物である。普段は物置や、非常用物品の備蓄庫、儀式に伴う(人間やその一部を含む)非合法な物品が保存されている場所であるが、
現在は人が過ごせるよう、座敷牢に似た形に改造され、幽閉された神奈子が物忌みを行う場となっている。
蔵の扉は鉄製で、錠前の強度も高く、作りも複雑なため、〈鍵開け〉や〈機械修理〉で突破することはできず、シナリオ終盤まで神奈子を連れだすのはまず不可能である。
蔵の裏は表から見えにくい場所になっており、また人の頭ぐらいの位置に柵のついた窓が存在する。内部の人間と話をしたり、小さな物品を差し入れたりするにはここが利用できる。

朝〜夕の時間帯、奥宮では【下男】と呼ばれる存在が、瑠璃に命じられた特別な用事があるときを除いて見張りを行っている。

【下男(げなん)】50歳 男性
瑠璃に仕える存在
STR22 DEX4 INT8 アイデア40
CON17 APP3 POW11 幸運55
SIZ17 SAN0 EDU8 知識40
HP17 MP11 回避8 DB+1d6
こぶし:65% 組み付き:65% 聞き耳:45% 目星:45% 
隠れる:30% 忍び歩き:30%
武器 触手による強打 65% 1d3+1d6
   触手の巻きつき 65% 〈組み付き〉

外穂村の住人はそのほとんどがヨグ=ソトースの混血である。したがって通常は異形の肉体を持つが、瑠璃が施す特殊な呪印によって人間と同様の姿を持って育つことが出来る。
しかし呪印が解き放たれた場合、その肉体は異形のものへと変化する。ヨグ=ソトースの性質が過剰に引き出された場合、その変化に耐え切れず、張り裂けるように死亡するが、まれに彼のように生き残る者が存在する。
彼はかつて、何らかの理由によって瑠璃に制裁され、呪印を解かれたが、幸運にも生存した。瑠璃の気まぐれによりそのまま生かされ、彼女に奉仕する存在となった。
村人の前に姿を晒すことはあまりないが、その腕力と異形、そして瑠璃から授けられた呪印を解放する能力により、村人たちからは非常に恐れられている。
左腕が触手の様に変化し、異様に肥大している。普段はダブついた衣服で隠されているが、異常は明らかである。
外部からその肥大した左腕を目撃した場合は0/1、露出したそれを目撃した場合は0/1d4の正気度を喪失する。

下男が居る時間に探索者達が奥宮へ侵入すれば当然彼に咎められることになる。理知的で紳士的な対話は望むべくもなく、すぐに暴力をちらつかせて退去を迫るだろう。
この場所を探索するには、彼のいない夜間に出向くか、あとりに教えられた裏道を使う必要がある。

5.町営診療所
負傷した神奈子を連れた探索者達は、まず村の診療所へと向かう事になるだろう。診療所内には医師の桐島がおり、本日の営業を終えるための片付けをしている、というところである。
探索者達が診療所を訪れると、桐島はまず神奈子の治療を優先する。そのあとごく無愛想に、探索者達が誰か尋ねるだろう。
自己紹介が済んだ後、桐島は思い出したように時計を見て、「しばらく村に滞在して行け」と探索者達に言う。訳を聞くと、村で三日後に行われる祭に際して、村への出入りが禁止されるのだと答える。
この時点で祭について尋ねても、「いわゆる夏祭りのような派手な祭りじゃない。食事と酒ぐらいは振る舞われるが」とごく簡単に答えるのみである。
宿泊に関して、村に民宿などはないので滞在するのであれば村長に頼るとよい、と桐島はアドバイスする。
神奈子が村長の娘(実際にはそうではないのだが)であることも付け加えるだろう。もしかすると、既に一人客人が居ることも知っているかもしれない。

6.村長の家
歩いてそれほど遠くないところに村長の家はある。時刻はおそらく夕飯時であり、神奈子が中に入ると村長夫妻、そしてあとりが探索者達を出迎えるだろう。
村長夫妻はまず神奈子の怪我を見ると非常に動揺する。これはこの村における神奈子という存在の重要性を考えれば当然であるが、探索者達にはやや過保護なように思えるかもしれない。
あとりはそれほど(彼にとってこの程度の怪我は日常茶飯事なので)神奈子に頓着せず、探索者達に興味を示す。
探索者達が滞在を申し出ると、村長夫妻はやや困惑するが、村への出入りが禁止されるというしきたりがあるので、探索者達を受け入れる。
幸い村長宅は広いので、探索者達には二つの部屋があてがわれる。荷物を置き、一息ついたらすぐに夕食、というのがスムーズだろう。
〈幸運〉成功した探索者は、村長の妻が瑠璃の部屋へ食事を運んでいるのを見かけるだろう。
夕食は村内で生産された野菜や豚肉が中心である。味覚としての〈聞き耳〉や、〈博物学〉に成功すれば、市場に出回っているものよりも新鮮で高品質なことがわかるだろう。
また、探索者はここで初めて津久井と会うことになる。彼は登山をしていたら遭難してしまい、彷徨っていたところ今日の午前にこの村を発見して滞在しているのだと話す。
状況や彼の風体から言って、それはかなり不自然な言い訳だと探索者達は気付くかもしれない。
夕食後、村長の家に来客がある。それは頻繁に村長の家を訪れ、狩猟で得た肉やその加工品、出稼ぎに出た先で買ってきた土産物などを届けている猟師の村井である。
今回も適当な土産物を持参し、神奈子の様子を聞きに来たのである。神奈子は知らないが、村井は実の父として、彼女の身を非常に案じているのである。
村井がどのような人物かはあとりが教えてくれるだろうが、彼もまた村井が神奈子の実父であることは知らない。ただ親切なおじさんとして認識しているだけである。
その後探索者達は村長宅の内部を探索する機会がある。しかしこのタイミングで家内を探索することは必須という訳ではないので、翌朝までシーンを飛ばしてしまっても構わない。
ただ、少なくとも探索者達とあとりの関係は深めておく方が後の展開にとって望ましい。村長夫妻は、片付けの後自室におり、比較的早く就寝する。
あとりは探索者達に興味津々で、探索する後ろを付いて回ったり、探索者達の部屋を覗き込んだりするだろう。
神奈子は自室で自分の小説を完成させようとしているが、探索者達はその小説を見せてもらえない。
〈心理学〉に成功した探索者は、彼女が(儀式を控えているため)とても不安な気持ちになっていることがわかる。
その理由は聞いても教えてくれない。それは彼女自身の迷いを認めてしまうことにもなりかねないからだ。
津久井は自室で持ち込んだ資料を読んでいるか、寝転がっている。この場合の資料はごく普通の民俗学に関するものである。
探索者達が津久井の本当の目的について問いただすと、彼は抵抗なく自分の正体が外穂村の信仰について調べに来た民俗学者であることを明かす。
しかし現時点では彼の師がこの村で失踪したことについては話さない。彼がそれを語るのは探索がもう少し進んでから、早くとも2日目の夜である。
もし探索者達が〈言いくるめ〉〈説得〉に成功しなかった場合は、そのまま津久井の3時間にわたる民俗学講義に巻き込まれる。
講義を最後まで真面目に聴いた探索者は、〈歴史〉〈人類学〉〈オカルト〉のいずれかに成長チェックを付けることができる。
瑠璃も基本的に自室から動かない。探索者達が部屋を訪れた場合、客人として歓迎する姿勢を見せ、「(村に新しい血を入れるのは好ましいことであるので)いつまででもいていい」などと冗談っぽく言う。
しかしこの部屋は私室であるので、あまり入らないでほしいとも言われるだろう。

7.事件の朝
起床少し前、〈聞き耳〉に成功した探索者は、あとりと村長夫妻が言い争っている声を聞くことができる。これは後述するが、神奈子が生贄として連れて行かれたことに対して、あとりが激しく反発しているのである。
村のしきたりと儀式については説明されているが、自由な志向を持つあとりはそれを非合理的なこととみなしているのだ。しかし大人に逆らう事も出来ず、彼は強く叱責されて自室にこもってしまう。
朝食に起きた探索者達は、神奈子とあとりがその場にいないことに気付くだろう。
村長夫妻に理由を尋ねると、神奈子に関しては「祭りの準備」、あとりに関しては「へそを曲げた」「あの年頃の男の子は難しい」などと説明するだけである。
朝食後にあとりの部屋を訪れると、泣いているあとりを見つけることができる。理由を聞くと、彼は泣き腫らした目で、神奈子が連れて行かれてしまった、と話すだろう。
彼は儀式についてあいまいなことしか説明されていないが、連れて行かれた神奈子は巫女となり、二度と会う事は出来ないのだということを確信している。
その情報源は両親からの不十分な説明であったり、医師の桐島の憶測であったり、猟師である村井のほのめかしであったりするが、とにかくあとりは探索者達に、姉を連れ戻してほしいと懇願する。
もし探索者が子供の戯言だとして取り合わないようであれば、津久井を意味ありげに登場させ、この村にはもしかしたら生贄や人柱の風習が残っているのかもしれない、と言わせてもいいだろう。
滝村を追ってきた彼は、師の不可解な失踪について疑念を持っているからである。師がこの村で消息を絶ったのは、何かこの村に後ろ暗いことがあるからではないか、と推測しているのである。

8.探索の流れ
これ以降、探索者達は村内を自由に行動できる。本シナリオの最終的な目的は、神奈子とあとりを連れて村から無事に脱出することである。
そのためには、‖爾凌仰について調査し、真実を明らかにする。⊃斉犹劼鮴眛世垢觝猯舛鯑世董⊆らの運命と決別させる。5啓阿望茲犬匿斉犹劼鮟け出す。という3つのことが必要となる。
また、津久井が村に来た本当の理由と、彼の目論見について知ることもシナリオ上重要な意味がある。
探索者達が何処に行き、誰と話し、どのような情報を得るかについて明確な順序はないので、以下に各NPCの行動、イベントが発生するおおまかな場所と時間などを記述していく。

9.桐島孝雄
桐島は、神奈子を除けば探索者達が村で出会った最初の人間であり、また医師という社会的な立場のある人間であるため、探索者達が彼を頼るという事は十分考えられることである。
また、あとりも彼にはある程度尊敬と信頼を抱いている。村人からも一定の信用を勝ち得ている彼は、探索者達の良き協力者となるだろう。
彼はこの村に来てから4年程度しか経っていないため(前任の医師は一応穏当に転勤したようである)、村の慣習や儀式について詳しく知っている訳ではない。
しかし医師として仕事をする上で、村人の身体についての知識は持っている。村人は前述したとおり概して健康であるが、村内で生まれた人間はそのほとんどが生まれつき鎖のような痣を持っている。
痣は呪文によるものであるが、瑠璃は妊娠が確定した時点で、母体内の胎児に対して呪印を施しているからである。痣を持たないのは、村外から来た人間のみである。
痣の濃さは人によって異なり、遺伝要素が強いと考えられる。痣の部分は負傷しても変化せず、また身体から分離した痣の皮膚は通常の皮膚と同じようになる。といったことを桐島は観察している。
しかし特に健康を害する疾患でもなく、デリケートな問題であることも雰囲気から感じ取っているので、積極的に調査したことはない。
儀式については、おおよそ16年ごとに行われることは知らされており、村の権力者である瑠璃と神奈子が重要な役割を果たすことも知っているが、詳細については知らない。
しかし(定期的に往診を行う機会があるため)神奈子〈母〉が奥宮に幽閉されていることを知っており、ごくたまに瑠璃によって制裁された村人の奇妙な死体の調書を作成している。
しかし幽閉と調書の件について、まだ何も知らない探索者達に語ることはないだろう。彼がそれについて話すのは、強い確信を持って問い詰められた時である。
桐島は村人と敵対したいとは思っていないが、神奈子が犠牲になるようであればそれを助けたいと考える。
彼も瑠璃を恐れ、少なからずその影響下にあるが、乞われれば可能な範囲の協力とアドバイスを提供してくれる。必要があるならば、診療所内のパソコンとインターネットを利用することもできる。
もし探索者達が村井の風体を尋ねれば、名前や住居を教えてくれるだろう。

10.村井鷹
村井は外穂村の外れに一人で住んでいる。普段は猟のため外出することが多いが、祭りの間は村への出入りが禁止されているため、ほとんど家にいる。
多分猟銃の整備をしているか、皮や肉の加工をしているだろう。彼は儀式で何が行われるかある程度知っている。神奈子〈母〉に子種を提供したのは彼だからである。
村井は幼少の神奈子〈母〉を知っており、彼女が巫女として連れ去られたのを見ていた。そして程なく瑠璃に命ぜられて、神奈子〈母〉と短い夫婦生活を送ることになった。
しかし神奈子が生まれるや否や、村井は妻と引き離された。彼はもう用済みになったのである。彼は妻を愛していたし、実娘である神奈子を愛していた。
しかしまだ若かった彼は、村の慣習によってもたらされたその不条理な別離に抗う術を持たなかった。
この事は深い後悔の念となって、15年来村井を苦しめ続けている。だからこそ彼は娘の成長を見守りつつ、村の外れで世捨て人のような生活を送っているのである。
探索者達がその苦悩を読み取り、それに寄り添うのならば、彼は探索者達が望む情報として、上述のような儀式の一端について語るだろう。
【村井鷹は神奈子の実父である】という情報もまた、シナリオ上重要な意味を持っているので、キーパーは特に強調しておくこと。
さらに村井は、自身が幼少のころから瑠璃の姿が変わらないことを知っている。村では誰もが気付いている事実であるが、それを表だって問題にするものはいない。
瑠璃の逆鱗に触れれば、即座に制裁される運命が待っているからである。もし探索者達が16年前に失踪した滝村のことを尋ねたならば、彼が村の信仰に迫りすぎたため、殺害された、ということを苦々しく話すだろう。
探索者達が村井の所を訪れた時点で、津久井は既に彼の所に話を聞きに来ている。その際には当然滝村のことを尋ねており、村井は津久井の目的について不審なものを感じている。
またシナリオ後半に荒事を想定して村井から猟銃を借り受けることもできるが、彼の猟銃は登録された合法的なものなので、迂闊な使用は法律的なリスクをもたらす。
面倒を回避するためには相応の工作をおこなわなければならず、猟銃の使用にそれだけの必要性があるかどうか、探索者は村井を納得させる必要があるだろう。

11.神奈子の説得
シナリオ2日目の朝から4日目深夜に行われる儀式に向けて、神奈子は白装束を着て、奥宮にある蔵の中でおとなしくしている。
〈人類学〉〈オカルト〉〈歴史〉に成功した探索者は、それが神事の際に、心身の不浄を祓うために行われる物忌みであることがわかる。
物忌み中彼女は蔵の外に出ることは決してない。それは食事や排泄の際も例外ではない。蔵の裏手にある窓から覗き見れば、生活に必要な全ての設備が供えられていることがわかる。
幽閉されている神奈子は、自らの運命を受容しているように見える。ただしそれは積極的なものではなく、多分に諦めを含んだものである。
彼女の肉体にはヨグ=ソトースの血が流れているが、その心はあくまでも健全な少女のものである。
しかし幼少から刷り込まれてきた自らの役割、連綿と続く村の慣習、そして絶対的な権力者である瑠璃の存在が、神奈子の心を頑強な鎖のように縛っている。
彼女を解き放つためには、神奈子の運命を案じ、明るい未来を願う人々の想いを伝える必要がある。
それには【神奈子は小説家になる夢を持っている】【村井鷹は神奈子の実父である】というキーワードに加え【あとりがその場にいる】という条件、
そして何より探索者達が、必ず神奈子を連れ出す、という強い意志を示すことが欠かせない。
これらのいずれかが不足した場合は、何かまだ足りない要素があることをキーパーが伝えるか、大幅なペナルティの付いた〈説得〉に成功しなければならない。
神奈子はまた、自らの実母について探索者達に尋ねるかもしれない。
しかし本シナリオにおいて、神奈子〈母〉は悲惨な運命を辿る可能性が高いので、これを伝えるかどうか、キーパーは探索者達に慎重に選択させた方がよいだろう。
神奈子が自らの運命に抗う覚悟を決めたならば、そのチャンスは自らが蔵の外に連れ出されるウツシの儀本番に訪れるであろうことを探索者達に話す。そして強い決意の宿った瞳で、こう宣言するだろう。
「今まで私は、期待される役割を果たす為に、『私』として生きることから逃げてきたのかもしれません」
「でも、それはもうやめます。私が『私』として生きること、それを願っている人達が確かにいることを、皆さんが教えてくれたから」

11.瑠璃の制裁
このイベントは探索3日目の昼、あるいはキーパーが適切だと思ったタイミングで発生させる。シナリオ1日目に神奈子が負傷した原因は、村内の畜産農家から逃げ出した豚であった。
そのことは当然瑠璃の知る所となり、柵の補修を怠ったとして畜産農家の主人が呼び出されることになる。
もし探索者達が遭遇するとしたら、地べたに平伏し縮こまっている主人が、憤怒の形相を浮かべている瑠璃に睨み付けられている場面だろう。
ついで瑠璃は酷薄な表情に変わり、二言三言呪文を唱える。『呪印の解放』と呼ばれるこの行為は、瑠璃が村民の身体に流れるヨグ=ソトースの血に働きかけ、その肉体を破壊するというものである。
犠牲者は四肢や腹部などの体組織を破裂させ、その中からは触腕のような肉塊が生えてくる。そしてぐずぐずと爛れて、やがて崩壊してしまう。
後に残るのは、血の混じった犠牲者の体液と、潰れた臓物のような残骸だけである。この異様な死にざまを見た探索者は、1/1d8の正気度を喪失する。
もしこの一件について瑠璃を問い詰めた場合、彼女はさも当然と言った風にそれを肯定するだろう。その態度からは、村人をただの道具か何かのように思っていることがわかるかもしれない。
瑠璃にしつこく食い下がったり、彼女を面と向かって批判したり、違法性を咎めたりした場合には、当然探索者達は瑠璃から警戒されることになる。
あとり、村井、桐島を除く村民に上記の事をした場合も同様である。なお死体は下男によって袋に詰められ、夜までに山奥に投棄される。

12.津久井隆久
本シナリオにおける津久井の目的は、失踪した師である滝村の足跡を追い、ヨグ=ソトース信仰の深奥に迫ることである。その為、彼の行動や思考は上記の目的に沿ったものとなる。
彼は生粋の狂信者という訳ではないので、社会通念を著しく逸脱した行動をとることはほとんどない。
しかし自身の目的を阻むものがあった場合は、猟奇的な一面を覗かせ、多少強引な手段を選択することは十分に考えられる。
津久井が外穂村を訪れたのは探索者達の到着を遡ること半日程度である。偶然を装って現れ、村長宅に転がり込んで一室を与えられる。夜型の人間で、基本的に昼近くに起床し、夜遅くまで起きている。
荷物は基本的に居室に置いてあるが、『契約のタリスマン』は常に(入浴、就寝時も)身に着けている。
部屋に置いてある荷物は、書籍や資料がほとんどである。すなわち推理小説、最近の専門書や論文(土着宗教や民俗学に関するもの)、そして個人的な研究ノートである。
研究ノートは走り書き程度の記述が多いため、おおまかな内容を把握するには30分かけて〈アイデア〉〈母国語〉に成功する必要がある。
ロールに成功した探索者は、頻出する『よぐそとほうと』『Yog-Sothoth(=Aforgomon?)』『御門鏡』『外穂村』という単語をピックアップすることができ、
彼がよぐそとほうと呼ばれる存在および御門鏡と呼ばれるものについて調査するために、この村を訪れたであろうことがわかる。
シナリオ2日目、彼は村における信仰の実態を知り、師の足跡を探るために調査を行う。村の中心にある要石の写真を取っていたり、道端で村人に聞き込みを行っていたり、里宮で休憩していたりする。
探索者達と遭遇することは十分に考えられるが、特に熱心に乞われない限り、行動を共にすることはない。彼はあまり他者の感情に配慮するということをしないので、村民からやや警戒されていることが感じ取れるだろう。
シナリオ3日目の昼から、津久井は前日までに得た情報をもとに、かつて滝村が居を構えていた廃屋の調査を行う。

13.廃屋の調査
津久井に同行を申し出る、あるいは村井から情報を得ることで、村の東にある廃屋を探索することができる。
放棄されてから16年が経った木造の平屋は周囲から孤立しており、手入れする人もなく荒れるに任されている。
廃屋の玄関は一応施錠されているが、力任せに開ければ容易に進入することができる。もし既に津久井によって探索が終了していなければ、長らく人が入った形跡がないのがわかるだろう。
内部は畳敷きの部屋3つと台所からなるこじんまりしたものである。埃やカビの臭いが強く、片付けられていない生活用品が散乱している。
このことから、家の主が何の用意もないまま突然いなくなったことがわかるだろう。電気や水道などのインフラは既に機能しておらず、夜に探索する場合は灯りとなるものが必要だろう。
雑然とした屋内から役立つ情報を素早く見つけるには、〈目星〉に成功する必要がある。ロールに失敗した場合は、成功した時の倍以上の時間がかかってしまうだろう。
探索によって、一室にある文机から〈外穂村の信仰についてのノート(抜粋)〉〈滝村の日記〉を発見することができる。これらは平易な日本語で書かれており、それぞれ30分程度で内容を把握できる。

〈外穂村の信仰についてのノート(抜粋)〉
外穂村の住人は、この種の山村にありがちなこととして、都市部の人間に比べ信心深い。
村には古事記にある時量師神を祀る神社があるが、どちらかというと神社の宮司を務める『瑠璃』という若い女性に対する個人崇拝の色合いが濃い。
瑠璃は村人からまるで現人神のように語られており、村において特別な地位にあるようだ。
(中略)表向きの信仰は神道の形式に則ったものであるが、村の中央広場にある巨岩にも見られるように、実体はかけ離れたものである。
過去の資料と照らし合わせると、やはりあらゆる時代、地域に散見される『Yog=Sothoth(よぐそとほうと?)』と呼ばれる存在と深い関連があると考えられる。
(中略)『御門鏡』と呼ばれる真新しい銅鏡を御神体としているほか、儀式における人身御供の存在を匂わせる証言も得られている。

〈滝村の日記(抜粋)〉
X-16年4月15日(Xはシナリオ開始年)
研究休暇を得て、かねてから計画していた外穂村でのフィールドワークを開始。
村の外れに一軒家を借りて新生活に入る。仲介してくれた知人には感謝せねばならない。
X-16年4月29日
村の経済活動は一次産業がほとんどであるにも関わらず、生活水準は概して高い。
村人は心優しく親切である。気候は過ごしやすいが、鳥がやたらとうるさい。
X-16年5月5日
村井という青年は非常に親切である。彼は村の反対側に住んでいるので、頻繁に顔を合わせる機会が無いのが残念である。
試みに植えてみた枝豆がすごい勢いで育っている。
X-16年5月29日
村人の身体にある痣について診療所の医師に話を聞くも、意味のある情報はほとんど得られない。
村人に信仰について深く聞くと怪訝な顔をされる。食欲が増したため少し太った気がする。
X-16年6月15日
瑠璃に警戒されている。少し立ち入った話をしすぎたか?
X-16年7月2日
村の若い女性をかなり強引に勧められる。私をこの村に取り込もうとしているのだと思う。
X-16年7月11日
敵意のある監視を受けているような気がする。
紹介してくれた知人には申し訳ないが、フィールドワークを中断した方がいいのかもしれない。

この日記からは、滝村の外穂村における生活の様子をおおまかに読み取ることが出来る。村は豊かで明るいが、その信仰には奇妙な点がある。
そしてそれを追究した滝村は瑠璃の不興を買い、最後の記述を書いて間もなく殺害された。瑠璃の命令を受けて押し入った村人に撲殺され、その死体は山奥に投棄されたのである。
資料や日記から得られる情報は、十分に調査を進めてきた探索者達にとって目新しいものではないが、それが逆に今までの調査を裏付けることになるだろう。

もし探索者達がシナリオ3日目の夕方までに廃墟の探索を開始しなかった場合、これらの資料は津久井の所持品に追加される。
津久井に頼めば資料を見せてくれるかもしれないが、彼はあくまで自らの所有権を主張するだろう。それは彼と共に探索を行った場合も同様である。
師の残した資料を不当に奪われたと感じた津久井は、探索者達に対して非協力的になったり、強引な手段で資料を取り返そうとしたりするかもしれない。

14.祭りの準備
シナリオ4日目の昼前から、祭の準備が佳境を迎える。村長夫妻は中央広場などで会場設営の指揮、瑠璃は奥宮近辺でウツシの儀に向けて最後の準備を行う。
村長宅にいるのは探索者とあとりだけになるだろう。また村民のほとんどが中央広場に集まる。
夕方5時ごろから、要石の周囲に六角形を成すように配置されていた巨大な篝火に火がともされる。テントやゴザが設営され、食事や酒が振る舞われる。
この祭は、ほとんどの村人たちにとっては五穀豊穣を祈るための無害なものである。しかしその裏では、瑠璃によるウツシの儀が着々と進行している。
日が暮れると、村長が要石の前に進み出て、祝詞を唱える。〈オカルト〉〈人類学〉に成功すれば、この祝詞が神道の形式に則った、特に違和感のないものであることがわかる。
その後は夜半まで宴が続く。村の青年団は6名がここで警備や運営をおこない、2名が村の入り口で警備をおこなっている。

15.ウツシの儀
探索者達が日暮れ以降奥宮に向かおうとすると、津久井は同行を申し出る。もし関係が致命的に悪化していた場合は、別々に向かう事になるだろう。
奥宮に立ち入ると、神奈子〈母〉がいた小屋と神奈子が軟禁されていた蔵はすでに無人である。本殿の前では下男が篝火に照らされながら見張りを行っている。
探索者達は戦闘によって彼を排除してもいいし、何か他の策を弄してもいい。
本殿には鍵がかかっておらず、探索者達は中に入ることができる。内部では木炭と膠を練って作られた塗料で描かれた魔方陣の上に瑠璃がおり、呪文を唱えている。
そしてその傍らに神奈子〈母〉と神奈子が座っている。魔方陣は〈ナーク=ティトの障壁の創造〉に似た魔術によるSTR6d6相当の強度を持つ結界で守られており、探索者達は中へ入ることができない。
瑠璃は探索者達が何らかのアクションを起こすまで呪文を唱え続ける。呪文を阻止しようとする探索者がとるべき行動は、おおまかに三つ考えられる。
/斉犹劼妨討咾けて障壁を破壊する。⊃斉犹劼里んざしを材料に交渉する。N寨の部屋で手に入れた神奈子のかんざしを即座に破壊する。というものである。
探索者達が儀式の邪魔をしようとしたり、瑠璃を責め立てたりすれば、瑠璃はこのように言い放つだろう。
「邪魔をするな。この村は私の村で、お前たちごときが深入りしていい場所ではない」
「この村の人々は私に仕え、その代わり私は彼らに豊穣を提供する」
「生まれた子は健やかに育ち、家畜は肥え、太る。作物は大きく、甘く実る」
「私は庇護者で、お前たちは村の幸福を乱そうとする偽善者だ」
「今立ち去れば見逃してやろう。ここで見たこと全てを忘れ、自分たちが居るべき場所へ帰るがいい」
津久井がその場に居れば、彼は御門鏡を手に入れたいと考えているので、その障害となり得る瑠璃を殺すよう探索者達に強く進言する。
探索者達が上記三つ以外の行動を採用する場合は、キーパーはその後の展開について、瑠璃や津久井の行動原理をもとに考える必要があるだろう。

16.あり得る展開
前項で,旅堝阿鬚箸辰疹豺隋事前の探索で神奈子の説得に成功し、彼女が自らの運命と決別する覚悟ができているならば、技能ロールの必要なく彼女は行動を起こす。
自らの身に宿す忌まわしくも強烈な力を行使して障壁を打ち破るのである。神奈子のMPは儀式によって19ポイントまで減少しているが、〈ヨグ=ソトースのこぶし〉を使用し、8MPを消費して障壁を破壊する。
「……私はあなたの持ち物じゃない」
「私は私だ!私の人生は私のものだ!この人達がそれを教えてくれたんだ!」
そこからは神奈子を取り戻そうとする瑠璃と探索者達との戦闘になる。
△旅堝阿鬚箸辰疹豺隋⇔寨は自らの命と儀式の完遂を天秤にかけることになる。瑠璃にとって神奈子は得難い器であるが、唯一無二という訳ではない。
もう1世代か2世代交配を繰り返せば、彼女と同等の器が手に入る可能性は高い。したがって瑠璃にとっては、神奈子のかんざしと神奈子自身を交換するのはやぶさかではない。
しかし神奈子〈母〉はそうではない。彼女は神奈子〈真〉の魂が宿った、瑠璃によって必要欠くべからざる存在である。
もし探索者達が神奈子〈母〉を連れ出そうとするならば、瑠璃はそれを死に物狂いで止めるだろう。彼女にとって妹との別離は決して受容できない。たとえ自らが命を失うことになっても、である。
の行動を取れば、瑠璃は即座に死亡する。今まで遅らせてきた年月が一気に降りかかり、ミイラの様になって死亡してしまうのである。
彼女は妹の名を呟きながら絶命するが、いかなる呪文か、それとも双子の魂の共鳴によるものか、神奈子〈母〉に変化が起こる。神奈子〈真〉の魂が器を取り込んで覚醒しつつあるのだ。
かんざしを破壊する以外の方法で瑠璃が死亡した場合にもそれが起こる。変化に際しては以下の描写文を読み上げる。

絶叫が響いた。それは誰の口から発せられたものでもなく、魂に直接響く慟哭であった。
目前に居る女性の気配が膨れ上がったかと思うと、その表皮が沸騰するように爛れ、崩れていく。
その輪郭は形を変え、異様な伸縮を繰り返しながら、人外のものへと姿を変えていった。
異形は金切り声をあげながら肥大化していき、のたうつ触手がその体表から乱れ咲く。
この村の、薄く危ういヴェールに包まれていたもの。
行き場のない魂の末路。そして紛れもなく、万人にとっての悪夢。
触れざるを得なかった、しかし触れるべきではなかった真実を前にした探索者達は、1d4/2d8の正気度を喪失する。

この異形のステータスは以下の通り

【魂を暴走させた異形】
STR30 DEX6 INT4 アイデア85
CON16 APP- POW30 幸運95
SIZ26 SAN- EDU- 知識-
HP22 MP30 回避8 DB+2d6
武器 触手による強打 40% 1d3+2d6 
   触手による組み付き 40% 特殊
装甲 ぶよぶよした8ポイントの皮膚

この怪物は1Rに1d4本の触手を使って攻撃する。組み付かれた犠牲者は骨を砕かれ、次のRからダメージボーナスと同じ値のダメージを受ける。
脱出するにはこの怪物のSTR抵抗ロールに勝利する必要がある。またこの怪物の肉体は不完全なものであり、24時間以内には崩壊して溶けてしまう。

その他に起こる可能性のある出来事として、津久井の死亡というものがある。彼は探索者達と瑠璃の対立のどさくさに紛れて銅鏡を奪取し、その場から去ろうとする。
しかし状況によって、瑠璃との戦闘が発生した際に巻き添えになって死亡する、探索者達と決定的に対立して殺害される。
その他、隙をついて御門鏡を奪取しようとし、瑠璃や異形の手によって殺される、等のケースが考えられる。
基本的に津久井の死は、瑠璃が死亡せず、神奈子〈母〉が異形にならなかった場合に、探索者を追いつめる〈太古の生物〉を出現させる役割を担っている。
出現に際しては以下の描写文を読み上げる。

津久井が大きく血を吐いて動きを止めると、その躰は奇妙にゆらいだ。
ゆらぎは無数の小さな渦となり、それらから黒く、どろりとしたものが漏れ出し始める。
黒い質量は湧出を続け、一塊になり、生物の器官と思しきものを形づくっていく。
そうしてできた多肢を備えた体躯は、黒く、牛よりもさらに二回りほど大きい。
それは光のない時代。摂理のない太古。時間さえもない始原の存在。
契約に従い義務を果たしていたこの生き物は、今その権利を行使した。
すなわち今この世界に顕現し、喰らう、ということである。
その最初の獲物として射すくめられた探索者達は、1d6/1d20の正気度を喪失する。

顕現した太古の生物のステータスは以下の通り。

【太古の生物】
STR46 DEX8 INT12 アイデア60
CON30 APP- POW20 幸運99
SIZ40 SAN- EDU- 知識-
HP35 MP20 回避16 DB+4d6
武器 体当たり 60% 4d6 
   噛みつき 40% 2d10
装甲 6ポイントの厚い皮

この生き物は光のない時間帯にのみ活発な活動を行う。空腹時以外は地面の深いところまで穴を掘って長い時間眠っている。

魂を暴走させた異形は神奈子を追跡してくる。姉に最も近い存在として捉えているからである。
太古の生物が誰を狙うかはキーパーにまかせるが、こちらも最初は神奈子を追う方がドラマチックな展開になるだろう。
二体が同時に出現する事態も考えられるが、その場合は互いに喰い合い、どちらか一方が残る結果になる。
探索者達の注意深い行動によって、瑠璃の死も津久井の死も生じなかった場合は、無理をして探索者達を追いつめるような展開にせず、素直にその機転を賞賛すべきだろう。

17.逃走、そして
もし探索者達が出現した敵に正面から立ち向かうのでなければ、里宮を経由して中央広場へと向かう必要があるだろう。
探索者達が中央広場に到達するまでに、追跡者のDEXとの抵抗ロールを2回おこなう。失敗した場合は、攻撃のチャンスを許すことになる。
まだ神奈子のMPが残っているのならば、追跡者の足を止めるのに十分な威力の〈ヨグ=ソトースのこぶし〉を放ち、攻撃を無効にできるかもしれない。
もし瑠璃が死亡していれば、広場の中央にある要石は縦に割れている。長年呪文の媒体として使用してきたことによる疲労に加え、瑠璃の死によって一時的に大きな負荷が掛かったためである。
村民たちはそのことによって非常に動揺しているが、探索者達が神奈子を連れ出したことに気付くと捕まえようと追いかける。
要石が割れていれば、その断面から金糸のようなエネルギーの奔流が迸っている。幾人かの村民はそれに中てられて、頭を抱えて苦しんでいる。
神奈子が要石に近づくと、エネルギーは神奈子に流れ込む。その量は通常人間が蓄えられる上限をはるかに超えている。
その影響として、神奈子の体表にあった鎖のような痣は白熱した金属のような光を放ち、その瞳さえも同じ色に強く輝く。
このタイミングで神奈子は敵に向き直り、探索者達に逃げるよう言うだろう。探索者達は彼女の言葉に従ってもよいし、彼女と共に敵に立ち向かってもよい。
その直後、彼女が纏う光は腕の先に収束していき、大きなエネルギーの奔流となって怪物に殺到する。それによって敵はほとんど無力化されるが、滅ぼすにはあと一撃を加える必要がある。
たとえば中央広場で燃えている篝火を引き倒して燃やしたり、辛うじて動いている頭を踏みつぶしたり、どこかから手に入れたショットガンを放ったり、といったことをすればよいだろう。
重要なのは、最終的には探索者達が敵を打ち滅ぼすということなのである。
敵に対峙し、力のほとんどを使い果たした神奈子は、ぐったりと崩れ落ちる。彼女を介抱する探索者は、身体にあった濃い痣が幾分薄くなっているのに気づくかもしれない。
神奈子は村にまつわるしがらみから完全に解き放たれたわけではないが、それはもはや彼女の運命を、どうしようもなく縛るものではなくなっているのである。
この時点で(探索者達が儀式の場に連れて行かなかった場合の)あとりがどこにいるか、村井はどこにいて何をしているか、騒ぎを聞きつけた桐島はどのような行動に出るかは、
彼らと探索者達がどのような関係を築き、事前にどのようなことを打ち合わせていたかによるだろう。
あとりはこっそり探索者達の後を追ってきているかもしれないし、村井は猟銃を取り出して、命を捨てても探索者達と神奈子の逃走を助けてくれるかもしれない。
桐島は車を使って、探索者達を直接村から連れ出してくれるかもしれない。ともあれ村民は混乱し、神奈子を確保しようとしてくるので、一旦村から離れるのが賢明だろう。

18.結末
魂を暴走させた異形や太古の生物が顕現した場合、村は大混乱に陥る。しかし村民が全滅してしまうという事はおそらくない。
村井が生き残っていれば、村に戻った神奈子と村井が家族としての暮らしを取り戻す、という結末もあり得る。
瑠璃の支配が失われていれば、彼女が器とされることはもうないだろう。もちろん、彼女を村から引き離し、彼女だけの人生を歩ませることもできる。
それについては探索者達の意志を尊重してもいいだろう。しかし、村民の身体には、ヨグ=ソトースの血が確実に流れている。
今のところ呪印で抑えられてはいるが、子孫が人間として生きていくためには、新たに呪印を施せる人間が現れる必要がある。
さらに今まで村に豊穣をもたらしていた要石が失われていた場合、村は以前のような豊かな暮らしを失ってしまう。
このシナリオにおいて、全てが丸く収まる可能性は低く、またそれは探索者達の手に余るものだろう。
なお一連の事件は祭で起きた不幸な事故として処理されて、よほどのことがない限り、探索者達が当局に拘束されるようなことはない。
忘れてはいけないのは、探索者達がどのような動機でシナリオを進めたにせよ、その勇気と機知は十分誇るべきものである、ということである。
シナリオの中で探索者達に賞賛が贈られることはないかもしれないが、キーパーは報酬として、生還した探索者に1d8、神奈子を無事連れ出した場合にはさらに1d8の正気度ポイントを与える。

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