カリプソの島（旧テキスト版）
最終更新：
kuroe_trpg 2017年05月17日(水) 20:47:13履歴
あらすじ
探索者達は夢の世界からの脱出を図る。
【KP情報】
探索者達は作家の藤から依頼を受け、共に休暇を過ごす為に海辺の町へやってきている。
藤は実は魔術師であり、探索者達を夢の世界に誘い込むのである。しかし当初、探索者達はこのことを思い出せない。
藤は寂しがり屋の魔術師であり、現実世界での生活に不安を持っている。KPはそんな彼女の心情を考慮して積極的にRPするとよい。
1.目覚め
〈描写〉
眠りと覚醒のはざま。夢とうつつのわずかな隙間。
穏やかな暗闇から意識が浮き上がり、あなたは目を覚ましました。
甘やかにまとわりつく夢の残滓に浸りながら、あなたが目にしたのは、馴染みのない天井でした。
鼻腔をくすぐる湿った植物の匂い、耳に聞こえる遠い潮騒は、ここが海辺であることを告げています。
五感が捉える情報は徐々に明瞭さを増し、すでにここが、眠りの中ではないことをあなたに伝えています。
ただ、それは目下重要な事柄ではなく。
自分がなぜここにいるのか、あなたには思い出せません。
貴方が寝ていたのは簡素な木のベッド。部屋を見回すも、目立った調度はありません。また、床も壁面も、無垢の木材のようです。
ベッドのわきには窓があり、その下にはあなたの荷物が無造作に放り出されています。
探索者が目を覚ますと見知らぬ部屋にいる。
思い出せるのは、自分が何者であるか、普段は何をしているか、くらいである。部屋の調度を調べても、何ら変わったところはない。
窓を開けると目の前に南国植物の林が見える。雨上がりの夏のような匂いが強くすることだろう。
2.小屋
目を覚ました部屋の外に出ると、リビングダイニングのような場所に出る。
〈描写〉
あなたが部屋の外に出ると、そこは少し広い部屋になっていました。
これまでの部屋同様、床も壁面も無垢の木材。
部屋には大きなテーブルと、椅子が四つほど。
椅子にはすでに女性が座っており、カップに入った飲み物を飲んでいます。
またその傍らには、なぜかメイド服を着た女性が立ってこちらに微笑みかけています。
部屋を出た探索者は二名のNPC、および他のPCと遭遇する。
混乱したRPをしてもらったり、状況を整理してもらったりするとよいだろう。
ケイはすべてを知っているが、答えをはぐらかそうとする。逆にナラは何も知らない。心理学は有効ではない。
部屋には特に変わったところはない。キッチンには一通りの調理器具があるだろう。
また、壁に地図が留めてあり、今後の探索の指標となるだろう。
アイデアロールに成功すると、その地図の文字が自分の筆跡であることに気が付き、0/1d2の正気度喪失と共に、記憶レベルが1上昇する。
NPC
【[ケイ] 藤 螢（ふじ けい）】29歳 女性
STR8 DEX6 INT16 アイデア75
CON5 APP16 POW18 幸運80
SIZ14 SAN45 EDU19 知識95
HP10 MP16 回避12 DB0
＜職業技能＞
母国語95％ 他の言語〈英語〉86％ 他の言語〈仏語〉71％
図書館75％ オカルト70％ 制作〈小説〉75％
心理学45％
＜個人技能＞
いいくるめ65％ 芸術〈文学〉55％ 芸術〈演技〉55％
クトゥルフ神話18％
武器 こぶし50％ 1d3
ミステリアスな風貌の女性。
【ナラ（なら）】女性
STR5 DEX16 INT15 アイデア75
CON5 APP16 POW18 幸運90
SIZ10 SAN45 EDU6 知識30
HP8 MP18 回避32 DB-1d4
制作〈料理〉65％ 芸術〈家事〉65％
芸術〈歌唱〉55％ 芸術〈マンドリン〉55％ 芸術〈舞踊〉55％
武器 こぶし50％ 1d3-1d4
＜呪文＞
ヨグ=ソトースのこぶし（ルルブｐ291）
メイド服姿の女性。流暢な日本語を話すが国籍不詳。
記憶レベルについては以下のとおりである。
一定の行為を行う、特定のアイテムを入手すると上昇する。
レベル1 記憶の痕跡
貴方は自分の名前を思い出すことができる。
貴方は自分の知識と技術を適切に使用できる。
貴方は自分が過去に何をしていたのかを思い出すことはできない。
貴方は他者に関する物事を思い出すことができない。
貴方はなぜここに来たのかを思い出すことはできない。
レベル2 記憶の残滓
貴方は自分の名前を思い出すことができる。
貴方は自分の知識と技術を適切に使用できる。
貴方は自分の遠い過去や、職業について思い出すことができる。
貴方は家族や、ごく親しい他者について思い出すことができる。
貴方は三日より最近の事を思い出すことができない。
貴方はなぜここに来たのかを思い出すことはできない。
レベル3 記憶の欠片
貴方は自分の名前を思い出すことができる。
貴方は自分の知識と技術を適切に使用できる。
貴方は自分の遠い過去や、職業について思い出すことができる。
貴方は望むなら、最近出会った他者について思い出すことができる
貴方は望むなら、ごく最近の事まで思い出すことができる。
貴方はなぜここに来たのか思い出すことができない。
レベル4 不完全な記憶
貴方は自分の名前を思い出すことができる。
貴方は自分の知識と技術を適切に使用できる。
貴方は自分の遠い過去や、職業について思い出すことができる。
貴方は望むなら、最近出会った他者について思い出すことができる
貴方は望むなら、ごく最近の事まで思い出すことができる。
貴方は望むなら、なぜここに来たのか思い出すことができる。
探索者の記憶レベルが4に達した場合以下の描写を行う。
そうだ、あなた達二人は、あのケイという女性の依頼で、海辺の町に来ていたのだ。
彼女は作家で、共に休暇を過ごすという依頼を受けて、彼女と一緒に、別荘である海辺のマンションへ来ていたのだ。
そこで夕食を取り、眠ろうとした……。
確か不思議な香がして、歌のような、祈りのような声を聴いたのだ。
そして、そして……ここに来ていた。おそらくはあのケイという女性によって、ここに連れてこられたのだ。
レベル5 完全な記憶
貴方は自分の名前を思い出すことができる。
貴方は自分の知識と技術を適切に使用できる。
貴方は自分の遠い過去や、職業について思い出すことができる。
貴方は望むなら、最近出会った他者について思い出すことができる
貴方は望むなら、ごく最近の事まで思い出すことができる。
貴方は望むなら、なぜここに来たのか思い出すことができる。
探索者の記憶レベルが5に達した場合以下の描写を行う。
貴方は、この島で幾日も過ごしたことについて思い出すことができる。
すっかり忘れていた、いや、意図的に記憶が封印されていたのだろうか？
ここで過ごした時間は、朝起きてから今までの、ほんの短い間だと思っていた。しかし、違う。
あなたがここを訪れるのは初めてではない。
何日も、何日も何日も、繰り返し同じ日を繰り返していた。あの小屋に付けられていた傷は、ここで繰り返した一日の数だ。
ここからの脱出がかなわず、あるいはそんなことにすら思い至らずに、夜眠り、すべてを忘れてまた起きる。
そんな時間を、何度も何度も繰り返していたというのか。
レベル5に達した探索者は、0/1d3の正気度を喪失する。
3.小屋の外&砂浜
〈描写〉
外に出ると、そこは陽光が燦々と降り注ぐ小さな砂地の広場でした。
生暖かい風が肌を撫ぜ、夏の雨上がりのような匂いが地表から立ち上ってきます。
後方を振り返ると、あなた達がいた建物は、簡素な木造の小屋でした。
周囲に同様の建物はなく、広場を取り囲むように、南国風の植物が茂っています。
足元の砂の粒子は細かく、太陽の光がそのまま結晶化したような薄い黄金色です。
再び前方に目をやると、木々の間に小道が続いており、その五十メートルほど先に、陽光を反射した海が煌めいています。
木々の作るトンネルを歩くことしばし、あなた達は海岸にたどり着きました。
潮の香りはいよいよ濃く、黄金色の砂浜は緩やかに海中へと没しています。
見上げる空には一片の雲もなく、遠く水平線だけが、空の蒼と海の碧を分けています。
この場所から、小屋裏手の丘、東の洞窟、西の泉へ行くことができる。
また、小屋を振り返り詳細に観察するか、目星に成功すると、ドアの近くの柱に傷がついていることに気が付く。
それはPCが日付をカウントするために、ナイフで付けた傷である。これを発見した場合記憶レベルが1上昇する。
またケイは探索者達に同行しようとする。ナラは家事があると言って小屋から離れようとしない。
4.洞窟
砂浜から東に向かうと洞窟にたどり着く。
〈描写〉
さくさくと海岸線を歩いていくと、ほんの十分程度で洞窟らしき場所が見えました。
砂浜は途中で途切れ、そこから先はごつごつとした岩場になっています。
しかし本来磯によくいる、蟹やフナムシといった生物の気配はなく、
それどころか岩にこびりつく海藻さえ見当たりません。
つまり、生物の痕跡がないのです。
ただ清浄な潮気だけが、温かい風と共に吹いています。
そんな砂浜と岩場との境目付近、人一人が通れるくらいの洞穴が、ひっそりと口を開けているのが見て取れました。
洞窟の幅はそれほど大きいものではありませんが、かなり深いようで、奥は見えません。
外の光は洞窟の入り口あたりで急速にその勢力を失い、それより奥には静寂なる闇が満ちています。
望むなら探索者達は洞窟の中に入ることができる。ケイはよほど強いない限り、洞窟の外で待っていようとする。
〈描写〉
十メートルほども進んだでしょうか。分岐も曲がり角もなく、ただ真っ直ぐと洞窟は続いています。
ふと振り返ると、入り口の光ははるか遠く、小さく見えます。
あなたはふと不安に襲われます。そろそろ引き返した方が良いのではないか、
もしこのまま奥に進めば、何か取り返しのつかない領域に足を踏み入れてしまうのではないか。
あるかなしかの好奇心は、耳を突くような静寂に吸い込まれていきます。0/1（明かりを持っていない場合は0/1d2）の正気度を喪失します。
左右の壁が、暗闇が、静寂が、圧力を持ってあなたに迫ります。ここで声を上げたとしても、外には届かないかもしれません。どれだけ進んだかも、わからなくなってきました。
あるいはこの洞窟は、この島の胎内へと続く孔なのかもしれません。
胸が締め付けられるような不安に再び襲われます。0/1（明かりを持っていない場合は0/1d2）の正気度を喪失します。
長く続いた洞窟は不意に終わりを告げる。（もし明りがあるなら）足元に目を落とすと、柄のようなものが見える。
抜いてみると、それは錆びた二本のナイフであることがわかる。
錆びたナイフはなぜかしっくりと手になじむような気がするだろう。記憶レベルが1上昇する。
5.森の中の泉
砂浜から西に向かうと、林の中へ道が続いているのが見える。
中を進むと泉に到着する。
〈描写〉
南国植物の林を左手に見ながら十分ほど歩くと、その木々の間、ふと、入口らしい獣道があることに気が付きました。
下草が踏み固められ、誘うように奥へと続いています。
僅かな木洩れ日に照らされた獣道は、何やら静謐な雰囲気に満ちており、左右には、列柱のように高い樹が生えています。
ここにも動物の気配は少なく、何処からか姿の見えない鳥の声だけが聞こえてきます。
道は真っ直ぐ奥へと続いています。木々は徐々にその密度を増し、やがて鳥の声さえ聞こえなくなりました。
清浄な空気が少し冷気を帯びたように感じ始めたころ、目の前に小さな泉が現れました。
木々に囲まれた空間。その泉は直径七、八メートルほど。深さはせいぜい三メートルでしょうか。
透き通った水が、数か所から湧き出しているのが見えます。魚やそのほかの生き物は棲んでいないようです。
澄んだ泉の底には、革のバンドでぐるぐる巻きにされた宝箱のようなものが沈んでいる。
水泳ロールに成功するか、ロープを括り付けるなどして引き上げることができる。
宝箱のバンドは刃物のようなものがあれば断ち切ることができる。
中に入っているのは一冊の本である。
題名はオデュッセイア。古代ギリシャの詩人ホメロスによって書かれた英雄叙事詩で、英雄オデュッセウスの冒険と受難がえがかれている。
本には頻繁に開かれているページがあり、内容は以下の通り、読むと記憶レベルが1上昇する。
【オデュッセイアの中の文章】
英雄オデュッセウスが航海の途中に難破して漂着した時、オギュギアの島に住んでいた精霊カリプソは彼を歓迎した。
カリプソはオデュッセウスに恋をし、共に島で暮らして自分の夫となってくれるなら、彼を不死にすると約束する。
オデュッセウスはその島で七年を過ごし、カリプソとの間に二人の子をなしたが、故郷への心は変わらず、
カリプソの願いに対し、首を縦に振ることは無かった。
ついにはゼウスの遣いのヘルメスが来て、カリプソにオデュッセウスを手放すようにと命じたので、彼は故郷へと帰りつくことができた。
イベント1 クッキングタイム
ある程度探索を進めて、昼食の為に小屋に戻ると、リビングに様々な食材が置かれている。そしてナラが料理対決をしようと持ちかけてくる。
ルール 料理の為に使用する技能を4つ選択し、納得できるような理由付けをする。
その技能をロールし、成功数をカウントする。
ファンブルを出した場合カウントを-1、スペシャル以上でカウント+1
5以上 めちゃウマ 4 おいしい 3 普通
2 微妙 1 ゲロまず 0以下 汚物
特に必要ないと感じればこのイベントは省いてもよい。
6.花の丘
記憶レベルが4以上、かつ短剣を入手している場合、気が付くとケイは探索者達の前から姿を消している。
彼女は花の丘へ行ったのである。ナラに聞けばもしかしたら花の丘にいるかもしれない、と教えてくれるだろう。
花の丘には小屋の裏手から繁みの間を抜けていく。
〈描写〉
小屋の裏手に回ると、木々の間に小道がありました。
その先、木々の途切れた向こうに、薄い青色の花が咲き乱れる広場があります。
木々の間を過ぎると、目の前には一面の花。
記憶レベルが3以下だった場合、特に何のイベントも発生しない。
丘の頂上には、マンホールのような、台座のような石の台座がある。
YOU ARE NOWHERE と書かれている。
You are nowhere と読むならば、”あなたは何処にもいない”、”あなたはどこでもない場所にいる”
You are now, here と読むならば、”あなたは今、ここにいる"
英語技能などで気づかせてもよいし、PLの知識で解読させてもよい。
これはこの世界の中心にあたる部分である。
〈描写〉
広場は緩やかな丘になっており、その頂点に、彼女がいました。
儚げな雰囲気を纏い、どこか遠くを眺めています。
この段になれば、ケイは包み隠さず何でも話す。ここに連れてきた理由、探索者達の記憶を消した理由。その上で、探索者達に決断を迫る。
この世界に留まるのか、この世界の外へ出ていくのか。
この世界へ出ていく手段は、台座に書いてあるWの文字の左右どちらかにナイフを刺すことであり、ケイはふたりの探索者に決断を迫る。
帰るべき『今、ここ（NOW HERE）』に戻るのか、この『どこでもない場所（NO WHERE）』にとどまるかは探索者しだいである。後者を選んだ探索者はこの世界に永遠に留まることになる。
前者を選んだ場合はその場所から虚無があふれて探索者の身体を包み、この世界から消滅させる。
7.エンディング
探索者が目を覚ますと、そこは見覚えのあるマンションの一室である。
作家の藤によって招かれたマンションの一室である。
探索者達が起きだすと、藤はすでに起床しており、朝食を作っている。
ひとしきり夢の名残などについて会話した後は休暇の予定などについて話し合うことになる。
午前中を過ごした後、車に乗って東京へと向かうことになる。
〈描写〉
車は海辺の道路をしばらく走り、東京へと向かいます。
海辺の空は今日も快晴で、暮れゆく茜色の空には雲一つ浮かんでいませんでした。
報酬 シナリオクリア 1d4
探索者達は夢の世界からの脱出を図る。
【KP情報】
探索者達は作家の藤から依頼を受け、共に休暇を過ごす為に海辺の町へやってきている。
藤は実は魔術師であり、探索者達を夢の世界に誘い込むのである。しかし当初、探索者達はこのことを思い出せない。
藤は寂しがり屋の魔術師であり、現実世界での生活に不安を持っている。KPはそんな彼女の心情を考慮して積極的にRPするとよい。
1.目覚め
〈描写〉
眠りと覚醒のはざま。夢とうつつのわずかな隙間。
穏やかな暗闇から意識が浮き上がり、あなたは目を覚ましました。
甘やかにまとわりつく夢の残滓に浸りながら、あなたが目にしたのは、馴染みのない天井でした。
鼻腔をくすぐる湿った植物の匂い、耳に聞こえる遠い潮騒は、ここが海辺であることを告げています。
五感が捉える情報は徐々に明瞭さを増し、すでにここが、眠りの中ではないことをあなたに伝えています。
ただ、それは目下重要な事柄ではなく。
自分がなぜここにいるのか、あなたには思い出せません。
貴方が寝ていたのは簡素な木のベッド。部屋を見回すも、目立った調度はありません。また、床も壁面も、無垢の木材のようです。
ベッドのわきには窓があり、その下にはあなたの荷物が無造作に放り出されています。
探索者が目を覚ますと見知らぬ部屋にいる。
思い出せるのは、自分が何者であるか、普段は何をしているか、くらいである。部屋の調度を調べても、何ら変わったところはない。
窓を開けると目の前に南国植物の林が見える。雨上がりの夏のような匂いが強くすることだろう。
2.小屋
目を覚ました部屋の外に出ると、リビングダイニングのような場所に出る。
〈描写〉
あなたが部屋の外に出ると、そこは少し広い部屋になっていました。
これまでの部屋同様、床も壁面も無垢の木材。
部屋には大きなテーブルと、椅子が四つほど。
椅子にはすでに女性が座っており、カップに入った飲み物を飲んでいます。
またその傍らには、なぜかメイド服を着た女性が立ってこちらに微笑みかけています。
部屋を出た探索者は二名のNPC、および他のPCと遭遇する。
混乱したRPをしてもらったり、状況を整理してもらったりするとよいだろう。
ケイはすべてを知っているが、答えをはぐらかそうとする。逆にナラは何も知らない。心理学は有効ではない。
部屋には特に変わったところはない。キッチンには一通りの調理器具があるだろう。
また、壁に地図が留めてあり、今後の探索の指標となるだろう。
アイデアロールに成功すると、その地図の文字が自分の筆跡であることに気が付き、0/1d2の正気度喪失と共に、記憶レベルが1上昇する。
NPC
【[ケイ] 藤 螢（ふじ けい）】29歳 女性
STR8 DEX6 INT16 アイデア75
CON5 APP16 POW18 幸運80
SIZ14 SAN45 EDU19 知識95
HP10 MP16 回避12 DB0
＜職業技能＞
母国語95％ 他の言語〈英語〉86％ 他の言語〈仏語〉71％
図書館75％ オカルト70％ 制作〈小説〉75％
心理学45％
＜個人技能＞
いいくるめ65％ 芸術〈文学〉55％ 芸術〈演技〉55％
クトゥルフ神話18％
武器 こぶし50％ 1d3
ミステリアスな風貌の女性。
【ナラ（なら）】女性
STR5 DEX16 INT15 アイデア75
CON5 APP16 POW18 幸運90
SIZ10 SAN45 EDU6 知識30
HP8 MP18 回避32 DB-1d4
制作〈料理〉65％ 芸術〈家事〉65％
芸術〈歌唱〉55％ 芸術〈マンドリン〉55％ 芸術〈舞踊〉55％
武器 こぶし50％ 1d3-1d4
＜呪文＞
ヨグ=ソトースのこぶし（ルルブｐ291）
メイド服姿の女性。流暢な日本語を話すが国籍不詳。
記憶レベルについては以下のとおりである。
一定の行為を行う、特定のアイテムを入手すると上昇する。
レベル1 記憶の痕跡
貴方は自分の名前を思い出すことができる。
貴方は自分の知識と技術を適切に使用できる。
貴方は自分が過去に何をしていたのかを思い出すことはできない。
貴方は他者に関する物事を思い出すことができない。
貴方はなぜここに来たのかを思い出すことはできない。
レベル2 記憶の残滓
貴方は自分の名前を思い出すことができる。
貴方は自分の知識と技術を適切に使用できる。
貴方は自分の遠い過去や、職業について思い出すことができる。
貴方は家族や、ごく親しい他者について思い出すことができる。
貴方は三日より最近の事を思い出すことができない。
貴方はなぜここに来たのかを思い出すことはできない。
レベル3 記憶の欠片
貴方は自分の名前を思い出すことができる。
貴方は自分の知識と技術を適切に使用できる。
貴方は自分の遠い過去や、職業について思い出すことができる。
貴方は望むなら、最近出会った他者について思い出すことができる
貴方は望むなら、ごく最近の事まで思い出すことができる。
貴方はなぜここに来たのか思い出すことができない。
レベル4 不完全な記憶
貴方は自分の名前を思い出すことができる。
貴方は自分の知識と技術を適切に使用できる。
貴方は自分の遠い過去や、職業について思い出すことができる。
貴方は望むなら、最近出会った他者について思い出すことができる
貴方は望むなら、ごく最近の事まで思い出すことができる。
貴方は望むなら、なぜここに来たのか思い出すことができる。
探索者の記憶レベルが4に達した場合以下の描写を行う。
そうだ、あなた達二人は、あのケイという女性の依頼で、海辺の町に来ていたのだ。
彼女は作家で、共に休暇を過ごすという依頼を受けて、彼女と一緒に、別荘である海辺のマンションへ来ていたのだ。
そこで夕食を取り、眠ろうとした……。
確か不思議な香がして、歌のような、祈りのような声を聴いたのだ。
そして、そして……ここに来ていた。おそらくはあのケイという女性によって、ここに連れてこられたのだ。
レベル5 完全な記憶
貴方は自分の名前を思い出すことができる。
貴方は自分の知識と技術を適切に使用できる。
貴方は自分の遠い過去や、職業について思い出すことができる。
貴方は望むなら、最近出会った他者について思い出すことができる
貴方は望むなら、ごく最近の事まで思い出すことができる。
貴方は望むなら、なぜここに来たのか思い出すことができる。
探索者の記憶レベルが5に達した場合以下の描写を行う。
貴方は、この島で幾日も過ごしたことについて思い出すことができる。
すっかり忘れていた、いや、意図的に記憶が封印されていたのだろうか？
ここで過ごした時間は、朝起きてから今までの、ほんの短い間だと思っていた。しかし、違う。
あなたがここを訪れるのは初めてではない。
何日も、何日も何日も、繰り返し同じ日を繰り返していた。あの小屋に付けられていた傷は、ここで繰り返した一日の数だ。
ここからの脱出がかなわず、あるいはそんなことにすら思い至らずに、夜眠り、すべてを忘れてまた起きる。
そんな時間を、何度も何度も繰り返していたというのか。
レベル5に達した探索者は、0/1d3の正気度を喪失する。
3.小屋の外&砂浜
〈描写〉
外に出ると、そこは陽光が燦々と降り注ぐ小さな砂地の広場でした。
生暖かい風が肌を撫ぜ、夏の雨上がりのような匂いが地表から立ち上ってきます。
後方を振り返ると、あなた達がいた建物は、簡素な木造の小屋でした。
周囲に同様の建物はなく、広場を取り囲むように、南国風の植物が茂っています。
足元の砂の粒子は細かく、太陽の光がそのまま結晶化したような薄い黄金色です。
再び前方に目をやると、木々の間に小道が続いており、その五十メートルほど先に、陽光を反射した海が煌めいています。
木々の作るトンネルを歩くことしばし、あなた達は海岸にたどり着きました。
潮の香りはいよいよ濃く、黄金色の砂浜は緩やかに海中へと没しています。
見上げる空には一片の雲もなく、遠く水平線だけが、空の蒼と海の碧を分けています。
この場所から、小屋裏手の丘、東の洞窟、西の泉へ行くことができる。
また、小屋を振り返り詳細に観察するか、目星に成功すると、ドアの近くの柱に傷がついていることに気が付く。
それはPCが日付をカウントするために、ナイフで付けた傷である。これを発見した場合記憶レベルが1上昇する。
またケイは探索者達に同行しようとする。ナラは家事があると言って小屋から離れようとしない。
4.洞窟
砂浜から東に向かうと洞窟にたどり着く。
〈描写〉
さくさくと海岸線を歩いていくと、ほんの十分程度で洞窟らしき場所が見えました。
砂浜は途中で途切れ、そこから先はごつごつとした岩場になっています。
しかし本来磯によくいる、蟹やフナムシといった生物の気配はなく、
それどころか岩にこびりつく海藻さえ見当たりません。
つまり、生物の痕跡がないのです。
ただ清浄な潮気だけが、温かい風と共に吹いています。
そんな砂浜と岩場との境目付近、人一人が通れるくらいの洞穴が、ひっそりと口を開けているのが見て取れました。
洞窟の幅はそれほど大きいものではありませんが、かなり深いようで、奥は見えません。
外の光は洞窟の入り口あたりで急速にその勢力を失い、それより奥には静寂なる闇が満ちています。
望むなら探索者達は洞窟の中に入ることができる。ケイはよほど強いない限り、洞窟の外で待っていようとする。
〈描写〉
十メートルほども進んだでしょうか。分岐も曲がり角もなく、ただ真っ直ぐと洞窟は続いています。
ふと振り返ると、入り口の光ははるか遠く、小さく見えます。
あなたはふと不安に襲われます。そろそろ引き返した方が良いのではないか、
もしこのまま奥に進めば、何か取り返しのつかない領域に足を踏み入れてしまうのではないか。
あるかなしかの好奇心は、耳を突くような静寂に吸い込まれていきます。0/1（明かりを持っていない場合は0/1d2）の正気度を喪失します。
左右の壁が、暗闇が、静寂が、圧力を持ってあなたに迫ります。ここで声を上げたとしても、外には届かないかもしれません。どれだけ進んだかも、わからなくなってきました。
あるいはこの洞窟は、この島の胎内へと続く孔なのかもしれません。
胸が締め付けられるような不安に再び襲われます。0/1（明かりを持っていない場合は0/1d2）の正気度を喪失します。
長く続いた洞窟は不意に終わりを告げる。（もし明りがあるなら）足元に目を落とすと、柄のようなものが見える。
抜いてみると、それは錆びた二本のナイフであることがわかる。
錆びたナイフはなぜかしっくりと手になじむような気がするだろう。記憶レベルが1上昇する。
5.森の中の泉
砂浜から西に向かうと、林の中へ道が続いているのが見える。
中を進むと泉に到着する。
〈描写〉
南国植物の林を左手に見ながら十分ほど歩くと、その木々の間、ふと、入口らしい獣道があることに気が付きました。
下草が踏み固められ、誘うように奥へと続いています。
僅かな木洩れ日に照らされた獣道は、何やら静謐な雰囲気に満ちており、左右には、列柱のように高い樹が生えています。
ここにも動物の気配は少なく、何処からか姿の見えない鳥の声だけが聞こえてきます。
道は真っ直ぐ奥へと続いています。木々は徐々にその密度を増し、やがて鳥の声さえ聞こえなくなりました。
清浄な空気が少し冷気を帯びたように感じ始めたころ、目の前に小さな泉が現れました。
木々に囲まれた空間。その泉は直径七、八メートルほど。深さはせいぜい三メートルでしょうか。
透き通った水が、数か所から湧き出しているのが見えます。魚やそのほかの生き物は棲んでいないようです。
澄んだ泉の底には、革のバンドでぐるぐる巻きにされた宝箱のようなものが沈んでいる。
水泳ロールに成功するか、ロープを括り付けるなどして引き上げることができる。
宝箱のバンドは刃物のようなものがあれば断ち切ることができる。
中に入っているのは一冊の本である。
題名はオデュッセイア。古代ギリシャの詩人ホメロスによって書かれた英雄叙事詩で、英雄オデュッセウスの冒険と受難がえがかれている。
本には頻繁に開かれているページがあり、内容は以下の通り、読むと記憶レベルが1上昇する。
【オデュッセイアの中の文章】
英雄オデュッセウスが航海の途中に難破して漂着した時、オギュギアの島に住んでいた精霊カリプソは彼を歓迎した。
カリプソはオデュッセウスに恋をし、共に島で暮らして自分の夫となってくれるなら、彼を不死にすると約束する。
オデュッセウスはその島で七年を過ごし、カリプソとの間に二人の子をなしたが、故郷への心は変わらず、
カリプソの願いに対し、首を縦に振ることは無かった。
ついにはゼウスの遣いのヘルメスが来て、カリプソにオデュッセウスを手放すようにと命じたので、彼は故郷へと帰りつくことができた。
イベント1 クッキングタイム
ある程度探索を進めて、昼食の為に小屋に戻ると、リビングに様々な食材が置かれている。そしてナラが料理対決をしようと持ちかけてくる。
ルール 料理の為に使用する技能を4つ選択し、納得できるような理由付けをする。
その技能をロールし、成功数をカウントする。
ファンブルを出した場合カウントを-1、スペシャル以上でカウント+1
5以上 めちゃウマ 4 おいしい 3 普通
2 微妙 1 ゲロまず 0以下 汚物
特に必要ないと感じればこのイベントは省いてもよい。
6.花の丘
記憶レベルが4以上、かつ短剣を入手している場合、気が付くとケイは探索者達の前から姿を消している。
彼女は花の丘へ行ったのである。ナラに聞けばもしかしたら花の丘にいるかもしれない、と教えてくれるだろう。
花の丘には小屋の裏手から繁みの間を抜けていく。
〈描写〉
小屋の裏手に回ると、木々の間に小道がありました。
その先、木々の途切れた向こうに、薄い青色の花が咲き乱れる広場があります。
木々の間を過ぎると、目の前には一面の花。
記憶レベルが3以下だった場合、特に何のイベントも発生しない。
丘の頂上には、マンホールのような、台座のような石の台座がある。
YOU ARE NOWHERE と書かれている。
You are nowhere と読むならば、”あなたは何処にもいない”、”あなたはどこでもない場所にいる”
You are now, here と読むならば、”あなたは今、ここにいる"
英語技能などで気づかせてもよいし、PLの知識で解読させてもよい。
これはこの世界の中心にあたる部分である。
〈描写〉
広場は緩やかな丘になっており、その頂点に、彼女がいました。
儚げな雰囲気を纏い、どこか遠くを眺めています。
この段になれば、ケイは包み隠さず何でも話す。ここに連れてきた理由、探索者達の記憶を消した理由。その上で、探索者達に決断を迫る。
この世界に留まるのか、この世界の外へ出ていくのか。
この世界へ出ていく手段は、台座に書いてあるWの文字の左右どちらかにナイフを刺すことであり、ケイはふたりの探索者に決断を迫る。
帰るべき『今、ここ（NOW HERE）』に戻るのか、この『どこでもない場所（NO WHERE）』にとどまるかは探索者しだいである。後者を選んだ探索者はこの世界に永遠に留まることになる。
前者を選んだ場合はその場所から虚無があふれて探索者の身体を包み、この世界から消滅させる。
7.エンディング
探索者が目を覚ますと、そこは見覚えのあるマンションの一室である。
作家の藤によって招かれたマンションの一室である。
探索者達が起きだすと、藤はすでに起床しており、朝食を作っている。
ひとしきり夢の名残などについて会話した後は休暇の予定などについて話し合うことになる。
午前中を過ごした後、車に乗って東京へと向かうことになる。
〈描写〉
車は海辺の道路をしばらく走り、東京へと向かいます。
海辺の空は今日も快晴で、暮れゆく茜色の空には雲一つ浮かんでいませんでした。
報酬 シナリオクリア 1d4
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