残された手記 - エリー
1.シナリオ背景
探索者達には、かつてエリーという友人がいた。眉目秀麗な才女で、実家は旧華族の箱入り娘だった。
22歳で大学を卒業するまで(あるいはその以前まで)探索者達と親交があったが、その後疎遠となって連絡をとっていない。
彼女は大学卒業後、実家が経営する貿易会社に就職し、しばらくして瓜生という男と出逢う。同じ日英ハーフということで意気投合し、間もなく交際に至る。
しかし瓜生の正体は、年経た邪悪で強力な吸血鬼であった。エリーはその毒牙にかかり、自らもまた吸血鬼化してしまう。
異形となった彼女は瓜生から身を隠し、また社会から引きこもるように、今回の舞台である孤島の洋館で、幼少期より彼女の世話をしていた使用人の古田と暮らすようになる。
彼女の両親は吸血鬼と化したエリーに困惑し、醜聞を恐れ、彼女を遠ざけた。そのことによりエリーは孤独となり、苦痛を深めていく。
古田はその孤独を少しでも和らげようと、エリーに乞うて半ば無理やり自らも吸血鬼化する。しかしそれは根本的な解決にはなりえなかった。
エリーが吸血鬼化してから1年。彼女の精神は日に日に摩耗していった。
古田が彼女を励まし続けるも、血に飢えた怪物となり果てた自らを、エリーはどうしても受け入れることが出来なかった。
いつか渇望に耐えられず、人を襲ってしまうのではないか。心優しい彼女にとって、それは耐え難いことであった。
自死を試みようとしたこともあったが、彼女の敬虔なプロテスタントとしての信仰と、古田の監視がしばらくはそれを妨げていた。
しかしある日彼女は、吸血鬼狩りを生業としている赤門の存在を知る。
彼ならば自身の苦しみに終止符を打ってくれるだろう。冷静な判断力を失ったエリーは、それを切掛けに最後の一線を越えてしまった。
古田を騙して外出し、赤門を訪ね、半ば脅すようにして自らを撃つように迫った。赤門によって彼女の願いは叶えられ、エリーはその生涯を終えた。
「私の為に自らの手を汚す貴方が、どうかこの先苦しみませんように」
その祈りがエリーの最期の言葉となった。この出来事は多くの吸血鬼を屠ってきた赤門の精神に大きなインパクトを与えることになる。
エリーが屋敷に残した遺書によって、古田は真相を知ることになる。彼が怒りを向けたのは、エリーを殺した赤門でも、ましてや自分を遺して死んだエリーでもない。
エリーの苦しみに対して無力だった自分と、なによりその苦しみの原因となった瓜生であった。
愛するエリーを喪い、自らも異形となり果てた古田は、もはや正気で生きること諦めた。
ただただ復讐を果たすため、シナリオの舞台となる洋館でエリーを弔いながら、計画を練ることにしたのである。
仇を殺すためのいくつかの試みの後、古田が計画したのは、エリーに執着を持つ瓜生と赤門を館に呼び寄せ、赤門に瓜生を殺させることであった。
二人の所在については、エリーの実家の伝手を頼ることで把握できた。しかし対象の二人だけを呼べば疑われるだろう。
そのため偽装の為にある程度人を集める必要があり、誕生日会と称して探索者達を呼び寄せたのである。
しかしそれは当然エリーの実家である葛城家の知るところとなり、不審に思った両親は息のかかった探偵社に依頼、監視として不破が館に赴くことになる。
かくして本シナリオに登場する面々か芙良島の洋館に集うこととなる。
呼び寄せられた探索者達は、ほどなくしてエリーの死と、自らが呼び寄せられた目的を知るだろう。
復讐に取りつかれた使用人と、友人を死に追いやった異形を前にして、探索者達は何を想い、何を成すのだろうか。

2.NPC紹介
【エリー】 享年24歳 女性
かつて探索者達の友人であった女性。姓は葛城。旧華族の流れを汲む上流階級の父とイギリス人の母との間に生まれる。
誕生日は八月。色の白い細身の女性で、薄幸な雰囲気を漂わせる。熱心なプロテスタント教徒で、心優しく物静か、文学を好むやや内気な性格。
2年前、大学4年生の時に瓜生と知り合い、交際の過程で血を吸われて吸血鬼化。
1年間苦悩の中で自死の方法を探すも果たせず、赤門を探し出して自らを殺してくれるよう懇願し、射殺される。

【古田 柳(ふるた りゅう)】52歳 男性
職業 使用人(下級の吸血鬼)
STR20 DEX11 INT15 アイデア70
CON12 APP13 POW15 幸運70
SIZ14 SAN0 EDU12 知識60
HP13 MP15 回避22 DB+1d6
心理学:70% 信用:60% 制作(料理):50%
ショットガン:40% 芸術(家事):40% 経理:35% 
操縦(船舶):30% クトゥルフ神話:9%
武器 こぶし50% 1d3+1d6
噛みつき50% 1d4+その後毎ターン1d6STR
かぎ爪50% 1d4+1d6
組み付き75% 特殊
装甲 毎R1ポイントの耐久力を回復する。耐久力以上のダメージを受けた場合にもこれは適用される。
しかし吸血鬼の攻撃および魔力がこもった武器によって耐久力が0になった場合、耐久力が0以下になった状態でそれらの攻撃を受けた場合は死ぬ。
〈永久的狂気〉復讐への執着

サングラスをかけた初老の男性。物腰柔らかな紳士。
エリーが幼少の頃から執事を務めており、実の娘の様に可愛がっていた。彼女が吸血鬼化してからは、ほとんど唯一と言っていいほどの話し相手だった。
彼女に血を与え、自らも吸血鬼化。彼女を直接射殺した赤門の事は恨んではいないが、彼女を吸血鬼化させた瓜生に復讐せんと、赤門をはじめとした面々を館に呼び寄せる。

【赤門 幸人(あかかど ゆきと)】30歳 男性
職業 吸血鬼狩り
STR15 DEX8 INT12 アイデア60
CON15 APP8 POW17 幸運85
SIZ15 SAN45 EDU11 知識55
HP15 MP17 回避16 DB+1d4
オカルト:60% 拳銃:55% 目星:50% 聞き耳:50% 
キック:50% 隠す:40% 隠れる:40% 忍び歩き:35%
回避:30% クトゥルフ神話:13%
武器 こぶし50% 1d3+1d4
キック50% 1d6+1d4
45口径リボルバー(S&W M25)55% 1d10+2
顔に傷のある大柄な男性。武骨で社交性に乏しい。ある秘密主義の結社から援助を受け、吸血鬼を狩ることを生業としている。
今まで数人の吸血鬼を殺害するも、エリーを射殺してから自分の所業について悩み続けている。
古田から誘いを受け、不審に思いながらも、自らの過去を清算するために館へとやってきた。
得物の銃に込められている弾丸には魔力が付与されており、吸血鬼に対する有効な武器となる。

【不破 理々子(ふわ りりこ)】26歳 女性
職業 探偵
STR8 DEX15 INT13 アイデア65
CON8 APP13 POW8 幸運40
SIZ11 SAN40 EDU14 知識70
HP10 MP8 回避30 DB0
こぶし:70% 目星:70% 聞き耳:60% いいくるめ:55%
心理学:50% 追跡:45% 法律:30% 運転(バイク):25%
武器 こぶし70% 1d3
スタンガン70% スタン
エリーの実家の息がかかった探偵会社の調査員で、抜け目のない感じがする若い女性。
古田が探索者達を呼び寄せるにあたり、彼が妙な動きをしないか監視するため派遣された。

【瓜生 ヴィンセント(うりゅう ヴぃんせんと)】106歳 男性
高位の吸血鬼
STR30 DEX17 INT14 アイデア70
CON16 APP16 POW18 幸運90
SIZ12 SAN0 EDU25 知識99
HP14 MP18 回避26 DB+2d6
オカルト:85% 歴史:80% 聞き耳:80% 心理学:75%
組み付き:75% 信用:70% 説得:70% 人類学:60% 回避:60%
変装:50% 隠れる:50% 忍び歩き:50% クトゥルフ神話:28%
武器 こぶし50% 1d3+2d6
噛みつき80% 1d4+その後毎ターン1d6STR
かぎ爪:80% 1d4+2d6
装甲 毎R2ポイントの耐久力を回復する。耐久力以上のダメージを受けた場合にもこれは適用される。
しかし吸血鬼の攻撃および魔力がこもった武器によって耐久力が0になった場合、耐久力が0以下になった状態でそれらの攻撃を受けた場合は死ぬ。
また受け流しや回避とは別に、1Rに1回、驚異的な動体視力によって、
95%の確率ですべての近接攻撃、投擲物、拳銃弾(散弾は除く)を、いなしたり掴んだりすることで無効化できる。
この行動は大抵Rの最初の攻撃に適用される。

100年以上生きている強力な吸血鬼。人間だった時はイギリス人の父と日本人の母を持つ日英ハーフ。
やや赤みがかった髪を持つ細身の美青年で、母性をくすぐるようなやや少年っぽい風貌をしている。外見上は20才前後、探索者達の前では24才を称する。
数え切れない人間を殺害してきたが、エリーには単なる獲物以上の感情を抱いていたようで、その執着心から、古田の招きに疑念を抱きつつ応じる。
銀、臭いの強い香草、キリスト教的なシンボル、流水、陽光などに多少の嫌悪感はあるが、実質的な効果はない。
必要であれば霧やコウモリに姿を変え、元の姿に戻ることができるが、それにはそれぞれ3Rの時間を要する。
吸血鬼としての真の姿を現した彼を見た場合は、1/1d8の正気度喪失がおこる。
好色で、特に処女を好む。スコッチが好物。

3.手紙
シナリオ開始時期は夏。容赦なく輝く太陽がコンクリートを灼熱させる季節である。
暑さに茹だりながら日常を過ごす探索者達のもとに、ある日一通の手紙が届く。手紙は高級感のある封筒に包まれており、発信者の欄に『古田柳』という名前がある。
〈アイデア〉に成功した探索者は、この名前がかつて友人であったエリーという女性の関係者であることを思い出す。
この手紙は古田が探索者達を館に招くために送ったものである。内容は以下の通り。

〈手紙〉
暮夏の候、なお一層ご清祥のこととお喜び申し上げます。
私は皆さまの友人である葛城エリーの身の回りの世話をしております、古田と申します。
エリー様は事情があり現在手紙を書くことができない状況にあるため、僭越ながら私が筆を取らせていただいた次第でございます。
さて、皆さまにご連絡差し上げたのは他でもありません。このたびエリー様は25回目の誕生日を迎えます。
それにあたりまして、ささやかな祝宴を催そうと計画しております。もしご都合がよろしければ、エリー様の友人である皆様にご参加いただきたいと存じます。
封筒内に館までの地図、チケット、地元漁師への紹介状を同封しております。是非参加をご検討下さい。
なお、この手紙へのお返事は不要です。

探索者達にとってエリーは友人や元恋人、かつての同級生などである。互いに知り合いかもしれないし、そうでないかもしれない。
どちらにせよここ2年ほど、エリーは探索者達と連絡を取っていない。彼女はNPC紹介で述べた通りの人物であるが、2年より最近の情報について探索者達は知ることができない。
彼女はどこかミステリアスな所があり、彼女について探索者達が思い出せることはあまりない。
キーパーは自らの裁量で彼女に関するプロフィールを作成し、プレイヤーに開示してもよいが、シナリオを進めるうえで演出以上の意味はないだろう。
招待を断る探索者はまずいないだろうが、探索者が乗り気でない場合キーパーは強く誘導すること。
同封されている地図を見ると、館は静岡県沖に浮かぶ、芙良島(ふらとう)というごくごく小さな孤島にあるようだ。
公共交通機関でそこまで向かい、あとは島まで漁船をチャーターしろ、という事らしい。指定された日付は数日後なので、準備をする時間は十分ある。
島について調べてもいいが、館以外の施設がない個人所有の島なので、地理的な情報以上のものは得られないだろう。
旅行の日程は二泊三日ということになっている。ちなみにエリーの誕生日はその中日である。

4.芙良島
探索者達は静岡県のとある漁港で合流する。地元の漁師に既に連絡が行っているらしく、真っ黒に日焼けした五十がらみの男が港で待っている。
そして探索者達を漁船に乗せ、やや型の古い小型の漁船で芙良島へ向かって出発する。
甲板にも太陽は容赦なく照り付けるが、距離は3km、所要時間はせいぜい15分程度なので、それほど疲弊することはないだろう。
知り合い同士でない探索者達はここで互いに自己紹介させるとよい。
船に乗ってしばらくすると小さな島が近づいてくる。芙良島は直径200mほどの緑が多い島であり、全体がなだらかな丘のようになっている。
島の大部分は広葉樹の林である。小さな船着き場があり、そこには小型のクルーザーが停泊している。
そこからレンガ敷きの小道が続いており、坂の上の洋館へとつながっている。
島に洋館以外の施設は無い。到着時点での時刻は午後五時過ぎとする。探索者達が船着き場に着くと、洋館から様子を見ていた古田が小路を下って迎えに来る。
「このような辺鄙な場所へ、わざわざお越し下さり誠にありがとうございます」
古田はサングラスをかけている。日差しの強い夏とはいえ、執事という職業柄少々奇異に思うかもしれない。
過去の古田を覚えている探索者は、以前にはそのような習慣がなかったことを思い出すだろう。
それを尋ねると、「少々病気を患っておりまして……」と言葉を濁す。
下級の吸血鬼である彼は完全に人間に擬態することが出来ず、その眼は見る者に恐怖を与える奇妙な色合いをしているのだ。
また探索者達がエリーについて尋ねると、「大変申し訳ないのですが、エリー様は私用のため、明日の朝にこちらに到着する予定です」と答える。
それから、早速館に案内しようとするだろう。

〈洋館〉
芙良島にある洋館は二階建ての小規模なもの(それでも通常の住宅よりはかなり大きい)である。赤茶色のレンガ造りで屋根は黒く、窓がいくつかある。
〈歴史〉〈考古学〉〈芸術(建築)〉などに成功すれば、これが純粋なイギリス建築であり、明治頃に建てられたものであることがわかる。
汚れているというほどではないが、手入れが完璧、という訳でもないようだ。このような孤島の環境であれば無理からぬことではある。
屋敷の前には小さな庭があり、何種類かの庭木が植えられている伝統的なイングリッシュガーデンであることがわかる。
ただある花壇には背の高い向日葵が植わっており、西陽を受けて誇らしげに咲いている。向日葵はエリーが生前好んだ花である。
こちらの庭は良く手入れがなされているようだ。屋敷や庭の管理はすべて古田が行っている。



5.館外部・裏手
館の前面は前述のとおり、庭となっている。また、館の周囲は広葉樹の林である。突っ切っていけないことはないが、だいぶ難儀することになるだろう。
船着き場方面以外の島の端は崖になっている部分もあり、岩場に落ちてしまう危険も存在する。それから館の外壁に沿って石畳が敷かれ、裏手へと続いている。
屋敷の右側面(東側)をみると、窓がいくつか木材で塞がれている(主人の部屋、使用人の部屋の窓である)。これは部屋に光が入らないための処置である。
下級の吸血鬼であるエリーと古田は光が苦手なのだ。といっても、その中で行動が制限されるほどではない。
屋敷の裏にはまた小さな庭がある。芝の庭に白い金属製のテーブルセットが置いてあり、庭の端には後から植えられたと思しきローズマリーがある。
裏庭で〈目星〉(完全に陽が沈んだ後であれば-20の補正を加える)に成功した探索者は、
ローズマリーに埋もれるようにして、40cmほどの直方体の白い石のオブジェがあることに気が付く。
特にロールの必要なく墓石であることに気付くだろう。
墓石の表面には流麗なアルファベットで『ELLIE』という文字と、生没年(没年はシナリオの1年前、誕生年は25年前)が刻まれている。
これは本物の墓ではないが、古田がエリーを悼むために設置したものである。
もし探索者達がエリーの死を知らない状態でこの墓石を目撃した場合、その驚きから0/1d2の正気度を喪失する。
ちなみにローズマリーの花言葉は『追憶』である。
また裏庭には館とやや不釣り合いな木製の鶏小屋がある。中には生きた鶏が十羽ほどおり、探索者が近づくとその気配を感じてコケコケ騒ぎ出す。
この鶏達は古田が生き血を摂取する(もちろん肉も食べる)為に飼育しているものである。
(このシナリオにおける)吸血鬼は通常の食事でも生きていくことはできるが、やはり血への衝動というのは抑えがたいのである。
この血への衝動に対して、エリーが非常に戸惑い、苦しんでいたことは想像に難くない。

6.館1階
〈使用人の部屋〉
古田が使用している部屋である。元々は二、三人で使用することを想定していたのか、使用人の部屋にしてはやや広い。
内装はごくごく質素ながら非常に清潔である。探索者達が入る機会はあまりないだろうが、ベッドが二つ、クローゼット、本棚と書き物机、電話がある。
クローゼットには糊の効いた執事服が何着か入っており、本棚には明治あたりの純文学が多くある。机の上にはエリーと古田の写真が写真立てに収められて置いてある。
写真はエリーが大学に入学した時のもので、華やかに笑っているエリーと少し照れ臭そうに笑う古田が写っている。また窓は光が入らないように木の板が打ち付けられている。
この部屋には館のマスターキーと、小型クルーザーの鍵が置いてあり、もし探索者達が望むのならこの鍵を使って島から脱出することもできる。
机の引き出しの中にある目につくものとしては、エリーが古田に宛てた置手紙がある。これはエリーの遺書のようなもので、内容は以下の通り。

〈エリーの手紙〉
柳さん。あの男により、私がこんな身体になってから一年が経ちました。
貴方が方々手を尽くしてくれたにも関わらず、解決法は見つからず、血への渇きを抑える方法も見つかりませんでした。
あまつさえ貴方をも、この苦しみに巻き込んでしまいました。
自死を遂げる度胸もない私は、その手伝いをしてくれる方を見つけました。
赤門さんという、この種の出来事を専門にされている方だそうです。
貴方を巻き込んでしまったのに、私だけ先に逝くなど、さぞ勝手な娘だとお思いでしょう。
しかし、私はもう耐えられないのです。毎晩血を求める、悍ましい化け物になってしまったということに。
柳さん。今までありがとう。貴方は紛れもない私の家族でした。
伝えたい感謝はいっぱいあるけれど、それを全て書き記すには、私は疲れすぎているようです。
ごめんなさい。本当にごめんなさい。
(文章の数か所は涙と思しき液体で滲んでいる)

〈主人の部屋〉
エリーが使っていた部屋である。
白い金属製のベッド、引き出しの中に少量の文具とロザリオが入った書き物机、女性者の服が入ったクローゼット、海外文学や大学時代に使っていた教科書の詰まった本棚がある。
室内は清潔に掃除されているが、〈目星〉〈アイデア〉に成功すると、この部屋は長らく使用されていないのではないかと思い至る。こちらの部屋の窓もまた木の板が打ちつけられている。

〈エリーのロザリオ〉
エリーが生前使用していたロザリオである。エリーの信仰するイングランド国教会(一般的にプロテスタントに分類される)は通常ロザリオを用いない。
しかしこれはアングリカンロザリーと呼ばれる比較的最近考案された祈りに用いられるロザリオであり、国教会の一部で用いられている。
十字架の部分は純銀製。特別な効果はないが、キーパーが望むなら特別な意味や効果があることにしてもよい。

〈書庫〉
古めかしい木製の本棚が並んだ書庫。一応の掃除はされているが、あまり使用されてはいないように見える。
本棚にはこの館のかつての住人のものらしき本がざっと千冊はある。古今東西の小説、文学、辞書、図鑑、専門書などである。
〈図書館〉〈オカルト〉に成功すると、この場所にそぐわないジャンルの書籍群を発見することができる。それは西洋の怪物、特に吸血鬼に関する書物である。
エリーと親しかった探索者達であれば、少なくともこれらの書物が彼女の趣味ではないことが分かるだろう。
書物のうちいくつかは非常に古めかしいものなので、〈考古学〉によっても発見することができる。
書物にはよく開かれてクセの付いたページや、付箋の貼ってあるページ、(エリー、および古田による)書き込みのあるページなどがある。
それらを総合して見てみると、この本の持ち主は、吸血鬼の殺し方を研究していたように見えるだろう。
探索者達が吸血鬼や、その殺し方についてさらに調べようとするならば、以下の事が分かる。

〈吸血鬼について〉
数ある書籍の情報によると、吸血鬼には影が映らない、光を避ける、噛みつかれるとアンデッドになる、十字架、聖水、銀によって身を守ることができる、
にんにくを嫌う、川や海を渡ることができない、血以外の水分を摂取しない、霧や狼や蝙蝠など種々のものに姿を変えることができる、という特徴がある。
殺し方については、銀製の武器や木の杭を心臓に刺す、頭を砕く、強い陽光を浴びせる、聖なる炎で焼く、などがある。
しかし重要なのは、これらの表記や伝承については地域や時代、文化によってさまざまな違いがあり、おおよその傾向はあるものの一貫していない、という点である。

これらの書籍はエリーや古田が吸血鬼化してから、自らについて知るため、(エリーが)自死の方法について探るため、(古田が)瓜生に復讐する方法を探すために収集したものである。

〈厨房・食料庫〉
一般住宅のものよりかなり大きいキッチン。フル稼働させれば20人分の食事を調理することができる。設
備は近代的で、ステンレス製の調理台、複数のコンロ、歴史あるブランド物の皿や銀食器などが入った棚がある。
正面の壁には裏庭へと続く裏口がある。このドアは内側からのみ施錠できる。
また、キッチンの奥には大きな冷蔵庫がある。おそらくは本日の為に用意されたのであろう、(裏庭に飼われている鶏の肉を含む)新鮮な食材が詰まっているが、
あるスペースには明らかに異様なものが置かれている。
それは濃い赤色の液体である。あるものはビニールのパックに入っており、あるものはワインボトルのようなものに詰まっている。
〈アイデア〉〈医学〉〈生物学〉〈博物学〉に成功した探索者は、それが血液であることに気付き、0/1d2の正気度を喪失する。
なぜならそれがまるで『食材と同じように』冷蔵庫に入っていたからである。よく見れば、パックの表面にはこれが輸血用の血液であることが記載されている。
これは前述のとおり、古田が自らの乾きを癒す為に食用としている血液である。輸血用の人間の血液と、裏庭の鶏から採取した生き血が含まれている。

〈食堂・ホール〉
屋敷の住人や客が食事をするための場所である。
部屋の中央に大きな高級マホガニー製の長机と椅子があり、最大で16名が座れるようになっている。
部屋の奥、厨房へ続く扉の横にはレンガ造りの暖炉がある。シナリオ中の季節は夏であるため火は灯っていない。

〈玄関ホール〉
この屋敷に立ち入った者がまず通過する場所である。吹き抜けではないが、窓が多く開放感を感じさせる作りとなっている。

〈トイレ・浴室〉
トイレと浴室があるスペース。ユニットバスではなくトイレ、脱衣所、浴室が分かれたつくりとなっている。
浴室は大理石製。通常のものよりかなり広く、複数人で入浴することも可能である。
非常に鋭い探索者ならば、ソープの種類が少ないことに気付くかもしれない。もはやエリーがこの浴室を使う事はないからである。

〈空室〉
現在は使用されていない部屋。家具の類はすっかり片付けられており、過去どのように使われていたのか推測することはできない。

〈物置〉
日用品や冷蔵する必要のない食料のストック、館のメンテナンスに必要な道具類などが保管されている場所。また庭園や林の管理に使用する物品も置かれている。
すなわち非常用の懐中電灯やカンテラ、燃料、各種工具、スコップ、軍手やロープ、バールやハンマー、木斧、チェーンソーや照明弾などである。
その他、館のかつての主人の蒐集物である美術品(西洋鎧、ロングソードやハルバード)、
16ゲージ・ショットガン(古いもののため、安全に使用するには〈ショットガン〉〈機械修理〉での整備を必要とする)もある。
その他、不自然でないものなら〈幸運〉等のロールをすることで発見できる。
この部屋の中で〈目星〉に成功すると、ある小箱を発見することができる。中には少し捻じれたような形をした短剣が入っている。

〈骨の短剣〉
古田が自らの腓骨(すねの骨。大腿骨に次いで人体で二番目に長い骨)を材料にして作成した短剣。
通常の武器で吸血鬼を殺すことは不可能だが、吸血鬼の肉体を材料として造られたこの武器には吸血鬼を殺す力がある。
これは瓜生に復讐を誓った古田が試みに作成したものであるが、あまり実用性がないと判断されたため物置に眠っている。
この物品に対し、〈アイデア〉に成功した探索者はこれが石膏などではなく生物の骨であることに気が付き、0/1の正気度を喪失する。
〈生物学〉〈医学〉に成功した探索者は、この刀身部分が人間の腓骨であることに気付く。さらにその製造過程に思いを巡らせてしまい、0/1d2の正気度を喪失する。
この骨の来歴については古田に聞けば語ってくれるだろう。武器としての性能は、小型ナイフに準ずる。ただし脆い骨によって作られているため、耐久力は4である。

7.館2階
〈客室〉
AからFまでの客室があり、内装はどれも同じようなものである。セミダブルのベッド、クローゼット、書き物机。
ガラス戸からは屋敷の外を見ることができる。瓜生にはA、不破にはB、赤門にはCの部屋がそれぞれ既に割り当てられているので、探索者はDからFまでのどれかを選ぶことになる。
空調完備で、内側と外側から鍵をかけることができる。

〈談話室〉
この館を訪れた客人がくつろぐ場所。
ソファ、コーヒーメーカーやコーヒーテーブル、酒類が入った棚、飲料の入った冷蔵庫、暖炉、ビリヤード台、テレビなどがある。床には真紅の高級カーペットが敷かれている。

〈バルコニー〉
白い大理石のバルコニー。手すりは金属製である。眺望は開けており、海や本土の灯が見える。地面に飛び降りる場合は1d6の耐久力減少が発生する。

8.各々の目的と行動パターン
この項では本シナリオにおける各NPCの目的と行動パターンを示す。
NPCは基本的に後述のイベント通りに行動するが、何らかの原因によりそれが不可能になった場合は、各々の目的に沿った行動をする。
また各NPCは多かれ少なかれエリーの死やそれにまつわるエピソード、誕生日会の本当の目的を知っている。それをどの程度開示するかはキーパーに任されている。

〈古田〉
目的は瓜生の抹殺である。自らの手でそれを成すというよりも、確実に復讐を達成することを念頭に置いている。
瓜生が死ぬまでエリーの死と自らの正体を秘匿しようとするが、探索者達が確証をもとに詰問されればあえて隠すようなことはしない。
エリーの友人である探索者達の安全はなるべく配慮するよう動くが、それでも優先するのは復讐を果たすことである。

〈赤門〉
当初の目的は殺したはずのエリーとの再会、ひいては自らの過去に決着をつけること。
後述するイベントによりエリーの死を知ってからは、自らの使命と過去への決着、古田の要請により瓜生を討伐するよう動く。
可能な限り他者とは交らず、自らの過去を進んで開示するようなこともしない。瓜生と戦う際も他人を巻き込まないよう配慮する。

〈不破〉
目的は古田が不要のトラブルを起こさないよう監視すること。
自らの目的を進んで語ることはないが、頑強に秘匿する必要もないので、なんらかの交渉系技能に成功すれば正体と目的について語る。
探索者達に積極的にアプローチすることはないが、世話話ぐらいには応じる程度の社交性がある。

〈瓜生〉
当初の目的は姿を消したエリーと再会し、彼女を連れ出すこと。
彼女の死を知ってからは、憂さ晴らしに館の人間を殺戮するよう動く。
その際はなるべくシナリオ上の重要性が低いNPCから殺していくことが望ましい。
具体的には不破(後述のイベントでコントロールされている可能性もあり)、赤門、古田、そして探索者達である。
正体を現すまでは人懐っこい青年のようにふるまい、探索者達とも積極的に関わる。

9.客人たち
館に招かれた探索者達はまず客室に通される。間取りの説明を受けた後、午後6時から夕食であることを告げられ、一息ついたら食堂まで下りてくるように言われる。
この時点で赤門と不破は自室、瓜生は談話室にいる。夕食まであまり間はなく、遅れれば古田が呼びに来るだろう。客人が全員食堂に揃ったところで古田が挨拶をする。
「本日はこのような遠い所までわざわざ御足労いただきありがとうございます」
「先ほども申しましたが、エリー様の到着が遅れておりますことをお詫び申し上げます」
「その代りと言ってはなんですが、簡素ながら心づくしのおもてなしをさせていただきますので、どうぞおくつろぎになってください」
それから間もなく料理が運ばれてくる。メニューは鶏肉の香草焼き、赤カブのスープ、ティンブレッド(イギリスパン)である。
鶏肉は屋敷の裏手で飼っている鶏のものであり、その他は本土より取り寄せたものである。料理を食べた探索者達は、その出来栄えに驚くかもしれない。
古田は食事に同席せず。皿を下げたり飲み物をサーブしたりする。
食事中、赤門はむっつりと押し黙ったまま、なにごとか考えている様子である。不破も必要以上に話すことはない。
もしエリーとの関係を聞かれた場合、この二人はやや不自然な態度で、エリーとは仕事の関係で知り合ったと答えるだろう。
一方瓜生は比較的快活に探索者達と話す。エリーと彼がこっそり親しく交際していたことを、恥ずかしそうに話すかもしれない。
食事が終わるのは午後7時過ぎ。これ以降は自由時間となり、浴場や談話室は自由に使ってよいと言われる。

10.イベント1、密談
午後8時、もしくはKPが適切と判断したタイミングでこのイベントを起こす。
夕食後、皿洗いなどをしてから、古田が赤門の部屋を訪れる。彼に今回招待した本当の目的を語り、エリー死亡の遠因となった瓜生の殺害を依頼するのである。
赤門は戸惑いながらもこれを受諾する。もし探索者が赤門の居る部屋の前を通ったりすれば、扉越しに会話の断片が聞こえるかもしれない。
「そのような訳で、赤門様には瓜生様を殺害していただきたいのです」
密談を終えると、古田は使用人の部屋に戻り、基本的にはそこを動かない。赤門は自室で瓜生殺害の計画を練ることになる。
もし赤門の部屋に入って真相を問いただそうとしても、強い口調で追い返されるだけである。
あるいは何らかの材料をもとに交渉を行えば、話しぐらいは聞いてくれるかもしれない。彼と協力関係を築けるか、そして後の惨劇を防げるかは探索者達の行動に掛かっている。

11.イベント2、事件
午後9時30分、もしくはKPが適切と判断したタイミングでこのイベントを起こす。
赤門は古田の要請通り、自室にいる瓜生の襲撃を試みる。瓜生は力のある吸血鬼であるため、そうやすやすと殺されはしないものの、不意を突かれて肩口を射抜かれる。
当然瓜生は反撃に出るが、その際自らの正体が他の人間に露見しないよう、赤門の持つ拳銃を怪力で奪い取って赤門の胴体を2発の弾丸で撃ち抜く(これにより拳銃の残弾は3発となる)。
これによって赤門は即死し、死体は部屋の前に転がることになる。この死体を目撃した探索者達は0/1d3の正気度を喪失する。
そして銃声を聞きつけて古田と不破が部屋の前に現れる。この時〈心理学〉等で両者を注意深く観察すれば、両者が非常に動揺していることに気付くだろう。
しかし古田の同様には事態が思惑と異なったことによる困惑が含まれている。
瓜生はあくまで自分が襲われて、やむなく反撃したのだ、と怯えた様子で話す。探索者達が素早く到着すれば、血に塗れた肩口には痛々しい銃創があることだろう。
しかし注意深く観察していると、ゆっくりと肉が盛り上がり、傷がふさがっている様子を見ることができる。
これを目撃した探索者は、0/1d2の正気度を喪失する。また不破は翌朝に警察が到着するまで現場の保存を主張する。

12.イベント3、誘惑
午後11時、もしくはKPが適切と判断したタイミングでこのイベントを起こす。
赤門の襲撃により不穏を感じ取った瓜生は、館の人物に探りを入れるべく不破に接触する。不
破の部屋を訪れた瓜生は彼女にあれこれ尋ねるが、彼女は古田の目論見を知らないため、この時点で瓜生は真実を知ることは無い。
退屈しのぎに彼女を嬲り、吸血し、自身の能力で彼女を支配下に置く。これはなるべく目立つ場所(空室や廊下など)で行い、探索者達に気付かせるのが良い。
彼女はこれから朝まで、あるいは瓜生が滅ぼされるまで、瓜生の命令を聞く人形となる。
探索者達が瓜生と敵対するような場面が訪れれば、瓜生は不破を探索者達にけしかけるかもしれない。

13イベント4、襲撃
翌日午前0時30分、もしくはKPが適切と判断したタイミングでこのイベントを起こす。
事態に焦れ、不破を嬲るのにも飽きた瓜生は、探索者達から話を聞きだそうと試みる。
探索者達の部屋、あるいは探索者達のうち一人と接触し、この集まりやエリーについて聞きだそうとする。
このあたりで瓜生は暴力的でサディスティックな本性をあらわにし始め、満足いく回答が得られなければ探索者達を嬲った挙句殺そうとする。
エリーの死を知った場合も同様である。このイベントはある種のタイムリミットのようなもので、ここに至るまでに探索者達が瓜生を打倒する決意を固めていることが望ましい。

14.古田の正体は
探索のどこかの時点で、古田は吸血鬼なのではないか?という疑念を探索者達が持つ可能性は大いに考えられる。
もしそのような質問をぶつけられた場合、古田は困惑しながらも自身の正体を明かすだろう。
彼はサングラスを取り(その瞳は昏く燃える炎のような、あるいは血のような赤色である。
彼が人知を超える存在であることを実感した探索者達は0/1d3の正気度を喪失する)、自身が吸血鬼であることを明かす。
古田は瓜生もまた自身と同様吸血鬼であること、瓜生が交際の過程でエリーを吸血鬼化したこと、自身もエリーの無聊を慰めるために吸血鬼化したこと。
思い悩むエリーは自死を試みるも果たせず、次第に追いつめられていったこと、エリーは吸血鬼ハンターである赤門の存在を知り、外出の際に出奔、赤門に殺害されたこと、
そして古田は万事の元凶となった瓜生に復讐すると誓ったこと、そのために今回の面々を集めたこと、などを語る。
探索者達は瓜生の目を欺くためのダミーであり、これについて古田は探索者達に深く詫びる。その上で(赤門がこの時点で死亡していなければ)探索者達に瓜生の打倒を依頼する。
もし探索者達がこれを断れば、探索者達にクルーザーの鍵を渡し、この島から逃げるよう助言する。

15.吸血鬼の殺し方
ある時点で探索者達が瓜生を打倒する決意を固める、もしくは瓜生が探索者達に敵意を向け始めるとき、瓜生をどのように殺すかが問題となる。
これにはおおまかに三つの方法がある。一つは古田との共闘である。瓜生に恨みを持つ彼は、この申し出を喜んで受け入れるだろう。
しかし瓜生の戦闘能力は古田を大きく上回っており、彼単独で瓜生を撃破することはおぼつかないだろう。
探索者達が己の戦闘能力や館にある武器などを使ってこれを補助する必要がある。
もう一つは物置にあった骨の短剣を使用することである。この武器は吸血鬼である古田の人体から作られており、吸血鬼を殺す能力を持つ。
瓜生を十分に弱らせ、この短剣を突き刺せば、瓜生を殺すことができる。
別の方法は、赤門が遺した拳銃を使う事である。この拳銃の弾丸には魔力がこもっており、短剣同様、瓜生を殺す手段となる。
いずれの方法も相応のリスクを伴う手段であり、探索者達はなるべく有利になるよう作戦を立てる必要がある。
瓜生は探索者達との敵対が明らかになった時点で吸血鬼としての真の姿を現す。その際の描写は以下の通り。

彼の身体からどろり、と闇が沁みだし、床に影だまりを作った。
皮膚は紙片が燃えるように剥がれていき、残忍な本体が露わになる。
長く伸びた鋭い牙と爪は、獲物を引き裂くための鋭利な武器。
彼の者が纏うのは、深淵の闇よりもなお邪悪な黒。
赤く輝く瞳孔は、燃え盛る冥府の炎。
それは幾多の伝承に語られた怪物にして、星霜を経し老獪なる魔性。
目前に顕現した死に捉えられた探索者達は、1/1d8の正気度を喪失する。

16.エンディング
瓜生を打倒した探索者達は、やがて朝を迎える。古田やその他のNPCが生き残っていれば、探索者達に感謝を述べるだろう。
本土に連絡するか、昼前になれば迎えの船が来て、探索者達は日常に帰ることができる。
事件については、警察への届け出の有無にかかわらず、エリーの実家からの圧力によって闇へと葬られることになり、表沙汰にはならない。
もし古田が生き残っていれば、彼はその長い命の続く限り、あの館でエリーを弔い続けることだろう。
悪夢の一夜を乗り越え、友人の復讐を果たした探索者達は、1d6の正気度ポイントを獲得する。ま
た生存したNPC1名につき、1d2の正気度ポイントを獲得する。

※シナリオのオプション
探索者のうち一人が、探偵である不破と同じ立場の調査員であるというのも面白いだろう。
その探索者はおそらくエリーの死や、エリーと実家の関係について知っており、古田を疑う立場にある。
また屋敷の積極的な探索を行う理由にもなるはずである。
互いに素性を知らない他の探索者とのロールプレイは、一風変わったものになるかもしれない。