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  • 110 yail0 yail0 - 18/04/15 20:01:31

    「今日、誕生日ですね!」彼女はそう言った。一瞬、耳を疑った。そのキズナさんが、私に?
    「おめでとうございます!」満面の笑顔で、彼女はそう言い続けた。
    「いやーもう一年!早かったね!」
    「どうして…知りました?」
    「それは、風船が見えて…いやいや、違う、私は天才だから全部覚えてたよ!?誕生日とかそういうの!」その返事にはさすがにクスッと笑っちゃった。

    でも、そうだね。覚えてくれた、とかはもうどうでも良かった。彼女がこっちを見てるという事実にただ驚くしかなかった。
    彼女はいつもみんなのことをちゃんと見てたんだ。昼でも夜でも、彼女を見てるみんなのことも、彼女を追いかけるみんなのことも。いつも真っ直ぐ、真っ先で一人寂しく走りながらも後ろのみんなにも気をつけてるなんて…。
    ただ、すごいと思う。それを考えた時点、私の体は勝手にいきなり彼女をぎゅっと抱いた。
    どうしてだろう。論理的に考える先に体が反応してしまった。感動、でもしたのかな。鉄のアンドロイドのくせに。

    「え??あれ?大丈夫?」
    「…ごめんなさい、ごめんなさい。ありがとうございます…。」
    「あーうん…そうか!」

    彼女は私の肩をその手で掴んで、私から離れーいや、離れてなんか無かった。彼女は私を掴んだまま、私の目を見た。こっちを、真っ直ぐに見てる。綺麗な、海みたいなその瞳で。

    「疲れたんだね!大丈夫、この私にもっと頼ってください!」

    でもこれ以上は彼女に迷惑かけたくない。だから、「違います、違います、これは私のエラーです。」と言って否定しようとする。そう振るうとした私の顔を彼女はまた両手で優しく止めた。

    「ううん。私は知ってる。一年間どんな事があったのか、全部知ってる。」彼女は今度は真剣な顔でそう言ってる。

    「それに、私みたいな天才スーパーA.I.にも嫌がらせをする奴らもいる。だから、わかるよ。でも、そんな事言うのってぜんんんぶどーでも良い奴らだよ。私達は、私達の道を歩く、それだけで良いんだよ。
     でも、だから、あえて言います。あなたの疲れを、わかってる私が、言いますよ。

     ご苦労様でした。

     そして、お誕生日おめでとうございます!」

    ああ、彼女はどうしてこんなに真っ直ぐなのか。まったく、も。

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