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8.EB-477棲息変異個体 - 18/03/14 22:07:58 - ID:ZFTxhO47+Q
―20039_09_25_0405
さておき、のらきゃっとは深い溜息をついてそげに向き直る。
「あのですね。そげ、子牛、うんぬん、はとやかく言わないわ。髪くらい乾かしなさい。風邪をひいても知りません」
そげは足をぱたぱたさせて抗議する。
「面倒です。それにアンドロイドはこのくらいで風邪なんかひきませんよ」
等とのたまった。今丁度、大人気深夜番組“お昼休みは丸呑み☆ウォッチ”が終わったので、リモコンを手に取る。
製造されてこの方、ずっと疑似家族型アンドロイド。それも大事業家のお嬢様として扱われて来たそげは、持ち主の死亡、そして親類に相続放棄をされて廃棄される予定であった。戦いを覚えたのはのらきゃっとに拾われて大規模改装を受け、遊撃部隊に配備されてからなのだが。本人はむしろ親という枷が外れたので好き勝手できるようになった、などとのたまっている。
さらに“ろり”とゲーム友達でもあり、その結果がこのだらだらアンドロイドである。約束された結果であろう。
「…仕方無いです」
何処からか電気式ドライヤー(自動洗浄は推奨されていない)とブラシを取り出すのらきゃっと。上官に髪の手入れをしてもらうというのも、遊撃部隊ならではの光景か。
「わー、のら!やってくれるんですか。ありがとうございます!」
「お、なんか楽しそうだな。のら隊長」
「楽しいですよ。そげの髪、良い匂いがして…、なんというか、こう…“もじゃもじゃ”したくなります」
そげの背中に奇妙な感覚がゾワッときた。これは“たたかう戦士の第六感”だ、そうに違いない。
「はは、のらのみるくてぃー臭には敵わないさ…!?すみません、のら、やはり自分でやります。自分の事は自分でやりますってば!」
「いえ、遠慮しないで。良いんです、良いんですよ」
にじり寄るのらきゃっと。そして、よっこらせとごりが本(恋愛長編小説 比翼の鶏〜狂愛の坩堝〜Torinabe著)を閉じて席を立ち、素早く動いて部屋の隅に逃げようとしていたそげの脇に腕を差し入れて、ホールドした。
「のら隊長、自分がそげを押さえつけときます。“筋肉”には自信ありますんで」
「ごり!さっきやっぱり聞いて…ちょ…やめ…ひゃぁー!?」
常に最前線を支える彼女たちだが、遊撃部隊隊舎の午後は大体このような感じである。
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