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  • 97稲瀬りぜる - 18/04/06 22:23:27 - ID:P3LwpPUQ9A

    ※95から始まるSSの続きです

    「これで、大丈夫なはずです」努力が形になり実る瞬間を、私はようやく迎えた。カラオケボックスでのテストも完璧。あとは、ステージを整えるだけ。マイクと、音響と、ライトと。場所はけもみみおーこくの、利用者の少ない部屋の一つを貸してもらった。ねずみさん達も、プロデューサーさんも、猫松さんも、パパも、招待状を作った。(楽しんでもらえたらいいな。)そんなワクワクを胸に、当日を迎える。私の目の前には、皆が居る。

    「美奈さま…違う、皆様。言えた、言えた。今日は来てくださって、ありがとう、ございます。この唐田を…唐田、違う…体を、今こうしてここで見せていられるのは、皆様のおかげです。だから、恩返しがしたくて、今日は、歌を歌いたいと重い…思います」会場が沸き立つ。待っていてくれたのだろう。既に失神しているねずみさんも居る。泣き笑いのような顔、最高の笑顔、いろんな顔が見える。私はマイクを手にする。ライトを点ける。

    ​私が、こっそり覚えていた歌。私は、すうっ…と息を吸い、吐き出し、そして震える声で歌い始めた。「いま貴方の声が聞こえる ここにおいでと 寂しさで 消えそうな私に…」なんだか、心が軽くなってくる。「いま貴方の姿が見える 歩いてくる  目を閉じて 待っている私に♪」歌と、一つになるように、心が重なり声が響く「昨日まで 涙で曇ってた 心は今…!」愛情、感謝。心も歌も最高に盛り上がって、歌が止まらなくなる。

    「おぼえていますか♪目と目が合った時を♪おぼえていますか♪手と手が触れあった時♪ それは初めての♪愛の旅立ちでした♪I love you, so……」ゆっくり、余韻を残して、私はマイクを下ろした。会場が、拍手と歓声に包まれる。すごく嬉しい。こんな風に喜んでもらえて。すごく嬉しい。感謝を伝えられた気がして。私は、幸せという感情を噛み締め、今までしたことのないぐらいの、最高の笑顔を顔から溢れさせた。

    〜end〜

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