脱税事件ときくと上記のような有名人や実業家など、額の大きい事件に注目しがちですが、では身近な脱税とは何でしょうか?
令和元年10月に消費税が10%になり、それに伴い、
軽減税率が登場しました。
軽減税率とは、
「生活必需品となる「酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」に限り、軽減税率が適用され、消費税が8%の据え置きになる。」
というものです。
これは海外などでは昔から適用されている国もあり、その中でも英国は2011年に消費税(英国では付加価値税と呼ばれます)が17.5%から20%に引き上げられました。10%でも高い!と感じるのに20%だなんてすごい率ですが、英国は軽減税率の範囲が幅広く、特に食料品などの生活必需品や、赤ちゃん用品(おむつなど)、子供の服や、本、文房具などは非課税です。生きていくためのものや、子育てにはなるべくお金がかからないように配慮されているのですね。ただイギリスも外食は税がかかる、など複雑になっています。
この"外食"の部分が当の日本でもややこしくなっているところなんですね。
持ち帰りなどの内食は軽減税率にあたり8%、しかしイートインとなると外食にあたるので10%という違いが出てきます。
そのことを受けて昨今話題になっているのが「
イートイン脱税」です。
持ち帰りますよ、と言っておいて、実際はお店で食べる、というものです。
これに対し正義感の強い方で、そういった行為を見かけた際にお店に言ったり、本人に指摘したり、という行為があり、それを揶揄して
イートインポリスや
正義マンと呼んだりしてSNSなどで話題になりました。
ただ実際にこの軽減税率による税率の違いで脱税をしたとしても犯罪にはならない、というのが結論だと思います。
国税庁の「
消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」によれば、食器などのお店に返却するもので提供される場合に軽減税率対象外となり、消費税は10%になる、ということなので、実際はイートインだったとしてもコンビニエンスストアなど、返却する食器やトレイなどを使わない場合は8%といえます。
しかしこのあたりの線引きはハッキリとしておらず、判断は各々の店舗に任されていると言えるでしょう。
ファーストフードのお店などでも、会計時には持ち帰る予定だったが、帰り際にたまたま知人に会って、一緒にイートインに変更する、という状況なども有り得ますが、そういった際にじゃあ差額を払うかと言うとそうはならないため、8%か10%かは会計時に決まる、ということでしょう。