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>549ネタ

雲ひとつない晴天の空から、太陽の厳しい日差しが差し込む。
ロビンはルフィから借りた麦わら帽を被り、町に繰り出していた。
横にはロビンの帽子を借りて頭に被っているルフィの姿があった。

「おめぇ、全然似合わねぇな♪」

「・・・あなたもね。」

肩を晒しコルセットと黒のジーンズという、身体のラインを強調した服装をしているロビン。
ルフィはその姿についつい目を奪われてしまった。

「あら、気になるの?」

「そ、そんなんじゃねぇよ!」

「フフ・・・♪今日はここに泊まるみたいだから・・・夜、部屋にいらっしゃい・・・♪」

「・・・お、おう!」

そんな二人の姿を怪しげな集団が覗いていた。
夏島の一つである小さな島。
太陽の照りつけるその島の港町を訪れたルフィ達は、いつものように食料を求めて船を降りた。
毎度食料を求めるのは、一人の大食らいのせいなのは言うまでもない。
ナミとサンジは食料を求めて市場に向かったが、市場の真中で大きくため息をついた。

「・・・食料を買うにも・・・。」

「金が無い・・・。食料が無ければ料理も作れない・・・。」

「あのバカ野郎のせいだ・・・っ!」X2

そう、食費がかさみ財政難に陥ってしまったのだった。
すべては例の大食らいが原因だ。
ここに至り、海賊団の最大の課題は「金銭の工面」となった。
ナミはそんな状況に周りを巻き込むぐらいにイラついていた。
いつもナミに目をハートにして悶えているサンジでさえ、ナミのダークっぷりに恐れをなして震えていた。

「ナミさん、コワーイ・・・(汗)」

「・・・何か言ったかしらぁ〜・・・?(微笑)」

ナミはにこやかに答えたが、明らかにその声音からは怒気が含まれていた。

「イ、イエ・・・ナニモ・・・。」

そして、そんな二人をまたもや怪しげな集団が覗いていた。
「オイ・・・ウソップ。この町、女が全然いなくねーか?」

「んん?そういえば・・・そうだな。」

町の雑貨店を見歩いていたゾロとウソップは、町の様子の異様さに気がつき始めていた。
よく見ると女性がいないかわりに、人相の悪い男ばかりいた。

「・・・さっきから柄の悪そうな奴が多くないかぁ?。」

ゾロは一人の大柄な人相の悪い男の露出した肩を見て、そう漏らした。
その男は、肩に独特の海賊旗を記した刺青を施してあった。

「オイ、ゾロぉ〜・・・。よく見たら海賊ばっかじゃねぇ〜かよぉ〜・・・。」

ウソップは腰をガクガクいわせてゾロの腹巻にしがみ付いた。

「ドイツもコイツも、手配書で見たような顔ばっかだな。こりゃ何かあるぜぇ?」

ゾロとウソップは集合場所にしている船の前に急いで戻った。
するとそこに、顔面蒼白なルフィとサンジがいた。
そのブルーっぷりにウソップは腰を抜かした。
ちなみに、ルフィはなぜかいつもの麦わら帽ではなく、ロビンのハットを頭にかぶっていた。

「な、なんなんだよ・・・。テメェら・・・。」

覇気の無い表情でゆっくりと二人は口を開いた。

「ゾロおおぉ〜〜!ろ、ロビンがあぁ〜〜!」

「な・・・、ナミさんがあぁ〜〜!」
「うお!?怖っ・・・!!」

生気を失ったような表情から、必死に何かを訴いかけるような表情に一変した。
頬こけて目の周りは真っ黒にクマが出来ている。
まるでゾンビだ。
普通に見て、これはただ事ではなかった。

(いったい、何がどうなってやんがんだ・・・?)

ゾロがそう思った時、町の中央から大きな爆発音が響いた。
そして、直後に上空に光を放つ色々の火花が飛び散った。
花火だ。そして、その花火がまだ青く澄みきった空に打ち上げられると、町中から歓声が上がった。
町の人間たちは途端に、ゾロ達の向かい側の浜辺に次々と移動していった。
ゾロは力なくうな垂れたルフィとサンジを無理やり引っ張り、町人達が向かった先へ向かった。

大きく開けた砂浜にわんさかと柄の悪い男たちであふれ返っていた。
そして、溢れ返るような男たちの視線の先に大きなフロートが建てられていた。
海上フロートの大きさに合わせたヤシの木の模造品が両側に設置され、その中央の垂れ幕に大きくこう書かれてあった。

『輝け!第三十四回・夏島村長主催・大水着大会!』

「こういう事かああああああああぁ〜〜ッ!!」×5

町の異変はこれで説明が一応はついた。
納得いくかどうかはおいといて。

「お、オイ見ろよ!あそこにいるの、ナミとロビンじゃねぇか?」

ウソップがゴーグルを目に当て、フロートの中央を指差した。
ルフィとサンジは指差したウソップを後方に突き飛ばし、フロート中央を注視した。
確かに、そこにナミとロビンがいた。
二人とも水着姿でくつろぎながら椅子に座っている。
特にナミの態度からは、まったく危機感という物が感じられない。
横に置いてあるフルーツ類を食べながら、村人らしき男に扇子を扇がせている。
まるで女王様だ。
一方のロビンも村人の男に扇子を扇がせているが、その表情は落ち着かない顔をしている。
それもその筈。ロビンの豊満な身体にサイズが一回り程小さいスクール水着を着ていたからだった。
水着が身体にぴっちりと食い込み、ボディラインは一層強調されていた。
ロビンは恥ずかしさのあまり、何故か頭にかぶっているルフィの麦わら帽を目深にかぶって表情を隠した。

「ナミすわぁ〜〜ん♪ロビンちゅわぁ〜〜ん♪」

「俺の帽子ぃーっ!!」

「オイ、そっちかよ!(ビシッ!)」

二人より自分の帽子を心配したルフィを、ウソップは即座にツッコミを入れる。

「大体、なんでまたあんなとこで祭り上げられてんだよ!」

ゾロが率直な疑問を口にした。

「知ら〜〜〜ん!」×3

「あ、そうかよ!(怒)」

「ナミすわぁん♪ロビンちゅわぁん♪水着姿も最高だよお〜〜♪」
サンジは以下略。
そんなクルーの存在をフロートの上にいるナミとロビンは気が付いた。

「あら・・・あそこにいるの、あの子達じゃないかしら?」

「え?あ、本当。何やってんのかしら、アイツら?」

ロビンは、ルフィを見た。
ルフィは水着姿の自分を注視している。
しかも、何故か飛び跳ねながら何やら叫んでいる。
ロビンは恥ずかしさのあまり、思わず視線を逸らしてしまった。
顔が自然と紅潮し、熱くなっていくのがわかった。

(あの子のことになると・・・私らしくなくなるわ・・・。)

ロビンは急に股間に食い込む水着のカットが気になり、足をもじもじさせてしまう。
そんなロビンの様子を微塵のかけらも、ルフィは気が付かなかった。
と、再び大きな花火が火薬の破裂音と供に上空に打つ上げられた。
瞬間、拡声でんでん虫によって拡張された男の声が響いた。

「参加候補者は、この場にいる皆様方をもって締め切りとさせて頂きます!では、恒例の本大会の説明をさせて頂きます!」

フロートに初老の男が現れ、でんでん虫を使い司会を取り仕切り始めた。
ルフィ達はフロート上を良く見るために集まった『参加候補者』の山を掻き分け最前列に出た。
「本大会の目的は、参加者全員に配られるエターナル・ポースの目的地に着き、そこでまたここに戻ってくる為のエターナル・ポースを受け取り、一番早く本島に戻ってこられた方が優勝となります。」

参加者達がどよめいた。
だがそれは臆した為で無く、むしろ「問題ない」「簡単すぎる」と言ったようなふてぶてしい様子だった。

「大の海賊がなんでこんな大会に出るんだよ?」

ゾロがクルーの大半が持っている疑問をあっさり口に出した。

「ん〜〜・・・賞品が目当てじゃねぇか?例えば・・・あそこのナミやロビンだったり・・・。」

「テメェ、ウソップ!軽々しくナミさんやロビンちゃんを賞品にするんじゃねぇ!三枚にオロすぞ、(♯゚Д゚)ゴルァ!」

ウソップの軽口をサンジはムキになって怒った。
ウソップの首にサンジの指がどんどん食い込んでいく。

「さ・・・サンジ・・・君・・・・・・。ボク・・・死にそうナンデスケド・・・。」

「ウソップ、顔真っ青だぞ?」

そんなクルーの様子を無視して、司会は進行を続けた。
「なお、今大会の賞品は・・・毎年恒例になっておりますが・・・。」

瞬間、クルーの表情は一変した。

「この目の前におります、絶世の水着美女2名となっておりまぁ〜〜〜〜〜〜〜す!」

「なぁああああああにぃいいいいい〜〜〜〜〜!!??」×5

瞬間、ナミもその司会の言葉が信じられなかった。
ロビンは、どこか確信していたのか、動じなかった。

(やっぱり・・・話には聞いてたけど。これが噂の『表』レース・・・。)
大会の開始準備は着々と進んでいた。
屈強な海賊達は次々とエントリーを済ませていく。
その際に大小様々な金額の金銭をエントリーと同時に受付に渡している姿が見えた。
ゾロとサンジにはそれが賭け金であることに気が付いた。
クルーはようやく、この一連の異常事態の正体を把握した。
サンジが聞き出した情報によると、この町は元々漁師町であったらしい。
そして、毎年町の男と女の見合いの儀式として、町のある島と離れの島を行き来する水泳大会を開き、その優勝者が望みの娘を手に入れるという「しきたり」から始まった大会だったらしい。
しかし大海賊時代を迎え、グランドラインに海賊が増えだすと、この大会の話を聞きつけて、漁師町に一気に海賊が現れだした。
海賊の財宝や力により、治安は悪化したがその代わりに経済的に潤いだした。
いつしか、水泳大会は「賭博・人身売買」が目的の「町公認の表ギャンブル」として行われるようになった。
その為に、町では未婚の若い娘が一人もいなくなってしまった。
海賊の存在によって良くも悪くも潤ってきた町は、大会を開催するために若い娘が必要になった。

「それで、町に現れた女を拉致っては大会を開いて賞品にしたってわけだな?」

ゾロはそう言うと、自分の足元にぶっ倒れている数人の男達の中の一人に聞き出した。
男達は周りを恐ろしいほどの剣幕をしたルフィやサンジ、ゾロに囲まれ、恐怖のあまり泡を吹いている。

「ハ、ハイ・・・ソウデス・・・・・・。」

そういうと、男は目を回し気を失った。
「ちっ!くだらねぇことやりやがって!」

「ま、結論は早いわな。大会に勝ってナミさんとロビンちゃんを助け出して、ついでに賭け金を俺達に賭けて金銭面の問題も解決する・・・。これしかねぇだろ?」

「で、でもさァ・・・、誰が大会に出るんだよ・・・!一応個人だから、ゾロとサンジは出るとしてだ・・・。」

そう言うと、ウソップは横の二人(むしろ二匹?)、ルフィとチョッパーを横目で見た。
悪魔の実の能力者=泳げない=参加不可=役立たず=俺(ウソップ)様参加。
一瞬にして公式が出来上がり、ウソップの脳裏を0.3秒で駆け抜けた。
ウソップは思わず大会本営の受付でエントリーを済ましている他の参加者を見た。
ウソップは思わず生唾を飲み込んだ。
泳ぎの得意な魚人族(戦闘能力も高い)が大きく身体を捻り、身体に鋭利なサメの歯で出来た銛を服の下に仕込んでいる。
ウソップはその魚人を見ないように目を背けたが、その視線の先にとてつもなく強面な海賊がいた。
酒樽を片手で持ち上げ大きな口を開けながら酒樽の中身を注ぎ込んでいる。
そしてその下にはその海賊によってのされたと思われる屈強な海賊が何人も倒れ込み椅子と成り果てていた。

「・・・うっ!イキナリ持病の『大会に出ては行けない病』が・・・。」

「諦めろ。」×2

漢(オトコ)ウソップ、泣く泣く参加。
「な、なぁ、ルフィ・・・。俺たちカナヅチだから参加出来ないよなぁ・・・。」

チョッパーが悲しそうにうつむきながらルフィに聞いた。

「・・・ナミとロビンは、俺たちの仲間だ!俺も出る!」

「えええ!?だってルフィもカナヅチ・・・。」

ルフィは何を思ったかチョッパーの言葉も聞かずに受付の方へ向かった。
受付の方には既にゾロとサンジ、ウソップが並んでいた。

「ルフィ!てめぇ・・・出場(でる)気か!?」

「ん!出る!」

「オイオイ・・・。」

四人がエントリーを済ましている姿を遠くのフロートから、ナミとロビンは伺っていた。
「アンタ達ぃ〜〜!頼んだわよぉ〜〜!」

ナミの顔には先ほどの余裕は無い。
彼らの内一人でも優勝出来なければ自分は見知らぬ海賊に売られてしまう。
当然、フレンドリーな扱いを受けるわけがない。
女である以上、男共に慰み者にされてしまうだろう。
それだけに、必死だった。

「・・・このまま黙って見守ってる気?」

「・・・え?」

「幸い、ここを取り仕切ってる連中は雑魚ばかり。私達の力でも逃げ出せるわよ?」

「そ、そうよね!逃げましょ!こんなトコ、さっさと!」

そう言い、ナミは立ち上がろうとした。
だが、顔を上げ視線を前に移した先を見たとたん、その動きは止まった。

「・・・逃げ出すのは延期。アイツらを信じましょ。」

ナミがそう言うと、ロビンはエントリーを済ました四人が気合いを入れている姿を見た。
「アイツら、私達の為にこんなバカな事に付き合ってるのよ。なんか・・・アイツらを信じたくなっちゃった。もちろん、優勝出来なかったら、即トンズラよ!」

ナミの表情から剣が取れた。
雑念を捨て、仲間を信じきった表情だ。
そんなナミを見て、ロビンも落ち着いた気持ちになった。
ふと、エントリーを済ませた四人とチョッパーが遠くからフロートの前に集まり、ナミとロビンに見える位置に現れた。
五人は高々と右手を高く上げると、丸めたコブシから親指だけを上に向けた。

「優勝するぞぉーーーーーっ!」

ルフィのバカ高い大声が砂浜に響き渡った。
これより半刻後、『表』レースが始まる。
砂浜に肌色のラインが出来上がった。
厳密に言えば、太陽から降り注ぐ紫外線により褐色がかっている。
健康的な肉体、強靭な筋肉、そして、幾多もの修羅場をくぐってきたであろう無数の傷。
そんな男の身体が炎天下の砂浜の上に、いくつも観衆達の前に晒されている。
ゾロは前を向いた。
コバルトブルーの大海原の先を手に持ったエターナル・ポースの指針は刺している。
ポースを脇に挟み、大きく腕の関節を鳴らす。
大きく関節部が鳴いた。
気力充実、いつ始まっても大丈夫だ。
横にいるサンジは屈伸を何度も念入りに行っている。
自分の自慢の脚の調子でも見ているのだろう。
この男にだけは負けられなかった。
ゾロは再び念入りに腕を回す。
そんなゾロをサンジは意識せずにはいられなかった。
例え仲間とはいえ、この大会では「個人」だ。
競い合う仲だ。
その理由はたった一つ。

(ナミ(さん)とロビン(ちゃん)は俺の物だぁーーーっ!!!(♪♪♪))×2

たった、それだけだった。
「レース開始の合図を始めます!あの大砲が発射された時点でレース開始です。」

司会の町長がフロートから島の岬を指した。
肉眼でも十分確認できる程で、そんなに遠くは無かった。
ゾロもサンジも注意深く岬の大砲を注視する。
砲手が大砲の導火線に火をつけた。
ジリジリと導火線を火花を散らしながら走る。

・・・・・・ガコン

という音がすると同時に、突然砲口がこちらへ向いた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!???」

参加者の顔から血の気が引いた。
そして、間髪入れずに大砲の砲口から爆音が飛び出した。
同時に砂浜の砂が大きく吹き飛んだ。
だが、それを意に介せずと、一斉に海賊達は海へと一目散に向かった。
そう、「発射された」からには「レースは開始」されたのだ。
ゾロとサンジとウソップも慌てて、洪水のように流れる男達の肉体の波を掻き分けるように海に潜っていった。

(とんでもねぇレースだ・・・。あの大砲・・・ワザとやりやがった・・・!)

最初から薄々感づいてはいた。
町公認の表レースとはいえ、海賊が集まる賭博レースだ。
やはり普通の競争レースで済む筈が無い。
洪水のように男の波は砂浜から海へと潜っていった。
後に残ったのは、大砲によって大きくえぐられた砂浜と、砲弾によって吹き飛ばされた犠牲者達であった。
その中に砂浜に上半身が埋もれてまっ逆さまになっているルフィの姿もあった。
ルフィはなんとか砂に埋まっている自身の上半身を引き抜くと、体に付着した砂を払い落とした。

「おし!俺も行くぞ!」

そういうと、砂浜とは逆の方向へと無かって走りだした。
砂浜のすぐそばには、ヤシの木が街道にそって等間隔に並んでいた。
ルフィはエターナルポースの指針が指す方角に向くと、右と左のそれぞれのヤシの木に両の手を伸ばし、そのまま後ろに下がった。
伸びきった腕が軋みをあげる。
やや腰を落とし、勝手に吹っ飛ばされないように踏ん張る。
頃合だ。

「ゴムゴムのぉ〜〜・・・・・・」

ルフィの体が僅かに地面から離れ、浮いた。

「ロケットぉぉぉぉっ!!」

そう言うと、あっというまにルフィは遥か遠くの海に飛ばされた。
ルフィは口にくわえたエターナルポースを手に取ろうとした。

「あ。」

が、風の力で吹き飛ばされてしまった。
と、目線の下、海面に白い飛沫が大きく広がっていた。
前の方にもたくさんの小さな飛沫があがっている。
するとしだいに、海面がルフィの目の前に近づいてきた。
失速し、落下している。
このままでは海面に落下し、溺れてしまうのは時間の問題であった。
「よっと!」

ルフィは真下で泳いでいる男の頭上に着地した。
男はルフィの体重により、一気に海面下に沈没した。
ルフィはその前にジャンプし、次の男の頭上に着地した。
以下、それを繰り返し、ルフィはとんとんと目的地まで参加者を足場にしながら突き進んでいった。
すると、前方に大きな塊が見えた。
大きな棍棒を振り回した巨躯な海賊を大きな亀が平らな甲羅の上に載せて、海原を進んでいる。

「お〜〜〜っし!あれにしよう!」

巨躯の海賊は背後に忍び寄る「ソレ」に気が付かなかった。
ふと、海賊の肩が「ソレ」に叩かれた。

「あぁ〜〜?」

「わりぃな、オッサン♪」

次の瞬間には、巨躯の海賊は身体を「く」の字に曲げて空を舞った。
海賊の巨体によって大きな飛沫が吹き上がった。
ルフィは空席になった亀の上にちゃっかりと座り込んだ。

「お〜し、亀ェ〜!そのまま進めぇ〜!」

亀は何事も無かったかのように、そのまま自分の目の前の紐によって吊り下げられているエターナルポースの指針の先に向かって泳いでい

る。
ルフィはなんとか仲間を探そうとしたが、参加者の数の多さに見つけられなかった。
サンジは目の前の入り江につい泳ぎを止めてしまっていた。
入り江の洞穴に向かって、ポースの指針は指していたのだ。

「あそこに入れってかァ〜?」

だが、そう言ってる間にも次々と参加者が迷わず洞穴の中に入っていく。
洞穴は暗く、何も見えない。

「・・・クソ!行くっきゃねっか!」

洞穴の中は硫黄の臭いが立ち込めていた。
中に入った参加者の誰もが鼻をつまんでいた。
そして次々に皆海中に潜りこんだ。
サンジも海中に潜り、洞穴の奥に突き進んだ。
長く暗い海中を進むと、急に流れが速くなってきた。

(うっお・・・!やべェ・・・!)

サンジはそのまま流れに引き込まれ、どんどん洞穴の奥へ入り込んでしまった。
だが、手にしっかりと握り締めたポースの指針は洞穴の奥を指している。
まともなレースではないと思っていたが、ますます胡散臭く感じてきた。
だが、そんな感想を述べられる程悠長な気分にはなれなかった。
目の前を、上下に針のムシロのような鍾乳洞のつららが迫っていた。
そのつららを足で蹴って脇に避ける。
だが、次々と網の目のようにつららが迫る。
海面から顔を出そうにも、海面擦れ擦れをつららの先が光っている。
ありがたいことに、流れはどんどん速くなっている。
つららの迫るスピードが速くなるだけ、危険にはなったが。
次第に身体に掛かる負荷がその性質を変えた。
後ろから前に向かう力が、下から上に突き上げる力に変わった。
そしてつららが、上と下にあったのが、前と後ろに変わっていった。

(間違いねェ・・・っ!押し上げてやがる!)

サンジは薄目を開けて、頭上を見上げた。
そこにぼんやりと丸い白い光が見えた。
そしてそれは、どんどん大きくなっていく。
サンジは覚悟を決めた。
光が、サンジの身体を包んだ。
そして光が晴れると同時に、今度は途端に浮遊感に包まれた。

「う、わああああぁぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!!」

サンジは投げ出された。
空高く上空に。
ひたすらにゾロは腕を振るい、水を掻き分け、足をばたつかせた。
前を見ずにただひたすらに。
口にくわえたポースのせいで、時たま口に海水が入り込み、咳き込みそうになる。

(・・・・・・ッ!!!!)

とうとう耐え切れず、ゾロは海面から顔を出した。

「・・・・・・お?」

辺りの風景を見て、ゾロは顔をしかめた
島一つない、海原。
四方八方海、海、海・・・。

「・・・・・・うおおおお!!ドコだここはぁ!?」

慌てて指針を確かめ、その先に向かって、泳ぎだした。
再び口にポースをくわえ、顔を海面につけて、前を見ずに。
草と砂浜しかない、小さな孤島。
それか今回のレースの折り返し地点だ。
その折り返し地点である島の砂浜には、いくつもの意識のない男達の身体が打ち上げられていた。
すべてはこの一人の男がやったことだった。
魚人族の賞金稼ぎ、ブーギル。
素早い動きで相手の懐にしのび込み、隠し持った短刀で相手の身体を切り裂く。
素早さだけが取り得の魚人であったが、それ故、素早さのみ追及し力を得た。
ブーギルはゆっくりと参加者達を片付けると、孤島の中央に置かれている雑多なテーブルの上に広げられている風呂敷に展開されたエター

ナルポースの数々をゆっくりと吟味した。
それを慎重に岩場の影から覗く影があった。
岩場から細長い「鼻」が少しばかりはみ出ていた。
4人の中で意外や意外、この男だけが折り返し地点まで一番に辿り着いた。
他の3人がトンでもないルートで行ってしまったのに対し、ウソップだけ緩やかな海流に乗り危険を回避しながら進んだからだった。
ただ、それでもそのルートを通る集団から最後ではあった。
「さっきまで」は。

(何してんだ・・・アイツ・・・?さっさとポース取って戻ればいいのによ・・・。)

ウソップはそう言いながらも自分も岩場から動こうとはしなかった。
ふと、ブーギルが一つ一つポースの指針を確認している事に気が付いた。
ウソップはゴーグルのレンズを目に被せると、ポースの指針を一つ一つ見て回った。
「それ」はウソップとブーギル、二人同時に気が付いた。
一つとして、同じ方向に向いている指針が存在しなかったのだ。
つまり、たった一つしか帰りのポースは存在しないのだ。
いや、最悪の場合、それすら存在しないかもしれない。

(や、やっべぇコトになったぞぉ〜〜〜!?)
白く輝く太陽が、青い空のキャンパスの上で真っ白になるぐらい光を放っていた。
サンジはそれをやや呆けた気分で眺めていた。

「クソ・・・ッタレが・・・。なんなんだよ、このレースは・・・。」

サンジは大の字にして水面に浮かんでいた身体を起こすと、辺りを見回した。
もう誰もいない。
ポースの指針の方角を見たが、浮遊物は何一つ浮いていない。

「早くゴールしねぇと・・・。ナミさんとロビンちゃんが、ムセェ野郎共のエジキになっちまう・・・!」

サンジは水面に打ちつけられた身体に鞭を打ち、再び泳ぎだした。
が、その直後、猛スピードで目の前に迫ってくる参加者がいた。
特徴のある、緑の短髪の男。

「なにやってんだ、マリモヤロー・・・?」

サンジは迫ってきたゾロの顔面に蹴りを入れて、その動きを止めた。

「・・・・・・オシャレマユゲ・・・、この俺を足蹴にしやがったな・・・?」

「うるせぇ!てめぇこそ前も見ずに突っ込んでくんじゃねぇ!」

喧々轟々・・・。
が・・・。
「ぎぃやぁあああああああああああああああああああああああ!!!」

勢いよく吹き上がる水飛沫が、物凄いスピードで二人の傍まで近づいてきた。
二人は聞き覚えのある声にその水飛沫の元を見やった。
大粒の涙を滝のように流し、塩辛い海水をその涙で更に塩辛くしている少年が一人。
その背後に水飛沫の尾ひれのように長い飛沫を上げる青い身体の男がもう一人。
二つの前後に連なる水飛沫の驚異的なスピードにゾロとサンジは思わず避けた。

「・・・・・・あれウソップだよなぁ?」

「あの長っ鼻の持ち主が他にいるかよ!」

二人は逃げるように泳ぎ去っていくウソップを追いかけた。
理由はわからないが、何かから逃げているようだった。
いや、事実ウソップは逃げていた。
あの時、折り返し地点でレースの「裏」を知ったウソップは正しい帰り道を指し示すエターナルポースを岩場の陰で隠れながら見つけようとしていた。
しかし、魚人族のブーギルに帰り道のエターナルポースを先に見つけられてしまった。
ウソップはとっさの判断でパチンコでブーギルの手からポースを奪うことに成功した。
が、それに逆上したブーギルが逃げるウソップを追いかけ回し、持っているナイフでウソップを斬り殺そうとした。
タダでさえ泳ぎの得意な魚人族ではあるが、ウソップの命がけの逃走によりなかなか二人の間は縮まらなかった。
それは、ゾロとサンジも同じであった。
上空から見れば、四つの水しぶきが折り返し地点の孤島とスタート地点の砂浜の間を右往左往している。
「何よコレ・・・、まともじゃないわっ!」

ナミは思わずイスから立ち上がっていた。
ナミ自身最初から胡散臭い感じはしていた。
だが、ここまでとは思っていなかった。

「・・・・・・。」

ロビンは表情を曇らせていた。
このとんでもない展開をどこか予想していて、それが見事的中してしまったような。
人間には誰しもある第六感。
特に自分の身に降りかかる危険を予め予感する、ということは誰しもあるだろう。
ロビンもナミと同じくイスから立ち上がり、後ろを警戒した。
ナミとロビンの居るフロートは、レースのスタート地点である入り江の崖沿いにある。
主に海岸警備の詰め所として使われる場所であったが、このレースが行われる時は司会ステージに変わる。
ナミ達はその司会ステージの奥の方にイスを並べて座っていたのだ。

「航海士さん、そろそろ脱出したほうがいいんじゃないかしら・・・?」

「えっ・・・?」

「思い出したの・・・。以前、このレースの『裏』の話をある海賊船の船長に聞いたことがあるわ・・・。」

女と賞金を賭けた水泳レース。
しかしそう聞いて参加した者達、もしくは観戦した者達は、その話と内容にギャップに絶句するという。
レースとは名ばかりのメチャクチャな物だった。
レース参加者は折り返し地点までの様々な障害の前に行き場を失い、命を落としていく。
そして、運良く辿り着けたとしても、折り返し地点にあるエターナルポースは全て贋物(ニセモノ)。
参加者は無事ゴールに戻ることなくグランドラインの荒波にその身を失ってしまう。
いつからか、このレースは優勝者ゼロになった。
賭け金はすべて−主催者である町側が没収する形になっていた。
「まさか・・・賭け金を狙った出来レース!?」

ナミがロビンの言葉の真意を汲み取った瞬間、二人の背後に異様な悪寒が走った。
そして次の瞬間には、フロートの小屋全体が大きな声によって震え響き渡った。

「ゲハハハハハハハハァ!まさかレースのカラクリを知ってる奴がいるとはなぁ!」

二人は気味の悪い威勢良い声の方角を、意識せずに同時に向かい合った。
そこには巨躯の半裸の男が臭気漂う臭いを口から発し、仁王立ちしていた。
日も暮れ、姿形はハッキリと見えなかったが、それは見る者に不快感を確実にもたらす様な気味の良い姿ではない。
剛毛の胸毛は黒ずみ、皮膚のあちらこちらにただれた様な跡や大きな切り傷がある。
右手は肘から先は、生身の腕ではなく金属で出来た甲冑の篭手を思わせるような義手が生えている。
巨躯−というより太ったと表現した方が適切な胴体は、両の丸太程の太さの厚い短い脚によって支えられている。

「な・・・なによコイツ・・・っ!?」

ナミはその男の気味の悪さに後ずさりした。
ロビンはこういう場面に慣れているのか、気負いされずに気丈に男の正面を見据えていた。

「俺か?俺はこのレースの元締めよ・・・。」

「元締めって・・・。」

「やっぱり、そういうことだったのね・・・。」

ロビンは予想は確信へと変わった。

「航海士さん、さっきの話には続きがあるの・・・。優勝者ナシでレースが終了した場合、賭け金は町が没収することになるって、言ったわよね?じゃあ、賞品になった私達のような女性はどうなるか・・・・予想がつくかしら・・・?」

ナミはロビンの曇った表情を見て、その言葉の先の答えがなんであるか、簡単に理解してしまった。
そして、臭気漂う男に震える怒りの眼差しを向けた。
「・・・賞品の女性は・・・全員アンタに引き取られるのね・・・。奴隷として・・・!」

男は嫌らしい笑みを浮かべた。
図星らしい。
ナミはその余裕の態度に、余計に不安になってしまった。

「・・・・・・航海士さん、あなたはこの事をあの子達に伝えて・・・。」

「ろ、ロビン・・・!」

次の瞬間、男の巨大な義手がロビンの頭部を掴もうとした。

「・・・ぐッ!」

男の義手はロビンの頭上に留まっていた。
そしてその義手を持ち上げ掴んでいるのは、ロビンの足元から生えた手だった。

「早く行きなさい・・・!」

ロビンは目線を映さずナミに叱咤すると、ナミの近くで手を生やしてフロートの外へ突き落とした。

「・・・・・・え?」

ちなみに、フロートから海面までの高さはゆうに50m以上はある。
フロートから岬まで地続きで行けるため、岬から海面までの高さと同じなのだ。
つまりナミは岬から飛び降りたのと同じ浮遊感を味わいながら海面に叩き落されるのだ。

「い、いやあああああああああああ〜〜〜・・・・・・!!」

ナミの絶叫はロビンの耳には入っていなかった。
ただ意識は眼の前の男にのみ。

「・・・いつまで腕掴んでんだよ!」

突然、義手の腕の部分からプロペラ型の刃が飛び出した。
次第に、刃は腕の周りを回るように回転をはじめた。

「・・・っ!」

フロートの壁から勢いよく手を生やし、男を突き飛ばした。
ロビンは落ちそうになったルフィの麦わらを支えると、男から距離を取るために後ろに飛び退いた。

「流石だな・・・?7900万ベリーの大物さんよぉ?」

「・・・っ!?」

普段は滅多なことでは動揺しないロビンだが、相手の一言に思わず身体が固まった。

「ずいぶんといい女になっちまったなぁ〜?こりゃ高値で売れるってもんだぜ。」

この男は自分の正体を知っている。
だが、結局はそれが今の状況を打破する事と何の関係もないことにすぐに気が付いた。
問題はこの男が自分の正体を知っているのは何故か、ではなく、この男をどのように排除するか、が本懐なのだ。
そう思うと、自然と動揺していたのが収まっていった。

「私はあなたなんかと遊んでる暇はないの・・・。・・・・・・目障りだから消えて。」

ロビンがそう言い放つと、男は下品な笑い声を上げた。

「ゲハハハハハハハハ!威勢のいい女は好きだぜ?そういう女を屈服させるのもなぁ!?」

そんな挑発をする男を冷やかな眼でロビンは見ていた。
無意識の内に、ロビンはルフィの麦わらをぎゅっと掴んでいた。

(・・・・・・この帽子には、指一本触れさせない。)

それは大切な預かり物だった。
失うわけにはいかなかった。
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