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約束


「マキノ、明日出るから」
静かに宣言する少年にマキノはテーブルを拭く手を止めた。
少年のことは本当に小さな頃から知っている。弟同然に過ごした。
その少年も成長した。意志の強い表情とどこか飄々とした物腰は、かつて短い間彼女と過ごしたある男のことを思い出させた。
今や世界中にその悪名を轟かせている、大海賊団の大頭。
少年の眼差しは彼女の愛した男のものと酷似していて、マキノは眩しいものをみる瞳で少年 − ルフィを見つめた。
「ルフィ・・・行くの?」
マキノの消え入るような問いに不動の信念から来る答え。
「ああ」
ルフィは瞳に力を込めて頷いた。
なんて大きくなったんだろう。
なんて魅力的な少年に成長したのだろう・・・
・・・私ったらルフィに何を考えてるの?ルフィは弟同然なのに。マキノは慌てて自分の考えをうち消した。
かつては食事とミルクを「宝払い」で食べに来ていた少年が、今や金を払い酒を飲む。
そして明日には彼の夢、海賊になるため旅に出る。
月日のたつのはなんて早いんだろう。
「マキノ・・・旅立つ前に・・・」
ルフィはそこで言葉を切り、持っていたジョッキを一気に煽った。
「抱いてもいいか?」
「じょ・・・冗談はよして」
空々しい態度で、ルフィの言葉を冗談にしてしまおうとした。
でもルフィが冗談で言っているのではないと、マキノには痛いほど分かっている。
夕方、マキノの酒場に入ってきた瞬間から、ルフィが何を言いたいと思っているのか、全て分かっていた。
この子も旅立ってしまうのだ・・・あの人みたいに。
心の奥の未だ癒えない痛みと共に、かつての恋人である赤い髪を持つ青年を思い出す。
海賊なんか好きになるものじゃない。
いつだって夢ばかり追いかけて、女は置いて行かれてしまう。
ルフィを眩しく思うようになったときから、もう結末は見えていた。
ルフィもあの人と同じ。
いつまでもあの小さな子供ではいられないから。
海賊なんて好きになるものじゃない・・・マキノはその黒曜石のような瞳に一筋の涙を流した。
「マキノ・・・」
ルフィはカウンターから立ち上がり、マキノを抱き締めた。
その困ったような表情は、また彼女にかつての恋人のことを思い出させるのだ。
あの人もこんな困った顔をしていた・・・
いつの間にこんなに大きくなったんだろう?
マキノを抱くルフィの腕は逞しく、アルコール臭と共に微かに香る体臭は確か
に男の臭いだった。
あんなに小さな子供だったのに。
マキノは最後の抵抗をみせ、必死に幼い頃のルフィの顔を思い浮かべようとした。
だが、あのあどけない表情の子供の姿を思い出すことはできなかった。
頭に浮かぶのは、その少年の成熟した姿であり、好ましい異性として成長した今のルフィばかり。
マキノは観念して自分に言った。
私は、ルフィを愛してしまった・・・
絶望的な想いに身を塞がれて、マキノは小さな吐息を漏らした。
ルフィは優しくマキノの髪を撫でていたが、そっと顔を近づけてきた。
まだ幼さの残る顔立ちと男の顔つきのアンビバレンツ。
マキノは自分の中の思いも寄らない激情に流された。
ルフィはマキノの唇に自身のそれを重ねた。
驚きのあまり軽く開いたマキノの唇の間に柔らかな舌が差し込まれ、口腔を嘗める。
ルフィ・・・ルフィ・・・!
とろけるような甘い誘惑。
男の人とキスをするのって何年ぶりだろう?
そんなことを考えている自分に気づく。
あの人が旅立ってから、10年、か・・・
ルフィは優しくいつまでも彼女と舌を絡めていた。
少し、その腕が震えているように思えた。
ルフィ・・・初めてなんだ・・・
どこか他人事のように呟く自分に気づき、頬が赤らむ思いがした。
この少年の初めての女になる誇りと、いずれ彼が出会うであろう彼の伴侶への申し訳ない気持ちと。
ルフィの手が後頭部から徐々に下に下がってくる。
くすぐったいような、とろけるような愛撫が、徐々に背から下へと降りていく。
「・・・マキノ・・・」
「ん・・・?」
「・・・いいのか・・・?」
腰元にその手を彷徨わせながら、ルフィは苦しげに呻いた。
「おれ・・・で・・・いいのか・・・?」
ルフィの言わんとしていることがわからない。
「なに・・・?」
沸き立つ熱に圧され、マキノは頬を火照らせてルフィを見つめた。
「おれ、マキノを抱きたいけど、おれはシャンクスじゃないから」
ルフィの言葉にはっと我に返る。
「ルフィ・・・知ってたの?」
「うん・・・マキノとシャンクスが好き合っていること知ってた。そして大き
くなってそれがどういうものなのか知った」
「ルフィ・・・」
「マキノ・・・おれも明日には旅に出る。いつ戻れるか分からねェ。おれでいいのか?」
マキノは乱れた着衣を整えながら微笑んだ。
「ルフィ。大きくなったわね」
「マキノ・・・」
「あなたの初めての女性(ひと)がこんなおばさんでいいの?」
「マキノじゃなきゃ嫌だ」
ルフィの瞳に大粒の涙が浮かぶ。
「マキノじゃねきゃ嫌だ。もう会えないかもしれないし、マキノはおれやシャンクスよりもっと優しくて強い男と結婚するかもしれないけど、おれの初めての女はマキノじゃないと嫌だ」
駄々っ子のように我が儘な理屈でルフィは泣いた。
「だけど、おれはシャンクスじゃないんだ」
ルフィにシャンクスを重ねて見ていたことを見透かされ、マキノは苦笑した。
「ルフィ・・・ごめんね。でも確かにあなたにあの人のことを重ねて見たこともあるけど、でもあなたはあなたじゃない」
「・・・マキノ・・・」
「こんなとこじゃなくて、ルフィ、上、上がる?」
マキノは優しくルフィを導き、その手をとって階上へと上がった。
マキノの私室は簡素であり、必要最低限の家具のみが並んでいた。
ルフィにとって、この階上へと上がるのは初めてだった。
一輪挿しに生けられた野花だけがマキノの女らしさを垣間見せる。
ふと頭に、シャンクスもこの部屋に来たのか?という考えが浮かび嫉妬の苦い思いが胸を焦がす。
シャンクスは彼の命の恩人であり、憧れであり、そしてライバルだった。
彼の宝となった麦わらを彼に預けた人間であり、シャンクスにこの帽子を返すというのがルフィの旅の目標の一つでもあった。
そして、麦わらとシャンクスに、海賊王になることを誓った。
だから、その約束のため、明日旅に出る。
生まれ育ったフーシャ村を出るのは正直辛い。
が。
ルフィは頭からその宝物を脱ぎ、鍔を持つ手に力を込める。
おれは、必ず約束を果たす。
その時は、マキノを奪うことを宣言してやる。
10年もマキノを待たせてるんだぞ?
この10年、ずっとマキノを見つめていたルフィにとって、彼女の痛みは我がことのように知っていた。
どんなにマキノは泣いてたか、シャンクスは知っているのか?
「・・・ルフィ・・・」
急に声を掛けられ、思考を中断されたルフィは大げさな反応を見せた。
「あっ・・・ああ」
「どうしたの?」
「いや」
このことはマキノに言うことは出来ない。
これは男の戦いなのである。マキノを巡る男の戦いなのだ。
きっとマキノが知ったら怒るに違いない。
マキノはソファに座り、優しく微笑んでいた。
ずっと10年。彼が旅立つ前にマキノを抱きたいと願っていた。
その願いがようやく叶う。
ルフィは眩しそうに瞳を細め、おずおずとした手で再びマキノを抱いた。
「おれ、初めてなんだ」
「ルフィの初めての人になれるなんて光栄だわ」
マキノの優しい微笑みに、ルフィはまた泣きそうになる目を瞑り、その柔らかな唇を再び吸った。
ルフィはぎこちない動きで、マキノの胸を触った。
そっと包み込むようにして動くそれは、くすぐったさとそして次第に熱い熱を伝えた。
彼の触る部分を中心に徐々に体が溶けていく。
時々小さな鋭角的な快感が体を突き抜ける。
「あっ・・・」
マキノの切ないため息は、ルフィの男に火をつける。
「・・・マキノ・・・」
「ルフィ・・・」
また何度目かの口づけを交わす。
徐々にルフィの舌の動きは貪欲になった。
ルフィの呼吸は荒くなり、マキノも足の間に広がる熱に小さな声を上げる。
それは融けていくバターのような感覚で、じわじわと広がる快感はわずかに残った最後の理性を焼く。
ルフィの手が太股を割って、そっとその熱い部分に触れる。
「・・・はあっ・・・」
さらに高くなるマキノの甘い声。
あくまでも優しくおずおずと触る動きに、マキノはそっと耳元にささやいた。
「もっと大胆にして・・・」
「んん・・・」
マキノの言葉に従い、ルフィの手の動きは大胆になった。
小さな布を避けて直に触るとそこは柔らかく潤っていて、指先でかき回すと優しく吸い付いてくる。
彼の動きに合わせてマキノの呼吸は次第に途切れがになり、その甘い声音を聞きたくて、ルフィはその神秘的な熱をさらに優しく愛撫した。
マキノの体にはルフィの知らない秘密が多く眠っていた。
もっとその奥の秘密を見たくて、肌を遮る布を一枚一枚はがしていくと薄く桜色に染まったなめらかな肌が現れる。その神々しくもある美しい裸体にルフィは感嘆した。
ブラジャーを苦労して外そうとしていると、マキノはそっとその手を制して、自分で外した。
ルフィ自身ももどかしげに服を脱ぎ去り、最後にマキノの髪を束ねるバンダナを解いて、ふたりは生まれたままの姿になった。
「・・・マキノ・・・」
「・・・ルフィ」
息が止まりそうなほどの、甘い口づけ。
マキノは困ったように頬を赤らめたルフィを己の内奥へと導いた。

「あっ・・・マキノ・・・ッ」
たまらずルフィが声を上げる。
マキノの体は柔らかくて暖かくて、包まれるその快感にルフィの頭は真っ白になる。
もう、どのように動いたのか自分でも分からない。
するりと奥へと導かれ、自然と自分の腰が動き出す。
そして後は灼熱の炎に包まれる快美感が身を襲い、河岸へと到達した。
白光が全身を貫くそのあまりにも鋭い快感に、ルフィは我を忘れた。
はっと気がつくと、そそり立っていたものは静まり、気だるい快感が体を満たしていた。
これがセックスなんだ・・・
ぼんやりとした達成感と未だ痺れるように残る余韻に、ルフィは目を瞑った。
「マキノ・・・」
「なに・・・?」
「ありがとう・・・」
「うん・・・」
マキノの素晴らしい贈り物にルフィは心の底から感謝した。
また涙が溢れてくる。
マキノと離れたくなかった。ずっとこのまま抱いていたいと思った。
だが、明日には出発する。
ルフィは少しマキノを抱いたことを後悔し始めていた。
なぜなら、抱いたことにより、よりいっそう離れがたくなってしまったから。
この柔らかな肌を知った瞬間から、連れて行きたくなってしまったから。
「ルフィ・・・」
隣を見ると、マキノがルフィを静かに見つめていた。
「強い女の子を捜しなさい」
「・・・?」
「強くて優しくて、そしてどこまでもあなたについていくことの出来る、そんなあなたのためだけの女の子を」
「どういうことだ・・・?」
「ごめんね、ルフィ。私はあなたと一緒に行くことはできないから」
「・・・マキノ!!」
「きっとどこかにそんな子がいると思う。だからあなたはその特別な子を探してね」
「何を言うんだ!一緒に行こう!!」
「あの人にも言われたのよ・・・」
マキノは遠い瞳をする。
「でも。私は行かなかった。私は海の女じゃないのよ」
「・・・マキノ・・・」
「ルフィ、明日で私たちはお別れ。あなたはどこまでもあなたと共に生きていける女の子を捜して」
「・・・ん・・・」
「約束よ?」
マキノが差し出した細い小指にそっと自身のそれを絡めた。
白い繊手は彼の手の半分もない。
「ゆびきりげんまん、嘘ついたら針千本のます」
涼やかな声が子供の囃し歌を歌う。
「ゆびきった」
ルフィの目は霞んで、もうマキノの表情を見ることが出来なかった。
もしかして、マキノも泣いていたのかもしれない。
ルフィを抱き寄せてマキノはそっとその髪を撫でた。
ルフィは涙を腕で拭い、マキノの唇を再び奪った。
マキノは驚きながらもルフィの新たな欲望の火を受け入れた。

翌朝、手こぎ船に乗って少年は旅立っていった。
その顔は子供らしさがはがれ落ち、自分の信念に向かう男の晴れやかな逞しさに溢れていた。
マキノは微笑みながら、その姿が見えなくなるまで見送った。
共に見送る村長が呟く。
「一丁前に男の顔をしおって・・・」
「はい・・・」
少年の旅は今始まったのだ。


「・・・フィ・・・ルフィ・・・」
揺り起こされる不快感にルフィは眉を顰めて目を開けた。
「どうしたの?ルフィ・・・」
心配そうに彼を見つめる、ナミ。
ああ、そうか、夢か・・・
ルフィは霞む瞳を擦り、そして瞳に溢れる暖かいものに気がついた。
おれ、泣いてたんだ・・・
怖い夢でも見たのかと、心配そうにナミが彼を見つめていた。
ルフィは苦笑しながら、ナミの髪をくしゃっと掴む。
「ん・・・なんでもねェ」
納得行かなさそうな顔でナミはルフィの顔を覗き込んでいたが、ふっと顔を緩め笑った。
「そっか・・・」
ナミの微笑みはマキノの微笑みと少し似ているような気がした。
マキノとナミは全然似てないのにな。
マキノ。マキノとの約束、果たしたぞ。
ルフィはくすぐったそうに笑いながら、ナミに口づけする。
「んっ・・・」
うっとりと頬を染め、ルフィの舌の動きにナミは応えた。
強くて優しくて、彼の航海には不可欠で、彼と生涯を共にする女性(ひと)。
ルフィは心の底で、マキノの思い出を封印した。
おれには今、大切な女がいるから。
その思い出の小箱は滅多に開かれることがない、彼のとっておきの思い出。
ナミも知らぬ思い出は、ルフィの中でいつまでも輝き続ける。
  • FIN -

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