2chエロパロ板ワンピーススレSSまとめサイトです。

「っ……んっ……んっ…んっ…」
着衣のまま背後から襲いかかるようにサンジが重なる。
同じく着衣のまま下着だけを抜き取られたナミは、声が漏れぬように口を手で塞ぎながら椅子にしがみつく。
その手をわざと外そうと、サンジはナミの唇を奪う。
サンジの体に染みついた煙草の臭いは、ナミの遠い過去の記憶を呼び覚まし、その哀しみと喜びの記憶がない交ぜとなり、ナミを余計に乱れさせる。
椅子とテーブルがぶつかり合う音と、二人の体がぶつかり合う音。
サンジの体の動きに合わせ、ナミの乳房が揺れる。
「……ナミ……ナミ……」
二人きりの時にだけ呼ぶ呼び方で、求めるように何度もナミを呼ぶ。
ごめんね、サンジくん…
私は狡い女。あなたの思いを利用している。
あなたに抱かれながら、心の奥では違う男に抱かれてる。
あいつは汚れきった私には相応しくない太陽のような男だから。
それでもいいって言ったあなたを利用している……
サンジの手はオレンジ色のアンダーヘアの奥に伸び、さらにナミは狂おしく啜り泣く。
太陽に焦がれる深海の魚のように、その憧れを胸にくすぶらせてさらに暗い闇へと堕ちていく。
意地の悪い気持ちで、ナミの弱点を責めまくる。
声を殺して、涙を流して、激しく乱れるナミを背後から突きながら、サンジは心の奥で涙する。
オレは狡い男。ナミさんの気持ちを全て知っていながら、それを利用して関係を重ねる。
今は女よりも熱いものに夢中のあいつに、ナミさんの気持ちを伝えてやろうともせず。
いつか体だけじゃなくて心も自分の方に向いてくれることを熱望して。
愛しても愛しても埋まることのない溝…
ナミの呼吸が荒くなる。絶頂が近いことを彼に伝える。
ナミさん…!
己の思いの全てを込めてナミの深奥へ精を放ちながら、絶望よりも暗い闇の奥へ堕ちていく自分を嘲笑う。
二人の荒い息だけが聞こえる闇に一瞬小さな炎が浮かび、そして赤い火口(ほぐち)を中心に、うっすらとテーブルに顔を埋める女とその女を抱きながら煙草をくゆらす男の顔が浮かびあがる。
狭いキッチンが彼らの愛の巣。
ベッドもない固い部屋で獣のようにお互い肌をぶつけ合うのが彼らの愛。
だが、その愛には終わりがない。
充足とは無縁の空しさが煙と共に宙を漂う。
荒い息と目に見えぬ涙が二人を包む。
お互い無言で始まった情事は無言で終わり、何事もなかったような嘘つきの朝を迎える。
ナミは思う。
私は狡い女。ひとりで寝るのが辛すぎて、サンジくんの愛を利用している。
亡くなったあの人の思い出の代わりの煙草の臭いのために。
でも心の奥では別の男に抱かれている。
サンジは思う。
おれは狡い男。彼女の気持ちを知っていてもその隙間を利用しておれの思いを割り込ませようとしている。彼女が余計に苦しむことを知っているのに。
だが・・・
ふたりは思う。
こうやって傷口を嘗め合うしかすべがない。
闇よりも深い闇の中で、ふたりは哀しい情事を重ねる。
そしてその思いには行き着く場所は存在しない。
涙だけが乾ききった心を潤す、ふたりだけの時間。

<FIN>
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