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『擬傷』

夜半を過ぎたラウンジで、俺は一人で呑んでいた。
夏島が近いのか、空気は茹だるように暑く、湿っていてじっとり重い。不快のあまりに、眠れなかった。
強い酒を、流し込むように呑むが、酔うことはなく、かえって感覚が冴えて、苛立ちがつのる。
この気候の所為だけではないと、知りながらに、それを持て余していた。

ナミがコックに抱かれていることを、知らなかったわけではない。
それを初めて知ったとき、僅かに胸が痛んだが、見てみぬふりをした。
あいつが選んだのなら、何も言うことはないと、諦めに似た思いで、封じた。
だが。
衣擦れ、溜息、囁き、嬌声。
格納庫の扉から、不注意にも滲み出たそれらは、押さえつけていた情欲を容易く暴き、俺を苦しませた。
名前を呼び合い、絡み合う姿が、容易に想像できるのは、自分こそがそうしたいと切望していたからだ。
何故俺ではなくあいつなんだ。理由など皆目見当がつかない。
女に滅法甘い男。良いように使われてるだけと見くびっていたら、ちゃっかり相応の報酬も得ていた。
ナミがそういう素振りを全く見せなかったのに、簡単に嗅ぎつけたのは、ルフィだ。
―おまえら最近仲良いな。
偶然その場に居合わせた。他意はない、文字通りの意味だと言わんばかりの能天気な笑顔に、
ぎくりとその身を凍らせて、次に顔を赤くしたのは、二人のほうだ。
―やぁね、何言ってるの、ルフィ。
―馬鹿言ってんな。最近じゃねぇ、俺とナミさんはずっと前から仲良いぜ。
取り繕うように言っても遅い。ふぅん、ずっと前からか、と言われ、さらに顔を赤くする。
―ま、良いよ。仲が良いのは良い事だ。
仲間だからな、と締めくくる。
何も考えていないのか、言外にあからさまな行動は控えろと釘を刺したのか。
今となってはわからないが、そう受け止めたのらしい、二人はそれを守るべく、相当の努力をしたのに、違いない。
痕跡を、決して残しはしなかった。誰も気がつかないほどに。この俺でさえ、気がつかないほどに。

だがどうだ、今、この有様は。
熱に当てられて脳みそが融けたのか。冷静な判断を欠いてしけこんだ挙句、よりによって、俺に見つかっている。
―もうダメ、私、何も考えられない…。
―俺もだ、ナミさん、ああ、すごく好い。
聞いた瞬間、血が全身を駆け巡り、目の前が揺れた。
動揺してはいたが、足音を立てぬよう細心の注意を払って、その場を離れた。
その後ろからも、睦言は耳鳴りのように、追いかけてくるように聞こえ。
ようやくラウンジに逃げ込んだ時、憤怒に拳が震えた。何故自分が気を使わねばならない?
まるで八つ当たりのように手淫に耽り、たちまち自我を放った。

それでも苛立ちは収まらず、さりとて酔いつぶれて眠ることもできず、なおつのらせて、空瓶がいくつ転がったか。
数えるのも億劫になってきたころ、扉が開いた。
「あら、起きてたの?」
悪びれもせず……する必要などないと思っているのか、あっけらかんとした顔で問うてくる。
ちょっと一体何本開けたのよ、と瓶を片付けている姿を、凝視した。
湯上りなのらしい、濡れた髪を細い指先でかきあげて、耳を露出させる。
しっとりと湿った肌は、仄かに赤く上気して、情交の名残か、足腰の動作がいつもより緩慢で艶かしい。
「まぁ、こう暑くちゃ眠れないわよね」
こちらを振り向いて、やっと俺の視線に気づき、はっと身を強ばらせた。
肌にはりついたシャツの下に、下着をつけていないのが、見て取れた。

無神経は、時に挑発と同義だ。

…ルフィ、おまえは知っていたな。俺が、これほどまでに安易に嫉妬に狂い、牙をむき出す男だと。
俺自身が知らなかったことを、おまえはあの時、既に見透かしていた。
でももう遅い。
禁忌を犯したのは二人のほうだ。
だがせめて、被害者面は決してするまい。替わりにすぐさま、加害者に回れば良いだけのこと。
俺は理性と呼べる全てのものを投げ捨て、狂気にこの身を投じよう。
「…っや!」
両の手首を頭上高くに束ねて掴み上げ、シャツを捲り上げた。現れた丸い乳房を、押しつぶすように片手で掴む。
「!!いやっ!なにするの!やめて!…ぁうっ!」
色づいた乳首を抓り上げれば、苦痛に呻いた。
この熱帯夜に、コックも大概、常軌を逸したらしい。
白い胸に、いくつも赤い花が散っている。
肌を晒した服装が多いナミだが、こんなものは今まで一度も見たことがなかった。
「…随分お楽しみだったようだな」
「なっ…」
「埃だらけの格納庫で、まさかおまえが抱かれるなんてなァ。意外だったぜ。お高い宿でも用意しなけりゃ犯らせねぇもんだとばっかり思ってたのによ。スーツの上着くらいは敷いてもらったか」
「…聞いてたの?!」
「全部丸聞こえだったぜ。答えろよ。コックはそんなに良かったか?」
陳腐な嘲りの言葉を吐きつけて、スカートに手を突っ込むと、下着を引き千切った。それで後ろ手に縛り上げる。
シャツを首から抜くと、それも絡げて腕を拘束した。ナミは、ジタバタと暴れ、何発も蹴りを入れてくる。
「っ…やめなさい!それ以上したらタダじゃおかないわよ!!」
「は。どうタダじゃおかないんだ?言ってみろ。助けを呼ぶか?コックがすっ飛んでくるだろうな」
その一言でナミの全身は凍った。スカートのジッパーを下ろすと、ストンと落ちて、あっけなく裸体を晒す。
腰を抱きよせ、乳房をまさぐった。
「この状況を見てあいつがどうするか見物だな。全力で俺を殺しにくるか…」
「!…やめて」
「かかってこられりゃ、俺だって相手しないわけにもいかねぇ。返り討ちにしちまうだろうが」
「…やめて…」
「おまえと同じに縛り上げて、見学させてやろうか。おまえが犯られてるのに、手も足も出せずに………狂い死ぬかもな」
「やめてェッ!!」
「泣けよ、叫べ。あいつが来る確率が上がるぜ?」
ひッ、と息を飲んで黙った。乳首をきつく、揉み潰すように捏ねる。
「大人しくしてりゃ被害は最小限だ。利口なおまえならわかるだろ?」
「…っ、お願いよ、ゾロ。もうやめて。今やめてくれたら、このことは忘れるから…!」
「忘れる?」
忘れて欲しいなどと、俺が一言でも言ったか?
間抜けな。俺が、おまえの体に記憶を刻み付けようとしているのがわからないか。
口づけようとすると、全身を捩って逃れようとする。豊かな乳房が左右に揺れた。
顎を掴んで、無理矢理口を開けさせ、唇を奪った。怯えてすくんだ舌先を、抜き取らんばかりに吸い上げる。
尻の後ろから手を差し入れて、恥毛を掻き分けると、僅かな湿り気を持ってぽってりと膨れた陰唇に触れた。
口を離すと、強気にも頭突きをしようとしてくる。かわすとよろけて、前のめりに床に倒れこむ。
…女の全てが露になった。
「あッ…いやッ!いやァッ!」
後ろから抱え込み、引き起こす。太腿を大きく割って、足の間に座らせた。
暴れる体を片手で抱え込んで押さえ、細いうなじをねっとりと舐め上げ、指先で割れ目をひろげて探る。
包皮を剥いて、核を爪の先でかするようにすると、ビクリと体を震わせた。
執拗にそこを攻め立てると、次第に蜜が蕩け出し、同時に啜り泣きが聞こえ始める。
暴れていたのが弱々しくなって、いまや体を左右に揺すっているだけだ。乳房を掴み、形が変わるほど揉みしだく。
先端を捏ね上げれば、息を詰まらせ、屈辱に身悶え。
「いや…やめて、いやァッ…!」
「楽しめよ。好いんだろ。もうグチョグチョだぜ。指も入っちまう…」
「やめ…ア!…ッ…酷い、どうして…こんな…ァ」
言ってなどやるものか。
今更、惚れているから抱きたいなどと。
あの男は最中にも、さぞかし盛大に愛の言葉を羅列するのだろう。虫酸が走る。
俺は与えるものなど何も持たない。ただ奪い取るだけだ。
一太刀に殺してもらえぬ恋情を、ただ徒に腐らせるくらいなら、相手を絶望の淵に突き落として憎しみを得れば良い。
結果に違いはあるか?おまえはもう、こんなに涎を垂らしている。
「う…う…ッ…」
嗚咽を漏らしながらも、迫り来る情感には逆らえず、太腿をビクビクと震わせている。
いまや硬く尖りきった乳首を、引っ張りながら、蜜壷を指でかき混ぜると、いよいよ悩ましげに涕泣した。
だが。
…うわ言のように、何度もコックの名前を呼んでいる。
あの男に抱かれると思って堪えているのか!!
カッと頭が煮え立った。
「アッ!!」
突き飛ばして床に転がすと、仰向けにして股を広げさせた。往生際悪く、身を捩る。
暴れる両足を抱え込んで押さえつけ、しとどに濡れた肉襞を音を立てて啜った。
「いや!!外道っ…!!!」
愛していない男に吸われるのは、とてつもない汚辱だろう。いくらでも貶せば良い、倍にして返すだけだ。
膨張した陰核を唇に含んで、吸い上げると、膣口が燃えるように熱くなり、ひくひくと蠢き出す。
蜜が後から後から溢れ出て、掻き出すように指で抉ると、肉襞は締め付けを増して絡みつく。
ずるりと抜いて、濡れた指をナミの口元に押し付けた。
「おまえのだ。綺麗に舐めろ」
差し込むと、ギリ、と噛み付いて、こちらを睨み上げてくる。
どこまでも強気な態度が、俺の嗜虐性を煽っているということを、理解できないのらしい。それも良い。
噛み付かせたまま、片手でズボンの前を寛げると、痛いほどに張り詰めた欲望を取り出し、その目に見せつけるように挿入した。
「…ウウゥッ…!」
指の痛みとは裏腹に、欲望が快美に包まれる。
噛み千切らんと、ギリギリと指に食い込む犬歯。裏腹に絡みつく肉襞。
じゅぶ、じゅぶ、と音を立てて抜き差しすれば、逃すまいとするかのように締め付け、吸い付くように奥へ奥へと誘い込む。
睫毛をぴったり閉じたまま、啜り泣く声はくぐもって、噛まれた指から滲んだ血が、唇に紅を差していた。
揺すり上げれば、あ、と声を上げて、ようやく指を離す。赤い唇が、酸素を求めて短く喘ぐ。
屈辱に震えて、眉をぎゅうとしかめたまま、こちらを決して見ようとしない。
だが、体は心を裏切って、腰が僅かに揺れ動く。
「嫌い…!あんたなんか…死ねば良い…!!」
憎いか。もっと憎め。なんとも思われていないよりは、百倍ましだ。
揺さぶりながら抱き上げて、膝の上に跨らせる。乳房を揉みしだきながら舐り、陰核を刺激した。
後ろ手に縛り上げられ、縋りつくことも適わず、逃げることもできず、もどかしさにナミは身を捩り、何度も自分で気をやった。
次第に目が虚ろになり、焦点が定まらなくなってくる。恐怖を殺すためのそれか、快楽ゆえか。
時々息を吹き返しては、揺すぶられ、いやいやと涕泣してはまた果てる。
深く咥え込んだそこは収縮を弱めることを知らず、両腿は痙攣を起こし、果て無き地獄に追いやられたかのように、
もつれた髪を振り乱し、悶え泣く。
「ア、ア、嫌い、嫌いよ、あんたなんか……アァッ…!」
幾度目かの絶頂を迎えて、ナミは頽れる。
その体、意識を失くしてぐらぐら揺れるだけの、その肉襞の最奥を強く抉り、突き上げながら、俺は精を放った。

腕の縛めを解くと、ナミはのろのろと身を起こし、破れた下着で股間を拭うと、衣服を着け始めた。
その背中を見ていると、先ほどまで自分の中に渦巻いていた狂気が、熱が引くように消失していく気がした。
現金なものだ。翌朝、このキッチンで、食事をつくるコックのことを考えると、胸がすく心地がする。
「…もう俺は、二度とおまえを抱かない」
「…本当?」
「約束する」
十分だ。
この先、俺もおまえも、今日のことを忘れることはないだろう。
あの男に抱かれる時に、罪悪感とともに思い出すかもしれない。俺も他の女を抱くときに、もしかしたら。
傷は膿を持ってじくじくと疼くはずだ。そして、それが化石に成り果てたとき。
同じ重さの足枷をはめて、歩ける。
それでもう。
それだけで。
十分だ。

衣服を身に着け終えたナミは、一瞬、縋るような目をしてこちらを見た。
「…サンジくんには、言わないでね」
「あァ、言わねェよ。約束だ」
「絶対よ」
あいつが傷つくことのほうが重要問題か。お優しい限りだ。女の方が、こういう場合は案外強いのかもしれない。
男の脆い部分を知って、守ろうとするのか。それがおまえの愛し方か。
俺には決して得られない。得られなくても構うまい。俺は、どこまでも強くあらねばならないのだから。
それを寂しく思うゆとりもないだろう。

「…だが、ここに来たのがおまえで良かったぜ。あいつが来てたら本当に―」
言いながら。
自分の言葉に、ハッと息を飲んだ。
血の気が音を立てて引き、驚愕に足が戦慄く。

もしも。
あの情交の最中、俺が忍び足で逃げ出す気配を、格納庫の中のナミが、察知していたとしたら。
本気であの男を殺しかねない、俺の嫉妬を、潜在する狂気を、知っていたとしたら。

矛先を自分へすり返る為に、故意に事後の雰囲気をまとったまま、ここを訪れた…?

ゾッと震えが来た。
…まさか。まさかそんなことは。
すべて仕組まれた、計算ずくの演技だったなどということは。
そこまで女は男を愛せるものなのか。
守ると言わせて傍に置き、実は自分が守っていたのか。
守るためにはその身の危険も厭わないと言うのか。
この女。
誰よりも己自身が可愛いと、公に豪語して憚らない女が。
まさか…!

見開いたまま、乾いた目をそのまま、立ち去ろうとする気配の方角へと振り向かせた。
扉を閉じるその刹那、僅かに垣間見たナミは。

その頬に清冽な笑みを浮かべていた。



【擬傷(ぎしょう)】雛に外敵が近づいた時に、親鳥が自分が負傷しているような仕草をし、敵の注意をひく行動。鳥類用語。

                                                 end.
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