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『砂漠に在る海 』

エルマルの復興作業は、ユバがオアシスとして正常に機能し始め、近隣に十分な水を供給できるようになったため、予想以上に順調だった。
アラバスタ西側の発展を考えれば、拠点としてここはどうしてもなくてはならない。
三年の干ばつのために、離れなければならなかった住民も、かつて暮らした土地に戻れることは何よりの
喜びなのらしく、訪れた私を温かく迎えてくれた。
バロックワークスが壊滅した後の私の公務は、国内の視察と慰問で、まったく息をつく暇もないほどだ。
民が何を望んでいるのかこの耳で聞き、町に何が必要かをこの目で見て、父にそれを伝える。
国のためになどと思うのは、本当は傲慢なのかもしれない。
訪れた街で子供達が、貴重な水で育てたのだろう花を手渡してくれるたびにそう思う。
けれど、私が王女である以上、彼らの思いに応えることは必須なのだ。

「疲れたわね、カルー。ユバまでもう少しだから頑張って?」
クェ、と返事が返ってくる。サンドラ河沿いの運河を船で下って、エルマルに着いたのが今日の午後。
ユバで一泊する予定でたっぷり時間をかけて視察したのだけれど、さすがに遅くなりすぎた。日がもう沈みそうだ。東の空に星が見え始めた。
砂漠の夜は冷える。キャンプの準備などしてこなかった。仰々しくなるのが嫌で、護衛に付いていくと言って聞かないチャカとペルに他の仕事を頼んで、無理に一人で出てきたのは失敗だったろうか。
少し急いだほうがいいかもしれない。
カルーにそう言おうとしたときだ。いきなり体がガクリと揺れた。
「クゥエッ…」
よろよろと足がふらついて、砂の上にしゃがみこんでしまう。
「カルー?!」
慌てて降りると、ぐったりとうずくまって返事もない。目立った外傷もないのに、一体どうしたというのだろう。
まさかサソリに刺されるなどというへまをする筈も…!
体をさぐっているときに、腹部に小さな矢のようなものが刺さっているのが見えた。
嫌な予感がした、次の瞬間、背後に影が落ちた。咄嗟に振り返ろうとして、背中に刃物を当てられているのに気がつく。
…賊につけられていた?…まさか。

「動くな…動いたらブスリだぜ」
「…何を」
「へへ…まさか王女様が一人でふらふらしてるとは思わなかったぜ」
背後から喉を掴まれた。急所を押さえられては、下手に暴れては逆効果だ。
砂漠の真ん中で助けが来るはずもない。一人で切り抜けなくては…!

「…やめなさい。なにが望みなの?お金?」
「金?…金がなんの足しになるって?」
マントを剥ぎ取られ、背に当てられた刃物の先端が、シャツを切り裂く音が聞こえた。肌が外気に触れる。
戦慄に体が震えるが、悟られてはならない。落ち着いて。取り乱せば思う壺だ。
「やめなさい」
「冷静なお姫様だな。そのまま大人しく抱かれてくれりゃあ、乱暴はしないぜ?」
「…それがあなたの望みなの」
「………そうだ」
ビィッ!と音を立てて、さらに大きく服を裂かれた。このまま止まらないようなら、反撃するしかない。
傷つけたくはないが、そうも言っていられないだろう。ビスチェに仕込まれたスラッシャーに手を伸ばすと、都合のいい解釈をしたのか、背後で男が笑った。
「そうそう。自分で脱ぎゃ、切り裂く手間も」

「そこまでだ」

ガチャリ、と銃を構える音がした。
「ナイフを捨てて、王女から離れろ。おかしな真似をしたらすぐに撃つ。忠告だ。二度目はないぞ」
耳に馴染んだ、それでもまだ、懐かしい声。
男がナイフを落とし、そろそろと離れる気配がした。
「もっとだ。もっと離れろ。…そうだ」
ばさ、とマントを背中にかけられた。それを合図にようやく振り向くと、そこには。
銃を男の頭にぴたりと狙い定めたままの、コーザの横顔があった。
「リーダー!」
「…あ!…お、お前…反乱軍の…!」
「“元”だ。…言え。なぜこんなことをする」
問い掛けた方をやっと見て、男が、私とそう変わらない年頃の少年だと気がついた。
銃口を見つめながら、青ざめてぶるぶる肩を震わせている。
「……エ……エルマルに、王女が、来るって、聞いて…」
「お前はどこの町の者だ」
「………ない」
「…ない?」
「町、なんか、…ない。俺の、住んでた町の、人たちは…全員、…死んだ」
震える声で言うと、堰が切れたようにボロボロと涙を落としながら、少年はその場にうずくまった。
「い、…いまさら!国が、助かったって、俺にはもうなんもないんだ!とうちゃんもかあちゃんも友達も、
みんな、みんなみんな死んだ!国が!…助かったって、俺には、なんも……っ…なんもないんだよォ!!」
悲痛な叫びは、砂に吸い込まれて消えた。こんな思いを抱いている民が、いったいこの国にどれだけいるだろう。
いくら援助したところで、救えると言う保証もないのに。だけど。
「だからといって王女に当たって…!」
「やめて、リーダー。…あなた、名前は?」
「……カレブ」
「…カレブ、ありがとう。一人でも、生きていてくれてありがとう」
「………?」
「あなたが生きていてくれたから、あなたの町は作り直せるわ。王を訪ねて。きっと力になります」
少年は、より激しく声を上げながら、涕泣した。熱を持った傷の膿を搾り出すような、泣き声だった。

その場で書いた手紙を手に、少年はエルマルの方へと歩いていった。
カルーに射った矢は、麻酔薬だと言う。
「…だからって避けられないだなんて。平和ボケしてるんじゃないでしょうね」
くちばしを撫でると、幸せそうにクェ、と寝言を言う。コーザが呆れ顔を向けてきた。
「平和ボケはおまえの方じゃないのか?何を考えてる。王女が護衛もつけずに一人で…」
「そういえばリーダー、どうしてここへ?」
「もう日が暮れるのに、お前がユバに着かないから、親父が大騒ぎしたんだよ」
しかしこんな大荷物ができてしまっては、とカルーを見て溜息をつく。
迎えに来ただけだから、彼も軽装で、たいした荷物は持っていない。ここまでは馬で来たと言う。
少し離れた岩場につないである、と言った途端に、彼はくしゃみをした。
もうすっかり日が落ちて、急に冷えてきた。私はカルーの体に凭れながら、手招きをした。
「せめて横にきたら。カルー、あったかいわよ」
「…ああ」
左側に座るのを待って、マントを膝に半分こにした。
「エルマルは、どうだった」
「順調よ。ユバの復興が思いのほか早かったから、そのおかげね」
「親父がはりきってるからな」
「トトおじさん、元気?」
「殺しても死なない」
「リーダー!?」
「冗談だ。…年を忘れて動き回ろうとするから、こっちは気が気じゃない」
「どこの家も子供は大変ね」
「王はそれこそ、まだまだ現役だろう?」
「そのかわり、私のことも子供だと思ってるわ」
「違うのか?」
「…失礼ね」
睨みつけると、小さく笑った。ゆっくり顔を見るのは本当に久しぶりだ。
私の記憶に残っているのは、まだまだ少年のころの彼の姿で。国を離れていた二年の間に、ずいぶんと大きくなったような気がする。
手を伸ばして眼鏡を取ると、嫌そうな顔をした。かけてみて初めて度が入っているのに気がつく。伊達じゃ
なかったのね。
見ると、目を眇めながら、前髪をうるさそうにかき上げていた。ぱさりと乾いた音。
「ねぇ、あれやめちゃったの?」
「何を」
「オールバック」
髪を撫で上げるふりをすると、唇を尖らせる。そういう表情を見ると、ちっとも昔と変わらない気がするのに。
「あれは…統率者があからさまにそのへんの若造じゃ、締まらないからな」
「とりあえず形から?」
「そうだ。…でも、もう必要ない」
私の顔から眼鏡を奪い返して、かけ直そうとする前に、手を伸ばして目の上の傷に触れた。
驚いてこちらを見てくる。その後で困ったような顔をした。
「…気安く触るなよ」
「どうして?」
「ガキじゃないんだから、おかしいだろ」
…ガキじゃないから触れたくもなるのよ、という言葉は、飲み込んだ。
嫌だというくせに、コーザは眼鏡を胸のポケットにしまい、私にさせるままにしている。ほんの小さな頃、私を守るために負った傷。
大切な人を失うことの恐さを、初めて教えたのはあなただった。
ママを亡くしたのは、そういうことを理解する前だったから。
…けれど、今、それは膨大な数になっていて。
「ちょっと…疲れた…」
肩に凭れると、そこが僅かに緊張するのを感じた。おかしなコーザ。こんなの今までだってあったじゃないの。
…それも二年ぶりだけれど。
「ビビ。お前…変わったな」
「…そう?」
「……ああ」
変わりもするわ。ねぇ、私、スパイ行動をした上に、海賊と一緒に旅をしたのよ。
あなたにはまだ話していないけれど。
この国を救ってくれたのは、海軍でもなんでもなく。
いまや一億ベリーの賞金首と、その仲間たち。
ねぇ、コーザ、私迷ったわ。だってあんなに自由で、奔放で、そして強い人たち、知らなかった。
憧れたわ。あんな風に生きられたらって。私もそうなりたいって。
…けれど。
「ビビ?」
私には、この国のほうが大事だったの。どうしたって大事だったの。
もう、知ってる。これだって永遠じゃない。人が生きているこの国も、永遠ではないわ。生きている限り、姿を変えていく。
でも。それでも。
「泣いているのか…?」
愛しているの。それを知らない誰かに、踏みにじられるだなんてこと。
二度とは堪えられない。
「変わってしまったっていいの…」
「…ビビ?」
そう思ったからこそ、変わって行くこの国を守っていくことを、心に決めたはずなのに。
闇を知り、光を知った私が欲しいのは、いつかの風景。
何も知らず、幸せだった頃の記憶。
…振り切りたいの。そうでなければ、私は過去への憧憬に縛られたまま、結局前に進めないわ。
眩暈がするほど、平和なこの世界で。

だから。あなたがせめて、とどめを刺して。
壊して。…弱い私を。

「抱いて欲しい…」

唇を重ねた。かさりと乾いた感触。砂が邪魔をして煩わしかった。呆然と開いてしまったその口を、親指で強く拭う。
彼と口づけたのは、初めてではない。幸福な子供時代に、戯れに重ねたことが何度かあった。
けれど、それすらも今は足枷にしかならない気がする。もっと違う口づけを、しなければ。このまま。
…再び重ねようとした時、肩を掴まれた。
「…お前……自分が何を言っているか、わかってるのか?」
「子供じゃないんでしょう?」
「だからだ!お前…」
「リーダーでなければ、きっと…ダメなの」

唇を合わせながら、ずるずると崩れて行く私の体を抱きかかえ、コーザはマントを砂の上に広げた。
私よりよほど辛そうな顔をしている。頬に手をそえて、私の顔をじっと見つめた後、溜息をついた。
「……あのガキと俺とは、そう変わらないのかもしれないな」
「リーダー?」
「失くしたものの多さに、いまだに途方に暮れている。…ビビ、俺は何も知らなかった」
…ああ。
彼も同じなのだ。忘れることなど、できない。
…いいえ、違う。忘れないことを無意識のうちに選び取ったのだ。
私よりよほど、覚悟が出来ている。酷く羨ましかった。
「知らなかったことを悔やむより、大切なのは、知った今、それを忘れないことだわ。……私にもそれを、
分けて欲しい。…抱いて、リーダー。お願い…」
「…本当に」
「何度も聞かないで…」
目を閉じると、再び唇が重なってきた。上唇を食みながら、遠慮がちに舌先が歯の間を迷っている。
僅かにこちらから差し出すと、ようやく触れて。それを合図に、お互いに深くかみ合わせるようにした。
口腔を舐られながら、大きな手が、うなじから胸に流れて、柔らかく触れてくるのを感じる。
ビスチェのジッパーを引き下ろしながら、首筋から鎖骨へと唇が移動していく。慣れてるのかしら。
…一体誰と?
僅かな嫉妬は、腕に彼の頭を抱かせたけれども、左胸の先端を軽く吸われて、たちまちに霧散した。
「あっ…ん…」
甘く痺れるような感覚に、思わず声が漏れる。自分の唇が、こんなにいやらしい声を出すだなんて、知らなかった。
彼は優しく唇で食みながら、舌先でそこを転がしている。左手は大きく右胸をまさぐって、私の上半身を裸にしていった。
「寒くないか」
「…平気。リーダー、もっと…」
「リーダーはやめろよ」
「……ん。……コーザ、お願い…」
上着を脱ぎ捨てると、乾いた素肌を重ねてきた。傷だらけの体。やっと塞がったばかりの銃創。
彼の体の前で、あまりにもお綺麗すぎる自分の肌が疎ましかった。
跡をつけて欲しいとせがむと、胸元に這わせていた唇を強く押し当てて、痛いほどに吸った。
ひとつ、ふたつと赤い印が残されていく。…数日のうちに消えてしまうだろう密事の証。
けれど私はそれを、懐かしさをもって眺められるだろう。そして消えた後も、決して忘れることはない。
思いに、涙が滲んでくる。
下を脱がそうとしていた彼は、それを勘違いしたようで、慌てて私を抱きしめた。
「嫌なら、やめても…」
「違うの…誤解よ。コーザ、続けて…」
口づけると、僅かに戸惑ったような表情を見せた後、彼は続けるために私を裸にしていった。
初めてなのに、私のほうが随分余裕があるみたい。
おかしな考えに、小さく笑うと、また戸惑ったような顔になる。
「泣いたり笑ったり…忙しいな」
「しょうがないでしょ。色々思うことが多いの」
「…集中しろよ」
怒ったような顔で、太腿を撫で上げると彼は指先で私の泥濘に触れた。
やがて濡れた音が聞こえ始め、初めて羞恥を感じた。未知の快感が下肢を襲い、唇は喘いで思わぬ音を紡ぎ出す。
彼の中指が静かに侵入してくるのを感じて、私は駄々をこねるように首をふった。
「っは…あっ……コーザ……」
「狭いな…おまえの中」
深さを確かめるように抜き差ししながら、そこをだんだんに寛げて行く。
そうして、すっかり剥き出しにされた錘に、指が触れた時。内側から弾け飛びそうなほどの感覚を覚えて、私は叫んだ。
けれど、もう彼が止まることはなかった。
ダメと訴えても、私の体を抱え込んだまま、指はそこをなぞり続ける。私は呼吸も覚束なくなって、必死に彼にしがみついた。
「あ、あ、あ、ダメっ…そんなに…しちゃ…!」
「溢れてる…指を増やしても…ほら」
「あああっ!いや、いやっ……あぁっ…」
内側をかき回す指をくねるように動かされ、砂が散る感触と共に、つま先が思わぬ方向に跳ねた。
コーザは、私の腰を抱えながら自分のパンツのジッパーを引きおろし、猛った楔を取り出すと、私の窪みに押し当てた。
良いも悪いもない。ただ今はそれを穿って欲しい。
…切望する私に、彼は、応えた。

「はあっ……!」
「…ビビ……」
恐れていたような痛みはなく、僅かな異物感があるだけだった。
それは少し誇らしく思えた。私の体は彼に傷つけられることはないのだ。
全てを埋め込んだ彼の首を強く抱きしめて、私は頬擦りをした。彼は動かずに、じっとされるままになっている。
小さく息を吐きながら、なにかを堪えているようだった。
「…ね、…リーダー?」
「…リーダーはよせって…」
「ん…思い出しちゃった…私」
「なんだよ」
「小さい時、…お婿さんになって、って頼んだことあったでしょ」
「……あったか?」
「酷い。覚えてないの?…ああ、でも、…お嫁さんごっことか、そういうときだったかも…」
「…そんなんじゃ覚えてるわけが」
「んっ…でも。…私、結構本気だったわ、あの時」
「………………」
「今じゃ、無邪気に言えないのに、ね…」
「……こんな時に、言うなよ」
言うと、腰を抱えてゆるやかに動き出す。私の中の彼は、確かな存在と共に切なさを伝えて、私の心を窪ませる。
このままドロドロに融けて、交じり合ってしまえば、どんなにか良いのに。
思いは互いを抱く手に力をこめさせ、躍起になって肌を擦り合わせた。
「あ、ぁ…あっ…コーザ…好き……」
「…俺もだ…………」
言葉に煽られるように、動きを激しくしていく。肌は摩擦して、ますます熱を帯び。合わせた唇と、
つながれたそこだけが、乾いたこの空間で水を生む。
泉はこれまで知らなかった悦びを知り、絶え間なく湧き出した。
淫らな音を聞きながら、私はやがて自分の体を、まるで熱帯の海のように感じる。
私の上で揺れるコーザは、頼りない小舟のようだ。
けれど、触れる指先や唇は、確かに悦楽の島を巡る。
深く抜き差しをしながら、舌先が鎖骨の窪みをなぞり、乳房の先端を舐め上げ、指は錘を揺すぶっている。
はしたない声を上げて縋りつく私に、コーザはようやく少し笑ってくれた。
けれど、それが見えたのは一瞬で、小さく震えるように錘を擦られて、私は思わず目を強くつぶってしまう。
「あ、あああっ、ダメ!ダ…メぇっ…怖いっ…!!ッあ、あ、ア!」
「ッ………ビビ……キつい…」
「んぅっ!あっ……アアァッ!」

真っ白な光の渦に吸い込まれるようにして落ちた私の首の後ろを抱えて、コーザは小さく息を詰めた。
そうして、二、三度強く突き上げると、急いで出て行く。
薄い視界の向こうで、私の腹の上に白濁を吐き出す、彼の切なげな表情が見えた。


「クェ…」
身支度を整えると、カルーが小さく声を上げて羽を振るわせた。いつ意識を取り戻したのだろう。
心なしか、恨めしそうな顔でコーザを見ている。彼もそれに気がついて、ばつの悪そうな顔を私に向けてきた。
「こいつ、王に密告したりしないだろうな」
「大丈夫よ。私の秘密はカルーの秘密だもの。ね?カルー?」
「…グゥエ」
不満げな顔で、それでも渋々頷いた。本当かな、というような顔で、コーザは眼鏡をかける。
「俺もまだまだ命は惜しいからな」
言うと、少し照れくさそうに笑った。
彼は私の胸の中で男になり。私は彼の手によって女になった。
変化は必ずしも悪いことではない。多少の寂しさはあっても。それでも、より明るいほうへと進んで行けるのなら―
ふと考え込んだ私の額を指先で弾くと、コーザは軽く唇を重ねてきた。
「一人でなにもかも背負い込もうとするな。みんなそれほど弱かないさ。…ああ、だが」
「何?」
「護衛をつけずに出歩くのはやめろ。今日のようなことがまたないとは言えない」
「………」
「そういうのも含めて国だ。…そうだろ」
「…ええ。そうね」
「……撒いてくるのは俺のところに来る時だけにするんだな」
「!」
思わず胸を叩くと、カルーまで便乗して彼をつついた。コーザは、そこは傷だと顔を顰めながら笑っていた。

そう、でも。
疲れたら時々は胸を借りにこよう。水を掘る彼の腕は、私をただの女に戻し、渇きを癒してくれるだろう。
そうすれば、次の日には王女として、また笑えるから。
左手に過去への郷愁を、右手に明日への光を。掲げて歩こう。
この、眩暈がするほど、平和な世界を―


                                     end.
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