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『ほしのおうじさま』


「よろしくね」
差し出された手を俺は受け取った。
柔らかくって傷の無い、なんか上品な手だなって思った。
俺の知ってる女の手って、もっと傷があったりがさがさしてたり、そんなもんだったから。
やたらめったら白くて、細くて。
「こちらこそ、ミス・ウエンズデー」
ちょっと笑って自己紹介して名前を呼んだら、凄い悲しそうな顔をした。
俺たちは組織の人間だ。それぞれがコードで呼ばれている。
「あのね、その名前で呼んで欲しくないの……」
「どうして?」
「ウエンズデーって、不幸って意味もあるから。わたし、自分が不幸だなんて思ってないし」
灰白の目と髪。長く伸びた髪をきりっと一本に束ねてそう笑った。
でも、目だけが笑ってない。
なにか考えて、思いつめてる目だ。
「じゃあ、 何て呼べばいいんだい?」
「ビビでいいわ。私の名前なの」
そのあとに「もちろん、みんなの前ではウエンズデーでいいから」って。
一緒に行動する「仲間」にはファーストネームで呼んで欲しいんだってさ。
よく分からないけれども、俺はその話に乗った。
別にこれといって仕事に支障が出るわけじゃない。
ビビは良く笑う女だ。
でも、目だけは笑わない。何時も何かを思いつめている。
まぁ、長い時間一緒に居りゃそれなりにお互いのことだって分かってくるし、行動だって読める。
だから、こんな風に星の綺麗な晩は出かけていく姿を黙って見送ることにしてるんだ。
帰ってきて、少し目が腫れてても見ないふり。
それって男の礼儀だろ。
多分……それなりにわけあって泣いてるんだから。
「ねぇ、雨が降りそうね」
言ってるそばから降ってきた。あっという間に俺たち二人は濡れ鼠。
困ったもんだと思ってるとビビの手がすっと伸びてきて。
偽者で洒落で乗せてる俺の冠に触れた。
「そうしてると本当に王子様みたいね」
「じゃあ、一緒にいるビビは王女様だな」
「そうね。王女様になれるかしら」
あ、全部笑ってる。そんな顔も出来るんだ。
俺はぼんやりとビビを見つめていた。
「何?どうかしたの?」
くすくすと笑いながら「変な人ね」と言うから。
その冠をビビの頭にちょっと載せて、悪戯心で跪いた。
「え………」
「ビビ王女、この命に代えてもあなたをお守りします」
一度くらいこーゆー台詞決めたってバチは当たらないだろ?
まぁ、同僚には見せられない姿だけどさ。
スコールの熱気は俺たちの感覚少しだけ狂わせてくれるから。
ちょっとくらい不埒な行為だって容認してくれる。
「本物の王子様みたいね………」
手を取ってちゅっ…とキスをすると嬉しそうに笑った。
ああ、そうやって笑ってる方がいいよ。
その方が可愛い。
ん?可愛い?って俺今、何考えた!?
星降る夜、たったひとりでふらりと出かける姿を見送りたくなくてこっそりと後を付けた。
ちょっと高い床に座って、足をぶらぶらさせて、遠くを見ながらビビは何かを祈ってる。
こぼれる歌みたいな声。聴いたことの無い言葉。
「ビビ」
「……見つかっちゃった」
隣に座って、上を見れば流れる星がきらきらとしてる。
「願い事をかけてたの」
「どんな?」
「みんなが幸せになれますように……って」
笑って、「もちろんあなたもはいってるのよ」って付け加えてくれた。
ああ、なんで俺たちは駒の一つに過ぎないんだろうな。
こんなところ見つかったら間違いなくクビだよ。クビ。
でもさ、理屈じゃどうにもならない気持ちってあるんだよ。うん。
「んじゃ俺も願い事でも掛けるかな」
「これだけ沢山星が流れてるんだからその方がいいわ」
草の上に置かれた右手に、そっと左手を重ねてみる。
ちょっと驚いた顔してるけれども、ビビ、笑ってくれた。
それ、嫌じゃないって思ってもいいかい?
「何をお願いしたの?」
「俺が王子になって、ビビが王女になれますように……って」
「……馬鹿ね……」
頬に手を当てて、そっと引き寄せる。
額にキスすると、ビビは目を閉じてくれた。
だから……今度は唇に。
「……甘いね……」
「……ビビもな……」
何回も、何回も。
星降る夜に。
「……ダメ?俺じゃ……」
「ダメじゃないけど……恐いわ……」
大事にしたいって思う。だから、壊れない様に、泣かせないように大事に抱いた。
細い足首も、綺麗な胸も。
恥ずかしそうに笑って、必死に泣かないようにするのを見てたら、守らなきゃって思えた。
いや、俺が守るんだ。ビビを。
願い事はもう一つ。
「俺たちをずっと一緒に居させてください」
なぁ、カミサマってのが居るんならたまにはきいてくれよ。
ビビがずっと笑ってられる様に、なんでもいいからしてくれよ。
俺なんどうなってもいいからさ。
頼むよ、神様。




なぁ、ビビ。おまえって本物のお姫様だったんだな。
砂の王国アラバスタ第一皇女。舌噛みそうな感じだ。
バロックワークスは解散。俺は自由になって今、おまえの国に居る。
これから王国軍に入隊申請して、もう一度やり直すつもりだ。
王子様にはなれないけどさ。
でも、おまえとおまえがかけた願いをかなえることくらいはできるだろ?
あの日、この国の幸せを願って祈ったじゃないか。
だから、この国を守る兵士になって、おまえを守るよ。

「新隊員も沢山入ってるんですよ」
「イガラム、アラバスタもやっと元に戻れそうね」
「一人、骨のある若者が入ってるんですよ。ネーブルとか言う名前でしたな」


「ナイン……?あなたなの……?」
久々に見たビビはすっかり王女様の格好で、やたらめったら綺麗で吃驚した。
「久しぶり。王女様」
「……よかった……無事だったんだ……良かった」
ぼろぼろと涙こぼして大泣きするから何事かって上官とか偉い人がわんさかやってきて。
ビビは「大事な人なの。だから、嬉しくて泣いてるのよ」って説明してた。
もっと、強くなったらさ、おまえと少しはつりあいの取れる男になれるかな。
「ネーブル、近衛兵になったら一緒に居られるわね」
公務抜け出して、この王女様はわざわざ会いに来てくれる。
だから、俺も訓練の手抜きは出来ない。
待っててくれてるって知ってるから。
「仰せのままに王女様」
「これ、もってきたの」
それは前に俺が洒落で使ってた偽者の王冠。
「王子様じゃなくても、あなたはわたしのとっては王子様だわ」
神様、俺の願いをかなえてくれた?
だったらもう一つ欲張りついでにきいてくれ。



『もう、ビビが泣かなくていいように』
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