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『魔女の条件』


あいつを諦める。
そんな事できる? でも、もう限界だ。
女なんて眼中に無い奴だと思っていた。夢だけを見据えていると思っていた。
だから私の嫉妬の対象は、あいつの手元にいつもある三振りの刀だけだったのに。
無造作に掴む鞘が私の手なら、強く銜えられる柄が私の唇なら、眠る時抱えられるのが私自身なら、と
どれほど願ったか。
どんなにあいつを追いかけても、女である私が関心を惹くことはない。
それでも恋というものに縁遠いあいつの日常に、一番近い異性であることを慰めとしていた。
なのに……。

嵐は突然訪れた。
いきなり乗り込んできた、物静かで謎めいた彼女。
私がずっと望んでいたものを、彼女はほんの数日で手に入れた。
さらさらとした漆黒の髪を持つおとなの女。
あいつが魅入られていくのがわかったからといって、一体何が出来るというのか。
私は毎夜、彼女の往く先を恐れ、心を砕き、祈るしかなかった。
彼女が静かな笑顔を見せた朝を、私は忘れない。
初めてみせたその柔らかな面持ちに 皆が騒ぐなか、あいつだけは素知らぬふりをした。
興味なさげに眼をそらすその唇の端が、そんなことはとうに知ってるとばかりに緩むのを
私は見逃さなかった。
僅かな希望が砕け散ったことを悟る。
夢も仲間も捨てられない。遣り切れないのは、彼女のことを嫌えないということ。
だからこそ、いっそこの身を、想いを、切り捨てて欲しいと願う。
――もうヤだ――
蜜柑の木陰に蹲った私は小さくひとつ、溜息をつく。
隣になった朝食の席で、あいつから微かに漂った彼女の香り。
無表情だった彼女は、柔らかな微笑みを浮かべるようになり、時折 声をあげて笑う。
あいつは何事も無かったかのように、今も眠りを貪っている。
私はどう変わっているのか、変われずにいるのか。
気づいたらあいつを探してる……そんなのは、もう沢山。
忘れる。わすれる。アキラメル。
瞳を伏せて繰り返す呪文は、その姿を捉えては脆く崩れる。
掠れたあいつの声に反応し、私の名を紡ぎはしないかとこの期に及んで猶も期待する。
誰か助けて。囚われたこの想いが、彼女を羨んで澱みきってしまう前に。
……コツン。
足元にゆらゆらと転がる蜜柑。
顔をあげると、いくつか蜜柑の入った籠を抱えたサンジくん。  
「悪ぃ、ナミさん。拾って?」
とびっきりの笑顔をむけて言う。気づかれたかしら。
拾った蜜柑を籠に入れながら、チラリと碧い瞳を探ってみたけれど。
「おやつ、期待してて。それともなんかリクエストでも? 何でもお望みのものをご用意しますよ」
特別にね、と彼はウインクする。
「あら、優しいのね、サンジくん」
「レディーには、いつだって親切ですよ、俺は。とくにナミさんの為だったら……」
「あぁ、はいはい」
黙って聞いていたら、いつまでだって終わりそうもないくらい流暢な言葉。
片手をひらひらと振って遮りながら、私の心は叫んでる。
「好きなモノ」はあいつ。「欲しいモノ」もあいつ。
ああ、でも。
行き詰まった私を変えてくれるのは、この人かもしれない。
鼻歌を歌いながら籠の中を愛しそうに眺める彼に、曖昧な笑顔を返しながら、ぼんやりと考える。
「物憂げなナミさんも素敵だぁー」
ハートの紫煙を2つ、3つと器用に残して、くるくると扉に向かう彼の背中越しに、
小さく覗いた緑色の髪が グラリ、と揺れたように思った。
静かに夜はやってくる。恋人たちの時間の始まり。
逃げ込んだラウンジで、私はひとり、航海日誌をつけていた。
彼女がどこへ行こうと、誰を部屋に招こうと私の知ったことじゃない。
出来ればこのまま、ここで寝てしまいたいくらい。
ここに居れば、何も知らなくて済む。
筆が止まっていることに気づいては、ノロノロと書き進め、また溜息を吐く。

……コトッ。
甘い香りとともに置かれたものは、ココア。
「一息いれたら? ナミさん」
「ありがと。サンジくん」
ペンを置き、包むように両の手でカップを持って、こくんと一口。
暖かいモノが甘く、喉から胸へと流れてゆく。
ああ、そうだ。この人は私が落ち込んでるときに、必ずココアをいれてくれる……。
今更のように気がついた。

「……どうしてわかっちゃうのかな……」
「え?」
ココアを口にするのを見届けた彼は、煙草に火を灯し、そのまま往き過ぎようとしていた。
反射的に彼のシャツに手を伸ばし、握り締める。
バランスを崩しそうになった彼を引き寄せて コツン、と胸に顔を埋めたら涙が滲んで。
「ナミさん? ど、どした…の?」
少しうろたえた声。そんなの答えられるわけない。
俯いたままの私の背におずおずと添えられた手が、トントンと優しく跳ねた。
彼の指が触れた処から、さらさらと崩れてゆきそうになる。どこか懐かしい香りが私を包む。
こんなときにも手放さないでいる煙草が、あたしを傷つけないよう 気にしてるのがわかる。
この人に甘えて縋ってしまえば、楽になれるのだろうか。

「サンジくんって……私のこと、ほんとはどう思ってるの」
顔を伏せたままの唐突な問い。でも、なによりも訊いてみたいこと。
「ナミさんは最高」
「茶化さないで。真面目に訊いてるの」
ぎりり、と煙草の火を揉み消した彼は、ふっと一息ついて真顔になった。
「俺はいつも本気です。誰よりも愛してる。信じてもらえなくても、かまわない。何度でも言うよ」
シャツにしがみついたままのくしゃくしゃの私の髪に、遠慮がちに触られた手。
耳元で囁かれた低い声。
私の内でリフレインする彼の想い。


そして私は、決意した。
立ち上がって彼の首に手をまわし、ほんの少し、触れるだけのキスを仕掛けた。
「ねぇ、抱いて…」
戸惑いを含んだ瞳が、私を覗き込んだ。
「私も本気よ」
「どうしたの、なにかあった?」
小さくかぶりを振る。
「サンジくんじゃないと、きっと駄目なの」
「…………」
「何度も言いたくない」
私の目から視線を逸らさずにいる、問い掛けるような深い蒼い眼差し。
そのまま私を絡めとって。捕らえて、瞳の底まで引きずり込んでよ。
「抱いて。お願い」
彼の耳朶を甘く噛み、もう一度囁く。迷いも未練も断ち切ってほしい。
剣を持たないこの人にそれを望むのは無理なことなのだろうか。
「ナミさん……」
何も言えずにいる彼の瞼に、頬に、標すように口づけてゆく。
一瞬絡んだ瞳が揺れて、
「本当に……」
いいのと続くであろう彼の言葉を、強く唇で塞いだ。
躊躇いはいらない。変化が欲しいの。
彼を求めてねっとりと舌を絡ませる。
腰にまわされた手が熱を帯び、ぐいっと強く引き寄せられた。
片手で私を捕らえたまま、キャミをたくし上げる。
首筋に小さなキスを落としながら、
プチンとブラのホックを外されると、開放された乳房がプルンと零れでた。
包み込むように手のひらが当てられ、やわやわと揉みしだかれる。
指の間で刺激を受け、感じた突起が変化する。
かりっと軽く歯を当てられ、胸から項にむかって、つッ……と舌を這わせて舐め上げられる。
触れてきた指はとてもしなやかで、望んでいた節くれだつものではなくて。
胸を這う動きはとても優しくて、期待した荒さは微塵もなくて。
目を閉じていても、あいつじゃないことを感じとってしまう。

それでも私は彼を望んでいる。

感じたいと願う躰は正直だ。
下着を取り払われ、差し込まれた指に、舌に、蜜壷はひくり、と反応する。
とろり、と流れ出る愛液を音を立てて吸い上げられ、
ちろちろと震わせた舌に、花芯を責め立てられ、
私の両腕は、しがみつくものを求めて、彼へと伸ばされる。
彼の頭を捕らえ、髪を絡ませる。
肩を、腕を、捕らえて引き寄せる。
じわじわと私を責めたてる手を掴み、爪を立て、押し殺した声を刻みつける。
「んっ……っくぅっ…あっ、んはぁ……」
流されてしまいたい。もっともっと、あなたを刻み付けて。私を追い詰めて。
他の事を考えられなくなる位に。
「もっと声、聴かせて…」
「ぃやっん…んんっ!」
イヤよ。聞こえちゃうじゃない。
首を振るも、腰が踊るのを止められない。
「聴きたいんだ」
聴きたいの? 聞かせたいの?
吐息に紛らわせ飲み込んだ声を引きだすように、ぐちぐちと襞をわけて入り込んだ塊は、
膣内を刺激し、抽挿をくりかえし、少しずつ奥へと招かれる。
仰け反り震える胸元に、降り注がれる熱い息遣い。
小刻みに揺れる彼の動きと押し寄せる波に、抑えられなくなってゆく声。
立ち上る汗ばんだ香り。
「あぁっ、あっ、ん…くぅっ」
意味なく溢れてくる嬌声とともに、無駄な想いも流れてしまえばいい。
「サンジくんッ! んんッ、くっッ サン…ジ…っ…んっ!」
彼を銜えこんだ秘所の熱を心に映しこみたくて、幾度も彼の名を叫ぶ。
突き上げられた肉茎が子宮に響き、痺れるような快感と微かな痛みを感じる。
ぷくっと膨れ、敏感に濡れそぼった芽に、彼の指が触れる。
愛液を塗りつけ、強く擦られて、
びくぅっ、と大きく身体が跳ねた。
「ゃあぁっ!」
烈しくなっていく彼の欲棒を逃すまいと絡みつき、締めつける。
「ああぅっ、もっ、だ…あ、あ、ぅあっっ、ひっ イクっ! イっちゃぅっ!!」
彼を取り込んだ躰の芯が震え、お互いの熱がひろがってゆく。
「俺もっ……限っ…界っ…」
「お、ね…がっ…ぜっ、んぶっ、ちょう、だ……いぃぃっっ!ああぁ―――っっ…」
   ――――ゾ ロ っ っ !!――――
しがみつき痙攣する私の奥に放たれたものを 全て受け入れながら、
瞬間浮かんだあいつの横顔が、白い閃光のむこうに散っていった。
「……ナミさん?」
ゆっくりと目を開け、ぼやけていた焦点があう。
私をじっと覗き込むサンジくんがいた。
申しわけなさそうな顔が可笑しくて、思わずクスッと笑ってしまう。
「馬鹿ね、なんて顔してんのよ」
彼の頬に手を伸ばす。さらり、と髪が流れて手を包む。
「……夢じゃないよな」
「え?」
「俺、大事にするよ。ナミさんのこと」
私の髪を撫で、額に口づけた彼は、そっと私を抱き寄せた。
私は彼の胸に凭れ掛かり、耳を寄せてその鼓動を感じながら、
人肌の温もりの心地好さに包まれていた。
彼はなにも訊かない。私もなにも言わない。あいつの影は、まだ残る。
『やっぱ魔女だな。仲間を利用するのかよ。大嘘つきじゃねぇか』  
どこからか声が聴こえた気がした。
あいつを振り向かせる魔法も知らないのに、私を魔女と呼ぶのね。
上等だわ。彼を、あいつを、私自身を騙し続けよう。
いつか真実に変わるまで。今はまだみえない「愛してる」を彼に伝えられるまで。
「サンジくん、好きよ……」
ゆっくりと、自分に呪文をかける。
呟きは闇に溶けてゆき、守られるように抱かれた腕の中で、私はそっと目を閉じた。

   ― End ― 
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