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『怪談から転落』


「おっはよー、ナミさん、今日もお美しい♪貴女のための今朝の卵は?」
「スクランブル」
「承りました、マドモアゼル」
朝一番の時間帯、サンジくんはラウンジの外からの足音で、誰がやってくるのか正確に把握して、声をかける。大概、私よりも先に
ルフィ、ウソップ、チョッパーがテーブルで朝ごはんにありついていて、今日もその通り。…ここまではいつものこと。正しい朝の
風景だわ。思わずため息をつくと、口いっぱいにバターたっぷりの超厚切りトーストを頬張ったルフィが顔を上げた。
「ぷぉーひばまぴ、ばほびもまぴぃぽ」
「いや、何言ってるかわかんねぇから」
「んー…なんか夢見が悪くてね」
「わかんのかよ!」
「わかんないから気持ち悪いのよ」
ウソップが一人置いてけぼり状態で、あっちとこっちにやった指をこんがらせていたのが横目に見えたけど、説明するのも面倒くさい。
…大体、夢の話なんて、本人は面白くても、聞いてるほうは面白くもなんともないじゃない。よほど愉快な夢ならともかく。
「お待ちどうさま……ってどうしたのナミさん。深刻な顔しちゃって、そんなに嫌な夢だったのかい?」
ふわふわ半熟スクランブルエッグにカリカリベーコン、アスパラガスとトマトの、コントラストも目に鮮やかなサラダを添えたプレート、
それからこれは毎朝定番のチーズトーストが目の前に置かれる。熱いコーヒーをサーブしながら、サンジくんは
「カウンセリングしようか?」
なんてへらへら笑ってきた。
「本当に深刻だったら本職に頼むわよ。ねぇチョッパー?」
声をかけると、マグカップから目だけをきょとんと上げて、チョッパーは首をかしげた。
「うん?でも、なるべく具体的に説明してくれないとだめだぞ」
「うっ…やっぱ良いわ」
「そうか?」
具体的に……ね。説明できないこともない。それくらい、しんどい夢だったのよ、いろんな意味で。でも、こいつにそれ聞かせるのは
ちょっと、エゲツないって言うか。かなり際どい夢でもあったし。私はその話は打ち切って、卵を口に運んだ。それとほぼ同時に、
ラウンジのドアが開いて、ロビンが顔を覗かせる。

「島が見えたわ。上陸するんでしょう?航海士さん」
「ん?…思ったより早かったわね。みんな、手の空いた順に着岸準備よ。ロビン、なんか変わったところのある島だった?」
「いいえ、無人島のようだわ」
「なんだ、じゃああまり期待できないわね。キャンプの準備をしたほうが良いかしら」
それを聞いて、三バカは目を輝かせ、慌ただしく食事を済ませると、ラウンジを飛び出していった。ったく、どうしてこう男って、
キャンプとか好きなのかしらね。聞こえは良いかもしれないけど、単に野宿じゃない。ため息をつくと、対面にロビンが腰掛けて、
コーヒーを飲みながら「無人島といっても」と続ける。
「人が住んでいた形跡があったわ。建物の傷み方から見て十年ってところかしら」
「へぇ?」
「略奪か…内乱かしらね。自然現象のせいではなさそうよ」
「ちょっと、なんだか物騒じゃない。白骨死体がゴロゴロなんてやぁよ、私」
「そ?」
……ロビンはまったく平気よね。それどころか、調査する気満々だわ。ああ、でも私だって、地図が残ってなければ測量しないと…。
思わず暗い気分に陥っていると、ようやく一仕事終えたサンジくんが、煙草に火をつけながら自分のマグカップを片手に隣へ腰掛ける。
「測量だったら付き合うよ。夏島みたいだから食糧はあまり期待できないかもしれないけど、果物の類があればラッキーだな。あとは
釣り組にまかせる」
「ん、そうしてもらえると助かるわ」
…そう、気候的には夏島なのよね。だけど、なんだろう。ラウンジにいても分かる、この空気の澱んだ感じ。窓から見える空は雲ひとつ
ない快晴なのにどうしてだろう。…やめやめ。不快な夢の残像を振り切るように、私は大きく息をつく。と、それをまったく気にしない
ような口調で、ロビンが言った。
「そう言えば、この辺りだったかしら、島ひとつ滅びるような惨殺事件があっていう…」
「ぜぇっっっっったいイヤ!そんなコワい事件のあった島なんてイヤよ!上陸しない!」
「ナミさん、そうは言っても記録はとらないとだめだろ?それに地図も」
「イヤよ。サンジくん、古いのでも良いから、この島の地図探してきてよ」
「それで済むなら良いけど…十年も経ってたら、地形だって正確じゃないだろう?」
……そりゃそうよ。それはすっごく、正しいんだけど!でも、さっきのロビンの話と………それに。
「や。ヤなもんは、イヤなの!」
ラウンジの前の柵にしがみついたまま、首を振ってると、頭上でサンジくんのため息。ちらりと横目でみると、
困ったように頬を指先で掻いていた。自分でだってわかってる、こんなのらしくない。……でも。
「…なぁ、それって、今朝見た夢と関係があるのかい?」
「…………」
「ナミさん、せめてどんな夢だったか教えてくれよ」
「……話したところでどうにかなるっていうの」
「気休めの言葉をかけられるよ?」
しれっと言うのが憎たらしいわ。でも。気休めだってわかってても良いから、そんなの心配ないって、笑い飛ばして欲しい。
そうして、目の前の恋人は、それを真剣にやってくれるって、私は知ってる。何の根拠がなくても、真心を込めて気休めを
言えるって、ある種の才能だと思うけど。そう、根拠もなしに、彼は必ず、こう締めくくる。
「俺がついてるから大丈夫だよ」
その一言を欲しいから、ただそれだけで、私は、肩を抱いてくる手の力に甘えるように、不安な夢も打ち明けてしまう。情けない、
と思いつつも。
「…殺される夢かぁ。………しかも俺に」
「だから。サンジくんだってはっきりしてるわけじゃないのよ?ただ、……かも、って思っただけで。それに、普段と夢の
見方が違ってて」
「普段と違う?」
「うん、あのね。私、現実に見てる光景と同じ形で夢を見るの。だから、鏡なんかを見ない限りは、私自身の姿は見えないのね?
あくまで主観で見てるっていう…わかる?」
「うーん、なんとなく」
「それが…昨日見た夢は、映画かなにかを見るみたいに、広い視界の中に、私自身が見えてたのよ」
「ああ、じゃあ俺はナミさんと同じタイプだな。自分は見えない。……んで、その夢の中で、ナミさんは俺らしき男に殺された、と。
で、得物はナイフ?銃?それとも首でも絞めたかな」
「……それ」
なんだか申し訳ないような気がして、私は肩を縮こまらせた。サンジくんは「夢の中とはいえ、なにしてくれてんだ、俺」とぼやき
ながら頭をかく。そうして、測量器具を肩に担ぎなおしながら、困ったような顔で笑った。
「でも、だからって俺が怖いわけじゃないんだろ?」
「…ん」
だって、知ってるもの。サンジくんが私を手にかけるなんて、天と地がひっくり返ったってありえない。自惚れてるかも
しれないけど、ありえない。息継ぎを忘れてしまうくらい、甘いキスをするとしても、本当に私を窒息させるような真似は、しない。
からかうように小さく持ち上げられた唇の端を横目で見ながら、心の芯が窪むのを感じる。ふたりきり、鬱蒼と草木の茂る
山道を歩きながら、私は随分はしたない。突然ふてくされてしまった私の顔を覗きこんで、彼は、やっぱり期待通りの言葉を言った。
「ナミさん、俺がついてるから大丈夫だって。絶対、君を殺したりなんかしないしさ」
同時にこめかみのあたりに唇が触れる。調子に乗ってるわ。彼は、私がなにかを怖がってるときに、つけ込むのが好きみたい。
ちょっとやらしい。でも、…お互い様かも。
「…歩きにくい」
「ごーめんって。でもさ、ナミさん。さっきロビンちゃんから聞いた話では、男が狂って、思い人の村を襲うっていうの
だったろ?」
「そうよ?」
「だったらやっぱり俺は違うよ。とっくに君に狂ってて、この有様だから♪」
言うなり、私の顔を覗きこんで、今度こそ唇にキス。おまけに、「安心した?」なんて笑って。…んもう、絶対調子に乗ってる。
ぎゅっと鼻をつまんでやると、また唇尖らせて、せまってくるんだから、手に負えない。
「んっ…ちょっと、まじめに歩いてよ」
「ナミさんこそ、足ふわついてるんじゃねぇ?」
「…バカ!」
言い返したけど、その通りかもしれない。キスひとつで気持ちがまぎれちゃうなんて、私も大概どうかしてると思うけど…。
「ねぇ、サンジくん」
「ん?」
「あの、今夜………」
「うわっ?!」
私が言いかけたところで、ゴロッ、と足元で音がして、サンジくんは体勢を崩した。驚いて下を見てみると、彼の足元に、白い……
「骨っ……!」
「ナ、ナミさん、獣の骨だよ。気にしない気にしない。で、なんだって?」
「嘘よ!人の頭蓋骨だったわよ!」
「見ない見ない。ナミさん、で、なんだって?」
「頭蓋骨!」
いやぁ!信じられない。やっぱり白骨死体ゴロゴロの島なんじゃないの?!サンジくんが何か言いながら腕をつかんでくるけど、それどこ
ろじゃない。ゴロンと転がった頭蓋骨の、目があった箇所の二つの空洞が……
「こっち見たーーー!!」
「ナミさん、落ち着いて!走れるか?」
「や、やだ、腰、腰が」
「抜けたか!あー…揺れるけど我慢してくれ!」
「きゃ…!」
ぐっと抱え上げられて、足元が浮いた。横抱きにされて、私はサンジくんの首にしがみつく。途端に、ダッシュで山道を駆け上がり始めた
のがわかった。情けないわ、でも、怖いものは怖いのよ!彼の胸に抱えられて、私は本気で泣きそうになってた。あんな夢を見てしまった
ことも、この現状も、納得できない。悔しいったら、もう!
「……降ってきたな」
耳元で彼の舌打ちが聞こえて、次に腕や首筋に雨粒が落ちてきた。嘘、さっきまでいい天気だったのに。
それにしても、随分な距離を走っているような気がするけれど、サンジくんは足を止めない。私は怖くて周りを見回せなかった。
「ね、ねぇ?」
「ん?」
「そんなに、そんななの?」
「何が?」
「そんなに、ほ、骨とか、ゴロゴロなの?って」
「…………いいや?」
「じゃあなんで走ってるのよ!」
「あだっ!」
頭を叩くと、やっと止まった。睨み付けると、ちっとも気にせずに「立てる?」と一言聞いて、頷くとふわりと下ろされる。…うう、
なんか言わないと叩いたの、悪いみたい。だけど。
「…雨が強くなってきた」
私が口を開くより前に、サンジくんが呟くのに、私は言葉を飲み込んでしまった。彼の言葉どおりに、雨は次第に強くなって、木々の隙間
を押し分け、頭上から叩きつけるような勢いになる。遠くから雷の音が聞こえて、同時に頭からジャケットを被せられた。
「サンジく…」
「走ろう、ナミさん。どこか避難できる場所を探さないと」
山の落雷は海よりむしろ厄介だ。私たちは山道から外れて、斜めに下りながら隠れる場所を探して走った……。

逃げ込んだ小屋は今にも崩れそうな木造で、雨風がしのげるだけマシ、っつう代物だった。すでに日は落ちかけていて、ナミさんは全身
ずぶぬれで、ガタガタと体を震わせている。何はなくともここは火だろう。ラッキーなことに囲炉裏があった。床板をはがして薪の代わり
にする。少し湿ってはいたが、根気良く炙っていると、やがてパチパチと音を立てて炎が上がった。
「ナミさん、濡れたもの脱いだほうが良いよ。風邪ひくぜ」
俺もシャツを脱ぎながら声をかけると、頷いてTシャツに手をかける。…と、俺の視線に気がついて、眉をしかめた。
「…見ないでよ。こんなところでサカる気?」
「あー……場合によっては?」
「バカ!」
脱いだTシャツをびしゃっと投げつけてきて、俺も「冗談だよォ」なんて答えたが。その、なんだ。個人的にはこう、盛り上がっちまってる
感じなんだよな。大雨に遭遇して、山小屋に逃げ込んで、びしょぬれで二人きり…なんてよ。完璧、夏のドキドキ・シチュエーションだろ。
盛り上がらないほうがどうかしてる、っつうか、ここはビシッと頼りがいのある男っぷりを披露して、なおかつアモーレな展開に持ち込みた
いじゃねぇの。そうだな、まずは囲炉裏端で「寒いだろ、こっちにおいでよ」なんていう……
「サンジくん」
「はい?」
「鼻の下伸びてる。脳みそダダ洩れよ」
う、いかん、バレバレか。…って。見ればナミさんはとっくに囲炉裏端に座っていて、おまけにどこから見つけてきたのか、古い毛布を肩
から被っている。
「ナミさん、毛布なんてどこにあったのさ?」
「そこの納戸に入ってたのよ。キレイなもんじゃないだろうけど、裸でいるよりマシでしょ」
むっ。つうことはあの下は既に…と辺りを見回すと、これまたどこから見つけてきたのか、窓の格子に渡したロープに、脱いだ服が干して
ある。…仕事早すぎるよ、ナミさん。俺やることない……
「………っきし!」
「いやだ、風邪じゃないでしょうね」
「うーん?時間の問題かもな。…ねぇ、ナミさん」
「な、なによ」
「入らせて」
「なっ!!」
「え?」
…俺、変なこと言ったか?毛布の胸元かき寄せたまま、顔赤くしてるナミさんの顔をややしばらく見て。……。
「あぁ、なるほど。いや違う、今のは毛布にってことで、ナミさんの中はまたあとで」
「エッチ!」
たちまち顔面に薪が飛んできた。ったく、さっきまで散々怖いとか言ってたのになぁ。すっかりいつもの調子だ。四つんばいのまま近寄っ
て、顔覗きこむと、うぅう、と小さく威嚇する。ナミさん、そんな可愛い顔じゃ効果ないよん。俺はぱちんと両手を合わせた。
「お願いナミさん、寒くて死にそーです。毛布に入れてください。ほらほら、鳥肌立ってるし」
「…誰も入れないなんて言ってないでしょ」
ふわ、と毛布に隙間が開いて、やらかそうな体がチラリと覗く。そこへするっと滑り込んで、抱きしめると、髪から肌から、雨の匂いが
した。思わず強く鼻を押し当てて、吸い込んでしまう。甘くて、少し埃っぽいような、冷たさと温もりが同居した匂いが鼻腔に満ちる。
背中の柔らかさが手のひらに心地良い。さすりながら抱いていると、ナミさんは抗議の声を上げた。
「ちょ、ちょっと、パンツ脱いでよ。濡れてるじゃない」
「え。……えぇー?」
「なによ。都合悪いの」
「…………すごく」
「ちょっとぉ!時と場合を考えてよ!」
「…自重します」
言いながらさっさとパンツを脱いだが……あまり自信はない。ぎゅっと胸を合わせて抱きなおすと、間でつぶれたナミさんのおっぱいの
感触にたちまち理性がトびそうになるし。…いかんいかん、まずは彼女を安心させねば。怖いのを隠して攻撃的な態度になってるけど、
こういう時のナミさんは、実は一番助けを必要としてるんだ。股間で頑張っている相棒にゃ悪いが、少々我慢していただこう。……ねぇ、
でもさ。でもだよ。
「あのさ、キスくらいはしようよ」
濡れた髪を指でもてあそびながら、額をくっつけると、ナミさんは上目遣いで睨んでくる。なんでそんなことわざわざ言うの?とでも言い
たげな表情。そりゃまぁ、普段なら不意打ちやら、たっぷりムード作ってやら、まぁ概ね俺から…だけどよ。わざわざ聞くんだから察して
欲しいな。
「たまには、ナミさんからして欲しいなって。ダメ?」
言った途端に、ぱっと頬が赤くなる。こういう呼吸、実は気に入ってんだ。馴れ合いなんてないし、毎回新鮮な気分になるね。その度に
「好きだ」って思う、この感覚。できれば今すぐにでもキスしたい、だけど俺は堪えるんだ。だって、彼女からしてくれるキスは、とても……
「んっ……」
触れ合わせるだけの、恥ずかしげなキス。やらかい唇が、ふわふわ彷徨う感触を愉しみながら、俺は背中に沿わせた手に、そっと力を込める。
あくまで主導権はナミさんに。
「ふ……」
やがておずおずと流れ込んでくる舌の感触は、上等のハチミツがかかったように甘くとろりとしていて、その頼りなさとは裏腹に、脳の芯に
ビリビリくるほど官能的だ。思わず舌を差し出してエスコートすると、ちゅ、と先っぽを吸ってくる。蕩けたような視線が絡まって、
細い腕が首の後ろに回された。左右に角度を変えながら口づけを深くしていけば、二人の間で雨とは別の湿度が生まれ、やがて雫に変わる。
お互いの唾液を溶け合わせるように、吸ってつついて、くすぐって…。
「……なぁ、ナミさん。このまま朝までキスしてる?」
唇が離れた隙に訊ねると、上気した頬に一筋、髪が張り付いていた。指先でそれを耳の後ろへどけながら、ん?と首を傾げると、困った
ような顔。そりゃあそうだろう、俺は「そうして
欲しい」と言われたら、その通りにする男だからさ。けど。
「セックスするかい?気分転換に」
「気分転換って……バカ言わないでよ」
「俺は本気だよ。それともやっぱりイヤ?…今朝、見た夢の中で」
じっと目を見つめて聞く。だってさっき、曖昧にぼやかしたのは…
「…セックスの最中に、俺に首を絞められたから」
「!…どうして……」
目を見開いて、見上げてくるナミさんの頬を撫でて、俺は笑って見せた。
「ロビンちゃんが言ってたろ、彼女が読んだ記事では、犯人の男は島中の人間を殺し、最後に思い人の家に火を放って、そこで彼女を犯し
ながら死んだ」
「う、うん」
「だけど、どうしてそんな話が伝わっていると思う?本当に島中の人間が殺されたんなら、内情まではわからないはずだ。逃げ延びたヤツ
がいるんだよ。それで記事になった。ナミさんは、以前にそれを本か新聞か、噂話か、あるいは……」
言葉を切って、顔を覗きこむと、ナミさんは小さく呻いた。そして。
「…ロビンに聞いたのよ。少し前に」
小さく告白すると、いやいやをしながら両手で顔を覆った。
「だって!ロビンったら、『そういえばこんな話聞いたことある?』なんて、淡々と話すんだもの!余計怖いのよ!もー、夜中にふっと
思い出したりして…!」
おっと、逆ギレされても。胸を叩いてくるナミさんをぎゅっと抱きしめて、耳に唇をよせる。
「えーっと、それとだけど。ナミさんさ」
「な、何よ」
「もうひとつ誤魔化したろう」
「……何を」
「普段どおり、自分視点で夢を見たんだろ?つまり、君の首を絞めながら、君を犯す俺を、夢で目の前に見たんだ」
「違…」
「そのせいで、ナミさんの心は罪悪感でいっぱいに」
「やめてよ、もう!」
あ。…いじめすぎた?
コツンと額あわせて見つめると、泣きそうな表情で睨んでくる。さすがに可哀想だったかな。背中をよしよしすると、くすんと鼻をならして
、肩にもたれてきた。
「だって、だって……あんなの、違うもの…」
「あんな、って?」
「もう悔いはないみたいな、全部諦めたみたいな顔で…私を…」
「…俺、そんな酷い顔してたんだ?」
「……ブッサイクだった!」
吐き捨てるみたいに言うくせに、肩先で、ぐすぐす涙声。俺はたちまち彼女が愛しくなっちまって、思わず抱く手に力をこめた。むっちり
とした体が密着してきて、たまらない気分になる。と同時に、思い人を犯しながら殺しちまったクソ野郎を哀れに思う。愛しいレディを
抱きながら、死ぬことしか考えなかったなんてよ。寂しい話だ。
俺は絶対、そうはならない。お互いの体がある限り、抱きしめてキスをして、溶けて交じり合って、だけど「ふたりだ」って何度も確認
したい。そしてまた抱き合いたい。そのほうがよっぽど良いって知ってるからさ。
「ナミさん」
「…?」
「しようよ。俺、欲情してる」
「…私の話、聞いてた?」
「聞いてたから、したい。確かめてくれよ。現実の俺のほうがずっと好いぜ?」
指先でオレンジの髪をかきあげるようにして、手のひらを頬へ這わせると、涙ぐんだままの睫毛が、ぱちぱちと瞬く。そうして、ふ、と
肩で息をつくと、俺を睨みつけた。
「自信過剰」
「過剰かどうかも、確かめて♪」
ぱたりと後ろへひっくり返ると、毛布の合わせ目がはだけて、俺の上で四つんばいになったナミさんの裸が露になった。ぱちりと視線が
合うと頬が赤く染まって、慌てたように俺の胸に体を伏せる。首の後ろをぎゅっと抱き寄せると、肩先にかぷっ、と噛み付いてきて。
ヒップからするりと撫で下ろし、指先で探ったソコは…。
「あっ…、ダメっ…」
「…トロけてる」
「知らない…ん、ぁっ…」
俺の肩に伏せたまま、くちくちイジられてるナミさんは、だんだん熱くなってきて、きゅう、と小さく鼻声を上げる。
腰の上で足を大きく
開いて膝をついて、胸をぎゅっとつぶした姿勢になった。腰はどんどん浮いてきて、糸を引いて溢れるジュースは指の股を
伝って手首まで滴り、ふっくらと花びらが量感を増して…。
「ぅン、………んっ…!」
「もっと上に来て…」
「…ん…」
太腿の下から胸のほうへ両手で抱き寄せると、ナミさんは膝をにじらせた。たぷん、とボリュームたっぷりのおっぱいの先が、
俺の顎に柔らかく掠る。それだけで感じてしまったのか、薄く唇を開いて、ぴくりと肩を竦めると、ナミさんは濡れた視線を
落としてきた。それを見上げながら、ちゅっ、とベビーピンクの乳首にキスをして、トロトロのスリットに再び指を這わせた。
ちろちろ、舌と指先をシンクロさせると、悩ましげな甘い甘い泣き声。
「…可愛い、ナミさん…」
「バカ…ぁ、んっ……んーっ…」
はふぅ、と俺のつむじの辺りでため息ついて、ぴくぴく肩を震わせながら、ナミさんはもっと、とねだるように胸を押し付けてくる。
…これじゃ俺が窒息しそうだ。ぽっちり立ち上がった小さな突起を、やわらかく食みながら舌先で転がすと、指を這わせた内腿がきゅっ、
と緊張する。ぽおっと薔薇色に染まった頬に口付けると、囁くような声で俺の名前を呼んだ。
「どうした?」
「…ん、ん…な、んか、すご…く」
「すごく?」
「…ぁっ……切な、い…みた、い……」
そう言った途端に、引き絞られた目尻から、するりと透明の涙が零れる。…切ない、か。それを聞いて、親指で彼女のスイッチを押し
つぶすと、ひぁん!と可愛い悲鳴を上げた。きゅきゅ、と抉るように擦ると、入り口が熱いとろみを溢れさせながらヒクついているのが
わかる。招かれるままにその中心へ指を進めていくと、くぷん、と音を立てて飲み込んでしまった。内側はもうぐちゅぐちゅで、やがて
押し入ってくるだろう俺を待っている……
「ナミさん、…ねぇ、俺、もう入りたい」
「っは、ぁ……っん…待、って…私………自分で…」
「…えっ」
俺の肩先で、ふ、と息をつくと、ナミさんは体を起こした。霧を吹いたようにしっとりと濡れて、ふわりと桜色に上気した裸体が俺の上
で露になる。そうして彼女は、すんなりと伸びた首を僅かに仰け反らせながら、細い指先でそろりとスリットを開いた。ジェリーピンク
の濡れた花弁が、蜜を滴らせながら寛げられてゆく。俺がその光景に感動している間に、腰はゆったりと下ろされ、花びらはたちまちに
相棒を飲み込んで……
「あ……、…あぁ…」
「んっ…」
彼女の内側へ、俺はすんなりと迎え入れられ、やがて奥深くまでたどり着いた。相棒に絡みつく肉襞がひくひくと妖しく蠢いて、ちゅく、
ちゅっとぬめった水音を立てながら、熱いジュースを溢れさせる。
「…驚いた」
「……?」
「大胆だな、と思って」
「バ、カ…」
非難しながらも、俺の全てを飲み込んだ唇、その合わせ目のラズベリー色の可愛らしい粒を、ナミさんは自分の人差し指と薬指で挟んで、
剥き出しにして見せた。小さく顔を覗かせたその、一番敏感な箇所を、震える中指が撫でる。と、同時に蜜壷が相棒を、きゅぃ、と締め
上げて快感を伝えた。さらに、密着した腰を僅かに揺すりながら、小さな声で「イイ?」と聞く。
「すげぇイイ…ナミさん、どうしたの」
「うんっ……だって、サンジくんが…気持ち、好い、ほうが、いィっ…」
「…うわっ?」
言いながら突然、ぐん!と押し付けてくるから驚いた。ぢゅっ、ぢゅっ、と音を立てながら、上下してくる腰の動きに合わせて、俺も
相棒を突き上げる。気持ち好くしたいのはこっちも一緒さ。されっぱなしは性じゃないんでね。
「ナミさんも好くなって」
「んっ…あっ、ヤぁ…だ」
体を起こして、浅く抜き差ししながらお互いの足が交差する姿勢に変えていくと、ナミさんは自然と後ろ手をつく格好になり、つながった
箇所から顔までが眺められるようになった。交合の深さに身を捩ると、ますます艶かしい声を上げて。
「ぁん、やっ…恥ず、かし…ィ」
「…見える?」
「んっ、んっ…ぅ、ん…スゴ、い…ィ、ッ…ちゃっ……ア!ァッ!」
呼吸をスタッカートさせながら、ナミさんは最初の頂点を堪えている。俺はそれをわざと促すように、三度、強く揺すり上げた。膣壁を
複雑に擦りながら突くと、きゅきゅっ、と膣口が窄まり、短い痙攣の後、弛緩する。上体を支えていた肘ががくりと折れて、ナミさんは
後ろへ崩れた。背中へ腕を回してそれを支えると、恨めしそうな上目遣い。荒い息遣いで、抗議の声を上げた。
「…もォ…なんでェ…?」
「ん?確認できない?」
「…な、にを?」
「現実の俺のほうが、確実にナミさんを天国へトばせられるってさ♪」
へらっ、と笑って見せると、彼女は一瞬あっけに取られて俺を見上げていた。…と。
「……それはお互い様、でしょ」
言い様に、きゅいっ!と締め付けてくる。うわはは、それはおっしゃる通り。返事代わりに、甘いキス。首の後ろへ両手が回った頃合に
ゆっくり押し倒すと、俺はナミさんの右足を肩へ担ぎ上げ、腰を進めた。ぬじゅぅ、と奥まで進入させれば、途端に響くイヤらしい音。
ナミさんは高い声で鳴きながら、くなくなと腰を揺らす。
「アッ、ぁ、…深ァ…ぃ!」
「ん…すげ、ナミさん…吸い付いてくる…」
「や、言っちゃ…ん、ん、んっ」
雨のほかには、お互いの声と呼吸と、混ざり合うその音しか聞こえない。浅く深く緩急つけて揺すぶれば、焼けるほど熱い蜜壷はますます
ジュースを滴らせて、俺を奥へと誘い込む。入り口が、きゅぅんと窄まって、キついくらいだ。たぷんたぷんと大きなおっぱいを揺らし
ながら、ナミさんは濡れた唇を喘がせて、俺の名前を切れ切れに呼んで…
「んぅ、あ、ねっ、ねェ、一緒にっ……」
「オッケ、…一緒に」
きゅ、と片手を握り合うと、ナミさんは苦しそうな息の下で本当に嬉しそうに目を細める。ああ、クソ可愛い。たまんねぇ。担いでいた
右足を、折りたたむようにして体を密着させると、俺は突き上げる速度を上げた。途端に、ぬろぬろの内側が奥から、きゅわぁっと締め
付けてきて、ザラついた天井に先っちょがあたって…
「あ、はぁっ…好きっ、サンジく…すご、ぃ……あ!あっ」
「っ……ナミ、さん……ぃこ…」
「んっ!ぅん、あ………イ……く…ん、ん――――!!!」
最後に奥底まで、めェイッパイ突き下ろすと、ガクガクと震えるナミさんの内側へ、俺は全てを注ぎ込んだ……。

翌日。
船をつけた岸に戻ると、「職場放棄バカップルが帰ってきたぞー」と、キャンプを張っていた面々に睨まれた。
「いや、悪ィ。昨日、メシはどうした?」
「適当に済ませたわ、安心して」とロビンちゃん。
「それよりどうしたんだよ。ナミと一緒にいて迷ったなんて、さてはわざとか?」とウソップ。
「違う!雷雨に遭って避難してたんだ」
「そうよ。みんなは大丈夫だったの?」
俺とナミさんが聞くと、全員妙な顔をする。……なんだってんだ、一体?
「何言ってんだお前ら。カミナリなんか鳴ってないぞ?」
ルフィがきょとんとした顔で言う。その傍でこくこくとチョッパーが頷いた。
「この島についてからずーっといい天気だっただろ。俺たちいろいろ探検したんだぞ?」
「もう少しマシな言い訳考えろ」とはマリモヘッド。
「いや、すげぇゴロピカ鳴っただろう。雨も土砂降りで、俺たち…なぁ?ナミさん」
「そ、そうよ」
いくら言っても、全員首を傾げるばかりだ。……そんなにでかい島でもないのに、局地的雷雨ってあるか?じゃあ、あれはなんだ?全員
で俺たち二人、担ぐにしたって、ルフィやチョッパーがマジ顔っぽいのは…。
俺とナミさんが顔を見合わせたところで、ロビンちゃんがポツリと言った。
「そういえば、例の事件が起こったのは雷雨の夜だったらしいわ…」

End.
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