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『ワンピースで昔話  〜桃太郎〜』

<前編>

そのむかし、サンジという男がおりました。
右の眉毛がくるんと巻いている以外は、上背もそこそこで、それなりに器量のいい若者です。
サンジは幼いころに『飯処 ばらてぃゑ』のゼフに引き取られてからというもの、
「チビナス言うな!! とっととくたばれクソジジィ!」
「なんだと、チビナスが生意気言ってんじゃねぇ!! 文句があるなら俺の舌ァ満足させてからにしろ!」
などと口汚い罵り合いを繰り返しながらも、しっかり店を手伝い、今では料理人ゼフの片腕にまでに成長していました。
しかし、そんなサンジにも欠点があったのです。
実は町内の者はサンジのことをこっそりこう呼んでいました。
「サンジ? ああ、年がら年中女の尻ばっかり追い回してる飯屋の倅、脳内桃色エロ太郎のことか」
「まあみんな略して桃色太郎って呼んでるけどな」
そう、女に目がないサンジは、なんと桃色太郎と呼ばれていたのです。
結構ヒドイあだ名のような気がしますが、似合いすぎているので良しとしましょう。
さて、店の客だろうがなんだろうが、美しい娘とみれば誰彼構わず声をかける、そんな桃色太郎に手を焼いていたのは他の誰でもなく、育ての親であるゼフでした。
「あぁ、なんて眩しいんだ。君の瞳からこぼれる光にクラクラしてしまいそうだよ」
と、注文の途中で客を口説いている桃色太郎を横目で見ては、
「くらくらすんのはてめぇの頭ン中に花が咲いてるからだろうが……」
と、店の奥で小さく溜息をつくゼフの姿。背中に哀愁が漂います。
「このままここにいたんじゃあチビナスのためにならねぇ。しかし、追い出したところであの性格が直るとも思えねぇが……」
そこへはらりと飛び込んできた一枚の瓦版。いいタイミングですね。
「なんだこりゃあ」
拾い上げてみるとそこには『鬼が島へ行こう!!』という朱書きのキャッチコピーと連絡先、それに鬼が島へ行くと受けられるいくつかの特典が書かれてありました。
「鬼ヶ島だと? フン、ばかばかしい」

……
………
…………あれ? 音がしませんね。
お、どうやらじっくり読んでるようです。いい傾向ですよ。
「これ全部もらえるのか。ふん……特典その2、産地直送新鮮野菜…なるほど……」
こんなときでも料理人としての魂を忘れてはいません。流石ですね。
しかし。
「なになに、特典その5、鬼が島に1名様無料でご招待…? 但し2名以上で参加の場合に限る…………なんだこりゃ」
ゼフは溜息一つついて、なんと瓦版をくしゃっと丸めてぽい!
ちょっとちょっと! それは捨てちゃいけませんてばっ!
桃色太郎に鬼が島へ行ってもらわないとこっちが困るんですから!
「ん? 誰か何か言ったか?」
はっ!……いえいえ、なんでもありませんよ。こちらの話です。
「ふん。まあいいだろう……鬼退治か、あんなバカでも俺の技仕込んである分、少しは役に立つかもしれねぇな……
 ――おいパティ! 外行ってチビナス呼んで来い!」
2時間後――
ぶすっとした表情の桃色太郎は、ゼフがいつのまにか用意していた鎧に身を包んでいました。
「……だいたいなんで俺がそんなクソめんどくせぇことやらなきゃなんねぇんだ……」
ぶつぶつと文句を言いながらも、具足の紐を次々に締めてしっかり着こんでいきます。
さすがゼフです。小さいときからの躾がいかに大切かということを物語っていますね。
鎧の上から陣羽織を着て、脇に刀を差します。
「よし、こんなもんか」
おお、こうして見るとなかなかに立派な姿。馬子にも衣装とはまさにこのことではないでしょうか。
「これならさっきのあの子のハートもぐっと掴めるんじゃねぇか」
鼻歌まじりに鉢巻を締めながらサンジは呟きます。
かっこいい俺サンジ!と親指を立てて今にもポーズを取らんとしているところにゼフが声をかけました。
「おいチビナス、餞別代りだ。これ持ってけ」
振り返った桃色太郎は、ゼフの差し出した巾着入りのきびだんごと、小さなのぼりを受け取りました。
「クソジジィ……」
俯いた桃色太郎の肩が心なしか震えています。
そう。血の繋がりはなくとも、親子の絆は断ち切れないので――
――ん? 様子がおかしいですよ。
桃色太郎は顔を上げると、腕組みして見下ろすように立っているゼフをきっと睨みつけて言いました。
「なんだよこれぁッ!! どうせならせめてもっとマシなこと書いて寄越しやがれ!!!」
なんと桃色太郎はのぼりをゼフに突き返してしまいました。
せっかくここまで用意してくれたゼフの好意を無下にするつもりでしょうか。この親不孝者っ!
……おや? よく見ると、そののぼりにはこれでもかというほど大きな字で何か書かれていますね。
えーと……?

『飯処 ばらてぃゑ』

なんと桃色太郎にとってまったく見慣れた店の名前ではないですか。
そう。ゼフは大きく店名を書いたのぼりを桃色太郎に手渡していたのでした。
抜け目がありません。ゼフの宣伝テクニックには脱帽です。
しかもぶちキレた桃色太郎にまったく動じることなくゼフは言い放ちました。
「……フン、てめぇの格好、よく見てみろ」
「あぁ……?」
素直に自分の姿を桶に溜まった水に映します。その直後、
「なんじゃこりゃあっ!!」
まるで某刑事ドラマの名シーンを思い出させる叫び声が上がりました。
「てンめぇ…鉢巻に何書いてやがる!」
三白眼を吊り上げてゼフに詰め寄るサンジのおでこで燦然と輝くのは、やはり『飯処 ばらてぃゑ』の文字。
「何考えてやがんだテメェは!」
「鉢巻だけじゃねぇぞ。羽織もよく見たらどうだ?」
悠然と言うゼフにあわてて陣羽織を確認すると……背中の部分にばっちりと『飯処 ばらてぃゑ』と書いてありました。
これはすごい。流石という以外に言葉がありません。
まさに至れり尽くせり。踏んだり蹴ったり。
桃色太郎はふるふると込み上げる怒りを抑えきれない様子です。

しかしゼフは更に続けます。
「店の宣伝する“ついで”に鬼退治してこい。もう申し込みも済んでる……特典の最高級食材もいただいたしな」
「は? 特典? 食材?……そういやさっきなんか食ってやがったな。だんごよりそっち寄越しやがれ」
「……てめぇにやるようなモンはねぇ」
「なんだと? 俺が鬼退治行くんだったら俺がもらうのが筋ってもんだろうが」
確かに桃色太郎の言うことは正論です。
たぷんと腹を揺らしながら、仕方ない、という表情でゼフが前掛けから何かを取り出します。
途端に、ぷぅんと甘い匂いがそこら中に広がりました。
「なんだよ、うまそうな桃じゃねぇか!」 
手を伸ばした桃色太郎より早く、じゅわっという音をたてて汁気たっぷりの桃にかぶりついたゼフ。
「ぅおいっ!!」
「もぐ…むぐぐぐっが(もう全部食った)」
怒りを通り越して、もう呆然とする隙だらけの桃色太郎を、ゼフは荷物と共にどっかと蹴り飛ばしました。
「おわっ! 痛ってェ……」
不意を衝かれて受身もままならず、後頭部を押さえる桃色太郎。いろんな意味で涙目です。
しかしそれを尻目に、ゼフはまだ口をもぐもぐさせながら一番大切なのぼりを荷物の上にそっと置きます。
そしてよさ毛についた桃の汁を拭いつつ言いました。
「誤解のないように言っておくが……この日本一の桃に惹かれたからおまえを出すってわけじゃねぇぞ」
「!! ジジィ……ついに俺のこと認めて――」
なんと、今までにどんなことがあっても、桃色太郎をチビナス扱いし続けたゼフの口から驚くべき言葉が飛び出しました。
まさに感動の一瞬!
――かと思いきや。

「あくまでも店の宣伝のためだ」
「そっちかよっ!!」
「チビナス……風邪引くなよ……」
ふっ、決まったな……と言わんばかりのゼフには、桃色太郎の三村風ツッコミも耳に入っていない様子。
ぽかんとした表情の桃色太郎をそのままに、とっとと店に戻ってしまいました。

「はっ!! おいっ! てめぇ、こらッ! 待ちやがれー!!!」
ああ、哀れ桃色太郎の咆哮が、路地に響き渡るも後の祭り。
「あんのクソジジィ……鬼の次はてめぇの番だからな! 覚えてろよ!!」
「うるせぇぞ、チビナス!! とっとと行かねぇか!!」
格子窓から顔を見せたゼフに怒鳴られ、桃色太郎はあわてて走り出しました。
その手にきびだんごとばらてぃゑ印ののぼりをしっかり握って――。

……と、まあこういったわけで、サンジこと桃色太郎はなんとか鬼ヶ島へと向かうことになったのでした。

さて、桃色太郎の住む町から鬼が島へは、7つの山を越えて、7つの川を渡らねばなりません。
しかし、そこは持ち前の運の良さと力とテクニックで難なく乗り越え、残すは最後の大河のみ。
ここを下り、荒波うねる大海へ出て、しばらくすれば島が見えてくるはずです。
しかも鬼が島を目前に、桃色太郎のまわりには、旅の途中で知り合った心強い仲間が集まっていました。
それでは簡単に紹介しておきましょう。


「――おいこらルフィ! それにエース! てめぇらだんごいくつ食った!!」
「む?」
「ぼべべんぶ」
ぱさぱさと巾着袋を逆さに振りながら、二人の兄弟が頬袋を膨らました状態で一緒に振り向きました。
麦わらで編まれた帽子をかぶったサル面の弟が、ルフィことゴム太郎。
そして異国の帽子テンガロンハットをかぶったそばかす面が兄で、エースこと炎太郎です。
その名の通り兄が炎を操り、弟は体をゴムのように伸び縮みさせることができるという、特殊能力を持った最強の兄弟なのです。
そして実力もさることながら、驚くべきはその食欲。こればかりは彼らに並ぶものはありません。
しかしそんな兄弟にも怯むことなく食って掛かる桃色太郎。
凄まじい蹴り技と共に、ゼフから受け継いだ料理人としての魂が、盗み食いを許せないのです。
その背中で風にはためいているばらてぃゑ印ののぼりが、今日は妙に眩しく見えます。
「ほう、これ全部か……ってふざけんなっ! この大食い兄弟が!! 何回言やぁわかるんだ! これは今日一日分の食料だっつったろうがっ!」

すると髪を逆立てて怒る桃色太郎の斜め後ろで、ごそりと動く緑の影。
「ふわぁぁぁ……なんなんだよ。さっきからケンケンケンケンうるせぇ眉毛だな。寝らんねぇだろ」
「つーか寝てんじゃねぇよ、クソマリモ! 光合成は鬼退治が済んでからにしろ! てめぇにゃ緊張感の欠片もねぇのかよ!」
桃色太郎にヒステリックに怒鳴られても、大きな欠伸をしながら、全く興味なさげにぽりぽりと頭を掻く緑髪の剣士ゾロ。
3本の刀がトレードマークの通称毬藻太郎です。
「まあまあ、サンジもそう怒んなって。まだ島も見えてもねぇんだからよ、少しくらい昼寝したっていいじゃねぇか」
そして毬藻太郎を庇うように、動きにくそうな南蛮渡来の鎧を着た長鼻の少年、ウソップが口を出します。
嘘を吐かせたら右に出るものはいないという、かっこいいのか悪いのかよくわからないのがこの鼻太郎です。

「ほほう……そんならウソップが、これから鬼ヶ島に着くまでに起こり得るであろう食料危機を救ってくれるってわけか」
煙草に火を点けながら、怒りのオーラをゆらりと纏った桃色太郎が、わけの分からない理論で鼻太郎に詰め寄ります。
「へっ?! ままま、待てよサンジ! お前の蹴りをくらったらさすがの俺様でも……だぁーっ、待て待て待て!!!
 落ち着けって! なっ?! 大きく息を吸って深呼吸だ! ほらっ、さんはいっ! すー…はー…」
食料より前に自分の危機を悟った鼻太郎が、深呼吸を促してるあいだにも、桃色太郎の脚は垂直にあがっていきます。
「おとなしく海の藻屑となれ」
「うぎゃー!! やめてくれー!!」

食べ物が係わったときの桃色太郎は鬼以上に鬼です。前髪に隠された左目までもが、赤い光を放って見えます。
怒りにわれを忘れている。鎮めなきゃ……しかし蟲笛を使っても、こればっかりはどうにもなりそうにありません。
というか、一番悪いのは桃色太郎のすぐ右側で今もまだ食べものを漁っているD兄弟なんですけどね。
しかしもうだめです。とばっちりをくらった鼻太郎とはここで今生の別れ――

「まあ待て。島はすぐそこだ」
鼻太郎の絶叫を掻き消し、一段と低く渋い声がざわついていた舟の上に響きました。
声のした方を見れば、葉巻を数本咥えた男が二人のお供を従えて、こちらを睨みつけるようにして座っています。

「スモーカー……本当だろうな、それ」
煙を意のままに操るスモーカー、通り名は煙太郎。その脇に控えるふたりはサルボディとキジャンゴです。
なんだか重みのある煙太郎の言葉を信じたようで、桃色太郎はゆっくりと脚を下ろしていきます。
まさに危機一髪。
鼻太郎はその隙に、足技の攻撃範囲外へしゃかしゃか這い出しました。危なかったですねー。
「そこの鼻じゃあるまいし、そんな嘘吐いて何になる……おら、その向こうに見えてきただろうが」
煙を吐きながら顎で小さくしゃくった先には、怪しげな形をした島らしき影が、霧の中にうっすら浮かんでいます。

今までおろおろしてるだけだったチョッパーこと鹿太郎も興奮して――
「鹿じゃねぇっ、トナカイだ!!」
んん?……ああ、失礼失礼。
もとい、トナカイだけど鹿太郎が興奮してしゃべります。
「見えてきたぞっ! すごいなぁ、大きいなぁ。ゾロも見た方がいいぞ!」
「ん? お、もう朝か」
「「「もうずっと朝だ!」」」
毬藻太郎の豪快な一言にさっきまでの緊張感はどこへやら。
どこからともなく漂ってくる、何かが美味そうに焼けた匂いが、更に雰囲気をほのぼのさせます。
……ん? 美味そうな匂い?
「なんの匂いだ、これ?」
桃色太郎の声を合図に、みんなが一斉に見た先には――

「エース、これも焼いてくれよ」
「ああ、いいぞ。おっ、これもう食えるんじゃねぇか」

こちらに刺青の入った背中と赤い羽織を向けてしゃがみ込んでるD兄弟の姿。
さきほど叱られたにもかかわらず、桃色太郎が大事に持ってきた食料をを片っ端から食べていたのです。
しかも炎太郎の手の平では、ちょっと焦げ目の付いた餅がぷっくりとふくらんでいます。
おお、さすがは火拳の通り名を持つだけあります。サバイバルには欠かせない存在ですね。
しかし今の桃色太郎にはそんなこと関係ないようです。
ふるふると怒りに肩を震わせてじっと二人を見据えています。
「おっ? どうしたんだサンジ、そんな顔して」
「これ一個やるから元気出せ。なっ」

あああ、なんということでしょう。わたわたしてる鼻太郎と鹿太郎に目もくれず、D兄弟、自分からスイッチを押してしまいましたよ。
ぶちん!という音とともに、桃色太郎の攻撃力が爆発的に高まりました。スカウターの故障ではなさそうです。
純粋な(食べ物絡みの)怒りによってスーパーサイ○人化した桃色太郎…もう誰にも止められません!!! 逃げて! 超逃げて!

「てめぇら…………いい加減にしやがれ!!!!!」


反行儀キックコースが華麗に決まり、海に落ちるふたり……あ、今遠くの方でぼちゃん、ばしゃんと音がしましたね。
二人ともカナヅチなのでぶくぶくと沈んでいきます。あーあ、いわんこっちゃない。
煙太郎の指示で、嫌々ながらも海に飛び込んだサルボディとキジャンゴのおかげで、なんとか助かったふたりは後に声を揃えて語ります。

「「どんなに腹が減ってても、サンジの食料だけには二度と手を出さない」」と。
すったもんだの末、鬼が島の渡し場に舟を着けた一行は、ようやく島に降り立ちます。
「ううっ、みんな聞いてくれ。どうやら島に降りてはいけない病が……」
「あー、やっと着いたか」
苦しげに胸を押さえる鼻太郎を完全スルーするのは先頭を歩く桃色太郎。
その後ろでは、びっしょり濡れたゴムと炎がくしゃみをしています。
「ぶえっくしょい!」
「あ゛ー…」
そんな二人を見て、医者でもある鹿太郎が心配そうに言いました。
「なあ、早く乾かさないと風邪ひくぞ。エースの炎は出せないのか?」
「チョッパー、心配してくれるのはありがたいが、さすがに海に浸かっちまったら力は出せねぇよ」
「つーかよ、もうそんなヒマねぇだろ。そろそろ鬼が出てきてもおかしくねぇんだからよ」
戦いの前だからか、それともサンジの怒気に恐れをなしたのか、D兄弟も神妙な面持ちで歩を進めます。
そんな緊迫した空気の中、煙太郎が口を開きました。

「さっきから思ってたんだが……お前ら、鬼って何のことだ」
「何……って、ここは鬼ヶ島だぞ?」
「おまえも鬼退治しに来たんじゃねぇのか?」
鼻太郎と桃色太郎のセリフに、煙太郎は珍しく歯を見せて笑います。
「くっくっく、なるほどな……ところで、お前らがここに来た理由、これじゃねぇか?」
そう言って煙太郎が懐から紙を一枚取り出しました。
そ、それは……(とっくに忘れられてるでしょうが)最初に出てきた瓦版!
「おお、それだ」
「俺もそうだぞ」
「俺も俺も」

みんな大きく頷いています。ゼフから何も聞かされていない桃色太郎ひとりを除いて――
「やっぱりそうか。ということはお前ら誤解してるぞ……まあいい。ついて来りゃわかる」
どう見ても慣れた足取りで、煙太郎と2人のお供は颯爽と岩場を越えていきます。
「誤解? どういうこった?」
残りの6人は首を傾げるばかり。

先を行く煙太郎たちに桃色太郎たちがようやく追いついたのは、大きな一枚岩の前でした。
「さあここだ。お前らの言う“鬼”はこの岩の向こうにいるぞ」
煙太郎は、楽しくて仕方ないと言いたげに、薄く笑いながら扉にも見える大岩をごんごんと叩きます。
「お、俺、どきどきしてきた……」
「いいいいかチョッパー! ももも、もし鬼が出てきても、おおお俺様の8000人の部下をすぐさま呼んでやるから安心しろぉぉぉ!」
「わーかったから手ぇ離せ。つーか俺の背中に隠れんな」
さすが口だけは達者な鼻太郎。桃色太郎の後ろに隠れながら、へっぴり腰でがくがくぶるぶる震えています。
「だからそんな必要はないと何度も言ってるだろうが……そんなに信用できねぇか」
葉巻を咥え苦笑いする煙太郎。
そして大きく吐き出した煙を合図に、サルボディとキジャンゴがゆっくり岩をずらしていくと、暗い岩場に眩しい光が差し込んでいきます。
そこで見たものはどうにも信じられない光景でした。
「なんだなんだ?! どういうことだ! どうなってんだ!」
「夢でも見てんのか、俺ァ……」
ようやく辿り着いた島で桃色太郎の一行が見たものは……


「鬼が島へようこそ〜」


定番のセーラー服に極ミニナース、妖艶メイドにハレンチ秘書。
他にもキュートでセクシーな装いの美女が勢揃いで、桃色太郎たちを迎えます。
おっ、中にはラ○ちゃんのようなトラ柄ビキニの鬼っ娘や、体操服にブルマなメガネっ子もいますね。
「こりゃあ一体どういうことだ? ここは鬼ヶ島じゃないのか?」
さすがの桃色太郎もただただ驚くばかり。
無理もありません。
鬼退治にやってきたはずなのに、そこにいたのは鬼ではなく、角も牙もない美しい娘たちだったのですから。

「不思議そうな顔してるわねー。ま、あんたたちが何を勘違いしてここまで来たのかはだいたい想像つくけど?」
しっかりした口ぶりのオレンジ色の髪の娘が、笑みを浮かべながら一歩前に進み出ます。
この美女がどうやらリーダー格のようですね。
一行の前に立つと、桃色太郎が握り締めていた瓦版をすっと取り上げ言いました。
「ここは確かに鬼が島よ。ただし正確には『クラブ 鬼が島』だけどね。
 だからこれにも『鬼が島へ行こう』とは書いてあるけど、『鬼退治をしよう』なんてどこにも書いてないハズよ」

「確かに……しかし、じゃあなんでこんな瓦版を?」
「あの特典とかいうのはなんなんだ?! 野菜だの果物だの…」
「あ、オレそれもう食っちまったからもう戻せねぇぞ」
桃色太郎はじめ、みんなは次々と疑問を口にしました。すると娘は微笑を絶やさず答えます。
「キャンペーンのつもりだったのよ。
 オープンしたものの、場所が場所だからなかなかお客が集まらなくて……
 でも、特典も順調に捌けていって、宣伝効果はばっちりだったんだけど、どうもみんな勘違いしてたみたいで……
 ここに来るのは、鬼退治だと意気込んでるムキムキでむっさい男達ばっかり。
 だから、あんたたちみたいに若くていい男が、こんな大勢で来ることなんてほとんどなかったの。
 見ての通り皆も喜んでるから、できる限りの要望には応えてくれるだろうし。まあ、ゆっくりしていってちょうだい。
 あ、私はこの店のオーナー、ナミ。好きなものはお金とみかん。よろしくね」

なんとこの鬼が島は、島全体で一つのイメクラという、世界にもあまり例を見ない希少な店なのです。
しかも合意の上なら何でもアリ!な、客からすれば超優良クラブ。
ナミの後ろにずらりと居並ぶ美女たちを、穴が開くかと思うくらいまじまじと見ているのは、もちろんわれらが桃色太郎…
――って、ちょっとヨダレヨダレ! むひょひょひょひょ…って鼻の下伸ばして笑ってる場合じゃないですよ!
「……ま、こういうことだ。お前たちの勘違いがこれでわかったか?」
桃色太郎を始めとして、頭が取れるんじゃないかと思うくらいぶんぶんと頷く一行。
それを見て煙太郎は満足そうに笑います。まだ年若い6人に対して、さすが大人の貫禄が見受けられますね。

「あら、大佐じゃない……ふぅん、その二人を連れてるってことは今日も彼女をご指名なのね」
煙太郎が新しい葉巻を咥えると、さすがに手馴れた様子で火を点けながらナミが親しげに話しかけます。
どうやら煙太郎はこの店の常連客のようですね。オープンしたばかりなのに常連ですか。オトナって…オトナって……
「ふっ、わかってるなら話は早いな…………たしぎぃ!」
「は、はいっ!!」

いきなり名前を呼ばれ焦ったのか、真剣を引っさげた娘がひとり、つんのめりながら前に出てくると、ちょうど煙太郎の前で転んでしまいました。
「あいたたた……な、なんでしょうか、スモーカーさん」
ずれたメガネをかけ直し、たしぎと呼ばれた真面目そうな娘が座ったまま煙太郎を見上げます。
「おまえはなんだ?」
「へっ?」
意味不明な質問に思わず訊き返すと、途端に不機嫌になるスモーカー。
「お前はなんだと訊いてるんだ」
「えーっと……」
ふと見れば、スモーカーの後ろでサルボディとキジャンゴが『いぬ』と書いた紙を挙げて指差してるのに気づきました。
「い、犬……です」
すると煙太郎はにやりと笑います。
「そうだ。犬のくせに俺に逆らっていいと思ってんのか? あぁ?
 ――こりゃおしおきが必要だな。躾け直してやるからついて来い」
「え?」
「……おまえ、さっきから誰に向かって聞き直してんだ?」
「あ、はい! すみませんでした!」
おしおきと称して、犬、つまりたしぎとふたりっきりになるべく歩き出す煙太郎。
今までの大人なふいんき(なぜか変換できない)はどこへやら。目の色が違います。ガクガクブルブル。

二人の様子を見て、絹糸のように美しく長い髪をした美女が、ぽってりした唇を噛み締めます。
そしてついに我慢できなくなったのか、黒いエナメルのボンテージファッションで、腕組みをしたまま声を荒げました。
「待ちなさいスモーカーくん! 今日の相手は私だって、このあいだ約束したはずよ?!」
その言葉に振り返ることもなく煙太郎は言いました。
「あーヒナ、悪ぃが今日はそいつらの相手してやってくれ」
「ちょっ……またこの二人?! ちょっと、スモーカーくん! さすがの私も怒るわよ。ヒナ乱心!」
それでも煙太郎はまったく動じずひらひらと手を振ると、おろおろするたしぎを連れて、そのまま奥に消えていきました。
呆気に取られたままの桃色太郎たち。
そんな中、さびしげなヒナの後ろに立ったサルボディとキジャンゴは、声をそろえてヒナに呼びかけます。
「「ヒナ嬢……」」
「……何?」
振り向いたヒナ。すると――

「「お花です」」
「いらないわ」
フラワァ……と差し出された花束を一瞥することもなく、しかも間髪いれず拒否!
流石は鬼が島一の女王様です。

「あなたたちも毎回毎回……私の気を引きたいのなら、いい加減同じ手段を使うのはやめなさい」
「「ヒナ嬢のためならなんでもできます!」」
「だからそれをやめろと言っているのに、どうしてわからないの」
「わかりません!」
「だからいつものおしおきを〜」
ヒナはあきれたように溜息をついて、オリオリの能力でサルボディとキジャンゴの体をきつく締め付けます。
公開緊縛プレイですか。んー、これはマニアック!
「くあっ!!! シビレる〜〜」
「あ〜、ヒナ嬢になら何度禁縛されてもいい〜〜」
ヒナは「バカは嫌いなんだけど……これも仕事ね」と呟くと、ロックされて喜ぶふたりをつれて部屋に入ってしまいました。
あまりに急な展開にぽかーんとする桃色太郎の一行。誰にも言葉がありません。
しかし、そんな面々にオーナーであるナミが努めて明るく声をかけます。
「さあ、あなたたちはどの子と遊びたい?」
「えぇっ?!」
「遊ぶ?!」
「……って言われてもなぁ」
われに返った6人ですが、いい意味で予想を大きく裏切られた鬼が島の様子に、どうにも尻込みしてしまいます。

「あら、勘違いだってわかったのでしょう? せっかくここまで旅をして来たのに、何もしないで帰る道を選ぶのかしら?」
丁寧な口調の娘が、目を瞑って仏頂面を決め込んだ毬藻太郎に近寄ります。
黒く艶やかな髪と印象的な瞳を持ったオリエンタルな美女、ロビンです。
「剣士さん、あなたお酒は好きかしら?」
「……あ?! ああ……だがオレは――」
「ふふっ、ここにはあらゆる種類のお酒が用意してあるのよ。良かったら私と軽く飲まない? ここまでの船旅を癒すつもりで」
思わず反応した毬藻太郎にロビンは笑みを浮かべました。
アルカイックスマイルと甘く漂う大人の色気は、カタブツ剣士の禁欲をも簡単に解きほぐしてしまったようです。
こっちよ、と誘われるままに、毬藻太郎はロビンの後についてフラフラ歩き出しました。

「……さっすが百戦錬磨のロビンね。男心をくすぐるツボを心得てるわ」
感心したように頷くナミ。
その周りで、桃色太郎、D兄弟、鼻太郎の4人は驚きのあまり口が開いたままになっています。
「あ、あのゾロが……」
「信じらんねぇ」
「なんつーか、一瞬で落ちたよなアイツ」
「でもよ、なんだかんだ言ってるが、どう見てもむっつりだろう、ゾロは」
鼻太郎の言葉に残りの4人は「うんうん」と大きく頷きます。
「さて……んじゃ、オレたちもちょっと遊ばせてもらうか」
「そうだな。どのみちアイツだけ置いて帰るわけにもいかねェだろうしな」
「さーあ、どの子がいいかなぁ、むふふふふ……」

エロ顔になった4人が、とっくに控え室に戻っていた女の子の元へ向かおうとしたとき、
「ぎゃーーーーーー!!!」
耳をつんざくような叫び声。その主は……
「チョッパー!」
「どうしたっ!!」
振り返れば、なんと、最後尾を歩いていたはずの鹿太郎が、オリジナリティ溢れるピンク色のつなぎを着た娘の胸に抱きしめられているではないですか!
「いやん。他の子のトコになんか行かせないわよ。チャッピーは私と一緒にい・る・のっ」

……
………
…………チャッピー?

はっ! 思わず不思議空間に取り込まれてしまうところでした。
嫌がる鹿太郎を胸の谷間に埋めるようにもふもふと抱きしめ、満面の笑みを暑苦しい毛皮に摺り寄せているのは、高い鼻と溶けそうに甘い声の持ち主、ポルチェです。
……たとえ好みでなくても、大きく肌蹴た白い胸元につい目を向けてしまうのは男なら当然ですから、気にする必要はありませんよ。
おっと、一瞬できた隙をみて、鹿太郎がポルチェの腕から逃げ出しました。
「お……お、お、おれはチャッピーなんて名前じゃねぇぞっ!!!」
「いやん! チャッピー!」
あらら、自分からそのうらやましい状況を捨てるとは…………
「いーやーだぁーーーーーー!!!」
「チャッピー、待ってよーー」
変形することも忘れ、大慌てで逃げていく鹿太郎。そしてそんな鹿太郎を追っていくポルチェ。
二人の姿はあっという間に見えなくなってしまいました。

「……ありゃあ一体なんだったんだ……」
「ま、まあ、ああいう子もいるってことだろ」
「気にすんな。なんせ世界は広いんだ。あの子を求める男もいるだろう……たぶん」
「俺たちの世界って案外狭いんだな……」
……もしもし? フォローになってませんよ、皆さん。

さあ、気を取り直して女の子たちの控え室へ向かいましょう。
「ウチはね、人気のある子には最初から個室を与えてあって、部屋を持ってない子は、指名が入ったら別室に移動するってシステムなの」
「へぇ〜」
「じゃあさっきのメガネの子も女王様も人気があるってことだな」
「もちろんロビンもね……さ、着いたわ。ここが控え室よ」
大きなガラス窓の向こうに見える広い部屋で大勢の女の子たちが自由にくつろいでいます。
「もうわかってるでしょうけど、これはマジックミラーになってるからこの子たちからは見えないわ。
 気に入った子がいれば指名してちょうだい」
ナミがそう言い終わるかどうかのうちに、ビシッと勢いよく手を挙げたのは……なんと意外や意外、鼻太郎でした。
「うお!」
「はやいなお前…」
「どの子だよ」
桃色太郎がにやにやしながら訊いてきますが、鼻太郎の目にはどうやら一人の少女しか見えていないようです。
「おれ…あの子がいい……」
ゆっくりと指差した先にいたのは、部屋の隅のソファーでのんびり本を読んでいる色白の儚げな少女でした。
「あー、カヤお嬢様ね。ちょっと彼女は……」
少し考えたナミでしたが、腹を決めたようです。
「わかったわ。この先の部屋で待っててちょうだい。連れていくから」
長鼻太郎は一瞬で、この病弱そうな少女のトリコになってしまったのでした。

ナミがいなくなった隙にルフィがエースに話しかけます。
「なあエース、あっち行ってみねぇか。なんかよぉ、あっちに行った方がいいような気がする」
「お前もそう思ってたか、ルフィ」
にやりと顔を見合わせると、ゴムと炎の絶倫兄弟は更に奥へと走り出します。
「えっ?! 待てよ、ルフィ! エース!!」
桃色太郎の呼び掛けも空しく、D兄弟は突き当たりの角を曲がって行ってしまいました。

「おいおいおい、どうなっても知らねぇぞ……
 まあ、おれにゃ関係ないけどよ。むしろライバルが減ったわけだしな、ムヒョヒョヒョヒョ」
鼻の下をだらしなく伸ばし、目じりを下げ、ガラスに張り付くようにして中にいる女の子たちを物色している桃色太郎。
戻ってきたナミはその様子を見てさも満足そうに微笑み、耳元で囁きます。
「私の眼鏡に適う極上の子しかいないわ。もちろん――みんなあっちも絶品よ」
「そうなのかい? 確かにみんなかわいい子ばかりだな……ああ、だけど――」
「だけど?」
ナミが怪訝そうに桃色太郎を見つめます。

すると、桃色太郎もナミの大きな瞳をじっと見つめ返して言いました。
「俺の眼鏡に適うのはただひとり……そう、ナミさん…キミだけだ。俺の瞳はもう君しか映さない……」
桃色太郎はあろうことかオーナーであるナミを口説いているではないですか!
しかもかなり甘い……というかクサい! クサすぎます、桃色太郎!
これにはナミもさぞかし呆れてることだろう、と思いきや……
あれあれ? 顔がまっかですよ?
「な、何言ってるのよ! もう!」
「本当だよ。俺は他の誰でもなく、君と一緒に過ごしたいんだ……いいかい?」
両手で頬を押さえて顔をそむけたナミが小さく頷いたと同時に、にやりと舌なめずりした桃色太郎は、ナミを抱きかかえ一目散に個室へと走りこみました。
彼らがそれぞれ入っていった部屋からは、女の艶かしい声が聞こえてきます。
えーと……ちょ、ちょっとくらい覗いても構いませんよね? ね?
ゴホン。ではまず鼻太郎とカヤの様子を伺ってみましょう。


「――8000人の部下はおれをこう呼ぶんだ……キャプテーンウソップ!ってな」
「まあ。ウソップさん、慕われてるんですね」

あれ?
なんと、もうピロートークに入ってるようです。
早い! 早すぎます、鼻太郎!! その長い鼻は伊達ですか?
……おおっと、ここで情報が入りました。
ふむふむ、どうやら事情があるみたいですね。
では先ほどの控え室でのナミとカヤの会話を聞いてみましょう。

「――私を、ですか?」
「ええ。指名が入っちゃったんだけど、いいかしら。無理ならいいから」
「そうですね……いつもより体調がいいので、お話をするくらいならできると思います」
「よかったわ。相手には『手を出すな!』って私からよーく言っておくから」
「はい。お願いします」

――ということで。
早いも何も、事を致してないようです。
ベッドの中ではカヤがこぼれんばかりの笑みを浮かべています。
その隣では、甘ーい期待を裏切られ、溢れそうになる涙をこらえて、今までの大冒険を語り続ける鼻太郎の姿。

「――おもしろいですね、ウソップさんて。涙が出るほど笑ったのは久しぶりです」
「そうか、そりゃあ良かった。俺もなんだか泣けてきたよ……しくしくしく」
「また楽しいお話聞かせてくださいね」
「もちろんだ。そして今度こそ……!」
「今度こそ? 何かあるんですか?」
「なななななんでもねぇよ。ゲフンゲフン」
「ふふふ。今日はありがとうございました、ウソップさん」
嬉しそうなカヤの声が聞こえてきます。

……つまんねーんだよ、期待させんなヴォケが!という声が聞こえてきそうなので、さくさく隣の部屋へ移りましょう。
さて、お隣は煙太郎に振られたヒナですが……さすがにすごい女王様っぷりです。
椅子に腰掛けたヒナの足元に跪く、全裸のサルボディとキジャンゴ。
座った状態だと、衣装のデザイン的にヒナの秘所が丸見えですがキニシナイ!
サルボディとキジャンゴも横目でちらちらと盗み見ています。
しかしヒナは、全く表情を変えることなくふたりを踏みつけ、蹴り上げ、そしてお得意の緊縛です。
下手をすると過激に思えるその行為ですが、サルボディとキジャンゴのふたりは物ともしません。
むしろ……

「あ〜ヒナ嬢、もっときつく〜」
「お願いします、女王様〜」
なす術もなく完全に緊縛された状態で、ヒナのピンヒールでぐりぐりと刺激されるたびに、ふたりのイチモツは喜びに涙を流します。

「まったく……みっともないわね、あなたたち。なんなの、その格好は。
 私に踏みつけられてるのにこんなにココを大きくして……情けないと思わないの?」
非難するようなヒナの視線を受け、冷徹な言葉を浴びせられて、ますますふたりは快感の波に揺られます。
恐るべきヒナのカリスマ性! なのにどこまでもクールで美しい横顔。
その仮面の下では一体何を思っているのでしょうか。

(いつもあのトロくさい女ばかり相手にして……スモーカーくんのばかばかばかっ!!! 不満よ、ヒナ不満!)

「「あああっ、いいー!!」」

ヒナが、煙太郎への思いを込めて力いっぱい踏みつけた途端、二人は声をあげ、白濁液を勢いよく吐き出しました。
揃ってイってしまった二人を冷たく見下ろすヒナ。
クールビューティーとはまさにこの人のことでしょう。
「……起きなさいふたりとも。私のブーツが汚れてしまったわ。ヒナ憤慨。
 この汚らしいものを全部拭い取りなさい。もちろん手を使うことは許さないわ。自分たちが出したのだから当然でしょう」
「はいぃぃ」 
「ちゃんとできたらいつものようにご褒美をあげるわ。さあ――お舐めなさい」
「あああ、ヒナ嬢……」
ふたりは起き上がると脚を広げて座るヒナの前に正座し、サルボディは右足に、キジャンゴは左足に恐る恐る舌を伸ばします。

白い模様が少しずつ舐め取られ、エナメルが黒い輝きを取り戻していく様子に、女王様ヒナも満足そうです。
おっと、つるつるした質感の上を這う舌の僅かな感覚に刺激されたのか、どうやらヒナ自身も徐々に感じてきたようですよ。
先ほどよりも更に脚の角度が広がっているため、かげりの向こうに見える襞の大きさや色、そして濡れ具合までも手に取るようにわかりますね。
そこを凝視しながら奉仕を続けるサルボディとキジャンゴも、当然ながら復活しています。
この後の対戦が非常に楽しみですが、残念ながらそろそろ時間となってしまいました。
マイクを一旦スタジオにお返しします。


<つづく>

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