ONEPIECEエロパロ保管庫 - ナミスレ/872-878(エース×ロビン)
真夜中は純潔




「ちょ〜っと呑みすぎちゃったかな」
ふら付く足で、歓楽街の路地裏をエースは歩く。
道々に客引きの娼婦と、薬売りの男。
そして、それを買うものたち。
淫猥で雑多なこの街は居心地がいい。
目立ちすぎる背中の刺青はマントで隠し、お気に入りのテンガロンハットを深く被って
彼は器用に塀の上を歩く。
少し覚束ない足取り。
「どっこ、泊まろっかな〜」
鼻歌交じり、上機嫌。
少し冷たい風が髪を撫でる。
安定を求めて道路に下り、のんびり空を見ながら色んなことを考えて。
初恋のあの人や、仲間たち、そして同じようにどこかの海にいる弟のこと。
そんな感傷的なムードを破ったのは一人の美女だった。
「って!!!」
どん!とぶつかられ、よろめきながらエースは彼女を捕まえる。
「助けて!追われてるの!!」
「……オッケー」
近づいてくる足音。
どうやら数人の男たちのようだ。
口々に卑猥な言葉を並べ立て、女を探し回っている。
「ってもここ隠れるとこも無いしな」
「……お礼は何でもするわ。お金ならわくさんあるもの」
男たちが二人を視界に入れようとした瞬間。
エースは彼女を抱き寄せ、マントですっぽりと肩口まで覆った。
そのまま口付けて、テンガロンハットで彼女の顔を隠す。
「あの女どこに行きやがった!!」
さすがにその場でディープキスをしているのが目的の女だとは思えなかったらしい。
男たちはどやどやとその場を去っていった。




「…助かったわ、ありがとう」
「いーえ、どういたしまして」
エースはにこにこと笑う。
「おねーさん、なんて名前なの?」
「私?私はニコ・ロビン。ロビンでいいわ」
「俺はエース。おねーさんはもしかしてあの賞金首のニコ・ロビン?」
その言葉にロビンはうふふと笑った。
「ええ、そうよ。白髭海賊団のエースさん」
同じような黒髪と瞳。
イーストブルーの人間の特徴だ。
「なんだ、知ってたんだ」
親指でくいっとつばを挙げ、エースはバツが悪そうに笑った。
「せっかくだから、食事でもどう?お礼もしたいし」
「お礼なら、違うものちょーだい、ロビン」
腰を抱き寄せられて、悪戯っぽくエースはロビンの頬にキスをした。
「何が欲しいの?」
分かりきった答を求めてロビンが囁く。
「決まってんじゃん、あんただよ」
その誘いにエースは乗った。
小汚いけれども、感じのよいホテルに駆け込んだ。
考えるのも面倒で、倫理とか節操とかそんなことは全部後に回した。
ジャケットを脱がせると、黒のビスチェが豊満な胸をガードしている。
その皮ひもを解くのももどかしくて。
何回もキスしながら、紐を解くとぷるんと形のよい乳房が露になる。
「そんなに焦らないで……」
「ん〜、美人は早めに手に入れないと……逃げるから」
腕のログを外して。
「うふふ、面白い子ね」
ロビンの指先がエースのハーフパンツのボタンを外す。
「その気じゃん」
「あら、誘ってくれたんじゃなかったの?」
男の身体を抱き寄せながら、彼女の唇が動く。
話す言葉も、じれったくて裸の身体にのめり込んだ。
柔らかい胸はゆびにしっとりと馴染み、初めて抱く身体のはずなのに、どこか懐かしくさえ思える。
「…んっ……」
舌を絡ませて、吸い合って、常識とか運命とかは蹴り上げて。
唇が胸に刻む刻印に、ロビンの身体が震えた。
耳元を甘く噛んで、舐め上げる。
「あん……っ……」
「可愛い声で鳴くんだね」
「…可愛いなんて、久しぶりに言われたわ」
涼しげな眼。
でも、少し憂いを帯びた儚げな瞳。
大事な人は今、大海のどこかで笑っているから。
「可愛いよ、ロビン」
額に口付けられてロビンは目を閉じる。
それは眠れない時に掛けられた魔法のキスを思い出させた。
(今……どこにいるのかしら……)
手も声も……何もかもが違うはずなのに、どこか似ている。
「…あっ……んぅ……」
中指が内側に滑り落ちて、ゆっくりと入り込む。
ぬるぬると体液を絡めながらエースはその指を増やしていく。
押し上げるように動かすとロビンの吐息が幾重にも零れて消えた。
「そろそろいいかな……」
乾いた唇を舐めて、エースは小さく笑う。
足首を掴んで膝を折り、ロビンの中に自分を埋め込む。
「…っ…結構……きつ……」
締め付けてくる感触は、隙間なく入り込んだエースにとっては大きなものだった。
突き動かすたびに体液が絡んでくる。
「ああんっ!!……!!」
奥を突かれてロビンの身体が弓なりに反る。
二人分の重みを受けて、ベッドがぎしぎしと悲鳴を上げた。
「ああっ!!!…い…んんっ!!」
シーツを掴んでいた手を自分の首に回させる。
胸が重なるほどきつく絡まって、汗の匂いと男の湿った吐息が懐かしく、愛しく思えた。
「!!」
笑う顔が、あの人と重なる。
逢いたくて、逢いたくて。でも……逢えなくて……。
現実を捨てて、男の首にしがみつく。
「お願い、一瞬で良いから……何もかも忘れさせて…っ!」
答える代わりに、狭い内側を激しく突き上げる。
ロビンの指が背の刺青に赤く模様をつけていく。
(…どうして……思い出したの……?)
涙で曇った目に映ったのはあの人。
「…シャンクス…ッ…」
ロビンは小さく、泣いた。




ぐったりとした身体を投げ出して、エースはため息をついた。
別に決まった相手じゃないけれども、最後の最後で他の男の名を呼ばれた。
(なんか…ちょっとショック)
すっとロビンの指が伸びて、頬のそばかすを撫でていく。
「あ、これ?みっともないって思う?」
「いいえ、可愛いと思うわ」
にこにこと笑いながら、指先は一つ一つそばかすを辿っていった。
その指を捕まえてぺろりと舐める。
「あん…」
「好きな人……いるだろ」
ほんのりと頬を染めて、ロビンは『ええ』と答えた。
(なんで良い女はいっつもあいつの傍にいるんだろ)
知らぬ男ではないからこそ、純粋に悔しかった。
(まだまだ俺もガキだな……超えられねぇ)
人恋しいのは誰も同じで。それがたまたま二人だったからこうして抱き合えるわけで。
朝が来れば知らない顔に戻って違う道を行くから。
だから、せめて扉を開けるその時までは自分のことだけを思って欲しい。
「何で追われてたの?」
「石板を貰ってきたの。それで」
「石板?」
「ええ、私ね、これでも考古学者なのよ」
子供のようにロビンは古き物への思いを語った。
埋もれたものを発掘する喜び。
朽ちていったものたちが語りかける物語。
「素敵だと思わない?エース」
「ああ……海賊と一緒だね」
朝がくるにはまだ早すぎるから。
もう一度、お互いを確かめよう。
朝が来れば……離れてしまうのだから。
「今度は追いかけられないようにしなきゃね」
エースはロビンの上着を掛けなおして、そう言った。
『そうね』とロビンは答えて、エースの腰元に小さなナイフをベルトで結んだ。
「?」
「助けてくれたお礼よ。古い神様が守ってくれるわ、エース」
太陽が、照りつける。
「またね、エース」
振り返った顔が、愛しくて。
少し、暖かい気持ちで見送れたような気がした。
「ああ!!いたぞあの女!!」
逃げるロビンを追いける男たち。
(あらら、また追いかけられてるよ)
助け舟を出そうと拳を構えた時だった。
「!!??」
屈強な男たちは咲き乱れる手によって打ちのめされる。
(滅茶苦茶強いんじゃんか…ロビン……)
呆然とするエースに遠くなったロビンの姿。
「!」
片目でウィンクして唇が『また逢いましょう』と言った。
「案外俺も幸せなのかもね」
エースは歩き出す。
ロビンとは反対の方向に。
(また逢いましょう……か)
残り香を引き連れて、進み行く。
旅はまだまだ終わらない。