ONEPIECEエロパロ保管庫 - 2/542-557(サンジ×ビビ)

朝食の後の、コーヒーブレイク。
コーヒー豆から立ち上るいい香りを吸い込みながら、私は楽しげにくわえ煙草でお湯を注ぐあの人を見つめてる。
今朝の彼はすごく機嫌がいいみたい。いつになく雰囲気が優しい。
彼が優しいのはいつものことなんだけど。
「どうぞ、レイディ」
まるでカフェのギャルソンのような優雅な仕草でカップを私の前に置く。
カップソーサーに添えた、男の人にしては酷く綺麗な長い指に一瞬見とれて返事をし忘れて慌てているうちに、彼はもうもうひとりのこの船の女性の元へカップを置きに行っていた。
馬鹿な私──
小さく溜息をつくと私は彼が入れてくれたコーヒーを一口飲む。
今朝はマンデリンなのね。柔らかな甘みとその後香ばしい苦みが口一杯に広がる。
目の端では、この船の航海士であるナミさんと、彼がすごく楽しげに軽口を叩き合っている。
そのうち、待ちきれなくなった船長が催促を始めて、彼は毒づきながらも男性クルーにもコーヒーを配るべく彼女から離れていった。
また、小さく溜息。
この恋は、ひどく苦い。
サンジさんに向ける自分の思いに気が付いたのは、いつの頃だろう?
気が付いたら彼のこと、目で追っていた。
いつも煙草をくわえたその口元がセクシーだなと思って、そのうち海よりも青い瞳の優しさに気が付いて。
こんな男性(ひと)、今まで私の周りにはいなかった。
初めはこちらが当惑するほど、強引なラブコール。
そのうち彼は女なら誰にでもそうなんだと気が付いた。
でも、彼はすごく優しい人で。男性に対してはびっくりするほどの毒舌なんだけど、心の中はすごく優しくて暖かい。
先が見えなくて不安な私を、彼は優しく不躾でない程度に気遣ってくれて、見守ってくれて、そして私はいつしか彼に夢中になっていた。
私の周りの男性はいつも大人か子供ばかりで、彼のようなスマートな物腰の優しい青年に出会ったのは初めてだったので、私は自分に課せられた重責も忘れて彼のことばかりを考えていた。
そのうちに、彼のスマートな外見に似合わず不器用なところや、怒りっぽいところなど色々な面が見えてきて、想いは増すばかりだった。
彼のいつも前髪に隠れた瞳の向こう側を見つめてみたくて、その青い瞳を私だけのものにしたくて。
恋に現をぬかしている状況ではないと言うのに、私は恋に溺れている。
生まれて初めての恋。
海賊に恋したなんて、王女という立場では決して許されない、この想い。
しかも私の想い人には、恋人がいる。
私のような子供には到底太刀打ちできない、素敵な女性(ひと)だ。
ナミさん──
この海賊船の天才航海士にして、私の想い人の恋人。
明るくて優しくて。きっと今まで私が想像できないような修羅場を潜ってきたのであろう、そんな力強さを持つ女性。
キュートな容貌、健康的な小麦色の肌、グラマラスな体躯。
女の私から見ても、本当に魅力的。私にとって生まれて初めて心の底から胸を割って話せる優しい女性(ひと)。
ある朝ナミさんの胸元に赤い跡を見つけた。
虫刺されかと指摘すると、さっと頬を赤らめた。
「内緒にしてね」とウインクして、ファンデーションでその跡を隠したそのすぐ後で、朝食のラウンジで彼の首筋に同じ跡を見つけた。
その後、度々夜中に彼女が女部屋から姿を消すのに気が付いて。
鈍い私は、ようやく二人の関係に気が付いた。
軽口を叩き、時には思いっきりツッコミを入れたりしながら、ナミさんはあの人に微笑んでいる。
始終私にもハートマークを飛び散らせてラブコールを送っているけど、実は一番ナミさんを気遣っているサンジさん。
私の入り込む隙間はどこにもない。
行き場のない想いは、私を蝕み苦しませる。

その後私たちはからくも航海を続け、目的地アラバスタ──懐かしい故郷へとたどり着く。
故郷を乗っ取ろうと暗躍をするBWの真実を広め、反乱を止めさせる。
私ひとりにはあまりにも荷が重い責務だけど、やらなくてはならない。
私しかいないのだから。
上陸した町、ナノハナで海軍に追われ、川を渡ってエルマルに着く。緑の町と呼ばれてたエルマルのその後の惨状は予想を超えていた。
野晒しのままうち捨てられた骸骨を抱え、BWの非道に怒りを抑えきれない。
きりきりと下唇を噛みしめていると、ぽんと肩を叩く温かい手があった。
「──サンジさん……」
涙に曇った視線を上げると、恐ろしいほどに怒りを堪える彼の顔があった。
「行こう、ビビちゃん──」
サンジさんの胸に顔を埋めて泣きつきたい自分を押さえ、私は静かに頷いた。

オアシス、ユバの惨状もまた目を覆うばかりだった。
砂漠の交易地点としてのかつての賑わいが、まるで幻のような荒廃ぶりであり、久しぶり
にあったトトおじさんのやつれた姿も相まって、私の怒り、哀しみは限界に達していた。
許せない、BW…!
そんな私を和ませたのは陽気なクルー。
私の暗鬱とした気分を忘れさせるような、明るい会話。突然始まる枕投げ。
苦笑する私にサンジさんが冗談めかして、私のベッドに潜り込んで一緒に寝ようと誘ってくる。
そこにウソップさんからの枕が激突。
またしても返事をし損ねて苦笑する私を尻目に、陽気なクルーの枕投げ合戦。
大丈夫。私は諦めたりしない。
みんなの明るさと、そして何より大好きな人の明るい冗談が嬉しかった。
深夜、ふと目が覚めて私は外に出た。
少し欠け始めた月が砂漠を蒼白く染めて上げている。
私は外気の寒さにぶるっと震えた。
その瞬間、ふわっと体が暖かくなった。
「え……?」
振り返ると、サンジさんがいた。
肩に掛かったサンジさんのマントをぎゅっと掴み、私はぎこちなく微笑んだ。
「どうしたんですか?サンジさん」
「いやふと目が覚めたら、ビビちゃんが外に出るとこだったから。風邪ひかないかと思ってさ」
そう喋りながらも煙草を取り出して、口にくわえる。
その仕草を見上げながら、私はその口元に目が吸い寄せられていた。
砂漠の気候と水分不足で少しひび割れた唇。痛くないかしら?
マッチを擦って火をつけて、一瞬だけほぐちが赤々と燃え上がる。
そしてゆっくりと煙を吐き出す様を、私は無言で見つめていた。
「──ん?」
私の視線に気づいたのか、サンジさんが私の顔を見つめている。
砂にまみれ、日の光を思わせる金髪は少しぱさついて房のように固まっていて、いつもは出ている瞳も隠してしまっている。
私は無意識のうちにその髪の毛を掻き上げた。
なんて、綺麗な海のブルー。
男の人に"綺麗"というのはおかしいかもしれないけれど、サンジさんはとても綺麗だと思う。
細面の顔に無精髭。不貞不貞しい太い唇に、少し眠たげな瞳。
明るい光を思わせる金髪の下に隠れた、日の光に輝く海の青。
大きくて骨張っているけど、指先が細くて長い指。
着痩せする、胸板。しなやかで強靱な下肢。
この胸に抱かれたら、どんな気持ちになるのだろうと、まだ男も知らないというのに想像してしまう。
故郷がこんなに緊迫した状態だというのに──私は不謹慎でふしだらだ。
「ビビちゃん、大丈夫?顔が赤いよ。風邪でもひいたんじゃないか?」
苦しいほどに優しい気遣い。
サンジさんの優しさが、苦しい。
「──サンジさん……」
「なんだい、ビビちゃん?」
「お願いです──今夜だけ、一緒にいていただけませんか?」
「……え?」
言った瞬間後悔する。
馬鹿な私。もう、どうしてこんなこと言ってしまったんだろう?
故郷がこんな状態だというのに、なんて非常識な女だと思われたんじゃないかしら?
でも今夜を過ぎれば、もう機会はない。
報われなくても構わない。それがどんなに大罪であっても構わない。
私は、サンジさんに抱かれたい──
サンジさんは、いつもの調子で大袈裟な喜びを表したりはせず、茶化したりもせず。
そっと私の額に口づけた。
「ビビちゃん、疲れてるんじゃないか?」
耳に心地よいテノールが体に響き、私は涙が出そうになった。
額に残る唇の感覚は、官能的で目眩がする。
「サンジさん──私…」
何て言えばいいのか分からず、口ごもる。
この気持ちをどう伝えたらいいんだろう?
伝えるべき言葉が見つからず、私は彼の腕の中に飛び込んだ。
「サンジさん──私を、抱いて……」
もう、顔を見ることも出来ない。
震える体でサンジさんの体にしがみつく。
体中に染みこんだ煙草の臭いはやっぱりセクシーで、私は体の奥が疼くのを感じた。
「ビビちゃん──」
そっと、まるで割れ物を扱うようにサンジさんが私の背を包み込む。
頑是ない小さな子供を扱うような素振り。
違うんです──違うんです、サンジさん。私を抱いて。私を、女として抱いて欲しいんです。
私は意を決してサンジさんの顔を見上げる。
そして口にくわえたままの煙草を抜き取って、私が目を離すことが出来なかったあの分厚い唇に、キスをした。

一瞬、ひび割れて固くなった唇の感触がする。
ところが、私は強引に彼から引き剥がされてしまう。
何故?
私は眉に皺を寄せ、彼を見上げた。
「ビビちゃん、俺──」
彼のいわんとすることは分かっている。
ナミさんのこと?
「ナミさんのことですか?」
「ビビちゃん……」
「ずっと、知っていました。おふたりが恋人同士だってことも。それでも私の思いは止められない。
今夜だけでもいい。私をあなたのものにしていただけませんか?」
「でも、ビビちゃん……」
「お願いしても、駄目ですか?」
サンジさんは迷っているようだった。
ナミさんへの思い、私の我が儘をどう断ればいいのかと困惑して。
彼の思いが手に取るようで、余計に自分の煩わしいお願いが恥ずかしい。
でも、後悔はしない。
だって、こんな男性(ひと)、他にいないのだから。
振られたって、構いはしない。
私は、息を吸い込んで微笑んだ。
「サンジさん、好きです。初めて会ったときから──今夜だけ、あなたの恋人にしてください」
唇が震えて、上手く言葉に出来ないけど、つっかえながらもようやく全部言い切った。
これで断られたら──もう諦めるしか手はない。
諦めるなんて到底出来ないけど。
「ビビちゃん──きみは何か勘違いをしてるよ」
「え?」
「俺はナミさんの恋人じゃない」
「でも、でも──」
「ナミさんと俺は、いわばセックスフレンドってやつだな。ナミさんはセックスはしても、その心は誰にも掴ませない。俺はすごくそこのところが好きなんだけどね」
「サンジさん……」
「ビビちゃん、後悔しない?」
「あなたに抱かれなかった方が後悔します」
私の目をしばらく見つめていたかと思うと、ぐいと強引に引き寄せられた。
荒々しく貪るような口づけ。
煙草の強い香りと苦みに混じった、官能的な感触。
夢のような時に胸をときめかせるよりも、肉感的なその口づけに私は体の奥から本能的な官能が立ち上がるのを感じた。
激しくそして淫らな口づけに夢中になりすぎて、私は互いの唇を離した瞬間に大きく喘いだ。
「ビビちゃん──すごく、色っぽいよ」
耳許に響くテノール。
その声に体を震わせたのを少し微笑んで、彼はまた私の唇を奪った。
その唇が徐々に首元、鎖骨、と下りていく。
あのセクシーな唇が私の体を味わっていると思うと、興奮する。
サンジさんの唇は私の体に人知れず潜んでいた快感をひとつずつ発掘していった。
私の吐息が甘く途切れがちになるのを、愉しんでいるかのよう。
サンジさんは深海の青を和らげ、ふわりと私を抱き上げたかと思うと、廃墟の一つを目指した。
今はもう、トトおじさん以外誰もいないユバの町。
ドアを開け「ごめんよ、借りるよ」と律儀に声を掛け、そして彼は部屋の中に入っていった。

締め切った部屋のどこからか入り込んだらしい砂で汚れたベッドカバーを、ばさばさと払って、彼は側に立った私の頭からフードを下ろして、もう一度キスをした。
「ビビちゃん──」
そしてキスの雨を降らせながら、私を静かにベッドに横たえた。
間近で見るサンジさんの顔はやっぱり素敵で、私は、私の唾液で濡れた唇を触った。
それを切っ掛けに、サンジさんは私の耳の裏にキスをして、私は小さく息をつく。
その吐息が自分が思った以上に性的で、そんな自分に驚いた。
「ビビちゃん、もっと色っぽい声聞かせてよ」
「え…やッ……」
「ここは?」
長い指が私の胸を包み込むように覆う。
その触れるか触れないかの羽毛のようなタッチに、電流が走ったように全身が跳ね上がる。
サンジさんが優しく微笑む。
「敏感だね……」
淫乱な自分を見透かされたかのようで恥ずかしく、私はサンジさんの首に抱きつきキスを乞う。
サンジさんの舌は私の口内を這い回り、歯の裏側までも舐め上げる。
また、体がびくんと跳ねる。
そんな私の反応を愉しむように、サンジさんは手慣れた様子で私の服を剥いでいく。
サンジさんが羽織らせてくれたマント、私のマント。
マントの下の踊り子の衣装は露出度が高く、彼の目の前に自分の体を晒すことが今さらながらに恥ずかしくなる。
頬が赤らむのを感じて、思わず目を閉じる。
でも目を閉じると余計に彼の動きが鮮明に感じられて、興奮と気恥ずかしさで、どうしていいの分からなくなる。
サンジさんの指先が優しく服の上から私の胸を愛撫する。
知らず知らず吐息が荒くなる。
体の中心部がとろりと熱くなる感覚。
目を閉じると余計に淫靡でいやらしく感じられるので、そっと私は目を開ける。
サンジさんは真剣な面もちで私を見つめていた。
「サンジさん……」
胸が早鐘を打つ。
熱い想いが溢れだす。
──好き。貴方のことが好き。
サンジさんは眉を少し下げ、口を歪めて笑みを形作った。
その、何とも言えないあなたの表情が好き。
サンジさんは私のハーフトップに手を掛けた。

腰に巻き付くロングスカートを脱がし、最後の一枚であるショーツを脱げば、覆うものはなにもない。
大きめのバストが恥ずかしくて胸を隠すと、サンジさんはにっと笑って、私の長い髪を束ねるゴムを取った。
ふわさっと髪が下りて、私の裸体を隠す。
「まるで生まれたてのヴィーナスみたいだな」
サンジさんの賞賛が余計に私の羞恥を煽る。
サンジさんもまた服を脱ぐ。
着痩せする体のようで、服の下からは均整の取れた筋肉に覆われた体が現れた。
鎖骨から胸に掛けてのラインの美しさにぼうっと見とれる。
ブリーフの下の膨らみを思わず覗き込んでしまい、慌てて視線を逸らす。
そんないやらしい私に気づいたサンジさんは薄く笑い、そしてゆっくりとブリーフを脱ぎ去った。
知識では知っていた男性の怒張を目の当たりにして、私は思わず息を呑んだ。
「触ってみる?」
サンジさんがいたずらっぽく笑う。
おずおずと屹立した男根に手を伸ばす。
「あ…熱い……」
ピンク色のそこは私の手の中で反り返り、さらに鋭角的に立ち上がった。
「ビビちゃん、好きだよ」
彼は優しく微笑んで、私を抱き締めた。
──ナミさんよりも?
私は言葉を飲み込んで、彼の暖かい大きな胸に顔を埋めた。
お願い、今この時だけ──何もかも忘れさせて……

サンジさんの手が、唇が、私の体の隅々を這う。
料理をする時の作業のように真剣で、時には優しい言葉、時にはエッチな言葉で私の固い体をほぐしていく。
じらすように太股を撫でていた指先が、私の蒼い茂みの奥へと潜り込んだとき、明かな嬌声が口をついた。
「……いやっ、恥ずかしい…」
「何で?もっとその可愛い声を聞かせてよ」
「でもっ…」
「ビビちゃんはすごく感じやすいんだね。もうここも──ほら…」
「あッ…!」
「もう充血して包皮から顔出してる。中もとろとろだよ…」
「いや…やめて…」
「やめない」
「あ…あ……ああんっ…」
「どんどん溢れてくるよ…気持ちいい?」
「わ…わかんない…」
「ほら、こうやって擂ってあげると──」
「あぁ…んッ……あっ…」
「あーーたまんねェ。ビビちゃん、もう少し足開いて」
そう言って、サンジさんは私の足を彼の前に広く広げた。
彼の眼前に、私のいやらしい部分を晒しているのが耐えられず、思わず顔を両手で覆う。
暖かくぬめった感触が下肢に走る。
慌てて目を開けると、サンジさんが私の足の間に顔を埋めていた。
「や…やめて下さい!」
「どうして?」
心底不思議そうに、サンジさんが私から口を離す。
「そ、そんなとこ…お風呂も入ってないのに」
「気にしないよ」
「でも、でも、お願い、やめて……」
「どうしてだ?ビビちゃんのここ、さっきよりすごく溢れてきたよ」
彼の言葉に全身が染まる。
心とは裏腹に、下半身はとろとろにとろけきって、痛いほど脈打っている。
全身の血が秘唇に集中しているようで、彼が触れるか触れないかに触るその感触にも敏感に反応してしまう。
「怖い…?」
「いいえ──」
「やめる?」
「いいえ……!」
サンジさんはまたにっと笑って、私の足の間に顔を埋め、未だ指すらも入れたことのない奥へ舌先を入れた。
サンジさんの指が私の内部を探っている。
こんなところにそこがあったのか、と私は変な感動を覚えていた。
月経の時やお風呂などで触ることはあっても、その入り口が何処にあるのか、私は知らなかった。
彼がその扉を開くことで、私は初めてその存在を知り、そしてそこがもたらす快感を知った。
「は…はぁ……あ…」
自分の洩らす嬌声の甘さへの羞恥も忘れ、私はサンジさんが与える新たな快感に身を任せた。
最初感じた鈍い痛みも、徐々に甘さが増し、うねるような快感へと変わっていく。
高く、低く、沸き上がる快美感。
もう、何も考えられない、と目を瞑ったとき、サンジさんの甘く響くテノールが私の耳をくすぐった。
「ビビちゃん、いくよ…」
いく?その意味が分からず、慌てて瞳を開けると、サンジさんが額にうっすらと汗を浮かべ真剣な面もちで、私の体に彼の怒張したものを宛っている姿が映った。
「え……?」
驚く間に、ぬっと固まりが侵入する感覚がして下肢に激痛が走った。
「あ…あ……!」
思わず全身に力が入る。
「ビビちゃん…きつい…もっと力抜いて…」
「は、はい」
でも体が言うことをきかない。
反射的に逃げようと腰が引ける。
「ビビちゃん」
サンジさんのキス。
「ビビちゃん…俺の目を見て」
言われて顔を上げると、そこにはいつも髪の奥に隠れていた瞳が覗いていた。
切なそうな、そして心底愛おしいと思っている、そんな表情。
「今、入り口に俺はいる。すごくきつくて奥に行くのは時間がかかると思うけど……でも、俺、嬉しいよ」
「サンジさん──」
「ビビちゃん、俺の肩に掴まって」
言われるまま、彼の肩に手を回し、私はその美しいブルーに見入っていた。
やっぱり、貴方は綺麗だわ、サンジさん。
額に浮かぶ汗までも、色っぽくて私は胸が熱くなる。
サンジさんに抱かれると言うことは、アラバスタ王家にとって大罪だった。
王家には代々同国の者と結婚するという戒律が存在する。
きっと彼は避妊具など使用していないだろう。
もしこの夜が元で彼の子を身ごもったとしたら──
最後の理性の警告を、私はあっさりと消した。
私は、国よりも、王家よりも、今この時だけは、サンジさんのことが全て。
せめて、今、この時だけは。
涙が流れる。
その瞬間、サンジさんが全てを私の中に埋め、大きく息を付いた。

サンジさんがゆっくりと動き始める。
膣壁が彼のものにえぐられる鋭い感覚が走る。
「ビビちゃんきつい──すぐイっちゃいそうだ…」
サンジさんは眉根に皺を寄せて、少し苦しげに笑った。
苦痛の奥から、徐々に別の感覚──奔流のような、激しい感覚が湧いてきて、私を激しく突き上げる。
サンジさんに即されて、彼の膝の上に跨るような形になる。
先ほどまでの突き上げとは違って、優しくこねり上げるように腰を動かし、私を抱き締める。
海のブルーが広がったかと思うと、サンジさんは優しく思いを込めて私に口づけた。
「少し、激しくするよ?」
サンジさんは私の腰を掴んだかと思うと、自分の腰の突き上げに合わせて私の腰を打ち付けた。
「あ…あ…あ…あ…!!」
荒れ狂う快感に全身を犯され、私は獣のように叫んだ。
サンジさんも大きく低く呻くと、ぶるっと体を震わせた。
どくんどくんと私の中で彼のものが息づくのを感じる。
全てを吐き尽くして、がっくりと項垂れる彼を抱き締めながら、私はこの大罪の悦びに、もう一度涙を流した。

その後。何もかも全てが終わった後──
電伝虫を通しての立志式の演説も終わり、私はもう何も見えなくなった海を見つめていた。
明るい日差しと穏やかな風を受けて、海はきらきらと数々の宝石のように輝いている。
夢中で見入っていた私は、カルーの呼び声に我に返った。
「そうね…また、会えるわね」
私は小さく笑って、カルーを抱き締める。

眼前には海のブルー。いつまでも見ていたかった、海のブルー。
酷く美しかった、私の青。