ONEPIECEエロパロ保管庫 - 6/522-529(サンジ×オリキャラ)
「幻惑の月」
青い月が、石畳を照らしていた。
口の中が切れた血の味と、その冷たさを覚えている。
ちょっとした油断だった。
銃声がした。
普通の鉛玉ならよかったが、薬物が仕込まれていた。
おかげで、撃たれた痛みは大した事もなかったが、その後の記憶が曖昧だ。
船に揺られているのは、連れ込まれた時からわかっていた。
オレは何をしてるんだ?
判っているが、オレがオレじゃない。
陥れられている。
判っているが、オレがオレの中に閉じこめられて、
オレは、オレの意志に関係なく、ボーっとへたり込んでいる。
いや、オレの身体自体は、ソファーみたいなものに寝かされているらしい。
女達がいる。
男が見て楽しむ為の服を着てる。
ちょっと動くと、服の隙間から、いろんな部分が見えてしまう。
普段なら、ちょっとドキドキで、嬉しくてしょうがないはずなのに、
当然の警戒心からか、気分がついていかねぇ。
いったい何処なんだ、ここは。。。
口が寂しくて、懐をまさぐるが、オレの気に入りの上着がねぇ。
「煙草。。。」
間抜けな声がした。オレの声じゃねえか。
しゃべっている感覚がない。
首に、嫌に細い腕が絡みついて、オレにキスをしてきた。
待て、この小さい背中の感触は。
おまえ、一体、幾つだよ。二桁いってんのか、このガキ。。。
頭の中でオレが云うのに、オレは、オレは何やってる。
意識と、身体と、心とが全てバラバラで、オレにはとても制御しきれねぇ。
「おい、煙草だ、煙草」
少女というか、童女というか、そいつは渋々身体を離した。
「待っててねぇ〜」
あどけないように聞こえる言葉の端っこに、老女のような枯れた計算高さを感じ、
背筋に恐怖を覚える。
<マジやばいんでないの?>
陶然とさせる甘い匂いが充満しているのに気づく。
ふと遠くに視線をやると、立っているメイドが、大事なところ丸見えのドレスのその場所を、
向こう側から弄んでいるごつい指が覗く。
あちこちに灯された間接照明を受けて、ヌメヌメといやらしく潤って光っている。
ここが伝説の桃源郷でなければ、間違いなく地獄の門の向こう側って感じだ。
「煙草が欲しいの?」
甘ったるい女の声がした。
「これでも、どう?」
手巻きの、匂いがぜんぜん違う煙草が、口に差し込まれた。
深く、吸い込む。
味が、違う。
ここに充満する臭いの正体は、コレなのか。
なんで、こんなところに居るんだ、オレ。
夢も現実も、判然としない頭で思い出す。
確か、買い出しに来たんだよな、オレ。
バティの野郎が、ついでにイイとこ連れてってやるってんで、
ノコノコと付いていって、見事にはぐれちまった。
初めての街なんで、土地勘はないし、
グルグル歩き回っているうちに、暗黒街に足を踏み入れていた。
この辺は無法地帯だから注意しろと、カルネにも釘を刺されていたし、
危険を省みない年頃とはいえ、無謀を知らないほど子供でもない。
しかし、この状況に陥ったのは、早い話、慢心というやつだ。
少しばかり足技に長けているつもりで、余裕かまして見物と決め込んだらこの有様。
クソオヤジの嘲り声が聞こえてきやがる。
<いい気になるな、チビナス>
ああ、オレはまだまだチビナスだよ。
「場違いな子ね、あなた」
煙草を差し出した女が、耳元で囁いた。
黒髪で、エキゾチックな顔立ち。
その辺にゴロゴロしている逝ってしまったような顔つきの女たちとは明らかに違う、
知性的な目をしていた。
「手違いで連れて来られたのね。
運が悪かったとあきらめることね。」
周りに聞こえないように注意しながら、彼女は云った。
「オレは帰らなきゃなんなぇんだ。一体、何処なんだよ、ここは」
「そうね、魑魅魍魎の巣といったところかしら。」
彼女は、オレの右手に触れた。
「あら、こんな所にタコがあるわ。職人さんなの?」
「コックだ」
「だったら、ここの主人に売り込んであげましょうか。
ここは一旦入ってしまったら、死体か廃人にならなければ、外には出られないの。
コックさんは貴重だわ。腕が良ければ商品扱いされる事はない。
命が永らえられるわ。」
「商品?」
「そう、商品よ。
此処にいる女子供、みんな商品。生きているオモチャ。」
「でも、オレは男だし」
「馬鹿ね。15、6才の男の子は、いい値がつく商品なのよ。
世の中、変態さんが多くてね。
売られたり、さらわれたりしてきた男の子や女、子供を、薬漬けにしてね、
薬欲しさに、自ら客を取るように仕向けるの。
壊れてしまうまで、こき使われるわね。」
「それは困る。オレは、帰らなきゃならねぇんだ。
オレの命は、オレだけの命じゃねぇ。
この命のために、ある人は命を掛けてくれた。
オレは、まだその恩をかえしちゃいねぇし、オレには、まだ見たいものがある」
女の表情が、わずかに緩んだ。
その緩んだ一瞬の表情は、微笑みなのか、悲しみなのか、
読みとれぬうちに、戻ってしまった。
彼女は、立ち上がると、バーカウンターの側に立つタキシード姿の男に何やら語りかけた。
そして戻ってきた。
「ねぇ、コックさん。一回だけ我慢してね。何とかしてあげる。」
彼女は、オレの唇をキスで塞ぎながら、また囁いた。
「ニキータ、こいつを運ぶのかい?」
「そうよ。例の部屋へ、よろしくね。」
筋肉自慢の屈強な男が現れ、オレをひょいと抱え上げる。
待て、もしかして、オレ、そういう、いや、趣味は、
いや、そういう問題じゃね〜。
別室に移され、ベッドの上に放り投げられた。
男は、出て行った。
オレは一応ホッとして、暗いその部屋の天井を見上げた。
ガラスの天窓があり、その上に船の帆が見える。
その向こうに、青い月。
フッと部屋の灯りがついた。必要以上に明るい。
そのせいで、ガラスの天窓の向こうが見えなくなった。
さっきの女が、ガウンを羽織って立っていた。
彼女だけは、薬をやっていないように見える。
その怜悧な瞳は、微塵の曇りもない。
しかし、女の纏う退廃的な雰囲気のせいなのだろうか、
顔立ちよりも遥かに大人びて見える。
「どうなるんだ、オレ。」
「ショーが始まるの。変態さんたちを喜ばせるためのね。
命は預かるわ。その代わり、確実に、あなたの戻るべき場所に返してあげる。
ここは絶望の住む場所。
コックさん、少なくともあなたの居場所じゃない。」
「ニキータってのは、キミの名か?」
「黙って。
私が何をしても、私を信頼して、私のするとおりに合わせてね。」
オレの問いかけを無視すると、彼女は持ってきたワイングラスの中の液体を口に含み、
オレに口づけて、それを流しこんだ。
「飲んで。」
オレは、甘ったるいそれを嚥下する。
そして、彼女は、オレにキスを繰り返す。
大胆に舌を絡めながら、誰かに見せつけるように。
天窓の向こうに人の気配がある。
彼女は、オレの服に手を掛けた。
さっき飲まされた甘ったるい液体が、胃の中で熱くなっているのを感じる。
体中の血液が駆けめぐるのを感じる。
こんな不審な状況の中、激しい欲望が芽吹いてくる。
彼女の手が、解けかけたネクタイを外し、シャツのボタンを外し、
オレの身体を剥く頃には、オレは激しい乾きをおぼえ、彼女のガウンの胸元から覗く、
丸い乳房に吸い付きたくて仕方がない。
シャツから両手が抜けると、ガウンの胸元を広げ、オレは彼女の乳輪を嘗め回していた。
頭の中は、イヤらしい感情で一杯になる。
脈打ち始めた股間の熱さが堪えきれない。
冷たい手が、ベルトを外し、その熱を冷ますように包み込む。
「ゴメンナサイね、効き過ぎたわね」
その手に暫くさすられると、猛った欲望が堰を切って放たれた。
しかし、それでもそそり立つものは、少しも静まりをしらない。
彼女の口に含まれて、また脈動を感じはじめる。
オレの手を取って、彼女は自分のガウンの中に差し入れた。
折り重なる秘部の奥のヌメッとした感触に、オレは自分の欲望の求める先を知った。
彼女は、ベッドの上に横たわり、ガウンをはだけて大胆に足をを広げた。
そして、その場所を天窓に見せつけた。
桃色のきれいな色をしている。
「嘗めて、コックさん」
背筋にゾクリとくるような、そそる声だった。
オレは、いつの間にか、彼女が演じる快楽の空間に没頭していた。
彼女の広げられたその場所を嘗め回し、溢れてくる汁を激しい音を立てて啜っていた。
イヤだ、オレは、こんなのイヤだ。
頭の奥で、檻に閉じこめられたオレが叫ぶ。
彼女の口元にもっと嬲られたくなり、その脈動する場所を差し出すと、
彼女も音を立てて嘗めはじめた。
頬をすぼめイヤらしく動く彼女の口は、竿以外の場所も嘗め回す。
スルリと、肛門に指が差入れられたのを感じた。
オレは、彼女の潤った場所に、激しく滾る欲望を差入れ、突き上げた。
周囲の情景は消し飛んで、代わりにいろんな色彩の形のあるような、
ないような図形がぐるぐる回転している。
花の形になったかと思うと、今度は蛇がとぐろを巻いているような形になる。
そして激しい射精感があった。何度も、何度も襲ってくる。
快楽と、法悦と、そして、地獄を垣間見たのだと思った。
そして、突然、意識が飛んだ。
「薬が効きすぎたわ。
もうダメよ。死んじゃうわ、この人。。。」
そんな声を最後に聞いた。
残月が、石畳の上の青く澄んだ空に、白く浮かんでいた。
早朝の冷たさが背中に痛かったのをおぼえている。
バティに抱き起こされた。
肩に鋭い痛みを感じ、重たい頭を振る。
「喧嘩でもしたのか?まあ、よかった。命があって。
怪我してるな。手当はしてあるみたいだが、もう一応、医者に行ったほうがいいかもな。」
まだ若いサンジをはぐれさせ、怪我までしてしまった事について、
バティは年上として責任を感じている様だった。
胸元に手をやると、そこに自分の煙草があった。
どうして、突然、そんな昔の記憶が蘇ってきたのかわからない。
早朝の冷たい風が、ゴーイングメリー号の帆を膨らませ、波の上を滑らせていく。
夢とも、現実ともわからない、あの不思議な夜。
煙草を口にくわえた。
突然、キスが欲しくなった。
あの、甘ったるい味のキスが。
「早いのね、コックさん」
昨夜の見張りに立っていたロビンちゃんが降りてきた。
どこかで見た顔だと思い、思い出せずにいた。
まさか?
あれは夢だ。。。
そうだ、現実であっちゃいけない。
「おはようございます、ロビンちゃ〜ん。
ただ今、熱いカフェオーレでもお持ちしますね〜」
気を取り直して、厨房に入る。
少なくとも、ニコ・ロビンは、あんな絶望した顔をしていない。
−−おわり−−