1 :
◆MHdQKyTE3k 2016/09/30(金) 23:43:34.59 ID:EJF+ELkM0
冷たい床の感覚。それが、私を眠りから引き戻す。
倒れたのは確かに建物の前だったはず。でも――
??「…教室…?」
誰かが私をここまで運んだのか、それとも夢遊病よろしくここまで這いながら辿り着いたのか。
??「…というかここどこ?」
教室のような内装。だが、窓には鉄板が張られ、おまけに監視カメラまで付いている。
到底、授業をやれるような場所ではないのは確かだ。それに加え生活感もない。
??「んー…教室じゃないとなると…」
考えながらふと机の上に視線をやる。
??「え、何これ…」
新聞を切り抜き、まるで犯罪予告のようなその紙には――
2 :
◆MHdQKyTE3k 2016/09/30(金) 23:44:09.41 ID:EJF+ELkM0
??「"希望ヶ峰学園入学式"…?」
…ああ、そうだ。そうだった。この希望ヶ峰学園の門戸を叩く前に私は倒れたんだった。
??「カガコウカ様…」
加賀紅香。自分の名前さえも思い出せなかったのだから、ここが希望ヶ峰だと見当が付かないのも仕方ない。
加賀「…あっ!希望ヶ峰って事は…」
才能が、有るはずだ。…有るはず…。
加賀「…あれ…?何だっけ…?」
何らかの才能があるのは確かなはずだ。肝心のそれが思い出せない。
ネットで調べたはずの情報すら、まっさらに抜け落ちてしまっている。
加賀「どーせなら"超高校級の○○"とか書いといてよ…!」
誰に言うでもなく、才能を思い出せない苛立ちをふざけた招待状にぶつける。
加賀「はぁ…場所は…体育館で。時間…十時半…」
時計は十時前を指していた。
加賀「んー…まあでも余裕を持って行った方が良いよね」
どこにあるか分からない体育館だ。探すのに時間が掛かるかもしれない。
そう思って、教室を出た。
3 :
◆MHdQKyTE3k 2016/09/30(金) 23:45:00.51 ID:EJF+ELkM0
…体育館まで一本道みたいな物だったのは運が良かった。
しかし途中の封鎖された玄関ホールに、改めてここが異様な空間だと再認識させられる。。
…つまり夢遊病なんかじゃなく、誰かが運んだ…
加賀「いや…えぇ…どうやって入ったのよこれ…」
方法を考えるだけ無駄な気がしてきた。
というか、考えたって答えが出そうにない。
そう感じながら、入学式の会場である体育館へと、私は足を踏み入れた。
5 :
◆MHdQKyTE3k 2016/09/30(金) 23:47:02.93 ID:EJF+ELkM0
生徒番号07
加賀紅香 【超高校級の???】
身長 158cm
備考 橙色の髪 好奇心はあまり強くない 学生服
6 :
◆MHdQKyTE3k 2016/09/30(金) 23:48:22.31 ID:EJF+ELkM0
-体育館-
加賀「…広い」
流石希望ヶ峰、と言ったところか。
??「むむ…これは人の香り!」
??「ワッツ?匂いなんてどこにもナッシングですよ?」
…早速、見ただけで面倒そうな人たちが来た…金髪アフロの白人とセンス皆無の服はヤバいって…。
加賀「…えーと」
??「Oh、ソーリーソーリー。拙者はイモニア・エウロパ・卯田ですネ」
加賀「拙者なのに語尾はござるとかじゃないんだ…。違和感が…」
イモニア「Mmm…ミオには何とも言われなかったですが?」
ミオ「拙者、の語尾がござるじゃないといけないなんてそんな考え方は古い古い、古いよ古い!」
加賀「何回言うの…」
7 :
◆MHdQKyTE3k 2016/09/30(金) 23:49:29.15 ID:EJF+ELkM0
ミオ「…あ、あたしは露寺美緒。どっかの見掛け倒しみたいに"デラミ"なんて呼ばないでよね」
加賀「…何でデラミ?」
イモニア「I think…つゆ"デラミ"お、から名付けたと思いますネ」
全然気付かなかった。言わなきゃ良かったのに…。
加賀「ああ、なるほど…で、みかけ」
露寺「ところであなたは?」
加賀「…あ、加賀紅香です」
イモニア「加賀…四人目ですね」
四人目?何がだろう…
加賀「…加賀が四人も?」
イモニア「ノー、ジャパニーズフェイマスチメイが苗字の方だよ」
露寺「コウちゃん、アスちゃん、クニやん、ノリやんの四人だね」
加賀「…ちょっと待って苗字が分からないんだけど」
イモニア「確か…カガ、ニイジマ、イナバ、イイダ…ですネ」
1 ニイジマ?どこ?
2 あ!新島って伊豆諸島の…
3 そもそもイナバってどこ…
↓1
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/30(金) 23:50:05.24 ID:1i/G/DOAo
1
9 :
◆MHdQKyTE3k 2016/09/30(金) 23:51:24.43 ID:EJF+ELkM0
加賀「…ニイジマ?どこ?それ」
露寺「…新島を…知らない…?」
…若干露寺さんの顔つきが変わったように見えた。
加賀「そんなに有名じゃ」
露寺「アメリカにしか分布しないと言われたキタゾウアザラシが見つかったちゃんとした土地ですよ!何で知らないんですか!アザラシですよ!?ア・ザ・
ラ・シ!海の豹と書いてアザラシですよ!?」
加賀「えぇ…何この反応…アザラシ好きすぎでしょ…」
イモニア「彼女は超高校級のバイオロジスト、もとい生物学者だからこの反応は仕方ないヨ」
イモニア「ちなみに拙者は超高校級のラッキー、もとい幸運デスネ」
加賀「もといの使い方微妙に違う気しかしないんだけど」
露寺「…ま、まあいいよ、新島の知名度が低いのはもうどうしようもないから…」
10 :
◆MHdQKyTE3k 2016/09/30(金) 23:52:03.07 ID:EJF+ELkM0
イモニア「…ところでユーは?ユーは何しに希望ヶ峰へ?才能は?」
それむしろこっちが言う方の台詞でしょ。
加賀「…ごめん、それが…思い出せなくて」
イモニア「…ノーギフツ?オア、オンリーフォゲットユアギフツ?」
加賀「…何で全部英語なの…分からない、ただ思い出せないだけだと思う」
露寺「…うーん…思い出せないか…あ!」
加賀「え、どうかした?」
露寺「…脳いじる?」
加賀「いじりません」
何かこの人怖い…!
11 :
◆MHdQKyTE3k 2016/09/30(金) 23:54:02.30 ID:EJF+ELkM0
??「…あ」
露寺さん、イモニア君が去って息つく暇もなく、和服の女性と妙な格好の男性が近付いてくる。
??「…新入り?」
加賀「ま…まあ…」
??「…おいサノ、よせ。困ってるだろう」
サノ?「別にウチは新入りに新入りって言っただけじゃん?」
バイトリーダーかよ…。
加賀「あ…加賀紅香、です。才能は…思い出せなくて…」
狭野「は?マジで?才能思い出せないの?ウケ――いった!女子に手出すのは無しでしょ無し!」
??「お前のような外面だけまともな輩が女子なぞ名乗るな。反吐が出る」
狭野「アッシーそろそろ怒るよ?ねえ?」
アッシー「怒ることを予告する輩は怒ったところで大して怖くない」
狭野「うっわ!何それマジで?いやまあ確かにそんな怖くないけど」
加賀「アッシー…?」
12 :
◆MHdQKyTE3k 2016/09/30(金) 23:55:04.59 ID:EJF+ELkM0
アッシー「…芦本軽明。才能は超高校級の作家だ」
狭野「あ、ウチは狭野」
芦本「名乗る前にさっきの不遜を謝罪しろ」
狭野「えー…別にジョークだしよk」
芦本「良くない早く謝れ」
狭野「…ウィーッス…さっきはジョークとは言えあんな事言ってごめんね、ガガガ」
加賀「ガガガ…?ひょっとして露寺さんにデラミってあだ名付け」
狭野「ウチは狭野由地夜!超高校級の茶道家!ま、どっからどう見ても茶道家だし?」
加賀「…」
芦本「はあ…ここまで外観と内面が一致しない奴は見たことないだろう、加賀」
1 確かに…ないです
2 そう…?
3 むしろ一致する方が怖くない?
↓1
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 00:01:44.61 ID:yrnH4+OhO
2
14 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/01(土) 00:11:42.58 ID:92Z10vv20
加賀「そう…?今時ギャップの凄い人なんて珍しくとも何とも…」
狭野「でしょ?やっぱアッシーが古くさいんだって」
芦本「…作家仲間にこんな奴はいなかったからな」
加賀「見るからに真面目そうだしね」
芦本「…だとしても狭野、お前は差が激しすぎる」
狭野「いやいやいやこれくらいフツーに…フツーに…」
狭野「いない…」
芦本「少なくともここではお前が」
狭野「えっ!?いやここってやっぱ才能ある人ばっかだし?やっぱそういう点で本来人間が持つはずの外見と内面とのギャップを消費しちゃってるんじゃないかなーって」
芦本「はぁ…暴論が過ぎやしないか」
狭野「アッシーだって人のこと言えなくね?自己紹介がてらにすることじゃないっしょ、あれ」
芦本「…まあな」
加賀「何のこと…?」
15 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/01(土) 00:16:31.49 ID:92Z10vv20
芦本「…加賀、これをやる」
加賀「…栞?」
薄赤いベースに、金箔で絵が形取られている。
狭野「えー!?ガガガ金箔!?いいなぁー…ま、ウチはシックな抹茶色のやつ貰ったし?」
自己紹介がてら…ってこれのことか…。確かに変と言えば変…。
加賀「全員にあげてるの?」
芦本「…まあな」
加賀「…どうして?」
芦本「相手に栞を渡すことで、相手にとって俺は『栞を渡してきた人』、になる。それが負のイメージを持つこともあろう」
芦本「初対面の人間に栞を渡すなぞ正気でないと思われるかもしれんが、それでも構わん。俺は相手の印象にさえ残り」
芦本「俺の本を買い、俺の作品の読者になってくれたのなら僥倖だ」
狭野「…って、何かもっともらしい言い訳垂れてるけど、ただ栞好きなだけらしいよ」
芦本「おい」
狭野「ウィッス」
芦本「…あと狭野、俺のアッシーは分からんでもない。だが加賀のガガガは何だガガガは」
芦本「文庫じゃないんだ」
狭野「えっどっちかというとスペシャルじゃないの」
加賀「何言ってんの二人とも…」
16 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/01(土) 00:18:30.03 ID:92Z10vv20
??「おおおおおおおっ!」
…あの男子は何故に叫んでこちらに猛ダッシュで来るのだろうか。歩けば良いのに…。
??「ちょっ、典羽矢君…速い…待って…」
後ろから色白の女性が歩いてきている。
??「スタッ」
自分で言うのか…。
??「俺は飯田典羽矢、超高校級のスプリ」
??「スプリンターだなんてかっこつけてないで…はぁ、はぁ…短距離走者って言えば…?」
飯田「いや…それはダサい!漢字の時点でまずダサい」
かっこつけたいタイプか…。
??「漢字がダサいって…どうせなら正式な肩書きで言おうよ…」
飯田「それだけじゃない!短距離走者は若干言いにくいんだよ!」
??「自分で陸上の道選んでおいてよくそんなこと言えるよね…?」
飯田「陸上の道は選んだが短距離走者は言いづらすぎて敵わん!」
1 ちょっと待って私置いてけぼりだから…
2 他に何かあるの?
3 そちらの方は…?
↓1
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 00:20:48.05 ID:kACuoYqe0
3
18 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/01(土) 00:28:48.68 ID:92Z10vv20
加賀「そちらの方は…?」
??「…私?」
飯田「お前しかいないだろ…」
??「私は…紡紫葉莉…超高校級の工芸部…」
加賀「工芸部…」
インドア派とアウトドア派…。
飯田「…ところでアンタ、名前は?」
加賀「加賀紅香です。才能は…思い出せなくて」
飯田「思い出せない、か」
飯田「あ!ホントは思い出せてるけど、実はサプライズで明かすつもりとか…」
加賀「本当に思い出せなくて…」
飯田「…マジな方の奴?」
むしろなんでマジじゃないと思ったんだ。
19 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/01(土) 00:30:12.03 ID:92Z10vv20
やっとまともそうな二人組が来た…片方はエプロン付き、もう片方は多分アスリート系かな?
…というか二人で来るのが慣わしなの?
??「よっす!」
??「どうも」
加賀「あ、どうも…」
??「俺は谷拝登。超高校級の排球選手だ」
??「私は樫月明美。超高校級の保育士です」
加賀「あ、私は加賀紅香です…才能は思い出せなくて…」
谷「思い出せない、か…ま、その内何とかなるだろ、記憶なんてそんなもんそんなもん」
樫月「うんうん、年取ると物忘れ増えますしねぇ」
加賀(年取ると、って…高校生の台詞じゃない…!)
谷「…」
樫月「…」
加賀「…」
加賀(今まで突っ込んでたから多少は話進んだけど)
加賀(二人がまともすぎて話が進まない…!)
1 谷に話を振る
2 樫月に話を振る
3 二人で来てる理由を聞く
↓1
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 00:49:51.45 ID:yEXID22p0
3
21 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/01(土) 00:55:51.29 ID:92Z10vv20
加賀「というか…何で二人で?」
谷「んー…何でか、と言われるとな…」
樫月「何か成り行きですよね」
谷「ここに来た時点であそこの寝袋の奴と、あと数組の男女が既に話してたし」
谷「そのあとに樫月が来て、まあこのまま二人ぼっちもちょっと淋しい、と思ってな」
加賀「ふーん…じゃ二人は別にそういう仲では…」
樫月「ないですよ?」
谷「ああ。たまたまタイミングが合っただけだしな」
…なるほど。…あれ?
つまり私は…その寝袋の子とペア的な物になるのかな?
22 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/01(土) 00:58:00.29 ID:92Z10vv20
??「おりゃりゃりゃりゃ…おりゃ?」
前言撤回!流石希望ヶ峰…変人だらけ…!
??「ちょっ真理華さん急な方向転換は…痛い痛い痛い!!」
男側がイケメンじゃなかったら犯罪臭のする奴だこれ…。小っさいし…。
真理華?「とうっ!」
??「うわっ!」
長い間振り回されていたのか、男子の方は既に疲労困憊しているように見える。
何かこれ…さっきの飯田君と紡さんと同じ匂いがするなぁ…。
真理華?「どうもどうも!」
加賀「ど…どうも…」
真理華?「不知火真理華です!…ほらショウ!」
ショウ「えぇ…ボク…?」
不知火「はーやーく!」
ショウ「…栗須鐘太…です」
加賀「加賀紅香です…」
不知火「超高校級の花火師ですっ!」
栗須「…超高校級の冒険家です」
加賀「あっ…あの才能は…」
何か小さい子供の話に付き合う学生になってきてる…。
…こう思うと樫月さん大変なんだろうなぁ。
23 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/01(土) 00:59:48.64 ID:92Z10vv20
加賀「あの…その…不知火さんは…高校生…だよね?」
不知火「そうだけどー?」
言動も幼いし顔も幼いから高校生に全然見えない…!狭野さんみたいなギャップはないし…!
加賀「…ホントに?飛び級とかしてないよね?」
不知火「してないよー」
栗須「…らしいんですけどね…」
苦笑する栗須君は対照的に大人びているように思える。冒険家だからかな?
…というかこんな幼い子に花火師務まるのかなぁ…。務まるからここにいるんだろうけど…。
1 不知火に話を振る
2 栗須に話を振る
3 この場を去る
↓1
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 22:34:11.52 ID:jhW85wrQO
1
27 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/01(土) 22:45:58.02 ID:92Z10vv20
加賀「…不知火さんって」
不知火「んー?」
加賀「ちゃんと花火上げれるんだよ…ね?」
不知火「あたりまえじゃん!花火師だよ花火師!」
加賀「…何で花火師になろうと…?」
不知火「うーん…どかーん!ってなるところかなー」
加賀「…どかーん…」
不知火「ばくはつするときがもうたまんないー!ってなるの!」
加賀「へ、へぇ…」
露寺さんと一緒のタイプな気がする…。
不知火「あと火薬のにおい」
えぇ…。
28 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/01(土) 22:50:49.16 ID:92Z10vv20
今度は学ランと…あれ?また学者?白衣だし…。
白衣「…どうも」
学ラン「どもっす」
加賀「どうも」
案外まとも…?
白衣「…新島飛鳥。超高校級の頭脳」
加賀「あっ」
新島「…何?」
加賀「えっ、いやあの…」
さっき言ってたニイジマさんだ…。
新島「…亜堂君」
亜堂?「…え、俺?」
新島「先にやってもらう?」
亜堂?「そのつもりだったんだけど」
新島「…じゃ、あなた」
加賀「あ、加賀紅香です」
亜堂?「…あっ」
新島「さっきから何よ…!」
29 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/01(土) 22:57:21.50 ID:92Z10vv20
亜堂?「あ、いやさっきからイナバだの飯田だの地名ばっかだなーと思っただけ、そんだけ」
新島「…ああ、そういうことね。…というか亜堂君」
亜堂?「ん?…あ、悪い悪い。俺は亜堂銀二、超高校級の二番手」
加賀「二番手?」
亜堂「そう!血液型は日本で二番目のO型、誕生日は新学期二日目の4/3、利き腕は日本で二番目に多い左利き!」
加賀「最後は何か違う気がするけど…」
亜堂「…ま、これは初対面の人の興味引き用で、もっとまともなもんはいっぱいあるんだけどな」
1 気になる
2 何で言わないの?
3 新島さんはこうやって勿体ぶる男の人、どう?
↓1
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 22:59:31.07 ID:hozgGj5DO
3
31 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/01(土) 23:12:30.28 ID:92Z10vv20
加賀「新島さんはこうやって勿体ぶる男の人、どう?」
新島「…へ?え、今私に振る場面だった…?」
加賀「何となく…」
新島「勿体ぶるのは…あまり好きじゃないけれど。まあ、そのまともな物をひけらかさない点では評価できるわね」
亜堂「淡々としてんな」
新島「…何か?」
亜堂「いやいや、もっと顔とか褒めてくれてもいいんじゃないかなって」
加賀「そういうの自分で言うんだ…」
亜堂「ま、二番手と言うだけ有って二枚目だし?」
加賀「そこまで…」
新島「二枚目ね…一枚目がここに居れば良いわね」
加賀「…一枚目ってどういう意味なの?」
新島「確か…単純に主役、という意味だったはず」
加賀「へぇ…」
新島「一枚目が居なきゃ、亜堂君は二枚目にはなれないもの」
新島「ちなみに新島村は東京都の村で二番目に人口が多いわ」
加賀「ものすごい無駄知識だね…」
32 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/01(土) 23:14:51.45 ID:92Z10vv20
声を掛けられてないのはあと三人…残り十分か。
…寝袋で寝てる人は最後にしとこう。出来ればスルーしたい。
加賀「あ、あの」
がたいの良い男子と少しだけ恰幅の良い女子に声を掛ける。
男子「…」
女子「ん?どうしたの?」
加賀「か、加賀紅香です」
男子「…チッ…今頃自己紹介かよ…遅えだろ…」
…えっ、今舌打ちされた?されたよね!?
男子「…オレは因幡国大。…大工だ」
加賀「道理でがたいが良い…」
因幡「あ?」
加賀「いや…なんでもない…」
何でこの人初対面の人にメンチ切ってんの…。
女子「国大さん顔が怖い…あ、私は大江杜麩果。超高校級の栄養士よ」
こっちはこっちでメンチ切るのか…!
加賀「ふふ…」
因幡「…何が面白えんだよ…」
大江「…あ、私の名前かな?トフカ、なんて聞いたことないだろうし」
1 いや、メンチ… 2 珍しい名前だね 3 大江さん、結構食べるの?
↓1
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/01(土) 23:42:24.25 ID:hozgGj5DO
2
34 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/02(日) 00:10:54.38 ID:Hs9SwTU00
加賀「珍しい名前…だね」
大江「でしょ?私の母方の祖父がロシア人でね、まずトフカ、って読みが決まって」
加賀「急に話がぶっ飛んだね…」
大江「それと父方の祖母がお麩職人で」
加賀「お麩って職人いるんだ…」
大江「私のお母さんがもうホントに果物大好きで大好きで!」
加賀「ああ…え、杜は?」
大江「…杜?ヤマナシだよ」
加賀(宮城じゃないんだ…)
大江「ヤマナシはその名の通り梨の一種なの!名前はあまり知られてないけど…」
加賀「…ってことは大江さんの名前は全部食べ物…?」
大江「そう!そうなの!」
すごい嬉しそうな顔するなぁ…。食べるの好きなんだろうな。
35 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/02(日) 00:13:25.55 ID:Hs9SwTU00
…で、最後は…。
寝袋「…Zzz」
…話しかけにくいなぁ。起こしたら悪いし…。
加賀「…うーん…」
加賀「大江さん」
大江「ん?どしたの?」
加賀「あそこの寝袋の子って…」
大江「えーっと…あの子は確か超高校級の…あれ、何だっけ?」
因幡「…ロングスリーパー?だっけか」
大江「あ、寝袋持ってたからアルピニスト…だっけ…?」
加賀「な、名前は?」
因幡「…忘れた」
大江「何だったかな」
加賀「えぇ…」
36 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/02(日) 00:18:00.56 ID:Hs9SwTU00
??『えー、マイクテストマイクテスト』
加賀「校内放送?」
??『バラバラだなぁ、言うこと聞かない子供じゃないんだからもっとまとまって欲しいよ』
因幡「…誰だか知らねえけど全部こっちに聞こえてるぞ」
??『聞こえてるならまとまれよ!子供じゃないんだから言われた事位ちゃんとやる!』
因幡「中学教師かよ…」
栗須「…集まりましょう」
飯田「どこに?」
谷「寝袋の奴のところでいいだろ、どうせ起きねえし」
谷君の声を皮切りに、皆がある程度まとまり始めた。
37 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/02(日) 00:20:02.16 ID:Hs9SwTU00
??『お集まりいただき何よりです』
??『ゴホン、えー、それでは只今より、希望ヶ峰学園入学式を執り行います』
??『一同、礼!』
寝袋で寝ている男子を除き、全員が舞台方面へ礼をしたその時――
――何かの落下音と共に。
??「がはっ…!おも…重い…どいて…」
苦しそうな声で何かに懇願する、聞き覚えのない声。
??「うぷぷ、挨拶ちゃんとしないからこういう目に遭うんだよ、シロスカ君。まあどくけど」
その方向には――
??「ボクはモノクマ!希望ヶ峰学園学園長なのです!えっへん!」
踞る寝袋の彼と、見たことのない、不気味なコントラストの"何か"が立っていた。
38 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/02(日) 00:21:23.88 ID:Hs9SwTU00
イモニア「…モノクローム、andクマ…でモノクマ?」
芦本「確かに白黒ではあるが…何故日本語と英語を交ぜる…」
モノクマ「コラーッ!静粛にーっ!」
モノクマ「…ゴホンゴホン、まず初めにオマエラの学園生活について説明します!」
モノクマ「ここに来たオマエラは、当然素晴らしい才能を持ったいわば"世界の希望"たる人間です!」
モノクマ「よってそんな"希望"保護の為に…」
モノクマ「オマエラにはここで共同生活を送ってもらいます!」
モノクマ「期間は無期限、生活に必要な物は当然こちらからたーんと提供します!」
新島「…今、無期限って言った?」
モノクマ「ええ!無期限です!」
新島「…つまり脱出は…不可能。そういうことかしら?」
モノクマ「流石新島さん鋭い!あっさり言えばそういうことになるね!」
紡「な…何で今の話からそんな事が…?」
新島「無期限でここでの共同生活、そして窓に張られた鉄板、封鎖されたホール。あなたたちもここに来る最中見たでしょう?どう考えても脱出は不可能よ」
大江「飛鳥さん、なんでそんな冷静なの…」
39 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/02(日) 00:23:04.32 ID:Hs9SwTU00
栗須「…出られないって…つまり老いて死ぬまでずっとこのまま…」
狭野「それは…おかしいっしょ、いやいやいやどう考えてもおかしいって!」
亜堂「脱出不能って…それって監禁じゃ…」
モノクマ「じゃ聞くけどさ亜堂クン、これが監禁だとしたら?まさか警察が来て助けてくれるとでも?」
亜堂「えっ…」
モノクマ「ま、そんなもん来ないだろうねぇ。だって」
モノクマ「オマエラ、みーんな同意の下でこの希望ヶ峰に来てんだもん。ねぇ?」
モノクマ「…ま、どうしても出たい、なんて我が儘な人には今から良いことを教えてあげちゃうよ!」
モノクマ「当然脱出が一切出来ない!なんてことだったら、それこそ亜堂君の言ったように監禁になっちゃうし」
モノクマ「どーしても脱出したい!何をしてでも脱出したい!そんな方は是非ともね!是非とも!」
次の言葉で、場の空気はより凍り付いた。
40 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/02(日) 00:26:08.68 ID:Hs9SwTU00
モノクマ「人を殺してください。自分の手で」
今までの半ば冗談じみた"何か"の口調が、突如恐怖を帯びて聞こえてくる。
モノクマ「方法は問いません!絞首、斬首、銃殺、釜茹で、溺死、電気、火炙り、薬殺、鋸、磔、何でも構いません!」
モノクマ「とにかく!誰かを自らの手で殺める!」
モノクマ「そうしたら脱出できる…そういうこと!」
樫月「希望を保護するためなのに…別の希望を…殺す…?そんなの…」
加賀「…おかしいよね。おかしい…そんな希望同士で…殺し合いって…」
露寺「…」
モノクマ「と、言う訳でどーしても出たい奴は人を殺せ!それ以外はずっとここで暮らせ!以上!」
モノクマ「それじゃ、快適な学園生活――」
41 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/02(日) 00:30:06.32 ID:Hs9SwTU00
芦本「――お前は何がしたい」
モノクマ「何って?」
芦本「亜堂が言ったようにこれは監禁だ。そしてここからの脱出の条件に殺人を強要するこれは強要罪、先程からのお前の発言はほとんどが脅迫罪」
芦本「まさか私は人形だからそんな法は適用されぬと言い逃れるつもりはあるまいな」
不知火「!カル暴力は…」
芦本「黙ってないで何か言え!」ガッ
感情的になった芦本君がモノクマを踏みつける。
モノクマ「…踏みつけたね?親父にも踏まれたことないのに…学園長への暴力は校則違反だってのに…!」
そう言い切るや否や、モノクマが電子音をたて、その目が点滅し始める。
栗須「…あれってまさか…」
大江「爆発する!?」
加賀「芦本君!逃げて!」
芦本「…ふん、どうせただの虚仮威しに過ぎん。退いたら俺の負けだ」
狭野「んなこと言ってる場合じゃないって!」
芦本「俺は動かん!」
イモニア「アシ!プリーズ!」
芦本「動かん!」
爆発を恐れて、皆、言葉でしか芦本君を遠ざける術を持たなかった。
耳を貸さぬ芦本君、万策尽きた。皆そう思った。
…だが。
42 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/02(日) 00:31:15.38 ID:Hs9SwTU00
寝袋「危ない!」
いつ彼は起きたのか。そんなことはどうでもいいと思える程、その声は体育館中に響き渡った。
そして爆発よりも早く。
寝袋「逃げろ!」
間一髪。寝袋の彼が芦本君の背を押し、モノクマから離した瞬間。
それは大きな音を立て爆発した。
43 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/02(日) 00:32:53.09 ID:Hs9SwTU00
芦本「何をするシロスカ…!お前のせいで足首を」
モノクマ「あーあーあーあー!つまんねー友情ごっこはその辺にしといてよ!」
因幡「…死なねえのかよ」
モノクマ「芦本君、今回は初犯だからこの程度で許してあげたけど…」
モノクマ「飯田君、短距離走のフライングの罰則言ってあげてよ」
飯田「一発アウトだろ」
モノクマ「うぷぷ、ボクはそこまで非道じゃないからね!その前は?」
飯田「…二回目以降のスタートでフライングをした選手は失格…」
モノクマ「そゆこと!ま、オマエラにも分かるように言えば」
モノクマ「次はないってことだよ!」
モノクマ「ま、何が校則違反になるのか分かんねーオマエラの為に電子生徒手帳を用意しました!」
モノクマ「部屋に置いといたから各自確認しとくこと!耐久性はインド象が踏んでも壊れないしインド象の胃液でも溶けないから!その辺は大丈夫だよ!」
モノクマ「それじゃ今度こそ…快適な学園生活をエンジョイしてね!うぷぷ、またねー!」
皆が言葉を失う。
誰も何も言い出すことが出来ない。
誰と話しますか?
↓1
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/02(日) 06:45:43.36 ID:DzudQoOb0
敢えてシロスカに触れずに
芦本
45 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/02(日) 21:04:12.55 ID:GDGSjlF30
芦本「ちっ…」
加賀「…芦本君」
芦本「…加賀か…すまん、見誤った…」
加賀「…まあ、もう起きたことはしょうがないし…足首大丈夫?」
芦本「…無理だ、立てん。だが女子のお前に肩を借るほどでは…くっ…」
明らかに痛そうな様子だ。
加賀「い、いやそんなんじゃ…」
芦本「お前に負担はかけたくない…女子なら狭野に頼むから構わん…無理なら…飯田辺りを頼る」
こんな状況下でも女子扱いされない狭野さんって…。
加賀「…この状況」
芦本「許されてなるものか!あの得体の知れぬ生物に独裁を許しているこの事態が!」
芦本「…策を練る。ふざけきった校則の穴を突き、彼奴に痛い目を見せてやれるような策を!」
芦本君の激情は収まっていなかった。
芦本「何人も殺させん…そう言いたいが、それは何人もここから出させぬと言うのと同義だ…」
芦本「…クソッ」
加賀「…」
彼の目は怒りに満ちていた。
誰と話しますか?
↓1
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/02(日) 21:29:09.79 ID:DzudQoOb0
見てるよー、ヒト来ないねー。連取になるけれどそれで良ければ
露寺
47 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/02(日) 22:57:14.86 ID:GDGSjlF30
物語が進むのなら全く構いません
人がいらっしゃらないのはつまらないのが一因と捉えておりますので新島の知名度同様仕方のないことかと
加賀「…露寺さん?」
露寺「何?」
加賀「何か…大変なことに…」
露寺「…うん、すごい理不尽だし…コドク」
加賀「コドク?どういうこと…?」
露寺「…孤独であり、これは蠱毒、ってこと」
※蠱毒⇒百虫を同じ容器で飼育し、互いに共食いさせ、勝ち残ったものが神霊となるためこれを祀る。この毒を採取して飲食物に混ぜ、人に害を加えたり、思い通りに福を得たり、富貴を図ったりすること 出典:医学綱目
加賀「…」
露寺「悪趣味すぎる…うん、ホントに…」
加賀「そう…だよね」
露寺「…まあでも、受け入れるしかないのかなぁ、なんて」
露寺「無期限とは言われた、言われたけどさ。ほら、ものすごい長い期間を表す時って」
露寺「恒久なんかじゃないのに、そういう例えをするじゃん」
露寺「…そういうことにしとこうかなって。そうしないと…とても苦しいからさ」
加賀「…」
もがく芦本君、対照的に譲歩を見せる露寺さん。
誰と話しますか?
↓1
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/02(日) 23:20:03.62 ID:tRtY/ekDO
因幡
50 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/02(日) 23:28:10.05 ID:GDGSjlF30
加賀「因幡…君?」
因幡「…何だ」
加賀「え、いやこんな状況だけど…」
因幡「…んなのやるしかねぇだろ」
加賀「えっ」
因幡「少なくともあのクマがのうのうとオレ達をこっから出すとは思えねえ」
因幡「もうどうにもなくなったら、そりゃあ…」
加賀「それ、本気で…言ってるの?」
因幡「どうにもなんなくなったらつっただろ!…それまでは手を掛けるつもりはねぇ」
因幡「…ま、どうなるかはオレにも分かんねぇよ。オレがやる前に誰かが誰かをやるかもしんねぇ」
因幡「やられるのがオレじゃない保証だってない訳だしな」
加賀「…」
誰と話しますか? (あと二人くらいで)
↓1
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/02(日) 23:35:01.16 ID:tRtY/ekDO
シロスカ
52 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/02(日) 23:48:58.04 ID:GDGSjlF30
加賀「…あの」
シロスカ「…」
加賀「シロスカ君…だよね?超高校級のアルピニストの…」
シロスカ「…!え、あ…はい…?アルピ…?」
加賀「…え?違うの?」
シロスカ「えっと…城須賀翼…です、超高校級の演劇部…です…アルパカでは…」
加賀「演劇部…だからあれだけ声が…」
城須賀「…すみません、煩すぎましたよね…」
加賀「そんなことは…あの声とあの動きがなかったらもっと大変なことになってた訳だし…」
加賀「よく気付けたよね」
城須賀「爆発する、なんて声が聞こえたら否応なしに起きますよ…寝ぼけて危ない!だなんて口走っちゃいましたけど…ただ…」
城須賀「もう少し気を遣えたら…芦本さんを傷つけずに済んだんですけど…至りませんでした」
加賀「…卑下することないって」
城須賀「…足首、大丈夫ですかね…」
城須賀君が芦本君の方へ目をやったとき、私は見てはいけないものを見てしまった気がした。
加賀「…!」
城須賀「どうかしましたか?」
加賀「え…いや…」
…間違いない。彼の首に刺さっているのは…。
加賀「何でも…」
…あの"クマ"の破片だ…。まだ気付いてない…。
城須賀「…とはいえ、殺す、だなんて現実的でない言葉をよく使うものですね」
城須賀「考えたくもないですよ、そんなこと」
加賀「そう…だよね…」
城須賀「…考えてないですよね…?」
加賀「考えてないよ!?」
城須賀「なら、いいんですけど…」
1 破片について言及する
2 しない
↓1
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/02(日) 23:56:16.00 ID:DzudQoOb0
1
54 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/03(月) 00:10:14.80 ID:oY5hNIf30
加賀「あ、あのさ…」
城須賀「…はい」
加賀「その…うなじの所…」
城須賀「え?何か…痛っ!え、何これ…取らないと…」
この判断は間違っていた、のかもしれない。彼がその破片を首から離したときに、私はそう思った。
プシャ、と炭酸飲料を開封したときのような音と共に、傷口から血が噴き出る。
少量であるとは言え、放っておいたらまずいのは素人目に見ても分かる。
城須賀「え、いや、血が、いや、いや、嫌嫌嫌、嫌!」
彼の足元が赤く染まる。…不注意だった。あまりにも不注意だった!
城須賀「嫌…死にたくない…いや、いやだよ!いや…!」
パニックになっている城須賀君に、私が出来ることは……。
加賀「城須賀君落ち着いて、大丈夫、大丈夫だから…」
…宥めることしか出来ない。止血に自信なんてないし、広げたときのリスクを考えると迂闊には動きたくない。
…無力だ。
城須賀「いや…いやだ…」
声が弱まる。…もう無理にでも止血してしまおうか、そう思ったとき。
56 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/03(月) 00:22:11.11 ID:oY5hNIf30
露寺「寝袋君!」
こちらの異変に気付いた露寺さんが走ってこちらに来る。
露寺「寝袋君落ち着いて、少しこっち側に倒れて、そう、そのまま深呼吸して、ゆっくり、ゆっくりでいいから…」
彼女はそう言いながらハンカチを首筋に押し当てる。
城須賀「はっ、はぁ…はぁ…」
露寺「大丈夫…大丈夫だよ…ゆっくり、ゆっくり…」
露寺「コウちゃん、少し手伝ってくれる?」
加賀「あ…うん…」
露寺「床に水平にしておきたいから…足持って、そう、それでそのまま下に…オッケー、オッケー」
彼を横にした頃、その様子は落ち着いていた。
露寺「…コウちゃん、これ…どゆこと?」
露寺さんが小声で話しかけてくる。
加賀「えっと…あの…」
さっき有ったこと全てを話す。
露寺「…なるほどね…そういうときはやっぱ言うべきじゃなかったかもね」
加賀「…ごめん」
露寺「いやー…まあ、コウちゃんも焦ってただろうし、責められないよ。言わないまま横になってたら深く刺さってそれこそ手遅れだっただろうし」
露寺「寝袋君に破片が刺さってることを気付けなかったあたしにも非はあるしね」
加賀「そんなことは…」
露寺「…ま、そんな血は出てなかったし、最悪の事態は避けられたかな。後は…モノクマとやらが保健室開けてくれるといいんだけどねぇ」
露寺「もうちょっとちゃんと手当したいし」
露寺、城須賀、飯田、芦本、紡、大江、不知火が体育館を出ました。
誰と話しますか? (残りは 栗須 谷 因幡 樫月 イモニア 新島 亜堂 狭野)
↓1
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/03(月) 07:35:24.24 ID:eesRaa0Wo
覚え切るの難しいから一覧欲しいな
安価なら栗須
60 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/03(月) 21:52:18.16 ID:oY5hNIf30
少々予定より早めではありますが更新致します
>>59
すみません…完全に忘れておりました 栗須との会話が終わり次第簡易的な一覧を作成致します…申し訳ありません。
加賀「栗須君」
栗須「…あっ、紅香さん。どうかしたんですか?」
加賀「んー…あ、いや大変なことになったなぁって…」
栗須「…ボクにとっちゃ、こんな危険なことは慣れっこ…とまでは行きませんけど」
栗須「多分、皆さんが思っているほど、この事態を重くは捉えてないので…」
栗須「死を近くで見すぎたせいで…麻痺してるのかもしれないですけどね」
加賀「あー…そっか、そうだよね…」
栗須「それでも、死が崇高な物なんかじゃないことは分かってますよ」
栗須「目的を成し遂げて死ぬのなら兎も角、何も出来ないまま野垂れ死ぬのは…言葉に、し難いと言いますか」
加賀「…」
栗須「…このふざけた"サバイバル"は生き延びなくちゃならないんです」
栗須「あのふざけた人形に踊らされることなく」
彼は死の恐怖を、きっとこの中で一番分かりきっている。
分かりきっているからこそ…生への執着も、強く、そして激しいのだろう。
62 :
◆MHdQKyTE3k 2016/10/03(月) 23:08:42.55 ID:oY5hNIf30
加賀「…もう部屋に行こうかな」
…どうにもならない、強いられたこの境遇は。
…悪夢は、まだ始まったばかりだ。
prologue HERE IS a School of KIBOUGAMINE
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