オリロンパwiki - マギカロンパ 12日目
381 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/11/26(火) 23:20:52.19 ID:PRiTU15T0
十二日目になりました。

殺人事件が発生しそうな予感がします。

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この日は、朝から忙しかった。

きっかけは、円天寺さんの一言だったりする。

円天寺「折角の機会ですから、皆でそれぞれの才能を生かし合いましょう!」

円天寺「いつまでも三菱さんにばかり負担をかけるわけにはいきませんよね!」

円天寺「そこで、私はこれを企画しました!」

涌井「……突然、何を言い出すのですか」

円天寺「だってだって! 皆お互いで疑い合っても仕方ないでしょ!」

円天寺「協力してモノクマに対応する! それこそが、私達にできることだと思うの!」

宜保「……確かに、そうなのかもしれんな」

宜保「……茅ヶ崎、貴様には腕を見込んでサーフィン講習を開いてもらいたい」

茅ヶ崎「……時間は?」

宜保「そうだな……午後四時からでどうだ?」

茅ヶ崎「……いいよ。それで、この場を収められるって言うなら」

宜保「ほう……貴様、変わったな?」

茅ヶ崎「何のことだかわからないね」

円天寺「まぁまぁ……。午前中は……そうですね、藻根さんに写生大会を……」

藻根「シャセイ大会ですと……ととと、三人がかりで関節技を究めるのはやめていただけませんかなぁ?」

藻根「……ボクが悪かったですから、ね? 魔法少女殿、サーファー殿に怪盗殿……」

マギカ「次下ネタ言ったら、下半身が反応しなくなる魔法をかけるからね」

破魔耶「そ、それはやめてあげようよ……」

島「こいつ、やっぱりえげつねーぜ……」

円天寺「取り敢えず、午前中は写生大会です!」

島「そんじゃーよ……普段は三菱に色々世話にもなっているわけだから」

島「今日はカットがてら俺様が相談に乗ってやるよ」

島「美容師ってのは、それも仕事の一つだからな」

宜保「そうすると、時間は……」

円天寺「お昼休憩が十一時だとして、十二時から三時までの間に行っていただきましょうか」

円天寺「予約される方は……?」

蜜岡「それじゃあ、私は一時からお願いしようかしらぁ?」

破魔耶「ボクは二時からがいいかな」

マギカ「えっと、三時くらいからでお願いしたいかな……」

リアナ「お姉ちゃんが髪を切るなら私も!」

茅ヶ崎「私も……」

島「いやいや、一人ずつしか切れねーからな!」

382 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/11/26(火) 23:30:29.52 ID:PRiTU15T0
藻根「それで、写生大会の詳細ですが……どうなさる予定なので?」

藻根「大会ということは……やっぱり優勝とかも決めるということなのですかな?」

円天寺「親睦を深めるためにも……皆で最後に見せ合う、というのはどうでしょうか?」

島「おいおい、美術は万年2だったんだが……恥をかけっていうのか?」

円天寺「旅の恥はかき揚げっていいいますもんね!」

涌井「言いません」

島「……ま、まぁ、こんな機会ならいいのかもしれねーな……」

島「政治家が恥を晒してるのに、俺様がいまさら、だよな」

円天寺「今のは恥を晒してわざとではなく、普通に間違えただけで……!」

涌井「それは墓穴ですよ」

円天寺「ふゆぅ……! と、取り敢えず! 午前中は何人で行動してもいいですから、必ず一枚仕上げてきてくださいね?」

藻根「最高の一枚を仕上げてまいりましょうかねぇ」

藻根「ところでモノクマ殿? いらっしゃりますかな?」

モノクマ「いるけど、何なのさ! ボクは今眠いんだけど……」

藻根「カラーコピー機の有無を確認できればネてもらっても良いですぞ?」

モノクマ「カラーコピー……ラウンジのを勝手に使っていいよ……ふぁぁ」

藻根「いつになくやるきのないモノクマ殿でしたが……ともかく」

藻根「ボクの描いた絵はコピーして皆さんにお渡しいたしましょうぞ!」

宜保「それは楽しみだな。今から期待できそうだ」

リアナ「ねぇねぇ、お姉ちゃん一緒に回ろうね!」

愛鬼「わ、私も一緒に回りたい!」

茅ヶ崎「親友だもん、一緒に回ってくれるよね?」

蜜岡「マギカちゃんが人気なのは嬉しいけど……たまには私にもかまってほしいわぁ……」

破魔耶「それなら、一緒に過ごせばいいじゃないの」

破魔耶「マギカちゃん、ボクも一緒に回らせてもらうよ?」

蜜岡「あ、ずるいわぁ! 私も、私も一緒に回るんだからねぇ?」

円天寺「出遅れちゃったよー……」

藻根「……ふぅ、一枚いい絵が描けそうですぞ」

マギカ「……下半身が」

藻根「今のは別にやらしい意味ではありませんぞ?」

藻根「……怖いですなぁ」


この後、宜保さんが解散を言い渡すと、藻根君が各部屋に写生用の道具を集めて持ってきてくれた。

午前中は大所帯になりそうだけど、みんなでワイワイ絵を描くって経験もいいのかもしれない。

383 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/11/26(火) 23:43:04.77 ID:PRiTU15T0
写生用の場所を探すためにテーマパーク内を歩きまわる私達。

私はそこで、少し気になることを皆に聞くことにした。

美菜輝ちゃんは皆を信じてこの企画を催したんだと思う。

だけど、やっぱり皆少しだけ表情が硬い。

疑念は、完全には溶けきれていないってことなのかもしれない。

マギカ「……皆は、もうあのニュースのことはなんとも思わないようになれた?」

私の質問に、すかさず答えを返してきてくれたのは三人だった。

茅ヶ崎「私は……殺すより大事なことが分かったから、もう何も思ってないよ?」

リアナ「……私は、お姉ちゃんがそんなコトしたわけ無いって信じてるから」

藻根「アトリエの一つや二つで人は殺しませんぞ? 腹は立ちますがね!」

残りの三人は、ニュースの内容を思い出しているのか、すこしばっかり考え込んでいた。

愛鬼「……ドラッグはいっぱいあるから、この救急バッグがあれば、満足、よ」

蜜岡「確かにぃ、過去に彼氏を殺したことがあるなんて言われても、記憶に無いから人事なのよねぇ……」

二人もきっと、消極的な賛同を示してくれたのだと思う。

破魔耶「ボクははなから人を殺そうとだなんて思っていなかったよ?」

破魔耶「それにね、ボクは君に生き残って欲しいとさえ思っているよ、マギカさん」

破魔耶「マギカさんこそ、超高校級の聖女、なんだとボクは思っているくらいさ」

破魔耶「そんな女神様がコロシアイを否定するなら、ボクもそれに従うまでさ」

破魔耶「だから、殺人事件が起きないよう、一緒に頑張っていこうよ!」

……まさか、破魔耶君からこんな言葉が出てくるだなんて思わなかったし、それに蜜岡さんが賛同してくれるとも思っていなかった。

……嬉しかった。

この二人に、私の気持ちが響いたことが。

円扇さんと矢田君っていう犠牲者は出てしまったけど、皆は決して仲良くなれないわけじゃなかったんだ。

協力しあってこの生活を打破する、それが出来ると分かるだけでも私は嬉しかった。

マギカ「それじゃあ、これから頑張るために、写生大会は頑張っちゃおうか!」

マギカ「もし、藻根君のおメガネに叶う人がいたら……一つだけお願いを叶えちゃおうかな?」

リアナ「さーて、私は本気で書くぞ……誰にも負けないくらいの絵を」

茅ヶ崎「ちびっ子のはどうせ独創さしか抜きん出てないんでしょ? 常人には理解できないセンスとか」

愛鬼「うっひょおおお! テンション上がってきたー! 薬飲んで落ち着かないと、はぁはぁ……」

蜜岡「一緒に寝れる一緒に寝れる一緒に寝れる一緒に寝れる一緒に寝れる一緒に寝れる」

破魔耶「マギカさんに叶えてもらえるなんて素晴らしいよ! これこそが希望、そう言えるんじゃないかな?」

マギカ(……まずい約束したかな?)

後悔は、今さらどうにもならないから感じるものだった。

385 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/11/27(水) 00:05:01.02 ID:mVc2/nbm0
愛鬼「ちょ、ちょっと見てみてよ! わ、私はあの山をバックに書くことにするわ!」

リアナ「やはりあの山か……悪くないな」

蜜岡「そうねぇ……皆であの山をモデルにするとして……」

破魔耶「折角だから皆で競ってみる?」

茅ヶ崎「私はいつでもマギカの隣だけどね!」

茅ヶ崎「やっぱり、その席は親友が占領しないでどうするんだーってやつだよね!」

リアナ「ぬっ、ずるいぞ貴様ぁっ!」

蜜岡「マギカちゃんと一緒に描きたいわぁっ!」

マギカ「ちょ、ちょっと……落ち着いてよ! それじゃあ、皆でここで写生しようよ!」

リアナ「……お姉ちゃんがそう言うなら」

茅ヶ崎「マギカがそう言うなら」

蜜岡「マギカちゃんがそう言うなら」

破魔耶「聖女様がそう言うなら……」

マギカ「だーかーら、聖女じゃないってば!」

わいわい、がやがや……。

皆で騒ぎながら、脱出のことも考えないであれこれ出来るのは本当に珍しい機会だと言えた。

楽しい。とにかく楽しい。

ここに誘拐されているとさえ思えないほど。

……まるで、今までも一緒に過ごしてきたかのように気が合うのだ。

もちろん、そんなことがあるわけないんだけど。

リアナ「お姉ちゃんの膝は私の特等席だからな!」

愛鬼「隣、隣いいよね!」

マギカ「もう、勝手にしてよ……」

何だかんだ言いながらも、皆結局は仲がいいのだ。


皆で騒ぎながら、あーだこーだ言いながら、たまに席順を巡って喧嘩がおきながら。

私達は写生の時間を楽しく過ごした。



390 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/11/27(水) 00:15:27.49 ID:mVc2/nbm0
藻根「いやー、皆さんに出していただいた写生を拝見させていただいたのですぞ!」

藻根「やはり、秘書殿は素晴らしいですなぁ……」

藻根「実は本職なのでは、と思うほどですぞ!」

涌井「お褒めに預かり、恐悦至極……ですわ」

藻根君のお眼鏡にかなったのは、涌井さん。それと……

藻根「カウンセラー殿の絵からは愛情が感じられますなぁ」

藻根「描いた題材は、SP殿ですかな?」

藻根「まさに、らーぶらーぶといったやつですかなぁ?」

三菱「恥ずかしいわ……」

矢倉「悪い気はしない……がな」

三菱さんの絵も、本当に愛情が詰まっているかのような錯覚を覚える絵だった。

藻根君が絶賛するのも分かる。

藻根「弓道家殿、サーファー殿、薬剤師殿に怪盗殿……四人とも画力は凄いと思うのですが……」

藻根「何というか、欲望が渦巻くものしか見えないのですがねぇ……」

藻根「ボクが言えることじゃないかもしれませんが、写生はそういったのをぬきにして描かないと……」

藻根「と言うか、皆さん題材が魔法少女殿なのは……」

藻根「キマシタワー! ってやつなのですかな?」

マギカ「もぐよ?」

藻根「いえいえ、冗談ですぞ!」

藻根「それと……これは皆様にお配りするボクの描いた一枚絵ですぞ」

そこには、ホテルの入口で笑顔で立ち並ぶ、私達16人の姿があった。

一枚の集合写真かと思うくらい精巧な絵。

ここで起きたことも、過ごしたことも忘れないように、大切にしたい思い出。

藻根「皆さんの心の支えにしてくれたら嬉しい、ですぞ」

藻根「以上、ボクからは以上です」

宜保「では、昼休みとする! サーフィン講習まで、各自自由行動にしろ!」

394 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/11/27(水) 00:27:25.18 ID:mVc2/nbm0

一度皆と別れた私は、昼食を取るために食堂へと向かっていた。

朝の内から、美菜輝ちゃんと涌井さんとでサンドイッチを用意してくれていたからだ。

食堂まで行こうとしたところで、ラウンジに座っている地院家君を見かけた。

地院家「……あいつは、人を殺しているんだぜ?」

地院家「やるなら……ここで……」

地院家「いや、でも……女神様に助けてもらってるのに悪いよなぁ……」

どうやら、地院家君は悩んでいるらしい。

行動に及ぶか及ばないか、を。

マギカ「地院家君、なにか悪いことでも考えてるのかな?」

地院家「いやいや、俺は何も!」

地院家「女神様の手をわずらわせるようなことはしねーって、決めてるからな!」

マギカ「……それならいいけど、美菜輝ちゃんや涌井さんを疑っていると思ってたんだけどなぁ」

地院家「いや、実際そうなんだけどよ……」

地院家「でも、あいつら……こんなに頑張って皆を元気づけようとしてるんだぜ……?」

地院家「そりゃあ、人殺しには人殺しで対応してやりたいって気持ちはあるんだけどよ……」

地院家「あの姿見てると、それでいいのかなーって思うんだよな」

きっと、美菜輝ちゃんが企画をやると言い出した結果がこれだったのだろう。

もし、美菜輝ちゃんが何も出来ないままだったら、地院家君は美菜輝ちゃんを殺していたのかもしれない。

マギカ「……思い、とどまってくれたんだね?」

地院家「女神様のためにも……それに、俺自身のためにも、な」

地院家「こんなところで、立ち止まってられねーじゃん!」

地院家「だから……女神様も気をつけてくれよ?」

地院家「まだ、誰が殺しを企んでるか分からねーんだからさ……」

破魔耶「ボクもそう思うよ!」

突然ラウンジに飛び込んできたのは破魔耶君だった。

ちょっと息を切らしているようだけど……。

破魔耶「マギカさん、警戒は怠っちゃダメだよ?」

破魔耶「こんなところで……超高校級の希望の種を摘ませるわけには行かないからね」

破魔耶「ボクが幸運にも手に入れてきた情報によると……君は、今なお数人に殺意を向けられているよ?」

破魔耶「殺されないように、ちゃんと周囲を警戒しておいてね?」

言いたいことだけ言って、破魔耶君は出て行ってしまった。

地院家「……なんなんだ、あいつ」

マギカ「……きっと、心配してくれてるんだよ」

マギカ「破魔耶君だって、悪い人じゃないからね」

地院家「ほんっと、女神様って優しい!」

地院家「だから、今度俺とデートしてくれませんか?」

マギカ「やだ」

……だって、ちょっと気持ち悪いんだもん。

396 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/11/27(水) 00:36:25.75 ID:mVc2/nbm0
……破魔耶君には周囲を警戒しておけって言われたけど……誰が何を企んでるかわからない以上、どうしようもないよね?

変に皆を疑いたくもないし……。

取り敢えず、島君に髪の毛を切ってもらいにスタイリストルームに行こうかと食堂を出たところで、慌てている宜保さんと愛鬼ちゃんを見つけてしまった。

愛鬼「どどど、どうしよう! わ、わ、私が管理してたのに……」

宜保「ええい、貴様はっ! なんで、あんなに愛情を注いでいるとか言っていた睡眠薬を紛失するんだ!」

愛鬼「そ、そんなこと言ったって……マギカと一緒にはしゃいでるの、楽しくて……」

愛鬼「初めてリアルが充実したのに……」

宜保「だからといって、職務を全うせずにどうする!」

宜保「危険な薬品のたぐいは、全て貴様に管理を任せていただろうが!」

愛鬼「で、でも写生前には、確かに救急バッグに入ってたはずなのにっ!」

……え、睡眠薬がなくなっちゃった……?

それって、結構まずいんじゃ……!

マギカ「ちょっとちょっと、大声でそんなこと話してたらマズイよ!」

宜保「円か……すまない、配慮にかけたな」

愛鬼「どどど、どうしよう! 超強烈な睡眠薬で、水にとかしたらすーっと身体に吸収されるものが……」

愛鬼「気づかない間になくなっちゃったの……!」

マギカ「わ、分かったから……ね? 落ち着こうよ!」

宜保「どこでなくしたのかもわからないのか?」

愛鬼「ボルカニック・マウンテン……だったと思うけど……」

宜保「今からでも遅くない! さっさと、それを探しに行くぞ!」

愛鬼「わ、わ、わ……待って……!」

愛鬼「ごめんね、マギカ! 私、ちょっと探しに行かないと……」

愛鬼「一応、薬は瓶に入ってたから、見つけたら私に届けてね!」

……睡眠薬がなくなった。

そこはかとなく嫌な感じがするけど……。

愛鬼「そうだ、ココアに探してもらおう!」

宜保「ココア、だと?」

愛鬼「矢田の飼い犬よ。私になついてたから、そのまま飼ってるの……」

へぇ、矢田君の飼い犬は、愛鬼ちゃんがそのまま世話してるんだ。

……元、警察犬。役に立ってくれればいいな。

397 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/11/27(水) 00:46:11.35 ID:mVc2/nbm0
スタイリストルームでは、既に破魔耶君が島君に髪を切ってもらっているところだった。

手際の良さ、何度見てもスタイリッシュだと思う。

島君が超高校級の美容師だと言われるのも納得の動きだ。

島「早く気てもらって悪いんだけどよ……まだ、少しこいつのに時間がかかるぜ?」

島「もし暇なら、適当にその辺の漫画とか読んでおいてくれよ」

マギカ「あれ、最初に来た時に新聞があった気がするんだけど……」

島「俺様が来た時には新聞なんかなかったぜ? モノクマが回収したか……」

島「誰かが捨てたんじゃねーのか?」

マギカ「そっか……まぁ、漫画でも読んで待ってるよ」

マギカ「あ、このウォーターサーバーの水は飲んでも大丈夫?」

島「モノクマに飲んで平気かどうかは聞いているし、問題ねーと思うぜ?」

破魔耶「そうだね、ボクも後で一杯いただこうかと思ってるんだ」

島「俺様も飲むつもりだしな。流石に、毒とかは入ってねーと思うんだわ」

島「モノクマは、そういうところ、律儀だろうからな」

マギカ「まぁ……確かに」

島「おい、破魔耶。そろそろカットも終わる頃合いだし、髪を洗うからな」

島「今のうちに水を飲んでも大丈夫だぜ? 髪の毛が入ることもないさ」

島「俺様も一休止入れるつもりだしな」

島「そしたら、次は円、お前の番だからな?」

マギカ「うん、よろしくね?」

島君に微笑んで、漫画を開き……ウォーターサーバーから組んだ水を一杯一息に飲み干す。

冷たく冷えた水が、喉を勢い良く降りていく感覚が気持ち良い。

気持ちよすぎて、フラフラ……する?

まさか、気をつけてって、そういうこと、だったの……?

破魔耶君の忠告も虚しく、私はそのまま意識を失った。

398 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/11/27(水) 00:59:53.89 ID:mVc2/nbm0
??「わんっ! わんっ!」

マギカ「……んん、んー! あれ、ここ、どこだろう?」

マギカ「私……確か、スタイリストルームで水を飲んで、そこで意識を失って……」

マギカ「それとも、料理に入っていたのかな……?」

マギカ「美菜輝ちゃんを疑うわけじゃないけど、水に反応して眠くなるって言ってたもんね……」

マギカ「あれ、水を飲むと、だっけ? 水に溶けて……だっけ?」

マギカ「疲れていただけとは考えにくいし……睡眠薬、だよね」

あたりは真っ暗だった。何も見えないけど、水が流れる音がする。

私はどうやら、睡眠薬を使って眠らされていたみたいだった。

それなのに、どうして私がこんなところにいるのか、わからないけど。

殺された、というわけではないみたいだった。

??「わんっ! わんっ!」

マギカ「あれ、ココアちゃん? もしかしてココアちゃんが私を起こしてくれたの?」

ココア「くぅーん……」

マギカ「あはは、いい子だね! ありがと、お陰で目が覚めたよ?」

……取り敢えず、どうにかしてここを出ないといけなかった。

真っ暗な部屋で、水が流れる場所。

きっと、スプラッタ・スプラッシュの中、だとは思うんだけど……。

あの、真っ暗な部屋。それは、多分、間違いない。

私は取り敢えず、情報がほしいと水路へと近づいていく。

幸い、水路は少しだけ光って見えるので落ちることはなさそうだけど。

水路が見えるところまで歩いたところで、アトラクションの雷が鳴り響く。

マギカ「……え? きゃあああああああああああっ!?」

雷が鳴った瞬間、部屋の中が明るく照らしだされ、水路の中に沈んでいる誰かが見えた。

茅ヶ崎「マギカ! ここにいるの? 大丈夫、怪我して、ないよね!」

愛鬼「よかった……死んじゃったのかと思って焦ったよ……」

宜保「すまないな、円。倉庫に拘束されていた島とリアナを助けだすのに手間がかかって捜索が遅れた」

島「てめーでもよ、生きててよかったぜ……気づいたら倉庫にいたからなぁ……」

リアナ「お姉ちゃん? どこにいるの? ねえってば!」

遠くから皆の声が聞こえる。

でも、私は、目の前の光景が忘れられなくて、そのまま水路に落ちてしまった。

激しい水音に、なんだと皆が近づいてきたとき、再び雷がとどろいた。

水路に落ちてあられもない格好を晒し呆然とする私の目の前に、一人の遺体があることに皆気づいたのだろう。


『死体が発見されました!一定の自由時間のあと、『学級裁判』を開きます!』


木で出来た水路の底に、ジェラルミン製の矢で磔にされ、死んでしまった……。


『超高校級の幸運』破魔耶麗司君の遺体が、そこにあることに。


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チャプター2:絶望のパイはムースの味  非日常編  開始



捜査編


【元スレ】
【安価】安価ンロンパ:安価で行うオリジナルダンガンロンパ【ダンガンロンパ】2