オリロンパwiki - マギカロンパ チャプター2 おしおき編
735 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/12/11(水) 22:24:57.96 ID:A6rlAkLE0
島「俺様が……破魔耶を殺しちまったんだな」

島「俺様は、絶対犯罪には手を染めないって、おふくろと約束してたのにな……」

マギカ「お母さん……どんな人、だったの?」

島「……犯罪者、だったんだよ」

島「父親と早くに離婚してから、おふくろにはお金を稼ぐすべがなかった」

島「……世間にばれないように、スリを繰り返したコソドロだったんだ」

リアナ「……家族のためなら、手段なんて選んでいられない、か」

島「毎日数万円単位で盗んできては、俺様の学費と……」

島「美容師になるために必要な道具すらも揃えてくれたんだ」

島「俺様にとって、美容師になることは俺様の夢であると同時に……」

島「おふくろとの絆のようなものだったんだよ」

円天寺「でも、そのお母さんは、もう……?」

島「俺様の記憶では、元気だった頃の記憶しかないんだけどよ……」

島「もう、死んじまってるってことなのかな?」

島「そのおふくろが、生涯かけて俺様に守るように厳命していたことがあったんだ」

宜保「……それが、貴様の言う」

島「ああ、犯罪には絶対手を染めないでくれ」

島「私と同じ末路だけは、たどってほしくない」

島「捕まろうが、捕まるまいが、心だけが疲弊していく毎日を俺様に味あわせたくない」

島「おふくろは、いつもそう言って笑っていたんだよ……」

島「でも、俺様は……」

島「人を……。この手で、破魔耶を殺しちまったんだ……」

茅ヶ崎「……アンタが殺したわけじゃないじゃん」

茅ヶ崎「破魔耶はアンタを恨んでるの? アンタは殺したって実感があるの?」

茅ヶ崎「アンタの手には、人を殺したときの感触が残っているっていうの!?」

茅ヶ崎「相手の肉の中を、持っている刃物が貫く感触が」

茅ヶ崎「相手の頭を殴ってしまった、重い鈍器の感触が」

茅ヶ崎「相手の首を絞めた、そのロープの質感が……」

茅ヶ崎「アンタに残っているって?」

茅ヶ崎「そう言いたいわけ!?」


736 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/12/11(水) 22:34:49.61 ID:A6rlAkLE0
宜保「おい、茅ヶ崎……それ以上、自分の首を絞めるようなことは」

茅ヶ崎「もう我慢できない!」

茅ヶ崎「私はねぇ! 元々、誰にも心なんか開かないまま誰かを殺して外に出ようと思ってたんだよ!」

茅ヶ崎「外に待っている人なんかいないけどさ、こんなところで閉じ込められる生活なんかうんざりだって!」

茅ヶ崎「人を殺すことが怖い? そんな感情なんか最初っからなかったよ!」

茅ヶ崎「宜保の兄を殺して、その仲間のサーファーを殺して、駆けつけた警察官をも殺して……」

茅ヶ崎「二年前、まだ中学生だった私は、既に三人も殺してるんだよ?」

茅ヶ崎「今更、そんなことを恐れることなんかないって、思ってたんだよ」

島「それなら、余計俺様の気持ちなんか分かるわけが……」

茅ヶ崎「何いってんの!? アンタはそれでいいわけ?」

茅ヶ崎「アンタは殺人なんか起こしてないんでしょ?」

茅ヶ崎「モノクマがなんて言おうが知ったことじゃないでしょ!?」

茅ヶ崎「これから、アンタは処刑される……それは間違いないと思う」

茅ヶ崎「死んだら、アンタは母親に会うのよ?」

茅ヶ崎「なら! どうして、アンタは胸を張って母親に会おうと思わないのよ!」

茅ヶ崎「アンタは、人を殺してなんかいない!」

茅ヶ崎「だから、勝手に悲観してるんじゃないわよ!」

茅ヶ崎「私と違って……胸を張って死んだ家族に会えるんだから、幸せだと思いなさいよ……」

宜保「……茅ヶ崎、貴様は……」

茅ヶ崎「何も、言わないで……」

茅ヶ崎「もう、私には遅いことだから」

愛鬼「で、でも、茅ヶ崎の言ってることも間違ってはいない……と思う」

愛鬼「だ、だって……少なくとも、あ、アンタには……」

愛鬼「殺意なんかなかったじゃない……」

藻根「そうですな……。美容師殿は、人を殺してなどおりませんぞ」

円天寺「それは私達が証人。モノクマがなんて言おうと、それだけは変わらない」

島「お、お前ら……」

737 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/12/11(水) 22:46:23.22 ID:A6rlAkLE0
マギカ「……島君、あなたの母親を殺してしまっている私に何も言う資格なんてないのかもしれない」

マギカ「あなたを処刑に追い込んでしまった、この私が何かを言う資格なんてきっとないんだと思う」

マギカ「でも、それでも……これだけは言わせて欲しいの」

島「……おう」

マギカ「島君は、最後の最後まで超高校級の美容師だったんだよ」

マギカ「破魔耶君の髪型、すっごい素敵になってたと思う」

マギカ「残念なのは、島君にカットしてもらえなかったこと、かな……」

島「……そうだな、俺様もそれは残念に思っていた」

島「俺様も、母親の仇だって血が登っていたこともあって、随分とぞんざいに扱っちまったし……」

島「迷惑料もこめて、もしマギカが俺様達の元へ来ることがあったなら……」

島「そんときは、俺様が責任をもってヘアカットしてやるさ」

島「いつまでも予約は入れといてやるからよ……」

島「いいか、絶対にすぐ来るんじゃないぞ?」

島「それだけは、俺様と約束してくれ」

マギカ「うん、約束するよ」

マギカ「私は、今から60年は絶対に島君にヘアカットしてもらわないから!」

島「ああ、それでいい……」

島「モノクマぁ、そろそろ……」

蜜岡「ちょ、ちょっと待って欲しいの……!」

マギカ「蜜岡さんが? な、何かあるの?」

蜜岡「……まだ、お礼を言っていなかったと思ったのよぉ」

蜜岡「あなたの設えてくれたこの髪型、気に入ってるわ」

蜜岡「……私がこんなことを言うのもおかしいかもしれないけど……」

蜜岡「私は、あなたに会えて良かったと思ってるのぉ」

蜜岡「……もう、心中なんかしようとしないわぁ」

蜜岡「それが、今のあなたにできる私なりの……償いよぉ」

島「そうだな、そうしてやってくれや」

島「もう、こんなこと、俺様で最後に……してくれ」

738 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/12/11(水) 22:54:39.23 ID:A6rlAkLE0
宜保「心得ているさ。私を誰だと思っている……」

宜保「と言いながら、もうこれで四人も犠牲者を出してしまった、私に言えることではないが……」

三菱「大丈夫よ、今の私達は一人を除いて思いは一つのはずよ」

矢倉「安心しろ……もう、俺が被害を出さない」

島「ああ、大丈夫だ」

島「俺様は、お前らを信じているからな……」

島「おい、涌井!」

涌井「なんでございましょうか、島様」

島「殺意を持つことは、誰しも同じだと思うが……」

島「もう、これ以上道を踏み外すようなことは……」

涌井「ああ、くだらないですわね」

涌井「一度足を道を踏み外した時点で、もう戻ることは出来ないのですわ」

涌井「これから処刑されるあなたもそう」

涌井「そして、その原因を作った私も、おそらくそうなのでしょう」

涌井「これも私が作ってしまった罪、お気になさらず」

涌井「……向き合う覚悟はできておりますわ」

リアナ「……島、一つだけ、頼まれてくれないか?」

島「おう、なんでも言ってくれ」

島「俺様に出来ることなら、なんでもしてやるさ」

リアナ「それなら、茅ヶ崎の姉や、私の家族に三菱の父親……死んでしまっているものに」

リアナ「私達が元気だってこと、伝えてやってくれ」

島「ああ、それぐらいお安い御用ってやつだぜ」

島「……うっし、覚悟は決まった!」

島「お仕置きでも何でもやってもらって構わないぜ!」

739 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/12/11(水) 23:02:00.97 ID:A6rlAkLE0
モノクマ「なんだよ、もう!」

モノクマ「自覚のない殺人を起こしてしまったっていう絶望を味わえると思ったのに……」

モノクマ「オマエラ、勝手なことをしないでよ!」

島「俺様は、確かにお前に殺されるかもしれない」

島「だが、それがどうしたっていうんだよ」

島「俺様は、おふくろの言いつけを守って死んでいくんだ」

島「無罪を勝ち取った、犯罪者じゃないんだって胸を張ってな!」

モノクマ「くぅ……気に喰わないよ!」

モノクマ「どうして死ぬ間際まで、そんなに希望に満ち溢れたことがいえるっていうのさ!」

モノクマ「オマエラ、それでも絶望なのかよ!」

島「俺様が絶望だ?」

島「馬鹿なこといってんじゃねーよ」

島「絶望なんてのはな……」

島「お前一人で十分なんだよ」

モノクマ「もう、オマエとなんか口を聞いていたくないよ!」

モノクマ「さっさと死んじゃえ!」

モノクマ「この……裏切り者!」




741 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/12/11(水) 23:02:31.17 ID:A6rlAkLE0
         G A M E O V E R !






       シマくんがクロに決まりました。
        おしおきをかいしします。

743 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/12/11(水) 23:22:54.93 ID:A6rlAkLE0
              QBハウス 三分カッティング!
        /人◕ ‿‿ ◕人\ ボクと契約してヘアカットモデルになってよ!

                超高校級の美容師
                     島武彦処刑執行



晴れやかな顔をしている島君は、抵抗することもなくモノクマに連れて行かれてしまった。

代わりに降りてきたのは、あの忌々しいスクリーンだった。

島君が連れて行かれたのは、どうやらメリーゴーランドのようだったけど、そこに馬は一頭もいない。

代わりに、一台の椅子が置かれているだけだ。

メリーゴーランドは、斜め上に向けてゆっくりと動き出す。

傾斜のゆるいエスカレーターのように、ゆっくり、ゆっくりと。

島君の後ろには、モノクマがハサミを持って立っていた。

何を言うでもなく、モノクマは整えられている島君の髪にハサミを入れていく。

床に落ちる島君の髪。速度を増す、モノクマのハサミ。

次々とモノクマが島君の髪の毛を短くしていく。

そして、メリーゴーランドが上に辿り着く頃には、既に島君の手入れされていた長髪は見るも無残になっていた。

……納得の行くヘアスタイルになったのか、モノクマが一度頷くと……。

モノクマは島君の髪にシャンプーを付け、青いところに島君の髪をつけていく。

青い部分はどうやら水だったようで、モノクマは慣れた手つきで島君の洗髪をしていくのだ。

このまま何もない、そう思わせるような、まるでただの断髪式。

だが、モノクマは最後の仕上げに巨大なハサミを島君のお腹に突き刺した。

そこから流れる血液が、白色の床を赤く赤く染め上げていく。

痛いのか、初めて恐怖に歪んだ島君の顔の前には、ドライヤーを構えたモノクマの姿が。

モノクマがスイッチを入れた瞬間、ドライヤーからは巨大な炎が巻き起こり……。

火が消えた時には、椅子もろとも炭になった島君の姿が映しだされていた。

スクリーンの映像がフェードアウトしていくと……島君が乗っていたメリーゴーランドの全貌が見えた。

赤、青、白の三本の螺旋が渦巻く、バーバーポールが、島君の血液をもって完成したのだった。


744 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/12/11(水) 23:46:53.96 ID:A6rlAkLE0
モノクマ「いやーっほう! エクストリームぅ!」

モノクマ「アドレナリンが……染みわたるぅ!」

モノクマ「これですよ! これですよこれですよ!」

モノクマ「ボクの脳を、アドレナリンが満ち溢れていきますよー!」

モノクマ「最高に……ハイってやつだぁ!」

マギカ「……島、君……」

宜保「私達は、これを持ってもっと団結する必要がある」

宜保「それが、死んだ島の遺言だ……」

宜保「これに、異論のあるものはいるか?」

茅ヶ崎「今さらそれに異論を挟む人間なんていないでしょ」

茅ヶ崎「涌井はともかくとして、ね」

地院家「……死んじまったあいつの分まで、俺は協力するつもりだ」

地院家「それが、死んだ奴らへの最大の供養ってやつだろ……?」

藻根「ボクも、最大限協力していきますぞ!」

三菱「言うまでもない、わ」

愛鬼「い、今まだって十分協力的だったと思うんだけど……」

リアナ「……それがあいつらの遺志だから、な」

宜保「円、貴様に私の補佐を命じる」

宜保「正直言えば、ここまで皆が団結できているのは貴様のおかげだろう」

宜保「貴様がいなければ、もう既に全滅していたかもしれん」

宜保「その点について、感謝してもし足りない」

円天寺「だから、これからはマギカちゃんにも正面切ってうごいてもらいたいの」

円天寺「留峰ちゃんは……その、信用されてないみたいだから」

茅ヶ崎「良い判断だと思うわよ」

茅ヶ崎「マギカは、破魔耶や蜜岡からも好かれてる」

茅ヶ崎「いい人事だと思うわ」

宜保「では……そこまで決めたところで、今日は解散だ」

宜保「皆、決して島を、破魔耶を、矢田を、四ノ宮亭を……忘れるな」

宜保君の言葉は、凄い重いものだったけど……すんなりと私達の胸へと響き渡った。

私にとって、皆にとって、重い一日が終わりを告げようとしていた。

752 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/12/12(木) 22:28:06.47 ID:1MZCYGJt0
破魔耶君殺しの学級裁判。

島君への苛烈なお仕置き……。

心身主に疲弊する一日が終わりを告げようとしていた。

もう、後五分もすれば夜時間……こんな時間に外を出歩こうとする人もいないわけで……

静寂だけがホテルを包み込んでいた。

無意味にライトアップされているテーマパークが、逆に不気味なくらいで……。

皆の暗い心を、嘲笑っているかのように感じられた。

モノクマが、私達の絶望を楽しんでいることを、暗示しているようなそんな気さえする。

トントン、と扉を叩く音が響く。

壁は厚く、たしかに完全防音に鳴っているのだが、扉を叩く音だけは部屋の中に鳴り響く。

誰かと思って扉を開けて見れば、バツの悪そうな顔でリアナちゃんが立っていた。

リアナ「……お姉ちゃん、私はお姉ちゃんを裏切ろうとしちゃった」

マギカ「私を……?」

リアナ「私は、お姉ちゃんに疑いがむくようにしてしまったんだよ」

リアナ「最後の最後で怖気づいたんだ……」

マギカ「私の服の中に睡眠薬の小瓶を入れたこと、かな?」

マギカ「私は別に気にはしてないんだけど……」

マギカ「どうしてか、はちょっと気になるかな……」

リアナ「大した理由じゃないの」

リアナ「お姉ちゃんがクロになるのを止めようとしていたのに……」

リアナ「いざ破魔耶の遺体を見たら怖くなっちゃったの」

リアナ「お姉ちゃんが殺したんだって……私の中で悪魔が囁いて……」

リアナ「お姉ちゃんをクロから外したら、自分が殺されるんじゃないかって……」

リアナ「だから、私はお姉ちゃんを見捨てようとしたんだ」

マギカ「私だって、死ぬと思ったら……そうしちゃうと思うの」

マギカ「だから、あんまり無理しちゃダメだよ?」

マギカ「自分を追い詰めるのもダメ」

リアナ「でも、私は……お姉ちゃんを……」

マギカ「それじゃあ、リアナちゃんは今から私の妹兼助手、ね?」

マギカ「それで、今回の件はチャラにしようよ、ね?」

リアナ「お姉ちゃん……」

753 : 1 ◆t1HVecfVyk [saga]  2013/12/12(木) 22:41:26.77 ID:1MZCYGJt0
リアナ「ありがとう、お姉ちゃん……」

リアナ「やっぱり、お姉ちゃんは最高の……家族、だよ」

マギカ「ありがと、リアナちゃん」

マギカ「私も、これで覚悟できた……」

マギカ「私は、皆で脱出してみせるよ!」

マギカ「あんな、モノクマの提示した方法なんかじゃなくて、皆で一緒に!」

リアナ「うん、私も頑張るから……一緒に頑張ろうね、お姉ちゃん」

リアナ「……あれ、なんだか、お姉ちゃんが回って見えるぅ……」

マギカ「り、リアナちゃん? ど、どうしたの?」

マギカ「うわわっ、ひ、ひどい熱だよ!?」

マギカ「あ、愛鬼ちゃん呼んでこないと……!」

モノクマ「ちょっと待って! リアナさんのその症状、インフルエンザだよ」

マギカ「インフルエンザ……なんで、いきなり」

モノクマ「それはボクにも……ただ、インフルエンザで死者を出すわけにもいかないし」

モノクマ「ボクが愛鬼さんを呼んできてあげる」

モノクマ「その後、リアナさんと一緒にいる二人には先にワクチンを撃ってもらうよ?」

モノクマ「当然、その後は全員ワクチンを予防摂取してね」

モノクマ「いい、拒否権はないよ!」

マギカ「なんでもいいから、早くしろ、このクマ!」

モノクマ「もう人使いが荒いなぁ……」

この後、モノクマは約束通り愛鬼ちゃんを連れてきてくれた。

リアナちゃんも一命は取り留めたものの、数日間の療養が必要となり、

モノクマは個室以外での睡眠をルールから外すことを認めた。

また、それにともなってゲストルールでは、人を殺している状態の場合はルール違反をしても罰が与えられないと項目を追加されていた。

モノクマが何を考えているのかはわからないけど……ろくな事にならない、そんな気がした。

マギカ「島君……、見てて。絶対に私達、モノクマを駆逐するから」

それでも、私は……私達は!

モノクマに負けるわけにはいかなかった。


アイテム「高価な竹櫛」を手に入れました。
高価な竹櫛:超高校級の美容師が、将来愛する相手ができたときに渡そうとしていた竹の櫛。島君の形見の品。



学級裁判後


【元スレ】
【安価】安価ンロンパ:安価で行うオリジナルダンガンロンパ【ダンガンロンパ】2