526 :
1 ◆t1HVecfVyk [saga] 2014/04/03(木) 15:52:09.07 ID:7zfb6WHR0
<深夜・宜保の部屋>
宜保「……円に見られる前に、これだけは……処分、出来たな」
宜保「……まさか、俺達の中に、円を殺そうとする人間がいた、とは……」
『円マギカ様へ 深夜一時ごろ、ショッピングモールでお待ちしております』……か。
明らかな呼出状だが……あいつは、素直で人を信じる人間だ。
このような呼出状でも……あいつは、ノコノコと言ってしまうのだろうな。
宜保「誰だかしらないが……俺に見られたのが運の尽きだったな……」
宜保「……糾弾するために、現場に現れたところを確保してやるとするか」
……俺がリーダーだとあいつは言ったが、それは間違いだ。
あいつがいなければ、今の俺達は団結の一つもしなかっただろう。
……円マギカ、あいつが俺達を、まとめてくれたのだ。
そんなあいつを、殺そうとするのだけは……許されないことだ。
グループの和のためにも……。
何より、俺自身がそれを防ぎたいと思っている。
不思議なことだが……あいつには、人を惹きつけるなにかがあるのだろうな。
……いいだろう。
アイツを殺そうとしている人間の顔、拝みに行くとしようじゃないか……!
527 :
1 ◆t1HVecfVyk [saga] 2014/04/03(木) 16:03:46.44 ID:7zfb6WHR0
<深夜・愛鬼の部屋>
愛鬼「……研究ばっかりしていて、一日が過ぎたのはいつ以来だったかしら……?」
愛鬼「……もう少しで、大事なものを見落として寝てしまっているところだったわね」
愛鬼「……それで、私が大事な人を失ったら……それこそ、私はもう二度と……!」
愛鬼「自分のことを……許せなくなってしまう!」
『円マギカ様へ 深夜一時ごろ、ドラッグストアでお待ちしております』……か。
愛鬼「誰だか知らないけれど……私に見られたことが運の尽きだったわね……」
愛鬼「わ、私のことを舐めているところに、ビシッと捕まえてやるわ……!」
……マギカは、私のことですら頼りにしてくれている。
こんな、何のとりえもない根暗女の私でさえ……。
マギカは、私にとって……このグループにとって、太陽のような存在なんだ……!
そんなマギカを穢そうとする人間なんて、許しておけない……!
私の、私の目標であって……初めての親友でもあるマギカを……!
決して殺させたりなんかしない……。
私にできることは、ただ、それだけだ。
……怖いから、念の為に麻酔を携帯しておいて。
いざ、犯人を捕まえてみせようじゃないの……!
そ、そして……これ以上、殺人が起きないように……しないといけないわねっ……!
528 :
1 ◆t1HVecfVyk [saga] 2014/04/03(木) 16:10:09.48 ID:7zfb6WHR0
<深夜・地院家の部屋>
地院家「俺は、女神様のナイトになった……」
地院家「どうして俺は、女神様を守ろうとした……?」
地院家「……元々のきっかけは何だったんだ?」
地院家「一目惚れか……?」
地院家「いや、んなことはどうでもいいだろ!」
地院家「俺が絶対に女神様を守ろうとしたその理由は……!」
『円マギカ様へ 深夜十二時半ごろ、豪華客船トワイライトの乗り込み口でお待ちしております』……か。
……女神様は俺を救ってくれた。
……女神様の微笑みは、俺達の崩れかけた和を、いつだって取り戻してくれた。
蜜岡が死んで、女神様は今……少し情緒不安定になっていると思う。
ただ、それでも彼女は、俺達に……今は弱いところを見せなかった。
裁判終了後こそ取り乱していたけれど、今の女神様は落ち着いていた……ように見える。
でも、きっと落ち着いてはいなかったんだな……。
こんな、あからさまな呼出状が部屋の前においてあることにも、気づいていなかったみたいだし。
地院家「でもよ……俺に見つかったことが運の尽き、だったな」
地院家「誰が犯人だかはしらねーけど……」
地院家「絶対俺が首根っこをひっ捕まえてきてやる……!」
だから待っててくれよ、女神様……!
あなたのことは、俺が絶対に守り通してみせますからっ!
530 :
1 ◆t1HVecfVyk [saga] 2014/04/03(木) 16:22:34.26 ID:7zfb6WHR0
<深夜・リアナの部屋>
リアナ「もう、お姉ちゃんってば不用心すぎるよ……」
リアナ「部屋の中に簡単に侵入できちゃうなんて、これじゃあ……」
リアナ「いつ襲われてもおかしくない、ってことだよ?」
リアナ「いや、そんなことよりも……もっと大事なものがあったんだ……」
『円マギカ様へ 深夜一時半ごろ、サイケデリック・コースターの前でお待ちしております』……か。
これ、明らかにお姉ちゃんへの呼出状、だよね?
ってことは、誰かがお姉ちゃんを殺そうとしているってこと……。
誰かって、誰なんだろう……?
あのお姉ちゃんが、誰かに恨まれるようなことを……?
いや、そんなわけがないよね……?
それじゃあ、一体誰が……!
リアナ「でも、私に見つかったことが運の尽き、だったみたいだね……」
リアナ「差出人が誰かはわからないけど……」
リアナ「怪盗である私を舐めないでいたほうがいいと思う……!」
リアナ「残念ながら、お姉ちゃんを殺そうとした犯人は……」
リアナ「私に捕まる運命にあるようだからな……」
……私の身体能力に勝てる相手は、もういないはずだ。
なら、私が相手なら楽に犯人を捕まえられるはずだ。
……お姉ちゃんには、指一本振れさせない……!
531 :
1 ◆t1HVecfVyk [saga] 2014/04/03(木) 16:36:39.30 ID:7zfb6WHR0
<深夜・茅ヶ崎の部屋>
茅ヶ崎「……マギカ、私は今まで何度も何度も、マギカに助けられてきたわね」
茅ヶ崎「私が殺人を起こそうとしたときも、そうだった……」
茅ヶ崎「私が二重人格者だって知っても、何も言わなかった」
茅ヶ崎「前科を持つ人間だと知っても、接し方を変えないでくれた」
茅ヶ崎「そして、妹を……大切にしてくれた」
茅ヶ崎「……姉である私は、もう妹に入らなくなった」
茅ヶ崎「……妹である私は、もう姉に頼らなくても生きていける」
茅ヶ崎「……あなたが、救ってくれたおかげ」
だからこそ……私は、マギカを……救わないといけない。
『円マギカ様へ 深夜十二時ごろ、豪華客船トワイライトの甲板でお待ちしております』……か。
……誰かが、マギカを狙っている、きっとそういうことなんだと思う。
あのマギカを殺そうとする人間が、まだいたのかと驚きもあるけれど……!
なにより、マギカを今ここで、失いたくはなかった。
私の一番大切な友達……大親友!
私の……生き甲斐だから。
茅ヶ崎「私に見つかったことが、運の尽きだったってことよね」
茅ヶ崎「悪いけれど……あなたの好きにはさせないわよ」
茅ヶ崎「誰だかわからない、殺人予告犯……!」
……私もマギカは、絶対に守ってみせる!
……そして、殺し合いなんか起こさせないんだ……!
533 :
1 ◆t1HVecfVyk [saga] 2014/04/03(木) 16:49:10.59 ID:7zfb6WHR0
<深夜・藻根の部屋>
藻根「……結局、この時間まで絵を描いていることになりましたな」
藻根「とは言え、この時間になったことは逆に正解だったのかも知れませんな」
藻根「なにせ、僕を勇気づけてくれたあの人の危険を、事前に察知できたのですから」
……夜時間直前まで、僕は湖畔で絵を描いていた。
弓道家……蜜岡美緒殿のイラストは、既に描ききれている。
彼女の親友だった魔法少女、円マギカ殿にプレゼントするつもりだ。
……僕には、こうした切り取った一枚しか残すことは出来ないけれど……。
それでも、彼女は僕がいてくれてよかったと言ってくれた。
なんの役にも立てないであろう、この僕でさえ。
『円マギカ様へ 深夜二時ごろ、磯釣り屋……磯の香りでお待ちしております』……か。
こんな明らかな呼出状まで作って、誰かが円マギカ殿を殺そうとしているということでしょう。
……許されませんぞ、そんなことは!
絶対に、許してはいけないことですぞ。
あの人は、僕が生き残っていることに意味があったと言ってくれた。
……でも、僕にはこれくらいしか、出来る気がしないから。
……僕は、体を張ってでも……この犯人を捕まえねばならないのです!
……安心してくだされ、円マギカ殿?
真犯人は、この藻根蔵人が……!
必ず捕まえてみせますのですぞ……!
534 :
1 ◆t1HVecfVyk [saga] 2014/04/03(木) 17:03:21.41 ID:7zfb6WHR0
モノクマ「うぷぷぷ……皆してころりと騙されてやんの」
モノクマ「誰が円さんを殺そうとするかって言うのさ」
モノクマ「オマエラの動きなんて……全部お見通しなんだよっ!」
??「そう、隅々までぜーんぶ……お見通しなんだから」
??「あっはっはっは……くっくっく……!」
??「さて、最後の仕上げと行きますか……」
??「最後のコロシアイの……幕開けと、ね!」
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??「……あ゛?」
??「だ、誰なん……だよ、お前……」
??「殴られたショックで目が見えなくなりましたか?」
??「背後から殴った甲斐がありましたね」
??「その声……円天寺、なのか?」
??「ひっひっひ……ごほっごほっ……!」
??「私が、彼女に見えましたか?」
??「あーっはっはっはっは! げほっ……げほっ!」
??「やっぱり、円扇、なのか……?」
??「失礼なこと言ってくれるわねぇ……」
??「私の声を、忘れたのぉ?」
??「……忘れるわけないよな、俺の声を」
??「だって、希望は前に進むんじゃないか!」
??「それとも、心の病なのかしら?」
??「落ち着いて思い出して見てください、私が誰なのかを……」
??「もっとも、その時には君は死んでいるだろうけどな……はっはっは!」
??「それじゃ、さっさと死んでくれや!」
??「お前は……誰、なんだよ……」
??「……私は、誰なんでしょうか!」
??「ははは……このまま放置しておけば……どうなるのか……」
??「ふふふ……ふはは……あーはっはっはっは! げほっ……!」
540 :
1 ◆t1HVecfVyk [saga] 2014/04/03(木) 21:10:16.83 ID:7zfb6WHR0
チャプター5:たった一つの冴えないやり方
非 日 常 編
541 :
1 ◆t1HVecfVyk [saga] 2014/04/03(木) 21:15:52.59 ID:7zfb6WHR0
茅ヶ崎「マギカ、マギカ……!」
茅ヶ崎「マギカ、起きて……マギカ!」
マギカ「……どうしたの、こんな時間に」
マギカ「まだ、深夜二時半、だよぉ?」
茅ヶ崎「そんな場合じゃないんだよっ!」
茅ヶ崎「いいから起きて、そのままハーバーエリアまで来て!」
マギカ「ハーバーエリア……?」
茅ヶ崎「ドラッグストアにいた愛鬼も今は下にいるのよ!」
茅ヶ崎「宜保もリアナもどこに行ったんだか……」
茅ヶ崎「この緊急時に……!」
マギカ「緊急時……?」
マギカ「何があったの……?」
茅ヶ崎「来れば分かる……だから、着替えてきて」
マギカ「う……うん」
……また、起きちゃったのかな?
また、あの裁判をやらなくちゃ……いけないの、かな……?
……今は取り敢えず、ハーバーエリアに急ごう……!
542 :
1 ◆t1HVecfVyk [saga] 2014/04/03(木) 21:22:31.21 ID:7zfb6WHR0
<ハーバーエリア・豪華客船トワイライト>
ハーバーエリアについた私達は、そこで藻根君と合流した。
藻根君とナミちゃんは、どうやら偶然ハーバーエリアにいた、らしい。
トワイライトの乗船口には、夥しい量の血痕が広がっていた。
マギカ「やっぱり、起きちゃったんだね……」
マギカ「死んじゃったのは……」
茅ヶ崎「教えたほうが、いい?」
マギカ「……自分で、確かめるよ」
茅ヶ崎「分かった……遺体は、トワイライトの真下……海面に浮かんでいるわ」
藻根「僕とサーファー殿で、彼の遺体を引き上げられるものがないか、確認してきます」
マギカ「確か、マリンショップに貸しボートがあったような……」
……いや、今はそれより、現実を見据えないと……!
意を決して海面を覗きこんだ先には……。
543 :
1 ◆t1HVecfVyk [saga] 2014/04/03(木) 21:24:00.52 ID:7zfb6WHR0
浮かんでいる海面全体を赤黒い液体で染めて、木の板ごとモリで胸を突き刺された……。
地院家大門君の遺体が、そこにあった……。
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捜査編 【元スレ】
【安価】安価ンロンパ:安価で行うオリジナルダンガンロンパ【ダンガンロンパ】4