オリロンパwiki - ロンパーズ チャプター5 学級裁判
210 : ◆11nx.E09nc  2016/08/22(月) 22:34:59.74 ID:Hw5HeVTpo




chapter final 「殺人者達の行方…」





211 : ◆11nx.E09nc  2016/08/22(月) 22:37:25.29 ID:Hw5HeVTpo
アナ「あ、みんな!…探偵くん」

柿生「先に来てたんですか?それに…」

愛野(…)



そこにはアナさんだけではなく、車いすに乗せられた愛野さんもいました
意識が戻ってるわけではないようですが…

アナ「君たちがドンパチ始めて、画家さん達と電話した後、モノクマがやってきて無理やりここに連れ出されたんだよ」

アナ「パティシエちゃんも…」



モノクマ「はーいはーい!みんなごきげんよう!!」

宍戸「ゲッ!」

モノクマ「いやゲッ…て、そりゃでてくるでしょ」

モノクマ「まあアナさん達についてはおとなしくしてたし、巻き込まれちゃうのは流石に不憫だからとボクが配慮したんですよ、はい」

月宮「意識の戻らない愛野さんまで連れてくる必要はあるのかしら?」

モノクマ「それはだってさぁ…今回が最後だし、ねぇ?」




柿生「あなたはAIですか?それとも黒幕本人が操作しているんですか?」

次にしゃべるモノクマがいたら最初に確認しようと思っていたことです


212 : ◆11nx.E09nc  2016/08/22(月) 22:39:05.37 ID:Hw5HeVTpo
一同(!?)


円山「ど、どういうことですか?」

渚「黒幕にすでに会っている…いや、違うな?」

柿生「はい、話しただけです。機械声だったので誰だかは全くわかりませんでした。」

アナ「だったら結局ロボットかなにかなんじゃないの?」

柿生「いえ、あの話し方は人間だと思います。私にこの学級裁判を提案してきたのはその黒幕本人でした」

モノクマ「まぁまぁ、とりあえずみんな席に着こうよ。ボクがなんなのかはその後その後、うぷぷぷぷ…」




みんな席に移動し始めます…そんな中ナギくんだけが私に耳打ちしてきました

渚(あのモノクマ…本人だ)

柿生(え?)

渚(油断するな)




213 : ◆11nx.E09nc  2016/08/22(月) 22:45:01.20 ID:Hw5HeVTpo
みんな席に着きます
愛野さんもいるので、人数は前回の学級裁判と変わらず7人です


モノクマ「それじゃあみんな席に着きましたね、ということで今回の学級裁判について説明します」

モノクマ「今回はボクが出していく問題に答えていってもらいます。問題についてみんなで議論するのは自由ですが、答えるのはこちらが指定した回答者です。」


柿生(なるほど…)


ナギくんが、あのモノクマが本人だと断言する理由がわかりました。
口調が違う…些細なことですが、いつも私たちの事を言うとき「オマエラ」と言っていました
でもこのモノクマは「みんな」と言っています

このモノクマは、黒幕が実際に操作しているということです



モノクマ「回答が正解であれば、そのまま次の問題に進めますが…回答が間違っていた場合は、その回答者はオシオキされ、その後で次の問題に進みます。」

アナ「処刑されても次に進むんだ…」

モノクマ「そうだよ、だからチャンスは6回あるってことだね」

月宮「チャンスと言っても、回答者は間違った回答をしたらその時点で終わりじゃない」

モノクマ「うぷぷ、まぁね。でもさ…それっていつも通りじゃないかな?」

円山「これがいつもと違わないとおっしゃるのですか?」


柿生「今までの学級裁判では間違ったクロを指摘したら、他の全員は皆殺し…そうですね。今回は問題の数は増えたけど、間違えても処刑されるのは一人…個人にかかるリスクはいつもと変わらないのかもしれません」


どちらにしても、一度たりとも間違えることはできないです


214 : ◆11nx.E09nc  2016/08/22(月) 22:45:45.15 ID:Hw5HeVTpo
モノクマ「さて…すべての問題を終えることができれば、残ったメンバーには最後の選択をする権利が与えられます!その選択によってここから出ることができるのです!」

渚「ここがどうも腑に落ちない」

モノクマ「なにが?」

渚「選択によって…それはどういう意味だ?」

モノクマ「うぷぷぷ…まあそれはお楽しみだよお楽しみ」

モノクマ「それじゃあ始めるよ!えーとまずは…」


これが最後の学級裁判、決戦
そして全てを知ることができるはずです

きっと…



<<学級裁判開始>>


215 : ◆11nx.E09nc  2016/08/22(月) 23:01:48.36 ID:Hw5HeVTpo
モノクマ「では記念すべき第1もーん、モニターをご覧ください」


モニターにはのどかな無人島、私たちのように誰かが学級裁判を行っている映像が流れます

モノクマ「えー、みんなにも情報は渡してあるからわかると思いますが、これは超高校級の絶望の残党が繰り広げたコロシアイです!」

モノクマ「この裁判には超高校級の絶望、江ノ島盾子も関わっています。てゆーか江ノ島盾子も最終勝負を仕掛けました。この学級裁判みたいにね」


月宮「確かジャバウォック島だったかしら」

アナ「昨日見た資料にはそう書いてあったよね」


モノクマ「うぷぷ…では、この無人島のコロシアイにおいて、江ノ島盾子は目的を達成すること…うーん、もっと簡単に勝ったか負けたかを答えてください」


え、コロシアイの結末…書いてありましたっけ?


モノクマ「回答者は…ポチっと」


『#$%&  月宮 しぐれ  &%$#』


モノクマ「あ、集めたヒントはここで見ても構わないよ?」

柿生「待ってください!そんな情報どこにも…!」

モノクマ「ぶっひゃっひゃ…そりゃ書いてあることを問題にするわけないじゃん、そんなに簡単だと思ったの?」

柿生「…!」





216 : ◆11nx.E09nc  2016/08/22(月) 23:15:41.85 ID:Hw5HeVTpo
議論して答えを導き出す、そうですよ学級裁判なんだから
考えてみれば当然の事です


アナ「うーんやっぱりどこにも、そもそもジャバウォック島でのコロシアイでその絶望さんが勝負を仕掛けてたなんて…」

渚「アナ、資料を見せろ」

アナ「え?あ…うん」


なんとか月宮さんを…


月宮「やはり、一筋縄ではいかないようね…それにしても」

月宮「モノクマ、問題はこれだけかしら?」

モノクマ「うぷ?」

月宮「この問題、結局は絶望にとって何を勝ちとするか負けとするのか…価値観が分からなければ単純な2択ではなくなってしまう」

月宮「ハッキリ言って私には絶望の考えることなんて分からないわ」

モノクマ「ふーん、つまりどうしろと?」

月宮「そうね、ヒントのようなものが出てくると思うのだけど?」

モノクマ「うぷぷぷ…月宮さんったら口がうまいね」











217 : ◆11nx.E09nc  2016/08/22(月) 23:24:16.04 ID:Hw5HeVTpo


モノクマ「そうだね、答えはここで起こった一つ前のコロシアイの結果と同じでどう?」


柿生「…え?それって」

アナ「画家さんが知ってるんじゃ?」

月宮「随分踏み込んでくるのね」

モノクマ「うぷぷぷ…」


私の記憶では、江ノ島盾子は死んだ
いえ…黒幕もハッキリ言っていたはずです。江ノ島盾子本体は死んだと


渚「単純に考えれば柿生の言った通りになると思うが」

柿生「だとしたら絶望側の負けってことに…」


宍戸『てやんでーい!!』

宍戸「ちょ、待てって、ほんとに柿生の言った通りで合ってるのか?前回のコロシアイの後だってモノクマが『ほんとに、江ノ島盾子って死んだの〜?』って言ってたじゃねえか!」

渚「ああ、柿生の記憶が正しいかどうか。前提が間違っていれば結局は同じだ」


柿生「つまり…、絶望…江ノ島盾子が負けたことを証明できれば…!」




218 : ◆11nx.E09nc  2016/08/22(月) 23:29:42.05 ID:Hw5HeVTpo
月宮「モノクマ、もう一つ質問いいかしら?」

モノクマ「なに?これ以上ヒントはやらないよ?」

月宮「私はいつでも答えていいのかしら?」


モノクマ「あーそうだね、投票ボタンを見てよ」

月宮「なるほどね…回答ボタンになってるわ」

モノクマ「答えたかったらそれを押してよ、そのかわり一度押したら。やっぱもうちょっと後でっていうのはなしだからね?うぷぷ」

月宮「ええ、わかったわ」



これでシステムはわかりました
苗木君達のコロシアイで江ノ島盾子が負けたことは明白です
みんなで探せばその証拠だって見つかるはず

柿生「じゃあ、なんとか絶望側が負けたことの根拠を集め…

そこで私は衝撃的な音を耳にします

219 : ◆11nx.E09nc  2016/08/22(月) 23:30:27.97 ID:Hw5HeVTpo




ピコーン!!





220 : ◆11nx.E09nc  2016/08/22(月) 23:38:41.60 ID:Hw5HeVTpo

柿生「え!?」

円山「つ…月宮様、議論はこれからですが…」



月宮「…」

モノクマ「あのさ…聞いてた?押したからには答えてもらうよ?」

月宮「案ずることはないわ。そうするつもりで押したのだから」

柿生「ど、どうして…?」

月宮「柿生さん、私の答えは決まってるわ。言ったでしょう?私はあなたを信じるって」

柿生「じゃあ!でも、まだ合ってるかどうか…」

月宮「2択なのよ、正答率は五分五分。考えたってこの確率は変動しないし…何より私はもう、空回りはしたくないの」

柿生「月宮さん…」



モノクマ「はいはーい、じゃあ答えをどうぞ」


月宮「私の答えは…ここでかつて起こったコロシアイでも、ジャバウォック島で起こったコロシアイでも…」

月宮「江ノ島盾子は敗れた…よ」







221 : ◆11nx.E09nc  2016/08/22(月) 23:42:43.33 ID:Hw5HeVTpo
モノクマ「さてさて、果たして月宮さんの答えは正しいのでしょうか?はたまた…オシオキとなってしまうんでしょうか!?」

モノクマ「うぷぷ、答え合わせです!どーぞ!!」




O━d(・∀・)━K!!!
ピンポンピンポン!!
O━d(・∀・)━K!!!





222 : ◆11nx.E09nc  2016/08/22(月) 23:52:37.56 ID:Hw5HeVTpo
モノクマ「はい…というわけで大正解、なんだよ、このヒントが原因で疑心暗鬼になってくれれば面白かったのに…あっさり柿生さんを信じちゃうなんてさ」


宍戸「それが狙いであんなヒントを!!」

月宮「私を回答者に選んだのが運のつきだったわね」


渚「そもそも、この程度で疑心暗鬼になんてなるわけがないだろう」

円山「とおっしゃると?」

渚「そもそもジャバウォック島のコロシアイで江ノ島盾子はアルターエゴとして残っているということだった。」

渚「書いてあるだろう?『江ノ島アルターエゴは、死した超高校級の絶望の保険だ』と」

アナ「確かに…最初のコロシアイで買っていたなら保険も動くわけがないよね…」

モノクマ「ぐぬぬ」



柿生「月宮さん…よかったです」

月宮「まだ1問目よ、これからが本番だわ」

柿生「はい!」

226 : ◆11nx.E09nc  2016/08/27(土) 22:04:46.00 ID:5+j7BM+9o
モノクマ「では第2問、人工知能アルターエゴという形で死亡してなおこの世に残った江ノ島盾子。各地で起こった惨劇にも関係しています」

モノクマ「では、さっきのジャバウォック島のコロシアイにおいて、このアルターエゴ江ノ島盾子の果たせなかった目的とは何だったんでしょうか?」



『#$%& アナスタシア・ロスチャイルド &%$#』



モノクマ「名前長ッ!危うく枠に収まりきらないかもしれなかったよ」

アナ「長くないし普通だしー!…回答者はアタシなんだね。」

月宮「この問題は、二択ではないのね?」

モノクマ「ペーパーテストなら所謂記述問題だよ、評価は甘くしてあげるからさ」


227 : ◆11nx.E09nc  2016/08/27(土) 22:07:59.95 ID:5+j7BM+9o
アナ「超高校級の絶望の目的って、ようは人々を困らせることだよね?」

円山「困らせるという言い方だと聞こえはいいですが…」

柿生「人々を絶望に落とす、行動理念は絶望です」

宍戸「ならそれでいいんじゃねえのか?」

アナ「もうちょっと考えてよ、間違えたらアタシ死んじゃうんだから」

円山「理念は理念であって、目的となるともう少し限定的なものなのかもしれません」


渚「…コロシアイの参加者は絶望の残党と書いてある。絶望させる相手としては矛盾している」

月宮「ここではジャバウォック島のコロシアイと限定されていて、さっきの問題の答え通りに敗北したせいで目的は果たせなかった」



そういえば、なぜジャバウォック島という場所で起こったコロシアイについての問題を出してくるんでしょうか?
私たちにどんな関係が…


宍戸「じゃあ単純にコロシアイでその参加者を全滅させたかったとかじゃねえか?」

アナ「あ、そっか、それならおかしなところは…」


渚『それは違う』


宍戸「おん?」



228 : ◆11nx.E09nc  2016/08/27(土) 22:11:47.92 ID:5+j7BM+9o
渚「わざわざ人工知能にまでなって絶望の残党を抹殺したところで何も残るものはない。アルターエゴの江ノ島が保険とするなら不自然だ」

月宮「保険…確かに引っかかるわね」

渚「お前たちは覚えてないかもしれないが、絶望に落ちた人間の行動は常軌を逸していた」

モノクマ「絶望キラーに言われたくないよ」


まあ先ほど、あのモノクマの軍勢を破壊して回ってたナギくんもとても常識的とは言えませんが


渚「だが記録を見る限り、参加者である絶望の残党達のコロシアイはルールに乗っ取り進行されている。特におかしなところはない」

アナ「…なにか変なの?」

渚「絶えず絶望を求めるような連中がこんなゲームをまともに行っていたとは思えない」

柿生「うーん…まともにコロシアイをするっていうのも少し変なニュアンスですけど、言いたいことはわかります」




宍戸「なぁおい…その絶望の残党って奴らは根っからの絶望なのかよ?」

柿生「!」

宍戸「だってよぉ、さっきの問題でも言ってたけどよ、そいつらに江ノ島盾子ってのは負けたんだろ?絶望の残党なのに、むしろ超高校級の絶望?ってやつに抗おうとしてたみてえじゃねえか」

月宮「なるほど、彼らが元々はまっとうな人間だとするなら…私たちと状況が似るのかもしれないわね」


229 : ◆11nx.E09nc  2016/08/27(土) 22:15:29.90 ID:5+j7BM+9o
円山「ど、どういうことでしょうか?」

宍戸「ん?え?本当にそうなのか?」

渚「柿生、お前の知っている未来機関のコロシアイ経験者の記憶はどうなっていた?」

柿生「消されていたようです」


確か学園生活を送った2年間の記憶が取られたと言っていました


渚「未来機関の奴らのコロシアイでも、その絶望の残党のコロシアイでも、そして俺たちも。全てが黒幕によるものなのかはわからないが、確信に迫る記憶は消去されていた」

アナ「人の記憶を弄るのってそんなに簡単だったんだ…」

渚「そうらしいな、恐らくその逆も…」

柿生「え?逆?」

渚「ああ、それこそが人口知能である江ノ島盾子の目的なんだろう?わかるか?柿生」


記憶を消す事の逆が…江ノ島盾子の目的

円山「つまり偽りの記憶を植え付けること…でしょうか?」

モノクマ「うぷぷ…」

渚「いや、それだけでは済まないはずだ」


230 : ◆11nx.E09nc  2016/08/27(土) 22:17:17.82 ID:5+j7BM+9o
偽りの記憶を植え付けるだけじゃ済まない…それって、もしかして…!?


柿生「江ノ島盾子のアルターエゴを…生身の人間に上書きする事…ですか?」


アナ「え…?」

渚「そうだ、江ノ島盾子は肉体を持って復活しようとしたんだ」

宍戸「は…はぁ!?そんなことできるのかよ!?」

月宮「宍戸君例えばあなたの記憶を全て消されて、0の状態にから別の人物の生きてきた記憶を丸ごと入れられたとする」

月宮「そうなったとしたら…あなたは誰なのかしらね?」

宍戸「そ、そいつは…少なくとも俺じゃないのか」

月宮「ここまで単純な仕組みではないとは思うけど」

渚「だが人工知能となった江ノ島盾子に絞るなら、これしか考えられない。これが保険だったというのにも合点がいく」

円山「まるで受肉…ですね…」


あれ?これが私たちにも関係するのなら…この黒幕も…まさか私たちに



アナ「えっと、じゃあ、それで答えてもいいの?探偵くん」

渚「他に考えがあるなら言ってくれ、最終的な判断は回答者であるお前がするべきだ」

アナ「いや別にないけど、これ以外にはなにも…」


231 : ◆11nx.E09nc  2016/08/27(土) 22:24:29.69 ID:5+j7BM+9o
アナ「…本当にいいの?探偵くん」

渚「…」


ナギくんは答えません
多分、背中を押してほしいんでしょうけど
ナギくんの目は未だに曇ったままで…


柿生「アナさん、大丈夫ですよ」

アナ「え?」

柿生「私にも確信があるんです」

アナ「…はは、そうかな?そうだよね!よ、よーし」


ピコーン!!


モノクマ「はいはーい、じゃあ答えをどうぞ」

アナ「あ、なんて言おうかまとめてなかった…えっと、江ノ島盾子は肉体を手に入れたかった?」


モノクマ「さてさて、果たしてアナさんの答えは正しいのでしょうか?はたまた…オシオキとなってしまうんでしょうか!?」

アナ「え、ちょ…今のでいいの!?」

モノクマ「うぷぷ、答え合わせです!どーぞ!!」

アナ(ごくり




O━d(・∀・)━K!!!
ピンポンピンポン!!
O━d(・∀・)━K!!!





232 : ◆11nx.E09nc  2016/08/29(月) 18:11:22.57 ID:K06T5Vpho
モノクマ「コングラチュレイション!大正解、そう江ノ島盾子は絶望の残党達の脳に江ノ島盾子のアルターエゴをそのまま上書きし復活しようとしていたのです!!」


アナ「ふ、ふぅぅぅ…心臓に悪すぎ、これ。数学者さんよく平気でいられたね」

月宮「あら、私もそれなりに恐怖を憶えたつもりだけど?」

アナ「ウソぉ?」


これで二つ目…黒幕はもしかしたら、この果たせなかった目的を私たちで達成しようとしているのかもしれない…

でもだとしたら、黒幕の言った「上手く行っている」というのはどういう意味なんでしょうか?私たちはまだ誰も…


モノクマ「はいでは3問目!では今回のコロシアイの意義はなんでしょうか?漢字2文字でお答えください!」

渚「!」


『#$%&  宍戸 清磨呂  &%$#』


宍戸「き、きたか俺のヤマ…」

アナ「漢字2文字?」

円山「また妙な指定が入りましたね」


このコロシアイの意義…?この場合の意義ってどういう意味でしょうか?



233 : ◆11nx.E09nc  2016/08/29(月) 23:06:01.96 ID:K06T5Vpho
渚「・・・」

月宮「…渚くん?」

渚「…」

月宮「あなたひょっとしてすでに検討が付いてるの?」

柿生「え?」

宍戸「なに!?そうなのか?じゃあ教えてくれよ!!」

渚「…ああ、すごく簡単だ」


なぜだか、ナギくんの表情が今までのなかでも最も暗いような…


渚「漢字2文字、薄々そんな気はしていたが、ここまで言われたらもはや疑いようがない…そう、全部同じことだったんだ」

アナ「同じこと…何と?」

渚「その2文字の言葉は、すでにこの学級裁判中に何度も出てきている。江ノ島盾子は極めて用意周到な人物だ。すでに2手3手先を考えてある。こんな事になってもおかしくはない」

宍戸「何度もだと?あーくそ、どんな話してたっけなぁ」


234 : ◆11nx.E09nc  2016/08/29(月) 23:07:49.48 ID:K06T5Vpho
円山「用意周到…2手3手…は!」

宍戸「お、なんだ?なんだ?」

円山「渚様…それは『備えていた』といったような意味合いでしょうか?」

渚(コクッ

円山「は…はは…」

月宮「…つまりそういうことというわけね」

アナ「えっと…『備えていた』だから…えっと?まだ日本語微妙な意味合いが…」



やっぱり私が考えていたことは間違ってはいないようです
江ノ島盾子はジャバウォック島で果たせなかったことをここで成そうとしている
彼女が人工知能という自らの保険を残したように

このコロシアイもまた




柿生「保険…!」

月宮「!」

宍戸「2文字だな、保険、保険かぁ…なんのだ?」


渚「このコロシアイは予備の舞台だったんだ、つまり江ノ島盾子は俺たちの肉体を乗っ取るつもり…だな?」

モノクマ「ふふふ…」

アナ「な、なにそれ!?さっきの記憶の上書きで?」


235 : ◆11nx.E09nc  2016/08/29(月) 23:08:18.58 ID:K06T5Vpho
月宮「だんだん雲行きが怪しくなってきたわね…」


宍戸「ん?おい!予備でも保険でもどっちでも通るじゃねえか、どっちで答えりゃいいんだよ!」

モノクマ「そんな同じような言葉ならどっちでもいいよ、答えは別に一つじゃないんだから」

宍戸「お、おう…」


ピコーン!!


モノクマ「はいはーい、じゃあ答えをどうぞ」

宍戸「あ、ずばぁり!保険だ!」

モノクマ「…はい、正解」

宍戸「おいなんかだんだんテキトーになってねえか?」


宍戸君に同感です。
どうもとんとん拍子に進みすぎてる気がします
ひょっとしたらこのゲーム自体は黒幕にとってさほど意味がないのでは…?
だって…まるで飽きてしまってるような…


飽きる…?


236 : ◆11nx.E09nc  2016/08/29(月) 23:23:02.04 ID:K06T5Vpho
モノクマ「じゃあ次の問題に移ろうか」

モノクマ「ここに連れてこられたメンバーにはちゃんと意味があるんだけどね、そのうち14人のうち11人は絶望キラー、1人は未来機関、1人は無関係、ではもう一人は一体なんだろうね?円山くん、キミの意見を聞こうか」

円山「それは…回答者という意味ですか?」

モノクマ「まだ続けるかい?このクイズ形式…まあ回答者かどうかと言われればそうなるね」


モノクマの話し方が崩れてる…!


アナ「…なに?この言い回し…凄く心当たりがあるような?」

柿生「え、そうなんですか?」

アナ「いや、機械声だからよく分かってはいないんだけど…?なんというか…」



月宮「毎度毎度、問題をもう少し明確にできないの?」

モノクマ「確かに、これだけでは苦しいかな?こちらの認識としては、絶望キラーは消して絶望することのない人物達、未来機関の人は並大抵の絶望では太刀打ちできない強い希望を持った人物」

モノクマ「無関係は置いておくとして、もう一人は超高校級の才能を持つ平凡な人物とでも言えばいいのかな?この目的を達成するための最初の標的かな?」

宍戸「もう答え言ってねえ?」

モノクマ「といっても前からだいぶ感づいている人物がこの中にいるからね、もはや隠していてもしょうがないというか」


237 : ◆11nx.E09nc  2016/08/29(月) 23:37:31.32 ID:K06T5Vpho
モノクマ「言ってしまえばここまでは出来レースなんだよ。全部正解してもらわなくては都合がわるくてね」

アナ「となるとやっぱり探偵くん?」

渚「………」

宍戸「なんだ?絶望キラーってやつでも未来機関の人間でもないやつって事か?」

円山「……モノクマ」

モノクマ「なんだい?」

円山「『絶望キラーは消して絶望することのない人物達、未来機関の人は並大抵の絶望では太刀打ちできない強い希望を持った人物』というのは理解できます」

円山「ですが、最後の平凡、すなわち希望でも絶望でもない人物…神谷様でもあてはまるのではないのですか?」

モノクマ「あーなるほどね、気づいてない人もいるかもしれないが神谷くんも気質としては、後者の希望側に当たるのさ。むしろこの点は柿生さんに勝ると言ってもいい」

柿生「うっ…」


確かに私なんかよりシンちゃんの方が、希望に溢れていたような気はします


月宮「気にすることはないわ、柿生さん」

柿生「え、ええ…」





238 : ◆11nx.E09nc  2016/08/29(月) 23:46:27.74 ID:K06T5Vpho
円山「ですが…最初の標的とはどういう意味でしょうか?」

渚「最初の標的…つまり、最初に江ノ島盾子が上書きされる人物だな。それがいつの事かは…」

円山「最初に…江ノ島盾子が上書きされる人物」


モノクマ「もうそれを答えとして受け取っていいかな?僕はね、次の問題に行きたくてうずうずしてるんだからね」

円山「え、ですが…」

モノクマ「はい正解、どうも僕も我慢強くはなくなったようだ。そう…その絶望キラーでも未来機関でもない一名とは、江ノ島盾子が最初に上書きされた人物」


柿生「され…た…?」

今、過去形で言ったような…

モノクマ「言ったよね?全部僕の思い通りと」


(???「なるほど、いや悪いね。おしゃべりが過ぎたようだ。江ノ島盾子も相当うるさかったらしいが影響は少なからずあるということかな?」)


まさかあれは…私が話してたあの人は…江ノ島盾子が入れられたこの中のだれかって事ですか!?



239 : ◆11nx.E09nc  2016/08/29(月) 23:53:34.28 ID:K06T5Vpho
モノクマ「さあ、いい加減この姿でみんなの前にいるのにも飽きたころでね、やりずらいったらありゃしない」

モノクマ「さて…黒幕、江ノ島盾子が上書きされた人物とは誰かな?」

モノクマ「渚くん?」


渚「…」

宍戸「お、おいちょっと待てよつまり生きてるやつの中に、超高校級の絶望がいるってことだよな?」

円山「この中に黒幕…になってしまった人物が?」

アナ「おかしくない?だってみんなこうやって話してるじゃん、変な人なんて…」

柿生「そうです、あのモノクマは間違いなく本人、ここにいる人が話しながら、黒幕のセリフもにこなしていたなんてとても…」



月宮「話していない人物がいるようだけどね」

柿生「…え」

240 : ◆11nx.E09nc  2016/08/30(火) 00:01:33.49 ID:x/yXgNO2o
月宮さんが視線を向ける先には…未だに意識を取り戻さない愛野さんがいます

円山「ま、まさか!?」

月宮「あくまで状況的にだけれど、あてはまるわ」


確かに愛野さんはここに来てから唯一一度も口を開けてません
いえ、それどころかもっと前私が黒幕と話した時も

でも、本当に…?


宍戸「でもあんな話し方しないだろ!?」

アナ「話し方…そうだよ、あの話し方…やっぱり」


話し方…そう言えば江ノ島盾子ってどんな話し方をするんでしょうか?
正確が掴めないって言われてたのに、性格に特にぶれが感じられません…


なにかがおかしいです、なにか根本的に間違ってるんでしょうか?


モノクマ「君たち、少し黙っていてくれないかな。渚くんが答えを出すようだからね」

241 : ◆11nx.E09nc  2016/08/30(火) 00:03:09.69 ID:x/yXgNO2o
<<<ナギサ<<<


渚「………」

黒幕
超高校級の絶望をやらされる羽目になった人物なんて奴以外に考えられるはずがない




人物を指摘しろ!↓1

243 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします  2016/08/30(火) 00:56:06.14 ID:Ej+QzsgH0


実は生きていた舞丈かな?

245 : ◆11nx.E09nc  2016/09/11(日) 22:55:24.94 ID:SndU05tDo
渚「…違和感を感じ始めたのは最近の話じゃない、前々から奴は知っていることが多かった」

渚「ほかの奴を見るときと俺を見るときの態度も少し違った気がする」

アナ「あれ?アタシ…じゃないよね?」

円山「アナ様、お静かに…」

アナ「あ、ごめん」

渚「元々、俺たちの中に黒幕がいるという線は考えてはいたんだ。もしも黒幕だったらと全員分をシミュレートした。何度も…俺を含めてな」

語りながら、みんなが神妙な顔でこっちを見ているを感じる
これを聞いて今何を考えているのか…ただ聞いて俺の結論をまっているのか、あるいは必死に俺の思考に辿り着こうとするのか
万が一自分が指名されてしまった時のことを懸念しているのか

渚「俺が特定の人物を本気で疑い始めたのは…三つ目の事件の後だ。なぜかあのタイミングでモノクマ達が姿を晦ました事が引っかかっていてな」

だが俺が指摘する人物が思い浮かべることは、そのどれにも値することはないはずだ

渚「今はもう確信している、わざとなんだろう?遺体安置室なんてものを開放し、自由に捜索できるようにしていたのは」

円山「い、遺体安置室…?」

月宮「生物室のことよ、知らないなら知らないままの方がいいかもしれない場所」


246 : ◆11nx.E09nc  2016/09/11(日) 22:56:59.79 ID:SndU05tDo
宍戸「あの異常に寒ぃ部屋か!?…一つだけランプがついてる引き出しを開けたんだけどよ、なんつうか見ちゃいけねえものが…」

柿生「私も行きました、藤原君の…遺体だけこの目で確かめたんです。多分あの中には今までに亡くなった人が安置されてるんです。」

宍戸「おい勘弁してくれよぉ…じゃあ俺が見たのは死、死体なのかよ…」

渚「宍戸は運が悪かったな、誰とは言及しないでおくが原型をとどめていないものもあった」

円山「……」

アナ「ねぇ、ちょっと待って…遺体安置室なんて事柄が出てくるってことは…」

渚「全員分と言ったな、あれは文字通りの意味だ。例えばあいつは本当に…死んでいたのかどうか」

円山「ですが!モノクマはこの中にいると…!」

モノクマ「ふふふ、くくく…ウソは言ってないけどね」

円山「……あ、あ」

渚「柿生の不注意による居眠りが許されて、花瓶を不可抗力で割った事はアウト。今までと同じだ、お前の都合がまかり通りすぎている」

渚「分かってみれば、この問題をわざわざ俺に突きつける辺りが特に白々しく感じてくるな」

俺は満を持して、黒幕の名前を口にする

渚「元超高校級のプログラマー、舞丈…千人」


248 : ◆11nx.E09nc  2016/09/11(日) 23:10:42.81 ID:SndU05tDo
<<<カキエ<<<

柿生「舞丈…くん…?」

ナギくんは、そう言いました…よね
元超高校級のプログラマー、舞丈千人
それは確実に私の知っている人物です

モノクマ「」

宍戸「おい!モノクマが止まってるぞ!微動だにしねえ」

モノクマ達「「「クマぁ!」」」

柿生「え?」

月宮「モノクマがあらゆる所から!」


円山「な、何を!?おわ…!」

宍戸「ちょ、よせって!おい!」

渚「…!」


アナ「た、探偵くん!!」

渚「いや、問題ない。武装を取り上げられただけだ」

武器庫で装備を整えていたナギくん達を無力化した…?
ということは…


チン!

アナ「見て!エレベーターが!」



249 : ◆11nx.E09nc  2016/09/11(日) 23:22:32.34 ID:SndU05tDo
月宮「…!」

宍戸「幽霊じゃねえよな…」

円山「ああ…そんな…そんな!!」


舞丈「やあ、みんな久しぶりだね」

アナ「あの話し方はやっぱり…プログラムくんそのままだったんだ」

渚「そもそも隠す気もなかった、といったところか」

舞丈「ご名答だ、おめでとう渚くん」


柿生「な、なにしてるんですか…」

私たちにコロシアイをさせていた人間が…まさか

舞丈「やぁ柿生さん、元気だったかい?」

柿生「元気…?ふざけないでくださいよ!!あなたは私にとって…あなたにとっても大切な友達を!!何人もォ!!!!!」

舞丈「…いや、すこしがっかりだね。これだけ前置きを準備しておいたのに、まだ状況がわかっていないようだ」

状況…?



円山「ふぅ''…!お前ェ!!!」

舞丈「おっと、もうモノクマは使いたくないんだけどなぁ」

モノクマ「拘束拘束ぅ!」

円山「くぅ!この…離…せ、はなせ」

250 : ◆11nx.E09nc  2016/09/11(日) 23:39:06.20 ID:SndU05tDo
舞丈くんは円山君に襲い掛かられそうになったにも関わらず、マイペースな速さで舞丈くんの席まで足を運びます

舞丈「よっと、この遺影…持ってっちゃっていいよ」

モノクマ「オッケイ」

モノクマを手下の如く扱っています、さもそれが当然であるかのように


舞丈「さて、少し答え合わせをしていこうか。渚くん、僕の事を舞丈千人と言ったけれど、その心を聞かせてもらえるかな?」

月宮「その心…?あなたは紛れもなく舞丈くんよね?」

アナ「まさか、双子の兄とかクローンとか?」

宍戸「もうよそうや…考えるのもいい加減億劫になってきたぜ、結局俺にはなんもできなそうだしな…」

渚「…毎回お前の質問は語弊を招く、正確に黒幕と言えるのはお前がオシオキされた後…か?」

オシオキ…それは舞丈君が死んだあの後ってことでしょうか?

渚「あの後しばらくモノクマが活動を控えていた。つまり、そこで『お前』がでてきたんだろう?」

舞丈「悪いね、説明するのは下手な方なんだ。そして合格、この分なら明かしてもいいだろう」


そうだ…、さっきまで話してたじゃないですか
冷静になってみれば分かることでした
あれはもう私たちの知っている…



舞丈「僕は舞丈千人であり、そして…」



251 : ◆11nx.E09nc  2016/09/11(日) 23:39:47.73 ID:SndU05tDo


舞丈「江ノ島盾子でもある」


私たちの知っている舞丈君ではありませんでした

253 : ◆11nx.E09nc  2016/09/11(日) 23:58:56.04 ID:SndU05tDo
柿生「江ノ島盾子…!」

月宮「つまりあなたは江ノ島盾子の記憶が上書きされた舞丈くん、ということ?」

舞丈「まあ、それで正しいとも言えるけどね。今の僕は江ノ島順子の記憶や思考さらに舞丈千人の人格、記憶も併せ持つ存在なんだよ」

宍戸「な、ならよお、お前ん中の舞丈がこんなことを許すわけが…!」

舞丈「それはどうかな?僕が…いや江ノ島順子がなぜ僕に最初から黒幕をやらせなかったんだと思う?」

宍戸「は、はぁ?」


舞丈「じゃあ、君たちが解いてきた問題を追って話していこうか」


舞丈「そう、事の発端は江ノ島盾子がここで起こした78期生のコロシアイで敗北したところだね」

舞丈「だけど江ノ島盾子は保険として自分の人格、記憶を持つ人工知能アルターエゴを残していた」

舞丈「そしてカムクライズルというルートを駆使して、ジャバウォック島に侵入、そこで絶望の残党達を殺し合わせ、生き残ったものに江ノ島盾子を上書きして復活を果たそうとしていた」

舞丈「しかし、それも失敗」

254 : ◆11nx.E09nc  2016/09/12(月) 00:26:35.38 ID:MnWyM8jTo
舞丈「だけど備えあれば患いなし、もう一つの保険としてキリバタウンで絶望を殲滅してまわっていた、絶望キラー達と柿生さんをあらかじめ拉致し」

舞丈「そしてもう一つ、まったく別の場所から未来機関に向かっていた『僕』を拉致」

舞丈「ジャバウォック島の方から失敗の知らせを受信し、こちらのアルターエゴは78期生の時と同じ手段で君たちの記憶を消し、僕に江ノ島盾子を植え付け」

舞丈「このコロシアイを開始した」

舞丈「だけど、そのコロシアイは進行せずに中止することになったんだ」

柿生「想定外、ですか?」

舞丈「その通りさ、絶望するほどではなかったけど、これは上手くいかなかった。分析が足りなかったんだよ」

舞丈「希望ヶ峰学園を卒業し、それぞれ職にまでついて君たちはの記憶の量は、当然在学中だった78期生に比べたら莫大な容量だったんだ」

舞丈「そんな大きな容量の記憶は消そうとしても消えなかった。今ですら記憶を取り戻す人がいるくらいだから、想像できると思うけどね。君たちはすぐに元の記憶を取り戻していったんだよ」

舞丈「柄にもなく白川さんが高校生活中に培った常識を持っていたり、右町さんもトラウマを克服していたり、コロシアイが起きるような要素はなくなってしまった」

舞丈「そして何より、僕が絶望化しなかった」


舞丈「だからやり直した、もしも江ノ島盾子が人工知能としてプログラムされていない生身の人間であったなら、この望まない展開も絶望として楽しんでいたのかもしれないね」

舞丈「でもアルターエゴ江ノ島盾子はあくまでプログラム、設定に沿って動くものだ」

舞丈「江ノ島盾子はこの結果を再分析。君たちの記憶の消去は、あくまで高校生活と人類史上最大最悪の絶望的事件発生後に絞ること。そして僕に江ノ島盾子を植え付けるには時間をかけて徐々にやっていく必要があるという結論を出した」

舞丈「…どうかな?」

257 : ◆11nx.E09nc  2016/09/19(月) 22:07:55.81 ID:wBorECnAo
舞丈「これで、僕の根端も大体はわかったかな?」

柿生「……」

私たちを絶望に陥れる…確かにここまでは私たちを正確に分析し綿密な計画を練って、それを実行し成り立ったのかもしれません

でもいくらここまでが上手く行ったからといって…どんな手段で私たちを絶望させるつもりなんでしょうか?

月宮「これから私達はどうなるのかしら?」

舞丈「おっと、結論を急いじゃいけないよ?まだ勝負は決してはいないのだからね」

円山「今更ながら、本当に勝負と言えるものなのでしょうか?」

舞丈「こちらに分があることを承知で勝負に乗ったんだろう?なら文句は言えないはずだと思うけれどね」

アナ「なんか、いちいち癪にさわるなぁ…」

舞丈「柿生さん、お待たせしたね。君に問題を出すよ」

柿生「…問題」

舞丈「それは君の考えている疑問を解決してくれるものでもある、ぜひ自分で考えてみてほしい」

柿生「私の疑問…ですか?正直疑問だらけなんですが」

舞丈「違いないだろうね、では一言」

舞丈「前に言ったよね、君は絶望キラーを理解していない」

柿生「…!」

舞丈「実はね、絶望キラーは本来一人なんだ」


258 : ◆11nx.E09nc  2016/09/19(月) 22:14:52.89 ID:wBorECnAo
柿生「え?」

舞丈「うん」

柿生「でもあなたは、散々11人の絶望キラーと…」

舞丈「ああその通りさ、でも『本来』の絶望キラーは一人だ。…根源と言ってもいい」

柿生「…元々一人しかいなかったって言うんです?」

舞丈「考えてみなよ、絶望だって元々は少数さ。それがどんどん伝染して広がっていった。絶望キラーにも…同じように希望だってそう」

舞丈「プログラムコードが文字一つから始まるように、宇宙がビックバンという一つの現象から始まったように、どんな事象だって元々は一つの物なんだ」

舞丈「そしてその絶望キラーの根源は、この中にいる。無論生きている人たちの中にね」

柿生「その人を指摘しろと?」

舞丈「君なら分かるはずだ」


柿生「…」

ここにいる私以外は絶望キラー
絶望に関するものを破壊し、絶望に飲まれた人間たちに対する殺戮を繰り広げていた人たちです
その根源となる人がいるのなら
それはやっぱり、この生活内でも妙な力で、絶望を封じ込めるようなことをしたあの人しか…!

↓人物を指摘しろ!

259 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします  2016/09/20(火) 00:02:51.80 ID:UqjIryJ6O


260 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:31:31.40 ID:Rx+ujxjHo
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

渚「ゼツボウニノミコマレルナ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

あの目…円山君の様子がおかしくなったのもやっぱりあの時からです

そして今も

渚「…」

何度見直しても目の色が違う…
大した根拠ではないのかもしれません
でもそんなものいらないほどに
みんな確信を持っている
そんな力を持っているのは…

柿生「渚……渚 薫くん」

渚「ああそうだ俺だ」

柿生「!」

アナ「…そう…なんだ」

渚「いつしか俺は、お前たち絶望を一つ残らずこの世から消し去ることだけを考えるようになっていた」

舞丈「先に言っておくけど正解だ、おめでとう全問正解だよ」


261 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:32:04.52 ID:Rx+ujxjHo
舞丈「で?それはなぜだい?渚くん」

渚「決まっているだろう、お前が起こした数々の惨劇が…」

舞丈「そう、君はそれをいくつも目の当たりにし、絶望しかけた」

舞丈「だけど彼は拒否したんだ。江ノ島盾子が大好きな…いや、今となっては僕が愛しくてたまらないこの絶望という感情を!!」

舞丈「莫大な絶望という感情の代わりにあふれ出たものは、絶望への憎しみ恨み狂気だった。これが絶望キラーの正体だ!」

舞丈「江ノ島盾子が超高校級の絶望、何人かいる希望的な存在の事を超高校級の希望というならば、渚くんは超高校級の絶望キラーってことさ」

宍戸「てやんでい!!高校なんざとっくに卒業してるだろ!」

月宮「そこは大した問題ではないわよ」

宍戸「う」

舞丈「僕は知っているんだよ?全部ね。なぜなら僕もかつては柿生さんと同じように君を助け出そうとしていたからね」

柿生「そうなんですか!?」

舞丈「ああそうだよ、僕は未来機関には入らなかったけど独自で絶望キラーを研究していたんだ。まあだから不甲斐なく捕まってしまったんだけどね」


262 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:33:13.28 ID:Rx+ujxjHo
柿生「だから私に絶望キラーを理解していないなんて…」

舞丈「当然だね。君にそう言えたのも、僕が絶望キラーについて熟知しているからこそだ」

舞丈「それは、渚くん以外の人についても」

アナ「え?」
円山「…!」
宍戸「俺たち!?」
月宮「どういう意味かしら?」

舞丈「疑問に思わないのかい?始まりは渚くん、では君たちはどういった過程で絶望キラーになったのか」

柿生「…」



そうです…他の皆さんはどういった過程で…
何が原因で…



(舞丈「…絶望しかけた」)


え?なんでこの言葉が引っかかるんでしょうか?
絶望しかけた…






【絶望ファイル】

あ、これです…!
みんな大切な物を失ってる
絶望する理由がある…


263 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:34:16.78 ID:Rx+ujxjHo
舞丈(ニヤッ)

柿生(!)


柿生「ま、待って!やめてください!!」

舞丈「うん?何をやめてほしいのかな?」

柿生「何をって!あ…」


しまった…


アナ「画家さん?」

円山「どうか…なさいましたか?」

柿生「あ、いえ、えと…」

月宮「…」


舞丈「どうしたんだい?柿生さん?みんなも怪訝な目で君をみてるよ」

柿生「は…違うんです!その…」



月宮「柿生さん」

柿生「は、はい!!?」


264 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:35:43.34 ID:Rx+ujxjHo
月宮「隠してる事がある…のよね?」

柿生「…っ!」



舞丈「その通り、柿生さんは君たちにとって重大な事実をあえて言わなかったんだ」

宍戸「そ、そうなのか!?」

柿生「いえ、だからこれは!」

舞丈「大丈夫!そんなに知りたいなら開示するよ、全問正解の景品その1だ」


すると舞丈君は何かの書類…いえ【絶望ファイル】をばらまいたんです

柿生「だ、だめ!」



みんな次々とそれを手に取ります



アナ「こ、これって…うそ、お父様が?」

円山「あ…あ…」

アナ「べ、ベルボーイ君?どうし…



円山「あ、あああああああ!!!」
宍戸「頭が…痛ぇ!」



柿生「み、みなさん…!」



265 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:37:30.76 ID:Rx+ujxjHo

円山くん、宍戸君それから月宮さんが頭を抱え呻いています


月宮「う、うぅぅ…!!」

柿生「月宮さん!大丈夫ですか!しっかりしてください!」


円山「そ、そうです。逃げ出したお客様の一人に置き去りにされて…死ぬところだったんだ…私はお客様のために避難誘導をしていたのに!!!」

宍戸「そうだ、そうだ…!!みんな死んじまったんだ!!」


柿生「円山くん、宍戸くん…」

宍戸「おい柿生ぇ!!知ってたのかよお前!?なんで言わなかったんだよぉ!!こんな…こんな事を」

柿生「だ、だってこんな事言えるわけが…」



月宮「柿生さん…」



柿生「月宮さん!私はただ…」

月宮「実はというと、なんとなく分かっていたの」

柿生「え、どうして…?」

月宮「だって…あの時の柿生さんの言動には違和感を感じずにはいられなかったもの」


266 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:39:34.66 ID:Rx+ujxjHo

月宮「あなたが私に兄の事を訪ねたとき、やはりあなたは兄の事を知らなかった。もしくは覚えていなかった」

月宮「そうでしょう?」

柿生「……」



月宮「これで、はっきり思い出したわ」

月宮「私の兄は目の前で焼け死んだ…もう、お兄ちゃんは…グス…いないのね」


私は月宮さんの顔から眼を背けてしまいました
変わりに舞丈君の方をむくと…


舞丈「ふふふ…くくく…これが絶望か、絶景だね」


円山「ああ…あああ…」

宍戸「もう…無理だろこんなん、俺ぁなんのために…」

月宮「うっ…うう…」






アナ「ちょっと!アタシ、思い出せないんだけど!」

舞丈「うーん、その辺は個人差があると言わざるを得ないね」

アナ「なにそれ…アタシ、お父様がこんな事したなんて信じないから」

267 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:42:18.18 ID:Rx+ujxjHo
舞丈「他の三人はしっかりと絶望してるね、渚くんはどうかな?」

渚「絶望…く…!」

舞丈「まだ理性はある…か、さすが柿生さんと約束しただけあるね」


でも、こんな状況でこれ以上何を

舞丈「さて柿生さん、ひょっとしてこれで破たんしたと思ってるのかい?」

柿生「…」


見透かすように聞いてきます



舞丈「だとしたらそれは間違いだよ。全問正解なんだ、規約通り君たちには最後の選択をしてもらう。ここから脱出するか否かね」

柿生「…脱出!」


そうです…こんな状況でもみんなで外にさえ出てしまえば!

柿生「どうすればいいんですか?」

舞丈「投票だよ。学級裁判の最後はいつだってみんなの投票で終わってきただろう?」

舞丈「選択肢は三つだ。確実に脱出するための選択肢、もう一つはここに残るための選択肢、そしてここで全滅する選択肢だ」

柿生「…?そんなの一つ目を選べば…?」

舞丈「そんな単純だと思うかい?まあこれを見ればわかるだろう。君たちの席にボタンを出すよ」


268 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:42:55.60 ID:Rx+ujxjHo
すると目の前に投票ボタンが3つ現れます

そこには…



1渚をオシオキし、残ったもので脱出する

2柿生をオシオキし、残ったものはここで一生を過ごす

3舞丈をオシオキし、学園内のモノクマ達と戦う


269 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:44:31.01 ID:Rx+ujxjHo
柿生「…意味が…わ、わからないんですけど」

舞丈「一目でわかるように書いたのに?」

アナ「これじゃ探偵くんや画家さんが明らかに不利じゃん!!」

舞丈「彼は超高校級の絶望キラー、脅威だからね、そう簡単に脱出されちゃ困るよ。彼を脱出させるなら3番を選んで僕を殺し、モノクマ達を振り切るんだね」



カチッ

ピコーン!



舞丈「ん?もう一票入ったようだよ?」



1渚をオシオキし、残ったもので脱出する

2柿生をオシオキし、残ったものはここで一生を過ごす

3舞丈をオシオキし、学園内のモノクマ達と戦う(1)



渚「…」

舞丈「なるほど君が入れたのか、渚くん」

渚「お前を殺してそれで終わりだ」

舞丈「終わらないけどね」


270 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:46:53.69 ID:Rx+ujxjHo
アナ「た、探偵くん…」

柿生「これじゃ…どれを選んだって…」



でも、だったらせめて2番で…み、みんなを…

私は2番に手を伸ばします

アナ「だ、だめだって画家さん!!」

柿生「でも、でもこれしかみんなを守る術が…」



宍戸「ハッ…ここにいようが、外へ出ようが変わんねえよ…」

円山「私は…!私は!」

月宮「」


みんなまだボタンを押す気力すらないようです


アナ「大体3番ってなに!?どうなるの?」

舞丈「そうだね。ではどれを選べばいいか分からない君たちに、一つ一つどうなるかを説明してあげるよ」

271 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:49:08.80 ID:Rx+ujxjHo
舞丈「まず3番、これが江ノ島盾子の愚かなところでね、なぜか自分にも不利な選択肢を用意してしまおうとする。ゲームという形式を重んじてるからね」

舞丈「これを選ばれたら僕は処刑される。そして君たちも戦闘型モノクマ達の手によって皆殺しというわけさ」


舞丈「続いて2番、これを選べば柿生さんは処刑される。さて残されたメンバーはどうなるかね?」

舞丈「未来機関もいなくなり、渚くんが生き残るんだ。なら決まっているよね?君たちは再び絶望キラーへと返り咲く。だけど当然そんな脅威達を外に出すわけにはいかない」

舞丈「だから君たちにはこの中に死ぬまでいてもらうよ。大丈夫、ちゃんと生活はできるようになってるからね」




舞丈「そして1番、これが肝だ」

舞丈「なぜ君たちが絶望しきれてないかわかるかい?君たちは絶望は渚くんが封じているんだ。絶望キラーを伝染させた事によってね」

舞丈「だけど1番の選択肢では、渚くんは処刑されてしまう。するとどうだろう?」

舞丈「根源を失った君たちは今度こそ絶望に堕ちるだろうね。そしてそのまま脱出。世界に放たれる」

舞丈「アナさん、君だって例外じゃない。個人差があるとはいえ記憶は必ず戻る。保証する」

アナ「う、そうなの…?」


272 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:50:00.84 ID:Rx+ujxjHo
こ、これが黒幕のやりたかったこと…


舞丈「さて、柿生さん。質問がある」

柿生「……」

舞丈「君は彼らが絶望したとして…」







舞丈「君に絶望を始末できるかい?」








柿生「………え?」

舞丈「忘れてはいけないよ?君は未来機関の人間なんだ。戦闘訓練も受けている。脅威となる絶望の駆逐、当然の事だろう?」

柿生「で、できるわけないじゃないですか」

舞丈「そうだ君には絶対にできない。だが…彼らならどうだろう?」


273 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:51:16.47 ID:Rx+ujxjHo


モニターには外の様子が映し出されます

柿生「…な!?」

舞丈「この学園の外は未だに未来機関の機動隊に包囲され常に厳戒態勢を保たれている」

舞丈「彼らは元希望ヶ峰学院生の絶望なんか絶対に許さないだろう。包囲は完全なものだ。きっと彼らだけでは逃げられない」

舞丈「なら君は、嘘をついてでも、虚偽の報告をしてでも、絶望達を庇い。そして機関の中に侵入させてしまうだろうね」

舞丈「超高校級の絶望達を…」


納得せざるを得ませんでした。だって、私はきっとその通りにしてしまう…



舞丈「これで分かっただろう?君たちを全員始末してもいい、絶望キラーを閉じ込めてもいい、絶望を機関に送り込んでもいい」

舞丈「どう転んでも一切の損はない!どう転んでも絶望!」




絶望の計画は…もう覆せない…


274 : ◆11nx.E09nc  2016/09/21(水) 21:52:47.22 ID:Rx+ujxjHo
柿生「でも…」

舞丈「ん?」

柿生「でも、私だって彼らと同じ立場です!私自身が絶望したり、キラーになったりするかもしれないじゃないですか!!」

ほとんどやけくそな気持ちでした
だからなんだという話です


舞丈「…やっぱり君も全てを思い出したわけじゃないようだね」

柿生「どういうことです?関係ないじゃないですか!」

舞丈「ああ関係ない、君は彼らとは違う、決定的に違う点があるんだよ」

柿生「…?」

舞丈「君は絶望しないよ、絶望キラーにだってならない」

柿生「なんでそう言いきれるんです?」

舞丈「君の家族は全員ご存命だ」

柿生「…え」

舞丈「何も失っていないんだよキミは、おまけにどういうわけか神谷くんを初めとした友達たちを失ってもなお平然とそこに立っている」

柿生「…」

舞丈「君が絶望する要素は僕にはわからないよ。そもそも住んでた町が壊滅したって特に精神的な影響はほとんど見られなかったみたいだしね」

舞丈「不思議だよ、君は…」



柿生(ガクッ

私は崩れ落ちました、この状況をどうにもできないどころか、みんなと同じ立場にも…


278 : ◆11nx.E09nc  2016/09/22(木) 00:04:23.60 ID:vXvVGJw7o
またこうなっちゃいました…もう何度目の挫折でしょうか…
なんどでも立ち直るって言いましたけど

ほんとに何度立ち直ればいいんでしょうか

どっち道こんなのを打開する方法なんて思いつきませんよ
やっぱり、2番でみんなに生きのこってもらうしか…
そうすればきっと、いつか外にいる機動隊がみんなを助けてくれるはずです

それならもう、いいですかね?
ちょっと疲れちゃいました…



ピピピピピ・・・・!!!!!


柿生「え?何の音?」

舞丈「ううん?これは…電子手帳?誰のだい?」

アナ「アンタの仕業じゃないの?」

舞丈「いやいやしらないな」



音の鳴る方には…


??「ん、んあ…ここ…は?」

ピピピピピ!!


279 : ◆11nx.E09nc  2016/09/22(木) 00:36:45.97 ID:vXvVGJw7o
それは何をしても目覚めることのなかった愛野さんでした


柿生「愛野…さん」

アナ「お、起きた…」

舞丈「…」



愛野「…え?私…なんでここにいるんだっけ…」

ピピピピピ…!

愛野「え、電話?」



???『ごめん!!電話じゃないよ!!』

アナ「も、もしかして」

柿生「この声って舞丈君…?」



舞丈「…これは、どういうこと…なんだ?なぜ奴が…」


280 : ◆11nx.E09nc  2016/09/22(木) 00:40:15.68 ID:vXvVGJw7o
ヨイクマ『ボクだよ!ヨイクマだよ!!舞丈君がビジュアルと声を舞丈君に似せちゃったから紛らわしいけど、正真正銘の僕だよ!!」

愛野「え…なによ?なんなの?」

柿生「ヨイクマさん!!でも、どうして!?」

シンちゃんの壊れた電子手帳は愛野さんのポケットに入れてありました
壊れた状態で…

舞丈「だが君は!神谷くんの電子手帳は起動しなくなっていたじゃないか!!」

ヨイクマ「ここぞって時まで、壊れたふりをしててくれって神谷くんに頼まれたんだよ、ね!神谷くん!」

柿生「あ…その…」

アナ「…」



舞丈「馬鹿な!君は僕が設定したものだぞ!?そんな事ができるなんて…」

ヨイクマ『僕はもともと人工知能のバグデーターだよ?予想していなかった挙動を起こしてもおかしくはない。それを見越した上でこうしたんでしょ?舞丈君』

舞丈「そうか、一切手を抜いたつもりなんてなかった、でも僕のプログミング技術では君を完全に制御することはできなかった。ということか…」

舞丈「いや、むしろかつての僕がそれを狙って…?思い返してみれば…そんな気がしてきたぞ。思考が違いすぎて、あの時の事なんか考えもしなくなっていたんだ…」


281 : ◆11nx.E09nc  2016/09/22(木) 00:40:58.36 ID:vXvVGJw7o
ヨイクマ『それで…神谷くんは?』

愛野「ねえ…どういうことなの?」


愛野さんは既に見つめていました
バツ印が付けられたシンちゃんの写真を…

愛野「ねえ、どうして!!どうして神谷くんの写真があんなことに!?どうして神谷くんがいないの!!!?ねえ神谷くんはどこ!!!???」

柿生「神谷くんは…」

愛野「いや!聞きたくない!いやぁ!」

愛野さんは激しく取り乱しています
そりゃそうですよ、何も知らなかったんですから

ヨイクマ『じゃあ、やっぱりだめだったんだ…』

アナ「やっぱりって…?」

ヨイクマ『うん、あの時神谷くんが愛野さんを眠らせた後、こうして壊れたふりなんて頼んだのには理由があるんだよ』



282 : ◆11nx.E09nc  2016/09/22(木) 00:41:29.10 ID:vXvVGJw7o




ヨイクマ『だれか…ボイスレコーダー持ってる?』


289 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 00:53:28.15 ID:RuyG1kQSo
柿生「ボイスレコーダー…藤原くんのですか?それなら私が…」

天城さんが最後に渡してきたこのレコーダー
私が立ち直るきっかけになったこれが
まだなにか…

ヨイクマ『柿生さんが持ってるんだね、よかった!』

舞丈「…まさか、あれは神谷くん差し金か!」

柿生「差し金…?でもこれは藤原くんの音声しか…」

ヨイクマ『神谷くんはなんらかの方法で見つからないようにしてたんだよ!ボクにはそこまでわからないけど」

私は次のトラックに回して再生してみました

トラック3「……………ブツ」

柿生「確かに…無音ですけど、まだ記録されてます」

確かめてみるとトラック2までの藤原君の音声のあと、トラック3、4、5…といくつもの無音の1秒が録音されていました

柿生「これはどういう…」

トラック30番に差し掛かった時
ついに…


290 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 00:53:59.54 ID:RuyG1kQSo
『ブツブツ…あー?あー?…はぁ…ふぅ…」

柿生「流れました!!」

アナ「ちょっと待って、これ!」

『はぁ…く…、これで…録音できて…るのか?」

渚「この声は…」

愛野「神谷くんの声!!」

アナ「な、なんか苦しそうだよ!?」

ヨイクマ『多分、撃たれたあとなんだと思う…何もなければ、こんな事せずに戻ってくるはずだったんだもん!』

舞丈「なるほどやってくれたね、監視カメラじゃ倒れてる神谷くんの動きなんて把握できなかったけど…つまりこういうことをしていたのか」

柿生「じゃあ、瀕死の状態でこんな…」


291 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 00:54:37.98 ID:RuyG1kQSo
神谷『みんな…聞いてるか?誰…が、どこで…聞いて…るんだかはわかんねぇ』

神谷『まずは…謝らせてくれ、死ぬつもりは…ないとか言ったのに、本気でそう思ってたのに、結局…気づいたらこのザマ…くっ…だったよ」

神谷「痛つ……簡単に手当はしてみたけど、身動きもとれない。どれだけ持つかはわかんねえ』

神谷『でも俺はべつに、犯人が誰だとか、そういうことを言うためにこの音声を残したわけじゃない』

神谷『情けないけど、そんな事はしたくないんだ…だって俺…が犯人をばらしたら、そいつは死ぬだろ?右町…が犯人だって指摘したとき、正直結構参ってたんだ」

神谷『だから…勘弁してほしい』


神谷『ゴホッ…カハッ!』

愛野「こんな…こんなの…」

愛野さんは口を抑え今にも叫びそうになっています
私も正直体の震えが止まりません

神谷『こういうときって…何を…言えば良いんだろうな』

神谷『はは…自然と言葉が浮かぶもん…だと思ってたけど…そうでもねえな』


292 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 00:58:07.04 ID:RuyG1kQSo
神谷『えと、じゃあ…そうだな、円山』

円山『私は…わた…くしは…』

神谷『知ってるか?俺、結構…お前の事頼り…にしてたんだぜ?』

円山「私は…私…は?」

神谷『最初、宍戸の…緊急オペをした時、お前に…タンカを持ってきてもらっただろ?』

神谷『あれ、何となくで…頼んだんじゃないんだ。ベルボーイのお前なら適切な…判断が…下せるって思ったからなんだよ』

神谷『俺の期待通り、タンカだけ…じゃなくて、他にも水や道具いろんなもの…を持ってきてくれた。あれが宍戸の生存を確実にしてくれたんだ』

神谷『料理が上手かったり、誰に対しても協力…を…惜しまなかったり」

神谷『この個性的な面々…のなかでお前ほど、気づかいのできる奴…はいないと思ったよ。凄い奴だと思ってたんだ』

円山「…」

神谷『だからさ、簡単に腐んないでくれよ。悲観的にならないでくれよ。どんな時もを頼れるお前でいてくれ』

円山「ですが…私はもう…」


293 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 00:59:28.59 ID:RuyG1kQSo
神谷『アナ』

アナ「う、うん!」

神谷『お前には頼みがある。渚を助けてやってくれ』

神谷『まだ思い出してないかもしれないけど、お前はあいつにとって大きな存在だったんだと思う』

神谷『あいつは、学園を卒業してからも何かに取り憑かれてるんみたいなんだ』

渚「お前、な、なにを…」

神谷『情けないことに俺は最後までそれが何かわからなかった。無責任で悪いけどさ。お前なら、きっとなんとかしてくれるんじゃないかって』

神谷『期待してるんだ。押しつけがましくて悪いな』



アナ「…」

アナ「謝んなくていいよ、それにアタシは…」

アナ「やりたくないことは一切やらない主義なんだ」

アナ「探偵くん…そういうことなんだよ?」

渚「…アナ」


294 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 01:00:09.36 ID:RuyG1kQSo
神谷『月宮、無理はするなよ』

月宮「…!」

神谷『この先、想定外のことなんていくつも起こると思う、でもさ、それはお前の失敗だけじゃないんだ』

神谷『俺もそうだ。医者だけど救えなかった人はたくさんいる。俺の力不足もある。でも、あんなのどうしようもなかった!!って思ったこともあるんだ」

神谷『だけどそれって悪いのか?仕方ないことだってあるじゃないか』

神谷『だってそうだろ?お前は明らかに渚なんかより一人で抱えすぎなんだぜ?そう見える』

神谷『頼れる人はいっぱいいるよ。そして頼ってたつもりでも、便り切れてなかったことも』

神谷『少しぐらい頼りっぱなしになるくらいで丁度いいんじゃないか?』

月宮「……」



月宮さんは無言で私を見てきました

柿生「…」

だけど私は不覚にも大した返事はできなくて…


295 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 01:01:23.12 ID:RuyG1kQSo
神谷『天城』

柿生「え?」

だって天城さんは…あなたを…

神谷『俺はお前を許さない』

神谷『当然だろ!だって俺は許せねえもん」

神谷『でもさ、ほかの奴はなんだかんだで許してくれるんじゃないか?』

神谷『だってみんないいやつだと思うからな。お前だってきっと悪い奴じゃないんだ』

神谷『だから、俺の事は忘れていい。ああそれがいい!な?』



神谷くんは、ひょっとしたら願っているのかもしれません
自分を殺した相手だろうと…生きていることを

でもその願いは空しく、声は既に届きません

296 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 01:03:04.07 ID:RuyG1kQSo
神谷『宍戸』

宍戸「神谷ぁ!俺ぁどうすりゃいいんだよ!!」

神谷『お前は、何を言えばいいんだろうな…?』

宍戸「はぁ!?」

神谷『お前は、もっとなんとかならなかったのかよ…って部分も多いしなぁ。迂闊な行動で簡単に死にかけるし…』

神谷『俺を脱出させようとしたあの寸劇も、やっぱりアレはねえよ』

宍戸「…」

神谷『でも、なんでもかんでも本気でやってたよな」

宍戸「!」

神谷『お前がいつでもそんな調子だから、この思い雰囲気の生活も、ある程度前向きに過ごせた気がするぜ』

神谷『ありがとな』

宍戸「…なんだ…そりゃ…結局俺は…なにも」


297 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 01:04:50.04 ID:RuyG1kQSo

神谷『愛野』

愛野「神谷くん…」

神谷『正直、なんでお前が好きなのか分からなかったんだ』

愛野「え…?」

神谷『でも、記憶を取り戻して思い出したんだよ。俺お前に凄く助けられたことがあるんだ』

神谷『は、恥ずかしいから、さすがにみんなが聞いているかもしれない、この状況では言えねえ//』

神谷『でもお前もいつかきっと思い出すよ。学生時代ではお前が俺を好きになったんじゃなくて…俺がお前を好きになり始めたこと』

愛野「そ…そうなの?」

神谷『あと、俺がいないからって間違えてもじ、自殺とかするんじゃねえぞ!俺、あの世とか信じてないけど、こっちに来たら許さねえからな!』



神谷『もうお前は独りぼっちじゃないんだからさ』

愛野「……でも…」


298 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 01:06:24.07 ID:RuyG1kQSo
神谷『ナギ』


渚「……」


神谷『約束は覚えてるよな?』

渚「勝手に死んだくせに何を言っているんだ、アラタ」

神谷『ここでした約束じゃねえ、もっと前のやつ。卒業する前のやつだ』

渚「…」

神谷『破るなよ?我儘言ってるのは重々承知だ。でもあいつにはもうお前しかいないんだ』

神谷『お前以外にどれだけいても…やっぱりお前の存在は大きいはずだと思う』



渚「アラタ…お前が何を思おうと、もう俺は…」




299 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 01:07:05.30 ID:RuyG1kQSo




柿生「ちょっと待ってください…誰の話をしてるんですか…?」


ここまで言われてしまえば、私がどんなに鈍くてもわかると思います


柿生「何を勝手に約束してたんですか!!」

怒りと悲しみを叫びます
いままで出したどんな大声よりも大きな声で…


柿生「ええそうですよ!!ナギくんは私にとって特別大事な存在ですよ」

柿生「あなたはどうなんですかぁ!!何が約束ですか!卒業の時?卒業前からいなくなる予定だったんですか!?」

柿生「ふざけないでくださいよ!あなたなんか、そんなシンちゃんいなくなっても構いませんよ!!」

柿生「…いなくなっても…生きていてくれれば、それでよかったのに…我慢したのに…」


300 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 01:08:49.61 ID:RuyG1kQSo
神谷『ユキ』



柿生「………………なんですかぁ!!」


神谷『藤原がさ、お前に自信を持てって言ってただろ?』

神谷『ついでに親友のナギや俺が、なんで言ってやらないんだ、だの、愚かだ、だのディスってたけどさ…』

神谷『俺はお前の成長に気が付かなかったわけでも、言えなかったわけでもねえ』

神谷『俺は藤原とは別の考えをもってたんだ』


柿生「…なんです…?まだまだ自信なんか持つなとかうぬぼれるなとでも言うんですか?」


301 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 01:09:50.34 ID:RuyG1kQSo



神谷『俺に言わせりゃ、お前はまだまだだ!!!』



柿生「…え、えぇ?」(ビク!


神谷『お前は結局他人ありきなんだ!!自分じゃなにもできないとか、それだけじゃねえ!!』

神谷『お前からはいつだって、自分なんかどうなったっていい、他の人のためになればいい!』

神谷『極端に言えばそんな心が、見えてくる気がするんだ…』

神谷『他人の良いところばかり見つけちまうのだって、自分の周りの風景を描くのが上手いのだって』

神谷『いつだって、なんとなくそこにはお前自身ってのが感じられなくて』

神谷『記憶の片隅に銃を構えるお前を思い出すたびに、思ったんだ』


神谷『お前は他人のためとはいえ、銃を手に取って戦うようなやつじゃ、戦わせていいような女の子じゃないんだよ!』

神谷『だから…自分のことも思いやってくれよ』

柿生「…」


302 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 01:13:58.42 ID:RuyG1kQSo
神谷『俺が今生きてるって確信を持てるメンバーはこれだけだけど、もしも他にも実は生きてたって奴がいたら、よろしく言っといてくれ』


神谷『あと、黒幕!残念だったな!!』

神谷『俺は死ぬ気はなかったし、たとえ死ぬことになってもただで死ぬ気はなかったってことさ!!』

神谷『ざまぁ、みやがれ…』




神谷『ユキ』

神谷『それでも、やっぱり他人のことばかり考えちまうなら、こんな場所から助け出そうって思うなら』

神谷『そこにはお前も必要不可欠だ。間違っても命に代えてもなんて考えるな!』

神谷『みんなを助けるのは「お前の力」だ!そして藤原も言ったみたいに、みんなを引っ張っていくのもお前だ!』

神谷『形からでもいい、いつもと違う一歩を踏み出してみろ!!』



神谷『殻を破ってみろ!!!!』

『ブツ…』

303 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 01:15:28.18 ID:RuyG1kQSo
柿生「…」

命に代えても…確かに心のどこかでは思ってたのかもしれません
自分が死ぬかもしれないってことに、さほど恐怖は感じてませんでした
それでも誰かのためになれれば、こんな私でも役に立てば…そんな風に思ってたのかもしれません


――――――――――

渚『だがお前は、まるで殺されても平気みたいな印象を受ける』

――――――――――


そういえば、いつだったかこの生活の中で、ナギくんにもそう言われてしまったことがありました
ならやっぱり、言ってることは少なからず正しいんでしょうね…
なんだか、納得できてしまいます
自分は死んじゃうくせに、なんかずるいです



なんでこんな穏やかな気分なんでしょう?
思いっきり叫んだからでしょうか?
でもなにか、つっかえが取れた気もします



柿生(…見ててください、シンちゃん)

私は変わってみせる
形から変える…だったら…


304 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 01:16:10.38 ID:RuyG1kQSo



柿生「……みんな!私の話を聞いて!!」

310 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 23:14:16.76 ID:RuyG1kQSo
柿生「私の話を聞いて」

みんなは未だに俯いたままです
顔も心も、どうすればいいかわからないという気持ちがにじみ出ています

舞丈「…神谷くんの演説は大層見事だったね、君も感化されたようだけれど。だからと言って話し方を変えただけで、どうにかなると思うのかい?」

柿生「これはあくまで一つの形。親友のアドバイスに従っただけ、そして今の私は何をするべきなのか、それがやっとの事で明確になったから」


311 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 23:14:44.96 ID:RuyG1kQSo
柿生「いままで、私たちは失いすぎてきた」

柿生「時間も…」

宍戸「…おうさ、こんな世の中になんなきゃよ…もっと普通に楽しくやってたのによ…」

柿生「宝のような記憶も…」

アナ「うん…アタシ、なにも覚えてない。みんなと一緒だったことは知ってるのに、実感がわかない」

柿生「大切な友達を、家族をも失った人だっている」

月宮「ええ…」

円山「もう、二度とお会いすることは叶いません」

愛野「もう、どうすることもできないの」


柿生「たくさんの希望を失った」

渚「…」


312 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 23:16:24.93 ID:RuyG1kQSo
生「だけど、それは果たして取り戻せないもの…?」

渚「…?」



舞丈「何を言っているんだい?時間も、友達も、取り戻すことなんてできるわけがないじゃないか、オカルト的な話でもしようというのかい?」

舞丈「君たちはもう元には戻れないのだから」


柿生「ううん。私にはそうは思えない」

舞丈「…」

柿生「確かに取り戻せないものだってある。亡くなった人は帰ってこないし、過ぎた時間はどうやっても遡ることはできない」

舞丈「…うん、そうだね?」

柿生「でも私は記憶を取り戻してる」

舞丈「…!」

柿生「取り返せている。亡くなった人も、いなくなるわけじゃない。いまならあのころの思いでも鮮明に描くことができる」

柿生「みんなだってそう。これから記憶を取り戻すなら、それはなくなった彼らが次第に帰ってくるようなもの」


313 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 23:16:51.30 ID:RuyG1kQSo
舞丈「屁理屈だね。まあいいよ?百歩譲って、仮にそれが彼らを取り戻す手段だとして…時間はどうだというんだい?」

舞丈「みんな絶望キラーとして、狂気のままに破壊を繰り返す日々を過ごしてきた。君だって本来ただの絵描きが、銃をとって戦うように。僕だって、君たちを助けようと尽力したが、今はこのザマだ」

舞丈「とても有意義に過ごした時間ではないと思うがね」


柿生「それはこれからの私たちがどうやって生きていくかだと思う」

舞丈「ふむ?」

柿生「いつか、あの時の時間が無駄な時間なんかじゃなかったって思えるようになれれば。そう言う風に生きていければ…失った時間なんてなかったことになる」

舞丈「へぇ、それで?君がそう思っていても他の人達はそれで納得できるかな?言っただろう?どう転んでも絶望なんだよ」


舞丈「彼らには支えとなる肝心な希望がないんだ、どうするつもりなのかな?」

柿生「だったら、いっそ…」


314 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 23:17:21.48 ID:RuyG1kQSo




柿生「私がみんなの希望になってみせる」

舞丈「……なんだって?」


315 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 23:45:37.60 ID:RuyG1kQSo
柿生「宍戸くん!」

宍戸「俺…?俺はやっぱりそんな風には考えられねえよ…だってよ、いねえものはいねえんだ」

宍戸「しかも俺は俺の目の前から消えてく奴に、何にもできちゃいないんだ」

宍戸「いつも俺ばかり助かっちまう、神谷に救ってもらったこの命は誰かのためにならねえ!」


宍戸「俺寂しがりなんだぜ?もう、いやなんだよ。誰かが目の前で死んじまうのは…それを見るのは…」




柿生『それは違います!!』論破!!




柿生「私はあなたの目の前から消えたりしない!」

宍戸「てやんでい!そんなこと分かんねえじゃねえか!何が起こるかなんて!!」

柿生「だって、あなたはみんなに生きていて欲しいって願ってるから」

宍戸「…?」

柿生「あなたの抱くその願いに…そのみんなへの希望を、裏切ることなんてできないから」

宍戸「希望…?」

柿生「だから、少しの間、私についてきて。私を信じて」

宍戸「……」


316 : ◆11nx.E09nc  2016/09/26(月) 23:56:27.36 ID:RuyG1kQSo
柿生「円山くん!」

円山「私は…わかっているのです。見捨てられても仕方ない器なのだと…」

円山「ご存知の通り…私は、ベルボーイの才能を持っております。様々な方の些細な助けに長けると自負しております」

円山「ですが…それは所詮、些細なことに過ぎず、補助的なもの。私の力だけでは、その方にとって大きな助けにはなれないのです」

円山「右町様の助けにはなれず、天城様の苦しみにも気が付かず…かと思えばかってに我を失い。月宮様と柿生様にも危害を加えてしまいました」

円山「であれば、あの時見捨てられて死にかけたのも、妥当なのでしょう」

円山「私はどうなろうと構いません。いっそ…」


柿生『それは違います!!』論破!!


円山「何が…違うのですか?否定の余地がないのは私が一番…」

柿生「だって私には円山くんのようなことはできないから!!」

円山「…!」

柿生「その、私も周りばっかり気にする方だけど…大きな助けは愚か、些細な手伝いなんていくつできたかどうか」

柿生「私なんておっちょこちょいだし、むしろ迷惑をかけた事のほうが多いと思う」

柿生「でもその点あなたのする事は、あなたが他の人のためにしたことはいつだって完璧で、それは些細なことなのかもしれないけど」

柿生「でも…とても大きな助けになってる」

柿生「それにあなたは、とてもやさしいから…ちょっとだけ卑怯な手を使います」

柿生「これからも…助けて」

円山「……あ…」


317 : ◆11nx.E09nc  2016/09/27(火) 00:22:00.50 ID:jp8wGtzro
柿生「アナさん!…はー」

アナ「ん…そうだね、みんなに比べたら平気だよ?楽観的すぎるだけなのかもしれないけど」

アナ「でも何か一言押してくれれば…もう少し踏ん切りがつく…かな?」

柿生「じゃあ…」


柿生「私の、親友の一人は少し頭が固いというか…融通が利かないというか」

柿生「一人じゃ骨が折れそうだから…」


アナ「乗った!!」

柿生「!」

アナ「そういうことならアタシに任せてよ!実はもう一人の親友とやらにも頼まれちゃったんだ」

アナ「ね、柿生さん?」

柿生「ふふ…はい!」


318 : ◆11nx.E09nc  2016/09/27(火) 00:33:50.41 ID:jp8wGtzro
柿生「アナさん!…はー」

アナ「ん…そうだね、みんなに比べたら平気だよ?楽観的すぎるだけなのかもしれないけど」

アナ「でも何か一言押してくれれば…もう少し踏ん切りがつく…かな?」

柿生「じゃあ…」


柿生「私の、親友の一人は少し頭が固いというか…融通が利かないというか」

柿生「一人じゃ骨が折れそうだから…」


アナ「乗った!!」

柿生「!」

アナ「そういうことならアタシに任せてよ!実はもう一人の親友とやらにも頼まれちゃったんだ」

アナ「ね、柿生さん?」

柿生「ふふ…」



柿生「愛野さん!」

愛野「…神谷くんはいなくなっちゃった…ヘビさんも…」

愛野「せっかく、何となく人との付き合い方が分かってきたのに、今までの私と決別できそうだったのに」

愛野「私はやっぱり一人ぼっち…」



柿生『それは違います!!』論破!!



柿生「一人なんかじゃない!!」

愛野「わかってるよ…でも…でもやっぱり、神谷くんがいないと私…」

柿生「だけど、シンちゃんがさっき言ってた記憶…あなたはまだ思い出してない!」

愛野「……」

柿生「シンちゃんの方から好きになったって…とても素敵なことだと思う!」

柿生「そんな素敵な思い出をあきらめていいの…?」

愛野(フルフル!!

柿生「だったら、一緒に行こう?一人ぼっちなんかじゃないのは…わかってるんでしょう?」

愛野「……」




319 : ◆11nx.E09nc  2016/09/27(火) 01:01:47.01 ID:jp8wGtzro
柿生「月宮…さん」

月宮「グスッ…柿生さん、私…どうすればいいのかわからない」

月宮「私はいつも…実は臆病で…他人の事を、疑ってしまって…」

月宮「何かあっても私一人…の力…でやらなきゃって…」

月宮「でも、一度失敗すると…計算はどんどん狂って…いく」

月宮「いつからか…私の行動はなぜだか…いつも悪い方向へ…向けてしまうような、そんな気がしてしまうの!」

月宮「藤原君や…右町さんは私が殺したと…思ってしまって…」

月宮「あの時、柿生さんを信じるって決めた事も!決めた…はずだったのに…さっきはやっぱり、疑ってしまって…」

柿生「でも、だってあれは私が…!」

月宮「…いいの、分かってる…私だってそうするもの」

月宮「でも…もう…どう思えばいいのか、どう考えていけばいいのか…私は…分からない」


320 : ◆11nx.E09nc  2016/09/27(火) 01:03:32.09 ID:jp8wGtzro
柿生「月宮さんは自分を追い詰めすぎてる…」

柿生「他人の事を疑わなきゃいけないのは当然だと思う!そのたびに嫌な気分にもなるし…こんな生活の中、自分自身がって張り切ってしまうのも…気持ちは分かる」

柿生「私は、疑ったり警戒したりするのは苦手だし、嫌だったから、そこから逃げちゃっていた。でもあなたは疑うことにひたすら向き合い続けていた」

柿生「でもそんなの、やっぱり精神的に疲れてしまうと思う。厳戒が来たって悪いことでもなんでもない!」
月宮「だったら!!!」




月宮「私は…これから、どうすればいいと言うの…?」

柿生「…どうしたい、ですか?」

月宮「…ここにいるみんなと…一緒の生きたい」

柿生「じゃあ、そうすればいいと思います。私には止める理由はありませんよ?月宮さん」

月宮「…柿生さん…グス…ありがとう」


321 : ◆11nx.E09nc  2016/09/27(火) 01:12:01.16 ID:jp8wGtzro

アナ「そうだよ!そもそもアタシ達は被害者なんだから」

愛野「ここで、諦めちゃったら…絶望しちゃったら、なにもかも終わりなのよね」

円山「ええ、私たちの存在は何にもつながらなくなってしまいます」

月宮「希望は見えたから、せいぜいそれを追いかけさせてもらうわ。柿生さん」


柿生「みんな…!」

柿生「舞丈君、私たちはまだ…」

舞丈「フフフ…」

柿生「…?」


なぜ彼は笑っているんでしょう?
だって私たちは決めたんですよ?
ならもう…


舞丈「ハハハハッハッハ!!!」

柿生「な、何がおかしいの?」

舞丈「いやいや、見事だね。ここまでやってくれるとは…」

舞丈「本当に…」


322 : ◆11nx.E09nc  2016/09/27(火) 01:12:36.46 ID:jp8wGtzro





舞丈「想定通りだよ」

326 : ◆11nx.E09nc  2016/09/27(火) 23:19:45.32 ID:jp8wGtzro
柿生「想定通り…?あなたはこうなることまで考えていたと…?」

舞丈「いやさすがに神谷くんの遺言が残ってたり君がこんな行動に出るとは考えなかったさ。でも僕は状況を理解しろと、どう転んだって絶望となんども言っていたはずなんだけどね」

宍戸「けっ、往生際が悪いだけか?」

舞丈「状況は変わってないんだよ。この学園の玄関は特殊な仕組みでね、あるボタンスイッチがないと絶対に開かないんだけど…それは誰かさんに持っていかれてしまっていてね。この学園にはないんだ」

円山「それでしたら一体、どうやって、私たちの脱出が約束されるのですか?」

舞丈「当然、この投票によってだよ。1番目と3番目の選択肢なら、扉は開く。もっとも3番目だと、全力で殺しにかかってくるモノクマ軍団をかいくぐる必要があるけれどね」

舞丈「全員が脱出するには一番リスクの高い3番しかない、でも君たちは本気でそれをやってのけようと言うんだろう?」

どういうことでしょう…?確かに状況は変わっていませんが
でも私たちは3番目の選択肢に投票して、なんとか全員での脱出を目指す
リスクは限りなく高いのかもしれませんが…

そういうことが言いたいんでしょうか…?

柿生「リスクがどれだけあろうと…、やってみせる!!みんな!3番に投票を…」


327 : ◆11nx.E09nc  2016/09/27(火) 23:20:33.78 ID:jp8wGtzro
舞丈「ああ、ならやってみるといいよ。3番を選んで『僕を殺してから』なんとか脱出してみるといい」

柿生「な……!」


3舞丈をオシオキし、学園内のモノクマ達と戦う

そうだ、この方法だと…舞丈君は…



舞丈「気づいたようだね。そう、君にできるのかな?舞丈千人を殺すことが…」

柿生「あ…そうだ舞丈君は…」

愛野「で、でも私たちをこんな目に合わせた黒幕なんでしょ!気にする必要は…」

円山「愛野様…実は彼そのものが悪いわけではないのです」

愛野「え?」

アナ「そっか、寝てたからまだ知らないんだよね…」

月宮「よく考えてみると、舞丈君だって被害者のうちの一人…」

舞丈「その通りさ、僕は勝手に江ノ島盾子という絶望の存在を植え付けられたんだからね」


328 : ◆11nx.E09nc  2016/09/27(火) 23:21:23.14 ID:jp8wGtzro
舞丈「その投票を終えれば、僕はまもなく処刑される。君たちにできるのかな?そんなことが…」

舞丈「だったらいっそ、そこで黙りこくってる彼を犠牲にするのも手だと思うけどね?そっちの方が確実だ」

渚「……」

柿生「な、何を言って!!」




ヨイクマ『みんな!!大丈夫だよ!!』

舞丈「…ふむ?」

ヨイクマ『3番を選んでも舞丈くんは死なないようにしたよ!』

柿生「そんなことどうやって…?」

ヨイクマ『舞丈君がなんでオシオキされても生きていられたんだと思う?』

柿生「…江ノ島盾子の思惑ですか?」

ヨイクマ『舞丈君は、江ノ島盾子の人格を上書きする予定だったから…オシオキを受けても死なないようにリミッターがかかってたんだよ!』

ヨイクマ『あのオシオキの衝撃で…気を失った舞丈君はモノクマ達に回収されて、密かに、ケガの治療をされ…超高校級の絶望として覚醒させられたんだ』

ヨイクマ『だから、そのリミッターの部分をちょちょいとね!』


329 : ◆11nx.E09nc  2016/09/27(火) 23:22:07.61 ID:jp8wGtzro
舞丈「また君か…もとのAI完成度が高いのが、今に邪魔になるなんて…」

月宮「少なくとも、私たちの舞丈君の思惑は果たせているみたいね」

ヨイクマ『うん!』





柿生「みんな3番に投票を!!」

月宮「ええ!」

愛野「うん!」

宍戸「おっしゃ!」

円山「はい…!」

アナ「よーし!」


330 : ◆11nx.E09nc  2016/09/27(火) 23:22:48.59 ID:jp8wGtzro
who is found OSHIOKI?

ジャガジャガジャガジャガ

ジャン!

「 舞丈」
(^O^)/

oshioki!!!!







閉廷!!





エピローグ


【元スレ】
再開 ダンガンロンパーズ part5 渚「それでも、人間は簡単に死んでいく」