383 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/16(水) 21:57:11.79 ID:u9rDX/6f0
【マスカットハウス 2階ラウンジ】
「……てんのか……め!」
……、
「聞いてんのか夏目!!」
その言葉で俺は我に返る。
いけない、ボーっとしていたみたいだ。
夏目「あ、ああ。なんだ?」
ジョー「聞いてなかったのかよ……連絡もないし捜査を再開しておいた方がいいんじゃねぇのって話」
夏目「ああ、それか……」
確かに、あっちからの連絡を待っていてそのまま裁判開始、なんてことになったらマズイしそうした方が良さそうだな。
もし連絡が来ても呼び出し音を聞き逃す、なんてことはなさそうだし。
夏目「よし、それなら――」
そうして1階に戻ろうと振り向く。
ジョー「ぬあああああっっっ!?」
夏目「か、影山!?」
そこには、なぜかストロベリーハウスで立ち往生しているはずの影山の姿が。
384 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/16(水) 22:03:15.14 ID:u9rDX/6f0
影山「……どうも、夏目さんにジョーさん」
俺たちの驚き方を見ても動じず相変わらずの余裕の態度でほほ笑む影山。
夏目「どうも、じゃないだろ! どうやってここに来たんだよ!?」
影山「…………」
影山「……超能力だったら、どうします?」
……は?
ジョー「待て待て待て! そんなトンデモな能力が実在してたまるか!!」
影山「あら、マジシャンのジョーさんらしからぬ発言ですね」
ジョー「オレのは細工してナンボの能力だからな!」
そんなことを胸張って堂々と言うなよ……
影山「なんて冗談はさておき、私実はクリアしてきたんですよ」
ジョー「何を」
影山「もちろん、ファイナルデッドルームです」
なっ……!?
ファイナルデッドルームって、あの『命がけのゲーム』があるとかいう……!?
385 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/16(水) 22:09:29.55 ID:u9rDX/6f0
ジョー「それって、『命がけのゲーム』があるとかいう……」
影山「とはいえ、ちょっとした脱出ゲームとロシアンルーレットをやっただけですけど」
夏目「拳銃に1発弾丸を残して弾倉を回転させて、自分のこめかみに向けて撃つっていうあれか?」
影山「そうですね。ただ、難易度が設定されていてクリアしたらそれに見合った報酬が得られるって話だったので……」
影山「拳銃には5発残して、やりました」
……はっ!?
ジョー「ま、待てよ! それじゃあ生き残る確率は……!」
夏目「6分の1だな……お前、そんなのやったのか!?」
影山「ええ。まあ、6分の1も勝ち取れなくて何が超高校級の幸運だって話ですよね?」
影山「なので、驚くことは何もありませんよ。私が勝つのは必然だったんですから」
そんな自殺行為をしてきた影山はにこりと笑ってそう言った。
……なんで笑えるんだよ? 狂ってるなんてレベルじゃないぞ……!
386 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/16(水) 22:19:45.99 ID:U5Nh0gQU0
ジョー「あー……ダメだ、やっぱりオレこいつとは心底合わないわ……」
ぐったりとした様子でジョーが言う。
影山「それは残念です」
ジョー「……オレ、先に現場戻ってるから。夏目も早く来いよ」
そうしてジョーがゆらゆらとラウンジを後にする。
……まあ、当たり前の反応だな。あんなことを平然と語られて普通はああいう反応をするものだ。
俺は、なんとか平静を保っているけれど。
夏目「……さてと。俺達も戻るとするぞ」
影山「夏目さん」
その瞬間、俺の隣にいる影山がそう呼んだ。
見ると影山はじっと俺を見つめていた。その視線はやけに熱っぽく、それでいて暗い視線だった。
夏目「な、なんだよ……」
そのまるで最初の裁判で見た影山の瞳に気圧され、俺は思わず一歩壁に向かって後退してしまう。
すると影山が無言のまま、一歩俺に近づいてきた。
387 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/16(水) 22:35:29.09 ID:U5Nh0gQU0
影山「私、ようやく見つけたんですよ」
夏目「何を……」
俺の言葉など聞いてないのか、影山はうっとりとしたような表情と瞳をただ俺に注いで一歩、また一歩と近づいてきた。
影山「今までの人生、散々でしたけどそれでも私はある1つの希望を探して今まで生きてきました」
影山「私はその希望と1つになりたい。それだけが私――影山詩乃の生きる希望だったんです」
影山「その希望が今、こうして目の前にあるんです……」
もはや俺にわからせて話してはいないのか、影山はそんなことを言っている。
俺は影山が一歩近づいてくるにつれて一歩下がるが、それを繰り返していけばやがて壁に追い込まれるのは当然なわけで……気付けば俺は影山に壁に追い込まれていた。
影山「正直、今私は悩んでいますけれど……」
そうして影山は俺の両頬に手を添えて
影山「それでも、今こうして私が望んだ存在がいるのなら……」
抵抗すらできずにいる俺の顔に自分の顔を近づけて
影山「今は、こうしたいです」
俺の唇に、口づけをしてきた――
398 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/16(水) 23:11:31.92 ID:UhjJvn710
俺は今、何をされてるのかまったくわからなかった。
いや、わかってはいる。ただ頭が理解したくないのだ。
だって、こんなところに監禁されて。
コロシアイが起きるまで食事は抜きだとか言われて。
そんな中で正道が死んで。
今他の皆は捜査の真っ最中だっていうのに――なんで俺は影山にキスをされている?
影山「ふふふ……」
俺から離れた影山はそうして微笑む。
……じゃなくてだ!
夏目「おま……! 何をしてるんだっ!」
影山「何って、キスですよ。おかしなことですか?」
動揺している俺とは裏腹に影山はしれっとそんなことを言った。
影山「別段おかしなことではないでしょう。私が探し求めていた存在がこうして目の前にいるのなら、愛を誓うのも当然のこと」
影山「とは言っても今は見極めの段階……もしかしたらあのファイルの情報がまったくの偽情報なんてこともありますからね」
夏目「ファイルだと……?」
影山「私がファイナルデッドルームで手に入れた『未来機関のファイル』と『希望ヶ峰時代のプロフィール』のことですよ」
399 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/16(水) 23:17:54.86 ID:UhjJvn710
そういえば、何か特典を貰ったみたいなことを言っていたな……
影山「とはいっても、未来機関のファイルの方はこれといって興味は湧かなかったですけどね」
影山「コロシアイ学園生活の全貌が載っていただけなので」
影山「むしろ、私が興味を持ったのはプロフィールの方です」
夏目「……そこに何が載っていたんだよ」
影山の言葉を信じるのなら、影山の様子がおかしくなったのはそのプロフィールが原因のはず。
なので俺がそう尋ねると影山はうーんと似合わない声を出した後でこう言った。
影山「それは秘密です」
夏目「なっ……!?」
夏目「なんで秘密なんだよ!? 今はそんなこと言ってる場合じゃ……!!」
影山「言ったでしょう? 今はまだ見極めの段階なんです。夏目さんや他のみなさんに余計な情報を植え付けてしまうのは避けたいのですよ」
影山「それに、私もまだ迷っているのでね」
400 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/16(水) 23:28:59.86 ID:k3Z/SBqg0
何を迷っているっていうんだよ……わけがわからないぞ……!
影山「ですが、安心してください。もうほとんど夏目さんが私の探していた希望なのは確定なのです」
影山「……希望だった、とでも言うべきなのでしょうがね」
影山「問題なのはその先なんですよ」
俺が影山の求めていた希望で、問題はその先?
夏目「わけがわからないぞ……」
影山「わからせようとして話してないですから。でも、今言えることは――」
そうして影山は続ける。
影山「――私の心も、体も。血の一滴まですべて夏目さんに捧げるつもりです」
影山「ですから夏目さんは夏目さんのまま――才能に愛される夏目開人さんでいてください」
影山「そうして『今度こそ1つになりましょう』」
影山「精神的にも、肉体的にも……ね」
……本当にわけがわからなかった。
影山詩乃。この女はどこまで知っているんだ? 俺達よりどこまで前に、進んでいるんだ?
ファイナルデッドルームで、何を見たっていうんだ……!?
そうして俺は混乱する頭のまま、影山と共に現場の一階に戻るのだった……
432 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/18(金) 21:31:53.76 ID:OYtUUq5lo
【マスカットハウス 1階】
言乃木「夏目と――影山? アンタ、なんでここにいるんだい?」
1階に降りてきた俺と影山を、すでにストロベリーハウスから来ていた言乃木や筆原、湯川が出迎えてくれた。
影山「嫌ですね、まるで私がいると迷惑そうじゃないですか」
言乃木「そのつもりで言ったんだけどね」
筆原「こ、言乃木さん……」
あの中に入ると余計な火の粉が降ってきそうだし、俺は俺で捜査を開始するかな……
湯川「……うーん」
すると、何やら真剣な顔で階段の上の方を見上げる湯川の姿が。
433 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/18(金) 21:37:47.58 ID:OYtUUq5lo
夏目「湯川、何か気になることでもあるのか?」
湯川「……あ、夏目さん。えっと、あそこのところなんですけど……何か傷みたいなの見えませんか?」
隣に並び、湯川が指差すところを見る。
…………、
夏目「悪い、よくわからない」
湯川「そうですか――って、夏目さん?」
すると湯川が何かに気付いたように俺の顔を見る。
夏目「ん?」
湯川「唇のところ、うっすらと口紅のようなものが……」
なあっ!?
湯川に言われて反射的に口元を拭う。
それはもう全力で。
435 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/18(金) 21:54:42.93 ID:23neiYIi0
湯川「???」
俺の様子に首を傾げる湯川。
危ない……これが言乃木相手だったらおそらくすぐに見抜かれていただろう。
影山「あら、夏目さん。何をしているのですか?」
すると先ほど俺にとんでもないことをした影山本人がやって来た。
夏目「なんでもない。というかお前、言乃木や筆原のところにいたんじゃなかったのかよ」
影山「そうなんですが、どうやら私は言乃木さんにめっぽう嫌われているみたいで……どっか行ってくれと厄介払いされました」
影山「ですので夏目さんのところに来たわけです」
単独行動しててくれ頼むから……
湯川「……影山さん、ファイナルデッドルームクリアしたんですね」
影山「ええ。湯川さんの心配は杞憂だったみたいですよ」
クスリと笑って影山がそう答える。
湯川「……言いたいことはいろいろありますが、とりあえずそれは保留としましょう。まずは裁判を乗り越えることが先決ですからね」
影山「そうですね。……ところで、先ほどの会話少し聞かせてもらいましたが……」
夏目「聞いていたのかよ」
影山「とっておきの物がありますよ?」
436 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/18(金) 22:01:36.82 ID:23neiYIi0
□■□■□
【マスカットハウス 三階】
そうして影山に連れられてやってきたのは三階にあるモノクマ資料室だった。
夏目「こんなところに何があるんだよ」
影山「二人は高いところを調べたいんでしょう?」
影山「それに最適な物があるのです」
そうとだけ言って影山は資料室の奥の方に行ってしまう。
夏目「……」
そんな影山の背中を見つめ、本当にどうしたのだろうと頭を悩ませる。
アイツは明らかに様子がおかしくなっている。ファイナルデッドルームで何を見たのか……
湯川「……」
ふと、じっと天井を見上げている湯川を見つける。
アイツはアイツで何をしているのか。さっきから上ばかり見上げているけれど。
夏目「湯川?」
俺が声をかけると同時に、奥に引っ込んだ影山が戻って来た。
437 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/18(金) 22:08:45.15 ID:23neiYIi0
影山「ありましたありました。これです」
夏目「なんだそれ……脚立か?」
影山「最初モノクマ資料室を訪れたときにちょっと見つけましてね。伸縮自在で持ち運びも便利なんだとか」
まあ、資料室なら確かにそういう脚立があってもおかしくはないか。
夏目「……なんにせよ、これでさっきのところの調査ができるな」
影山「ええ」
夏目「よし、湯川もいつまでも天井ばかり見上げてないで戻るぞ?」
湯川「……あ、はい。そうですね」
そうして俺達はその脚立を持って先ほどの一階に戻るのだった(ちなみに脚立は俺に押しつけられた)
438 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/18(金) 22:17:30.63 ID:dv4yO4GL0
□■□■□
【マスカットハウス 一階】
再び戻ってきたマスカットハウス一階。そこで俺達はさっそく脚立を伸ばしてみることにした。
湯川「おおっ、結構伸びますね……」
湯川の感嘆の声のとおり、その脚立は意外なほどに伸びるようだった。天井まではさすがに届かないものの、20メートルは越えそうだ。
……伸びすぎじゃないか? どんなことを想定してこんな物作ったんだモノクマは。
影山「さてと、それじゃあさっそく誰か登ってみますか」
影山「足場が不安定になるので、一人が上で調べて残りの二人が支える役目ですね」
↓2
1夏目が調べる
2夏目は支える方に
少し離脱がてら安価取ってみる
新規オリロンパに人が流れているようでしたら1で進行します
440 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 2014/04/18(金) 22:18:42.50 ID:IZ6+m2RAO
1
443 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/18(金) 22:32:47.42 ID:i7hmHaAv0
夏目「なら、俺が上に登って調べる」
影山「さすが夏目さんです、ではどうぞ」
……何か腹が立つがまあいいだろ。
湯川「すいません……お願いしますね」
夏目「ああ」
そうして湯川と影山が支える側に回り、俺が上の調査に回る。
夏目「……これは」
するとそこには何かの傷痕があった。まるで壁を抉ったような、そんな痕が。
なんだこれは……?
□■□■□
湯川「夏目さん、どうでした?」
脚立を降りるとまず湯川がそう尋ねてきた。
夏目「何かで抉ったような傷痕が二か所あった。何が原因かはわからないけどな」
影山「……なるほど」
445 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/18(金) 22:41:51.88 ID:i7hmHaAv0
すると影山がそんな声を出した。
夏目「なんだよ、何かわかったのか?」
影山「いえ、まさか。まだわからないことだらけですよ」
影山「ですがそうですね……そのわからないことを少しでも減らすために、このあたりで一回そちらの捜査の結果を教えてくれるとありがたいのですが」
夏目「…………」
それは正論なのだが、相手が影山だとどうしても裏が無いかと勘繰ってしまう。
いや、思考が読めないから警戒してしまうと言うべきか……。
湯川「……夏目さん、警戒する気持ちもわからなくもないですが、今はそんなことしている場合じゃありませんよ」
湯川「それに影山さんだって私達の『仲間』なんですから……」
俺の不安を察したのか、湯川がそうやって言ってくれる。
影山「ああ、安心してください。何度も言っているように私は『希望』の味方なんです」
影山「今まではクロとシロ……どちらが私の求める『希望』なのか見極めるためにあんなことをしていましたが、現時点での私の『希望』は夏目さんですから。その夏目さんにとって仇になるような行為はしませんよ」
ニコニコと、実に胡散臭いことを言ってのける影山。
446 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/18(金) 22:54:44.79 ID:p2mgP8aX0
……、
…………、
夏目「わかった。それじゃあ話す」
そうして今まで俺が捜査してきてわかったことを影山と湯川に話していく。
□■□■□
湯川「なるほど……」
影山「今回はようやく少し私好みの事件になりそうですね……」
夏目「…………」
言いたいことはあるが、今は無視だ無視。
湯川「なら、私は捜査に向かいます。今の話を聞いて1つ気になることもできましたし」
影山「それなら私は言乃木さんや筆原さんに聞き込みといきましょうか。事件発生のときに何をしていたのか気になりますからね」
そうして湯川と影山がそれぞれ別の方向に向かう。
俺は……
↓2
1湯川に同行する
2影山に同行する
3単独捜査
【Info】
コトダマ【モノクマ脚立】ゲット!
モノクマ資料室にあった脚立。伸縮自在でどんな高いところでもたいていは届く。
なお足元のところは色移りがしやすいもよう
コトダマ【壁の傷痕】ゲット!
正道が倒れていたところの上にある壁に不自然な傷痕を二か所発見。
コトダマ【突然現れた影山】ゲット!
連絡エレベーターが壊れているのにも関わらず影山はストロベリーハウスからマスカットハウスへと移動してみせた
なおこの安価は裁判の展開が変化こそするものの選択を間違えたからといってペナルティは発生しないものとする
448 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga] 2014/04/18(金) 22:55:33.61 ID:U+vAO7Yf0
2
450 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/18(金) 23:09:36.55 ID:H3FhnLxK0
夏目「待て影山。俺も行くぞ」
影山「あら、私なんかとご一緒していいのですか?」
影山「確かに私としては夏目さんが同伴してくれるのならこれほど嬉しいこともありませんが……」
夏目「気持ちの悪いことを言うな。お前が何かしでかさないか見張るだけだ」
夏目「それに筆原だけならともかく言乃木相手にお前が何かしでかさないわけがないからな」
影山「そうですか。それなら行きましょうか」
□■□■□
言乃木「事件が起きたころ何をしていたかって?」
俺と影山がそう話を切り出すと、言乃木は露骨に顔をしかめた。
影山「はい。ジョーさんの証言からして6時45分頃ですかね」
筆原「ええと……そのころはラウンジで湯川さんと話をしていました」
筆原「お腹が空いて眠れなかったので……湯川さんに話相手になっていただこうかと」
夏目「それを断らない湯川も凄いな……アイツだって状況は同じなのに」
筆原「す、すいませんっ!」
夏目「い、いや! 別に筆原を責めてるわけじゃ……!」
影山「それで言乃木さんは何をしていました?」
筆原を無視して話を進める影山。
451 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/18(金) 23:20:16.67 ID:H3FhnLxK0
言乃木「……そのころは生憎、寝ていたよ。空腹でもうどうかなりそうだったからね」
夏目「どうかなりそうって……」
具体的な例が挙がってないものの、言乃木が言うと不穏な雰囲気が漂うな。
夏目「まあいいか。それで、他に何か気になることは無いか?」
筆原「気になること……」
筆原「そう言えばちょうどそのころにラウンジの壁時計のアラームが鳴り響きましたね」
壁時計のアラーム?
夏目「そうなのか?」
筆原「はい。そのときは私と湯川さんで止めたんですけど……」
言乃木「……」
影山「……」
【Info】
コトダマ【事件前の筆原・湯川】ゲット!
事件前の二人はラウンジで話しこんでいたとのこと
コトダマ【事件前の言乃木】ゲット!
事件前の言乃木は自室で寝ていたとのこと
コトダマ【壁時計のアラーム音】ゲット!
6時45分頃、ストロベリーハウスのラウンジにある壁時計のアラームが鳴ったとのこと
その音はかなり大きく、筆原と湯川の二人で止めたらしい
452 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/18(金) 23:29:42.48 ID:H3FhnLxK0
キーン、コーン……カーン、コーン……
『時間だよ……時間だね……』
『さあ! 皆大好き学級裁判がはっじまるよー!』
『生徒諸君はストロベリータワーに来なさい! やれ急げ! それ急げ!』
『風になれ! もっと熱くなれよ!!』
今のは……モノクマの放送か。
言乃木「始まるのか……」
筆原「また、あんなことをしないといけないんですね……」
夏目「でも、ストロベリータワーに来いって言ってたけどおかしくないか? だってマスカットタワーの奥の扉には頑丈そうなチェーンが……」
湯川「その心配はいりませんよ」
不意に湯川が俺達のところにやって来た。
言乃木「どういうことだい?」
影山「……なるほど、湯川さんもだいたいは気付いたんですね?」
湯川「はい……このドッキリハウスの正体が……」
【Info】
捜査パート終了します
458 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/19(土) 00:27:18.42 ID:ikVWndND0
【イチゴ回廊】
湯川と影山の二人に従い、俺達は言われるがままストロベリータワーの前までやって来た。
砂射「本当にこの状態のまま扉が開くのか?」
足立「俺達の考えのとおりなら、あのチェーンをどうにかしない限りは開かないはずだけど……」
湯川「その前提の考え自体が違ったんですよ」
怪しむ二人に湯川がそう言い聞かせる。
ジョー「ん? なんだそれ、コンパスか?」
影山「そうです。疑念を確信に変えるために少し実験をしてみました」
夏目「実験?」
思わず俺がその会話に割り込むと、影山は頷いた。
影山「結論から言うと、このコンパスは連絡エレベーター内で180度回転しました」
180度回転……?
【Info】
コトダマ【影山の実験結果】ゲット!
連絡エレベーター内で180度回転したとのこと
湯川「じゃあ、開けますよ」
俺がその理由について頭を悩ませていると、湯川のそんな声が耳に届いた。
そして少しの間の後で――
ガチャン!
――扉は開いた。
459 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/19(土) 00:35:20.51 ID:xsW8WAVW0
【ストロベリータワー】
言乃木「な……!?」
筆原「ひ、開きましたね……」
砂射「なん……だと……!?」
その結果に思い思い反応を示す。
当然俺もそのまさかの結果に戸惑うしかなかった。
【Info】
コトダマ【タワーの違和感】ゲット!
マスカットタワーの奥の扉が塞がれている状態でストロベリータワーの扉を開こうとしたところ、扉はなぜか開いた。
ゴゴゴゴゴ……!!
ジョー「ん? なんだこれ……地響き?」
驚くのもつかの間、今度はそんな地響きが鳴り響く。
モノミ「みなさん! 危ないでちゅ!」
言乃木「アンタこんなところにいたのかい……」
そうしていると、地響きは次第に大きくなっていき――やがて、タワーの中央部の下からいつものモノクマロックが出現した。
夏目「……は?」
ジョー「これに乗ってけってことか!?」
足立「これはまた大がかりなことをしたな……」
460 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/19(土) 00:43:06.33 ID:xsW8WAVW0
言乃木「……上等だね。いつまでもビビってると思ってたら大間違いだよ……!」
まず、意外にも言乃木がそんなことを言って中に入る。
ジョー「あ! おま、これ絶対罠だろって!」
足立「まさかジョー君にそうやって言乃木さんが言われるなんてね……」
筆原「世も末、ですね」
砂射「生死を賭けた修羅場など、何度も経験してきた身だ。今さら怯える必要もあるまい……」
さらに4人が続き、残るは俺と湯川と影山だけ。
湯川「……行きましょう夏目さん。今度こそこれで最後にして、それでもうこんなコロシアイは起こさせないんです」
夏目「そうだな……」
ちらりと影山を横目で見ると、影山はこんなときでも笑っていた。
影山「では、お願いしますよ夏目さん。私にアナタの希望を見せてください」
影山「……それで、私が見極めることができるんですから」
そうとだけ言って影山も中に入る。
湯川「……今のは、どういう意味ですか?」
…………、
夏目「なんでもないよ」
461 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/19(土) 00:51:39.79 ID:0FukvXIJ0
□■□■□
ジョー「……こうやってると、あの連絡エレベーターがどれだけ高性能だったか思い知らされるな」
言乃木「なんだいいきなり」
足立「察してやってくれよ。なんでもいいから話をしないと、やってられないんだろう」
砂射「……それが当然のことなのだがな」
すっかり人数と口数が減ったエレベーター内ではそんな会話だけがされていた。
だが、それだけ。それが終われば場の空気は沈黙に支配される。
そうしてエレベーターが止まり、扉が開いた。
モノクマ「やあやあ。ようやく来たね?」
モノクマ「もう説明はいらないよね? つーわけで男子も女子も席につけ!!」
モノクマに言われ、俺達はそれぞれの席に立つ。
不本意ながらこれで4度目となるその一連の流れはすでに俺達の体に染みついていた。
462 :
◆3RS0Ar30bE[saga] 2014/04/19(土) 00:57:51.29 ID:0FukvXIJ0
『超高校級の拳法家』正道健一……
寡黙で口数が少なかったが、その毅然とした態度は見る者を安心させるものがあった。
正道もまた、俺達の仲間だったのだ。
その正道を殺した犯人が、この中にいる?
――殺さなければ餓死していた、なんて言い訳は通用しない。
――誰かがやらなければ全滅していた、なんて言い訳も通用しない。
殺人は殺人。どんな理由があろうとそれは決して行ってはいけない行為であることは俺達全員が理解していた。
だからこそ、俺達はやらなければならない。
生き残るために。
正道の無念を晴らすために。
仲間のために、仲間を犠牲にしなければならない。
――こうして始まる。
『希望』と『絶望』が渦巻く、命がけの『学級裁判』が……
ここから始まる。
→
学級裁判前半 【元スレ】
【スーパーダンガンロンパ】安価でキャラ作る5【安価進行】