オリロンパwiki - 夏目ロンパ チャプター5 おしおき編
393 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/15(木) 23:39:27.46 ID:2MQDJ3ev0


モノクマ「あーっ、疲れた。まったくなんだってんだよ……」

モノクマ「さてさて、そんなこんなで終わった学級裁判。結果はなんとー……」

モノクマ「大 正 解 !! 影山詩乃さんを殺したのは湯川ほのかさんでしたー!!」

足立「くそっ……本当にそうだったのか……!」

ジョー「湯川が“裏切り者”だってのも……影山が自分の運頼りの犯行をしたのも……!!」

言乃木「しかもあの女はそれを成功させたってことだろう……!?」

湯川「……みなさん、おめでとうございます」

筆原「めでたくなんてありませんよ……」

ジョー「ああっ! くそっ! おい湯川! もう一回聞かせろ!」

ジョー「お前の正体は“未来機関の一員”! オレらをこの島に監禁した“未来機関の一員”!」

ジョー「……それで間違いないんだな!?」

湯川「……はい」

言乃木「くっ……!!」

湯川「……すいませんでした。本当はもっと早くに言えれたら良かったんですけど……無理だったんです」

湯川「私は……“私たち”は未来機関を裏切れない。何があっても……」

……裏切れない?

394 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/15(木) 23:45:28.40 ID:2MQDJ3ev0
夏目「どういうことだよ、それ?」

湯川「夏目さんたちは空を飛びたくても飛べない。水の上を歩きたくても歩けない……」

湯川「要はそういうことなんです。“そういうもの”として存在してる以上、“私たち”は未来機関を裏切れない……」

夏目「……でも、結局は自分から言ったようなものだろあれ」

湯川「……ですね」

足立「で、ですねって……」

ジョー「わけわかんねぇことばっかだけどよ……結局何でお前が“未来機関”にいたのかは、教えてくんねぇんだよな?」

湯川「……すいません」

筆原「謝らないでください……私は、湯川さんを仲間だと思っていますから。これまでも、これからも」

筆原「ですからっ! 謝らないでください!」

言乃木「……結局は全部、影山の思惑どおりになったってわけかい」

夏目「裏切り者をあぶり出し……そいつだけを、処刑する……」

すると、ふと足立が声を出した。

足立「それなんだが……本当にこれが影山さんの狙いってことでいいんだよな?」

足立「“裏切り者”をあぶり出し……殺す。それが影山さんの狙い……」

足立「でも、そうだとすると少し妙じゃないか?」

夏目「妙って?」

396 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/15(木) 23:56:24.23 ID:qIvYLaKy0
足立「だってそうだろう? 今、俺達は湯川さんが名乗り出てこなかったら間違いなく負けていた。絶対に」

モノクマ「うぷぷぷぷ……そうだね、いいところに気が付いたね」

モノクマ「そうなんだよ。彼女の目的は“裏切り者”をあぶり出すことであって、殺すことじゃないんだよ」

夏目「は……?」

モノクマ「コングラッチュレーション! オマエラは見事影山さんに勝ったんだよ! だって影山さんは“裏切り者”を暴いた、その上で……」

モノクマ「『裏切り者以外の全員を殺すこと』が目的だったんだから!!」

筆原「う、裏切り者以外の全員を殺す!?」

ジョー「なんだよそれ!? あの女そこまでひねくれてたのかよ!?」

湯川「……いいんですよ」

そこで湯川がそんなことを言う。
いいって……

夏目「何がだよ……?」

湯川「だって、彼女だって状況が違えばあんなことまでしなかったでしょうし……」

湯川「影山さんだけが悪いなんてこと、ありませんから」

モノミ「ほのかちゃん……あなたは本当に、心やさしい子でちゅね」

モノミ「まったく……誰に似たんだか……」

湯川「私のお父さんか……それか、“友達”か……そんなところじゃないですか?」

モノクマ「あー! そうやってすぐ家族や友人の話に移るのがオマエラの悪いところなんだぞ!」

モノミ「なら……あちしだって負けられまちぇん! ほのかちゃんや“あの子”に負けないよう……」

モノミ「あちしにしかできないやり方で、一矢報いてみせるでちゅ!!」

モノクマ「へ? 一矢って……」

直後、モノミがモノクマに飛びかかった。

397 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/16(金) 00:02:37.52 ID:4YaKt4ti0
モノミ「もう……あんたの好きにはさせないでちゅ!」

モノクマ「うわっ……バカ! 何を――」

そしてそのまま、モノミとモノクマは爆発した。

……爆発!?

夏目「何が起きて……!?」

ジョー「おいおいおいおい……自爆しやがったぞ!?」

言乃木「だ、だがこれでモノクマも……」

モノクマ「死んでないよーん!」

筆原「新しいのが出てきました!?」

モノミ「まだでちゅ! まだ終わらんよ!」

するとそこにさらにモノミがまた出てくる。

モノクマ「なっ……おい、何をするんだって! やめ……!!」

モノミ「あちしがあんたに勝たないと……ミナサンが安心して暮らせないんでちゅ!」

ドカン! という爆音を出してまたも爆発する。
が、その直後また新しいモノミとモノクマが。

モノミ「まだでちゅ! あちしがミナサンを守ります!」

モノミ「それが教師たる者の務めでちゅから!!」

夏目「モノミ……お前……!!」

モノクマ「やめろって……このままじゃ全滅しちゃうよぉ……」

モノミ「そのつもりでやってるんでちゅ! さあ、あと何体でちゅか!? いっそのことまとめて出てくるでちゅ!」

モノクマ「何体って……あとはせいぜい――」


モノクマ「――那由多くらいだよ」

な、那由多って……!!

399 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/16(金) 00:08:31.33 ID:4YaKt4ti0
言乃木「10の60乗、だね」

モノミ「何を言って……」

モノミ「やいやい! この期に及んで冗談を言うとは神経図太いでちゅね!!」

モノクマ「はぁ? オマエこそ何言ってるんだよ! あのモノクマ製造工場を見なかったのかよ!?」

モノクマ「あそこでボクの分身は今も製造されているんだよ!!」

モノミ「何を言って……だって! あそこにはただのヌイグルミしか……!」

夏目「そうだ! 俺や湯川も確認している! あそこにあったのは間違いなくただのヌイグルミだ!!」

モノクマ「うーん、でもそこにあるのがヌイグルミだとしてもそれにモノクマという自我を加えれば……」

モノクマ「……それは立派なモノクマになるよね?」

足立「は?」

言乃木「そんなことやれるわけないだろう! 魔法じゃああるまいし!」

モノクマ「魔法……魔法ねぇ……うぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!!」

モノミ「まさか、あなたはそこまでの“力”を……!?」

ジョー「待てよおい! いきなり魔法がどうとか、ここはいつからファンタジー世界になったんだって!」

モノミ「で、でも負けまちぇん! 例え勝ち目がなくても、あちしは……!」

湯川「ウサミさん」

そんなモノミに湯川が声をかける。

400 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/16(金) 00:10:30.36 ID:4YaKt4ti0
湯川「もういいんです。あとは、みなさんに任せましょう?」

湯川「夏目さん……足立さん……ジョーさん……」

湯川「筆原さん……言乃木さん……」

湯川「みなさんを信じて、私たちはもう……ここから去りましょう?」

モノミ「で、でもっ……!!」

湯川「私たちがいなくても、もう大丈夫ですよ……」

モノミ「……」

足立「結局……何がなんだかわからないことだらけだな……」

筆原「でも……どうやら、未来機関にとってもモノクマは敵みたいですね……」

言乃木「その2つの組織の抗争にアタシたちは巻き込まれているってことかい?」

モノクマ「はいはい! それくらいにして今はさ! メインイベントを迎えますよ!」

モノクマ「そう! その名もおしおきタイム! キリッ!!」

ぐっ……!!

401 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/16(金) 00:13:08.62 ID:4YaKt4ti0
夏目「ま、待てよ! まだ……もう少しだけ!!」

モノクマ「そう言われて待つか待たないか……どっちか絶望的なのか……」

モノクマ「夏目クンなら言わなくてもわかるよね!?」

湯川「ごめんなさい夏目さん……どっちにしても、もう私から言えることはないんです……」

夏目「違う! そうじゃなくて……!」

モノクマ「では! 超高校級の声優である湯川ほのかさんのために! スペシャルなおしおきを用意しました!!」

モノクマ「……っと、それとモノミちゃんもだね!」

湯川「えっ? なんで、ウサミさんまで……?」

モノクマ「ついでだよついで。だってボクに逆らう奴はもういらないし、それに……」

モノクマ「ボクって実は一人っ子だったんだよねぇ」

筆原「なんですかそれ……!?」

モノミ「いいんでちゅ」

夏目「おい! モノミ……!?」

モノミ「だって、あちしがいても足手まといになるだけでちゅし……それに……」

モノミ「ミナサンを信じることに決めまちたから!!」

そうやって湯川とモノミは覚悟を決めたような顔をする。

402 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/16(金) 00:15:40.60 ID:4YaKt4ti0
湯川「すいません……今まで騙すようなことをして。最後まで守ってあげることができなくて……」

湯川「そして……ありがとうございました。最後で、私を仲間だと言ってくれて……」

モノミ「最後に一言だけ……先生っぽいことを言わせてくだちゃい」

モノミ「英雄になる必要なんてないんでちゅよ。無理に誰かに認められなくたっていいんだからね」

モノミ「そんなことで自分を責めたり他人を責めたり……そんで、誰かに嫉妬したり……」

モノミ「でもね、そうじゃないんでちゅ」

モノミ「他人に認められなくても、自分に胸を張れる自分になればいいんでちゅ!」

モノミ「だって自分自身こそが、自分の最大の応援者なんでちゅから!」

モノミ「そうやって自分を好きになれば……その“愛”は一生自分を応援し続けてくれまちゅよ」

モノミ「らーぶ……らーぶ……」

最後、2人は手を取り合う。

湯川「さようなら、みなさん……」

湯川「大丈夫です。みなさんの前には“未来”が……輝かしい“未来”が待っています」

湯川「だから……あとは進むだけです。道を開けて、扉を開けて……進んでください」

湯川「私は信じてます。仲間であるみなさんを……」

モノミ「バイバイでちゅミナサン! 先生のこと、忘れちゃ嫌でちゅよ!」

そうして無情にも――運命のときは来た。


モノクマ「それでは張り切っていきましょう! これが最後の……おしおきターイム!!」




ぴこんっ☆


GAME OVER
ユカワさんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
モノミちゃんもごいっしょに。

403 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/16(金) 00:21:32.39 ID:4YaKt4ti0


【超高校級の声優 湯川ほのか処刑執行】
【二次元最高!? もしも自分が二次元になったら】

モニターの中に湯川さんとモノミちゃんがいます。
それを眺めるように立つモノクマ。前にはスタンドマイク。手には台本。

モノクマがその台本を読みます。

『私の役目はあなたを殺すことです。いざ覚悟!』

するとどうでしょう。その言葉に合うように湯川さんが腰に差さっていた剣を抜きました。
さらに隣のモノクマが台本を読みます。

『あちしだって負けまちぇん!』

その言葉に呼応するようにモノミちゃんが剣を抜きます。数にして9体。

そこからはまさに目にも止まらぬ速さでした。
湯川さんが剣を振り、それをモノミちゃんが受け止める。

まさに一進一退の攻防。仲間同士であった2人がコロシアイをしているのです。

そうしてモノミちゃんが最後の1体となり――モニターの前に立つモノクマたちに異変が起きました。

そう! なんと10体目のモノミちゃんがモノクマたちをやっつけに来たのです!

突然のことになすすべなくやられるモノクマたち。
モノミちゃんはそのまま台本を奪い、読みます。

『もうこんなことをする必要はありまちぇん! 早くここから逃げまちょう!!』

当然それに呼応するように2人は剣を捨て、逃げました。
逃げて。
逃げて。
逃げて。
逃げて。
逃げて。

やっと見つけたものは“未来”と書かれた扉。

助かった! そう2人は確信してその扉を開けて“未来”への1歩を踏み出しました。

404 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/16(金) 00:29:20.97 ID:4YaKt4ti0




『――その1歩が絶望への1歩だとも知らずに』

ふと、ナレーターの声がしました。
するとどうでしょう。2人が踏み出した足元がすっぽりと落とし穴へと変わるじゃあありませんか。

深い、深い、絶望へと続く落とし穴。
それがどこに続いているかは誰にもわかりません。

ドガーン!!

最後のモノミちゃんごと、モニターがプレス機で潰されます。

所詮二次元は二次元。
声優が演じるキャラなんて、どこにもいないんだよ!!

418 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/16(金) 22:58:39.14 ID:a2KgVUe50


…………。

終わってしまった。
湯川は――死んでしまった。

ぺたりと、膝を折ってしまう。

結局“ありがとう”の1つも言えず……湯川はいなくなってしまった。

モノクマ「はいはいはい! えーっと、余韻に浸ることすらできないまま話を進めちゃいますが……」

モノクマ「おめでとさん! これで“コロシアイ修学旅行”は終わりだよ! おつかれっした!!」

ジョー「……本当なんだな?」

ジョー「本当に! オレらはもう帰れるんだな!?」

モノクマ「うん! この“生き残った5人”にこの島から“卒業する権利”が与えられまーす!!」

突然の終了宣言。
当然、喜ばしいことだ。これでコロシアイなんてふざけたことが終わるのなら、最高だ。

――だが、だからこそ1つ疑問が出てくる。

夏目「その言葉に嘘は無いんだな?」

モノクマ「はにゃ?」

夏目「まだ期限は2日残っているはずだ。今までのお前ならこんなところで終わりにするとは思えない」

足立「それは……確かに」

ジョー「おいバカ! モノクマさまの気が変わったらどうすんだっての!!」

言乃木「素晴らしいくらいプライドの捨て方だねアンタ……」

夏目「もしかして、期限より人数に意味があるんじゃないのか? この“5人”という人数に」

モノクマ「…………」

420 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/16(金) 23:12:48.11 ID:MD7/V0rz0
夏目「黙ってないでなんとか言えって……! いい加減お前の正体を教えろ!」

夏目「俺達とも、未来機関とも敵対するお前の正体と目的……なんなんだよ!?」

するとモノクマは小さく息を吐いた。

モノクマ「未来機関が“世界の破壊者”なら……」

モノクマ「ボクは未来機関の作った“新世界”の破壊者となろう……」

モノクマ「……ま! そんなところかな!」

言乃木「何がだい……まったく説明になってないよ!」

モノクマ「いいからいいから。細かいこと気にするとしわが増えるよ?」

モノクマ「でも、なんていうかあのタイマーがゼロになれば自然とわかることなんだし……今はそんなこと気にせずに残りの2日間、南国生活を満喫しなよ」

筆原「そんなこと、できませんよ……!」

モノクマ「そう? でもここから帰ったら待ってるのは退屈で絶望的な世界なんだよ?」

モノクマ「それなら最後くらいはここでエンジョイしてもいいと思うけどな!」

モノクマ「アーッハッハッハッハ!!」

……モノクマの高笑いはいつまでも響いた。
俺達の抱く不安、悲しみ、怒り。それら全部を無視して――ずっと、続いた。

それから自分が何をしていたのか。そんなこと、どうでもよかった。


□■□■□


【夏目のコテージ】

気付けば俺はコテージに戻ってきていて……
考えることを放棄して、眠りに落ちていた。

421 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/16(金) 23:20:34.02 ID:MD7/V0rz0


……そうして目が覚めたあとも、俺は体を動かすことすらできなくて。

この狂った現実から逃げるように、意識を落とした。


□■□■□


夜。ようやくあたりが暗くなる。

夏目「……」

そういえば、モノクマアナウンスも聞いていない。
あれももう、必要ないってことなんだろう。

これで終わりということなんだろう……

夏目「終わり……」

何が終わる? まだ片付いてない問題はたくさんあるというのに。

学園生活の記憶。
未来機関。
希望ヶ峰学園。
モノクマ。

これらの問題から目を背けて、本当に終われるのか?

夏目「……」

答えは出ない。いくら自問をしても、答えがいつまでも出なかった。

――そうしてこの島での最後の夜が終わる。
全部の終わりは、俺達とはまったく関係のないところで始まっているというのにも気付かずに……

最後の夜は終わりを告げた。

422 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/16(金) 23:32:18.17 ID:N8o80y8m0


【サイゴノヒ】

朝。目を覚ますと同時にゾクリと背筋が震えた。

夏目「っ……!?」

思わず飛び起きてしまう。
寝起きの俺を襲ったのは――恐怖だった。

まるでこの島に俺以外の全員がいなくなったような、そんな恐怖。

ジョーが、足立が、筆原が、言乃木が。

全員がいなくなったような恐怖が俺を襲う。

夏目「うわあああああっっっ!?」

そんな恐怖から逃れるように、
俺はコテージを飛び出していた。

そんな恐怖から逃れるように、
俺はコテージを飛び出していた。

そんな恐怖から逃れるように、
俺はコテージを飛び出していた。

そんな恐怖から逃れるように、
俺はコテージを飛び出していた。

そそんな恐怖からら逃れるように、
俺はココテージを飛び出していた。


そん○のそから□恐怖がら×●コテージ逃れ★るように、
飛び出し俺はコテ○ジを■*るように飛び◆出していた


【ナツメノコテージマエ】

コテージを出ると、俺はばったりとあいつに出くわした。


↓1
コンマ00〜49兎呑
コンマ50〜99湯川

423 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]  2014/05/16(金) 23:33:00.49 ID:I0EWhcV9o


425 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/16(金) 23:42:02.25 ID:N8o80y8m0


兎呑「やあ夏目君、ちょうどいいところに来たな」

それは白衣と黒髪の長髪が特徴的な、兎呑だった。

夏目「……」

兎呑「……む、どうした。寝起きで頭がボーっとしているのか?」

夏目「あ、ああいや……なんでもない」

今俺の頭によぎった感情を振り払うように頭を振って、俺は兎呑に尋ねる。

夏目「兎呑は何をしてるんだ?」

兎呑「湯川さんが何やらあのヌイグルミ工場からノートパソコンを見つけてな」

兎呑「どうやらあの爆弾騒ぎの際に影山さんが残した、遺書のようなものだったようだ」

夏目「……影山の、遺書」

兎呑「ああ。それを確認するためにみんなレストランに集まっているところだ」

兎呑「夏目君も来るだろう?」

夏目「そうだな……行くよ」

兎呑「ふふ……それじゃあ、行くとしようか」

俺の返事に満足そうに微笑んで、兎呑は黒髪を翻してレストランへと向かう。

夏目「……」

……行くか。

426 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/16(金) 23:54:19.93 ID:fhPK4c9r0


【レストラン】

そこには全員が揃っていた。
俺を含めて、16人。問題ない。

棋儀「遅かったな夏目。何をしていた?」

ジョー「寝坊か? ダメだな夏目! こんなときに寝坊するなんて言語道断だ!」

甘露寺「つい5分前に来たくせに何を言っている」

最咲「夏目さん、おはようございます」

夏目「……影山の遺書があったんだって?」

湯川「はい。ヌイグルミ工場にあったあのパソコン、そのメッセージの続きになります」

湯川「おそらく……裁判が終わるまでは見れないよう細工をしていたんでしょう」

足立「影山さんはなんでもできるんだな……俺なんてパソコンをいじるのがもう苦手だ」

筆原「あはは……そうでしたね足立さん」

言乃木「アンタが来たことでようやく見れるよ。さ、アンタもこっちに来な」

言乃木に言われ俺はそのパソコンが置いてある方に行く。

五十隅「え、ええっと……これどう使うのかなぁ?」

雪咲「俺に貸してみろ」

雪咲がパソコンの前に立ち、キーボードを打って操作していく。
すると……




影山『えーっと……このメッセージを見ているのは誰になるんでしょう?』


影山の顔が映りだされた。

427 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/17(土) 00:06:42.04 ID:JyzH8yHm0


影山『未来機関の裏切り者……なのを願う限りです』

影山『そうでないと、私の負けになりますからね』


裏切り者の生存が、影山の勝ちということは……

言乃木「やっぱりそういうことなのかい……“裏切り者以外の全員を殺すこと”が影山の目的……」

夏目「モノクマの言ってたとおりだな……」

ジョー「でもなんでそんなことを?」

砂射「無駄口はこれが終わってからにしろ。まだ続きがある」


影山『さてと……今の私からだとどういう結末になって誰がこれを見ているのかわかりません』

影山『なのでどちらが見ていてもわかるように説明していきますね』

影山『まず最初に、何故私があんなことをしたのか……それについて説明しないといけません』

影山『ですが……実を言うと、今さらそんなことについて説明をするまでもないんです。私は今まで言ってきたことを実行したまでのこと』

影山『私はファイナルデッドルームで“ある事実”を知ったのです』

影山『それに該当する部分は処分してしまいましたが……いやいや、驚きました。だってまさか……』


影山『み×んが超○◆▽望だ□●んて』




428 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/17(土) 00:25:00.40 ID:1b2HiL5i0


影山『きっと、未来機関の裏切り者は最初からその事実を知っていたんでしょう』

影山『私も“この世界の真実”を知り、すぐに行動に移させてもらいました』

影山『その鍵となったのが……夏目さんなんです』

影山『うふふ……案外あのファイルは悪いことしか書かれてなかった、なんてことはなかったみたいです。だって――』


影山『わたww夏◆超完×実▽○★剣希望だっ●』


影山『もっとも、思い出したくないことまで思い出してしまいましたがね……』

影山『さて。これらの情報を踏まえてモノクマの一連の行動を振りかえると……モノクマのしたかったことも見えてくるんです』

影山『この島の謎、未来機関の謎……モノクマはいろいろな謎を私たちに突きつけてきましたね。それは何故か?』

影山『……それが“最高の絶望”に繋がると信じていたからです』

影山『しかもモノクマはその絶望を“誰か”に見せようとしていました。それはおそらく――』


影山『嫌だ★未来○の×◆k姉ww族はある』


影山『やれやれ……とことん絶望な真実ですよね。そうは思いませんか?』

影山『話を変えます。次からは“未来”の話になるわけですが……』

影山『みなさんがモノクマの目論見から解放されるには“ある場所”に行かないといけない……』

429 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/17(土) 00:34:47.32 ID:1b2HiL5i0


影山『その場所に入るためのパスワードが……ネズミー城にあった“あのメッセージ”なんですよ』

影山『“その場所”に行くには本来正規の手順を踏まないといけないみたいでしたが……』

影山『あのメッセージはそれらを無視する、まさに“裏技”というべきものです』

影山『あれはモノクマやモノミでもない……他の誰かさんが残したものなのでしょうが……』

影山『残念ながら私には関係ありません』

影山『……本当なら私の計画が終わるまで言わないでおくつもりでしたが、もういいですよね?』

影山『では発表するとしましょうか。“こちら”はどうやら5ケタの数字みたいですが、そのパスワードは……』




影山『23040』




影山『これがネズミー城にあったパスワードです。みなさんはそれを使って“ある場所”に行くことでしか、モノクマから逃げることはできません』

影山『……さて、これで私からの伝えるべきことは全部終わりです。なので最後、私個人からみなさんに伝えることがあります』

430 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/17(土) 00:43:47.52 ID:1b2HiL5i0


影山『私はみなさんを愛しています』

影山『希望と呼ばれるみなさんを、愛しています』

影山『なので、私の今までの行動はすべて……みなさんへの愛情だったのです』

影山『理解できないかもしれません』

影山『納得できないかもしれません』

影山『それでも、もしすべての真実を知るときがあったら……頭の片隅にでもいいので、こう残しておいてください』


影山『“みなさんを最後まで愛した存在”……それが影山詩乃だと』


影山『愛情というものは一方通行になっても仕方ないものだと思ってはいますが、やはり相思相愛の方が喜ばしいでしょう?』

影山『それではさようなら……せめて、最後まで“超高校級”と呼ばれるみなさんでいてくださいね……』


……そうして、メッセージは終わった。

437 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/17(土) 19:27:57.76 ID:DPFaJzyl0


…………。


夏目「これが影山の最期のメッセージ……」

砂射「今出てきた“23040”というパスワード……」

正道「間違いあるまい。あの遺跡に入るためのパスワードだろう」

姶良「それじゃあ行くしかないよね。あの遺跡にさ」

最咲「よーし、それじゃあ行きましょうか夏目さん!」

夏目「……そうだな」


□■□■□


【イセキ】

そうしてやってきた遺跡。
その前に立ち……俺は足を止めていた。ただ遺跡の前で立っていた。

五十隅「う〜ん……なんだか緊張してきたよぉ……」

雪咲「この中に行けば、モノクマの目論みから逃れられる……」

ジョー「つーかそれだって影山の言うことだしよ……信用できるのか?」

棋儀「そればっかりは信じる他ないだろう。じゃないと俺達は永遠に立ち止まっているしかない」

言乃木「それは嫌だね……」

足立「立ち止まるのは俺達の性に合わない……そうだよな?」

甘露寺「そのとおりだ。足立、お前は良いことを言うな」

筆原「私も賛成ですっ!」

姶良「あーあ……隙あらば惚気させてくれるよねこの2人……」

砂射「それはお前が過敏になりすぎているだけの気もするが」

湯川「それでは……夏目さん、さっきのパスワードをお願いします」

すると湯川が俺にそう言ってくる。

438 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/17(土) 19:34:35.99 ID:DPFaJzyl0
夏目「わかってるよ……“23040”だったよな」

湯川「何も心配することはありません……その扉の向こうにあるのは“輝かしい未来”なんですから……」

ジョー「全員で帰るっつー最高にハッピーなエンドがな!」

言乃木「影山を抜いて、だがね」

そんな話を聞きつつ、俺は横のパネルを操作してパスワードを入力していく。

――そして、俺はその“未来への扉”を開けて……




あ、けて……


【???】


…………、

夏目「ここ……裁判場か?」

夏目「でも……なんで裁判場?」

ジョー「確かに裁判場に見えるけど、なんていうか今までの裁判場とは雰囲気が違うっつーか……」

筆原「あと、1つ気になることがあるんですけど……」

足立「? どうかした?」

筆原「……みなさんはどこに行ったんでしょうか?」

言乃木「みなさん?」

……なんだ? 何かがおかしい。

いったい、何が――


Chapter5 すべては1つになりて 非日常編 完
生き残りメンバー
7人→5人

――To Be Continued



チャプター0


【元スレ】
【スーパーダンガンロンパ】安価でキャラ作る6【安価進行】