オリロンパwiki - 夏目ロンパ チャプター5 探索編
776 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/02(金) 22:21:30.33 ID:fmfsCQ0Q0


Chapter5 すべては1つとなりて(非)日常編


翌日。俺達はレストランに集まっていた。

足立「……しかしなんだ。こうして全員で集まってみると……」

足立「嫌でも実感するな。俺達がどれだけ異常なことに巻き込まれているかってことを」

ジョー「最初の人数の半分以下だもんな……」

棋儀が死んで。
甘露寺が死んで。
姶良が死んで。
五十隅が死んで。
雪咲が死んで。
最咲が死んで。
兎呑が死んで。
正道が死んで。
砂射が死んだ。

出さない出さないと言って9人もの犠牲者を出してしまいもすれば、こうしてレストランが最初より広く感じるのも当然、か。

筆原「でも、これ以上犠牲は出ませんよ! 絶対!」

言乃木「そうだね。ここまで来た以上殺しなんて馬鹿げたことする奴は誰もいないだろうさ」

ジョー「ただ問題なのは……」

湯川「影山さん、ですね」

そう。今日この日、影山だけがレストランに来ていなかった。

777 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/02(金) 22:34:26.70 ID:ja0l8C5b0
ジョー「ああ? あの女はもういいよ……単独行動が主な自分勝手な人間だしよ」

湯川「ですが、このまま影山さんだけ放っておくのも……」

筆原「確かに……なんだか後味が悪いですね。彼女だけ放置したまま、なんて」

足立「だが、影山さんはこれまで何度も俺達の空気を乱してきた張本人だ」

足立「……難しいところだな」

これまでの影山の言動を考えると、許せないと思うのは当然。
でも、それでも許してやりたい――そんな複雑そうな顔を足立や筆原、湯川はしていた。

ジョー「あー、なんだよどいつもこいつもお人よしばっかでよ……」

ジョー「夏目はどう思うわけよ?」

夏目「え?」

ジョー「え? じゃなくってだな。影山のことだよ」

ジョー「お前は影山をどう考えてるんだ? 許すのか許さないのか」

……どう、なんだろうな。
ドッキリハウスでの一件が無ければ、悩みぬいたうえで『許してやりたい』と言っていたかもしれないが――


『アナタは私が望んだ希望なんです』

『今度こそ、1つになりたいんですよ』


――影山の言葉が脳内で再生される。
ドッキリハウス以後、明らかに様子がおかしくなった影山の姿を見てしまっては、そうおいそれと答えを出せるわけが……

湯川「夏目さん……?」

俺が返答に時間を要しているのが変に思ったのか、湯川が首を傾げる。

778 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/02(金) 22:43:05.86 ID:ja0l8C5b0
言乃木「……まあ、夏目が影山をどう思っているかはさておいてだ」

不意に言乃木の声があがる。

言乃木「アイツはドッキリハウス以後、明らかに様子がおかしくなっている。……何かしでかす可能性だってあるから、注意することに越したことはないだろうな」

足立「ああ、特に夏目君への態度の変わりようはおかしいとしか言えなかったからな……」

モノミ「うう……ミナサンこんなところにいたんでちゅか」

そこでモノミがやけに血まみれな状態で現れる。

ジョー「んなもんわかってるっての。誰が好き好んであんな変態女のとこに近づくかよ」

筆原「あはは……」

モノミ「あれ? もしかして今あちしステルスモードになってて見えてないのでちゅか?」

足立「うわっ!? 血まみれじゃないか!」

モノミ「よかった……足立君にはきちんとあちしが――」

足立「あ、悪いんだけどその格好でこっち来ないでくれるかな……」

モノミ「丁重なお断り!?」

言乃木「…………」

モノミ「痛いでちゅ! 言乃木さんが無言でお手拭きを投げてきたでちゅ!」

湯川「と、とりあえず血を拭いたらどうですか?」

モノミ「でちゅね……」


ゴシゴシ……

779 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/02(金) 22:53:40.22 ID:ja0l8C5b0


モノミ「はい! モノミ完全復活でちゅ!」

湯川「それで、モノミがこのタイミングで来たってことは……」

モノミ「はい! 最後のモノケモノも倒したので、“最後の島”へ行くことができるようになりまちた!」

ジョー「そっか」

モノミ「うう……まるで上の空なリアクション……」

モノミ「やっぱりあれでちゅか? 次の島に行っても何も手掛かりがないから行かないっていう……」

湯川「それは違いますよ」

と、湯川が凛とした声で言った。

湯川「……ですよね?」

夏目「そこで俺達に振るのか……」

湯川「すいません。でも、これ以上逃げてても始まりませんし……」

湯川「もういないみなさんのためにも、逃げずに立ち向かうべきじゃありませんか?」

言乃木「……ははっ、それもそうだね」

足立「やられっぱなしじゃいられない、か」

筆原「そうですね。ここで逃げたらそれこそ負けちゃいますもんね……」

ジョー「お前らがそう言っちまったらオレだけ逃げるわけにもいかねーだろ! オレもやるぞ!」

湯川の問いに4人が答える。
前から思うところはあったのか、悩む人間は誰もいなかった。

780 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/02(金) 23:01:00.59 ID:ja0l8C5b0
湯川「夏目さんも、そう思いますよね?」

……確かに、いろいろと不安や疑問は残るけれど。
それでもここで逃げてたら何も変わらない、か……

夏目「ああ、そうだな」

モノミ「ミナサン……最高でちゅ、最高に良い顔をしてまちゅ」

ジョー「そいつはどうも……っと」

言乃木「じゃあ行くとするかい?」

足立「次が最後の島、だったっけか」

筆原「何があるんでしょうかね……」

4人の顔はもう、後ろ向きな感情に支配されているような表情じゃなかった。

モノミの言葉を借りるのなら、良い顔をしていた。

湯川「夏目さんも、行きましょう?」

夏目「……ああ!」

そうして俺達は最後の島へと向かう。

全員が一致団結をして、最後の島へと。

――いや、影山がいない以上まだ完全に一致団結はしていないか。

781 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/02(金) 23:05:08.69 ID:ja0l8C5b0


【ゴバンメノシマ】

最後の島。そこはなんというかビルに工場のようなものと、SFじみた場所だった。

……なんとなく、最後の島と呼ぶに相応しいところだと思った。


探索場所指定
↓2
1屋台通り
2モノクマ工場
3軍事施設
4ワタツミ・インダストリアル

783 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]  2014/05/02(金) 23:11:47.14 ID:DWmtv1m40


784 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/02(金) 23:22:42.93 ID:i9p4PmZG0


【モノクマ工場】

そこはなんというか、明らかに怪しい場所だった。

工場――なのだろうか。屋根の部分がモノクマの顔になっていて、なんというか不気味だ。

湯川「あれ、夏目さん……」

夏目「湯川。お前もここを調べに来たのか?」

湯川「はい……そうなんですけど、見た感じ凄い怪しいからちょっと誰か来ないかと思ってて」

まあ、確かにこんなところに一人で入るのには抵抗があるよな……

夏目「よし、なら一緒に行くか?」

湯川「いいんですか?」

夏目「いいんだから言ってるんだよ。一応、俺から先に入るからな」

そうして俺を先頭にして二人で工場の中に入る。

――するとそこに広がっていたのはこの工場の外観よりも数倍気持ちの悪い光景だった。

夏目「これは……」

ベルトコンベアを流れる物体。それが最終的にはモノクマとなってバスケットの中に放り込まれていく。

湯川「……これ、本物なんですかね?」

夏目「あ、おい!」

俺が呆気に取られていると、湯川がそのバスケットから1つモノクマを手に取る。

785 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/02(金) 23:29:36.65 ID:i9p4PmZG0
湯川「『こら、ボクは学園長だって言ってるだろ!』」

すると湯川はそのモノクマを自分の顔の高さまで持ち上げると、モノクマそっくりな声でそう言った。

夏目「……え?」

湯川「『いやーん、夏目クンったらそんなに見つめないでよー』」

湯川「……ふむ、どうやらこれはただのヌイグルミのようですね」

どんな確かめ方だよ……ていうか、さすが声優。声色の変化はお手の物なのか。

夏目「とりあえず、それしまっておけって」

モノクマ「やあやあ! オマエラボクのかわいいヌイグルミに夢中になるのはわかるけど、丁重に扱えよな!」

ああくそ、一番会いたくないヤツが来てしまった……。

湯川「……帰りますか」

モノクマ「あっ! おい、やるだけやって逃げるとか卑怯極まりないだろ! 少しはこのモノクマ工場にも触れてけって!」

……モノクマ工場?

夏目「なんだよ。これが全部今のお前みたいな自我を持つってのか?」

モノクマ「さあどうだろうね……普通のマスコットとして売りさばくのもいいかもしんないけど」

……どこがだよ。

786 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/02(金) 23:41:21.79 ID:10q+4nGj0
モノクマ「でもやっぱりそういうのは隣のグッズ倉庫に保管してあるから、こっちの奴は金もうけに使うのはもったいないかなー?」

夏目「グッズ倉庫?」

モノクマ「そ! ここの隣にある倉庫のことだよ! よかったら見てってよ!」

そう言い残して消えるモノクマ。

湯川「……どうします?」

夏目「激しく気が乗らないけど……行くしかないな」


□■□■□


【グッズ倉庫】

言われるまま、隣のグッズ倉庫にやって来たけど……

夏目「なんだここ……」

湯川「えっと……なんだか薄暗いところですけど、手掛かりになりそうなものは無いみたいですね」

段ボールの山に、グッズを持ち運ぶための台車。
そしてモノクマのパネルに、パネルに、パネルに、パネル。

……どれだけパネル作るんだよ! 自分大好きすぎるだろモノクマ!

夏目「……変にモノクマが絡んでくる前に出るかここ」

湯川「ですね……」

まあ、とりあえずここについては手掛かりはないみたいだな……


↓2
1屋台通り
2軍事施設
3ワタツミ・インダストリアル

789 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]  2014/05/02(金) 23:50:49.84 ID:FatV7aXao


794 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 00:29:56.64 ID:qjkCrBMg0


【軍事施設】

夏目「なんだここ……」

次に訪れたところは、軍の駐屯地のような場所だった。
戦車にヘリに……挙げたらきりがないくらいに異質な物が揃っている。

筆原「あ、夏目さん!」

言乃木「奇遇だね。アンタもここを調べに来たのかい?」

夏目「筆原に言乃木」

言乃木「ま、見てのとおりここは軍事施設のようだよ。いろいろと武器もある」

筆原「ですが、どれもこれも扱うには難しそうな物ばかりのようです。これで敵と少しは戦えるかも、なんて思ったんですが……」

夏目「無理だろうな」

というかさりげなく凄いこと言ったな。

夏目「じゃああれだ。ここの物は俺達の役に立ちそうにないわけか……」

言乃木「と、思うだろう? アタシたちもそう思ってたんだけど……」

すると言乃木が懐から二冊の冊子を取り出した。

795 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 00:41:15.32 ID:qjkCrBMg0
夏目「これは?」

言乃木「片方は“未来機関”のマークが書かれていて、ジャバウォック島開発計画書となっている」

言乃木「もう1つは……まったく関係なさそうな絵本だよ」

ジャバウォック開発計画書と、絵本?

筆原「絵本の方はともかくとして、こっちのジャバウォック島開発計画書っていうのは役立ちそうじゃないですか?」

言乃木「モノクマの私物とも書かれてあるし、なんだかこれみよがしに置いてあったからどこまで信用できるかはわからないけどね」

夏目「……そうだな。それで、そっちの計画書にはなんて?」

言乃木「詳しいことは結局のところわからずじまいだったけど、そのまま“ジャバウォック島再開発計画”について書かれてたよ」

言乃木「ここを未来機関の拠点にするとかなんとか……」

夏目「でも、ここは元々観光地だったはずだろ? それがなんで未来機関の拠点なんかになるんだよ?」

筆原「それについても気になることが書かれていました。どうやらこの島は管理していた会社の倒産により、かなり前から無人島となっていたらしくて……」

言乃木「それで“事件の影響”を直接受けずに済み、比較的容易に土地を確保できるからだって」

796 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 00:49:56.69 ID:qjkCrBMg0
夏目「待てよ! 事件の影響ってなんだ? それにかなり前から無人島になってたにしては、整備が行き届いてるじゃないか!」

言乃木「そんなことはわからないよ。整備が行き届いている点に関しては未来機関の人間の仕業なのかもしれないが……」

筆原「“事件の影響”というのが何なのか、それは私たちにもさっぱりで……」

言乃木「だけど気になることは他にもあるんだ」

夏目「まだあるってのかよ……」

言乃木「これに関してはアタシと夏目が図書館で調べたことだけど、前ジャバウォック島の案内っていう本を読んだのを覚えているかい?」

夏目「中央の島に政府の拠点があるって話が書いてあったのに、実際のところそんな建物は無かった。だからおかしいって話になったんだったな」

言乃木「この計画書、中にこんなことが書いてあったんだ」

言乃木「……『中央にある政府の建物を改築して、未来機関の拠点にしよう』ってね」

なんだよそれ……話がちぐはぐすぎるじゃないか。

797 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 00:53:26.39 ID:qjkCrBMg0
言乃木「つまり、アタシ達はすっかり忘れてたんだよ」

言乃木「この島の謎をね」

確かに、立て続けに起きた事件のせいですっかり忘れていたけど……

どうなんだ? この矛盾だらけの島の謎を俺は解くことができるのか?

筆原「じゃあ、ここの探索はこれくらいにしますか?」


↓2
1そうだな(軍事施設での探索終了)
2いや、まだだ(もう片方の絵本の話に移る)

799 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]  2014/05/03(土) 00:55:21.39 ID:lmHo4Q130
2

801 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 01:05:51.20 ID:yOQffEAd0


夏目「……いや、まだだ。その絵本について聞かせてくれ」

筆原「え? でも……」

言乃木「アタシ達も読んだけど、なんていうか意味不明な絵本だったよ?」

夏目「それでも、一応だ」

筆原「わかりました。じゃあ……」

そうして筆原がその絵本の内容を読んでいく。


【その子は才能も何もない、普通の子でした
ですがその子は必死に何か自分にも才能は無いかと探し、ついに1つの才能を見つけました

それでその子の世界は一変――するかと思いきや、まったくの見当はずれでした

なんでアイツが
おかしいだろ

その子の世界を変えるにはまだ足りなかったのです
努力が。才能が

高みへと登ります
世界を変えるために。自分を認めさせるために

それが奈落への穴とも知らずに】


……は?

夏目「これが絵本? なんていうか、不気味だな……」

言乃木「だろう? だから言ったじゃないか。気にするだけ無駄だったと」

筆原「これを書いた人の名前のところも、文字が掠れて消えていました。結局、なんなんですかねこれって……」

……でもなんだろうか。

この絵本、どこか嫌な感じがする……


↓2
1屋台通り
2ワタツミ・インダストリアル

803 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]  2014/05/03(土) 01:13:55.48 ID:dLLrrXgqo


814 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 19:20:32.90 ID:6eWMoF1j0


【屋台通り】

夏目「ここは……」

次に訪れた場所は、屋台がいくつも並ぶところだった。
ここはそのまま屋台通りとでも言うべきだろうか。

足立「ああ、夏目君。キミもここを調べに来たんだ?」

夏目「足立」

そこには足立がいた。
なにやらきょろきょろとあちらこちらを見まわしているが。

足立「右も左も食べ物食べ物食べ物。なのに店員と呼べる人間は1人としていない」

足立「たった1つ要素が抜けてるだけなのに、ずいぶんと質素な感じがするよな」

夏目「確かに、なんというか不気味なところだな」

足立「だがまあ、見ての通りここはあくまで屋台通りなだけで、脱出についての手掛かりはまったくもって見当たらないんだ」

足立「だからここを調べたところで無駄足になりそうだぞ?」

なんだ、そうなのか……

足立「だから俺は今から島を回って他の人達をここに集めようと思うんだけど……」


↓2
1そうか、わかった(探索終了。イベントパートに)
2待ってくれ、まだ見てないところがあるんだ(ワタツミ・インダストリアルに移動)

815 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]  2014/05/03(土) 19:21:51.81 ID:dLLrrXgqo


817 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 19:32:36.81 ID:m2srrBSe0


夏目「待ってくれ、まだ見てないところがあるんだ」

足立「そうなのか?」

夏目「ああ。工場と軍事施設とここは見て回ったんだが……」

足立「すると、残りはワタツミ・インダストリアルか」

足立「わかった。それなら、そこにジョー君が行ってるはずだから調べてくるついでにジョー君もここに来るよう呼んできてくれ」

足立「あんまり待たせないでくれよ?」

夏目「了解」

そう話がつき、俺は件のワタツミ・インダストリアルへと向かうのだった。


□■□■□


【ワタツミ・インダストリアル】

ジョー「……」

夏目「お、いたいた」

長い廊下を抜けてやって来たその会社の中の一室にジョーがいた。

ジョー「……おお、夏目か」

夏目「何呆けてるんだ?」

ジョー「そりゃ呆けたくもなるってーの……」

言いながらジョーが部屋の奥を指差す。

818 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 19:40:56.10 ID:m2srrBSe0
すると、その指の先にあったものは――製造途中の機械、だった。

夏目「なんだあれ……」

ジョー「あれよぉ、よく見てみると見覚えないか?」

夏目「は? 見覚え?」

何を言っているんだ。俺はあんなものに見覚えは……

ジョー「どうよ?」

夏目「……あるわ。あの“モノケモノ”とかいうのに似てる気がする」

ジョー「だろ?」

ジョー「わけわかんねぇっての。こんな中小企業の会社であんなモン作ってるなんてよ」

ジョー「おまけにわけわかんねぇものまであるし」

わけわかんねぇもの?

夏目「何のことだ?」

ジョー「ここの職員が使ってたであろうパソコンがあっちにあってよ。その中にメールがあったから覗き見してみたんだよ」

さらっとおかしなこと言ったなコイツ……この状況じゃなきゃやれないことだけど。

ジョー「でよ、そのメールん中におかしな文面があったんだよ」

夏目「どんな?」

ジョー「なーんか、今世界は“混乱”に包まれているだとか、それは“学生の起こした騒動”がきっかけだとかよ」

819 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 19:48:57.72 ID:m2srrBSe0
……なるほど、わからん。

ジョー「しかもその同時期にどっかの学校の生徒が集団自殺して、それを引き起こしたのも同じ学校の生徒とかなんとか……」

ジョー「な? 荒唐無稽だろ?」

夏目「確かに荒唐無稽だけど……」

夏目「それって本当にそれだけで済ませていいんだろうか?」

ジョー「ど、どういう意味だよ?」

夏目「……いや、なんでもない」

まさかな。考えすぎ、だよな……?

夏目「……っと、それよりもだ。ここでの調べ物が終わったんなら少し離れたところにある“屋台通り”に来てくれないか?」

夏目「そこで報告会なり、今後の方針を立てたいらしいんだ」

ジョー「お、いいぜ。いちいちホテルまで戻るのも億劫だしな」

少し強引だったが、ジョーはたいして気にもせず俺の言葉に従った。

……まさか、その事件が本当に起きていてその影響でこの島が無人島になったとか……そういうのじゃないよな?


□■□■□


【屋台通り】

言乃木「お、ようやく来たね」

再び戻ってきた屋台通り。そこでまずは焼き鳥を頬張っている言乃木が出迎えてくれた。

……何してるのコイツ。

820 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 19:59:58.95 ID:Q/BgBgap0
湯川「2人とも遅いですよぉ」

筆原「まったくですっ」

ジョー「……何? 女3人焼き鳥食ってるとかババくさいにもほどがあんだろ?」

言乃木「うっさいね。インドア派にこういう労働はキツイんだよ」

声優に書道家に学者……見事にインドア派しかいないな。

足立「だからって小腹が空いたにしてももうちょっと食べるもの選んだ方がいいんじゃないか?」

と、唯一のアウトドア派の足立がやれやれといった感じで言う。

夏目「おい、本題に入るぞ」

言乃木「わかってるよ。全員の得た情報を共有しようじゃないか」

そうしてお互い、それぞれ得た情報を交換し合う。

……が。やはりと言うべきなのかたいした情報は誰からも得られることはなく。

足立「結局得られた情報はどれもこれも似たようなものか」

筆原「肝心の未来機関についても重要な手掛かりは見つからなかったみたいですし……」

ジョー「つってもよ、全部の元凶が未来機関なのは疑いようもない事実なわけじゃねぇ?」

言乃木「いいや、そう言いきるのもどうかと思うよ」


821 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 20:10:39.44 ID:yxVAd9nK0
筆原「え? そうなんですか?」

言乃木「前々から気にはなっていたんだよ。モノミは結局のところ未来機関の手先、それは確定事項のはずだ」

言乃木「なのにモノミはモノクマと反目しあっている。アタシたちにコロシアイを強いてるモノクマとね」

筆原「……モノクマと反目しあっているから、モノミは敵じゃないと?」

足立「確かにそう考えることもできるだろうけど、敵じゃないならなんで俺達をこんなところに閉じ込めたりしたんだ?」

湯川「……きっと、閉じ込めること自体がモノミの目的なだけじゃないですか?」

言乃木「閉じ込めて、そこから先本来は何をやらせるつもりだったのか……それはさすがにわからないけどね」

ジョー「つっても、どうしていきなりそんな未来機関の肩を持つようなこと――」

ジョー「――まさか! お前が未来機関の裏切り者!?」

言乃木「そんなわけないだろう!」

ジョーの言葉がよほど心外だったのか、言乃木が声を荒げる。

足立「やめろジョー君。そもそもその“裏切り者”自体がモノクマの罠という可能性だってあるんだぞ」

足立「それに、ここまで一緒に生き残った言乃木さんを信じてやらないでどうするんだ?」

足立がそうして宥めていると、それは不意に訪れた。
ゾクリとするほどの冷たい声と共に。




「あらあら、結局はそうして逃げの一手なんですね?」






822 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 20:19:46.09 ID:yxVAd9nK0
ジョー「で、出やがったなこの変態女!」

その赤下フレームの眼鏡の奥に潜む瞳に反射的にジョーが怯えつつ言う。

影山「心外ですねジョーさん。女の子に向かってそんなこと言ってはダメですよ?」

湯川「影山さん……アナタ、今までどこにいたんですか?」

影山「私ですか?」


影山「ちょっと、人を探していました」

は? 人を探していた?


夏目「な、なんだよそれ。俺達以外に誰か人がいるってのか?」

言乃木「それは無いだろう。もしそうなら、今までの中で見つかって無いのが不思議なくらいだ」

影山「言い方が悪かったですね。人が来ているかどうかを探していたんですよ」

足立「どっちだって変わらないだろう。そもそも、影山さんの言うその人ってのは誰のことなんだ?」

足立が尋ねると影山はクスクスと笑いながら言った。

影山「“コロシアイ学園生活の生き残り”……かもしれませんね?」

夏目「それって……ジェットコースターの特典で貰ったあのファイルにあった……」

御陵書乃。
声伽学。
御門ノノ。
神代真琴。
首括くるり。
神原陽菜。

この6人のこと、だよな?

夏目「なんだそれ、その生き残りの奴らがどうしてこんなところに来る必要があるんだよ?」

823 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 20:28:58.85 ID:yxVAd9nK0
影山「それは私にも正確にはわかりませんが、おそらく……」

影山「その6人が未来機関の一員だから、でしょうか?」

なに……?

言乃木「どういう意味だいそれは!?」

影山「そのままの意味ですよ。“コロシアイ学園生活”なんて物を強いられた人間で作られた組織なら、こんな“コロシアイ修学旅行”を考えても不思議はないでしょう?」

ジョー「なんだそれ! やっぱりそもそもの原因は未来機関にあるってのか!?」

影山「あくまで推測、ですがね」

湯川「……影山さんは、何を知ったんですか? ドッキリハウスでの捜査途中から、明らかに様子がおかしいです」

影山「ふふ……知ってしまっただけですよ。“真実”をね」

真実?

夏目「なあ、そもそもお前はファイナルデッドルームで何を知ったんだ? いい加減教えてくれても……」

影山「おっと、こればかりは夏目さんの言葉でも教えてあげれませんよ」

影山「……“裏切り者”を暴くまではね」

裏切り者って……

824 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 20:36:58.32 ID:yxVAd9nK0
影山「実は、その裏切り者の正体だけが一向に掴めなくて……」

影山「でも、安心してください。その裏切り者をあぶりだす方法はすでに思いついてますから」

筆原「何を言ってるんですか……?」

影山「ですが、この策は私一人の力ではどうにもなりませんので……あなた達にも手伝ってもらいますよ」

影山「……何が何でもね」

ジョー「意味わかんねぇよ! もうちょっとわからせるようにして話せや!」

影山「それじゃあ最後に1つだけ、モノクマに伝言をお願いできますか?」

モノクマに……?

影山「もう動機なんていらない。最後はモノクマが望むくらい派手なものをやってあげますって」

夏目「それって……」

影山「では、ごきげんよう。私の愛する皆さん……」

最後に不穏な言葉だけを残して影山はここから去っていく。

湯川「影山さん……!」

湯川がなんとか声をかけるも、影山はそれすら無視してしまう。

825 : ◆3RS0Ar30bE[saga]  2014/05/03(土) 20:42:02.51 ID:yxVAd9nK0


ジョー「ど、どうするよ……あの女、絶対誰かを殺すつもりだぜ……!?」

足立「あの口ぶりからすると、狙いは裏切り者みたいだけど……」

言乃木「ちっ……こう言ってはなんだけど、なんであんな女が今の今まで生きてるんだかね」

筆原「うう……」

湯川「…………」

打開策は、見つからなかった。
一応、ジョーの発案で影山を前最咲がやったみたいに縛ることにはなったが……正直それだけでは心もとない。

でも、何もしないよりはマシだろうとなり……その日はそのまま解散となった。


【Info】
イベントパート終わり
次から自由行動へ



20日目


【元スレ】
【スーパーダンガンロンパ】安価でキャラ作る5【安価進行】