「――昨年より始まった欧州第2アーコロジーと第3アーコロジー間における紛争は――」
(鈴木悟の首の後ろに繋いだケーブルを通して、脳内の演算器に流れてきた映像 「プロローグ上」-007)

概要

 この項目では書籍版オーバーロードの現実世界についてまとめる。
 現実世界は裏設定の扱いであり書籍本編では殆ど触れられていないが、至高の四十一人ブルー・プラネットが自然環境を愛した男であることや*1ウルベルト・アレイン・オードルが社会構造を憎んでいるなど*2稀に触れられる。

 詳細は「オーバーロード コミック3巻巻末『2138年の世界』」を参照。

2138年の世界

 書籍版の現実世界は環境破壊が進んだ地球で、巨大複合企業によって国家は支配されている。富裕層(巨大複合企業に所属する者)は完全環境都市のアーコロジーに住み、貧困層(富裕層で無い者)は富裕層のための働き蜂として酷使されている。

 web版オーバーロードには書籍版のような記述はほぼ見当たらず、アインズ転移した世界の自然に感動する場面も無ければ、教育面でも「(アインズ)高校を卒業すると同時に働き出したため、学校生活は若干短い*3とあるため、web版の現実世界は大学進学が珍しくないものと思われる。唯一、至高の四十一人ヘロヘロがブラック企業で働いている程度しか記述は無い(情報求む)。

書籍版とweb版

書籍web
年代2138年。?(2126年以降)
環境空も大地も海も壊滅状態。?(アインズが異世界の環境に感動しない)
政治巨大複合企業が国家を支配。
治安警察が形骸化し治安も悪化。
会社をクビになると飢え死にするので一応の治安はある。
教育義務教育の撤廃。貧困層を無知にするために学費が高騰。大学進学が出来る。
娯楽富裕層は色々楽しめるが、貧困層は室内遊戯。
鈴木悟童貞のサラリーマン(小卒)非童貞のサラリーマン(高卒)

環境

 鈴木悟(現アインズ)が住む現実世界は、環境破壊により世界は汚染され、美しい自然はゲーム内にしか存在しない。鈴木悟にとって雨とは酸っぱい臭いのものだった*4

 22世紀初頭、環境破壊が深刻な状況に陥り第一次産業が崩壊。空は黒いスモッグに常に覆われ、太陽を見ることは殆ど出来ない。街は有害物質を含む濃霧に包まれるため、防毒マスク無しの外出は非常に困難である。日照不足により植物は枯れ果て、それに伴い鳥や虫も急速に減り続けている。水質汚染も当然深刻であり、河川は河川と思えないような色の水の濁流となっている。浄化場は汚染の酷さから機能不全に陥り、蛇口に浄化フィルターを取り付けなければ飲むことは出来ない。
 
 田畑を使った従来の農業は衰退し、農作物はドーム栽培が主流になる。食料品の価格は高騰し、庶民では手が出ないような高級品となった。現在の世界で美食という娯楽を楽しめるのはアーコロジー内に住む者たちに限られ、貧困層は栄養を取るためだけの加工品やサプリメントが主食である。

政治

 2138年において、国家は巨大複合企業によって実質的に支配されている。巨大複合企業は自分たちの利益に繋がるように法律を改ざんし、国民をコントロールをしている。

 そもそも、21世紀までは辛うじて保たれていた世界は、22世紀初頭に自然環境が崩壊。第一次産業が機能しなくなったことで、食料の枯渇から暴動が発生しクーデターが起きた。時の政治家たちは吊し上げられ政治機能が麻痺。その隙に巨大複合企業が司法・立法・行政を掌握し、実質的な支配者となった。
 だが、環境破壊の原因は巨大複合企業であり、環境を保護していれば今日の世界は無かった可能性がある。彼らが望んだ結果かは不明だが、世界は崩壊以前から企業によって支配されていたと言えなくもない。

治安

 2138年では政府が機能しなくなっており、警察も形骸化している。治安は悪化しているが、大抵のものは真面目に働いている。なぜなら、会社をクビになるようなことがあれば生きていけなくなるため、酷い扱いを受けても反抗する者は殆いない。

 浮浪児ストリートチルドレンは地下下水道などを住処としている*5

 巨大複合企業に属する者たちは完全環境都市のアーコロジーに住み、外の世界とはまるで違う世界を生きている。アーコロジー1つが国家であり、その周囲を街が取り巻くことで都市が構成されている。富裕層を狙ったテロや、富裕層同士の対立で戦争が起きることもあるが、戦争に赴くのは貧困層の人間である。アーコロジーと外の世界は遮断されているため、富裕層にとってテロも戦争も遠い世界で起こる架空の出来事でしかない。

 たっち・みーが警察官としてアーコロジー内に住んでいる。

教育

 巨大複合企業によって支配されてからは、義務教育は撤廃された。名目上は「公的支出を抑制するため」であるが、実際は富裕層が貧困層から思考能力を奪う事が目的である。富裕層にとって貧困層は自分たちのために働く働き蜂であり、何も知らず、何も考えずに会社の歯車になることが求められている。

 小学校に通うこともそれなりの学費が必要だが、貧困層の親たちは子供を少しでもまともな仕事に就かせるために学校に通わせようとする。しかし、貧困層にとって学費の工面は非常に難しく、無理をして死に至る場合もある。実際に、鈴木悟の両親が無理をした結果死亡している。小学校を卒業すれば最低限の知識があるため、それなりに頭を使う仕事に就けるという、勝ち組の歯車となりえる。

 作中では死獣天朱雀が大学教授、やまいこがアーコロジー内の小学校教師であることが語られている。
 作者によると、中学校に相当する学校はあると思うが、通える者は一部のエリートになるだろうから「中二病」の概念の存在はわからないとインタビューで答えている*6

娯楽

 2138年の世界の娯楽は、自然環境の喪失に伴い、野外スポーツ、海や山に行く観光などの外に出る必要がある娯楽は無くなった。高騰した食料品を使った美食、高額な使用料の屋内競技場を利用できるのは富裕層に限られている。貧困層の娯楽は当然室内遊戯に限られ、将棋や囲碁などのボードゲーム、オンラインストリーミングの映画鑑賞、DMMO-RPGを始めとするオンラインゲームである。

 ログインすれば眼の前には美しい自然が広がり、多くの人間と交流ができ、会社への不満や鬱憤は戦闘で晴らすことが出来る。自宅から一歩も出ずに現実では失われた多くのことが出来るDMMO-RPGは、プレイヤーたちにとってもはや現実そのものと言える。

その他

  • ウルベルト曰く、勤務時間の変更制度があること自体恵まれているらしい*7
    • 鈴木悟には遅番があった。
    • 巨大企業(メガコーポ)などで働く者には遅い時間の始業は珍しくない。
  • 巨大人型兵器は試作機や実験機を除けば無い。だがフルボーグ(全身義体)は存在する*8
    • ちなみにフルボーグと言えばサイバーパンクを題材にした国産TRPG「メタルヘッド」である。汚染された地球、企業が国家を支配しているなど、オーバーロードの世界観と共通点が多い。

このページへのコメント

「現実世界がディストピアになのは、主人公をオッサンにしないため」説

就業年齢が早い世界ならば
"主人公はごく普通の若者。ただし10年以上社畜しながら一つのゲームを続けてきた"
という設定もなんとか通る

0
Posted by 名無し 2023年04月13日(木) 17:27:48 返信数(2) 返信

主人公は性格から見てもオッサンだろうに・・・
むしろディストピアすぎたらゲムに注ぎ込む金が無いと思う。

義務教育で12年制の小学校を卒業して、営業でそこそこ鍛えられて、二十代半ばでゲームに目覚めたってあたりが妥当かな?

2
Posted by 名無し 2023年04月17日(月) 10:06:41

小学校は6年。義務じゃない。

WEBだとディストピアじゃない、高卒。

1
Posted by 名無し 2023年04月17日(月) 20:22:36

記述ない→記述は無い
殆いない→殆どいない
内部リンク追加
表幅調整
など

0
Posted by 名無し 2023年02月18日(土) 17:10:25 返信

アーコロジーほどはいかなくても、と以前丸山先生がおっしゃってたところって
ドームシティなんですかね?
ドームシティのことを書き入れるとしたらどこになるでしょう?

1
Posted by 名無し 2022年09月05日(月) 20:22:42 返信

おわり
カテゴリー化させると詳細を書くために長文化するというね。
これでも1/3くらいにはしたのですが

7
Posted by  tanaka203 tanaka203 2019年03月23日(土) 23:51:13 返信

web小説版と書籍版を読んでコミックは手を出してないんですけど、コミックの方は設定の改変とかあるんですかね?特に現実世界の荒廃具合なんかはコミックでしか触れられていないというのが引っ掛かる。

5
Posted by 名無し 2019年03月12日(火) 03:49:28 返信数(1) 返信

コミックは書籍準拠です

4
Posted by  tanaka203 tanaka203 2019年03月12日(火) 07:56:47

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