エロパロ板「おむつ的妄想」スレッドに投下された作品のまとめwikiです。

アガルファタの街に、夜の帳が落ちる。
北部大陸の玄関口として栄えるこの街の夜は長い。
中央の目抜き通りにある酒場は、客足が途絶えることはない。
汗水たらして働いた労働者たちや、遠方からやってきた商人たちの元気な声が木霊する。
酒を片手に汗をぬぐいながら語らう姿は、この街の夜の日常風景だった。
しかし、そんな喧騒から離れて裏路地に行くと、さっきまでの騒がしさが嘘のように、物音ひとつなく静まりかえっていた。
いや、こちらが街の本来の姿なのだ。北の大地、アガルファタの街の夜は冷え込む。大通りのような場所でなければ、人は滅多に出歩かなかった。
そんな静けさが支配する街の中でぽつりと、その酒場はあった。
アスナロ。
北部の言葉で「隠れ家」を意味するその店は、古ぼけた看板と佇まいがあらわすように、歴史だけが取り柄のような店だった。
表通りのような派手さもなく、酒の揃いも決してよくはない。しかし、酒場の主人との会話を楽しみにしていた地元の人々には、愛されていたお店だった。
少し前までは。

「今日も客は来ないっと……はぁ……」
若い男の声が、閑古鳥の鳴いている店内に空虚に響いた。
店主、ウォルコットのものだった。
先代の主人が隠居して一か月。
見事に客足が遠のいてしまい、グラスやテーブルを拭くだけの日がここ何日も続いていた。
店の収入も底につきかけている。
以前は来ていた常連も、彼が主人になってからはぴたりと来なくなった。
「はぁ……俺、向いてないのかなぁ……」
溜息だけが出てくる、そんな日常。
この夜が、そんな毎日の終焉になるということを、この時のウォルコットは知る由もなかったのだ。

そろそろ日も超えるという夜遅く。
早々に諦めたウォルコットは店仕舞いし、いそいそと品物の片づけをしているところだった。
外から聞こえる喧騒もなくなり、フクロウの鳴き声だけが子守唄のごとく響いている。
そんな静かな世界に、怒号が響き渡った。
野太い男の怒鳴り声。
複数にわたるその声は、こちらに近づいているようだった。
――何事だろうか。
グラスを拭く手を止め、ウォルコットは音の動きを気にし始める。
それはこの街で暮らすうちに身についた、危機回避の能力だった。
アガルファタは商業都市だ。
それは、様々な問題が頻発する場所であることも示している。
窃盗や強盗は優に及ばず、奴隷の逃亡に喧嘩、時には町に野盗が襲撃することもあるのだ。
異種族の野盗となれば、人間でも対応が難しくなる。
そのため、この町の人間は基本的に、トラブルに巻き込まれるのを嫌うのだ。

それはウォルコットも同じだった。
幼いころからこの酒場に奉公に出ていたウォルコットは、店の主人と飲んだくれの客がトラブルを起こすのを、しょっちゅう見ていたのだ。
酒飲み程、性質の悪いものはない。
トラブルに会えば、ろくなことにならない。
それが彼の中で生まれた鉄則であり、今まで生きてくるために培われた処世術だった。
そんな彼のもとに、彼女は現れた。
木製の古臭い扉が軋みを立てて開き、薄汚れた布を纏った少女が、店の中に転がり込んできた。
褐色の肌に、先の尖った耳。
ボロボロに傷んだ白色の髪は、彼女が人間でないことを証明していた。
半月状の碧眼の瞳は怯えたように震え、体の至る所には何かで叩かれたような痣ができていた。
歳にして十代前半だろうか。まだ幼さが残る顔立ちは、綺麗と可愛いの両方を持ちあわせていた。
「す、すいません……すこしだけ、すこしだけで、いいですから……」
少女はか細い声で謝りながら、体を引き摺るような格好で、ウォルコットに近づいた。
「ここに、隠れさせてください……お願いします……どうか――」
地に這い蹲り、少女はウォルコットに縋った。

涙で顔を歪めながら、一心不乱に拝み倒す少女。
そのぼろきれの布のような服から、思った以上にか細い腕がはみ出す。
そこには、武骨なまでに不釣り合いなモノがついていた。
手枷だった。
それも、奴隷向けの。
ウォルコットはそこですべてを見通したように理解し、彼女に告げる。
「駄目だ。もうこっちは店仕舞いしているんだ。帰ってくれ」
それは、拒絶の言葉だった。
トラブルに巻き込まれないための最善の策。
それは、彼女を追手に引き渡すことだった。
そうすれば、あわよくばお金をもらえるかもしれない。
彼の中には、そんな打算が生まれ始めていた。
しかし、少女も諦めなかった。
土に頭を擦りつけ、ひたすらに助けを求めた。
幼い体を震わせながら、彼女はウォルコットに願い続ける。
その哀れな姿に、彼はいつの間にか動いていた。
少女を抱き上げると、急いで店のカウンターの下に押し込んだのだ。
有無を言わさない行為に、少女は目を丸くしてウォルコットを見つめていた。

と同時に。
荒々しい音と共に扉が蹴破られ、むさ苦しい男どもが数人、大股でずかずかと入ってきた。
腕にはいくつもの傷が走り、右腰には牛革の鞭が、左腰には大ぶりな剣が下げられている。
握りの部分は手垢で汚れ、所々がすり減っていた。
それは男たちがそういう職業であることの証だった。
その中の一人、スキンヘッドの男が無遠慮にカウンターに腕を置き、ウォルコットに話しかける。
「よぉ、兄ちゃん。せいがでるねぇ」
「すみません、本日はもう閉店なんですが」
「まあそう言うなって。こちとら用が済めば帰るからよ」
男は豪胆に笑うと、途端に真面目な顔になってウォルコットを睨みつける。
それは紛れもなく戦士の瞳であり、ともすればここで首を撥ねられてもおかしくはないと語るものだった。
「ここらへんで奴隷のハーフエルフ、見なかったかい。みすぼらしい服を着た、褐色肌の餓鬼だ」
男の言葉を聞いて、カウンター下の少女が震えた。
今にも悲鳴を上げそうな少女は、すがる思いでウォルコットの服の裾を掴む。
涙を浮かべた瞳は、薄暗い中で輝く宝石のようだった。

ウォルコットは覚悟を決める。
すぅと息を呑みこむと、彼は男に告げた。
「いや、今日は誰も来なくて見ての通り閑古鳥が鳴いていたんですよ。
最近は羽振りのいい店のほうが人気のようで、困ったものです」
「……ほぅ?本当に誰も、来なかったのかい?」
「ええ。奴隷ならうちもほしいもんですよ。まあ、買えるほど金はありゃしませんが」
唸るような低い男の声に、ウォルコットは負けじと明るい声を出して答える。
ウォルコットはごくりと心の中で息を呑んだ。
悟られまいと、おくびには出さないと、それだけを考えていた。
そんな彼の姿を舐めまわすように見る男は、部下に目配せした後、捨てるように言った。
「……邪魔したな兄ちゃん。次は店が閉まる前に来るとするよ」
スキンヘッドの男の掛け声とともに、男たちは早い動きで店を出て行った。
全員が出ていくのを見届けると、ウォルコットは大きく息を吐いた。
体中の汗がぶわっと吹き出し、脱力しそうになる体を支えながら、少女の姿を見ようと床に目を移した。
床が光を、反射していた。

――酒でも零したか……。
気怠くなった体を動かし確認するが、酒は一滴たりとも零れてはいなかった。
――違う。酒ではない。
仄かに香る甘酸っぱい匂いに、彼は今一度少女を見た。
水の流れる音が聞こえる。
それは少女の下半身から溢れ出るものだった。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
少女はひたすら謝り、涙を流しながら、少女は失禁した。
それは、恐怖からの解放のせいか。
それとも、疲労からだろうか。
少女は体を震わせ、顔を赤らめながら漏らし続ける。
ウォルコットはそれを、ただ見ていることしかできなかった。

汚れた少女を風呂に入れ、開いているベッドに寝かしつけたのは一時過ぎ。ウォルコットはようやく腰を落ち着け、薄いコーヒーを飲みながら少女を見守っていた。
すぅすぅと寝息を立てる姿はとても穏やかで、年相応の、夢見る少女のものだった。全裸では可哀そうと思い、店に残っていた前の主人の衣服を着させている。
「師匠、小さかったもんなぁ……」
懐かしむ声。
ウォルコットは眠る少女の姿から、かつてのことを思い出していた。

ウォルコットの師匠、つまり先代の酒場の主人は、ウンディーネの血を引く半精霊だった。
本来交わるはずのない精霊との交配。その影響からか、彼女は人間の子供のまま成長せずに老化する……いや退化するという病気を患っていた。
そんな彼女がウォルコットを拾ったのはほんの気まぐれであったと思う。
アガルファタの街で路頭に迷う少年――ウォルコットが拾われたのは、五年前のことだ。
親に捨てられた彼を拾い、主人は奉公人として傍に置いたのだ。
水系の種族特性からか、彼女が作る料理やドリンクは一品級だった。
誰もが舌鼓を打ち、そして小さい少女のような愛らしい姿を愛でながら、大いに語らう。それがアスナロという酒場だった。

そこにあったのは、種族差別のない平等な世界だった。
酒を飲み、おもしろい話ができれば、誰もが笑いあえる場所。
生まれや育ち、職業や種族も関係なしに一夜限りの友を作り、安らぎと充足を得ることのできる隠れ家。
ウォルコットはそんな「アスナロ」に憧れた。
いつか自分もそんな店を持てるようになる。
そう夢見た。
しかし、彼の夢は早くも崩れかけている。
彼が大切にしていた「アスナロ」を壊してしまうほどに。
ゆっくりと微睡む世界の中で、ウォルコットはここ一か月のことを思い返して、こう結論付けた。
――俺には、「アスナロ」は作れない。
と。

朝日の眩しさを感じて、ウォルコットは目を開いた。
いつの間にか眠っていたようで、手には冷めたコーヒーが入ったマグカップが、握られたままになっていた。
周りを薄ら眼で確認する。
ベッドの上にいるハーフエルフの少女は同じように寝息を繰り返し、安心しきった表情で寝ていた。
あどけない表情。
それは、彼が初めて見た、彼女の本当の表情だった。
エルフの血の混じるものは、皆美形に成長する。
それを証明するような端正な顔立ち。
昨日とは違う怯えも憂いもない姿は、彼女本来の可愛らしさ、美しさ、綺麗さを湛えているようだった。
瞬間、ドキリと胸が跳ね上がる。
庇護欲とは違う、明確なる異性欲。
それが沸々と湧きあがった瞬間だった。
――もっと見たい。触れたい。愛でたい。
彼の中に浮かび上がる情欲は、そのまま衝動となって彼の体を動かしていく。
適当な机の上にマグカップを置き、彼はまだ夢見心地の少女に近づき、その顔を見つめ始める。

まるで魔法にでもかかったかのように。
彼は情欲に従って顔を近づけた。
目と鼻の先にある幼い顔立ちの少女。
その褐色の肌は昨日よりも血の気がよく、果実のように瑞々しかった。
吸い付くような小ぶりの唇は、時折何事かを口走っている。
どうやら夢を見ているようだ。
つんと立った鼻がひくと動き、瞼の下の大きな瞳がくりくりと動くのも見て取れた。
そして喜ばしげに顔を緩ませ、口から涎を垂らした。
食事の夢らしい。
何とも微笑ましい光景に、ウォルコットも自然と笑みをこぼした。
そしてその顔を近づけ、欲望のままに唇を重ねようとする。
蠱惑的な毒に充てられたのだろうか。
いけないことだとわかっていても、彼は自分を止めることはできない……いや、したくなかった。
心が弱っていたのだ。
自信を失っていたのだ。
誰かに癒してほしかったのだ。

無意識の中にあるそれらの思い(りゆう)が、鬩ぎたてるように彼を動かす。
彼は彼自身の中のものに気づかないまま、その禁忌を犯そうとしていた。
――あと数センチ。あと少しで……ん?
その唇が触れる――そう思えた矢先、ある匂いが彼の鼻にもたらされた。
嗅いだことのある匂い。
甘酸っぱい香り。
それが何かをすぐさま思いだし、彼は眠っている少女の毛布を剥いだ。
眠り続ける少女の股間部と、その下にあるシーツが湿っていた。
臭いはそこから醸し出され、彼女の失敗を強く主張しているようだった。
衣服は肌に張り付き、時折もじもじと嫌そうに体を動かす。
それらのことが示す言葉を彼は少女に告げるために、優しく彼女を揺れ動かした。
「おい。起きろ。朝だぞ」
「――んっ……もうちょっと」
「おい。起きないと大変なことになるぞ」
「……んあっ……ふぃ?」
少女はようやく目覚め、寝ぼけたまま体を起こし眼を擦る。
どうやらまだ夢見心地のようで、焦点があんまり定まってない瞳でウォルコットを見ると、
「おはようございますぅ。ご主人様ぁ……」
「違う。ご主人様じゃない。ウォルコットだ。昨日話したろ」
「ウォルコット……さまぁ?」
「さまは余計だ。ウォルコットでいい」
「ウォルコット……さん、ウォルコット――あ」
そこで寝ぼけが解け、彼女は先ほどの幼い応答から一転、しっかりとした口調で話し始める。

「き、昨日はすいませんでした。わ、私……」
「起きたか。――ああ、話は後だ。まずは自分の下を見ろ」
「下……?きゃあっ!」
ようやく彼女は」、自分のしたことに気づいたようだ。慌てふためく彼女に対し、ウォルコットは問うた。
「おねしょは……初めてなのか?」
ふるふると顔を横に振る少女。どうやらおねしょはこれが一度ではないようだった。
ウォルコットは頭を一掻きし、告げる。
「とりあえずの風呂の入りなおしだ。あと、さっきから聞きそびれちまったことがある」
「ごめん……なさい……」
「気にしなくてもいい。――こっちも初めてではないからな」
「……?」
「ああ、こっちの話だ。――で、聞き忘れたことだけど、俺、まだ君の名を知らないんだ」

「な、まえ?」
「そう、奴隷の時の名前じゃなくて、親からもらった名前があるだろう?それを聞いていない」
「――メ・エヌアイン。字名はメニア……です」
「わかった。よろしく、メニア」
「あ、はい……よろしくお願いします。ウォルコットさん」
ウォルコットは右手を差し出すと、ハーフエルフの少女――メニアはその手を取った。
握手。
その行為に微笑むメニア。
対するウォルコットは少しばかり恥ずかしげだった。
それがウォルコットとメニアの、最初の出会いの総てだ。
そして、これから始まる一つの物語の始まりでもあった。

交易都市アガルファタ。
その夜を賑わす酒場があった。
アスナロ。
隠れた酒場として話題になり、通な人々がやってくる憩いの場だ。
従業員は二人。
店主は若い人間の青年で、名をウォルコットという。冴えない男だが料理の腕は良く、なにより気配りが上手で、聞き上手でもあった。
だが、なによりもこの店の魅力はもう一人の従業員にあった。
褐色肌に尖った耳。白色の髪は艶やかに輝き、半月状の碧眼の瞳が宝石のように煌めいた。人懐っこい顔は子犬のようで、その笑みは誰も彼も引き込む魅力があった。
今日もこの少女目当てに、客がやってくる。
名をメ・エヌアインという。
種族はハーフエルフ。
奴隷身分であり、その腕には手枷をつけている。
字名はメニア。
エルフ界における呼び名は、この酒場の愛称といて定着していた。
「メニアちゃん、こっちお酒―っ」
「はいっ、今行きます」
「メニアちゃぁん、ベーコン二枚追加―っ!」
「はい、かしこまりましたぁ」
「メニアたんちゅっちゅ」
「ひゃっ、おさわりはだめですよっ」
どこもかしこもひっぱりだこで、目を回しながらも献身的に働いている。
その様子を微笑みながらも眺めるウォルコットは、機を見て彼女を店の裏へと引っ込めた。
それは厄介な、彼女の持つ秘密のためだった。

酒場の奥、調理場を抜けた先にある洗い場で、メニアは足を止めた。ステップを踏むように辺りを見回し、誰もいないことを確認する。
「大丈夫……かな」
安堵して呟くと、慣れた動きで真っ白なエプロンを脱いだ。
それを丁寧にたたむと、今度はマルーンカラーのロングスカートを外して、下着を露出させる。
――ずり落ちてる。
顔を紅くしながら、自らの穿いているものを見る。
普通のものより、おしりとおまたの部分が妙に膨れているフォルム。
それは本来、彼女のような少女には、何ら縁がないもの。
あるとしても、お世話になるということは、ないはずだった。
そう、彼女の下半身を包むもの。それは――おむつだった。
羊の毛で作った、青と白で彩られたおむつカバー。
先代の店の主人が、愛用していたものだった。
それを彼女のおもらし癖に困ったウォルコットが、彼女用に持ってきたのだった。
「いっぱい、出しちゃいました……ごめんなさい……」
誰に告げるでもなく、自然と出る謝罪の言葉。
メニアの癖だ。
ごめんなさいと言えば、大抵は辛いことにあわなくて済む――無意識で、その条件反射が成立していた。
「……早く換えないと……怒られちゃう」
焦るようにカバーの紐を解き、留め具を外して、おむつの中身を晒す。絹擦れ音も、乾いた音も、何もかもがもどかしく感じていた。

「んんっ……」
濡れた秘所が外気に触れ、鋭利な感覚が背筋を貫いた。声を漏らしてしまうほどの刺激に、耳を翅のように震わしている。
純白だった中の布おむつは、鮮やかな山吹色に染められていた。
全ては先程の仕事中に、漏らしたものだった。
ずっしりと重くなったおむつを外して、バケツの中に放り込むと、洗い場の横に用意された簡易ベッドに横たわった。
これから先は、一人ではできないからだ。
それが余計に恥ずかしく、情けなくなる。
涙は筋となって目尻から零れ、ベッドの上のシーツを濡らす。
両腕の枷が、より重くなった気がした。
「すまん!……待ったか?」
「大丈夫……です」
メニアはせめてこの人の前では心配させたくない――その思いから取り繕うように微笑んだ。
無理があるかもしれないが、それでも彼女ができる、精一杯の嘘だった。
「すぐ済ませる。そしてらまた、働いてもらうぞ。――大丈夫か?」
「平気……です。まだ、頑張れます」
「そうか、偉いぞ」
ウォルコットの言葉に、メニアははにかんだような笑みを見せた。
彼女にとって、ウォルコットに褒められることは、最高の喜びだった。
体の奥底にあるものが、弾け飛んでしまいそうになるほどに。

それを内に秘めさせて、彼女はじっとウォルコットに施されるのを眺める。
程よい温度のタオルで秘所を拭かれ、気持ちよくて出そうになる嬌声をかみ殺す。
――気づかれないようにしなきゃ……。気づかれないように……。
強く思うたびに体は昂ぶり、さらにそれを隠そうとする悪循環。
輪舞曲(ロンド)のような羞恥の繰り返し。
彼女はそれに溺れていく。
「じゃあ新しいおむつ、当てるぞ?」
「は、はい……お願いします」
ふんわりとした布の感触がおしりから伝わった。
彼女のために用意された新品。
おしりを、おまたを包む暖かさに、微睡むように頬を緩ませた。
熱を帯びた体が、蕩けるように気持ちよかった。

――この時間が続いてほしい。もっと、もっと感じていたい。
いつの間にか羞恥を超えて、生まれた真新しい感情。
それがなんであるかを彼女は知らない。
「おい、寝るな。……終わったぞ」
「ふぁ……?あ、すみませんっ!」
ウォルコットに起こされ、メニアは慌てて立ち上がった。
ちょっとばかりの名残惜しさはあるが、今はそんなことをしてる暇はないのだ。
「先に戻る。――無理だけは、するなよ?」
「はい……ありがとう、ございます」
足早に去る彼の姿を眺めると、なぜだか胸が苦しくなった。
――なんだろ、この、気持ち。
自らの感情に戸惑いながらもスカート、エプロンを身に着けていく。
最後にそばにあった、古ぼけた鏡でちゃんとしているか確かめる。
その顔が、自分でも見たことのないぐらいに緩んでいた。
――わたし、こんな顔、できたんだ。
頬に手を当て、それが夢ではないことを確かめる。
――大丈夫。夢じゃない。
それがとても嬉しくて。
彼女は満面の笑みで仕事場に戻っていった。

閉店後の掃除も終わり、夕食や風呂を済ませて寝室に体を落ち着かせる頃には、月が天頂から下っていた。
先程までの喧騒が嘘のようだ。
静けさが部屋の中に染み渡り、耳に痛く感じるほどだった。
「今日もお疲れ。……やっぱりメニアがいると助かる」
「い、いえ。……わたし、ウォルコットさんに助けてもらってるんですから。このぐらいしないと……」
照れるように縮こまる彼女を、ウォルコットは懐かしく思っていた。
かつての自分の立場が、彼女とそっくりだったからだ。
自然と彼女の姿に、自分を重ねてしまう。
「そんなに謙遜するな。……俺が惨めになるだろ」
「え、あ、はい……でも」
「いいからっ!……それより、今日も、やるのか?」
「……はい。今日も、お願いします」
強い意志を秘めた瞳が、ウォルコットを貫く。
強固な覚悟と、純然たる決意。
感じる熱意に絆され、彼はゆっくりと立ちあがった。
「わかった。――あれ、持ってくるよ」
部屋を出て、前主人の部屋へと向かう。
ウンディーネ系の半精霊だった前主人は、今のメニアと同じような悩みを抱えていた。
中には子供らしい、色取り取りのおむつカバーが整頓されていた。
今のおむつカバーも、ここで発見したものだ。
ほかにもいろんなグッズが置いてあったが、そこから必要なものを取り出して、寝室へと戻った。

「ただいま」
「おかえりなさいませ、ご主人様ぁ……あ」
「こら、それは無しだろ」
「ごめんなさい、つい」
奴隷だった彼女は、今でもその癖が出てくる。
出会ったときにあった鞭の痣は、今はすっきりと消えていた。
だから余計に、彼女の癖が痛みに感じてしまう。
――何とかこれも、直していきたいな……。
もどかしさに胸を焼きつつ、床の上に持ってきたものを置いた。
それは木製の移動型便器――おまるだった。
幼子のための小さいものだが、幸い小柄なメニアにはちょうどいいサイズとなる。
「今はどうだ?でそうか?」
「だ、大丈夫です。まだ何も、感じません」
「そうか……でそうなったら言えよ?」
「はい。あと、あとですね――」
「わかってる。ちゃんとできたら、ご褒美だろ?」
「は、はいっ。えへへ……」
「ご褒美」というワードに反応して、メニアははにかむように笑った。
ほんのりと朱に染まった顔は、思いのほか愛らしい。
心臓の鼓動が、今にも飛び出してしまいそうになるほど早まった。
喉がひりつくように乾く。
ウォルコットは自らの体の変化を感じ、ゆっくりと飲み込むように、心の中で呟いた。
――俺は、こいつに欲情(こい)してる。

彼女が転がり込んだその日から、気付いたらその姿を追いかけていた。
最初はほっとけないという、保護欲的な感覚だった。
でも、いつしかその感情が変化していった。
仕草。声。表情。そして触れ合い。
その一つ一つが重なって、混じりあい、一つの結果へと至ったのだ。
メニアが笑うだけで嬉しい。
メニアが泣いているのを、見たくない。
メニアとずっと、一緒にいたい。
感情の全てが、行動の全てが、メニア基準になっていく。
いつのまにか、ウォルコットの内側(なか)は、メニア一色となっていた。
彼女のためになりたい。
彼女を救いたい。
そのためには、自分がいくら傷ついても構わない。
「その時」が来るまで他愛ない会話。
その何気ない会話の裏で、ウォルコットの気持ちは、秘かに燃え上っていった。

メニアは下腹部が、重くなったのを感じていた。
――おしっこ、かなぁ?
内腿が痙攣し、背筋に嫌な汗が出始める。
股上に張りを覚え、撫でるように触ってみた。
「うんっ……ん」
「……?――どうした?」
瞬間の痛みと、総毛立つような感覚。
それは、まぎれもなくおしっこが近いということを示していた。
「おしっこ……でそう、です」
「そうか、なら、俺は部屋を出ようか?」
「え、その、あの、ここ、いてほしいです……」
尻すぼみになる言葉は、ウォルコットには届いていないようだった。
そのまま立ち上がってしまう彼を、メニアは袖を掴んで引き止める。
行かないでという思いが強すぎて、思わず腹に力を込めてしまう。
瞬間、尿の一部がおむつの中で弾け飛んだ。
「ひゃぁぁぁっ!」
「ん?どうした!?」
ジトリとした感触が、おむつの中に広がる。
――暖かくて、ちょっとだけ、気持ちいい……。
抜けそうになる気をしっかり持ちながら、メニアは彼に告げた。
「一人は、さみしいから、いやです。だから、一緒に、いてください」
たどたどしくなる口調は、恥ずかしさの裏返しだ。
耳まで熱くなる顔を見られたくなくて、俯いて隠したくなる。
それをウォルコットが、情けない顔で見つめていた。
――心配かけちゃ、ダメだから……。
メニアは努めて、平常を装った。
「あ、えっと、お、おまるまで、連れてってほしいです……」
「……立てなくなったのか?」
「ご、ごめんなさい!……腰が、抜けちゃって」
「わかった。――よっと」
「ふぇぇっ!?」
メニアの予想とは裏腹に、ウォルコットは彼女の膝を持ち、抱きかかえたのだ。

お伽噺に出てくるような、お姫様抱っこ。
突然のことで体に変な力が入ってしまう。そのせいか、ちびちびとおしっこがおむつの中に漏れ出していた。
――まだ、ダメぇっ!
褒められたいのに。
ご褒美がほしいのに。
体は思うように動いてくれず、おしっこは無情にも漏れ続ける。
「ほら、着いたぞ。――自分で、脱げるか?」
メニアは自分の股を汚すおしっこのせいで、声を出せる状況じゃなかった。言葉にどう答えればわからず、首を横に振って何とか意思表示する。
「なら、脱がすぞ」
「……!」
ウォルコットはおしっこを押しとどめるメニアの様子に気づかぬまま、おむつの中を開け放とうとする。
――今、外気に触れたなら、おしっこが我慢できなくなる気がする。
それに、ウォルコットさんに、おしっこがかかっちゃう……それは、だめ。絶対に、ダメ!
メニアはとっさにウォルコットの手を跳ねのけると、一歩引いて叫んだ。
「だめぇぇぇぇっ!」
腹筋に力を入れた結果、おしっこは勢いよく押し出されていった。
二度目の奔流が、おむつの中に躍り出た。
「ああっ…あ、ああっ」
焦がすように熱い尿が、前へ後ろへと暴れ狂う。
おしりを濡らし、秘所を染め、恥丘を撫でる。
縦横無尽に動き回る尿の感覚に、腰を震わしてメニアは耐えた。

我慢からの解放。
見られているという羞恥。
おもらししたという汚辱。
そして、温かさのこもる快感。
内から襲い掛かるリビドーに、彼女は身を震わして答えていた。
――温かい……気持ち、いいよぉ……。
おしりを包む温もりに、メニアは悦楽の笑みを浮かべる。
おむつという日常に、体はすっかり、染まりきっていた。
奥底にある、熱い感覚。
おしっことは違う、変な感覚。
それがすごく、心地よく感じる。
「ん、んんっ、ふぅ……」
最後の一滴を絞り出すと、力尽きて膝から崩れ落ちる。
ウォルコットは慌てて彼女を支えると、その腕の中で嗚咽を漏らした。
「ごめんなさい……わたし、がまん……ちゃんと、でき、なくて……」
瞳から涙を零れ、頬を伝う。
奥底から溢れ出る綯交ぜの感情。
それに塗りつぶされそうになって、張り裂けそうになって。
だから涙で心を洗う。
熱くなる眼頭の意味を、彼女はまだ、理解してはいなかった。

ひとしきり泣いた後、メニアはすくっと立ちあがった。
腫れた目で伏せがちに、ウォルコットのことを窺っている。
彼女は震えた声で言った。
「ウォルコット……さん。わたし――」
――失敗しちゃいました。
その言葉が出なかった。
情けなくて、もう一度涙が零れ出る。
おもらしして泣くなんて、本当の赤ん坊のようだ。
それが恥ずかしくて、今にも逃げ出したくなる。
怒られるのではないか。
罵られるのではないか。
その不安が頭を掠め、体が震えてしまう。
ウォルコットの手が、メニアの頭の上に覆いかぶさった。
恐怖のあまり瞳を閉じる。
しかしその後、予想外のことが起きた。
「怯えるな。怒ってなんかいないzp。むしろよくがんばった。――いい子だ」
「え……」
頭を撫でてくれたのだ。
大きくて無骨で、それでいて温かい手。
それが頭の上で動くたびに、耳をぴくぴくと動かしてしまった。
くすぐったいような、嬉しいような幸せな気持ち。
それは、メニアがあまり経験したことのないものだった。
「そのままだと気持ち悪いだろ?すぐ、換えてあげるからな」
「は、はい。ありがとう、ございます」
ウォルコットの優しい声に誘われ、メニアはなすがままになりつつあった。

言われた通りに秘奥は暴かれ、中の惨状が公開される。
濃い色はおしっこが重なったからだろうか。
甘酸っぱい匂いが部屋中に広がり、脳を麻痺させていく。
たっぷり吸いこんだおむつを外し、バケツの中にいれると、ウォルコットはにこやかに告げた。
「じゃあ、約束だ。ご褒美、欲しいだろ?」
「ご褒美、くれるの……?」
それを聞いて、体の奥底にスイッチが入る。
ご褒美。
それは、メニアが今、一番ほしいもの。
体の奥底が疼き、求めるもの。
切なくも甘い、お菓子のようなもの。
「いっしょに股も拭いちゃうから、こっちにおしり向けて」
「うん……」
言われた通りに彼におしりを向ける。
何をされるかは、知っている。
だから喜んで、わたしはおしりを彼に突き出した。
「どうしたんだ?積極的になって」
「今、すごく、熱いんです」
だから。
「ウォルコットさん。――鎮めてください」
「――ああ、わかった」
言葉と同時に、おしりに異物が挿入される。
ウォルコットの肉径だ。
大人の、それも比較的大きいものを、メニアは小さな菊穴で受け止めていた。
「っひぃぃあぁぁっぁっ」
歓喜の声を上げ、メニアはおまるの端につかまった。

本来なら、モノを出すべきところのはずだ。
それが強引に挿入(いれ)られて、そして抉られる。
この感覚が、メニアの大好物だった。
直腸を蠢き、腸壁をこそぎ落とす肉径に、詠うように悲鳴を上げた。
耳を激しく震わせ、矯正を上げながら、快楽の点を探るように腰を動かす。
白い髪の毛は乱れて滝のように落ち、肉厚の褐色肌は汗で輝きを増していた。
半月の瞳は妖しい光を放ち、半開きの口から獣のように舌を出していた。
荒く繰り返す息はウォルコットが押し込むたびに詰まり、弓なりの背は酸素が欠乏し痙攣を始めていた。
「こっちも触れるの、好きだろ?」
「ひうっ」
秘裂に濡れタオルを中てられ、剥き出しになっていたクリトリスを刺激される。
神経を掻き毟る感覚に、目を見開いてメニアは応えた。
「そこ、きゅぅて、あ、おしりわれ、きちゃ、め、まだっめっ」
思考を奪うほどの快感に貫かれ、言葉にならない言葉を放つ。
息をするように収縮と拡張を繰り返す括約筋が、一気にその力を強めた。
異物を排除しようと、己が使命を躍動させる。
それを強引に御するように、攀じる動きも加えられた。
「あ、ぐりゅる、おなか、ぐりゅりゅ、混ざっちゃうっ!」
太い肉径にお腹の中をかき回され、メニアは叫ぶように声を出した。
腸液がてらてらと輝き、タオルの上へ落ちていく。
タオルはさらに茶色の液体で汚れていた。
粘り気のある愛液が、壊れてしまったかのように溢れ出る。
熱さで融けそうになる体を必死に留め、メニアは男を満足させようと動き続けた。

視界すら定かではない。
時折走る快感に意識を奪われ、お腹を動かされることで復旧する――この繰り返しだ。
それでも彼女は腰を振り続けた。
求めるがままに、男の肉径を喰らい尽そうとする。
蠱惑的に身をよがり、胎内から蜜液を溢れさせ、煽るように嬌声を奏でる。
エルフの高潔さとは相いれない淫乱さ。
それこそがハーフエルフの特徴の一つでもあった。
人間との堕落の間に生まれ子どもが、まともに育つわけがないのだ。
その肉も、精神(こころ)も、魂さえも淫らに穢れきっていた。
無意識に異性を求め、欲し、情欲に溺れる――抗えもしない運命に、メニアも目覚めてしまっていた。
ただ、気付かなかっただけで。
彼女の体は淫乱に作り替えられていたのだ。
今の彼女は、全身が性器に近いようなものだ。
好きな男に触れられるだけで勃起し、常に肉棒を、快楽を求める。
その弾けるような外肉も、蕩けるような内肉も、全ては好きな男――ウォルコットのためにあった。
今一度強く、直腸にウォルコットの肉径が押し込まれた。
「あ、あぁぁっ、ひぃぃぃぁぁぁぁ……っ」
頭まで直接届く快楽に、メニアは悦びの涙を零す。
涎が糸を引いて便器の中に落ちる。
それは愛液も同じだった。
糸を引き、卑猥な臭いを放ちながら、濡れタオルの中に落ちて行った。

腸液が逆流し、空気と混ざった音を鳴らした。
それは魅惑のデュエットだった。
嬌声のソプラノと、弾けるような水のアルト。
体を楽器にしながら、メニアは悦びに震えていた。
「もう、イクっ、おしり、ぎゅって、あ、だめ、がまん、や、あ、ああっ」
「俺も……うおっ」
ウォルコットの声に合わせるように、メニアの体が一斉に痙攣を始めた。
限界を超える行動に、ついに体のほうが壊れたのだ。
筋肉は震え、収縮し、戦慄く。
それは太い肉径を包む括約筋も同じだった。
厳戒まで絞られ、尻穴を綺麗な華へと変える。
肉径を絞り上げる動きは、男の精を吸い上げる膣のそれに似ていた。
「で、でるぞ、ううっ」
「イク、あたま、イッちゃう、ふぁぁ、バカになっちゃうよぉ……っ」
男の射精とともに、メイアは絶頂した。
腹の中に注がれる膨大な精液は、直腸の中で溢れ、菊華からこぼれ出た。濡れタオルにいくつもの染みができ、ぽたぽたと床に落ちていく。
そして聞こえる水音。
絶頂と共に緩んだ尿道から、勢いよく聖水が迸った。
その中には、異性を惹きつけ、興奮される魔力が含まれていた。
ウォルコットはすっかり、これに毒されていたのだ。

「ひぃあ、あついの、すごい、いっぴゃ、おなか、きもひ、いいよぉ……」
呆けた様な表情をしながら崩れ落ち、尻に肉棒を咥えたまま眠り始めるメニア。
その姿に呆れつつ、ウォルコットは萎びた肉棒を抜き、彼女を抱きかかえた。
思ったよりも重く感じるのは、自身も疲れたからだろう。
その果実のような瑞々しい頬にキスをして、彼女をシーツの中に包ませる。
安らかに眠る姿は、本当の赤ん坊のようだ。
アスナロ。
その意味は隠れ家。
この子のような存在を守れればと、ウォルコットは頭の片隅に覚えながら、自らの部屋へと向かった。
                     おしまい。

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